議会の動き

山本千恵議員が質問(予算審査・産業労働部)を実施

第312回2月定例会 予算特別委員会質問(産業労働部)
2012年3月7日(水)

部局審査では、一貫して県民力、人的多様性という横串をさして質問を行う。
21世紀兵庫長期ビジョンでも示されているとおり、多様な人々が活躍出来る兵庫県を目指して誰もが活躍出来る環境づくりを目指して、先進的な取り組みを進めてきた

平成18年3月に県と連合兵庫、兵庫県経営者協会の3者は「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」を締結し、平成21年6月には、ワークライフバランスの取り組みを全県的に推進する拠点として「ひょうご仕事と生活センター」を設置してきた

全国でも、より良い環境を作るために、労使が共に手を取ってガンバル!という事は、数少ない事例である。

人口減少、少子高齢化社会にあっては、様々な背景を持つ人が、暮らしやすく、活躍出来る地域づくりは、「こうなればいいな」という期待値ではなく、地域の将来を左右するくらいの重要なテーマであることを踏まえ、大きく2点4項目について質問する。

1 障害者の就労支援について

(1) 障害者雇用促進法の改正に応じた現状把握について

平成22年度時点において、手帳を所有している障害者数を見てみると、兵庫県全体の身体障害者、知的障害者、精神障害者の合計人数は30万2,156人である。
かろうじて、本県の平成22年度の法定雇用率は1.8%を超えているが、民間事業所で実際に就労出来ている障害者は、推計で僅か7%程度に過ぎない。

平成20年に障害者雇用促進法が改正され、平成22年7月から、段階的に障害者雇用納付金制度の対象事業主が拡大され、障害者雇用促進が加速されている。

雇用主側から見れば、障害者雇用納付金は、障害者が1人不足するごとに1ヶ月に月5万円、制度適用の日から5年間は減額特例があるとはいえ、負担になることもある。

平成27年4月からは、常用雇用労働者100人を超える事業主が、この制度の対象事業主となるが、兵庫県内において、新たに対象事業主になる事業所数がどの程度あると想定できるか、把握しているか伺う。

(2) 法施行に向けた本県対応のあり方について

障害者雇用納付金制度は、障害者雇用促進の強力な後押しになる一方で、中堅企業の財政圧迫や、受け入れ態勢不十分なままの障害者雇用など粗雑な雇用を生みかねない。

今の話でいえば、約900社が新たに制度の対象となるわけだが、障害者雇用によって組織そのものの活性化につながるような定着につなげるためには、いざ制度が近づいてからでは遅く、事業者側にしてみれば、本格的な障害者雇用に至るまでに助走期間が必要である。

平成24年度予算(案)では、障害者の職域拡大を初め、法定雇用率達成に向けた取り組み強化に4,017万5,000円の予算が付けられているが、法の段階的施行に向けて、着実に準備を進める必要があるが、兵庫県としてどのように取り組んでいこうとされるのか伺う。

2 医療通訳について

(1) 医療通訳の必要性に関する現状認識について

人口減少は、何も日本や兵庫県だけの問題ではない。
産業労働部では、地域産業の国際化にも重点を置いているが、海外から兵庫県へ、兵庫県から海外へという国境を越えた地域間の人口移動が簡単にできる時代でもあり、安心して訪れることが出来る、住むことが出来る地域かどうか見られているという危機感を持っていただきたい。兵庫県には、県立粒子線医療センター、神戸国際先端医療特区に見られるように、高度な医療施設が集積しており、今議会で、メディカルツーリズムの質疑があったように、世界からの注目も集まっている。

一方で、メディカルツーリズムには医師会などは慎重姿勢を取っているわけだが、その理由としては、地域医療が未だ抱える課題への影響を上げることが出来る。

県内の外国人登録者数は、141カ国、9万9767人で、県の人口に占める外国人の割合は、1.8%で、100人いれば2人ほどは外国人県民といえる。
全国的な傾向として、平成19年頃からオールドカマーとニューカマーの割合の逆転している。

外国人県民も納税の義務を果たしている訳だが、制度の壁、心の壁、言葉の壁によって、当然のサービスが受けにくい状況も多々あり、とりわけ、医療通訳に関しては、全国的に見てもシステム構築事例が少なく、取り組みが遅れていると言わざるを得ない状況にある。
体調が悪くても、言葉の壁で、診察や治療が受けにくい状況は、命にかかわることだけに、「後回し」にはできない。

兵庫県では、外国語のスタッフがいるなどの理由で、外国語が使える病院のリストを作成するなどの対応が取られており、また、ボランタリープラザの助成金を活用して、平成15~17年にかけてNPOと県国際交流協会の協働による医療通訳の研究が行われ、現在は27万円強の予算で、年1回のセミナーが行われている。

しかしながら、この金額では、外国人県民が医療機関に安心して係ることが出来る環境がいつまでもできないが、医療通訳の必要性をどのように認識しておられるか伺う。

(2) 医療通訳システム導入に向けた課題と今後について

総務省が2006年に発表した「地域における多文化共生推進プラン」の中でも、病院や薬などの多言語情報、多言語問診票、通訳派遣システムなどの必要性が示されている。

地方自治体の役割としては、広域的な医療通訳者派遣システムの構築や医療通訳を必要とする外国人県民へのマッチング、人材育成などがあげられる。
神奈川県では、32の協力医療機関と行政、NPOの協働による通訳派遣システムが構築されており、事業規模は、システムのラーニングコストで950万円程度と聞いているし、神戸市では、医療通訳のモデル事業を神戸市立病院でスタートさせることになった。

神奈川県の取り組みは、医療機関からも「医療通訳があって助かっている」という声が出ている。多文化共生の取り組みにおいて、東の神奈川、西の兵庫といわれた先進県である兵庫県が、あと一歩踏み込めない理由はどこにあると考えておられるか伺う。