議会の動き

大塚たかひろ議員が質問(予算審査・企画県民部②)を実施

予算特別委員会質問(企画県民部②)

平成25年3月6日(水)

1 私学の振興について

(1)私立高等学校への助成について

私立学校は、建学の精神に基づき多様な個性と能力を伸ばす教育を行うことで公教育の一翼を担っており、学力面はもとより、スポーツ活動や文化活動でも本県における学校教育の推進力として大きな役割を果たしている。

中でも、高等学校は、県内に213校あり、そのうち私立高校は52校と24.4%を占め、また、生徒数でも平成24年5月1日現在、県内144,054 人のうち、私立高校に通う生徒数は、36,238人、25.2%と、4人に1人は私立高校の生徒となっている。

しかしながら、私立高等学校経営を取り巻く環境は、少子化と就学人口の減少による生徒数の定員未充足や、公立高等学校の授業料無償化による影響などの財政面、多様な人材を雇用することによる教職員の人事制度改革等の労務管理面など、複合的な課題に直面する状況にある。

また、兵庫県内から大阪府下の私立高校への通学の増加などへの課題認識を持って新たに阪神間での私学展を予算化しているところであるが、このように、本県の公教育の一翼を担っている私立高等学校に対し、経常的経費等に対する助成、魅力ある学校づくりや特色ある教育活動等に対する助成等を推進し、教育条件の維持・向上や修学上の経済的負担の軽減及び学校経営の健全性の確保を図る必要があると考える。

そこで、県の私立高等学校に対する取組の現状について伺う。また、その効果について、どのように評価しているのか、あわせて伺う。

(2)私立学校施設の耐震化について

学校施設は、児童生徒などの学習・生活の場であることから、安全で豊かな環境を確保することが必要不可欠であることは言うまでもなく、地震発生時においては、児童生徒等の人命を守るため、十分な耐震性能を持たせて学校施設を整備することが重要である。

また、非常災害時には地域住民の応急的な避難場所としての役割も果たすことから、公立学校、私立学校問わず、その安全性の確保は極めて重要である。

平成7年の阪神・淡路大震災では、県内で3千を超える学校施設が被害を受け、中には校舎が倒壊又は崩壊した例が見られたことから、学校施設の耐震化を推進していくことの必要性が強く指摘された。

学校施設の耐震化の推進は、重要かつ喫緊の課題であるが、平成24年4月の国の調査では、公立学校施設の耐震診断実施率99.0%、耐震化率84.8%に比べて、私立学校施設の耐震診断実施率60.1%、耐震化率75.4%との全国平均が公表されており、公立学校に比べると私立学校の普及率は低いのが現状である。

そこで、本県における私立学校の耐震化はどのような現状なのか。また、公立学校に比べ耐震化率が低い場合、その要因についてもあわせて伺う。

(3)私立学校における体験活動の実施状況について

本県の公立学校における「トライやる・ウィーク」は、阪神・淡路大震災の教訓などから、「心の教育」の充実を図ることの大切さが認識され、子どもたち一人一人が自分なりの生き方を見つけられるように支援していく教育の重要性が指摘されたため、平成10年に全国に先駆けて、中学2年生が職業体験や地域や自然の中で生徒の主体性を尊重した様々な体験活動を通して、豊かな感性や創造性などを自ら高めたり、生き方を見つけることが出来るように支援するという趣旨で始まった事業である。

また、その取り組みを通して学校、地域との連携を深め、社会全体でこどもたちの人間形成や社会的自立への支援を行うことで、相互の理解やつながりが深まり、地域、社会に開かれた学校づくりが推進され、地域住民の学校教育への積極的な参画しとうという意識が醸成され、学校教育の多様化、活性化さらには地域の活性化にもつながっている。

平成23年度の実施校は365 校、参加生徒数は48,885 名、分野は、職場体験活動、ボランティア・福祉体験活動、文化・芸術創作体験活動、農林水産体験活動などで、その内容は、幼児教育、販売、飲食店等、社会福祉施設、製造・建築、病院など非常に多岐に渡っている。生徒を受け入れる関係者や、活動場所の確保にご尽力されている先生方にお礼を申し上げたい。

体験をした生徒の多くは、「働くことの大切さ、厳しさ、楽しさを感じた」「社会のルールやマナーの大切さがわかった」「コミュニケーションの大切さを感じた」「人とのふれあいが楽しかった」といった感想を寄せており、また、保護者の多くも「貴重な体験をさせていただいた」と感謝を述べられるなど、本当に有意義な取り組みであると認識している。

その他にも小学生を対象とした、学校では経験できない自然や社会等の様々な体験活動を通して、豊かな人間性や問題解決能力などを育成することを目的とした「自然学校」「環境体験事業」、中学生を対象とした普段聴く機会の少ないクラッシック鑑賞を通し、音楽の素晴らしさを身近に感じてもらうことを目的とした本格的なホールとオーケストラで体験できる「わくわくオーケストラ教室」などにも取り組んでおられる。

そこで、公立中学校と同様に、私学の生徒たちも「中学校社会体験活動推進事業」や「小学校環境体験活動事業」など様々な体験活動を通じて学習していることと思うが、その現状と県による支援の現状を伺う。また、さらなる導入を推進していくべきと考えるが支援について伺う。

2 適切な公共施設の管理体制の合理性について

高度経済成長期を中心に整備された多くのインフラ、公共施設の老朽化が進む中、これらの施設の建て替えや修繕などの時期を一斉に迎える状況にある。経済構造の変化・人口減少社会を迎え、財政状況が厳しい中、県有財産を効率的に運営し、かつ、有効に活用していくためには、その老朽化度合いを把握し、更新に係る時期や財政負担を明らかにし、計画的な再整備、効率的な維持・修繕計画の立案が重要となってくる。

いわゆる経営的視点から公共施設を総合的、計画的に管理するファシリティマネジメントという考え方であるが、それを可能とするために、今申し上げたような情報の一元的な管理体制の確立や少子高齢化への対応、環境負荷の低減、安全安心の確保、地域産業の振興、住民自治の推進など、時代が要請する様々な観点から公共施設を評価、選別するとともに、財政運営の観点と合わせて総合的な判断や経営戦略の構築することが必要である。さらには将来の人口構成や財政負担等を考慮した、改修の優先順位や統廃合等の必要な施設、複合化や広域化等による効果が高い施設などを洗いだし、実施年度などの見通しを示した再編計画の方針を明示することが重要となる。

東日本大震災時には東京の九段会館においても天井が崩落し犠牲者が出るなどの事故が発生した。橋梁や道路などとは違い、規模も大きくはないが、やはり市民の安心・安全を守るという観点は重要である。

以前何人かの議員からも本会議や委員会でファシリティマネジメントに対して質問があったが、県土整備部の「ひょうごインフラ10箇年計画」のように、長期的なスパンで県有施設の修繕・維持管理の計画を策定するという発想が必要という観点から質問をしたいと思う。

(1)県有公共施設の一元的管理について

このようなファシリティマネジメントの実践においては、全庁的な観点から意志決定を図っていく必要があるが、一元的な施設管理情報が整備されないままでは、総合的な判断や経営戦略の構築は難しい。部門を横断する統括的戦略が必要と考えるが、全庁を管理する部門として県有公共施設の現状をどう捉えているのか。

(2)県有公共施設のファシリティマネジメントについて

ファシリティマネジメントの目的は財務・品質・供給の3つ要素があり、長期にわたり、経済的なコストで、良好なファシリティを、最小必要なものをタイムリーに提供することと言われている。また課題に応じて、この3つの目標のバランスを取ることが大切である。経済構造の変化・知識社会・人口減少社会を迎え、財政状況が厳しい中、施設の利活用、建物の長寿命化、新しいサービスニーズに対応することなども含め、県有公共施設を長期的視野で戦略的に統括し、質の高いファシリティサービスを提供・維持することが必要と考えるが所見を伺う。