概要 / 代表・一般質問 / 討論 / 議案に対する態度と考え方
一般質問 橋本 成年 議員
〇動画URL(第373回12月定例会12月8日 質疑・質問(一般)): https://smart.discussvision.net/smart/tenant/pref_hyogo/WebView/rd/schedule.html?year=2025&council_id=118&schedule_id=1208
第373回(令和7年12月)定例会 一般質問要旨
質 問 日:令和7年12月8日(月)
質 問 者:橋本 成年 議員(ひょうご県民連合)
質問形式:一問一答方式

1 県立高校部活動における不祥事の防止について
(1)県立高校における部活動の位置づけについて
まずは、県立高校における部活動の位置づけから確認しておきます。近年、中学校の部活動については地域展開が進められており、学校管理下の学校体育から地域団体としての社会体育へと、法的な位置づけも移行すると認識しています。
ところで現在のところ兵庫県では、高校部活動の地域展開についての具体的な議論は進んでいないようです。部活動は自主的な活動とはいえ、学校代表の位置づけもあり、また近畿大会や全国大会へ出場する場合は県代表としても位置づけられるため、学校管理下の公的な活動であるとの認識で良いかと思いますが、改めて教育長のご所見を伺います。
(2)いじめや体罰など生徒の生命・心身に重大な影響を及ぼす事態への対応について
昨今、全国的に、私立高校も含めスポーツ強豪校では顧問によるパワハラ、先輩後輩関係が影響するいじめ、部費等の不透明な金銭管理など不祥事が後を絶ちません。問題は強豪校と言われ学校内で特定の部活動や顧問が特別扱いされる立場であればあるほど、本来は機能するはずの管理職による統制や保護者も含めた外部からの指摘が適切になされず、不正の芽が黙認され、時には隠蔽されて大きな不祥事になってしまうことにあると考えます。
県立高校においても体罰で監督が辞任するなど、直近においても不祥事は発生しており、「あってはならない事態」ではなく「あるかもしれない事態」と認識して、教育委員会においても重大な事態への対処方針を定め、生徒の心身の安全を守るため的確に対応することが求められます。
そこで、県内に131校ある全日制県立高校の全ての管理運営状況を把握することは困難とはいえ、部活動におけるいじめや体罰など生徒の生命・心身に重大な影響をもたらす事態に毅然と対応する体制を構築するため、教育委員会としてどのような取組みをしているのか、教育長のご所見を伺います。
(3)公益通報者の保護について
不祥事の防止において、重要な役割を果たすのが公益通報者保護制度です。本県教育委員会においては、総務課に内部通報窓口を設け、各事案に応じて担当課が調査することが原則だと承知しています。
しかし同時に教育委員会の担当課は、当該事案に普段の業務上も関与する立場であり、客観的、中立的な調査が難しいのではないかと考えます。また、部活動に関する事案であれば、卒業生や保護者あるいは応援団といった形で、法的には利害関係者とまで呼べないにしても、心理的・精神的に深く関与している職員が存在する可能性も排除できません。
そのような前提条件において、「管理職から公益通報の内容について問われる」あるいは「通報対象事案の当事者が調査の概要を把握しており、隠蔽工作や通報者への嫌がらせがある」といった相談が公益通報者からあった場合、どのように対応するのが適切でしょうか。客観的に事実関係を把握し、万が一、情報漏洩などの不適切な実態があったならば、公益通報者を保護する立場から、調査の手法を見直すなど具体的な措置をとるべきではないでしょうか。
また、学校運営について校長や教育委員会へ提言する仕組みとして、人事評価・育成システムの一環で全教職員に提出が推奨されている「学校運営に係る提言シート」があります。公益通報に至る前に活用されるシステムです。この提言シートから得られる情報には、不祥事の防止という観点からも貴重な示唆が含まれると思われますが、教育委員会としてどのように提言を活かす体制となっているのでしょうか。不祥事の芽を摘むために、またとかく閉鎖的になりがちな学校運営の風通しを良くするためにも、公益通報者の保護や提言シートの活用は重要な課題と考えますが、教育長のご所見を伺います。
(4)部費をはじめとする部活動に係る資金の位置づけと管理体制について
兵庫県では過去にも、県立学校の教員が部費を着服するなどの不祥事が発生しています。平成29年3月30日付の各県立学校長あて「部費に係る不祥事の再発防止について」という通知文では、出納簿の作成や領収書の保管、決算報告書の作成などに留意するよう周知徹底が求められています。
そもそも部費とは、この通知文によれば「各部において生徒等から個別に徴収するもの」とされ、公金や学校徴収金とは区別されています。私の理解では、「学校活動の一環で徴収されるものであり校長の管理下におくべきだが、あくまで公的な資金とは異なる」ということかと思います。
問題は、こうしたグレーゾーンの領域に不祥事が発生しやすい構造があることです。例えば通知文では、「できる限り金融機関の口座で管理すること。やむを得ず現金で管理する場合には、紛失事故等が起きないよう十分注意すること。また、通帳や現金等は、原則として校内で管理すること。」とされていますが、表現があいまいで現場の良識にゆだねられている感があります。
また、遠征等の費用が高額になることもあることから、教職員や保護者からもカンパや保護者会費といった形で資金が集められている実態もあるとお聞きしています。これらの資金についても、部費と同様の取り扱いが求められるのか、位置づけを明確にしておく必要があると考えます。
そこで、部費、カンパ、保護者会費など部活動に係る資金の位置づけを明確にし、管理責任と説明責任を果たすよう具体的な指針を示すべきと考えますが、教育長のご所見を伺います。
(5)教育委員会における内部管理について
知事部局においては、兵庫県内部管理推進要綱を定め、財務事務に関するリスクを管理することで、組織としてあらかじめリスクがあることを前提とした法令遵守、適正な事務の管理及び執行の確保を進めています。また当該取組みは、現状の内部管理を可視化し、その過不足を適正化して必要十分なものとする意義があるとされ、内部管理の整備及び運用に要するコストと得られる便益を踏まえ、重要性の大きいリスクに優先的に取り組むことが求められています。
一方で、同要綱においては、知事部局以外の行政委員会は、知事部局の取組みを参考に、既存の会計事務の審査体制を活用して、リスクの識別・評価、対応等を推進することとされ、教育委員会においても一定の取組みはなされているものと承知しています。
現時点では、教育委員会の内部管理評価報告書は公表されていませんが、対象となる財務事務は歳入・歳出に計上される公金に限定されているのではないでしょうか。しかしながら、これまで議論してきたように、公金以外の学校徴収金や部費などについては、金銭管理が不透明になりやすく公金以上に大きなリスクを抱えており、その運用を適時見直す体制を整備する必要があると考えます。
そこで、適切な財務事務の執行を確保するために、教育委員会の内部管理制度を見直し、評価報告書の公表や、公金以外の預金通帳や現金の管理、出納も制度の対象に含めることなど、適切なPDCAサイクルを回すことができる運用体制を構築すべきと考えますが、教育長のご所見を伺います。
2 ギャンブル依存をはじめとする依存症対策の更なる推進について
ギャンブルの問題は、古代から禁令が発出されるほど人類の歴史に根深いものです。医学的には、疾病及び保健問題の国際統計分類であるICD-10では「病的賭博」と、精神疾患の診断基準であるDSM-5の分類では「ギャンブル障害」と位置付けられる疾患であり、ギャンブルへの衝動が抑えられなくなる進行性の精神疾患で、脳の「報酬系」に異常が生じることが関与していると考えられています。
2020年に実施された国の実態調査では、ギャンブル等依存症が疑われる者は推計で成人人口の2.2%とされ、兵庫県の成人人口から算出すると県内に約9万6000人の当事者がいる可能性がある極めて大きな社会問題です。
さらに問題なのは、ギャンブル依存が家族を含む周囲にもたらす負の影響です。同調査によると、家族が依存症当事者から受けた影響として、借金の肩代わり、当事者への怒り、経済的困難、金品盗難、家族不和・別居・離婚と続きます。また、自助グループに参加した当事者が過去に行った触法行為として、窃盗や横領がそれぞれ約30%もあり、犯罪行為の原因としてもギャンブル依存は大きな問題です。
2018年に施行された「ギャンブル等依存症対策基本法」では、都道府県にはギャンブル等依存症対策推進計画の策定が努力義務とされており、兵庫県においても2021年に第1期推進計画が策定され、現在は2026年度までの第2期計画に基づき施策が展開されています。同計画の目標は「ギャンブル等依存症で苦しむことのない、安心できる社会の実現」とされ、発生、進行、再発予防の各段階で対策に取り組んでいるとお聞きしています。
その際、重要な役割を果たすのが、家族会や当事者グループといった自助グループによるミーティングです。精神科医で作家でもある帚木蓬生氏は、これらのミーティングを「単なるカウンセリングではなく、ギャンブル依存症者を地獄から救い上げる唯一の蜘蛛の糸」と表現しています。依存症は進行性の疾患ですから治療しないと悪化の傾向をたどり、自然に改善することはありません。ほかの依存症においても同様で、自助グループに繋がることが依存症対策の根幹と言っても過言ではありません。
また、特にコロナ禍以降に顕著となっている課題は、オンラインによる24時間365日ギャンブルに接続できる環境です。兵庫県競馬組合の売得金については、令和7年度の10月24日までの開催成績で、約92%がオンラインによるものとなっています。こうした現状を踏まえると、構成団体である県がギャンブル依存症に一定の責任を負っているとする見解を、完全に否定することは難しいでしょう。
2016年に公表された関西経済同友会の「日本で採用すべきギャンブル依存症対策」という提言において指摘されているように、公営ギャンブルやパチンコ等も含めて依存症に対する治療体制・研究機関の設置を行うほか、24時間365日相談可能なカウンセリング施設の設置などの取組みを早急に進めるべきです。また、諸外国ではResponsible Gambling(責任ある賭博)という考え方が浸透しており、ギャンブルの負の側面を直視して問題の是正を図るため、主催者が責任を果たすべきと考えられています。
そこで、兵庫県においても昨年度では約10.7億円の配分金が兵庫県競馬組合から県へ拠出されており、その一部を依存症対策に充てることは必要不可欠だと考えます。具体的には、自助グループの運営にかかる経費助成の更なる拡充、中高生など若年層への予防教育、調査や治療に関する研究への助成など一歩踏み込んだ施策が求められていますが、当局のご所見を伺います。
3 労働者協同組合の普及啓発について
2022年10月に施行された労働者協同組合法によって、持続可能で活力ある地域社会の実現に資する事業を行うことを目的とする法人格「労働者協同組合」が創設されました。その基本原理は、組合員が資金を出し合い、それぞれの意見を反映して事業を営み、各組合員が労働者協同組合と労働契約を結び、ともに働くことで、多様な就労機会を創出するとともに、地域の多様な需要に応じた事業が展開されることを目的としています。
よく間違われるのですが、労働組合とは全く別の概念で、労働者派遣事業以外のあらゆる営利事業を営むことができる事業体で、株式会社、NPO、一般社団法人など様々ある事業系の法人格の一つです。営利事業を営む法人でありながら、出資に応じた議決ではなく一人一票の議決権を持ち、組合員が平等の立場で話し合って合意形成を図るために、意見反映の仕組みを定款上も明記する必要があるなど、地域課題を解決するためふさわしい仕組みの一つだと考えています。
こうした取り組みを支援するため、厚生労働省においては労働者協同組合活用促進モデル事業を実施中であり、全国で5県の推進協議会をモデル事業と選定して、創意工夫ある取組みを支援し、各地域へ展開することを目指しています。例えば、三重県においては、県の雇用経済部が自ら事務局を担って「協同労働」の仕組みを盛り上げるため、各市町、設立済みの各労働者協同組合、経営団体や労働団体からも参画を得て「三重県労協活用促進地域連携協議会」を運営しています。具体的な取組み事例としては、四日市市での荒廃した山林を活用したキャンプ場の運営する全国第1号の労働者協同組合や、鈴鹿市での不登校の子どもの居場所となるフリースクールや放課後デイサービスの運営、松阪市において高齢者介護などのケアワークなどの事業を、働くものが主体的に意見反映できる法人運営を通じて、地域課題に即した実践が進んでいます。
県においては、兵庫県行政書士会に委託して相談窓口を設置し、普及啓発に努めていると承知しています。しかし、現状では市町や商工団体への周知が充分とは言えず、今後どのように強化していくお考えでしょうか。例えば、起業相談を受ける市町の商工部門や商工会議所、商工会などにおいて、事業体の選択肢として、労働者協同組合が十分に浸透しているかは疑問です。持続可能で活力ある地域社会の実現に資する事業を県としてさらに後押しするため、啓発先や啓発方法を工夫した、より一層の普及啓発が必要と考えますが、当局のご所見を伺います。


