議会の動き

決算特別委員会 20年09月定例会

決算特別委員会

副委員長  栗山 雅史  議員(西宮市)
理  事  中田 英一  議員(三田市)
委  員  小池 ひろのり  議員(神戸市中央区)
向山 好一  議員(神戸市北区)

栗山 雅史 議員
公安委員会 | 県土整備部 | 病院局 | 企業庁
中田 英一 議員
財政状況 | 健康福祉部 | 農政環境部 | 県土整備部 |
総括審査
小池 ひろのり 議員
財政状況 | 健康福祉部 | 産業労働部 | 教育委員会

向山 好一 議員
財政状況 | 企画県民部① | 企画県民部② | 産業労働部 |
公安委員会 | 農政環境部 | 教育委員会


<栗山 雅史 議員>
●公安委員会

1 鉄道警察隊について
2 外国人犯罪対策について
3 大規模災害時の対応について

全文

令和元年度決算特別委員会 (公安委員会)

質問日:令和2年10月9日(木)

質問者:栗山 雅史 委員

1 鉄道警察隊について

鉄道警察隊は、鉄道利用者の安全安心を守るため、鉄道施設におけるパトロールや列車警乗による痴漢、粗暴犯等の犯罪の検挙、抑制活動を行うとともに、昨今は鉄道事業者の連携も強化し、鉄道駅員や運転士等に対する暴力等についても、その対策に取り組んでいただいていると承知しています。その取り組みに敬意を表し、感謝するところです。

しかしながら、鉄道警察隊の活動体制や、隊員の配置、痴漢や粗暴犯等を取り締まるための普段の戦略的な活動など、隊全体の活動等について、私の中でまだ理解が進んでいません。ですので、この決算特別委員会の機会を捉えて、鉄道警察隊の全体像について、知りたいと思います。

本年2月定例会の私の一般質問、「駅員等への暴力事案対策」に対して、当時の加藤本部長は、「鉄道事業者との連携をより一層強め、列車警乗の回数を増やしたり、ラッシュ時や酔客の多い時間帯における駅構内の駐留警戒やパトロール活動を強化するとともに、積極的な声掛けなど、制服警察官による見せる活動を展開して、鉄道施設における安全・安心の確保を図っていく」と答弁されました。 あれから約7か月が経過し、この間コロナ禍で鉄道利用者はかなり減少しましたが、この間の答弁にあったような取り組みはどうであったのか、教えていただきたいと思います。先ほど申し上げました、活動体制をはじめとして、鉄道施設内の事件・事故を防ぐための普段の活動についてご答弁いただきたいと思います。

2 外国人犯罪対策について

先日の神戸新聞において、「偽造在留カード密売横行」の記事がありました。外国人技能実習生が多数失踪するという社会問題になっている中での、ある意味では想定できた外国人の犯罪と言えると思います。

警察庁によると、2019年に不法残留容疑、つまりは入管難民法違反容疑で摘発されたのは4千人を超え、過去最多を更新しているとのことです。問題の根本は、この技能実習生や留学生の処遇改善という課題だと思いますが、この課題が解決されない限り、不法残留者を相手にした「犯罪ビジネス」は止まらないのではないでしょうか。また、犯罪に手を染める外国人の多くは、借金の返済や職場での低賃金による生活苦などからの窃盗が多いと聞いています。国内のグローバル化が進む中で、県警察当局としてもその対応に苦慮されているのではないかと感じています。

そんな中、兵庫県警は来年春に「国際捜査課」を設置される予定で、外国人犯罪、国際犯罪の取り締まりを強化されると聞いております。そこで、兵庫県内の来日外国人の最近の検挙状況や、その抑止についての取り組み、そして犯罪を予防する取り組みなど、現在の状況と新たに組織される「国際捜査課」で期待される役割などについて、ご答弁をお願いしたいと思います。

3 大規模災害時の対応について

兵庫県警では、大規模災害発生時において、一元的に迅速・的確な災害警備体制を確立するため、「兵庫県警察災害時職員緊急参集システム」の運用による職員の参集、災害警備本部の設置、指揮支援隊や救出救助にあたる部隊等の「直轄部隊」を編成されるなど、その対応にあたる備えをされていると聞いています。また、「総合的画像情報伝送システム(ヘリテレシステム)」を運用しているほか、災害現場で必要な資機材として、多目的に活用が可能な「災害用救助工具セット」や、瓦礫等が混在する水没地域でも航行可能な「プロペラボート」も整備されています。

ソフト面においては、地震や台風などの自然災害や航空機事故等の事故災害に備えるために、県・市町、消防、自衛隊、海上保安庁等の関係機関などとの「合同訓練」などの実戦的な訓練も適宜実施されています。

あの阪神淡路大震災から25年が経過しました。毎年のように全国のどこかで地震や集中豪雨、台風などの自然災害が発生している近年ですが、その対応にあたる警察にとっても、阪神淡路大震災の経験と教訓を踏まえ、その対策と準備を怠るわけにはいきません。

そこで、台風が多く発生するこの時節をとらまえて、これまでの兵庫県警の災害対策にかかる取組の経過を確認したいと思います。


●県土整備部
1 鉄道路線の早期復旧支援と事前防災・減災支援について
(1)被害を受けた鉄道路線の復旧などの支援について
(2)防災・減災支援について
2 県道の保全、改良、整備について
(1)無料化した西宮北有料道路のその後について
(2)大沢西宮線と阪急甲陽線の交差部について
(3)生瀬門戸荘線の拡幅について

全文

令和元年度決算特別委員会【県土整備部】

質問日: 令和2年10月13日(火)

質問者: 栗山 雅史 委員

1 鉄道路線の早期復旧支援と事前防災・減災支援について

(1)被害を受けた鉄道路線の復旧などの支援について

平成29年7月九州北部豪雨や平成30年7月豪雨など、近年、頻発化・激甚化する豪雨災害により、鉄道に隣接する傾斜地が崩壊して土砂が流入して線路を塞いだり、河川に架かる橋梁が流失するなどの事案が発生しています。平成30年豪雨では、全国で32の鉄道事業者、115路線で運転休止が生じ、広島県などの路線によっては数か月間運行ができなくなるなど、県民の足に大きな影響を与えるものとなりました。兵庫県内においても姫新線、山陽本線、播但線等で運行休止となりました。その他、我が会派の向山議員も以前予算委員会で取り上げましたが、台風による被害として県内では神戸電鉄での被害もありました。

長い場合、数か月に及ぶ復旧期間中には、鉄道の代替手段としてバスを走らせていますが、これにかかる費用は多い場合何十億円という単位になるようです。それらはすべて鉄道事業者負担だったようで、国や地方自治体からの支援は全くなかったようです。これには大変驚きました。また、線路の復旧費用についても、当時は国や自治体からの支援が無く、こちらも全額鉄道事業者負担ということでした。その後、「鉄道軌道整備法の一部を改正する法律」ができ、赤字事業者だけが対象であったものが、黒字事業者の赤字路線も対象と改正されましたが、これでは黒字路線であれば支援を受けられない、復旧が進まないという面があります。

先週末にも台風がこの兵庫県にも接近しましたが、最近はいつ何時台風や集中豪雨によって、同じような被害が引き起こされるかわかりません。鉄道が止まって一番困るのはその路線を利用されている県民・市民です。鉄道路線が被害を受けた時に、県として何ができるのかを問い合わせましたが、「国の補助もないので黒字路線では復旧費用は支援できない」とのことでした。目の前で県民が日々の生活に困っているのに、国の補助がないからと言って、その代替手段の支援や復旧にかかる支援について、ご当地の県や市町が支援しないというのはいかがなものでしょうか。

被害の規模には大小あり、大きいものだと多額の復旧費用になるかもしれませんが、県民の普段通りの円滑な生活を送るための早期の足の確保に向けて、県独自でも支援ができるようにして欲しいと思いますが、当局のご所見をお伺いします。

(2)防災・減災支援について

台風や集中豪雨があった際に、被害を受けないように事前に対策を施しておく「事前予防」という観点も重要です。

中山間地域の中を走る路線は、山裾だったり、山中の谷筋のようなところに線路を敷いていることが多いです。また、河川を渡る橋梁についても、川の増水等によっては橋梁が流される可能性があります。斜面の法面崩落、そして土砂流入、盛土流出、橋桁流出、変電所沈没などの被害が起こる前に、危険性のある場所についての対策・強化を施す減災対策をするべきだと思いますが、これについても国の補助対象事業者は、「鉄道施設総合安全対策事業(豪雨対策事業)」では、JR西日本等の事業者を除くとされ、兵庫県の「豪雨対策費補助」では、JR西日本を除くとされています。

災害に備えるため、すべての事業者に対して兵庫県では独自の支援ができないのか、当局のご所見をお聞きします。

2 県道の保全、改良、整備について

(1)無料化した西宮北有料道路のその後について

私が県議会議員に当選した2011年、初めての一般質問で取り上げました「西宮北有料道路の早期無料化」については、私を含む西宮市選出の県会議員と一緒になって早期の無料化を強く訴えた結果、予定よりも3年前倒しで無料化を実現することができました。無料化されたのは平成30年の4月1日でありました。私は喜び勇んで、通行料金を取らなくなったこのトンネルを、用事も無いのにわざわざ通過しに行ったものです。

さて、無料化してから2年半が経過しました。市民、県民からはこの間、本当に多くの喜びの声をいただいているところでして、嬉しいですし、誇らしく感じています。しかしながら、無料化してからは想像していた通り、トンネルの交通量が増えているとの調査結果も出ているところです。交通量の増加による船坂交差点の渋滞が土日祝日を中心に発生していることもありますし、周辺の地域が交通量増加をどのように感じておられるのか気になるところです。県当局としてはそのあたりどのように感じているでしょうか。

また、無料化をする前に、トンネル壁面修繕や道路舗装、消火栓、火災検知器等の設備機器の更新など大規模修繕を行っていただきました。今では一般のトンネル、県道となった訳ですが、そのメンテナンスにかかる費用などについてはどのようになっているのか、現在の状況について併せてお答えください。

(2)大沢西宮線と阪急甲陽線の交差部について

この交差点は、本当に長い間対策が進まずにいた問題交差点でありまして、県道大沢西宮線と阪急甲陽線が交差するところに踏切があり、加えてその甲陽線に並行する市道も走っておりまして、信号機もなく、4方向から来る車両、バイク、自転車、歩行者が、いったい誰が先に通行するのか、直進するのか、左折するのか、右折するのかお互いにわからない状況で、お互いに顔を見合わせてソロソロと通行するという極めて通行に気を遣う、面倒で危険な交差点であります。この交差部の踏切は、県の「踏切すっきり安心プラン」にも位置付けられています。

阪急甲陽線が開業したのが1924年、大正13年のことで、1948年の航空写真では道路と鉄道が交差していることが確認できることから、今年は2020年ですので少なくとも70年間、この状態が続いてきたわけであります。過去には問題の解消のため、甲陽線の地下化を検討されたこともありましたが、夙川の沿道にある桜を伐採しなければならないなどの理由で沿線住民の反対運動があったことで、結局交差点の問題は解決しませんでした。しかし!ようやく、県や市の優秀な職員が改良策を考えていただいて、今年度から事業に着手し、令和5年には交差点改良工事が完了する予定となっています。

改良の内容を口頭でご紹介するのは難しいのですが、簡単に申し上げますと、県道に中央分離帯を設置すること、右折レーンを設置すること、周辺の市道の一方通行道路を双方向通行にするという複合的な改良工事になります。今回の事業により、車両やバイクがスムーズに通行でき、周辺の小学校、中学校の通学生の安全が確保できる歩道の拡幅も可能になります。

そこでお尋ねしますが、本事業を予定通り、あるいは予定よりも早く完遂していただきたいと思いますが、現在の課題や今後の見通しについてご答弁いただければと思います。

(3)生瀬門戸荘線の拡幅について

次は県道生瀬門戸荘線の拡幅です。西宮市宝生ケ丘の東にある一部分220mでは、車道幅員が狭小なため、車両の双方通行が困難な状態にあり、また、小学生の通学をはじめ、歩行者が多いにもかかわらず、歩道幅員も狭く、支障を来たしている部分の拡幅工事です。

この事業は平成29年度に事業を開始され、本年で4年目を迎えております。拡幅のための用地買収は順調に推移していると聞いておりますが、現在の進捗状況と今後の工事の見込みについてご答弁ください。


●病院局
1 県立病院の費用の抑制について
(1)給与費について
(2)診療材料費と薬品費について
2 統合西宮病院の配置計画とサービス施設について
(1)病院と周辺環境との調和について
(2)サービス施設について

全文

令和元年度決算特別委員会質問要旨(病院局)

質問日:令和2年10月15日(木)

質問者:栗山 雅史 委員

1 県立病院の費用の抑制について

令和元年度の決算は、経常損益では粒子線医療センター等における患者の減に伴う減収、給与改定による給与費の増や薬品費・診療材料費の増などによる収支構造の変化に対応するため、各病院が収益の確保や費用の抑制に努めたものの、新型コロナウィルス感染症の影響もあり、31億円の赤字となりました。そして当期純損益では、旧柏原病院の特別償却費及び旧こども病院跡地の土壌改良対策工事費等19億円を特別損失に計上したことなどから、3年ぶりの40億円の赤字となりました。

建て替え等特別な理由を除き、病院経営を支える収入源は、まず患者の来院ということになります。令和元年度は新型コロナウィルスの影響がありましたが、令和2年度もその影響は続きますし、医業収益、収入は社会環境の変化による変動要因があるということは、今回で身に染みて感じたことと思います。

その一方で、費用についてはどうでしょうか。過去5年の経営成績を見ると、「医業収益 対 医業費用比率」では84、85%前後で推移しています。つまりは医業収益を上回る医業費用がかかっている状況で、政策医療などのための県一般会計からの負担金・交付金があっても、経常損益で過去5年で黒字は1度しかなく、4年は赤字です。この「医業収益 対 医業費用比率」については、私は例えば90%程度を目指すべきだと思いますし、収益をあげるための努力も必要ですが、額の大きい固定経費などの抑制を中心にもっと努力すべきだと考えています。

そこで今回は、この医業費用を構成する「給与費」と「診療材料費と薬品費」について、以下質問します。

(1)給与費について

まず、患者が来ても来なくてもかかる固定経費の給与費、これは令和元年度決算で医業収益に対して60.1%ということでした。過去5年の経営成績を見ると、少しずつ減少しているように見えますが、約60%の水準で続いており、高い水準だと思います。「第4次病院構造改革推進方策」には給与比率の改善として、1つに「業務の委託化や効率化を検討し、給与費の適正化を進める」とあり、2つに「給与比率の抑制を推進する」とあります。

ここでお尋ねしたいのは、「給与費の適正化」とはどういうことを指しているのかということ、そして「給与比率の抑制を推進」とありますが、目標数値としてはどのように考えているのか、まずその2点をお聞きします。

(2)診療材料費と薬品費について

続いて、材料費、詳しくは診療材料費と薬品費についてです。こちらも「第4次病院構造改革推進方策」によりますと、診療材料費の抑制として、コンサルのノウハウを活用する、一括購入に取組む、在庫管理を徹底して使用数量の適正化を図ると書かれています。しかしながら、平成29年度決算によると、平成25年度決算に比べて医業収益比率が11.9%から13.4%に上昇しています。令和元年度においてはどのような結果だったのでしょうか。費用抑制のための使用数量の適正化などは図れたのでしょうか。

もう一つ、薬品費ですが、こちらも低廉な価格での購入や、後発医薬品の使用拡大、医薬品の院内仕様指針(フォーミュラリー)の導入を検討とありますが、先ほどの平成29年、25年決算の比較では16.6%から18.5%に上昇しています。こちらも費用抑制のための取組みはどうだったのでしょうか。お答えください。

2 統合西宮病院の配置計画とサービス施設について

統合西宮病院は2020年、令和7年の開院を目指して、現在、県病院局と西宮市で各方面での調整が行われているところだと認識しております。今年の2月の私の一般質問時には、「統合西宮病院に接するJR線で新駅の可能性はあるか」という質問を県土整備部にさせていただきましたが、今回は当該部局である病院局に、この統合病院の建物の構造や周辺環境との調和、院内のサービス施設について質問したいと思います。

(1)病院と周辺環境との調和について

まずは病院と、周辺環境との調和についてです。

今年のコロナ禍があってから、感染症対策のための陰圧室の設置などを検討されると、計画を少し修正されているところですが、今回は病院や立体駐車場と周辺環境との調和について、現在の計画を知りたいと思っています。と言いますのも、県立尼崎総合医療センターができた時に、開院当初は立体駐車場が完成しておらず、周辺道路で渋滞を引き起こしたということを聞いておりますので、統合西宮病院についても、病院や立体駐車場へのアクセスや設置時期、そして動線などについても確認しなければならないと思っていました。

周辺環境との調和、つまりは敷地の周辺との接続についてですが、計画によりますと、国道2号線に面する南側に病院建物、北側に立体駐車場を設置することになっていまして、そのアクセスですが、電車、車、徒歩などで来られる患者さんやお見舞い来訪者などが、安全に、迷わないようにスムーズに、そして渋滞しないように、いろいろな方向から入れるのかどうかを確認したいと思っています。

病院への交通アクセスについて、現在どのように検討されているでしょうか。ご答弁願います。

(2)サービス施設について

次にサービス施設についてです。

最近では公的病院でも、カフェやコンビニなどのサービス施設が充実しているようです。もちろん、現在ある県立病院についても様々なサービス施設が備えられていますが、これからできる新しい病院ですので、この時代、そして将来にどのようなものが必要なのか、私なりに全国のいくつかの病院を調べてみましたので、それをご披露するとともに、県病院局のお考えをお聞かせいただきたいと思っています。

平成15年ぐらいでしたか、私が西宮市議になった頃に、京大病院にタリーズコーヒーが入ったというニュースがあって、わざわざ見に行った記憶があります。あれから17年経過しておりますが、その間、全国各地での病院建て替えとかリニューアルの時にでしょうか、いろいろなサービス施設が病院内に出来ているようです。ご紹介しますと、先にも述べましたカフェやコンビニ(昔は売店でした)は当たり前のようにあり、そして食堂というよりはレストラン、理髪店、ここでは頭髪が治療によって抜けてしまった方へのカツラやウィッグの調製も行うようです。これは現在の県立西宮病院にもあります。その他、浴室・浴場、図書室、音楽室、屋上庭園、日本庭園、ATM、プレイルーム、コインランドリー、お花屋さんなどがあるようです。病院は入院患者さんにとってはまさに生活でもあり、また医師や看護師、事務職員など多くの職員さんもお勤めになりますから、そういった意味でも、病院の診療機能以外のサービス施設も重要になるのではないでしょうか。計画によりますと、民間事業者が病院の立体駐車場に利便施設を設置するとあります。その点も含めて、統合新病院のサービス施設についてどのようにお考えか、ご所見をお伺いします。


●企業庁
1 水道用水供給事業について
(1)県営水道への転換について
(2)水道料金について
(3)水道水のボトル販売について

全文

令和元年度決算特別委員会 質問要旨(企業庁)

質問日:令和2年10月15日(木)

質問者:栗山 雅史 委員

1 水道用水供給事業について

(1)県営水道への転換について

令和元年度の決算額は、営業収益が138億4763万円、営業費用が116億2170万円で、営業利益は22億2593万円となり、経常利益は28億7770万円で、前年度に比して経常利益は減少したもの、概ね良好な経営状態が継続されていると認識しています。しかしながら、今後の人口減少社会での水需要の減少を鑑みると、水道用水事業を健全かつ継続的に経営していくには、県内市町へのさらなる県営水道への転換や、県営水道の受水率の向上などの取組みが必要となってきます。

そんな中、三田市などからは人口減少に加え、節水機器の普及や節水意識の高まりなどにより水需要が減少しているため、県水受水量を削減して欲しいとの要望もあります。また、県水受水団体からは、責任水量制についての是非や、計画給水量に対する申込水量が市町等によって20%台~100%とばらつきがあることなど、様々な立場からの意見が寄せられています。このような課題にもしっかりと対応していかざるを得ません。

そんな中ではありますが、健全経営を続けていくためには先ほど申し上げた県営水道への転換や、受水率の向上などの取組みが必要となってきます。県水依存率は、合計で18.4%となっています。市町の浄水場の廃止等を契機に、もっと上げていきたいところです。

次に、県営水道への転換ですが、いただいた資料によりますと、平均的な家計消費、月20㎥使用の場合で試算したものですが、県下の市町や事業団の水道料金は、県営水道よりも高いケースが見受けられます。本当にそうであるならば、受水している22市町1企業団以外でも、県営水道への転換の可能性はあるのではないでしょうか。

そこでお尋ねします。県営水道への転換の可能性、そして県水受水率の向上に向けた取組みについてと、市町等からの要望にどう応えていくのか、ご所見をお伺いします。

(2)水道料金について

次に、水道料金についてです。現在は、二部料金制をとっており、令和2年度~5年度の平均供給単価は1㎥120円とされています。二部料金制を採用された平成12年度からは、概ね4年ごとの料金算定期間の収支見込みに基づいて料金を見直し、再設定されていまして、当初の155円から徐々に料金は安価になっています。その経過については、現場の皆さんのご努力に感謝するものですが、兵庫県の県営水道は比較的後発にスタートしたことで、企業債の返還や減価償却費等がまだ大きいことから、全国の府県営水道21団体で、2番目に高い料金設定となっています。一番安いところで44円と、その差はかなり大きいです。

水道用水事業の現在の財務状態から考えますと、急激に料金を下げることは難しいことが予想されますが、今後の経営努力によって、まずは全国平均並みの水道料金を目指していってほしいと思います。平均は91.33円です。そして、その結果、県下の市町の受水が増加するという可能性もあると考えられます。

今後の水道料金についての見通しについて、ご所見をお伺いします。

(3)水道水のボトル販売について

最後に、水道水のボトル販売について、つまりは水道水をペットボトルに詰めての販売の可能性について、提案を含めた質問をいたします。

現代は、ボトリングされた水を買うのが普通になってきました。私も、水を飲むならペットボトルのミネラルウォーターをと、わざわざ購入してしまいます。それは、一時期の水道水に対するイメージ、つまりはトリハロメタンが入っているとか、カルキ臭いとか、そういった水道水に対するあまり良くないイメージが残っているからだと思います。しかし、最近の水道水は安全で、成分的にも全く問題ないとされておりまして、水道水でお酒を造っているところもありますし、昔の水道水に対するイメージを払拭しようと、全国の水道事業者が水道水を詰めたボトルをPRしたり、積極的に販売もしています。

例えば、東京都水道局では「東京水」として500ml、103円で売られています。他には横浜市水道局で「はまっ子どうし The Water」、さいたま市水道局の「さいたまの水」など、全国各地で水道水のPR、販売を行っています。大阪広域水道事業団では水道水のPRのために、タリーズコーヒージャパンと連携し、安全でおいしく、コストパフォーマンスに優れた水道水の良さを再発見してもらうイベントなどを実施しています。

水道水なら500mlでいくらでしょうか。県営水道が1㎥120円ですから、1㎥は1000リットルで1,000,000ml。500mlなら原価は1円どころか、1円の1万分の5です。分かりやすく言うと、120円で2000本分買えます。最低でもつくっている水の原価の2000倍の値段で、ペットボトルに入った水なら買ってくれるという不思議があります。これは行動経済学でという学問で、人間の行動の不思議を紐解いているようですが、ここでは割愛します。

つまりは、企業庁は水屋さんなのだから、もっと別のやり方で、水を売ってはどうですか?という提案を含めた質問です。既に企業庁さんはアルミボトル缶の保存飲料水を作られていますよね?あれはいかにも備蓄用って感じなので、売るんだったら、ペットボトルにしてもらって、飲みたくなるようなデザインのラベルを貼ってもらってね。で、ネーミングもですね、「兵庫県の保存飲料水 水!」ではなくて、例えばダムや浄水場の名前を付けたような「神出の水」とかだったら、どこの水かわからない人でも、名前が「神が出る」ですから美味しそうではないですか?

今後の人口減少社会と考えると、企業庁に新しい切り口、新しい水商売、新事業が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

栗山 雅史
西宮市


<中田 英一 議員>
●財政状況

1 県税等の収納率向上について
2 ふるさと納税について
3 狩猟税について

全文

令和元年度決算特別委員会(財政状況)

質問日:令和2年10月6日(火)

質問者:中田 英一 議員

1.県税等の収納率向上について

令和元年度の未納税額は前年より減少したとはいえ86億円にものぼっています。

未納となっている原因は様々であり、無資力者から無理に取り立てるというものではなく、「資力があるにもかかわらず支払われないケース」を減らすことが重要です。

このうち、「絶対に支払わない」と誓っている県民は少なく、「なんとなく後回しになっているケース」や「うっかり忘れていたというケース」も往々にしてあると予測されます。

まず、「なんとなく後回しになっているケース」については、自分にとって使い勝手のいい支払方法があれば、後回しにせず適時に支払い手続きをしてくれるのではないかと考えます。

総務省が実施したキャッシュレス決済のキャンペーンやコロナの影響によって非接触型決済が普及するなど多様な支払い方法が選択できるようになり、個々に使い勝手のいい支払方法なるものができつつあるように感じます。

例えば、日経新聞では、昨年5月までにLINEのスマホ決済「LINEペイ」を導入する自治体が90、ヤフーの同様のサービスについては180を超え、全国の1割の自治体をカバーしている、とあり、そこから各社続々と参入しています。クレジットカード納税については従前から自動車税種別割において導入されていますが、対象税目の拡充や、その他のキャッシュレス納税手段の導入等支払いの多様化対応について、その進捗および展望を伺います。

次に、「うっかり忘れていたというケース」は、納付書が郵送されても、新聞を取っていなかったり、手紙のやり取りが少なくなっていたりすることから、郵便受けを見る習慣の少ない県民が見落としているような場面も想像されます。

しかし、このような世帯は固定電話もなく、携帯電話・スマートフォンの番号を登録番号に使っていることが多く、直接、携帯電話・スマートフォンにメッセージを送ることができるため、SMSを使った督促を東京都などが開始し、成果を上げていると聞きますが、わが県においてはどのようにお考えでしょうか。

各種述べてきたが、実際に最もありがたいのは口座振替やクレジットカードの登録により、毎回自動的に収税できることだと思う。そこで、思い切った優遇措置を提示して、県民に口座やクレジット登録をしてもらう強力なインセンティブを与える方法はとれないでしょうか。徴税方法毎の平均的なコストが算出できれば、差額をディスカウントする形で誘導できると考えます。

以上、令和元年度の未納税額の状況と、収納率向上のための新たな取組についての所見をお伺いします。

2.ふるさと納税について

平成30年度の兵庫県のふるさと納税に係る寄附受入額と住民税控除による減収分の差引は56億円の赤字となり、6月からは返礼品の基準が厳格化されたが、それでも令和元年度も56億円の赤字となっています。減収分の75%は地方交付税で措置されるとはいえ、コロナ禍による厳しい財政状況や県内事業者のことも考えると、本年も黙って赤字を垂れ流すわけにはいかないのではないでしょうか?

そこで、1つには、これまでのスタンスには反するものの、期間限定で返礼品を充実させるという方法が考えられます。コロナ禍において、農水省が実施する「品目横断的販売促進緊急対策事業における地域の創意による販売促進事業」を利用したふるさとチョイスのニコニコエール品が注目を集めています。

もう1つは、やはり返礼品競争には加わらず、けれども減収は食い止めつつ別の目的を達成するという方法です。

先日、佐賀県で、ふるさと納税をNPO法人の寄付集めに利用し、NPOがより有利に寄付金を集めることができる制度を視察させて頂きました。そこで平成30年度は5億3100万円を集めた実績を持っていると伺いました。わが県が行っている、「特定のプロジェクトを応援したい気持ちを集める」という趣旨に親和性があり、NPOの盛んな本県においてこの制度を参考にすることはできないか所見を伺います。

3.狩猟税について

狩猟税は昭和38年に税額が法律で定められた地方税です。

これは一定税率と解釈され、地方自治体で独自に変更することは難しいが、制定当時の時代背景と現状とが食い違っているように感じます。すなわち、狩猟は趣味であるという考え方が根底に流れているように思います。

山林農村部ではイノシシとシカが増頭し、林業・農作物被害が著しい状況です。農家がやむを得ず、自衛手段としてわな免許を取得しているケースも多いです。実際に県や市町もそういった免許の取得に対しての補助制度を設けています。

しかし、狩猟税額は「猟銃1種16,500円 猟銃2種は5,500円 罠は8,200円」である。わな猟は第2種の空気銃より高い税額となっています。

さらに税制改正で、改正鳥獣保護法で新たに、シカやイノシシなどの駆除を専門に行う認定捕獲事業者と、鳥獣被害防止特措法で市町村から任命される対象鳥獣捕獲員について、狩猟税を全額免除、有害鳥獣駆除に協力するハンターは半額免除となったものの、鳥獣捕獲員は数年の狩猟経験を持つ猟友会員がなるのが通例で、この免除方針で負担が軽減するのは経験を積んだハンターだけ。

つまり、自衛のためにわな免許を取得したようなハンターに優遇がなされない状況です。

猟師登録をするには、このほかにも、猟友会費、支部会費、保険料、証紙代などが必要で、私の場合は第2種とわなで合計36,700円となる。シカを3頭以上捕獲できれば報奨金も得られますが、初心者にすぐ捕まえられるほど猟は簡単でなく、免許を取得する人が増加しても続かなければ狩猟者全体は縮小し、獣害も減らすことができません。

このアンバランスの是正措置については、後日農政環境部のところで質問させて頂けたらと思いますが、税制としてのずれを国に指摘すべきと考えますが所見をうかがいます。


●健康福祉部
1 国民健康保険事業特別会計について
2 不妊治療と仕事を両立できる環境の整備について

全文

令和元年度決算特別委員会【健康福祉部】

質問日:令和2年10月8日(木)

質問者:中田 英一 委員

1.国民健康保険事業特別会計について

国民健康保険制度は、平成30年度から、保険者である市町とともに都道府県が安定的な財政運営や効率的な事業の確保をはじめとする運営の中心的な役割を担っています。

国民健康保険の具体的な保険料および税の徴収業務は、市町が実施し、県は徴収された保険料及び税を主な財源とする納付金を収受し、医療費として保険給付に要した費用を市町に交付しています。このとき徴収できなかったものは、滞納分となり、滞納分が徴収できなかったものは、不納欠損としてその調定の金額を消滅させています。

不納欠損額は平成31年度約28億円で調停額の約2%となっており、当然不納欠損は少なければ少ないほど、つまり徴収額が多いほど国保会計は潤沢となり、国保料等にも影響してくるため、意識をしなければなりませんが、現状では、徴収事務を担っていない県は、この不納欠損の内容や内訳、すなわち、執行停止による消滅がいくらで、時効消滅がいくらかを把握できていません。

しかしながら、運営者である県から、収納率に応じた交付金を市町が受けるという制度があります。そうすると、市町からすれば、できれば全額徴収をすべきですが、人員が限られ手が回っていない現状に鑑みて、徴収が難しそうな対象者についてはどんどん不納欠損としておとしてしまい、徴収しやすい対象者から徴収し、見かけ上の収納率をあげる方が効率的だという事になりかねません。

これが常態化すれば、本来公平に徴収されるべき税の原則が根底から崩れ、取りやすい者がとられる。ごね得や、正直者が馬鹿を見るといった現象につながるおそれがあります。

これを防ぐためには、「兵庫県国民健康保険運営方針」をさらに踏み込み、例えば、滞納者に対する財産調査に統一基準を設け、県が運営の責任者としてチェックする仕組みや、徴収事務を支援する仕組みを構築することも有用だと考えますが、県としてこの現状をどのように捉え、不納欠損を低減させるためにどのような取り組みを行っているのか所見を伺います。

2.不妊治療と仕事を両立できる環境の整備について

先日、淡路島北部に本社機能を移転させると発表されたパソナを訪れ、移転を決められた顛末や、これからの移転にあたっての課題などを聞かせて頂く中で、住居・保育施設・交通機関などのインフラとあわせて「不妊治療できる医療機関の整備」というものがありました。

比較的若い世代が多く活躍する同社において、働きながら不妊治療を行える機関が職場の近くにあることが重要な要素であるのは、言われてみれば自明のことであります。

県北部但馬地域における同様の問題意識は、昨年12月議会で橘議員からご指摘があった通りですが、現在、淡路島北部エリアにおいて不妊治療が可能な施設は0件で、淡路島全体でみれば南あわじ市に1件という状況です。北淡地域から南あわじ市までは車で片道40分程度かかり、日常生活での移動圏とは言い難く、ましてや、都市部からの移住者は一人1台自家用車を保有する習慣はなく、この距離は現実的ではないと言わざるを得ません。

ポストコロナ社会に向けて、企業誘致なども含め地域の再生・創生を進めていかれる本県として、重要な視点であります。

そこで、仕事を辞めることなく、働きながら不妊治療を受けられる環境づくりが必要であると考えますが、今後の取組について、当局の所見を伺います。


●農政環境部
1 新規就農者の定着について
2 鳥獣害対策について
3 RE100の実現に向けた取組について

全文

令和元年度決算特別委員会(農政環境部)

質問日:令和2年10月12日(月)

質問者:中田 英一 委員

1.新規就農者の定着について

これまで新規就農者を支援するセミナーや相談会、駅前講座など多様な施策を講じてこられたが、就農者数は平成29年から279人、平成30年256人、令和元年243人、で合計778人となっています。このうち、農家の子弟と雇用就農を除く非農家の独立就農者は273人になります。また、非農家出身の独立就農者の就農3年後の定着率(R2.3末現在)は78%ということですが、農業は天候との戦いでもあり、もう少し長い目で見なければひとり立ちできるかどうかの判断は難しいでしょう。

コロナの影響で、地方移住を考える若者の増加が見込まれるなか、就農による移住についても注目が高まっていますが、地方での仕事の選択肢として農業・新規就農を入れてもらうためには、もう少し高い定着率を示せなければ弱いと考えます。

少なくとも就農前に、条件の有利不利が判断でき、この条件なら少なくとも80%以上は独り立ちまで大丈夫というような提示ができないと厳しいのではないでしょうか。

そこで、これまでの新規就農施策の成果と課題を踏まえ、ポストコロナに向けた政策の展望について伺います。

これまでの取り組みで厳しいのであれば、大型機械や先端ICTの導入などを県の支援で積極的に行い、成功モデルを準備することも有用であると考えますが、所見を合わせて伺います。

2.鳥獣害対策について

先日の財政状況において、税額既定のずれを指摘しましたが、改正されており税制は実情と齟齬がないという趣旨の答弁でした。

少し残念だが、私のスタンスは変わらず、農林業の現場で鳥獣被害に苦しむ目線で、対策について質問したいと思います。

先日も述べた通り、自治体はわな猟免許の取得を支援していますが、新人がすぐにイノシシやシカを捕獲するのは難しいと認識しています。

県は、来年度三木市に建設予定の狩猟者育成センターにおいて、射撃場だけでなく、わな猟に関しても狩猟者育成の観点をもって運用を検討されていると承知をしていますが、新人狩猟者の狩猟状況と、それについての所見、さらには今後どのような対策を講じていくつもりか所見を伺います。

個人的には、新人狩猟者を増やして鍛えるのと並行して、実際に成果を即効的にあげる対策を講じる必要があると考えます。例えば、大型捕獲装置、やICTを駆使した最新の技術を用いた装置の貸し出し・導入や、専門捕獲チームの派遣をもっと活発に行い集落単位である程度の機関で徹底的に捕獲する方法が有効ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

3.RE100の実現に向けた取組について

兵庫県では県内事業者に対して再生可能エネルギーの普及・利用促進を進めています。しかし、県が保有・運営する施設においてのRE100はまだ達成されていません。

自らができていなければ指導してはならない、とは考えませんが、リードする立場である兵庫県が達成できているにこしたことはないでしょう。

そこで、本県においてRE100を達成するための道筋をどのように見ておられるのでしょうか。また課題はなにか。現状と展望について所見を伺います。


●県土整備部
1 校庭貯留について
2 オールドニュータウンの再生について
3 今後のバスの維持確保について

全文

令和元年度決算特別委員会 【県土整備部】

質問日:令和2年10月13日(火)

質問者:中田 英一 委員

1.校庭貯留について

全国に先駆けて制定された総合治水条例に位置づけられている、校庭や公園など広い場所に雨水を一時的に貯留して流域からの雨水流出を抑制する方法は、今や全国的に広まりつつあります。

河川流域がワンチームとなって水害に備えるという素晴らしい取り組みだと考えますが、その陰で、校庭に池のように水をためると排水の際に細粒分が流れ出すなどし、丹念に整備した校庭のコンディションは悪化します。地元の高校に聞けば、その整備は高校に一人しかいない校務員さんが行っており、マンパワーだけでは復旧できない部分もあるといいます。

手を挙げた高校も、他の学校が等しくこのデメリットを負担するのであれば、納得を得られると考えたところが、その後、整備は伸びておらず県内17校のみにとどまっています。

県の取り組みとして県の施設から率先して始めるということがあったかと思いますが、復旧にかかる負担の大小や公平性についてどのように考えておられるでしょうか。これまでの成果とこれからの整備方針、校庭貯留施設の整備増加があるのかもあわせて伺います。

2.オールドニュータウンの再生について

県で取り組むオールドニュータウン対策については、集合住宅中心の明舞団地をモデルにスタートし、他の戸建て住宅中心のニュータウンにも広げられています。

非常にいい制度・支援だと思いますが、昨年6月の段階では活用実績があがっていませんでした。しかし、コロナにより都市部からの移住ニーズが増加しています。

本委員会でも多く出ていることですが、これは、多自然地域だけでなく、こうしたオールドニュータウンにも十分あてはまると考えられます。そもそもニュータウンブームの際も都心から郊外への考え方でした。

ポストコロナに向けて、どのように対応していくのでしょうか。空き家やテナント施設の空きスペースをサテライトオフィスのような、テレワークを意識した用途にも使えるようにできないでしょうか。現状とこれからの取り組みについて伺います。

3.今後のバスの維持確保について

通勤、通学、買い物といった日常生活を支えるバス路線を確保することが重要であることから、県では、国や市町と連携し、昭和47年度から事業者が運行する路線バスへの支援を実施してきました。

さらに、利用者の減少に伴い、路線バスが撤退や減便された地域においては、事業者に代わって市町が運行するコミュニティバスに対しても支援してきました。

しかし、都市部においてもバスの主要な利用層である通勤、通学者が減少しており、人口の将来推計からもバス利用者が近いうちに回復することを期待できないことから、従来の支援だけでは、バス路線の維持が限界になっているのではないかと考えます。

こうした厳しい状態を踏まえ、県内の事業者においては、新たな収益源を得るために、人と荷物を一緒に運ぶ貨客混載等が試みられています。また、福崎町では、大学が運行する通学バスをコミュニティバスとして活用するなど、地域の移動手段を確保するために様々な工夫が行われているところです。

そこで、人口減少下においても地域の移動手段を確保していくため、県においても事業者や市町を支援する新たな取組が必要であると考えますが、所見を伺います。


●総括審査
1 財政運営について
2 妊娠・出産・子育て環境の整備について
3 介護人材の確保について
4 パラダイムシフトを見据えた産業活性化策について
(1)企業の人材確保について
(2)新しい事業への支援について
5 環境優先社会の実現に向けて
6 今後の防災・減災、国土強靱化対策について
7 教育現場におけるゆとりの確保について

全文

令和元年度決算特別委員会 【総括審査】

質問日:令和2年10月19日(月)

質問者:中田 英一 委員

本年初頭から広がった新型コロナウイルス感染症による脅威は、今月14日に、ヨーロッパ全体での1日の感染者が約10万5千人に上り、17日からフランスではパリやマルセイユ、リヨンなど9つの都市圏で夜間の外出禁止、イギリスでは首都ロンドンで一緒に暮らす家族以外と屋内で会うことが禁止されるという新たな措置がとられるなど、今なお世界的に予断を許さない状況にあります。

本委員会での審査対象である令和元年度決算については、そこまで大きな影響は出ておりませんが、本年度以降における本県経済や財政に与える影響はどこまで膨らむか計り知れません。

現状ですでに、令和2年度の税収は当初予算に比べ、約1000億円の減収、令和3年度に至っては、現在の財政フレーム上の税収見込から、約2000億円の減収とも言われています。

ポストコロナ社会における新たな兵庫を作り上げていくには、スタートとなる令和元年度をしっかりと振り返ると同時に、コロナによって引き起こされるであろう「パラダイムシフト」後の新しい価値やニーズを柔軟にキャッチして対応することが重要だと考えます。

そこで、これらの視点を軸に以下質問させて頂きます。

1.財政運営について

本県は、阪神淡路大震災からの厳しい行財政運営の立て直しに挑み、リーマンショックをはじめ激動の時代を乗り越えて、一定の成果をあげてきたところにこのコロナの衝撃を受けることとなりました。一説には、どう頑張ってもコロナ  以前の7割までしか経済は回復しないとも言われています。

このコロナ禍は全国、全世界を巻き込んだ一種の災害でありますので、財政についても国に頼らざるを得ないという側面はありますが、それですべてをカバーできるわけではないと考えます。

もちろん、コロナが一過性のものに終わり、完全に元の経済状態に戻るということもあり得ますから、どのように進んでいくのか注視する必要はありますが、言われているように「7割経済」と「パラダイムシフト」が現実のものとなるのであれば、本件財政の立て直しに向けた更なる「選択と集中」が必要となるうえに、その選択と集中を行う「基準」を新たに作らなければなりません。

そのような場合を想定したとき、本県としてどのような「基準」や「方向性」を打ち出し、ポストコロナ社会の財政運営を行っていかれるおつもりかご所見をお伺いします。

2.妊娠・出産・子育て環境の整備について

令和元年10月より幼児教育・保育の無償化が一部スタートをしました。これにより、入園希望者数および待機児童数が増加することが懸念され、本県においても保育所整備の補助制度を用意されましたが、執行率は20%程度にとどまったということで、限られた貴重な予算がニーズに対応できなかった原因の追究をしなければならないというのは部局別審査でも当会派委員が指摘した通りであります。

加えて、ポストコロナにおいては、生産拠点の国内回帰による工場や本社機能の移転、あるいはテレワーク中心の働き方による地方移住、ワーケーションの促進など、労働力世代の県内移住が活発化するという動きが予測され、淡路で話題となっているようにまとまった移住が見込まれる場合や誘致をしていく場合には、それに合わせて不妊治療を含めた周産期医療や保育所など子育て環境の整備に対するニーズが高まってくるものと考えます。

そこで、部局内ではありますが、課をまたぐこととなる「妊娠・出産・子育て環境の整備」という横串の視点から、県として取り組みを行っていくことは考えられないでしょうか、ご所見をお伺いします。

3.介護人材の確保について

2025年にはすべての「団塊の世代」が後期高齢者となり、介護職員は37万人が不足すると推計されています。

人材不足の要因の一つとして、介護職員の賃金の低さが挙げられています。平成30年の介護報酬改定により6年ぶりの増加となりましたが、それでも同年のケアマネージャーの平均年収は約385万円、ホームヘルパーは約330万円。医療系の看護師や准看護師の400万円台と比較すると、介護の際などに身体を痛めるケースも多いなど重労働であるわりに介護士の評価は低いと言えます。

こうした背景から、介護職の人気は低迷を続け、大学では福祉系の学部がなくなったり、学部を卒業しても多くの学生が他の一般企業へ就職したりする現状があるということです。

平成29年11月から外国人技能実習制度に介護職が追加されましたが、語学の壁などで定着が難しかったり、今回のコロナによる渡航制限で、この制度に依存することのリスクが露呈しました。加えて、県内福祉施設でクラスターが発生する等危険だというイメージも出てしまいました。

高齢化が止まらないなかで介護職員の確保は待ったなしの状況です。部局別審査で当会派委員より指摘のあった総合衛生学院介護福祉学科での外国人留学生の受け入れおよび就業支援等も重要ですが、あわせて介護職自体の魅力を増加させ、周知することで、全体のイメージアップを図ることが重要だと考えます。

私も介護職員をしておりましたが、誤解を恐れずに言えば「現場はやりがいを感じ意欲の高い職員が物理的な人手不足のなかを、踏ん張り何とか持ちこたえている状況」という風に感じています。逆に言えば、介護職員は困っている人に直接向き合って支援を行い、利用者の苦労の緩和やときには成長を目の当たりにし、心からの感謝を受けるなど、やりがいを感じる場面の多い職業だと思います。

先ほど紹介した低い賃金体系や、身体への重い負荷、さらにコロナでのクラスター感染の恐れなど、現存する不利な状況を1つずつ改善し、適切な発信をすることができれば、この2025年問題は解決可能だと感じています。

そこで、収入面への支援、介護支援機器や感染防止設備などの導入で職場での不安を取り除きつつ、職業としての魅力をいっそう高め、人材が集まってくるような取り組みはできないかと考えるが、当局のご所見をお伺します。

4.パラダイムシフトを見据えた産業活性化策について

(1)企業における人材確保について

コロナの影響で働き方の多様化が目覚ましく推進され、テレワークやワーケーションなども当たり前になりつつあります。一方で、海外からは渡航制限がかかり、増加傾向にあった外国人技能実習生が入国できないなど、頼りにしていた事業者にとっては大きな痛手ともなりました。機械化やAIの導入も進んでいるとはいえ、少子化の折、まだまだ多くの企業においては人材の確保は重要なカギとなっており、ワークライフバランスに直結する、「労働者のニーズに合わせた働き方の提供」は企業の魅力としてさらに重要度を増しています。

同様の内容は部局審査でも多くの委員から出されたところでありますが、私からはUJIターンなど移住者を含む求職者からの視点で伺いたいと思います。

ポストコロナ社会に向けて、ワークライフバランスを進める県内企業の魅力をどの他府県にも負けず、しっかりと求職者に伝えるためにどのような工夫をもって取り組みを行われるおつもりでしょうか。県が先導的にこのような取り組みを行うことの強みを活かし、県内における人材をいかに確保していくつもりかご所見をお伺いします。

(2)新しい事業への支援について

コロナの影響を受け、県内観光・飲食業をはじめ多くの企業に甚大な被害が発生し、倒産や廃業も数多く出てしまいました。事態はまだ予断を許さず、そうした事業者への支援は当会派委員より部局別審査において質問した通りでありますが、その一方で、部品の供給などについて海外に依存していた事業者はコロナを教訓とし、サプライチェーンの国内回帰を目指すという機運が高まっています。

本県では、従前より産業団地の整備・誘致にも取り組んでおり、この需要を適時的確に取り込んで頂きたいところであります。また、大きなパラダイムシフトが起きた後には、新しい事業やサービスが沸き起こる可能性も十分に考えられます。これまでも本県では起業支援・発掘する取り組みに力を入れてきておりその土壌も十分に整っているのではないかと期待しているところであります。

そこで、これからの製造業などの企業誘致の在り方および、既に実施されている制度について、例えば「ポストコロナスタートアップ支援事業」については今年度事業の募集が終了しておりますが、非常に素晴らしい制度と考えられるため、こうした取り組みの拡大や継続されるお考えがあるかにつきまして当局のご所見をお伺いします。

5.環境優先社会の実現に向けて

世界経済フォーラム(WEF)が「ダボス会議」に先立って公表した「グローバルリスク調査報告書2020年版」では、起きうるリスクとして指摘した上位5項目が初めて、すべて環境関連で占められ、政治家や経営者が気候変動や環境破壊を最も重大な長期リスクと認識していることが明らかになりました。

コロナとの直接の因果関係は明確にされていませんが、環境省においても気候変動が感染症のリスクを高めることを警告しています。

さらに、各地で頻発する異常気象の猛威に目を向ければ、本県も気候変動による危機に直面していると言えます。そして、ポストコロナ社会では、県民の環境への意識も客観的な重要性も飛躍的に高まるのではないでしょうか。“環境を優先する社会”とも自称する、豊かな自然に恵まれた本県の魅力のひとつは「環境」ではないかと考えます。

これまで、本県では地球温暖化対策推進計画に基づき、温室効果ガスの排出を2030年度には2013年度比26.5%という国を上回る削減目標を設定し、再生可能エネルギーの創出や省エネの取り組みを推進してきました。

その進捗状況は、温室効果ガス削減目標の達成率がH29年度で2013年度比マイナス8.7%と、2020年度中間目標のマイナス5%を上回っているということですが、ポストコロナ社会を意識するのであれば、これまでの取り組みに加えてさらに踏み込んだ改善策を打ち出し、「環境立県」を目指すべきではないかと考えますがご所見をお伺いします。

6.今後の防災・減災、国土強靱化対策について

先にも述べたように、令和元年度も多くの自然災害が日本各地を襲いました。異常気象が常態化し、南海トラフ地震の想定もされるなか、安心な兵庫を実現するためには、長期にわたる環境対策と合わせて、短期的な、災害による被害の予防、低減および復旧の迅速化を実現する必要もあると考えます。

本年度まで実施されている国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」は、河川内の樹木伐採や堆積土砂の撤去など、短期間で効果を発揮する防災・減災対策として、これまで予算の面からあまり進まず蓄積していた県内各地の課題箇所の解消に大きな効果を発揮しました。

しかし、本年度で終了することに対して、各地から期間が足りないという声があがっているのは、本委員会部局審査でも出てきているところであります。

言うまでもなく、国も本県でも人口減少、またコロナ禍という大打撃を受けた今、財源は限られており将来を見通し真に必要なものに的を絞るという視点は抜かしてなりませんが、近年の豪雨災害の激甚化、頻発化、広域化している状況や、南海トラフ地震の発生リスクが高まっている状況を考えると、これらの河川、砂防、海岸等の直接的な事前防災とあわせて被災後の救命救急活動、支援物資の輸送、迅速な復旧・復興活動、日常的な経済活動の維持など早期の社会生活の復旧を支える交通基盤の強化も重要になって参ります。

そこで、県では、3か年緊急対策の後も中長期的な視点に立ち5か年計画の策定等を国に要望するとのことですが、その新たな強靭化計画にさらに強靱で信頼性の高い道路ネットワークの構築と言った視点も加える必要があると考えますが当局のご所見をお伺いします。

7.教育現場におけるゆとりの確保について

コロナの影響によりICT化の遅れや、教職員の多忙さ、さらなる児童生徒への目配り・ケアの必要性など、問題点が改めて顕在化しました。こうした課題への対応については、臨時的な人員配置を含め本年度の補正予算等で措置をしていただいているところであり、一日も早い対応が期待されております。

しかし、コロナ対応は本年度限りの時限的な対応に過ぎず、次年度以降は基本的に元の体制に戻ってしまいます。現在、教員業務を補助的にサポートするスクールサポートスタッフは、モデル的に各市町に1名を配置しており非常に効果を発揮していると聞きますが、予算面で市町にゆとりがなく、今後市町での独自採用となると実績はそこまで増えないのではないかと感じます。

その一方で、コロナによって増加したICT化の促進や消毒・清掃の徹底などの新たなタスクは教育現場に積みあがり、さらなる教育現場の多忙化が現実のものとなってしまいます。

ただでさえ英語、プログラミング教育等どんどんと「やること」が増える現場において、少人数学級の実現や市町独自のスクールサポートスタッフ配置など恒久的な人員増加・配置ができないのであれば、学校あるいは教職員が「やらないこと」を明確にリスト化し、具体的かつ積極的に市町教育委員会に周知・促進していくことが、教育現場における多忙化の解消、ひいては児童生徒が手厚い配慮・教育を受けることにつながる最短のルートであると考えます。

多忙化解消については、中教審が一定の指針を示しておりますが、抽象的ですぐに実践できるというものではないため、もう一歩踏み込んだ具体的な手法を明示し、各手法における実際の効果についての共有ができるなどの仕組みがなければなかなか進まないのではないかと感じます。

また、現状では市町教委に予算的なゆとりがないため厳しいと見解を示しましたが、他の部分で支出を抑えることができれば、独自の人的配置に予算を回すことのできる市町教委もあるかもしれません。例えば、今後導入や更新されるシステムや備品等について県教委がとりまとめ役となり、有利に調達・交渉することができれば、各市町教委の支出の節約につなげることも可能と考えます。

以上のように、教育現場の多忙化解消に向けて、市町教委を先導するような役割を果たしてもらいたいと考えますがご所見をお伺いします。

中田 英一
三田市


<小池 ひろのり 議員>
●財政状況

1 今後の財政運営と見通しについて

全文

令和元年度決算特別委員会(財政状況)

質問日:令和2年10月6日(火)

質問者:小池 ひろのり 委員

1.今後の財政運営と見通しについて

「今後の財政運営、見通し」という観点から質問をします。

1995年、阪神・淡路大震災が起こりました。多くの犠牲と壊滅的な被害を被った神戸・阪神・淡路地区の復旧・復興のため、兵庫県は約1兆3,000億円の震災関連県債を発行しました。そのために2007年度の実質公債費比率は、20.2%で全国ワースト2位、将来負担比率は、361.7%で全国ワースト1位という大変厳しい財政状況に陥りました。

その後、行革債や退職手当債の発行など特別な財源対策を行うと共に、県民の協力と県職員の人員や給与カット等の懸命な努力により、ついに震災から23年後の2018年度に収支均衡を達成しました。

そんな折、今回の新型コロナウィルスが流行。連日、コロナウィルスによる死亡数と感染した陽性患者数が発表され、国民挙げてのコロナ感染拡大防止策が取られました。そして、8月末までのGo To トラベルを利用した宿泊者数は1,339万人、昨年8月の外国人を除く国内宿泊者数5,374万人に遠く及ばず、お盆の時期のJRの特急、急行列車の利用者数は76%減少、飛行機JALグループ約67%、ANAグループは70%減となり、都市部の店舗は休業要請もあり、現在、経営の継続さえ困難に陥っている店舗も多数あります。更に、個人消費も冷え込み、GDPは4~6月期でー7.9%、年換算ではー28.1%となりました。企業業績も悪化し、経済はすっかり冷え込んでしまい、兵庫県でも20年度の県税収入は1,000億円もの大幅な税収減が予想される状況となってしまいました。

この状況で、国は景気の落ち込みに対し、Go To キャンペーンで経済復興を図ろうとしています。先日、「Go Toキャンペーンのお陰で、1泊8万円もするホテルに、1万円ちょっとで宿泊できた。」と喜んでいる人の声を聴きました。しかし、そもそも1泊10万~20万円もする高級ホテルを利用する等、贅沢を望む人にまで税をつぎ込むのは間違いです。医療従事者、大学生、中小企業、個人店主や、生活が困難になっている人たちに救いの手を伸ばし、医療体制を確保し全体的な底上げを図りながら、Go To キャンペーンの良い面は活用し、県独自の知恵を絞った経済復興対策と併せて消費喚起を図るべきだと考えます。

財政が厳しい状況であっても、個人消費や経済を元気づける対策に取り組まなければなりません。この相反する施策のために、県財政の舵をどのように取っていくのか、今後の財政運営と見通しをお尋ねします。


●健康福祉部
1 保育所整備について
2 県立総合衛生学院介護福祉学科について
3 児童相談所の拡充について

全文

令和元年度決算特別委員会【健康福祉部】

質問日:令和2年10月8日(木)

質問者:小池 ひろのり 委員

1.保育所整備について

県内の保育所待機児童は1,528人で、全国でもワースト2位という現状です。にも拘らず、昨年度の認定こども園整備事業7億6千8百万円の当初予算の執行率は16.5%でした。一昨年も22.2%と極端に低いものでした。少子化で将来的に保育所などの過剰が考えられるため、安易な施設の増設は問題があると、ある程度は理解します。しかし、予算を立て議会の審議・議決を得た事業で、きちんと執行されていないのは問題があると言わざるを得ません。

既存保育所の活用や定員の弾力的運用など、創意工夫で保育所待機児童解消に向け、大変困っている県民の声に応えて貰いたいものです。予算執行率の低さの原因と、併せて「保育所待機児童を何とかして欲しい」という県民の声にどう応えていくのか、また、国は、待機児童を2020年度末までにゼロにするという目標と聞きますが、県の見通しについても伺います。

2.県立総合衛生学院介護福祉学科について

現在、県内の介護施設では、介護職員の人材不足で入所希望者がいても、入所者数を増やせられないという現場の声をよく聞きます。結果、都市部の多くの介護施設で、100人以上の待機者がいる所も珍しくはありません。そこで、介護福祉士の増員を図って欲しいという社会の要請に応える形で、令和元年度に県立総合衛生学院介護福祉学科が創設されました。

しかし、同学科の昨年・今年の入学者は、定員40名を大幅に下回り、過去2年間とも20名でした。県の介護福祉士を育てるという方針に、逆行するような結果の原因は何かまずお聞きします。

昨年度、学校現場は「定員割れは大きな問題と認識している。来年は広報に力を入れ、受験者数を増やすように努力します」と言われました。

しかし、今年度も全く同じ結果で、努力の跡が見られません。更に現場の判断で、定員割れをしているにも拘らず不合格者を出し、ますます入学者を減らしているのは更に問題です。昨年は、受験者の中に日本語が適切に喋れないという人を不合格にしたと聞きました。(私は、言語学の専門家です。海外から日本に赴任し、その子弟が全く日本語をしゃべれなくても、日本の小学校は入学を許可しています。そして、殆どの子供が、3日、3週間、3か月の経過で、みるみるうちに言葉の課題を乗り越えています。また私はこれまでに、英語が殆どしゃべれない県内の小・中学生約500名を、豪州にホームステイさせたことがあります。最初の2~3日間は、言葉が通じなくて泣いていた子供が、10日もして研修終了時頃には、今度は「日本に帰りたくない」と言って泣きます。)言葉は、その気になれば何とかなるのです。

昨年、受験資格で募集要項には書かれていない日本語能力で、“後出しジャンケン”的に外国人を不合格にしたことにより、今年、外国人は受験を敬遠しました。介護福祉学科創設の経緯からも、私は外国人も含め介護福祉士を育てるのが、総合衛生学院の使命だと思っています。しかし、現在の同学科は、その教育的な観点が欠落しており、定員を大きく割り、一面的な現場の勝手な判断で入学者を減らしているのが問題です。

過去2年間とも定員の半分しか入学させていないのは、私は、どうしても納得がいきません。介護福祉士を育てようという県の方針に反して、大きな定員割れを起こしている総合衛生学院をどう指導したのか、また、現状をどう認識しているのか、責任ある回答を求めます。

3.児童相談所の拡充について

兵庫県下で虐待された子供を預かる一時保護所は、神戸・明石市を除くと1か所のみ。児童相談所は5か所ですが、人口割合でその数は全国ワースト2位。その一方で、県内の児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は、10年間で3.6倍となり過去最多を記録しています。

虐待が増加している折、茨城県では、県・教育委員会・警察が、児童虐待で相互に情報提供及び共用し、虐待の未然防止と再発防止に努めています。児童相談所が、警察と一緒に対応することで、「相談内容が警察に知らされるため、相談をためらう」保護者もいるという課題も出てきている反面、「一時保護する際に、保護者の抵抗を抑制できる」という評価が多く出てきているそうです。

全体的に、児童相談所と警察署の情報共有により、児童相談所の相談体制と県警の虐待事案の検挙・指導警告等で、子供の安全・安心の確保という面で大きな成果を挙げているそうで、兵庫県の虐待対策として参考にする価値はあると思います。

児童相談所の判断は、一時的にせよ親子の関係を断つこともあります。その分、慎重かつ高度の判断が求められる児童福祉司の資質も問われます。児童虐待を失くすために、児童相談所と児童福祉司の拡充という課題と併せて、積極的に児童虐待対策の取り組みを求めるものです。

そこで、児童相談所の任務と大きな関りを持つ児童福祉司の確保、人材育成はどのようになっているのか、現状と見通しをお尋ねします。


●産業労働部
1 引きこもりに対する就労支援について
2 移住希望者に対する就労支援について
3 コロナ禍における産業活性化について

全文

令和元年度決算特別委員会【産業労働部】

質問日:令和2年10月9日(金)

質問者:小池 ひろのり 委員

1.引きこもりに対する就労支援について

2019年3月、内閣府は15歳~64歳の引きこもり調査で、全国で5千人を抽出、その割合から全国に115.4万人、県内に5.1万人(半数が7年以上)の引きこもりがいると発表しています。

しかし、この数値はどこまで正確なものでしょうか?勿論、参考には出来ますが、あくまでも推定値であることを忘れてはなりません。最近は国勢調査でも、プライバシー意識の高まり等が要因で、前回(2015年)政令市の調査では、平均21.3%が非回答でした。更に負い目に触れるような調査では、現実より低めの数値が出ると容易に想像がつきます。見ず知らずの調査員に「失業中です」とは言えても、「引きこもりで困っている」と、本音で話すことが出来るでしょうか!該当者にとっては、触れられたくない部分の回答を求めるのは特に難しいと理解する必要があり、引きこもりの実数は調査結果よりはかなり多いと思っています。

義務教育で不登校となり、形式卒業は果たしたものの、そのまま引きこもりとなっている人がいます。私は、元・不登校だった人をたどって、夜間中学を訪問したことがあります。同校に通う16~80歳の生徒から、「“本当は、私は小学校もろくに通っていない”ことを、他人には知られたくなかった。しかし、生きる力を付けたくて、夜間中学校に通っている」と言う77歳の夜間中学生の目は輝いていました。

小中学校では、現場の先生も学校に来ている生徒の対応に精一杯で、教育委員会も不登校の生徒までなかなか手が回っていないのが現状です。県下では、辛うじて公立フリースクール“県立神出学園”が、頼ってきた人のみに対応しています。しかし、それ以上の23~64歳の引きこもりに対しては、“手つかず”というのが実態であると思っています。

障害があり働けない人を除いて、引きこもり等が原因で、働きたいのにきっかけや方法が分からず、働いていない現状は、県として大きな損失です!何よりも本人は辛いし、家族も苦しいと思います。しかも、その数が県内だけでも5万人以上いるということ、とんでもない多くの人が苦しんでいること、結果的に健全な労働力を損失していることを、もっと深刻に受け止めねばならないと思います。働くことに誇りを持てるような社会にするために、引きこもり対策で行政が果たす役割は大きいものと思っています。

引きこもり当事者が50歳代、親が80歳代で生活困窮に陥っている“8050問題”もあります。現在、コロナ対策で大変な状況である事を認識しながらも、引きこもり対策が一歩でも前進することを願っています。

県内で5万人を超える引きこもりに対し、健康福祉部と連携し、引きこもりから社会復帰するための就労支援対策を強く願うものです。

産業労働部の積極的な引きこもりに寄り添った、心のこもった対策について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。

2 移住希望者に対する就労支援について

東京に、ふるさと情報提供の場として、「ふるさと回帰支援センター」があります。そこには全国の道府県がブースを設置し、専門員を配置し、ふるさとへのUJIターンを支援しています。そして、若者を中心に年間4万件以上の問い合わせや訪問があるそうです。現在、多くの自治体が地方創生に力を入れ、人口減少を止めるためにこのセンターを活用しております。ちなみに兵庫県は、今年4月より同センターへの出展を行いましたが、もっと積極的に移住支援を行い、兵庫県への呼び込みをしていくべきだと思っています。

現在、大阪府を中心に関西でも地方移住への関心が高まっています。大阪ふるさと暮らし情報センターの6~7月の面談相談件数は前年比で約4割も増加しています。大阪ふるさと暮らし情報センターは、西日本を中心に16府県が移住情報を発信しています。新聞記事によると、問い合わせが2月の3倍に膨れ上がり、地方移住の関心が高まっている状態だそうです。兵庫県も、大阪ふるさと暮らし情報センターをもっと積極的に活用すべきだと思っています。

コロナ感染拡大により東京一極集中の問題が、一層鮮明になりました。そして、テレワークが拡大し、地方への移住が更に見直されるようになりました。コロナウイルス感染者の急増と、東京一極集中の弊害を避け、東京圏から他の道府県への転出が顕著となっています。今年7月、東京圏への転入は、前年同月比で16.1%減となり、2013年7月以降、転出が転入を初めて上回り、人口流出が起こっています。

最近では、パソナ本社が淡路島に移転を決め、約1,200人の社員が兵庫にやって来るそうです。是非、コロナという戦後最悪な状態から生み出た地方移住というニーズを、数少ないチャンスと的確に捉え、兵庫県の発展へと結びつけて頂くことを願うものです。

しかし、せっかく移住を希望されていても、仕事の場がなければ生活もままなりません。そこで、兵庫県のUJIターン対策として、移住希望者に対する就職支援について、どのように取り組んでいるのかお伺いします。

3.コロナ禍における産業活性化について

コロナ対策については、これまで何人かの委員から既に質問されております。そこで、重複する部分を避けるためにも、要約して質問をさせて頂きます。

兵庫県は、阪神淡路大震災の復旧・復興のため、1兆3千億円もの震災関連県債を発行しました。そのため、県財政は全国でも最悪と言う状況に陥りました。

その後、懸命な努力で、2018年にやっと収支均衡にこぎ付けた矢先に、今回のコロナ感染です。

現在、コロナ禍の生活苦で自殺者が増えていると聞きます。企業業績が悪化し、兵庫県の8月の有効求人倍率は1を下回り0.93まで落ち、雇い止めで失業者も増え、経済もすっかり冷え込んでいます。その結果、2020年度の兵庫県は1,000億円もの大幅な税収減が予想されています。

まだまだ厳しい財政状況ではありますが、兵庫県経済を立て直すためにも、個人消費や経済を元気づける産業活性化対策に取り組まなければなりません。そこで、コロナ禍における中小企業者支援対策のこれまでの取り組みの成果と、県独自の知恵を絞った消費喚起施策など産業活性化をどのように展開していくのかお伺いします。


●教育委員会
1 部活動の社会教育化について
2 教科としての小学校英語導入について
3 教育におけるICTの必要性について

全文

令和元年度決算特別委員会【教育委員会】

質問日:令和2年10月14日(水)

質問者:小池 ひろのり 委員

1.部活動の社会教育化について

私は、欧米のように部活動は、社会教育に移管すべきと長年訴えてきました。特に、最近ますます強く思うようになった理由を述べます。

まず、少子化に伴う児童・生徒の減少で、学校単独でスポーツチームの編成が出来なくなっている現状があります。そのため部活動を続けるためには、地域の複数の学校でチーム編成をせざるを得ません。

次に、部活動の指導者不足の問題です。現在は、教師が部活動の顧問を担っていますが、クラス数が減り、教師の数も減り、複数の部活動の顧問を受け持つ教師が増えています。そして、教師が全く経験のない部活動を担当することもあり、技術的な指導が出来ず負担が大きくなっています。また、活発な部活動の場合、生徒も保護者も顧問への期待は大きく、特に熱心な教師の異動で顧問を引き継いだ場合などは、競技経験のない顧問にとっての負担は大きく、大変な状況が生じてきています。

私は、特に試合などの勝負にこだわる部活動は、学校教育と言うより社会教育の方が相応しいと思っています。欧米での部活動は、ほとんど社会教育の管轄で、学校の教師の手を煩わすことはありません。そして、教師は学校教育に専念しています。それに対して日本では、部活動の試合に、休日であっても教師が出かけて行くこともあります。

このため文部科学省も教師の長時間労働を是正するため、休日の部活動を地域に移管する改革案を提示しました。教師の指導は希望者のみとし、2023年度から段階的に実施するという内容です。また、「部活動は必ずしも教師が担う必要のない業務」と位置づけ、休日は「部活動の指導に携わる必要がない」と指摘しています。私は、なぜ休日だけに限っているのか理解できませんが、学校現場の理解を示した一歩前進した施策だとして歓迎しています。

部活動の顧問を管理職の説得に応じて、受けざるを得ない現状は、生徒・教師にとっても不幸なことだと思っています。部活動の指導に、有能な地域人材を活用したり、水泳教室のような地域の民間業者に委託することは、学校の負担軽減のみならず、部活動の活性化にも繋がり、子供たちの能力をより伸ばすことにもなります。そして、関係する子供・教師・指導者の皆さんに、良い影響を与えるものと思っています。

積極的に部活動を社会教育として、地域へ移管することを求めるものですが、県教育委員会のご所見を伺います。

2.教科としての小学校英語導入について

これまでとかく受験英語に偏っていた傾向を改め、小学校から英語を楽しむことから、いわゆる外国語活動の取り組みを9年前に開始し、今年から小学5・6年生に教科としての英語を本格的に導入することとなりました。

しかし、今回の小学校英語導入は、拙速な変更で、準備不足という面は拭われず、予算の裏打ちも十分でないままの施行で、様々な問題が生じてきています。

ここで現場の教師からの不安の声を紹介し、問題点を指摘したいと思います。

まず、小学校教師の中には「英語が嫌いだ」という人もおり、教科担任制の中学・高校を好まず、子供が好きで初等教育を勉強し、英語を除く全教科を担当する小学校教師を選んだという人が多いと思います。また、小学校教師の多くは、大学で英語の教授法は全く学んでいません。にも拘らず、文部科学省は専科の英語教諭を小学校に配置することなく、一部の小学校教師に数時間の英語研修を行い、教材を配布し、ALT等の補助教師を配置することで英語教育を賄おうとしています。

そこで

問題1.あまりにも多忙過ぎる小学校教師に、更に英語を週1~2コマの増加させることは、ますます教師の負担を増大させます。➡

(負担軽減の施策のないまま、教師負担増は多忙化対策に逆行します)

問題2.英語教授法の経験もなければ勉強もしていない小学校教師に、数時間の研修だけで英語が教えられるようになるものでしょうか?➡

(私は、高校英語教師でしたが、まず大学で4年間英語を専科で勉強し、教授法を学び教育実習を経験し、専科の採用試験に合格して英語教師になる資格を得ました。それでも授業展開は難しく、そんな簡単なものではありません。ましてや教材を与えられただけで教えられるものではありません。)

問題3.ALTは英語を話す能力には、たけていますが、教授法を学んでいません。初等教育の免許を持った教師とALTだけで、英語教授法を学んだ教諭を配置することなく英語を教えることには無理があります)➡

(仮に貴方が、日本語が喋れるからと言って、「明日から日本語で算数や理科を教えてください」と言われて、系統だって教えられると思いますか?!)

問題4.遊びのうちは良いのですが、教科として教える以上、教授法の勉強は必須です。➡

(シラバスや系統だった指導計画を理解し、自らが教授法を組み立て、中心的に教えらえる専科の英語教師が、最低各校に一人は必要です。)

以上述べたことは、基本的に県教育委員会の問題ではなく、文部科学省の責任だと思っています。しかし、現実に今年の4月から兵庫県下の小学5・6年生に、教科としての英語を教えなくてはならない教師から、不安と困っている声が寄せられています。このような現場の声にどう応えていくつもりか、また県教育委員会として、どう指導していくつもりかご所見を伺います。

3.教育におけるICTの必要性について

AIやIT等の先端技術は、今、世界中でどんどん普及しています。ICT機器を使ったSTEAM教育が、欧米・豪州・中国・シンガポールを中心に取り組まれている中で、日本におけるICT活用状況は、世界から大きく遅れていると言えます。私は、日本のICTの遅れは、教育に最大の原因があると思っています。

これからはグローバルな世の中、ICT活用が日常化していく中で、日本の子供が取り残され、世界から遅れたままであって良いはずはありません。これまでも私は、豪州やインドのICT教育を視察した経験から、日本の教育におけるICT教育の必要性を訴えてきました。是非、ICT教育の推進を図ってもらいたいものです。

2020年度から、やっと日本の小学校でも、プログラミング教育が必修化され、タブレット端末も一人1台の整備で、情報教育の充実など、ハード・ソフト両面から教育改革がされることになりました。現在、人工知能、ビッグデータ、ロボティックス等の先端技術が高度化し、あらゆる産業や社会生活に取り入れられるようになりました。そのために、社会に対応できる教育現場の環境整備が、今、喫緊の課題となってきています。次代に対応できる若者を育てていくためにも、情報活用能力を高め、言語能力、問題発見・解決能力、数学的思考力を育成していく必要があります。

ICT導入で、昨今のようなコロナ危機で、遠隔授業も出来ます。また、ベテラン教師の最高の動画を一斉授業で用いることで、余裕が出た時間を利用して、教師がトップクラスや丁寧な説明を必要とする生徒に合わせた個人指導も可能となります。こうしたICTの多様な活用で、まさに生徒の個性にあった授業展開も期待できるようになります。

そのためにも、今、教育におけるICT教育の環境を整え、適切に活用した学習活動の充実を図ることが必要と思われます。

そこで、教育におけるICT導入についての現状と課題、今後の方針について県教育委員会のご所見を伺います。

小池 ひろのり
神戸市中央区


<向山 好一 議員>
●財政状況

1 大型事業の今後の方向性について

全文

令和元年度決算特別委員会(財政状況)

日 時:令和2年10月6日(火)

質問者:向山 好一 委員

1 大型事業の今後の方向性について

令和元年度の決算は、実質単年度収支が平成19年度以来12年ぶりの3億900万円の赤字となり、さらに厳しくなった上に、令和2年度は大赤字が見込まれ、財政は危機的状況と言わざるを得ません。

この窮地を救うためには、中長期的に今よりまして「入るを量りて出るを制す」を徹底する必要があります。そのうちの「出るを制する」ためには計画されている大規模投資事業を見直さなければならないと考えます。

現在、兵庫県では16のテーマで「リーディングプロジェクト」を検討されており、複合スポーツ施設として2万人収容規模の大型アリーナの計画があります。また、総事業費約700億円の県庁再整備や、コウノトリ但馬空港においては1,200メートルの滑走路を2,000メートルにまで拡大する計画があります。いずれの事業も検討段階とはいえ大型事業であり、方向性は明確にしておく必要があります。

この厳しい財政状況を踏まえて、これらの大型事業の見直しを含めた今後の方向性についてどのように考えておられるのかを伺います。


●企画県民部①
1 議長公用車の選定について
2 マイナンバーカードの取得率向上について

全文

令和元年度決算特別委員会 【企画県民部①】

質問日:令和2年10月7日(水)

質問者:向山 好一 議員

1.議長公用車の選定について

現在、議長の公用車は昨年8月からトヨタ・センチュリーに替わっています。

センチュリーといえばもちろん国産の最高級車であるばかりでなく、国際的にも相当なレベルの高級車です。さすがに巷で見かけることは殆どありませんが、最近、安倍前総理の公用車がセンチュリーに替わったり、昨年の天皇陛下の即位パレードで使用された車としてテレビを通じて見ることができました。名実ともに最高VIPを乗せるにふさわしいラクジュアリー車としての地位を築いています。

それでは、何故議長公用車が最高VIP車であるセンチュリーに替わったのか。当局の説明によると、知事の公用車が変更になったので過去の慣例に従って「議会と行政とは対等」ということでありますが、実態・運用が対等であればそれでいいことで公用車まで同じにする必要は全くないと考えます。

そこで2点質問します。

まず、知事と議長の公用車は何故同車種であるべきだと思っておられるのか。その慣例の根拠は何なのかを伺います。

2点目は、議長公用車は以前レクサスだったと聞いています。今回のセンチュリーは車体価格が約2,000万円で国産最高価格の車です。令和元年に調査された結果では、全国47都道府県議会の議長公用車でセンチュリーは兵庫県を含めて10県だけだと聞いています。さらに、本体価格は全国一、平均価格の倍以上となっています。

阪神・淡路大震災の震災関連の負債を抱え、とりわけ厳しい財政状況にある自治体の議長公用車としてふさわしいものと思っておられるのか伺います。

2.マイナンバーカードの取得率向上について

マイナンバーカードの運用が始まって4年以上になりますが、まだまだ取得率が思うように増えてきていません。兵庫県でも県民の取得率は令和2年6月末時点で25.52%と4人に1人の割合に留まっています。これから行政手続き等でこのカードの活用分野が広がる見込みがありますし、手続きの簡素化とコストダウンのためにも取得率の向上に努める必要があると考えます。

それを引き上げていくためには対策を考えなければいけませんが、まずは自治体職員の取得率を100%近くにしないと県民にお願いはできないと思います。令和2年6月末時点で兵庫県職員の取得率は49.13%と聞いていますが、2人に1人は未取得です。「先ず隗より始めよ」、県職員の取得向上への取組、さらには県内市町職員への呼びかけなどはどう考えているのか、所見を伺います。


●企画県民部②
1 コロナ禍における芸術文化の振興について

全文

令和元年度決算特別委員会 (企画県民局②)

質問日:令和2年10月7日(水)

質問者:向山 好一 委員

1.コロナ禍における芸術文化の振興について

いろんなマスコミ報道でも取り上げているとおり新型コロナの感染拡大は芸術文化活動にも大打撃を与えています。もともと芸術文化の活動家は定期的収入が保証されているのではなく生活基盤がぜい弱なうえに、活動の舞台があってなんぼの世界であり、このようにコンサートや公演等ができない状態が続けば芸術文化の灯が消えてしまうのではないかとの懸念の声が広がっています。

私も芸術文化に携わる方々の悲痛な声を聞いてきましたが、そのうちで「神戸フロイデ合唱団」の責任者から公的支援の必要性を伺いました。この合唱団は年末恒例の「第九演奏会」を52年間継続して公演を行っている団体で、今年の年末もみんなに元気と楽しみを与えたいと、苦労しながら公演の準備を始めています。しかし、公的施設で練習をしようとした場合、密を防ぐ観点から定員の半分程度しか集まりを許して貰えないのに使用料は同金額になっています。これは理不尽ではないでしょうか。

また、恒例の会場である西宮の県立芸術文化センターの使用料は1/2減額されるようですが、そもそも今年はコロナの影響で、今後、定員を減らさざるを得なくなる可能性があり、1/2程度しか収容できないことを前提としたさらなる支援策を加えるべきではないでしょうか。ご見解を伺います。


●産業労働部
1 経営継続支援金の対象者について
2 コロナ対策支援事業の不正受給防止策について
3 兵庫県旅券事務所の運営について

全文

令和元年度決算特別委員会(産業労働部)

質問日:令和2年10月9日(金)

質問者:向山 好一 委員

1.経営継続支援金の対象者について

産業労働部は、地域産業の育成という大切な役割を担っています。その観点から新型コロナへの経済対策を行っています。その1つに「休業要請事業者経営継続支援金」制度を実施しました。その対象者の要件の1つに「県の休業要請等に応じて休業していること」というのがあります。つまり、特措法の規定に従って県が休業要請した事業者以外はその対象外となりました。

この措置によって大きな不公平感が生まれました。例えばショッピングセンター内に店舗を構える衣料店や理髪店等、或いは劇場やライブ店・イベント会場で音響や演出を担当する事業者などは、その職場そのものが休業要請によって閉鎖され、事業をしようとしても出来ない状態に置かれ、同じ実態にあるにも係わらず所謂「休業補償」の対象外となりました。あまりにも理不尽だとの声が私のところにも寄せられましたし、県にも寄せられているはずであります。

予算の限界等でどこかで線を引く必要があるのは理解しますが、県の休業要請によって間接的ではあるが同じ環境に置かれる事業者にまで対象の範囲を拡大することはこの制度の趣旨に当てはまるのではないでしょうか。遡及して支援することはできないのでしょうか。

もう一点、その休業要請は事業種別によって対応が異なる内容となっており、そのことで現場が混乱したことがありました。例えば、普通の健康教室でありながら「スポーツジム」扱いになって教室の再開時期に他府県と違いが発生した事例を聞きました。また、遊興施設としての「バー」「スナック」と食事提供施設としての「居酒屋」では、休業要請の内容や支援金の額に違いがあり、事業者から自分の店がどちらのカテゴリーに当たるのかという問い合わせが多くあったとも聞きました。

それぞれの事業をカテゴリー化するにあたってもちろん一定の基準は設けてありますが、その基準と現場の実態とが違うこともよくある話です。実態をちゃんと把握したうえでカテゴリー化するべきではなでしょうか。

以上、2点について伺います。

2.コロナ対策支援事業の不正受給防止策について

最近、政府の持続化給付金での不正受給の事例が次々と明らかになっています。兵庫県警に逮捕された事例は虚偽申請が170件以上、被害額は1億7000万円以上、愛知では800件、8億円、何と沖縄では1800件、18億円と信じられない事例もあり一体いくら不正受給が行われたのか分からなくなっています。その犯罪の特徴は、個人事業者の場合が大半で、なりすましがやり易く簡単なネットでの申請で短期間に100万円という巨額の現金が振り込まれる仕組みを巧みに利用したことです。この財源は全て私たちが支払う血税であり、到底見逃すわけにはいきません。

兵庫県でも経営継続支援金、地域企業デジタル活用支援事業、「Welcome to Hyogoキャンペーン」における宿泊割引支援事業やおみやげ購入券発行事業など数々の事業者向けの支援策がありますが、現在、不正受給の事実や疑いのある案件は存在しているのですか。また、今後証明する書類のチェック等で点検する体制になっているのか、お伺いします。

3.兵庫県旅券事務所の運営について

新型コロナの感染拡大で海外旅行者が激減し、その影響を受け全国でパスポートの発給申請が激減しています。兵庫県の旅券事務所でも実質海外渡航が困難になった今年の4月以降申請数が昨年同期比10%程度まで減少しています。そして、この傾向はこれから暫く続くものと思われます。

旅券事務所の運営全般を手数料の県分としての1件当たり2,000円の証紙収入で賄っているのであれば実態に見合った体制に変更すべきではないでしょうか。例えば窓口職員の方々の一部をコロナ対応で人員不足となった部署への配置転換を行うとか考えられるのではないでしょうか。所見をお伺いします。


●公安委員会
1 道路上での通行方向の誤標示について
2 反則金の使途について

全文

令和元年度決算特別委員会質問要旨【公安委員会】

質問日:令和2年10月9日(金)

質問者:向山 好一 委員

1.道路上での通行方向の誤標示について

9月18日の新聞報道によりますと、県内にある交差点の344か所で通行方向を指示する道路上の標示に誤りがあり、そのことで30人に間違った違反切符を交付したとのことでした。警察行政への信頼を揺るがすような事例であり、徹底した原因究明と再発防止策が求められますが、その点についてまず伺います。

さらに、道路には道路上の標示だけでなく、看板やポールなど様々なものが存在しています。今回は、道路標示の誤りでしたが、同じような原因から公安委員会が設置するその他の標識や標示にも誤りがある可能性が否定できず総点検の必要もあるのではないでしょうか。見解を伺います。

2.反則金の使途について

交通違反をして取り締まられた場合、違反切符を切られ反則金、場合によっては罰金を支払うことになります。交通違反をしたペナルティだから自業自得なのですが、あれは本当に嫌なものなので、多くの人が「どぶに捨てた気分」になっているのです。

では、一体、あの反則金はどうなっているのかを調べてみました。納付された金額は一旦全額国庫に入り、「交通安全対策特別交付金」として地方公共団体に、交通事故発生件数や人口集中地区人口、道路延長を指標として配分され、信号機、道路標識などの交通安全施設の設置や管理に使われています。だいたい全国で年間500億円程度の納付があり、兵庫県に令和元年度、13.3億円、市町に10.4億円程度、合計23.7億円程度の交付がなされています。

そこで、単純な疑問として自分たちが支払った反則金は身近なところで使われているのか、つまり県下での反則金納付額に見合った交付がなされているのかということです。兵庫県での反則金と交付金の関係について伺います。

さらに、この交付金が県と市町でどのように使われているのか。反則切符を切られた経験のある者にとって非常に興味深いことなのでこの点も伺います。


●農政環境部
1 県民緑税を活用した「災害に強い森づくり」について
(1)災害に強い森づくり」の事業計画について
(2)第4期にむけた検証委員会の検討内容について
(3)県民緑税と森林環境譲与税の使途の整理について

全文

令和元年度決算特別委員会(農政環境)

質問日:令和2年10月12日(月)

質問者:向山 好一 委員

1 県民緑税を活用した「災害に強い森づくり」について

先日の代表質問で知事とやり取りさせて頂きましたが、今なお合点がいかないので本日も質問させて頂きます。

私がなぜ「県民緑税」を第4期事業では減額すべきと訴えているかといえば、これが目的を決めて県民に負担していただいている税だからです。その意味で、県民緑税は目的税に似ており、目的税と同様に受益者負担が原則で、ある目的達成のために時限的に課税していくべきではないでしょうか。

しかし、一旦導入されると目的がどんどん膨れ上がり、受益と負担が不明確になり、終わりなき税になることがよくあります。つまり、目的達成のために税額はいくらが適正かを判断するということが、本来の姿でありますが、安定的収入にあぐらをかき、逆に税額に合わせて事業を決めるという本末転倒のことが起こっているように感じます。これでは納税者の理解が得られるはずがありません。私は県民緑税がこの典型になっているのではとの懸念を持っているし、特にコロナ禍で県民の所得が減少している状況だけに、より厳しく事業について精査すべきだと思っているのです。この懸念のもとに、数点質問します。

(1)「災害に強い森づくり」の事業計画について

まず、先日の代表質問時の知事の答弁で、「山地災害危険地区が約5,600か所残っている。最初に計画したときの対象面積がその後の調査等で増えてきている」とのことでした。まさしく目的税が拡大・継続する典型的パターンとなっているのではないでしょうか。一体どこまで膨れ上がるのですか?それともこれが最終目的ですか?約5,600か所の整備に何年程度かかる見通しなのか、まず確認させて頂きます。

(2)第4期にむけた検証委員会の検証内容について

つぎに、4期目をどうするかを決める前に3期事業を検証委員会でしっかり議論してもらうと知事も答弁されていました。しかし、その検証委員会でどんな議論があり、なぜ4期も同様の事業を継続すべきとの結論を得たのか我々は詳しく知らされていません。まずは結論ありきで説明責任を果たしていないのではないでしょうか。検証委員会での検証内容を伺います。

(3)県民緑税と森林環境譲与税との使途の整理について

3点目は、やはり「森林環境譲与税」との関係です。度重なる私の質問に対し、当局は「災害に強い森づくり」事業と「森林環境譲与税」事業は仕分けをしていると答弁されていますが、私は先日、加東農林振興事務所に協力を頂いて、急傾斜地の間伐の現場調査に行きました。そこは、いわゆる条件不利地の間伐を「森林環境譲与税」で実施し、その切り落とした丸太を「県民緑税」で土留め処置したとのことでした。

令和6年度以降は市町へ約17億円の譲与が見込まれる「森林環境譲与税」は森林吸収源対策のほかに、災害防止等を図るための森林整備にも使えると聞いています。何も、県民緑税を使って土留工をしなくても、森林環境譲与税を活用して約5,600カ所の山地災害危険地区の対策が可能と考えますが、当局の所見をお伺いします。


●教育委員会
1 ワールドマスターズゲームズ2021関西について
2 学校現場のICT対応について
3 教職員の超過勤務の実態について

全文

令和2年 令和元年度決算特別委員会質問要旨(教育委員会)

質問日:令和2年10月14日(水)

質問者:向山 好一 委員

1.ワールドマスターズゲームズ2021関西について

10月8日に開催された組織委員会の常任委員会で、ワールドマスターズゲームズ2021関西の1年程度の延期の方向性が示されたとのことです。10月28日に開催される組織委員会理事会で国際マスターズゲームズ協会に提案する開催方針が決定されるようですが、「競技だけでなく交流やツーリズムを楽しむ」という大会理念を考えると妥当な判断だと思います。

ただ、既にエントリーしている海外からの参加者約2,000人弱を含む約14,000人を上回る参加者に対してはまず責任ある対応をしなければなりません。それと、仮に1年延期となれば開催コストが相当増えることになります。東京オリンピック・パラリンピックのように経費削減のための簡素化、特にコロナ対策も含め参加者規模の縮小ということは避けて通れないのではないでしょうか。

そのあたり、実行委員会の事務局である教育委員会はどう考えているのか伺います。

2.学校現場のICT対応について

政府による重点的な取り組みにより各学校へタブレット端末配布などICT活用による学習環境の整備が進んでいます。そのこと自体は時代の流れに沿ったものとして肯定はしますが、それを担う現場の教職員は新しいICTの活用方法や不具合への対応までにも責任を負わされています。コロナの影響で今後さらにオンライン授業などICTの活用の範囲が広がっていくことを考えれば、教職員の負荷がさらに増えることが予想されます。

新しいICTの活用方法や緊急時対応にはそれ相応の専門知識が必要であり、専門スタッフの配置も必要ではないでしょうか。ご所見を伺います。

3.教職員の超過勤務の実態について

先ほどの質問とも関連しますが、学校現場はICTの活用、地域・保護者との密接な連携、それに加えてコロナ対応ときめ細かく対応すべきことがどんどん増えて教職員への負荷は依然と比べようのないくらい大きくなっています。

一方で、昨年12月に「教育職員の給与等に関する特別措置法」が改正され時間外労働時間の上限が設けられました。その改正に沿って兵庫県でもこの4月から教職員の超過勤務の上限規制が行われているとお聞きしていますが、この半年の実績として月45時間・年間360時間という上限は守られているかどうか伺います。

向山 好一
神戸市北区