決算特別委員会
理 事 迎山 志保 議員(加古川市)
委員外議員 栗山 雅史 議員(西宮市)
前田 ともき 議員(神戸市東灘区)
中田 英一 議員(三田市)
迎山 志保 議員
財政状況 | 福祉部 | 産業労働部・労働委員会 | 教育委員会 | 総括審査
栗山 雅史 議員
総務部・財務部・危機管理部 | 企画部・県民生活部・部外局
中田 英一 議員
まちづくり部
前田 ともき 議員
病院局 | 企業庁
<迎山 志保 議員>
●財政状況
1 2021年度決算収支について
(1)過去最大約218億円の黒字収支について
(2)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金活用事業等の国庫
返納金について
(3)黒字分の財政基金への積立について
2 2000年度(平成12年度)から20年以上継続する管理職手当減額措置の終了時期について
3 将来負担比率の全国ワーストからの脱却について
全文
令和3年度決算特別委員会 【財政状況】
質問日:令和4年10月5日(水)
質問者:迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)
1 2021年度決算収支について
(1)過去最大約218億円の黒字収支について
2021年度決算の実質収支は217億8100万円の黒字となり、実質単年度収支もほぼ同額の217億7200万円の黒字である。私が県会議員になったのが2011年。
その2011年度以降の10年間の決算をみると、実質単年度収支は黒字が9年で赤字が1年。黒字の9年の中では2017年度決算の4億6600万円が最高で黒字が5億円を超える年はなく、過去10年間の実質単年度収支の合計額は約28億円である。2021年度単年度の218億円という黒字の数字がどれほど大きな額かということである。
ここまで大きな金額の黒字を単年度で出すことについて、会派の重要政策提言の際に、決算の方法について知事が出された指示や方針について会派から尋ねた。齋藤知事からは「特段なんかこう操作するとか指示はしていません」というものだった。
財政当局とすればこれまでと桁違いの大きな黒字決算となることをただ平然と数字をそのまま出すかというと、いくらボトムアップ、部局マネージメントとはいえ少し考えにくい。予算執行の段階から、地方交付税の減額精算や国庫返納金など、後年度に精算が必要な金額を基金に積むことで、精算後の34億円という姿の黒字を出すことも可能だったとは思うが、あえて218億円というありのままの数字を出された。財政当局として思案もあったと思うが、知事のありのままで、という判断の結果かと推測する。少なくとも私はそう受け止めたがこの認識でよいか。
(2) 新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金活用事業等の国庫返納金について
約218億円の単年度の実質収支の黒字だが、普通交付税の減額精算や新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金活用事業等の実績減に対する国庫返納金など、後年度に184億円の精算が生じる見込ということで、実際は184億円を減額して34億円が真の黒字という説明である。また減額分のほとんどが新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等の国庫返納金ということだがどのくらいの金額を見込んでいるのか。
(3)黒字分の財政基金への積立について
過去に例のない218億円という実質収支の黒字が出たことについて、それをどう活用するかという点でもう少し詳しく伺う。地方財政法では決算で生じた剰余金の処理の方法について規定がある。「地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、当該剰余金のうち二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌翌年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない」となっている。
つまり218億円の2分の1、109億円については基金に積み立てるか、地方債の繰り上げ償還に充てなければならないということになる。
先に決算についてふれた重要政策提言での知事の発言を紹介したが、知事は「黒字が一定出た時には財政基金に積み立てるということも(考えている)。県債管理基金の不足を埋めるのも大事なんですけど、やっぱり貯金できるときには、貯金していくということも私は大事かなと思います」という話をされていた。
これを素直にきくと、剰余金、黒字を「県債管理基金」に積んで、地方債を繰り上げ償還するというより、「財政基金」に積んで、今後の行政需要に備える方針であると言うふうに聞こえたが、財政当局としてどう受け止めているか。
2.2000年度(平成12年度)から20年以上継続する管理職手当減額措置の終了時期について
2021年度の決算を踏まえ、純然たる34億円の黒字額、その半分については、県債管理基金か財政(調整)基金かいづれかの基金に積み立てられるということになるが、財政(調整)基金の積立ても検討しているなら、20年以上継続する管理職手当減額措置の終了についてもそろそろ検討すべきものではないのかという観点で質問したい。
管理職手当における給与抑制措置について、昨年度の県人事委員会報告では、
「本(2021)年度は、本県の財政状況や他の地方公共団体の状況等を踏まえ、管理職手当の減額措置が減額率を10%から12%に引き上げた上で行われている。これは、県議会の議決を経て制定された「行財政の運営に関する条例」及び「兵庫県行財政運営方針」に基づくものであるが、本委員会の勧告に基づく給与改定とは別の観点から実施されており、あくまで期間を限定した緊急的・臨時的なものであることが求められる」と明記されている。
管理職手当の削減は今に始まったものではなく2000年度から現在まで22年もの長期間継続されている。こうした減額措置の継続は、慢性的なものであって、緊急的、臨時的なものではない。管理職の成り手不足やモチベーションの維持の点からも少なくとも減額措置期間の明示や減額措置の終了に関する目安などを出すべきではないか。
3.将来負担比率の全国ワーストからの脱却について
最後に前年度2021年度決算に基づく全国の財政指標、特に兵庫県が指標導入以来全国ワーストを続けている将来負担比率について伺う。本県では本格的な行革措置を新たな地方財政健全化法の施行による財政指標の導入がなされた2007年度から15年間も実施してきた。財政悪化の原因とされる阪神淡路大震災からは27年が経過する。そんな中で財政指標は改善されているのか。
2020年度の47都道府県の決算における将来負担比率のワースト3は①兵庫県337.3%、②北海道325.6%、③新潟県324.1%であった。2021年度決算において兵庫県は22.2ポイント改善し315.1%となった。2020年度決算の北海道の数値よりよくなっている。2021年度決算で兵庫県のワースト脱却があるのか。また今後ワーストを脱却する見通しがあるのかについて伺う。
迎山 志保
加古川市
●福祉部
1 こども家庭センターについて
(1)職員の充足状況について
(2)適切な一時保護について
(3)意見表明支援事業について
全文
令和3年度決算特別委員会 【福祉部】
質問日:令和4年10月7日(金)
質問者:迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)
1 こども家庭センターについて
(1)職員の充足状況について
昨年4月1日、阪神、北播磨地域に、それぞれ尼崎こども家庭センター、加東こども家庭センターが開設し、県下で7施設を運営されている。また24年度には川西市に一時保護所が完成予定である。複数分散化は県民の福祉向上に資することで評価する一方、職員確保は容易ではない。児童福祉司の配置基準もより厳しくなる中、専門職員の確保は大きな課題で、県では採用時の年齢制限要件緩和や業務手当の増額など積極的な求人活動を実施してきた。また、中央こども家庭センターにおいては、絶対的に不足していた一時保護定員を20年2月に40人から54人に引き上げたものの、スタッフ不足で長らく増枠分の利用が制限されたと聞く。そこで、センターにおける児童福祉司の確保状況や、中央こども家庭センター一時保護所におけるスタッフの求人活動の成果や確保状況について伺う。
(2)適切な一時保護について
一昨年度の一時保護所のあり方検討部会における報告では、75%以上の個室化、ユニットバス導入、学習のオンライン化などが提言された。24年度に完成予定の川西では、その方針に則った設計、仕様で進められている。一方、現在県内唯一の拠点である中央こども家庭センターにおいては前述の通り内部改修をして定員を増やしたものの、その環境は決して適切なものとは言えず、以前から懸案事項となっている建替・移転は差し迫った課題と考える。現状7センターを受け持っているが優先順位の付け方も難しいだろう。川西が開設した際には設備が異なる2つの施設でどう運用していくのかも懸念され、地理的に振り分けると、ケースに応じてよりよい監護を受けられないことも想定される。24年には一時保護所運営基準を条例で定める必要もあり、県として適切に対応することが重要である。そこで、あり方検討部会の提言も含め、どのような対応をとっていこうとされているのか伺う。
(3)意見表明支援事業について
子どもの権利擁護の推進を目的に昨年10月1日から実施されている意見表明支援事業。子どもの利益を最優先に、希望すれば意見表明支援員として弁護士が派遣される事業であるが、事業開始以降の取り組み状況と見えてきた課題があれば伺う。
●産業労働部・労働委員会
1 ワーク・ライフ・バランス施策について
(1)中小企業育児・介護関連助成金について
(2)コロナ禍を踏まえた環境整備支援について
(3)若年層に選ばれる企業への転換に向けた支援について
全文
令和3年度決算特別委員会 【教育委員会】
質問日:令和4年10月14日(金)
質問者:迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)
1 特別支援学校の環境整備について
特別支援学校に通う児童生徒が増加の一途を辿っている。国の報告では7,100を超える教室が応急的に運用されており、3,740の教室が不足しているとのことで、その数は2019年の前回調査から578教室増えている。特別支援教育のきめ細かで専門的な対応は年々ニーズが高まっており、地元管内でも来年度の入学希望者は卒業生を上回る見込みと聞いている。体制強化は喫緊の課題。老朽化と狭隘化が深刻な地元の特別支援学校に先日も訪問したが、階段下や廊下を物置にしたり、保健室や家庭科室などの教室を転用して何とか教室数を維持している現状、来春に向けて次は音楽室を潰すしかない、といった声を聞くにつれ、各学校現場のやりくりでは限界で、適切な学習環境の確保は待ったなしだと痛感した。
この度、全国的なこの状況を受け、初めて必要な校舎や運動場の面積などを定める『特別支援学校設置基準』が昨年9月に国において公布され、また、県においても今年2月に県立特別支援学校における教育環境整備方針が策定され計画的に整備を進めていかれると承知している。既存施設については、当分の間はこの基準によらないことができるとされているが、現在、県内でこの国が示した基準をあてはめた場合、この基準に満たない学校は何校あるのか。また、これまでもその必要性を認めてこられた播磨東管内の環境整備に向けた取組の現況についても伺う。
2 新たな時代に対応した定時制通信制教育について
勤労青年への学習機会の確保という制度化当初の定時制通信制教育の役割は大きく変化しており、現在通学している生徒の入学動機、経緯は多様化している。県では定通教育の重要性に鑑み、県立高校教育改革第三次実施計画においても、将来的には多部制への移行も含めつつ基本的には維持していく方針と聞いている。
(1)定時制高校について
前述のように定時制で学ぶ生徒には不登校や中途退学経験者、障害のある生徒など様々な背景を持つ生徒が在籍している。そのような生徒を教育指導していくには経験豊かな教員が求められるが、実際は慢性的な成り手不足の状況、若手教員や非常勤講師の比率が高く、主幹教諭の配置も難しいという状況の中で、細やかな対応が大変難しい状況にあると聞いている。
定時制での経験、知見は教員としての総合力を培うものとしてモチベーション高く指導にあたって頂きたいし、県教委としても相当の評価をして頂きたい。また、今後ICTを活用し学習を個別最適化していく方針を打ち出されているが、様々な事情でタブレット購入が難しい状況を勘案し、ぜひ各自のスマホ利用が可能となる環境整備も必要と考える。人材の充実と学習環境整備について伺う。
(2)通信制高校について
県では現在通信制のみの青雲高校と全日制課程を併置している網干高校の2校を開設している。また、県内には私立の広域通信制高校やサテライト施設なども年々増加しており、サポート校やカウンセリングを強化するなど生徒の多様なニーズに応える一方、これまで教員配置基準がなかったり監査体制が不十分なこともあって杜撰な運営がなされていた事例もあった。県立通信制高校では協力校を指定し、スクーリングや学校行事の充実などをはかっておられるが、多様な学びの場が提供される中、現状の公立の通信制高校として今後その役割をどのように捉えておられるのか。
3 通知表の評価について
中学校学習指導要領の改訂にともない評価の観点が従来の4観点から、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に変更された。それぞれの観点は学習目標に対してABCの3段階で評価がなされ、その観点別評価をもとに5段階の評定がなされる。この5段階の評定は高校入試の調査書に直結するもので、公正公平が求められるが、現状、同学区内の別自治体においてその評定のつけ方にばらつきがある。例えば、ある自治体ではAABは評定5、別の自治体は評価4といった具合である。学習評定の公平性というのは当然担保されるべきで、結果的に各学校の状況や先生の評価によって全くの公平ということはあり得ないとしても、せめて前提は学区内で統一するべきではないかと考えるが所見を伺う。
●教育委員会
1 特別支援学校の環境整備について
2 新たな時代に対応した定時制通信制教育について
(1)定時制高校について
(2)通信制高校について
3 通知表の評価について
全文
令和3年度決算特別委員会 【教育委員会】
質問日:令和4年10月14日(金)
質問者:迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)
1 特別支援学校の環境整備について
特別支援学校に通う児童生徒が増加の一途を辿っている。国の報告では7,100を超える教室が応急的に運用されており、3,740の教室が不足しているとのことで、その数は2019年の前回調査から578教室増えている。特別支援教育のきめ細かで専門的な対応は年々ニーズが高まっており、地元管内でも来年度の入学希望者は卒業生を上回る見込みと聞いている。体制強化は喫緊の課題。老朽化と狭隘化が深刻な地元の特別支援学校に先日も訪問したが、階段下や廊下を物置にしたり、保健室や家庭科室などの教室を転用して何とか教室数を維持している現状、来春に向けて次は音楽室を潰すしかない、といった声を聞くにつれ、各学校現場のやりくりでは限界で、適切な学習環境の確保は待ったなしだと痛感した。
この度、全国的なこの状況を受け、初めて必要な校舎や運動場の面積などを定める『特別支援学校設置基準』が昨年9月に国において公布され、また、県においても今年2月に県立特別支援学校における教育環境整備方針が策定され計画的に整備を進めていかれると承知している。既存施設については、当分の間はこの基準によらないことができるとされているが、現在、県内でこの国が示した基準をあてはめた場合、この基準に満たない学校は何校あるのか。また、これまでもその必要性を認めてこられた播磨東管内の環境整備に向けた取組の現況についても伺う。
2 新たな時代に対応した定時制通信制教育について
勤労青年への学習機会の確保という制度化当初の定時制通信制教育の役割は大きく変化しており、現在通学している生徒の入学動機、経緯は多様化している。県では定通教育の重要性に鑑み、県立高校教育改革第三次実施計画においても、将来的には多部制への移行も含めつつ基本的には維持していく方針と聞いている。
(1)定時制高校について
前述のように定時制で学ぶ生徒には不登校や中途退学経験者、障害のある生徒など様々な背景を持つ生徒が在籍している。そのような生徒を教育指導していくには経験豊かな教員が求められるが、実際は慢性的な成り手不足の状況、若手教員や非常勤講師の比率が高く、主幹教諭の配置も難しいという状況の中で、細やかな対応が大変難しい状況にあると聞いている。
定時制での経験、知見は教員としての総合力を培うものとしてモチベーション高く指導にあたって頂きたいし、県教委としても相当の評価をして頂きたい。また、今後ICTを活用し学習を個別最適化していく方針を打ち出されているが、様々な事情でタブレット購入が難しい状況を勘案し、ぜひ各自のスマホ利用が可能となる環境整備も必要と考える。人材の充実と学習環境整備について伺う。
(2)通信制高校について
県では現在通信制のみの青雲高校と全日制課程を併置している網干高校の2校を開設している。また、県内には私立の広域通信制高校やサテライト施設なども年々増加しており、サポート校やカウンセリングを強化するなど生徒の多様なニーズに応える一方、これまで教員配置基準がなかったり監査体制が不十分なこともあって杜撰な運営がなされていた事例もあった。県立通信制高校では協力校を指定し、スクーリングや学校行事の充実などをはかっておられるが、多様な学びの場が提供される中、現状の公立の通信制高校として今後その役割をどのように捉えておられるのか。
3 通知表の評価について
中学校学習指導要領の改訂にともない評価の観点が従来の4観点から、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点に変更された。それぞれの観点は学習目標に対してABCの3段階で評価がなされ、その観点別評価をもとに5段階の評定がなされる。この5段階の評定は高校入試の調査書に直結するもので、公正公平が求められるが、現状、同学区内の別自治体においてその評定のつけ方にばらつきがある。例えば、ある自治体ではAABは評定5、別の自治体は評価4といった具合である。学習評定の公平性というのは当然担保されるべきで、結果的に各学校の状況や先生の評価によって全くの公平ということはあり得ないとしても、せめて前提は学区内で統一するべきではないかと考えるが所見を伺う。
●総括審査
1 県財政改善に向けた「将来負担比率」相対目標の設定について
2 医療提供体制の確保と次なる波への対応について
3 兵庫県を支える職員の確保について
4 女性活躍の推進について
5 子どもと家庭を支援する取組について
6 価値観と行動変化を捉えた産業雇用対策について
7 共生社会の実現に向けた教育の推進について
8 水難事故等防止条例改正の効果について
全文
令和3年度決算特別委員会 【総括】
質問日:令和4年10月19日(水)
質問者:迎山 志保 委員(ひょうご県民連合)
1 県財政改善に向けた「将来負担比率」相対目標の設定について
財政状況の審査の中で2021年度決算の実質収支が218億円の黒字となったことについて質問した。答弁では記録の残る中で実質収支が100億円を超えるのもはじめてで一見桁違いの規模に見えるがコロナ禍での特殊事情が大きく反映されたものである、との確認をさせていただいたところであるが、つい先日、財務大臣の諮問機関である国の財政制度等審議会が、新型コロナウイルスへの対応として地方自治体に交付した臨時交付金が使われずに自治体の基金に回っている、として今後の規模縮小を求めた報道があった。確かに、兵庫県だけではなく、他の都道府県も昨年度決算で基金残高をはじめ財政状況が急回復している。例えば東京都では21億円(2021年6月)まで枯渇した財政基金残高が2021年度決算時点では7,272億円まで回復している。兵庫県でも昨年度、県債管理基金の積立不足解消に向けた残高回復分として340億円を積み立てた。が、こうした資金が国の交付金によるものではないかという財政審議会の指摘でこれから国が検証していくかもしれない。
また、先日の財政状況の審査時、決算剰余金の取り扱いについても質問したが、年間収支をみながら基金に積み立てるか収支対策に活用するかを予算編成の過程で判断されるという答弁であった。知事の財政基金100億円という公約実現も見据えたご判断がなされるかと思う。が、後年度精算等を除いた実質収支全額でも34億円。兵庫県の財政基金が33億円、人口が兵庫県の2.6倍の東京都が7,272億円という規模からするとインパクトは限定的。
そこで、知事の新たな挑戦を実現し県民のニーズに応えるために基金の積み立ても必要であるが、県債管理基金と財政基金をトータルで考え、真正面から財政健全化を目指すという意味で財政指標「将来負担比率」の全国ワーストからの脱却を目指すのはどうか。財政悪化の主要因が阪神淡路大震災とはいえ、発災から27年を経過した今も財政指標が制度開始以来ワーストを続けているのを知事はどう考えるか。
今回の決算で兵庫県の将来負担比率は22.2ポイント改善されて315.1となった。ワースト2の北海道もワースト3の新潟県もコロナ交付金の影響か昨年度より数値がかなり改善し兵庫県のワーストは変わらなかった。知事は就任後に策定した「県政改革方針」で2028度までの目標として、将来負担比率を305%程度としているが、今後も毎年度の収支均衡は必達目標なのでこの目標は達成圏内と考える。そこで絶対数値目標よりも、都道府県間の相対順位で中程を目指すなど県民に分かりやすい相対評価を目標数値として併用してはどうかと思うが所見を伺う。
2 医療提供体制の確保と次なる波への対応について
中国の武漢市で1例目の感染者が確認されてからまもなく3年が経過する。この間、国をはじめ県においても都度都度に試行錯誤をしながら不断の対策を続けてきた。現在県では、ピーク時には新規陽性者数が一日12,000人を超える日があるなど感染者数でみると過去最大規模の第7波が収束の様相をみせているが、特に強制力をもった対策がなされないまま収束に向かっているこの状況について、集団免疫がついてきたためか、ワクチンの接種が進んでその効果が出てきたためか本当のところははっきりせず、改めてコロナ対策の難しさを痛感している。
これまで、感染防止のための行動制限や飲食店における営業自粛、病床確保など、様々な施策を行ってきたが、長期化した行動制限は雇用情勢の悪化や身体的精神的不健康、教育上の課題などさまざまな損失を生んだ。一方、医療機関においても、感染拡大に伴い発熱外来が機能しない、コロナ病床確保のためにコロナ患者以外の受診すべき患者が適切な時期に受診できない、手術が延期になる等、通常診療にも大きな影響が見られた。
先日の専門家会議では冬に向けて新型コロナとインフルエンザの同時流行で一日75万人の感染者が出ることを想定した対策案が示された。この間、オンライン診療等、さまざまな対応策も進んではきているが、行動制限が解かれ、国内始め海外旅行、そしてインバウンドも戻りつつあり、この流れを止めることは極力避けたい。
この3年、感染拡大防止のための行動制限等により、経済活動にブレーキをかける、ということを繰り返してきた。経済活動を継続するためにも、通常医療を含めて持続可能な医療提供体制が必要と考える。
そこで、医療提供体制のあり方、特に、通常医療とコロナ対応の棲み分けについて、これまでの対応と課題をどう認識しているのか、また、次なる波に向けて自主療養制度の活用なども含めて、今後どのように対応していくのか、当局の所見を伺う。
3 兵庫県を支える職員の確保について
昨年の県職員採用試験の倍率は4.9倍であり、下降傾向にあると聞いている。県ではこれまでも優秀で多様な人材を採用するために多面的、積極的な広報活動を展開したり、要件を見直して採用の門戸を広げるなど人材確保に注力されてきた。特に人材不足が深刻な技術職、専門職においては、採用時の年齢等の要件を緩和し、中途採用を積極的に進めており着実に採用実績を積まれている。一方で中途採用者は、採用前の職歴のすべてが処遇に加味されているわけではないとのことで、会派からは善処を求めているところでもある。
県では、震災による厳しい財政状況を理由にこれまで一般職も含めた職員の給与の減額を行い、行革終了後の今もなお管理職手当の減額を実に22年も続けている。知事は就任後のインタビューで「県庁内の働き方改革を進め前向きな仕事をしていくという流れをつくり兵庫県庁で働いていきたいという空気を生み出したい」とコメントされ、また別の機会には「知事と職員はワンチームであり、ボトムアップを実現し、業務の効率化を進めて職員にはクリエイティブな仕事を求める」と述べておられる。
今後の齋藤県政を支え、活力ある兵庫県を実現するには、優秀な職員の確保が求められる。そのためには、職員の働き方改革を進めて魅力ある職場風土を作り上げるとともに職員の処遇を適切に行う必要があると考える。兵庫県の要諦である県職員の確保の現状と取り組みについて伺う。
4 女性活躍の推進について
今年7月女性活躍推進法が改正され、企業における賃金格差や採用状況、管理職比率など一層の「見える化」が進められることとなった。また岸田首相は先月出席したニューヨークでの会合で自らの看板政策である新しい資本主義の中核は女性の経済的自立であり、官民挙げて女性をとりまく構造的な問題を解決していくという考えを示した。今後どのような具体的アプローチがなされるのか注目している。
翻って兵庫県の令和2年度の男女共同参画に関するさまざまな目標達成状況をみてみると随分取り組みが進んでいる一方、まだまだ女性が少ない分野も多い。
兵庫県では20歳代前半の女性の転出超過が年々拡大しており(平成26年778人→令和2年2406人)、特に女性の流出を課題と捉えてきたが、女性が自分の望む生き方を実現できる県であると示すことを知事には期待したい。またかねてより女性副知事の登用を考えておられるが、知事はどのような思い、狙いで取り組まれるのか。女性の活躍は、企業、地域、行政等あらゆる現場に多様な視点や価値観、創意工夫をもたらすことから、経済成長を支える潜在力という面に止まらず、レジリエンスな社会を目指す上で極めて重要であると考える。女性がより力を発揮できる環境づくりや風土の醸成は男性にとっての生きやすさにもつながることを認識し、さらに推進していく必要があると考える。現時点でのわが県における課題分析とこれからの取組について伺う。
5 子どもと家庭を支援する取組について
福祉部の部局審査でこども家庭センターの環境整備について質問した。困難な福祉人材の確保にも鋭意取り組まれ、また過去からの大きな懸案であった一時保護施設の拡充についても川西の施設整備を着実に進めておられるとの答弁を頂いた。ただ知事も過去の提案説明でその必要性に触れておられる中央こども家庭センターに併置されている一時保護所の建替、移転については、当局も課題に直面していることを認識されつつも、財政状況や令和6年施行の国の基準を踏まえての検討ということで難しい課題との見解が示された。しかしながら、建替移転は一時保護所だけの問題ではなく、中央こども家庭センター自体の老朽化が著しく、加えて立地する明石市はすでに市の児童相談所を運営しており、利用者の利便性を考えても適地に移転するほうがよいのではないかと考える。
現在、子どもをとりまく状況は複雑多様化しており、その意味においてもこども家庭センターが果たす役割は大きいのだが、児童虐待などこども家庭センターが現在対応している事案は、DVなど夫婦関係不和、シングル家庭、ステップファミリー、障害や経済的困難、また知事が今回思いを持って対策強化に取り組まれるヤングケアラーや困難を抱えた妊婦など、本当に様々な状況が複雑に絡み合っている。そこで子どもをとりまく困難は家族の課題でもあることから、こども家庭センターと県女性家庭センターといった支援を要する家族に関わる県の関係機関を発展的統合させることで総合支援の拠点を整備することを提案したい。京都府では児童相談所、婦人相談所、障害者更生相談所を統合して家庭支援総合センターを設置し家庭をとりまく様々な相談に専門スタッフがワンストップ対応している。実際私も本センターを訪問したことがあるが、広く府民に開かれた敷居の低い支援センターという印象で、相談所という本来の適切な支援につなぐという機能を果たすにふさわしい施設だと感じた。
増え続ける要保護児童、支援を必要とする家庭に今後きめ細かく対応していくため、市町の子ども家庭総合支援拠点と適切な役割分担、協力連携をしながら、より専門的なワンストップ支援を県の果たすべき役割として、こども家庭センターのあり方を改めて検討し、子どもの利益の最大化に向けた取り組みを進めるべきと考えるが所見を伺う。
6 価値観と行動変化を捉えた産業雇用対策について
新型コロナは産業雇用環境にも大きな影響を与えた。柔軟な働き方の実現やデジタル化の推進による生産性向上といったポジティブな側面もあれば、非正規雇用者の解雇、休業による収入減などネガティブな影響を被った県民も少なくない。一方、ポストコロナにおいては、経済活動の回復に伴う人手不足が見込まれる。また、折からの物価高や円安による影響などもこれから顕在化してくるなど不安要素も大いにある。しかしながら、仕事に対する価値観、何を大切にし、どう働くのかという意識の変化をこれからの兵庫県の産業雇用施策に適切に反映することで、反転攻勢がとれるのではないかとも考えられる。
部局別審査では、コロナ禍の影響によるテレワークをはじめとする多様な働き方の進展はワーク・ライフ・バランスへの意識の高まりをもたらし、企業がこの動きにコミットすることは重要な課題との認識が示された。特に若者や女性の意識の変化は顕著であり、これまでも県では政労使が一体となりワーク・ライフ・バランス推進の旗振り役を務めてこられたが、先日の産業労働部への質問において、ワーク・ライフ・バランスも含むSDGsの取組に関する調査では、兵庫県で積極的に取り組む企業は36.6%で全国35位、近畿圏では最下位との答弁があり、予想以上に風土の醸成や具体的取り組みがなされていない状況であることを認識した。
県における産業雇用面でのコロナの影響の検証と今後の情勢、また価値観と行動変化を捉えた新しい働き方の実現に向けて、SDGsの推進をはじめ、本県の産業雇用政策にどのように取り組んでいくのか所見を伺う。
7 共生社会の実現に向けた教育の推進について
先月、国連の障害者権利委員会による障害者権利条約に関する日本政府への審査の結果、日本の特別支援学級や特別支援学校を分離教育として懸念し、中止をするよう勧告がなされた。国連は障害のある全ての子どもが全ての教育レベルにおいて合理的配慮や個別化された支援を受けられるよう、質の高いインクルーシブ教育を実現するよう求めており、通常の学校が障害のある子どもの入学を拒否できないようにすること、分離教育の廃止に向けた行動計画策定などを日本政府に要求した。これをうけて文科大臣は特別支援教育の中止は考えていないと勧告に対して慎重な姿勢を示した。これまで進めてきた特別支援教育は当然全てを否定されるものではなく、大きな役割を果たしてきたと認識している。先日の質問でも触れたが、実際、特別支援教育へのニーズは年々高まる一方である。ただこれが通常の学級の受け入れ態勢が整っていないことの裏返しという指摘もある。すべての障害のある子どもを通常の学級で受け入れれば、それがインクルーシブ教育の実現につながるという単純な問題では決してないが、大切なのは通常の学級での受け入れを希望する子供や保護者の意思に寄り添い、その希望が最大限尊重されていることだと考える。そのためには、通級による指導など通常の学級における特別支援教育をさらに充実していく必要があるが、県はインクルーシブ教育をどのように捉え、一人一人の特性や希望に配慮した取り組みをどう進めておられるのか、共生社会の実現に向けた教育の推進について所見を伺う。
8 水難事故等防止条例改正の効果について
昨年の夏、水上バイクの走行に関して、明石市の松江海岸での危険走行や淡路島で3名が死亡するという無免許運転での痛ましい衝突事故が立て続けに起きた。知事も事故現場へ視察に行かれるなど対策に乗りだされ、昨年9月の本会議においてわが会派から水上バイクの危険運転対策について質問した際には、啓発の充実、監視体制の強化、関係機関と連携した対策の必要性について知事から答弁があった。
その後、「水上オートバイによる危険行為等の対策検討会議」を設置され、そこでの議論を踏まえ、本年6月、県議会において、水上バイクの危険行為に関する罰則の強化、飲酒操縦に対する罰則の創設を盛り込んだ水難事故等の防止に関する条例改正案を全会一致で可決した。今回の改正で罰金の引き上げ、懲役刑や飲酒運転に関する罰則規定の新設がなされ、都道府県の条例では最も厳しい水準のものとなった。本条例改正について評価するとともに関係者のご尽力に感謝をしている。また県と同様に神戸市や明石市も独自の規制条例を策定し積極的な対策に乗りだしており、県警、国、県市町、および事業者など幅広い関係者が連携しての実効的な取り組みに期待している。
7月1日の改正条例施行後、夏のシーズンを終え、条例改正や啓発・パトロールの強化による効果について県警の所見を伺う。
<栗山 雅史 議員>
●総務部・財務部・危機管理部
1 県民局、県民センターについて
(1)局長、センター長に期待される役割について
(2)阪神南北統合の県民局、県民センターの検討と名称について
全文
令和3年度決算特別委員会 【総務部、財務部、危機管理部】
質問日:令和4年10月6日(木)
質問者:栗山 雅史 議員(ひょうご県民連合)
県民局、県民センターについて
(1)局長、センター長に期待される役割について
県民局、県民センターの本局に位置付けられた行政上の役割は、「地域内に配置した各事業を担う事務所との緊密な連携体制のもと、地域の行政課題に対し、総合的な観点から施策の企画立案を行う「司令塔」としての役割を担う」とあり、また「地域政策懇話会等において県・市の施策協議、意見交換を行うなど、市町との連携・協力体制を推進する役割を担う」と定義付けられております。私は今回、それに加えて、特に、県民局長・県民センター長は、知事の名代として、①所管地域の様々な県民との対話の充実、そして②知事公約等の大きな案件・課題に対する取組について、もっと積極的に取り組むべきではないか、との提案・意見をさせていただきたいと思います。
齋藤知事は、就任以来、「ワーケーション知事室」をはじめ県内各地に赴き、地域住民、地場産業の事業者、学生、市民団体など様々な県民との対話を重ねて来られました。兵庫県での勤務経験のない、新任知事だからこそ、広い県内各地に自ら赴き、地域の課題や県民ニーズの把握に努めておられるようにも思いますが、知事のこの行動は、県の施策「県民ボトムアップ型県政」のまさに基本であり、これは当然、知事一人だけが取り組むものではありません。私は、県内を10地域に分けて所管されている県民局長、県民センター長こそ、所管地域の様々な県民と対話をさらに充実させるべきではないかと思っていますし、地域の課題や県民ニーズをさらに把握してもらいたいと思っています。現状の県民局長、県民センター長の「県民との対話の充実」についてはどのような状況でしょうか。
また、私はかねがね「大阪湾ベイエリアの再生とはどういうものか」ということを機会あるごとに問うてきておりますが、先日、所属の産業労働常任委員会の管内調査のおりに、阪神南県民センターの秋山センター長に対して、「知事公約である大阪湾ベイエリアの再生について、まさに阪神南県民センター長はこの当該地域のトップとして、知事の名代として、期待される役割は大きいのではないか」と申し上げました。地域が限定される公約、政策、施策については、ご当地の県民センター長や県民局長が、まさに「司令塔」として動くべきなんだろうと思いますので、そのあたりについての状況についても、併せてご答弁いただきたいと思います。
(2)阪神南北統合の県民局、県民センターの検討と名称について
阪神北県民局と阪神南県民センターの統合については、齋藤知事が就任する前は、県も県議会も統合する方向で一致し、その象徴たる伊丹庁舎の建設計画も進められてきましたが、大型投資事業の再検討という県政改革方針の中で、庁舎の建設も、統合自体も凍結することとなりました。今後の統合については、これまでの統合方針を踏まえながら、在り方をどうしていくのか、県民にとってよりよい県民局になるように検討していきたいということで、現時点では議論が止まっていると認識しております。
振り返ると、県政改革方針の第一次案では、現有庁舎を活用して、「令和5年4月をめどに立ち上げていく」との記載もありました。統合庁舎の建設については財政的な観点から慎重な議論が必要であると理解していますが、知事が変わる前はあれほど「行革の観点からも進める必要がある」として、力強く推し進めていたわけでありますので、今一度、行政機能面での統合や組織の再整備など、統合のメリットを前面に出した「統合の再議論」を始めてはどうかと考えていますが、いかがでしょうか。
また、統合する際の名称ですが、多くの資料には「阪神県民局」とあったように思いますが、統合しても中核市が含まれる状況であるので「阪神県民センター」が正しいのかどうか、どちらなんでしょうか
平成26年4月から、政令市又は中核市を所管する神戸県民局、阪神南県民局、中播磨県民局は「県民センター」に改組されましたが、当時も今も、私はセンターという名称に変更したことについて、正直どっちでもいいんじゃないかと思っていますし、むしろどちらかと言えば「県民局」で統一した方が分かりやすいのではないかと思っています。齋藤知事も、これは推測ですが、知事に就任されたときに、「なぜ局とセンターという名称があるのか」と困惑したのではないかと思います。
「県民局と県民センター」という名称についてどうあるべきか、将来の統合のことにも備えて再度考え直していただき、整理・統一して欲しいと思いますが、いかがでしょうか。
●企画部・県民生活部・部外局
1 万博客をいかに兵庫県に呼び込むかについて
全文
令和3年度決算特別委員会 【企画部、県民生活部、部外局】
質問日:令和4年10月6日(木)
質問者:栗山 雅史 議員(ひょうご県民連合)
万博客をいかに兵庫県に呼び込むかについて
この議会、本会議においても、「ひょうごフィールドパビリオン」についての質問が多数あり、その意義や活用、位置づけ、シビックプライドなど様々な観点から質問がなされてきました。「ひょうごフィールドパビリオン」について、議会でも、県内各地でも盛り上がることは尊いことでありますし、大いに結構なことだと思いますが、私はどうしても、その「ひょうごフィールドパビリオン」に、万博客を本当に呼び込めるのか、どの程度の方々が兵庫県に来てくれるのか、というのが未だに心配でなりません。
「万博客を兵庫県に呼び込みたい」という表現がよくなされますが、これは言い換えると「おこぼれをもらいたい」ということなのでしょうか。「万博」という強力な誘因コンテンツが前提として存在していて、万博に行く前後ということでしょうか、ついでになのか、万博に加えて絶対に行きたいという「ひょうごフィールドパビリオン」になりえるのか、そのあたりを想像すると、果たしてどの程度の方々が万博会場から完全に離れた兵庫県内各地の「フィールドパビリオン」に来てくれるのか、戦略がないと簡単には来てくれないんじゃないかと思っています。
よく似た話で、コロナ前に、大阪入りしたインバウンド客をいかにして兵庫県に来てもらうか、というようなことを過去に議論してきました。「ひょうごゴールデンルート」というものも設定しましたし、兵庫県への誘客についての様々な取組みがなされてきました。それでも、ある資料では、当時のインバウンド客の約5%しか兵庫県に来てもらえなかった、というデータがありました。これが事実かどうかわかりませんが、いずれにしても、兵庫県にお客様を呼び込みたいのなら、お客様の様々な分析や呼び込むための戦略、工夫がより一層必要であることは間違いないと思います。
では、この「万博客」について、簡単ではありますが、私なりに分析をしてみたいと思います。
大阪・関西万博の総来場者数は、「2025年日本博覧会協会基本計画」によると約2820万人と想定されています。そのうち、海外からの来場者は10%超となる約350万人だとか、予測されています。つまりは、逆に言い換えると「万博客」の約9割は国内客であるということなんです。そして、大阪府を中心とした兵庫県を含む隣県からのお客様が約1560万人、関西以外の日本全国からのお客様が約900万人と言われています。海外からのお客様は決して多くはないのです。
これらのように、「万博客」の居住地の属性、ボリュームの大きいところから言いますと、関西圏のお客様、関西以外の日本全国からのお客様、そして海外からのお客様となりますが、これらのお客様を兵庫県、「ひょうごフィールドパビリオン」に呼び込むためには、自宅からの距離や旅としての日程的なものなど、それぞれに来てもらえる可能性が異なるのではないか、アプローチも変えていかなければならないのではないか、と考えています。
例えば、海外客や関西在住以外のお客様は、おそらく宿泊を伴う旅行として、万博を観光のメインとして来られるのでしょう。日程的には、長いものから短いものまであるとは思いますが、当然、滞在日数は限られてきます。万博のパビリオンが1日で回り終えられるようなら、万博会場を出て、兵庫県など他のエリアへ足を向ける可能性もあるのでしょうが、これまでに開催された各地での万博などを私たちも経験していますが、決して1日や数日ですべてを体験できることはないと思います。ということは、あくまでも「万博」がメインになりますし、それ以外のエリアに足を運ぶと言っても、関西圏のよほどの強力な観光コンテンツ、例えば京都や奈良、姫路城などですが、そういったところにしか、足を運ぶ余裕がないのではないか、と想像します。そんな中で、これから新たに立ち上げるものもあります「ひょうごフィールドパビリオン」に、果たしてどの程度の方々が来てくれるでしょうか。来てもらえるとしたら、相当の戦略が必要ではないでしょうか。
一方、関西圏のお客様は、「ひょうごフィールドパビリオン」に来てもらえる可能性が大いにあると思います。その理由としては、居住地と兵庫県は、ある程度距離が近いということ。そして、万博の会期期間は約半年間あり、日程的な制約がないこと。思い立てば気軽に行くことができます。しかし、これもまさに打ち出し方、プロモーションがうまく出来ていないと、やはり大きな観光コンテンツ「万博会場」に見劣ってしまう可能性があります。「ひょうごフィールドパビリオン」は、「兵庫県でも県内全域で万博をやっていますよ。新しいコンテンツ、パビリオンがありますよ。」と売り込むことになるのかなと思いますが、関西の方々にどこまでその存在や魅力を遡及できるのか、これは当局や関係各位の腕の見せどころだと思いますし、当然、細かな戦略と工夫が必要だろうと思います。
という訳で、「万博客をいかに兵庫県に呼び込むか」について、現在、当局はどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。
栗山 雅史
西宮市
<中田 英一 議員>
●まちづくり部
1 県営住宅の共用部分のバリアフリー化に関する考え方について
2 オールドニュータウン再生について
全文
令和4年度決算特別委員会 【まちづくり部】
質問日:令和5年10月12日(木)
質問者:中田 英一 委員(ひょうご県民連合)
1 中堅所得者向け県営住宅(サンライフ)の入居率向上に向けた取り組みについて
中間所得者層に向けて優良な住宅を供給するという目的で進められた県営住宅「サンライフ」だが、需要は頭打ちし、その後様々な取り組みも試みられたものの、入居率は思うように向上しない物件がある。三田市にあるサンライフ三田もその一つで、現在の入居率は50%にとどまり10年以上停滞している状態である。
集合住宅では、入居世帯数に応じた負担で共用部分の維持管理を行なっていくことを想定しており、それが50%となると各世帯の負担は大きく、また手入れの行き届かない共有スペースが生じるなど、入居者満足を低下させている。
入居者のためにも、また県税を投入したインフラの有効活用のためにも、入居率向上は目指さなければならない課題であると考える。
しかし、物件を見てみると構造がしっかりしている優良建物、100㎡以上の占有面積で賃料も6万円代と安く、市街地にあって利便性も低くない。地元の不動産事業者に聞いても、入居率が伸び悩む理由がよくわからないとのことであった。
そこで、この物件自体や募集条件が知られていない、選択肢に入っていないのではないかと思いインターネット検索をしてみると、案の定この物件はヒットしなかった。サンライフの想定する対象者が、通常転居を検討する際には、県住としてではなく一般賃貸物件を探している方。とすれば、インターネット検索で物件を探す方が大半で、そこから不動産事業者の営業所に出向く。
インターネット掲載は必須であるし、不動産仲介も有力。県のホームページにはそもそも来ない。
県として入居率の低いこの物件の入居率向上のためにどのような取り組みを行ってきたのか伺う。
2 県営住宅の共益費の一括徴収の進捗状況について
兵庫県では令和3年7月改定の「ひょうご県営住宅整備・管理計画」の中で、共益費の徴収や執行が困難な自治会が増加していることから、共益費の確実な徴収に向けた相談や指定管理者の代行徴収制度による自治会のサポートを引き続き行うとともに、家賃と共益費の一体的徴収を実施することとし、昨年から進めている。
東播磨・神戸・阪神南では、アンケート実施からスタートし、東播磨では既に1件で一括徴収が始まっていると聞いている。一方で他の地域についてはどのようになっているのか。自治会役員の負担軽減を考えると、一括徴収を進めていくべきと考えるが、これまでの進捗状況と今後の進め方について伺う。
また、私の地元である、三田市のある県営住宅では自治会が分裂してしまい、同じ県営住宅に2つの自治会が存在し、それぞれで共益費や自治会費の徴収を行なっているが、困惑した住民がどちらにも管理費・自治会費の支払いを拒んだり、共用部分の電気代について一方の自治会が会員数に応じて按分した電気代を支払いたいと主張しても認められず、一方の自治会が全ての共益費を支払うなど、混乱が生じている。
この場合に、この制度に従って75%の住民が一方の自治会に所属して一括徴収に同意すれば、全住民の共益費が一方の自治会に振り込まれるか。そうなればこの問題が解消するのではないかと考えるが当局の見解を伺う。
中田 英一
三田市
<前田 ともき 議員>
●病院局
1 おとなホスピスで稼ぎ、こどもホスピスを守れ
2 デジタル療法の早期導入・治験について
全文
令和3年度決算特別委員会 【病院局】
質問日:令和4年10月17日(月)
質問者:前田 ともき 議員(ひょうご県民連合)
1 おとなホスピスで稼ぎ、こどもホスピスを守れ
ホスピス事業へ参入する企業が増加している。
日本ホスピスHDやアンビス、パーキンソン特化型のサンウェルズが上場を果たした。
営業利益率は非常に高く、アンビスHDは23%。小売業は平均2.1%、製造業4%であり突出している。
高収益の要因は介護保険・医療保険・障がい者総合支援・自己負担の併用。
保険制度はこのような併用を想定した点数ではなかったのではないか? 合成の誤謬による高収益だ。
一方で、こどもホスピスは全国に数か所しかなく、その要因は社会保険はもちろん公的支援の少なさからくる資金不足。同じホスピスでも、おとなホスピスは高収益で上場し、創業者は数百億の資産。一方で、こどもホスピスは爪の火を灯す運営。
なんかおかしくないか?
そこで県がホスピスへ参入することで是正する。
医療資源の限界、病院看取から在宅医療の推進、患者・家族も病院外を求めるが自宅・介護施設では医療ケアが不十分。第三の場所としてホスピスのニーズが高まっているが、ホスピス自体が少なく社会的意義は大きい。そして、ホスピス経営で重要な点は患者獲得と医療人材。
高度・急性期の病院グループを有する県は患者獲得で最強の強みを有している。
また、医療人材も共同採用や高度・急性期で疲れた医療人材の活用など効率化できる。
そこで、高収益・県民ニーズの高いおとなホスピスへの参入を行い、獲得した利益でこどもホスピス向け支援を行ってはどうか。企業庁は経営ビジョンで新規事業として、福祉事業への参入も検討している。直営でリスクが高いと感じるのであれば、土地建物と患者送客機能だけを保有し、運営はオペレーターに任せる形態でもよい。どのような主体であれ、兵庫県としてホスピス事業に参入すべきである。
2 デジタル療法の早期導入・治験について
治療用アプリの世界市場は2020年3.4億ドルから、年平均成長率21%で成長し、2027年には14.5億ドルとなる見込み。
国内ではcureapp社のニコチン依存症や高血圧治療補助アプリが保険適用されている。
適用疾患は意外に広く、開発中も含めてうつ・ADHDなど精神疾患はもちろん、糖尿病や高血圧など多様であり、ACPなど支持緩和療法も期待されている。
医療サービスの効率化、低侵襲への移行、医療人材不足への対応、データ管理の重要性などデジタル療法への将来性・期待は高い。
従って、高度・急性期の県立病院でも検討の余地はあるし、ひょうごこころの医療センターは早期の導入が求められるのではいだろうか。
また、県民に対しては常に最適・最先端の医療を提供したい。ドラッグラグの解消は国別だけでなく、病院間でも存在する。また、標準医療の先、つまり治験・共同研究を積極的にデジタル療法で行っていくことも重要だ。デジタル療法は侵襲性がなく、⼈体へ与える悪影響の可能性が極めて低いため、倫理委員会や治験費用、現場の負担は化学療法と比較して参加しやすいのではないか。
そこで、県立病院におけるデジタル療法の早期導入・治験への積極的な参加への見解を伺う。
●企業庁
1 (株)夢舞台売却への備えとホテル経営会社の公募
2 シェフインレジデンス×御食国=万博で世界に誇る食の夢舞台へ
3 サンパルビル再開発保有床の売却
全文
令和3年度決算特別委員会 【企業庁】
質問日:令和4年10月17日(月)
質問者:前田 ともき 議員(ひょうご県民連合)
1 ㈱夢舞台売却への備えとホテル経営会社の公募
企業庁は割安な家賃、賃料繰延、短期貸付などで㈱夢舞台へ経営支援を行い、直近決算では11Mの債務超過。今後の支援は増資で対応すべき。
一つ目は、株主責任の明確化。
自治体にホテル経営はできない。
そのため、従来から100%子会社化し、売却への備えを提唱している。
兵庫県の株式保有は83%であり、経営支援をしても17%は他の株主がその果実を享受してしまう。
市場価格100億なのに130億でリースバックした場合、差額30億の17%、5.1億円分は兵庫県以外の株主が得した結果。今後も県・企業庁が支援するたびに17%は外部流出。
二つ目は、売却時の税務メリット。
繰越欠損金は10年間繰り越しでき、損益通算できるなど買収側からすると税務上のメリットがあり、売却価格を増加できる可能性があります。
従って、㈱夢舞台には適正な家賃・費用を請求し、赤字・CFに困窮した場合は増資/デットエクイティスワップで対応すればよい。
最後に、土地建物売却でホテル経営会社となった㈱夢舞台を県が保有継続する意義はあるのだろうか。世界的なホテル経営の潮流は運営・経営・所有の分離であり、経営委託を㈱夢舞台に限定する必要はない。完全固定賃料方式や最低保証賃料+GOP営業利益など各種条件でホテル経営会社を公募してはどうか。
リゾートホテルのネックは人材採用と開発資金であり、㈱夢舞台の買収なら既存人材も活用できるため、民間専業の参入も十分ありえる。
プロ経営によるホテル収支の向上で企業庁保有の土地建物評価額を上昇させ、売却に向けた足がかりをつけるべきと考えるが如何か。
2 シェフインレジデンス×御食国=万博で世界に誇る食の夢舞台へ
ミシュラン数世界一の日本。
淡路島は御食国で世界の食の中核であるべきだが、その力を活かし切れていない。
食の都はバスクではなく、淡路であるべきだ。
そこで提案したいのが、シェフインレジデンス。
著名シェフに各1か月滞在してもらい、グランドニッコー淡路でポップアップレストランを運営する。
シェフのメリット:
イケてるシェフは常に産地を訪れ、生産者と語り、研究開発をしている。
食材の宝庫での滞在により、シェフは大きなインスピレーションを得る。
予約困難店は新規客の予約は不可。
常連でも最短で予約できるのは2年後もざら。
移転増床ではリスクが大きいが、期間限定なら大きい厨房・客席でチャレンジが可能。
淡路島のメリット:
いい食材は地元を通らずに築地・高級レストランへ直接流れるだろうが、現地の人にしか知られてない
食材は御食国にはまだあるはずだ。蟻を食材に使う、世界一のレストランNOMA。
よく知られる食材もシェフの斬新な発想で輝きだす。
食材開発や島内レストランへのレシピ共有化でアジアのバスクへの道筋を。
著名シェフを通じて富裕層を呼び込み、美食を強みに日帰り観光からの脱却と観光消費の拡大を図る。
グランドニッコーのメリット:
収益の改善には建物スペックからみて割安な約2万円の客室単価向上とレストラン売上の拡大が必要。著名シェフの月替わりレストランはこの両方を解決する起爆剤となる。
コースは5万円以上、粗利の高いドリンク売上は跳ね上がり、食材ロスはゼロでレストラン収益は急上昇。ディナーで集客し、宿泊につなげる。予約殺到の場合には宿泊セット販売で総売り上げ向上。
チャリティオークションを実施し、一部を生産者・フードバンクへ還元します。
ノーマとマンダリン東京コラボは2000席に対してキャンセル待ち6万件。
グランドニッコー淡路は世界に誇る食の夢舞台となる。
ホテル売却の際、その価格はCFと金利に左右される。
しかし、世界一のオーベルジュは経済価値だけではない付加価値、所有欲を刺激してホテル事業の高値売却に寄与する。
スケジュール:
2023年:RED U-35やCHEF-1、ワールドシェフ王などの料理人コンテストと連携し、優勝者は月間料理長に就任。コンテスト放映を通じて全国に食の夢舞台を周知、兵庫DCとのコラボ。テロワールを食抜きに語るなかれ。
2024年:ゴエミヨやミシュラン、ゲーテやdancyuなどのグルメ雑誌やぐるなび・食べログなどと連携し、国内著名シェフのポップアップレストランを運営し、全国のグルメ・富裕層を集客。
2025年:世界のスターシェフがシェフインレジデンス。
各国要人が万博会場からクルーザーやヘリで淡路に来島し、御食国とスターシェフとのマリアージュに世界が熱狂する。「いただきます」は「あなたの命を私の命にさせていただきます。」という感謝の気持ち。いのち輝く未来社会のデザインにピッタリのテーマだ。
万博はアジアのバスクとして世界に発信する絶好のチャンス。
シェフインレジデンスを実行するのは今、御食国淡路で実行すべきと考えるがどうか。
3 サンパルビル再開発保有床の売却
新ビルへの権利交換後の保有床は約300㎡。
ざっくり、資産価格を試算すると。
築23年の神戸国際会館はJR三宮徒歩3分で坪26,788円で賃貸募集。
新築で賃料1割増し、90.7坪×29.466円=月額家賃267万円
NOI利回りではなく、新築駅近ビルで表面4%としたら、保有床は最低でも約8億円以上の価値あるのではないか。
企業庁は情報発信や交流機能として有効利用する計画です。
私の有効活用の定義は資産価格・費用・逸失利益を超える価値を生み出すことだが、役所がいう有効活用はスペースを単に埋めただけの場合が多い。新築・駅近ビル、8億の資産、月額家賃267万円に資する事業上の必要性は無く、経済合理性の観点から売却すべきである。
資産価格は金利とキャッシュフローで算定される。世界的にも低金利な日本の不動産はイールドギャップが取りやすく、資産の高値売却は今がチャンスと考えるが如何か。
前田 ともき
神戸東灘区