2025.3.24
概要 / 代表・一般質問 / 議案に対する態度と考え方 / 意見書案 / 提案説明 / 討論
ひょうご県民連合 予算反対討論(小西 ひろのり 政調副会長)
ひょうご県民連合議員団の 小西ひろのり です。
会派を代表し、ただいま上程中の予算、条例等に係る議案のうち、
令和6年度関係 第228号議案 県立大学授業料等無償化基金条例に反対し、先ほど我が会派の迎山議員が提案説明を行った修正案令和6年度関係 第225号議案 令和6年度兵庫県一般会計補正予算(第6号)、並びに令和7年度関係、第49号議案 兵庫県県政改革方針の変更の県立大学授業料等無償化事業の財源にかかる修正案に対して賛成する立場から討論を行います。
兵庫県の財政状況については、税収の改善や経済成長率の上昇が見込まれることなどにより、2028年度までの収支不足額が160億円と、前年度から55億円改善すると見込まれています。しかし、震災関連県債等の償還が続く中、社会保障関係費の増加等の影響により、今後も大幅な収支不足額が発生する見込みであるほか、分収造林事業や地域整備事業会計などの大きな課題も抱え、引き続き大変厳しい財政運営が求められています。
このような非常に厳しい財政状況が明確となっているにも関わらず、確実に持続可能な事業なのか十分な検証がないまま、県立大学無償化に限定された50億円もの基金を設置することには反対します。
昨年、我が会派が予算に反対し、提出した修正案に対し、知事は「謙虚に受け止める」と表明された以降、この事業に関して議会と十分に議論する機会、時間はありましたか?事業そのものに対する賛否も含めて様々な意見があるなかで、県民が納得できる説明や見直しができるまでの間は、決算余剰を積み立てた財政基金を活用するべきと考えます。
我が会派はこれまでから、社会的に厳しい状況や立場にある方々にこそ、自治体としての支援を充実させ、公平感のある取組を求めてきました。昨年度から始まった「県立大学の授業料等無償化」では、県政改革調査特別委員会でも議論してきましたが、「兵庫県の若者を支援する事業」というには受益者があまりにも限定的で公平性に欠けています。
また、多額の予算を永続的に計上する必要がある施策にも関わらず、当時の政策決定過程が拙速であり、大学関係者も記者発表時まで知らなかったことも含め、透明性が全く確保されていなかったことも大きな課題として残っています。
さらに、来年度予算案では県内生への支援にとどまらず、大学内での公平性の観点から県外生に対しても新たに大学院の入学金を引き下げなくてはならない状況も生まれています。
「若者支援」という理念には賛同しますが、県内に住む大学生でも限定的でわずかな人数だけが受益者となっている本事業の現状に対し、取り残されてしまった県内の大学生を飛び越えて県外からの大学院入学生に兵庫県の税金が使われることに関しては、更なる不公平感が生まれ、知事のおっしゃる「多くの若者の可能性が広がる支援」を行う内容とは到底言えません。
物価高の影響を受け、困難な生活をしながら勉強や研究、部活動等に励んでいる学生は県立大学進学者に限らず、県内にたくさんいます。
大学では、学生に真摯に向き合い、創造的なカリキュラムの構築や減災シンポジウムを通し、災害に対する問題提起を広く行ったり、センターが管理運営するSPring-8の機能を最大限に活用し、同センターとの包括的な研究協力をさらに拡充したりするなど、県立大学の魅力を創設・発信すべく、日々取り組まれています。
現場で奮闘されている職員や教職員の皆さんの真摯な取組にこそ、予算と人員を費やすことが必要であると考えます。
兵庫県の環境や特性を生かし、学生が「授業料を払ってでも県立大学で学びたい」と思えるような、より魅力的なカリキュラムづくりに奮闘する現場の取組と歩調を合わせ、それに見合う予算措置を行うことこそ、若者・Z世代応援パッケージの趣旨である「兵庫の若者が安心して希望する教育を受ける仕組みづくり」に合致しているのではないので しょうか。
義務教育段階においても、いじめや不登校の増加等の今日的な課題に早急に対応できる人員や予算の増額、心の不安を抱えた子どもたちをはじめ、一人ひとりの子どもたちにしっかりと寄り添いながら、きめ細かな支援ができる体制づくりが必要です。幼児教育段階も含めた、多岐にわたる教育課題の解決に向けた県と市町が連携した取組が求められています。ここにこそ今、予算と人員が必要です。様々な生活環境にある子どもたちの悲痛な叫びに対する政策を最優先で進めなければなりません。
従前から斎藤知事が掲げていた県独自の小学校1年生からの30人学級推進や、返済不要の県独自の奨学金創設はどこに消えてしまったのでしょうか。
また、知事は本会議をはじめ、様々な場面で「国の高等教育無償化の議論の先鞭となり、国の動きにつなげていきたい」と発言されていますが、高等教育無償化に対する国の動きにも不安があります。
兵庫県が掲げている国への予算要望
①国公立大学授業料等無償化を含む高等教育の費用負担軽減策
②既に奨学金を借りている若者に対する返済支援策の更なる充実を図ること
の2点がありますが、現段階で文部科学省が打ち出している内容は、令和7年度から、子どもが3人以上いる多子世帯への大学等の授業料等の無償化となっており、すべての大学生が対象となるまでは先が見えない状況と言えます。
大学や学校現場の課題、国に対する不安について申し述べてきましたが、現状の課題に対する予算や人員の措置が不十分な状況で、今回の基金創設に対しては優先順位の違いを感じます。我が会派はこれまでから行財政運営の透明性を高め、県民に分かりやすく説明し、共感と納得を得ながら改革を推進することを求めてきました。
県立大学無償化については、令和6年度から事業が開始され、既に無償化を期待する学生が県立大学に進学していることもあり、早急な事業の打ち切りは困難であると考えます。しかし、卒業生の県内就職率、県内定住率の動向や志願者数の変化、学生の学びに対するニーズ等の当該事業の適切な成果指標の設定や効果の検証を行い、県民に見える形での見直しができる体制を整えるべきだと考えます。
若者だけでなくすべての世代の県民の未来を応援し、困ったときに頼ることができる 仕組みをつくることこそ兵庫県政の役割ではないでしょうか。
よって、令和6年度関係 第228号議案 県立大学授業料等無償化基金条例には反対を表明するとともに、我が会派が提案する令和6年度補正予算の修正案、及び「兵庫県県政改革方針の変更」の修正案に賛成します。
なお、それ以外の議案に対しては、社会の激しい変化に対応すべく、新たな時代に向けた希望が垣間見える提案になっていると判断し、賛成することを表明します。
今回の修正案の趣旨を理解いただき、一部の限られた人が大きな恩恵を受ける仕組みではなく、光の当たらないところ、厳しい生活環境にある県民にこそ厚く支援をする兵庫県として本来担うべき役割につながる政策を構築し、真の意味での「誰一人取り残されない社会」づくりの実現につながる本修正案へのご賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。