議会の動き

栗山 雅史議員が一般質問を実施

質 問 日:令和3年2月26日(金)

質 問 者:栗山 雅史 議員

質問方式:一問一答 方式

1 放課後児童クラブのあり方について

今年1月7日は、県内の多くの小学校や幼稚園などが始業式を予定していた日だが、多くの地域で暴風雪警報が発令され、小学校や幼稚園では多くが休校・休園となった。一方保育園では、警報が発令されているものの、両親ともに就労でやむを得ない場合は預かることができるとされ、実際には多くの子どもたちを預かっていた。

小学生の子どもを持つ保護者は、早朝に休校との知らせを受け、朝から、子どもをどうしようかと慌てふためき、どちらかが仕事を休めないか、祖父母などに預かってもらえないか、友人に無理を言って預かってもらえないか、ファミリーサポートを活用できないかなど、一部の保護者からその対応に苦慮したと聞いた。このような声は以前からも聞いており、実際に、我が会派の議員宅においても同様のことが発生していた。

その一方で、私の家庭を含め、保育園に通う子どもを持つ家庭や幼稚園で預かり保育を実施している園では、いつも通り子どもを預かり、両親の就労に影響を及ぼすことなく、また、早朝から慌てふためくこともなく、普段通りの朝となった。

私は、小学生と就学前の子どもたちで、なぜこのような差が生まれてしまうのかと疑問に感じ、今回は、小学生の預かりについて、つまりは放課後児童クラブのあり方について、未来はどうあるべきなのか、提言を含めて問う。

(1)早朝保育・休校時等の預かりの拡大について(福祉)

小学生になると、学校休業時以外に、朝から子どもを預かるという体制はない。あるのは、その名前にもあるように、放課後の児童クラブだけである。小学校では、保育園のように警報発令時も預けられる環境とは異なり、そもそも体制が存在しないので、児童クラブ等で預かるという対応ができない。

問題とされる小1の壁の中で、保護者から、保育園と違って大変困ると言われるポイントの一つが、平日の朝の預かりが無いことである。保育園では、例えば7時30分から預かってもらえていたのに、小学校では登校が8時頃となるなど、この30分が仕事に影響を与えており、多くの保護者は、何とか職場の理解を得て勤務時間を遅らせるなどのやりくりをして耐えているようである。承知のとおり、一昨年10月からの幼保無償化をきっかけに、就労する女性が増え、共働きが増加する中、子どもたちが小学校に上がることを不安に思っているとの声をよく聞くことから、早朝と警報発令時等の対応は、まさに今、必要性が高まっていると感じている。

そこで、放課後児童クラブについて、これは基本的には市町が主体の事業ではあるものの、早朝にも拡大することを検討すべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

また、早朝に拡大することにより、警報発令時や一斉休校時等でも預かる体制の構築が可能になるため、休校時等の預かり体制についても検討すべきでないかと考えるが、併せて当局の所見を伺う。

(2)実施場所について(福祉)

放課後児童クラブの目下の課題は、人・場所・金と言われている。人は、職員配置数と、これに連動する保育の質、そして職員確保の問題である。場所は、学童保育の実施場所であり、金は、学童指導員の賃金で、半数は年収150万円未満と言われており、今回の質問は、この3つのなかの場所についてである。

先日、地元西宮市の育成センター課と深津小学校の校長先生を訪ね、学童保育の実態について伺った。同小学校では、現在の利用者は1年生から3年生で32%とのことで、今後も利用者数が伸びることを踏まえ、定員200人の3階建ての施設を建設中だった。放課後児童クラブは、基本的に一つの支援(クラス)の児童数を概ね40人以下としており、利用者増加のたびに新たに建設するのはコストがかかるので、一度に5支援を建設することになったようである。この施設は巨大で圧迫感があり、新しい校舎なのかと見紛うほどだった。建設コストは約3億円で、県はその6分の1を負担しているが、大きなコストである。建設場所は、隣接する深津中学校の一部にまたがり、場所に苦慮していることがうかがえた。

厚生労働省の(新)放課後子ども総合プランでは、学童施設の設置場所について、「新たに放課後児童クラブ又は放課後子供教室を整備等する場合には、学校施設を徹底的に活用することとし、新たに開設する放課後児童クラブの約80%を小学校内で実施することを目指す。なお、既に小学校外で放課後児童クラブを実施している場合についても、ニーズに応じ、小学校の余裕教室等を活用することが望ましい」としている。実際に、学校内にあるのは全国でも約半分と言われ、学校外では公民館や児童館などを利用し、最近では学校内に敷地が取れず、小学校の周辺の空き店舗やマンションの一室などを利用するケースもあるようだ。しかし、その前に考えて欲しいのは、厚生労働省のプランにあるように、まさに学校の教室や図書館などである。

本県の現状は、県内1,490支援のうち、学校敷地内の専用施設が479支援で32.2%、学校の余裕教室活用は390支援で26.2%、合わせて58.4%で全国平均並である。しかし、先に紹介した専用施設ばかりを建てるのは負担が大きく、今後も少子化が進み、いつかは利用児童数が減っていくため、小学校の教室を上手に利用するのが合理的ではないだろうか。

そこで、今後の放課後児童クラブの場所の確保について、多額のコストをかけて新たな施設を建てることが良いのか、既存施設である学校の余裕教室等を活用することが良いのかをさらに議論し、学校の施設を積極的に活用することを検討すべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

2 高校生の学校生活について

県教育委員会が本年1月に実施した高校の新入生アンケートでは、「高校の魅力・特色を高校選択の理由にしましたか」や、「現在、あなたの高校生活は充実していますか」、「あなたの高校の魅力・特色は何ですか」などの設問が5問あり、最後の6問目に「その他、学校に期待すること」という自由記述があった。この中で、やはりあるなと感じたのが、スマートフォンの規制緩和、ユニセックスな制服、校則の見直しなどである。

以前から、スマホ利用は、学校ごとに定められたルールや制限などがあり、高校生たちから不満の声を聞くことがあった。規制緩和という表現だったことから、まさに今、規制されている状況であることがうかがえた。また、ユニセックスな制服は、その必要性について新聞等で報道され、今では私たちも一定数の性的マイノリティの方々の存在を十分に認識する中で、このアンケートでそのような声があがっていることを知った時に、その必要性について適切に検討し対応する必要があると感じた。

私はこの18年間、大学生のインターン生を定期的に受け入れており、元高校生だった彼らに高校時代のスマホや制服の事情について実態を聞くと、スマホの取扱いは学校ごとで異なり、ユニセックスな制服はあまり備えられていないという印象を受けたことから、今回は、高校生のスマホ、そしてユニセックスな制服をはじめとする性的マイノリティへの配慮について質問する。

(1)スマートフォンの取扱いについて(教委)

先に紹介した私独自のアンケートでは、例えばスマホ・携帯電話の持ち込みは可能とするところが多かったが、学校で使用して良いかと聞くと、電源を切るように言われて使えなかった学校もあれば、休憩時間などは使用可能とする学校、特にルールが無く使用可能とする学校があるなど様々だった。また、授業中に携帯が鳴ったり、廊下などで使用しているところを先生に見つけられて没収されることもあった一方で、ゲームアプリをしても黙認されたりと、学校や教師の対応にも違いがあったようである。この他、緊急連絡を行う際にLINEグループを利用するなど、どうしてもスマホが無いとコミュニケーションが取れない事態もあったようで、その結果生徒全員がスマホを持つことになり、学校や生徒がコミュニケーション手段として利用することもあったとのことである。しかし、その一方でこれらをすべて禁じている学校もあることが分かった。

県教育委員会が令和元年度に実施した調査結果を見ると、県立高校147校のうち、未だに持ち込みも禁止している学校が6校あり、使用について、登校から下校まで使用できないのが88校、授業時間以外なら使用可が27校などとなっていた。スマホ等の活用について、生徒会など生徒が主体的にルールを作っているかとの問いには、作っていないが93校、検討中が32校、作ったが21校となっており、使用に関するルールがある方が少ない状況である。

以上のように、取扱いは学校の方針によって異なり、兵庫県下で統一されていない。文部科学省から、令和2年7月31日に携帯電話の取扱いについて通知が出ているものの、方針について、試行錯誤中、整備途上という印象を受ける。

現在、ICTを活用した教育が進められ、令和4年度の新入生からは、全生徒が何らかのタブレット端末を持つ時代になってくる。タブレット端末やスマホは、形や大きさは違っても小さなコンピューターであり、将来、授業でタブレット端末は使うが、持ってきた携帯・スマホは使えないというのでは、どうもおかしな状況だ。これからは、情報モラル教育を適切に実施したうえで、スマホやタブレットの使い方に節度を持ち使い分けするなど、適切な取扱いができるような教育や、一定のルールを設けることが重要でないか。

このような中、東京都教育委員会では、2019年にこれまで禁止していた都立高校への携帯電話やスマホの持ち込みを容認し、学習で利用するなど、必要に応じて校内での使用も解禁している。また、大阪府や広島県等の公立校でもスマホを巡るルールを規制緩和する動きが広がっている。

そこで、高校生の約97%がスマホを利用している言われるなか、今こそ未来を見据えて規制を緩和し、学校や生徒に任せるのではなく、時代の変化や実態に合わせた方針を県教育委員会として打ち出すべきではないかと考えるが、当局の所見を伺う。

(2)性的マイノリティへの配慮について(教委)

生まれた時の外観や検査等で判断される身体の性と自覚している心の性が必ずしも一致しないことは、もはや周知のことである。周囲とは違う自分に違和感を持ちつつも、誰にも相談できず悩んでいる人が一定数存在する。制服は、まさにその悩みの種の一つでもあるのではないだろうか。男子なら学ラン、女子ならセーラー服・スカートという選択肢しかない状況が、性的マイノリティの生徒たちを苦しめていることは想像に難くない。

県教育委員会に、女生徒がズボンを選択できるような学校が、県立高校147校のうち何校あるかと尋ねると、約30校で約2割だった。それも、生徒自身が声をあげたから備えたとのことで、彼らがどんなに勇気を振り絞って先生に相談したのだろうかと思うと、とても辛い気持ちになった。

2015年4月に文部科学省から通知された、「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」では、学校生活の各場面での支援を求めている。制服等の服装だけでなく、更衣室やトイレ、呼称の工夫、性別で分けられる体育の授業など、支援や配慮をすべき事例が挙げられている。私は、今回の高校生アンケートで、学校に期待することとしてユニセックスな制服という記述があったことは、性的マイノリティの生徒たちが日々悩んでいる切実な想いの表れではないかと感じる。

そこで、性的マイノリティの生徒たちが苦しまない配慮を、学校ごとの判断や、相談を受けてからの対応ではなく、一定数の性的マイノリティの存在を前提に、県教育委員会として積極的にその配慮と取組を進めていくべきと考えるが、当局の所見を伺う。

3 若者等の転出超過に対する施策のあり方について (政策創生)

本県はこれまで、若者を中心とした社会増対策として、UJIターン施策やカムバック関係施策、県内企業への就職の促進、e-県民制度等の県民愛着醸成など、多くの施策を展開してきた。施策の種類や数も増え、多額の税金を投じてきたが、毎年何千人単位の大きな転出超過の報道を見るにつけ、これまでの施策が十分な結果を残しているのかと疑問に思う。施策によって、兵庫に戻ってきた、あるいは兵庫に定着したといえる効果は少なからずあっただろうが、何千人単位の大きな転出に比べ、その結果は桁が違う小さなものであったと断じざるを得ない。

そもそも、転出超過対策をするのはなぜか。兵庫県全体の活力を維持することや、トータルとしての県民人口の減少を食い止めるためなのだろうか。そのための施策を展開し、結果が芳しくないのなら、そろそろ、施策の内容見直しはもちろんのこと、実施する是非や、方向性の転換についても検討が必要ではないか。

私は、本県が進める東京や大阪へ就職していく若者を引き留めようとする施策には、一定の理解はしつつも、違和感がある。夢を持ち、やりたい仕事がそこにあって、意欲高く都市部等へ行くことは、ある意味若者の挑戦であり、県として同郷の若者を応援するべきではないかと考えている。特に、女性については引き留めようとする思いが強いように感じる。これも気持ちは理解するが、少し未練がましい。去る者は追わず、来るものは拒まずという言葉があるが、県は去るものを追いかけ続け、結果として捕まえ切れていないのではないだろうか。去る者には応援し、一方の来る者について、更なる歓迎により呼び込む方が良いのではないか。

2016年の予算特別委員会で、私は県内大学に入学する学生の約半数が県外出身者であることを示した。なかでも、中国地方や四国、九州などの西日本各地から多くの学生が来てくれている。「せっかくのご縁で兵庫県内の大学に入学してくれたのだから、県内定着を図って欲しい」との質問に対し、「その取組は重要な対策の一つだ」、「県内企業を知ってもらい、働いてもらうこと、兵庫で暮らすことに魅力を感じてもらえるように取組む」と答弁されたが、その結果はどうだっただろうか。それと同時に、県外から兵庫県内に就職してもらい、県内に定着させるような社会増への取組も重要だが、これについてもどのような状況なのだろうか。東京から引き戻すばかりでなく、全国各地に対し、兵庫県に来ませんかと呼びかける施策を積極的に展開し、転入してもらい、そして兵庫県定着を図る必要性もあるのではないか。今後は、転出超過対策として、転出を食い止める施策だけでなく、全国から本県に多くの方に来てもらい定着するような転入・定着促進施策についても、さらに力を入れるべきではないかと考える。

そこで、これまでの転出超過対策としての各種施策について総合的に評価し、総括するとともに、今後の若者等の転出超過に対する施策の在り方について、当局の所見を伺う。

あわせて、今回の予算案で、転出者への転出要因分析の実施という新規施策があり、これには大いに期待し実施を歓迎しているが、この分析について、どのような分析を行い、結果をどう活かしていくのか、当局の所見を伺う。