平成27年度予算特別委員会質問要旨(産業労働部)
質 問 日:平成27年 3月 6日(金)
質 問 者:掛水 すみえ委員
1 観光のあり方について
今議会で上程されている「兵庫県地域創生条例」にも地域の人口減少をくい止め、地域活性化の切り札として観光行政があげられています。兵庫県は日本の縮図と言われ、南は瀬戸内海・北は日本海、山・川の自然環境が豊かですし、NHKの大河ドラマの影響もあり、姫路市はもとより神河町・神戸市兵庫区など全国区ですが、地域の人々が地域内で交流する、また近隣地域から来てもらうといったコンパクトな観光も考えたいと思います。
人生の4つの岐路で今まで住んでいた町から出ていくことがありますが、
UJIターンとして戻ってくる要因は、自分の身に沁みついている町意識ではないでしょうか?外国や他府県からの入込客数は気になりますが、553万人の県民が少しずつ県内を移動することを想像しました。
阪神南県民センター管内の西宮市では、もてなしの仕組みつくりを強化し、集客力の向上とまちの賑わいつくりを進めるため、2011年に西宮まちたび博プレみやを開催し、翌年から西宮まちたび博を本格実施しています。一過性ではなく、今年度は2014年10月から2015年3月までの6カ月市内全域で延べ160回のプログラムを実施しています。西宮市は南北に長く、市内在住者でも気にはなっているが体験したことがないものもたくさんあります。市民・事業者・大学との連携により案内ガイドや場所提供・バス・電車などの公共交通利用により、西宮市民6割、県内近隣市域から2.5割、たまに遠方から来られることもあるようです。西宮市は甲子園球場だけではありません。地域の大人が動くと、子ども達もガイドを買って出たりと、プログラムにないことのミュージカルやジャズなどの企画も地域で行われ好評でした。
阪神南県民センター管内で、尼崎市・芦屋市とかぶらない西宮市の地域財産を継承すること、地域のつながりを大切にすること、これは震災がもたらした功の部分です。一期一会を大切にという気持ちが強いです。
そこで、地域にとって持続可能性をもたらすものは、地域の個性ある観光行政と私は実感しましたが、当局のご所見をお伺いします。
【答 弁】
2 働き方改革について
日本には、342万人の女性の潜在労働者、即ち就業希望の女性がいると言われており、子育て期30代の労働力率低下によるいわゆるM字カーブがあります。国は、2020年の成果目標として、育児期25歳~44歳の女性就業率を73%としています。このM字カーブ解消により7兆程度の雇用者報酬総額を創出するとしており、これはGDP1.5%に相当します。その解消策として国が昨年6月に改訂した成長戦略では、女性の活躍促進や育児との両立支援に取り組む企業に対しインセンティブをあたえること。女性のライフステージに対応した活躍を支援すること。男女が共に仕事と子育て・介護等を両立できる環境整備など、男女共同参画の視点の強化策も含まれています。
一方、総務省労働力調査によると、非正規雇用が全体の38%の1989万人、そのうち女性が57%を占める結果です。そして、2014年11月の厚生労働省の過労死等の労災請求のあった事業所等4561事業所を調査したところ、そのうち2304事業所が違法な時間外労働であったことが判明し、労働基準関係法令違反は3811事業所と8割を超えます。兵庫県は日本の縮図といわれていますが、ほぼ同じような状況ではないかと危惧します。働くことが軽んじられ、労働力の使い捨て時代となっているのではないでしょうか。
兵庫県における労働政策は、阪神・淡路大震災後、企業で働き続けるためのワークシェアリングの取り組みや男女が共に生きる社会の実現に向けて、ワークライフバランスを企業内に広め、生きがい・働きがいのある働きを追及しておられることは理解しますが、ネックは男性の長時間労働の是正にあると思います。第1子出産後6割の女性が離職している現実があり、女性の再就業支援のワンストップ化や自宅でのテレワークなどが進められていますが、そこには男性の働き方の議論は出てきません。
県では、男女共同参画社会づくり条例に基づいて施策を推進していかれていると思いますが、女性が働き続けるには、男性の意識改革が重要です。共働き世帯が、1997年に逆転し、シングルマザー・若者・高齢者・障碍者が自立して生活していく上で働くことは大事な柱となるべきです。ややもすると、前例主義に陥り、数字の変化に目がいきますが、中味をどう担保するのか、そのための動きは本庁だけでなく、地域に精通している県民局・センターの商工労政部門の動きが大きな役割を担うものと考えますが、どれほどボトムアップできているのか?今後の雇用課題の取り組みについて、当局のご所見をお伺いします。
【答 弁】
3 中小企業の人材確保対策について
県内には、県内企業数の99.8%を占める中小企業が地域の雇用・経済を支えています。
中小企業白書によると、事業を引き継ぐ準備ができないとする経営者は、
60代で6割、70代で5割に上ります。また、休・廃業や解散した中小企業も年々増え続け2013年は、約29,000件と10年前から倍増しており、これらは債務超過などで倒産に至る前に自主的に会社を整理するため、隠れ倒産ともよばれています。このような状況において、銀行や信用金庫などが共同で出資や役員派遣を通じて地元の中小企業を支える企業再生ファンドが関西など全国各地に次々とできているとも聞いています。こうした制度を生かし、事業欲をもった人材を後継者難に直面する企業につなぎ活性化を促したいと思います。
しかしながら、兵庫労働局が4月に実施した調査によると、中小企業の4割近くが正社員不足と答えています。景気回復の波に乗れない中小企業の経営の厳しさを浮き彫りにしています。特に、製造業で人手不足が顕著です。起業を望む人が、この15年間で半減しています。60歳以上の起業家が増える一方、40歳未満は先細り傾向にあります。
一方で、中小企業の資金繰りの支援として、平成27年度当初予算案では、中小企業制度融資が26年度の実績見込みも踏まえ、融資枠を1,000億円減と見直しされていますが、背景には先ほど申し上げた事業継承や人手不足等の課題を抱える中小企業の厳しい現状があるのではないでしょうか。また、人員配置の問題として、中小企業における育児休業・介護休業代替要員確保支援制度について100件を目標としていますが、前年度の実績が67件であったことを考えると、人手不足に悩む中小企業においては、育児休業や介護休業による代替要員を確保することの難しさを感じています。
兵庫県には、オンリーワン技術やノウハウを蓄積し、また、障碍者雇用に熱心な企業など、キラッと光る企業がたくさんあるにも関わらず、人材が思うように確保できないのが残念です。
知事も「人口減少対策に絡み、やる気のある働き手が地域に根ざした仕事につける環境を作り」とのべられていますが、私も同じ気持ちです。今、中小企業に起こっている事象を地域も含めて的確に捉え、兵庫県の基盤となる中小企業における後継者育成も含めた人材確保対策の方向性について、当局のご所見をお伺いします。
【答 弁】