質 問 日:令和2年2月25日(火)
質 問 者:上野 英一 議員
質問方式:分割方式
1 今後の井戸県政について
井戸知事は、平成13年8月1日に副知事を経て兵庫県知事となられました。副知事時代から阪神・淡路大震災からの創造的復興に取り組まれてこられました。平成20年度からは、その震災復興で生じた多額の県債の償還・財政再建に、平成30年度まで11年間にわたる行財政構造改革に取り組まれ、そして今年の8月には5期目の最終年度に入られます。そのことも踏まえてご答弁をお願いします。
知事の強力なリーダーシップの下で、新行革プラン策定前(平成19年度末)の震災関連県債残高は8,460億円であったものが、平成30年度末で3,615億円(改善額4,845億円)に減少しました。一方で、改革期間中に発行した財源対策債の残高は平成30年度末で2,892億円に上りました。今回県債管理基金での償還を予定されていますが、実質の改善額は、11年間で1,953億円であり、今なお6,507億円が残っていると考えても良いと思います。また知事は、以前からもそうでしたが、行財政改革が県民にも痛みを伴うこともあり、なおいっそう県民との交流・ふれあいを大切にしてこられました。
そのような中、平成31年・令和元年になり、県庁舎の建替え(修繕費を含めた70年コストで約680~720億円)、スポーツアリーナの建設、但馬空港の滑走路延長・ジェット機化等、大型プロジェクトの構想・検討を打ち出されています。実現させるには、また多額の県債の発行が必要となります。また、神戸市が進める三ノ宮駅周辺再開発事業にも相当の県負担が求められると考えられます。
加えて、病院事業では、県立病院で最大の病床数(736床)である「はりま姫路総合医療センター」が建設中であり、県・市立西宮病院の県立病院としての統合再編建設事業、県立がんセンターの建替え事業等があります。さらに、基幹道路では、名神湾岸連絡線や播磨臨海地域道路が計画されており、播但連絡道路の南進では、有料道路事業導入が検討されています。
行財政構造改革の取組により平成30年度決算において収支均衡になるなど財政運営の目標が達成できたとはゆえ、本県の財政状況は依然として厳しい状況に変わりありません。そのような時期に多くの大型プロジェクトを次々に打ち出されることについて疑問を覚えざるを得ません。
そこで、これら大型プロジェクトの実現に向けて、今後の財政運営をどう考えていくのかご所見をお伺いします。
2 但馬空港の機能強化の検討について
先程の質問で述べた大型プロジェクトの中で、特に但馬空港の滑走路延長・ジェット機化について掘り下げて伺います。
井戸知事は、12月6日の本会議で滑走路1,200mを延長する可能性を含め幅広く機能強化を検討する方針を明らかにし、有識者や地元代表者で懇話会を設置して年末までに機能強化の内容を検討するとされました。2,000m級ならば、160人級のジェット機の就航が可能になり、悲願だった羽田直行便の実現性が高まります。韓国や台湾などの近距離アジア圏をつなぐ航路も現実味を帯びてきます。懇話会では、国際化の可能性やLCCの誘致、需要見込みのほか、費用対効果などを加味して検討する方針であります。また、同じ日本海側にある近隣空港は、鳥取空港が41万人、米子空港が69万人、出雲空港が100万人の年間利用客であることを挙げながら、3空港は10~20年の間隔で数回滑走路を延長している。25年を経過した但馬空港も機能強化に取り組みたいとされました。
当局の説明によると、空港の背後圏人口は、空港を中心に40km圏(車で1時間程度の距離)人口であると考えると、鳥取空港約30万人、米子空港約56万人、出雲空港約56万人です。但馬空港は但馬・京丹後地域の人口で約22.6万人とのことです。この数字だけでの議論では、誤った判断となると考えます。また、石見空港15万人利用、背後圏人口は21万人です。
鳥取空港は、東京羽田便を1日5便、米子空港は羽田便を1日6便、上海便を週2便、香港便を週3便、以前はソウル便も運航していました。出雲空港は、羽田便を1日5便、仙台・静岡便を各1日1便、名古屋(小牧)便を1日2便、伊丹便を1日4便、神戸便を1日1便運航しており、3空港の棲み分けが完結しているだけでなく、本州の西の端でしかも日本海側という3空港の国内便就航状況を見れば、40km圏内人口だけでなく、利用実態を分析する必要があります。
但馬全域の人口は約17万人、南但の朝来市の人口約3.1万人を除けば13.9万人となり京丹後を加えても20万人には到りません。さらに、山陰近畿自動車道や北近畿豊岡自動車道の整備が急速に進んでいることや、今後人口減少が進むことなどを加味すれば、需要見込みは非常に厳しいと言わざるを得ません。さらに高地にあり、濃霧による就航率も考えなければなりません。
そもそも但馬・伊丹路線は、県土の高速交通空白地域を解消するために、県が空港を建設しJACを誘致したものであり、実質機材の無償提供(ATR機材更新 総事業費約22.7億円:JAC負担分を含む)、運航・空港運営補助(平成30年度約3.7億円)を行っています。
平成30年度にサーブ340B(36席)からATR42-600(48席)に更新し過去最高の旅客数となりましたが、利用実績は年間約4.2万人です。しかも、地元自治体の多額の運賃補助(平成30年度約1.0億円)円を持ってであります。美方郡のある議員は、「地域によって温度差がある。我々は20分もあれば鳥取空港を利用できるが、現在も年間利用者数の確保が義務付けられており、滑走路延長でさらに負担が増えるのでは元も子もない」と言われています。
但馬空港滑走路延長・ジェット機化は、地域創生の観点、地域の高速交通手段の確保やインバウンドをはじめとする新たな需要の創出などの期待や可能性もあると思いますが、建設ありきではなく旅客需要や採算性等を慎重の上に慎重を期して十分に検討して頂きたいと思いますが、知事の所見を伺います。
3 「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」について
日本人の平均寿命(2017年女性87.26歳、男性81.09歳)と健康寿命(2016年女性74.79歳、男性72.14歳)の差は女性で約12歳、男性で約9歳です。この差をできる限り小さくすること、「ピンピンコロリ」の世界を実現することが、元気で充実した人生を送ることになるだけでなく、医療費や介護費の削減につながります。
「ゆりかごから墓場まで」は、イギリスにおける世界大戦後の社会福祉政策のスローガンです。これを現代版「人生85年設計」と考え、食と健康、社会活動(労働)と生きがいづくりを組み合わせた政策展開をすればいかがでしょう。
健康ひょうご21大作戦、食の安全安心と食育に関する条例、食育推進計画(第3次)がありますが、それらが十分に機能していないように感じます。
昨年の12月議会で木戸議員が、一般社団法人ラブテリでの調査に基づき一般質問しました。私からも食と健康について、述べさせていただきます。貧血・鉄分不足が母子の健康に与える影響は産後鬱や育児ノイローゼ、発達障害を引き起こすことや、葉酸は緑黄色野菜やレバーに多く含まれるものですが、DNAを作るときに欠かせないものであると考えられており、赤ちゃんの体の組織を作るときに葉酸の摂取が重要と言います。また脳の萎縮や骨粗鬆症、動脈硬化の原因となっているホモシステインというアミノ酸を減らすとも言われています。厚労省では、葉酸の摂取量は妊婦を除く18歳以上の男女では1日240マイクログラムとされています。埼玉県坂戸市では、400マイクログラムを目標としています。
またオメガ脂肪酸3系とオメガ脂肪酸6系の摂取比率を1対2にすれば、血液がサラサラになるといわれています。福島医科大学の研究では、オメガ脂肪酸3系のサバ、イワシ、サンマ、ハマチ、ブリに多く含まれるEPAとレバー、卵白、アワビ、サザエに多く含まれるアラキドン酸AAの比率が0.32を下回れば心疾患の死亡率がより高くなるといわれています。
以上長々と述べてきましたが、食育がいかに健康において重要かということです。これに保健指導や運動、生涯学習活動などの生きがいづくりをトータルで組み合わせ進めることが、「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」となります。
健康ひょうご21大作戦、食の安全安心と食育に関する条例に基づく取組、妊婦健診・乳幼児健診、生活習慣病検診、生涯学習などの取り組みが市・町で行われていますが、特に特定健診受診率は47.9%、特定保健指導実施率に到っては16.1%です。至る所で循環器系疾患により手足などに障害を負った人を数多く見かけます。このような方々を生み出さないようにしなければなりません。
そのためにも関係部局・市町と連携してどのように「ピンピンコロリ」、「元気で長生き、人生85年設計」を進めていくかご所見を伺います。
4 兵庫県の産業・企業の活性化に向けた設備投資の促進について
2020年2月7日に発表された、日本銀行神戸支店管内金融経済概況では、「管内の景気は、基調としては緩やかに拡大しているものの、そのペースは鈍化している」としており、緩やかな拡大基調となっています。求人状況をみると、昨年12月の新規求人数は、31,315人(前年同月比1.2%増)と3ヵ月ぶりに前年を上回りましたが、月間有効求人数では、99,362人(同4.3%減)で10ヵ月連続して前年を下回っています。
さらに、兵庫県の主要産業である、鉄鋼業・はん用機械器具製造業・輸送用機械などは一部を除いて足元では弱い動きとなっており、新規求人は、製造業で7.7%減となっています。
そしてこれらを裏付けるように、兵庫県では、2012年以降、若者を中心に東京圏への転出超過が継続し、生産年齢人口についても右肩下がりで減少が進み、対策は待ったなしの状況となっています。
一方で、兵庫県には多くの優れた産業・企業があり、そこには関連中小企業も含めて関係する方々が、ここ兵庫県に在住し生活を営んでいます。
地域創生戦略は、何れも重要な課題でありますが、産業・企業の活性化が、新たな雇用と新規事業の参入を生み、ひいては人口減少の歯止めとなることで、税収の安定と豊かで安心できる地域生活の「好循環」に結び付けることが重要ではないかと考えています。
この様な状況を鑑み、以下についてお伺いいたします。
現状の県下とりわけ製造業では、非常に厳しい経営環境が続いていますが、それぞれの企業は、設備の更新や工場の再編など、企業努力の中で準備を着々と進めようとしています。
しかしながら、老朽化した設備の更新には投資が必要であり、とりわけ工場再編については、その費用は膨大なものとなります。
これらに対し、兵庫県としてできる限りの行政支援と補助を行うことで、企業の県外移転を防ぎ、新たな雇用の創出による兵庫県の活力に繋げる対策が急務であると考えます。
また、緑地面積割合の軽減措置の更なる拡大や、産業立地条例に基づく企業誘致を更に推進することも有効だと考えます。
これらの対策を確実に実行することで、兵庫県の産業・企業の活性化と雇用創出を生み出し、魅力ある産業・企業をさらに発展させ、地域の活性化につなげる「好循環」を実現することに繋がり、そしてそのことが、人口減少への歯止めと少子高齢化への有効な対策となるのではないでしょうか。
「兵庫県で働きたい」「兵庫県に住みたい」と誰からも選ばれる兵庫県を実現するためには、その基盤となる産業・企業の活性化に向けた設備投資を一層促進するとともに、新たな雇用の場を創出すべきと考えますがご所見をお伺いします。
5 公契約条例の制定について
昨年の12月11日に、毎年行われている兵庫県建設労働組合連合会の兵庫県に対する要望会に参加をしました。
要望事項は、1.建設労働者の適正賃金・単価の確保について 2.建設産業の「働き方改革」と週休2日(4週8休)の確保について 等10項目と多岐にわたります。
その中で議論が集中したのが、建設労働者の適正賃金・単価の確保についてです。具体的には県の発注する契約において、元請け業者は下請け業者に対して十分な労務単価の保障、すなわち設計労務単価での支払いをするように県に指導を求めることでした。
それに対して県の回答は、「県では、平成28年4月1日に「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」を施行しており、この要綱に基づき、設計労務単価に基づく賃金下限額の設定ではなく、最低賃金額以上の賃金の支払いを徹底している。」という回答でした。
同組合連合会の調査によると、2019年常用の大工では、設計労務単価の21,200円に対して15,618円、左官では、設計労務単価の21,400円に対して、15,106円、土木では、設計労務単価の18,900円に対して、13,758円しか受け取っていません。しかも、民間事業と比較をすると公共事業のほとんどの職種で、低くなっています。
人手不足が深刻化する中、昨年に施行された「新・担い手3法」では改正品確法の基本理念に、災害時対応を含む社会資本の維持管理が適切に行われるよう「地域の担い手の育成・確保」、「緊急応急対応や復旧工事の迅速で円滑な実施のための体制整備」が規定されています。また、働き方改革の対応として「適正な請負代金・工期による公正な契約の締結」、「公共工事従事者の労働条件の適正な整備」なども盛り込まれています。
また、私が平成19年に当選させていただいた頃は、県の発注する工事の最低制限価格設定が、設計価格の70%を割り込むような実態で低価格入札が繰り返されていた。それでなくても、下請け・孫請け・ひ孫請けと悲惨な実態が建設労働者にあり、また工事の出来栄えも「安かろう悪かろう」になっていることに対して引き上げを求めてきました。今はずいぶん改善され85%以上になっていると思います。しかし、その改善されたことが十分に下請け業者まで反映されていません。県発注工事の平均落札率が約90%の実態にあることや、設計価格には一般管理費などが含まれていることなどから、少なくとも設計労務単価の95%相当が、適切な賃金単価と考えても良いのではないかと思います。
公共工事における建設労働者の適正な賃金単価の確保は重要な課題であり、県内の自治体でも三木市をはじめ賃金条項を入れた公契約条例を制定する自治体に広がりも出てきています。是非とも、兵庫県として公契約条例の制定を求めますがご所見をお伺いします。
6 中山間地における持続可能な農業と国土保全について
9月の決算委員会で私からの「農業の大規模化に今後どう取り組んでいくのか」との問いに、当局は、「本県農業の持続的発展には、効率的かつ安定的な経営体を中心とした農業構造の確立が重要。このため、①今後担い手の明確化や「人・農地プラン」作成の加速化を進めていく。また、②農業情報サイトを活用した幅広い人材確保、③広域で活動する集落営農法人の育成、加えて④大規模農家と住民が農作業を分担し、地域全体で農地活用を図る農地集積方式「いきいき農地バンク方式」の推進していく」とし、これらの取組により、「収益性の高い経営体の育成と地域全体で農業を担う仕組みづくりを進め、本県農業の持続的発展を図っていく。」と答弁されました。
農業の中でも土地利用型の農業は大変厳しい実態にあり、とりわけ中山間地においては厳しいものがあります。基本作物の米と共に野菜(キャベツ、白菜、ニンジン等々)の栽培を奨励されていますが、今スーパーで1玉100円~150円で店頭に並んでいるキャベツをJAに出しますと、5玉80円でその中から苗代や箱代を引かれます。
また、福崎町に八千種営農があります。八千種営農は県下でも最も早くに法人化したところですが、特に近年の農業情勢の中で経営が厳しく、後継者が現われず組織の存続自体に影響が出ているように感じます。
今月6日に農政環境常任委員会の管内調査で、地元議員として姫路市の農業法人夢前夢工房の視察に同行しました。ここは、土地利用型農業の中では数少ない成功事例と思います。成功の陰には衣笠社長の作業の省力化などへの大変な努力があります。
また現在、地域の圃場の大区画化、パイプライン化への再整備をされています。今回の再整備に伴い、農地中間管理機構への土地の集約や土地改良区の設立もされていますが、その中で、農地の受け手となる担い手は、作付けを増やすことは出来ても、草刈りや水管理まではこれ以上手が回らない、一方、出し手はそれらの作業からも離れたいとの意識の乖離も生まれています。
この問題は、この地域だけでなく農地の集約により大規模農業化が進むと、農地を預けた農家が農家で無くなり、農村の構成員としての意識が薄れていくということです。
これを思うと、当局が言われる大規模農家と住民が農作業を分担し、地域全体で農地活用を図る「いきいき農地バンク方式」の推進は、素晴らしい理念ですが果たして可能かと考えてしまいます。
私は、日本の農業・農村は兼業農家がこれまで担ってきたと考えており、家族営農なら3~5haほどの耕作が可能と考えます。そして、国土保全の観点から洪水調節機能等農地の持つ多面的機能に対して、結果的には戸別所得補償制度のみが、農地・農村の維持につながる施策なのではと考えます。
そこで今後、中山間地域における持続可能な農業と国土保全を図るため、どのように取り組んでいくのか、県の所見を伺います。
7 播但連絡道路など自動車専用道路の通行料金について
播但連絡道路の通行料金については、大規模修繕等のために2032年(令和14年)に無料化予定だったものが、現行料金を維持し10年延長して2042年(令和24年)とする議案が上程されています。有料道路事業で整備されたものであるので、現状では制度上やむを得ないと考えますが、地元住民の多くの意見は即時無料化を求めるものです。
国道483号北近畿豊岡自動車道の春日和田山道路は、平成17年4月に春日インターから氷上インター間、平成18年7月に氷上インターから和田山ジャンクション間が、遠阪トンネルを除いて無料の自動車専用道路として供用開始しました。播但連絡道路と和田山ジャンクションで接続しています。その頃よりなぜ播但連絡道路を利用するものだけが、通行料を払わなければならないのかという声が出てきました。その後も、平成24年11月に和田山八鹿道路、平成29年3月に八鹿日高道路が暫定2車線で開通し、引き続き日高豊岡南道路、豊岡道路の整備が進められています。さらに、山陰近畿自動車道、東播磨道も無料の自動車専用道路として整備が進められています。
東九州自動車道も北九州市から鹿児島まで約436kmに上りますが、有料区間・無料区間が交互に現れます。
これら有料道路事業、あるいは国直轄事業で整備されたものでありますが、利用者とりわけ通勤などの生活に利用している県民・国民にとっては、理解のし難いものであります。不公平感の是正、税の公平負担の観点からどのように考えるかお伺いします。
私は、直轄事業などで整備した無料路線についても、通行料金の徴収をして、大規模修繕や更新などの財源に充てるようにすることや、全国一律の距離制料金が基本であるが、例えば山陰・但馬地域における地域振興策として、播但連絡道路でも行われている料金割引の社会実験を行うことなども考えられると思います。基本は国の制度によるものですが、県としてどのように考えられているのかご所見をお伺いします。
8 交通安全施設(信号機等)の適切な設置・管理について
この問題については、これまでにも多くの議員から、質問がされてきました。しかし、今一つ現場対応において納得のいかないことを多々感じています。
過去においては、信号機の設置基準が明確ではなかったように思いますが、平成27年度に信号機の設置指針が策定され、随分と前進したと思います。しかし、ここ数年の信号機の設置数は10基程度であり、信号機の設置を要望し、その箇所が設置基準を満たしていても、必ずしも設置されるとは限らない現状です。これは、必要性等の高い場所を選定して整備しているからであると説明を受けていますが、平成27年以前に設置された信号機では、設置基準を満たしていないものも多くあり、県民の皆様からは、「あそこに設置をされているのになぜ要望箇所に設置できないのか。住民の安全・安心をどのように考えているのか、納得できない。」といった声をよく聞きますが、これに対する明確な回答が現場においてなされていないのではないかと感じます。
県警察では、交通安全施設管理計画(平成29年から平成38年度)を策定し、その計画の中で、「近年の交通安全施設の新設数は、一時期よりも減少しているが、引き続き、数多くの整備要望が寄せられている。また、北近畿豊岡自動車道など新設道路の供用に合わせた整備需要も継続的にある。他方、既存の交通安全施設については、更新基準を超過したものが多数ある状況から、今後は、交通安全施設の適正な総数管理に努める。具体的には、交通量、交通事故の発生状況などを調査・分析した上で、必要性の高い場所を選定して整備する必要がある。また、交通環境の変化等により、利用頻度が低下した交通安全施設は撤去を検討する。例えば、学校の統廃合、その他の公共施設の閉鎖、大規模店舗の撤退等により利用者が減少した場合、新しいバイパスの供用により、旧道の交通量が減少した場合などこの考え方を前提とした上で取り組む。具体的な取り組みとして、①信号制御機、②信号柱・大型標識柱、③道路標示の施設の定期的な更新、①信号制御機、②信号柱・大型標識柱、③信号灯器の長寿命化の推進及び点検の実施と点検結果のデータベース化を進める。」と示されており、基本的な考え方は、妥当な計画だと考えます。
信号機の整備については、必要な箇所に設置していくとともに、必要性の低下した信号機を撤去することが重要であるということも理解できますが、これを推進するためには、県民の皆様に十分に理解していただくことが極めて重要だと思います。そこで、既設の信号機を撤去するために、住民理解をどのように得るのか、例えば、私はJRが踏切の拡幅改良工事において、2か所を統合させることを条件としている方式なども良いと考えます。さらに、道路管理者と意見交換を行い、ラウンドアバウトの積極的導入や停止線の設置とそのマウンドアップ等も有効と考えますが、ご所見をお伺いします。