議会の動き

◆25年2月定例会 会派提案の意見書案

概要 / 代表・一般質問 / 議案に対する態度と考え方 / 意見書案 / 提案説明 / 討論

意見書  第61号

阪神・淡路大震災30年の取組を踏まえた大規模災害対策の更なる充実を求める意見書

 本年は阪神・淡路大震災から30年を迎え、被災地にとって節目の年となる。

 世界的規模における気候変動の影響等による風水害の頻発化、大規模化が進み、南海トラフ地震や首都直下地震などの国難レベルの大規模地震の切迫性が指摘されるなど、国を挙げた防災・減災対策の更なる充実強化が喫緊の重要課題となっている。

 また、情報通信技術の進歩と、それに伴う様々なサービスの拡大により、インターネット上には膨大な情報やデータが流通している。しかし、その中には、事実とは異なる偽情報や誤情報が流されることもあり、国として信頼性を確保し、適切な対処が必要である。特に、災害発生時における情報は、多くの人々の命に直結する重要なものであり、現場での救援活動の阻害や混乱を防ぐためにも偽・誤情報の拡散防止は重要な課題である。

 よって、国におかれては、これまでの大規模災害等における課題の検証をもとに、下記のことに取り組まれるよう強く求める。

1 今後予想される大規模災害に備え、被災自治体の財政的な負担が軽減できるよう、復旧・復興に係る事業スキームの見直しや基金を早急に創設し、被災者の救済と実効性のある早期の生活再建、事業再建の支援策を確立すること。

2 防災意識や知識の啓発、避難者の把握と管理、被災地の復旧・復興など、あらゆる災害対応の局面で正確な情報が確保できるよう、デジタル技術を活用した防災DXを強力に推進すること。

3 住宅や上下水道の耐震対策、廃棄物の処理や建物の公費解体などの迅速化、さらには、要配慮者の避難対策や災害関連死を防止するきめ細かな被災者支援の体制整備など、国難レベルの大規模災害に備えた防災・減災対策の強化を図ること。

4 避難所の生活環境の整備について、海外の先進事例等も参考に、専門的な技術を有するボランティアの組織化や災害発生時の効果的な初動体制を確立すること。また、トイレカー、キッチンカーなどの設備や資機材の確保等、国の主導のもとで生活環境の整った避難所の運営体制の整備に取り組むこと。

5 災害時の偽・誤情報の拡散防止に向けた対応・対策の強化推進を図ること。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

令和7年3月26日

兵庫県議会議長       浜田 知昭

衆議院議長         額賀 福志郎 様
参議院議長         関口 昌一  様
内閣総理大臣        石破 茂   様
内閣官房長官        林  芳正  様
総務大臣          村上 誠一郎 様
財務大臣          加藤 勝信  様
内閣府特命担当大臣(防災)  坂井 学   様
防災庁設置準備担当大臣   赤澤 亮正  様

意見書  第62号

旧姓の通称使用の法制化・選択的夫婦別姓制度の議論の活性化を求める意見書

 現行の民法では、婚姻時に夫婦のいずれか一方が姓を改めることと規定しているものの、旧姓の通称使用の法制化及び選択的夫婦別姓の問題は、時代や社会の変化に伴い日本社会において大きな話題となっている。

 政府は旧姓の通称使用の拡大の取組を進めているが、一部の国家資格や免許等では旧姓の使用が認められていない。また、通称使用では、自己同一性を喪失する苦痛は解消されず、根本的な解決策にはならないほか、ダブルネームを使い分ける負担、本人や企業等の経済的なコスト、個人識別の誤りのリスクやコストを増大させる等の問題が指摘されている。

 さらに、一人っ子同士の結婚や子連れ再婚、高齢での結婚などを検討する人にとっては、特に改姓への抵抗感が強く、中には結婚を諦めてしまう人もいるため、ますます非婚や少子化につながる要因にもなっている。

 また、国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に対して複数回にわたり、選択的夫婦別姓の導入を勧告し、条約の履行状況についての対面審査をはじめ、その後もこの勧告を遅滞なく実施するよう繰り返し強く求めている。

 日本経済団体連合会からも、「旧姓を職場で通称として使用する日本独自の制度による弊害が顕在化しており、企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る事象であるとして、企業経営の視点からも無視できない重大な課題である」として、選択的夫婦別姓制度の早期導入を政府に提言している。

 一方で、国民の世論調査においては、同姓、もしくは同姓を維持した上で旧姓の通称使用法制化を求める意見もあるなど、国民の間にも様々な意見が存在しており、子の姓をいつ決めるのかという問題も含め、婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題であり、国民の理解のもと、多様な家族の在り方を認める社会制度の実現に向けた議論が必要である。

 多様性が尊重される社会、男女共同参画社会の実現、基本的人権の尊重、世論の動向や最高裁の判断趣旨も踏まえた、旧姓の通称使用の法制化及び選択的夫婦別姓制度の積極的な議論を行うことを求める。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

令和7年3月26日

兵庫県議会議長 浜田 知昭

衆議院議長             額賀 福志郎  様
参議院議長             関口 昌一   様
内閣総理大臣            石破 茂    様
内閣官房長官            林  芳正   様
総務大臣              村上 誠一郎  様
法務大臣              鈴木 馨祐   様
内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 三原 じゅん子 様