議会の動き

竹内 英明議員が質問(予算審査・病院局)

令和2年 令和元年度予算特別委員会(病院局)

日 時:令和2年3月9日(月)

質問者:竹内 英明 委員

1 県立はりま姫路総合医療センター(仮称)について

(1)開院に向けた準備について

県立はりま姫路総合医療センター(仮称)は、昨年9月に工事に着手し、2022年度上期の開院に向けた準備が進められている。新病院では、新たに呼吸器内科等7診療科を新設し、計34診療科で新病院をスタートさせると聞いている。

建物等ハード面の整備は着々と進んでいくと思うが、新病院をしっかり機能させるためには、再編統合に伴う医師、看護師等の確保や、具体の運用方法などソフト面の整備充実が最も重要である。

そこで、開院まで2年あまりとなる中、開院に向けた準備の進捗状況と今後の対応方針について伺う。

(2)移転する県立姫路循環器病センターの医療機器などの管理・適切な減価償却の実施について

2016年度の県の包括外部監査が行われた。対象は、県立病院の財務事務と経営管理についてだったが、この結果報告書をみると、2015年度の尼崎病院と塚口病院の統合による尼崎総合医療センターの設置の際に、2つの病院の減価償却が適切に行われておらず医療機器等の固定資産の除却損が出たと指摘されていた。

これまでも新病院に移行する際などにこうした減価償却や備品シール添付漏れ等のミスで、後に特別損失が発生するなどの問題が起こった記憶もある。統合に備えて医療機器や薬剤等の棚卸を行い、適切な資産管理をしておく必要があると思うがどうか。

2 包括外部監査人による退職給付引当金未計上の指摘について

同じ包括外部監査の結果報告書をみると、病院事業について様々な指摘や意見がある。その中で最も重要だと思われるのが退職給付引当金についての指摘である。公認会計士である外部監査人は「病院事業会計の平成28 年3月31 日現在の退職給付引当金の未認識額は、163億円となる。当該未認識の存在は会計基準上容認されているが、実質的な財政状態を把握するために、この163 億円を退職給付引当金として全額負債計上したと仮定すると、病院事業会計は91 億円の実質的な債務超過状態となる。(指摘事項)」としている。

公認会計士が債務超過であると主張するのは、退職手当の引当が十分にできていないからである。これはもう随分前になるが、平成20年度の決算特別委員会で私が指摘したことと同じことである。あれからもう10年以上も経過した。

この指摘に対して病院局はその「対応及び改善策」の中で、「退職給付引当金の計上は、債務超過を避けるため、平成26年度から15年にわたり均等費用処理することとし、同プランにおいて、その影響額(年約13 億円)を見込んだ上で黒字基調の経営を行っていく」としている。つまり通常の収支に加えて、毎年13億円の赤字要素をもった上で経営をし、その上で黒字を目指すということで、そうでなければ本当に理論上だけでなく制度上も債務超過に陥ってしまうということになる。

退職手当の15年均等処理による引当金処理の状況と近年の経営状況について問う。

3 県立病院事業の拡大傾向について

(1)医師数及び一般会計繰入金について

病院の収益は医師の数で決まるとも言われるが、実際にどうなっているのかお伺いするとともに、本県では病院事業に対して、高度専門・特殊医療、地域医療等について総務省等の繰入基準内の繰入を行っているとしているが、一般会計繰入金の金額は200億円以内で推移してきた感覚があるが、新行革プランによる抑制措置が終了し、増額されていると聞いているが、2020年度当初予算ではいくらなのか伺う。

(2)県内市町立病院の県による引受けの検討について

新行革プランが終了し、県の一般会計繰入金の金額も増加し、240億円にもなっている。これまで、一般会計繰入金に対する交付税の基準財政需要額算入率は約40%程度という答弁を得てきたので、ざっくりいうと140億円程度は県の一般財源を投入して、病院事業を維持していることになる。これは大きな金額だ。

その意味では、企業会計とはいえ、勤勉手当を含め他の公務員と実質同じ人事委員会勧告制度内の給与制度のあり方、経営指標と勤勉手当のリンク、地方独立行政法人化など考えなければならない課題は多い。

一部に県内の市町立病院の県による引受けを検討する声もあるが、経営面ではかなりの負担になると思うので、財務体質が脆弱なままで、そうしたことは無理だと思うので念の為、確認しておきたい。