東日本大震災で生じた災害廃棄物の広域処理の推進を求める意見書(案)
東日本大震災からの復興を進めていくに当たっては、震災により生じた約2,300万トンもの膨大な量の災害廃棄物を処理していくことが喫緊の課題となっている。被災自治体において全てを処理することは、到底不可能であり、広域処理を進めていく必要があるが、今のところ処理スキームの全体像すら示されていない。
国においても、これまで広域処理の推進に係るガイドラインを策定するなどの対応はとっているが、災害廃棄物の広域処理に係る国の呼びかけに対しては、その処理の安全性について住民が多くの不安や反発を示していることから、ほとんどの自治体が受入れをちゅうちょする事態となっており、環境省が想定する2014年3月末までの処理の完了は困難な状況となっている。
被災地の一日も早い復興のためには、このような事態を真摯に受け止め、その大前提となる広域処理が進むよう、速やかな解決を図っていくことが必要である。
よって、国におかれては、東日本大震災で生じた災害廃棄物の広域処理の推進に向けて、下記の措置を講じられるよう強く要望する。
記
1.国民の理解を得るため、原子炉等規制法と放射性物質汚染対処特別措置法の異なる基準が存在することについて合理性のある理由を示すとともに、広域処理が進むよう、災害廃棄物に係る放射性物質の新たな基準を早急に策定すること。
2.災害廃棄物処理の安全性に関する国民の理解が進むよう、国民に対する適切な情報提供や廃棄物処理施設周辺住民に対する丁寧な説明を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
安定した電力供給の確保を求める意見書(案)
東日本大震災と福島第一原子力発電所事故は、発電所を同じ地域に集中させる電力供給システムの危うさを浮き彫りにした。特に、関西電力管内では、原子力発電に51%依存していたことから、安定した電力確保対策が求められており、国は定期検査で停止している11基のうち関西電力大飯原子力発電所3、4号機について、再稼動に向けた調整を行っている。
また、原子力発電所を運転開始から40年で原則廃炉とする方針を示し、過酷事故対策の法的義務化などを柱とする原子炉等規制法の改正案が今通常国会に提出されている。
定期検査のために運転を停止した原子力発電所の再稼動に向けては、ストレステストに始まり、経済産業省原子力安全・保安院、内閣府原子力安全委員会、国際原子力機関(IAEA)での評価・審査等を経て、首相と関係閣僚が周辺自治体を含めた「地元の同意」を踏まえて判断することとなっているが、「地元の同意」を得られるか否かについては、現在の国民感情からは極めて困難な状況が予想される。
このような不安定な電力需給状況が今後も続けば、企業の国外流出による産業の空洞化や経済衰退を招き、国民の日々の暮らしへの影響もはかり知れない。
よって、国におかれては、当面の安定した電力供給の確保に向けた対策を具体的に示すとともに、将来の電力行政のあり方について一刻も早く方針を示し、国民に説明することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。