議会の動き

相崎 佐和子議員が質問(予算審査・農政環境部)

令和2年 令和元年度予算特別委員会(農政環境部)

日 時:令和2年3月11日(水)

質問者:相崎 佐和子 委員

1 県産特産品のブランド化に向けた支援について

(1)発掘・育成・販路拡大について

県産農林水産物またその加工品には魅力的なものが多く存在する。支援をして産地振興につなげたいと考える。それには発掘と育成、そして販路拡大であろう。

まず発掘である。地元にとっては当たり前でも地域外の消費者からみれば、魅力的な物が眠っている可能性がある。百貨店やスーパーなどのバイヤーとのコラボレーションなどを含めて発掘に取り組みたい。次に発掘した物の特産品への育成である。特産品といえるだけの品質を確保し、安定供給の道筋をつける。そして、他産地に対する優位性を打ち出して高級化する。最後に販路拡大。国内はもちろん、国外においても安全安心で高品質な日本産の農林水産物の需要が高まっている状況を好機と捉え、特に輸出におけるプロモーションを展開する。これらに取り組むことで、農林漁業者の収入を安定、向上させ、雇用機会を創出し、産地の振興につなげたい。

そこで、県産特産品のブランド化に向けて、発掘と育成、販路拡大についての状況と今後の取り組みについて、ご所見を伺う。

(2)地理的表示(GI)の活用促進について

県産特産品のブランド化について、さらに掘り下げる。ブランド化に成功したなら、模倣品の抑止やノウハウ流出の防止といった保護が必要である。そのために、地域団体商標や地理的表示(GI:Geographical Identification)の制度を活用したい。

これらは、例えば「神戸ビーフ」「夕張メロン」のように、産地と産品がセットになって知られているような特産物について、知的財産として保護し、模倣品から守り宣伝効果を高める目的を持つ登録制度である。地域団体商標と地理的表示は、目的は同様であり経緯や内容が若干異なっている。

地域団体商標は、地域ブランドの名称を商標権として登録し、その名称を独占的に使用することができる制度であり、地理的表示は、生産地と結びついた特性を有する農林水産物等の名称を品質基準とともに登録し、地域の共有財産として保護する制度である。地理的表示は、100か国以上が加盟するTRIPS協定(トリップス協定=知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)で保護されており、特に日本とEUとの経済連携協定では、地理的表示を相互保護しているので、EU向けの輸出において地理的表示を取得しておくことは有効である。

両方登録するのが最大の効果を発揮するとされているが、県において今後、輸出に販路を拡大する方向ゆえ、特に地理的表示の登録を推進したい。

地理的表示は2015年にスタートし、県内での登録は「但馬牛」「神戸ビーフ」「佐用もち大豆」の3件のみである。

そこで、県産特産品のブランド化において、特に県内で登録数が少ない地理的表示の登録を、輸出の販路拡大の観点からも促進したいと考えるが、ご所見を伺う。

2 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の導入支援について

営農型太陽光発電=ソーラーシェアリングとは、農作物をつくりながら、太陽光で発電するものである。田畑の上に櫓を設置して太陽光パネルを配置し、太陽の光を農作物と太陽光発電で分け合う。1つの土地で農業と発電事業を両立させる取り組みである。

農業の観点では、農業従事者にとって農業収入に加えて、太陽光発電による売電収入を得られることから、生活の安定につながる。エネルギーの観点では、太陽光発電の拡充により再生可能エネルギーの促進や地球温暖化対策にもつながる。さらに災害対策の観点では、地産地消型の分散型電源であることから、大規模停電時の対策として有効である。

太陽光パネルで日陰になると農作物の育ちに悪影響を与えるのではないかと心配になるが、植物には一定量以上の太陽光は光合成に利用できない限界点(光飽和点)があり、余った太陽光を発電に利用しようとの発想である。多すぎる太陽光は作物のストレスになることもあり、余分な太陽光を遮ることで農産物の品質を向上させるとも言われている。

ソーラーシェアリングは以上のメリットがあることから、県内では宝塚市のすみれ発電など取り組み事例があるが、さらに拡充したいところである。

導入には大きく2つの課題が指摘されているが、県が支援できると考える。

課題の1つ目は、初期投資が必要なことである。例えば、固定価格買取制度を活用した売電収入により、長期ビジョンでは採算が取れるものの、太陽光発電装置の価格が下落してはいるが、一定の初期経費が必要であり、農業従事者においては躊躇するところである。県では地域団体等に対して「地域創生!再エネ発掘プロジェクト」において無利子の貸し付けを可能にしているが、あまり知られていないかもしれない。

課題の2つ目は知識やノウハウが不足していること。農地転用手続や売電の仕組みについての知識が不足しており、農業従事者においては、どうやって始めてよいか分かりづらい。ここは県がバックアップできると考える。

そこで、ソーラーシェアリングをさらに推進するために、農業従事者等への周知や、知識やノウハウを伝えて下支えする、貸付の仕組みを紹介するなどして、県として導入を支援したいと考えるが、ご所見を伺う。