議会の動き

上野 英一議員が質問(決算審査・健康福祉部)を実施

決算特別委員会 [ 10月11日(木)健康福祉部・上野議員 ]

1 地域医療圏域におけるバランス(医療資源の確保と提供)について

(県立病院と自治体病院、民間病院の配置及び財政負担について)
 県の保健医療計画では 「第2章 計画の性格・位置付け」で、「この計画は、都道府県が策定する医療計画であると同時に、地域保健対策の方向を示す基本的な計画である。また、県民、市町、保健・医療機関、関係団体等の参画と協働のもと、それぞれが取り組むべき保健・医療分野の基本的指針としての性格を併せ持つ。」とされ、「第4章 いのちを守る安心の医療提供体制の充実」では、「すべての県民が、いつでもどこでも安心して適切な医療が受けられるように、医療提供体制の充実に努める。」とされています。
しかし、実態として圏域によっては「すべての県民が、いつでもどこでも安心して・・・」とはなっていないように思われます。先月の27日に西播磨市町長会から西播磨選出議員に対する要望会があり、相生市からは「周産期医療・小児救急医療体制の確立について」の要望がありました。また、公立神崎総合病院でも産科医は1人、小児科医についても神河町独自の努力によって今年の4月から常勤医1人、非常勤2人となっていますが、決して十分とは言えません。
 医療資源は、独立行政法人化もありますが国立、県立、大学付属、赤十字病院や労災病院、公立・自治体病院、民間医療法人等々がありますが、多くは阪神から姫路にかけての海岸線沿いにあり、それ以外の地域では医療資源が限られており、公立・自治体病院が多くを担っております。しかし、西播磨や但馬地域、中播磨の神崎郡では決して十分とは言えません。また、小さな市町での病院経営は大きな住民負担ともなっています。21市町・組合立病院で一般会計からの繰入金額は、200億94百万円、私の出身町の神崎総合病院では5億1千万円繰入れています。ちなみに人口は13,000人です。
そこで、すべての県民が、いつでもどこでも安心して適切な医療が受けられようにするためにはどうあるべきかについてお尋ねいたします。

2 自殺の現状認識とその対策・事業執行について

 2011年人口動態調査によると死亡者総数から引き出される死因は、1位・悪性新生物、2位・心疾患、3位・肺炎でありますが、五歳階級ごとに死因順位を見ると男性は20~44歳の5つの階級で、死因の第1位は自殺であります。女性もまた、20~34歳の3つの階級での死因の第1位は自殺でありあります。この社会の中心的位置にある活動期、働き盛りの世代の死因第1位が自殺であります。このことから、雇用・労働環境による経済的問題が大きいと私は考えています。
兵庫県における自殺対策の基本的認識を確認すると、
(1)自殺は個人の自由な意思や選択の結果ではなく追い込まれた死であり防ぐことができる。多くの自殺は、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、経済・生活問題、健康問題、家庭問題など様々な要因とその人の性格傾向等が複雑に関係して発生しています。また、自殺を図る直前には、うつ病、アルコール依存症等の精神疾患を発症し、正常な判断を行うことができない状態となっている場合が多いことが明らかになってきています。よって、社会的要因については、社会の適切な介入により、また、うつ病等の精神疾患に対しては早期発見と適切な治療により、多くの自殺は防ぐことができます。
(2)自殺を考えている人は自殺の危険を示すサインを発している。死にたいと考えている人も、心の中では「生きたい」という気持ちとの間で激しく揺れ動いており、不眠、原因不明の体調不良など自殺の危険を示すサインを発しています。自殺を図った人の家族や職場の同僚など身近な人は、自殺のサインに気づいていることも多く、このような県民一人ひとりの気づきを自殺予防につなげていくことが重要と言えます。 
となっていますが、決算額を見れば、健康福祉事務所相談体制充実、自殺未遂者支援事業、高齢者対策の介護従事者や婦人会団体への研修の実施、市町による自殺予防対策事業への助成定期健康診断を活用したメンタルヘルスケア事業 等々で不用額が出ています。    
そこで、先ほどの県の自殺対策の基本認識の重要な部分、相談体制、気づき、市町窓口で各手続きからの気づき、自殺未遂者の支援、メンタルケアだと考えますが、十分な事業執行となっているのかお伺いします。

3 少子化に対する現状認識の確認とその取り組みについて

 知事は新ひょうご子ども未来プランの中で、「少子化問題をすぐに解決する切り札はありません。」とし、「今後5年間(平成23~27年)の出生数24万人を目標とし、「子どもを産み育てる」などの6つの柱に、少子対策・子育て支援を総合的に推進します。目標の実現には、県民、事業者、団体、行政等が互いに連携しながら、それぞれの役割を担っていくことが欠かせません。」と述べられています。そして多種・多彩な少子対策が、健康福祉部をはじめ、産業労働部、企画県民部など各部局に亘った総合政策となっています。
 2011年政府は「子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査」を行っていますが、回答によれば「目指すべき社会の姿」の内、「意欲を持って就業と自立に向かうことができる社会」に対して「そう思わない」と「あまりそう思わない」の計57.1%、同じく「誰もが希望する幼児教育と保育サービスを受けられるような社会」が計55.6%、「仕事と家庭が両立できる職場環境の実現が可能な社会」が計51.0%と評価が低くなっています。
 「将来子どもを持つと考えたとき、または自分の子どもが子どもを持つと考えた時にどんな不安があるか」との質問に対しては、「経済的負担の増加」が71.7%と最も多く、次いで「仕事と生活・育児の両立」が41.7%、「不安定な雇用、就業関係」が43.7%、「保育所などの保育サービスの不足」が、37.4%、「出産年齢、子どもを持つ年齢」が32.0%となっています。
 子ども・子育てビジョンの取組に関して1番目から5番目に不十分だと考える項目では、「若者の自立した生活と就労に向けた支援」が上位5つの合計で37.6%、次いで「長時間労働の抑制、テレワークの活用等、働き方の見直しに向けた環境整備を図る取組」が32.8%、「育児休業制度・その他両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る取組」が29.9%、「児童虐待を防止するとともに、社会的養護を充実する取組」が28.8%、「待機児童の解消や幼児教育と保育の質の向上等を図る取組」が26.0%となっています。
 この調査から本質的には、雇用・就労・労働環境改善が如何に求められているかだと思いますが、この部分は経済、企業活動による部分が大きくなかなか達成が困難と思います。また、同時に結婚・出産・育児について多くの不安を持っていることがわかりますが、こここそ行政・健康福祉部にかかっている部分だと思います。
そこで、新ひょうご子ども未来プランの2年目として、少子化の現状をどのように認識し、取り組まれたのか、その状況と成果についてお伺いします。

4 動物愛護に向けた適切な取り組みについて

この春の予算委員会で藤井議員が質問、私も総括質疑を行いましたが、その質疑の記録を見られた県内の方から問い合わせがあり、色々のご指摘を受けました。その内容については県当局にもお伝えし即座に対応もいただきましたが、まだまだ実効ある成果を上げるには課題も山積しているようにも思います。
 先日会派では、「ペットの殺処分ゼロ」を実現しているドイツの保護政策の視察を行っています。その報告を紹介しますと、『ドイツでは、捨てられた犬猫、飼い主が飼えなくなった動物を絶対に殺さず、殺処分場はひとつもありません。その代わりに里親捜しのための「動物の家」というシェルターが500以上存在しています。シェルターの運営は、民間の動物保護団体が行い、「動物の家」は全て民間のものであるとともに、会員の会費、遺産贈与、寄付で予算は賄っており、職員・獣医とともに多くのボランティアの活動で維持されています。視察したミュンヘンのシェルターの一つである「動物孤児院」は、会員 2万人(ミュンヘン市の人口30万人)を擁し、年間会費として大人31ユーロ、65歳以上・子ども青年は10ユーロを徴収しています。また施設の運営予算は、年間500万ユーロ(約5億円)であり、施設職員65名(内獣医5名)で運営され、年間約8500匹の動物が持ち込まれるという報告を受けました。
施設の活動内容は、兵庫県動物愛護センター等で行っている飼い主捜しや新たな引き取り手の募集のためのイベント開催、犬の躾等々活動内容はほぼ同様ですが、その規模と市民全体を巻き込んだ自主的な活動・運営全般において、大きな差異があり、今後の兵庫県の動物愛護施策において、ボランティア等を巻き込んだ官民一体となった取り組みの構築を図らねばならないと強く感じました。』となっています。
県おいては、行革プランの執行の中であるだけに、市民やNPOとの協同と参画の視点で適切な取り組みができないものかと考えるところです。
そこで、平成23年度までの取組として、市民・NPOとの連携がどのようになされていたのかお尋ねいたします。