議会の動き

掛水 すみえ議員が質問(予算審査・企画県民部①)

平成27年度予算特別委員会質問要旨(企画県民部①)

質 問 日:平成27年 3月 4日(水)

質 問 者:掛水 すみえ委員

1 「21世紀兵庫長期ビジョン」の更なる推進について

震災から20年、創造的復興を推進すること、従来の枠にとらわれずタイムリーな課題解決が兵庫県の真骨頂だと思います。今議会では、人口減少対策・東京一極集中是正・豊かな生活の確立・持続可能な兵庫県創りのため、「兵庫県地域創生条例」が提案されていますが、ここまで追い込まれた状況を打破するためには、思い切った切り口が必要と考えます。

県では、平成13年に、2040年を目標年次として兵庫の目指すべき社会像とその実現方向を明らかにした「21世紀兵庫長期ビジョン」を策定しましたが、策定から10年が経過し、人口減少等の社会経済情勢の変化を受けて、平成23年に新たに将来像を設定するなど、ビジョンを改定しました。このビジョンの見直しでは、これから実現したい兵庫の姿を新たに12の将来像として、例えば、超高齢社会や人のつながりの希薄化に備えるため、「人と人のつながりで自立と安心を育む」ことや人口減少社会を見据え「個性を生かした地域の自立と地域間連携で元気を生み出す」として目指すべき方向性をより明確にしました。

先ほど申し上げたように、今、国・地方自治体の大きな課題になっているのが人口減少対策です。人口減少社会においては、労働力人口が減少するなど地域をどう維持していくかが課題となり、そのためには元気な高齢者はもちろんですが、これまで以上に女性の活躍も必要となってきます。その意味では、この長期ビジョンについても、男女共同参画の視点から、これからの目指すべき将来像を捉えるべきと考えます。

長期ビジョンの推進状況報告書によると、「兵庫らしい健康で充実した生涯を送れる社会を実現する」項にようやく男女共同参画社会づくりが登場しますが、列挙された内容を見て男女共同参画社会についての認識を疑わざるを得ません。

男性が多いこの予算特別委員会ではピンとこない方が多いと思いますが、

1979年女子差別撤廃条約が国連で採択され、政府は1999年に男女共同参画基本法制定、兵庫県では2002年に男女共同参画社会づくり条例が制定されました。条例では、「男女の人権尊重が記され、社会の対等な構成員として、県の政策決定に共同して参画する機会を確保し、必要な財政上の措置を講ずることを努める」となっています。新しい政治の枠組みのスタートを実感しました。

大きく話題になりました増田寛也編著の「地方消滅」には、企業における働き方の改革、長時間労働の是正、ワークマネジメントの実現、女性農業者をはじめ女性の活躍推進に言及されています。社会通念の根強い性別役割分業の強い国は、出生率が低い。共に家庭責任を負っていけるように働き方改革・暮らし改革を進めているところでは出生率は高まっていると。産業構造・社会構造の変化により男女の役割分担が大きく見直されてきました。人口減少問題は、例えると「慢性疾患」のようなもので、簡単には治らないが、体質改善が早期であればあるほど効果が上がるということです。

そこで、人口減少がもたらす変化は社会構造をも大きく変えようとしていますが、今こそ、持続可能な兵庫の未来を築いていくためにも、男女共同参画の活力ある社会づくりという視点を踏まえ、「21世紀兵庫長期ビジョン」を更に推進していく必要があると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

【答 弁】

2 新しい公共と「県民の参画と協働の推進に関する条例」について

阪神・淡路大震災時、全国からボランティアが集まり、支援をいただいたことは決して忘れることはできません。1995年がボランティア元年と言われたことは、兵庫県にとって誇らしいことであり、そのことが、東日本大震災や台風など自然災害支援に率先して臨む気風が醸成されたことは、兵庫県の宝であると私は思います。NPO法が制定され兵庫県でのNPO法人の活躍する分野も広がり、NPO法人の発想で地域での下支えを果たしてきたと思います。

震災から20年、これからのポスト20年を考えた時、新しい公共の一翼を担うNPO法人は、ボランティアと異なりしっかり自立し、行政の補完ではなく、課題解決のパートナーとしての仕組み作りが求められます。たとえば、地域での高齢者・障碍者福祉・保育所問題・地域コミュニティ復興が急がれる今、富山県ではいわゆる富山型と言われるNPO法人設置の「共生型福祉施設」が富山県内はもとより全国で1,427カ所に増加し、兵庫県にもあります。はじめは、高齢者向け施設として180万円の補助金、次に、障碍者利用に対して300万円に増加。国から推進特区に認められ、東日本大震災では、被災地に設置推進と全国区になったのです。

地域でいろんな分野で活動する認定NPO法人も県内に23件と育ち、中間組織の立ち上げにも大きな力を発揮している兵庫県です。しかし、NPO法人の課題は深刻です。学生ボランティアが興味を持ち、生きがいを感じて事業に参画してくれますが、将来のことを考えるとせめて中小企業並みの賃金をと考えます。生活ができなければ持続することが難しくなります。善意の心だけでは維持することは難しいです。また、リーダーの高齢化も進んでいます。目の前にいる支援者を見捨てることはできないので人材育成に焦りを感じています。寄付税制が改正されましたが、寄付文化は発展途上です。運営基盤を確立するためには、企業への啓発のみならず、県として新しい公共としてのNPO法人との新たな仕組みが強く求められます。

現存するNPO法人が消滅してしまったらと思うと将来、兵庫県における地域支援事業は大変厳しくなることは必至です。富山県もスタートはNPOの活動からです。

そこで、将来を見据えての新しい公共としてのNPO法人とのパートナーシップをどう継続していくのかが問われていると思いますが、当局のご所見をお伺いします。また、この点について、「県民の参画と協働の推進に関する条例」において、どう定義づけられているのか合わせてお伺いします。

【答 弁】