質 問 日:令和2年9月29日(火)
質 問 者:相崎 佐和子 議員
質問方式:一問一答方式
1 第3次兵庫県男女共同参画計画における確実な検証について
女性だから男性だからという性別にとらわれ過ぎず、1人の人間としてその個性や能力を十分に発揮し、自分らしい生き方ができる社会、このような男女共同参画社会づくりを進めるべきと考える。女性だけが向上すればよいとは考えていない。男女共同参画社会づくりを進め、全ての人が生きやすい社会にすべきと考える。
国においては、第4次男女共同参画基本計画の見直しを行っているところである。来年度からの第5次計画にむけて先日パブリックコメントが募集され、5,700件もの意見が寄せられた。男女共同参画がそれだけ注目されていると同時に、未だ多くの課題や改善点があることの現れであろうと捉えている。
本県においても、第3次兵庫県男女共同参画計画ひょうご男女いきいきプラン2020の見直しを行っており、来年度から5年間の次期計画にむけて策定を進めているところである。次期計画がさらに力強く男女共同参画社会づくりを進めるものにするため、現計画を確実に検証して次に繋げることが必須である。
現在の計画を確認すると、26の目標数値が掲げられているが、うち19項目が達成に至っていない状況である。例えば、民間などにおける女性管理職の比率は目標数値25%に対して15.4%、保育所の待機児童数は目標数値0人に対して1,528人、配偶者暴力相談支援センターを設置する市町は目標数値20市町に対して16市町である。達成に至っていない原因を分析し、改善策を検討して、次期計画に繋げねばならないと考える。
そこで、現在のひょうご男女いきいきプラン2020について、目標数値の達成状況をどう評価し、検証しているか当局の所見を伺う。
あわせて、次期計画はどういう観点が必要と考えているか当局の所見を伺う。
2 こども家庭センターの対応力向上について
児童虐待の防止は、県を上げて全力で取り組むべきであることは言うまでもない。相談や通報件数が年々増加する中、最前線で力を尽くされているこども家庭センターには深く感謝する。
センターについて、次のような話を聞いた。在阪TV局でも取り上げられたそうであるが、県内のこども家庭センターで子どもが人質にされているという信じがたい内容であった。
骨折した乳児がいると医師から連絡があり、こども家庭センターが乳児を一時保護した。保護者は、身に覚えがない、虐待などしていないと説明するが、改めて医師から、生後50日の乳児のらせん状の骨折であり100%虐待によるものと考えるとする診断が出されたことなどから、結局家庭復帰に1年以上かかった事例である。
子どもや保護者にとってつらい日々であっただろうと胸を痛めると同時に、家庭復帰したがために子どもが命を落とした悲惨な事件もある中、センター側は、虐待の可能性があるとする医師の診断が出ている状況では簡単に家庭復帰させることも出来ず、力と心を尽くされたのだと伝わってきた。
こどもの健やかな成長と保護者のサポートに立った上でこのケースを鑑みると、いくつかの大事な課題が見えてくる。1つ目は、医師の診断の確実性である。今回のケースは、100%虐待によるものと考えるとする審判申立書に記載された医師の診断意見が大きなポイントになった。きめ細かい状況診断のためには、今回も行なわれてはいるが、セカンドオピニオンなどが必要である。
2つ目は、こども家庭センターの体制である。きめ細かく状況を診断し、保護者の状況を把握し丁寧に話し合いを重ねるには、十分なマンパワーと高い専門性が求められている。県はこども家庭センターを尼崎市と加東市に増設する予定で、児童福祉司を今後も増やしていく方向だと聞いている。場所や人数を増加することは第一歩であり評価するとして、新しい児童福祉司の育成などを含めた質の向上も進めていかねばならないと考える。
そこで、児童虐待の防止において、きめ細かな対応を実施するため、セカンドオピニオンの活用、こども家庭センターのハード並びにソフトの強化が必要と考えるが当局の所見を伺う。
3 高校における特別支援教育の充実について
先日、特別な支援を必要とする中学生の保護者の方々と話をさせていただく機会があった。みなさん一様に、中学校卒業後について悩まれていた。
いくつかの進路がある。1つは特別支援学校高等部である。長所は、個々に応じたきめ細かい支援を受けることができ、就職先など卒業後の進路のサポートも丁寧なところである。父が長く養護学校、現在の特別支援学校で教師をしており、特別支援学校の良さは大いに実感している。一方で心配面は、特別支援学校は、高校卒業の資格ではなく、特別支援学校の卒業資格となること。また、中学校までは同級生たちと一緒にすごし、いずれ社会に出ていくのに、高校3年間は障がいのない同年代の生徒や地域の方々との関係性が薄れるとの不安があると聞く。
もうひとつの進路は高校である。長所は、同年代の友人たちと同じ環境で高校生活を過ごすことができるところである。一方で心配面は、まず高校入学のハードルが高いことである。つまり、自身の力が発揮できる環境での受検が可能であるかである。さらに、高校に進学しても、個に応じた支援を引き続き受けることができるのかということである。
他の進路として通信制学校、専門学校、職業訓練校などがあるが、いずれの進路も心配面が存在する。特別な支援を必要としている中学生が望む進路を選択でき、豊かな高校時代を満喫できるよう、特に高校の特別支援について取り上げる。
本県は、インクルーシブな教育の考えのもと障がいのない生徒と特別な支援を必要とする生徒を分け隔てることなく、ともに学びあう方針だと捉えている。ならば高校について、まず、特別な支援を必要とする生徒が希望すれば公立高校を受検できる体制であること、そして入学後は公立高校において個に応じた支援が享受できる体制であることが必要である。公立高校では、障がいに応じた特別の指導を受けることができる通級指導を文部科学省が制度化し、2018年度から本県でも開始した。開始から3年目、試行錯誤を重ねて充実させていく段階であろうと捉えている。
そこで、特別な支援を必要とする中学生が希望すれば公立高校を受検することが可能な体制にあるのか、公立高校において特別な支援を必要とする生徒が個に応じた支援を受けられる体制にあるのか、当局の所見を伺う。
あわせて、2018年度からの公立高校通級指導の現状と課題について、当局の所見を伺う。
4 免許外教科担任の解消について
免許外教科担任とは、中学校や高校において、教員が免許を所持していない教科を教える、例えば数学の先生が技術も教えるというもので、教育職員免許法附則第2項により、例外として1年に限り都道府県教育委員会の許可により認められるものである。
本来であれば、1つの学校にすべての教科、中学校であれば10種類の免許を所持している教員が配置されるべきであるが、へき地校等や、免許所持教員が病気休暇、育児休業を取得することにより、免許外教科担任が生じている。
中学校では技術家庭科・美術など、高校では情報・公民・工業などの教科で、特に免許外教科担任が多い傾向がある。本県ではないが、芸術つながりで音楽と美術、地理歴史・公民は系統が似ているので情報を担任する事例などあるようである。
全国で年間1万件の免許外教科担任が行われており、本県では2016年度で、中学校239件、高等学校13件の合計252件となっている。免許外教科担任の課題は、免許を所持していない教員の指導による教育の質の低下、免許外の教科を担当する教員の負担増加などである。文部科学省では2018年10月に免許外教科担任の許可等に関する指針を出し、解消に向けて取り組むよう都道府県教育委員会に促している。
具体的な解消方法として、例えば、複数免許を所持している受験者にインセンティブを付与するなど教員採用試験での工夫、複数校担当や遠隔授業、免許の取得促進など、様々な取り組みが考えられる。
そこで、生徒が質の高い教育を享受できるよう免許外教科担任の解消を計画的に進めるべきと考えるが、これまでどのような対策を講じてきたのか当局の所見を伺う。
あわせて、今後どのような取り組みにより免許外教科担任を解消していくのか当局の所見を伺う。
5 信号灯器のLED化推進について
信号灯器のLED化は、大きく3点のメリットがある。1つ目は、エネルギーの削減である。LED式は従来の電球式と比較して消費電力が約1/7になり、エネルギー削減の観点から地球温暖化防止などの環境面で効果がある。2つ目は、メンテナンスの簡素化である。電球式は2年で電球を交換する必要があるが、LED式は交換する必要がないためメンテナンスが簡素になる。3つ目は、安全性の向上である。電球式であれば、朝日や夕日が当たった際などに何色が点灯しているか確認が困難なケースがあるが、LED式は色の確認がしやすく安全性が向上する。
このようなメリットがある信号灯器のLED化であるが、兵庫県内の整備率は2018年度で34.5%である。全国平均は58%であり、整備率は全国ワースト4位である。
LED化を経費削減の観点で考えてみる。電気料金は、LED化により消費電力が1/7になるため、電力会社に支払う電気料金も現在より安価になる。LED式への切り替え経費については、いずれランニングコスト削減分でペイできると考える。つまり、切り替えには経費が必要になるが、電気料金の削減ができるためいずれ元が取れるわけである。料金契約が信号灯器1基ずつではなく、1交差点グロスであることから、信号灯器LED化による電気料金の削減額の試算が困難と聞いている。似たケースとして、県内の自治体が街路灯について試算すると、数年で切り替え経費をペイできることが分かり、経費削減策として一気にLED化した事例がある。メンテナンス経費については、現在2年に1回の頻度で電球を交換しており、年間約9000万円を要している。LED式の場合、電球の取り替えの必要がないことから、年間9000万円のメンテナンス経費の削減が可能である。
経費削減に効果があるLED化であるが、現在、年間5億円の公共施設等適正管理事業費を活用して、老朽化した信号機の建て替えの際にLED化も同時に実施していると聞いている。老朽化対策とLED化の同時実施は効率性の観点から良とした上で、LED化に予算をつけて一気に進め、中長期スパンでの経費削減につなげるべきと考える。
そこで、安全性向上とともに経費削減に効果がある信号灯器のLED化について、整備率全国ワースト4位の現状をどう捉えているのか当局の所見を伺う。
あわせて、来年度は現在の老朽化対策は引き続き予算化するとともにLED化推進経費についても予算化を検討すべきと考えるが当局の所見を伺う。