議会の動き

石井 健一郞議員が一般質問を実施

第345回 定例県議会 一般質問

質 問 日:令和元年10月1日(火)

質 問 者:石井 健一郞 議員

質問方式:分割

1 ひょうごe-県民制度の今後の取組について

関係人口は2016年頃から始まった考え方であり、首都圏など都市部に住む地域外の人材であって、観光に来た短期的・一時的な交流人口でもなく、移住した長期的な定住人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人のことであります。

国でも2018年から関係人口創出事業を始めモデル事業を選定し、先進的な取組を全国に普及させることを目標として関係人口の取組を推進しています。既に多くの道府県で関係人口に関する取組が実施されている中、本県においては2019年1月から「ひょうごe-県民制度」を開始しました。

関係人口を増やす取組では、関係人口の人たちが地域住民と交流できる交流施設の整備が不可欠であると言われています。また、地域において関係人口の人が関われる、関与・貢献出来る余地があること、関係人口の人の思いと地域ニーズをマッチングする機能や組織の整備の必要性等も挙げられています。

関係人口の取組については、本格的な人口減少化時代を迎えたにも関わらず、これまで国内の各自治体がこぞって移住・定住の施策を推進してきた結果、疲弊感と徒労感が残るだけの争いに陥りつつある中、減っていく人口を各自治体でシェアする、また人材の共有をすることはこれから必要な取組の一つと考えています。

しかし、関係人口の取組促進にあたっては関係人口の客観的な数え方が確立されておらず、自治体としての施策や事業をどのように企画・立案するのか。また、事業成果をどのように評価するのか等、関係人口の取組については課題も多いのではないでしょうか。

しかも、全国の自治体で似たような取組事例も多く、兵庫県として特徴的・魅力的な打ち出しをしていかなければ、移住・定住の取組と同じような状況に陥る可能性が高いと考えています。

そこで、この関係人口の取組について、実際にひょうごe-県民制度に登録いただいた方をさらに兵庫県と結びつけるため、今後どのように取り組もうとされているのか、当局のご所見をお伺いします。

2 非常勤職員及び高齢層職員が活躍できる環境整備について

厳しい地方財政の状況が続く中、多様化する行政需要に対応するため、地方公務員の臨時・非常勤職員の総数は、総務省の調査によれば、2016年4月現在で約64万人と、対2008年度比で約15万人増加しています。

現状において地方行政の重要な担い手となっている臨時・非常勤職員については、官製ワーキングプアとも言われる正規・非正規職員の待遇格差の改善等、適正な任用・勤務条件を確保するため、2017年に地方公務員法と地方自治法が改正され、会計年度任用職員制度が創設されることとなりました。2020年4月の施行に向け、本県においても今定例会に議案が提出されているところです。

この制度改正により、特別職は専門的な知識経験等に基づき助言、調査を行う者、臨時職員は欠員となった職員補充に厳格化し、大部分の非常勤職員は新たに制度化される会計年度任用職員に移行することとなります。

フルタイム、パートタイムとも期末手当を支給できるとのことでありますが、退職手当の支給がフルタイムに限定されているなど、不安定な身分は変わりありません。今回の改正は、人口減少と慢性的な人不足が続く中にあって、本県非常勤職員の処遇改善や継続的な人材確保に資するものとなるのでしょうか。

一方、年金支給開始年齢が段階的に65歳に引き上げられ、無年金期間が最大5年間まで拡大していくことから、雇用と年金の接続を推進するため、2016年以降、本県でもフルタイムの再任用職員の増加が目立っております。

加えて、2018年8月に人事院から国会と内閣に対して、国家公務員の定年を65歳まで段階的に延長を行うことや、人事の滞留を防ぐため、一定の年齢になれば役職をはずすこと、また、現在の定年退職者向けの再任用制度は定年延長に合わせて段階的に廃止することなどを求める意見書が提出され、現在政府において法案提出に向けた調整が行われていると聞いています。今後、地方自治体にも、その影響が波及されることが予想され、一層高齢層職員が活躍できる環境の整備が必要になると考えます。

そこで、知事は行革で3割減を実現した職員数を基本に人員配置を行うとされましたが、限られた人員の中で、増大・多様化する行政需要に対応していくためには、これまで以上に非常勤職員や、再任用職員等の高齢層職員の役割が重要になってくることから、非常勤職員の処遇改善や、高齢層職員のモチベーションの維持・向上に向けた取り組み方策について、当局のご所見をお伺いします。

3 外国人患者への対応について

国では平成28年3月に「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定し、2020年に訪日外国人旅行者数を4,000万人にする目標を掲げ積極的に取組を進めています。その結果、着実に訪日外国人旅行者が増加しており、実際に昨年のインバウンドは3,000万人を越え過去最高を更新しました。また、今年4月からは人手不足の建設業界や介護業界など14業種に外国人が就業できるよう、新しい在留資格である「特定技能」が新設されるなど、今後も日本での外国人の観光や就労は増え続けるものと考えられます。

本県においても、インバウンドについては大阪や京都への流れを兵庫県へ持ってくる取組をさらに進める必要はありますが、訪日外国人旅行者数は平成27年から連続して100万人を越えるなど堅調に推移しており、今後も増加が期待できるのではないでしょうか。

また、就労についても、県では外国人技能実習制度による外国人介護人材の確保を進めていることを考えると、今後の外国人のインバウンドや就労は兵庫県でも都市部に限らず郡部でも増加していくことが想定されます。

このように、今後も本県における外国人の増加が想定されますが、一方で病気等への対応について十分に対応できる体制が整っているのでしょうか。

単に体調を崩されて病院にかかる場合は、通訳がいる病院の紹介だけで対応できるのかもしれませんが、先日の台風15号や17号をはじめ、昨年の北海道胆振東部地震など、近年自然災害が頻発しており、その発生状況や規模によっては、一度に多くの外国人患者への対応が必要になることも考えられます。自然災害は特殊な事例ではありますが、そういった対応について、人員が限られた現場の病院の対応に任せることには限界があります。

通訳や食事の問題、現在既に国内でも問題になっている未収金の問題等取り組むべき課題は多いですが、外国人の方も安心して兵庫県に来て下さいと呼びかけている以上、外国人患者も日本人患者と同じように対応していくことが基本であると思います。

外国人患者に対しては予期せぬ自然災害はもとより、インバウンド増加や県内医療圏の整備などには注力する一方で、県内の外国人が増えることにより当然起こるべきして起こる安全・安心面の課題に対して、問題認識が不足しているように感じるところであります。

そこで、今後益々増えるであろうと思われる外国人患者への対応について、県として積極的に取り組む責務があると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

4 県内宿泊施設のバリアフリー化について

2020年に東京オリンピック・パラリンピックが、また2021年にワールドマスターズゲームズ2021関西の開催が予定され、多くの方がこの日本を訪れることになります。

特にワールドマスターズゲームズ2021関西では、おおむね30歳以上であれば誰でも参加が可能で、しかも障害の有無に関わらず、誰もが一緒にスポーツを楽しめるインクルーシブな大会を目指しており、高齢者や障害を持つ方など、多くの方がスポーツを通した交流に参加されることとなります。

また、このイベントを見に来られる方についても、海外から様々な方が訪れることが予想され、公共施設や公共交通機関では一定バリアフリー化が進んできたと感じられるものの、旅行の際に利用するホテル等の宿泊施設についてはまだまだ不十分ではないでしょうか。

国では障害者の方や今後の高齢化社会の進展を見据え、2006年に公共交通機関を対象とした交通バリアフリー法と、ホテルや大規模なビルを対象としたハートビル法を統合し、宿泊施設等の建築物のバリアフリー化を含む、バリアフリー法が施行されました。また、オリンピック・パラリンピック開催地の東京では、今年9月から全国で初めてとなるホテルの一般客室を規制する建築物バリアフリー条例が施行されました。

兵庫県においても、これら海外から来られる方々に、誰もが利用しやすいまちとして、兵庫県という選択肢を提供することを心がけていくべきではないかと思います。

また、この問題は当然インバウンドに限ったことではありません。国内の高齢者や障害を持つ方も旅行に行きたい、家族とも出かけたいしといった需要に応えられている場所は少なく、その対応は今後必要となってくるとともに、そういった需要に応えることを兵庫県の特色として打ち出すことも、今後の対応として大切であろうと考えています。

将来的には顧客満足度を高めるため、障害の内容や何がしたいかを事前に聞く中で、ニーズに合った宿泊先の紹介や、場合によっては付添人の斡旋派遣ということも考えられますが、まずは受け入れ対策の基本となるハード対策であるバリアフリー化が望まれます。

そこで、宿泊施設のバリアフリー化の取組を進めることによって、兵庫県に訪れて良かったと思って頂けることが、インバウンドもさることながら、これからの時代に向けた取組ではないかと考えますが、本県における宿泊施設のバリアフリー化をどのように進めていくのか、当局のご所見をお伺いします。

5 神戸空港における新たな路線拡大や航空会社の就航に向けた取組について

神戸空港は2006年2月に国内で97番目の空港として開港し、今年開港13周年を迎えました。開港当初はANA、JAL、スカイマークが就航し、開港2年目に利用者が約297万人を記録するなど順調な滑り出しを見せましたが、その後低迷した時期もありました。JALは当初7路線27便のうち6路線10便の発着があり、開港翌年の利用者数も全体の40%となっておりましたが、破綻後、神戸空港から撤退し現在に至っています。

しかしながら、近年は景気拡大等の影響から利用者が着実に増加してきており、昨年4月には3空港の一体運営を経て、2018年度の利用者は過去最多の約319万人を記録しています。

また、訪日外国人客の急増や格安航空会社の普及といった航空需要の変化を背景として、昨年12月に8年ぶりに関西3空港懇談会が開催され、各空港における規制緩和等が議論された結果、今年5月の関西3空港懇談会で神戸空港の発着回数の上限を従来の60回から80回に増やすことが決まったことを受けて、現在就航しているANA、スカイマーク、ソラシドエア、エア・ドゥの4社に加えて、10月27日からはフジドリームエアラインズが参入を決め、出雲、松本に新たに路線が開設されるなど、神戸空港の潜在的な需要を見込んだ動きも出てきております。

今後、神戸空港の活性化のためには、路線拡大や新たな航空会社の就航が必要です。例えば、日本のフラッグシップを担う航空会社の一つであるJALの再就航では、阪神・神戸間に奄美諸島の方が多く居住されることから、阪神・神戸間から奄美諸島等の離島への直行便も展開できる可能性があるのではないでしょうか。

そこで、今後、神戸空港の更なる規制緩和を進め、現在就航している航空会社のさらなる路線拡大はもとより、新たな航空会社による国内線の路線展開を進める必要があると考えますが、当局の所見を伺います。

6 通学路等の対策について

交通事故については、交通安全施設の整備充実や交通安全指導取締りの強化、交通安全教育の普及など様々な取組が行われており、本県においても平成28年6月に「第10次兵庫県交通安全計画」が策定され、交通事故ゼロを目指した取組が進められております。これらの取組により県内の交通死亡事故件数は近年減少傾向にあります。

しかしながら、車両が関係する痛ましい事故は未だなくなることはなく、歩行中・自転車乗車中の死者数の約半数が自宅から500m以内で事故に遭われており、身近な道路において死亡事故が発生しやすい傾向にあります。

平成24年4月、京都府亀岡市において発生した集団登校中の児童等の列に自動車が突入した事故をはじめ、同種の事故が続発したことを受けて、道路管理者、学校、警察等が連携し通学路等に対する合同点検を実施していますが、通学路において児童等が被害者になる交通事故は今もなお発生しており、未来ある子供たちの命を守るということに傾注していかなければなりません。

通学路対策としては、最高速度30キロの規制を実施するゾーン30の整備や可搬式オービスによる取り締まり、道路管理者への速度抑制の効果を上げるためのハンプや狭窄などの導入等の働きかけ、学校関係者等と連携した通学路見守り活動等が展開されているところでありますが、本年5月には滋賀県で保育園児ら16人が巻き込まれて死傷する交通事故が発生し、通学路だけでなく未就学児の集団移動経路についてもよりきめ細やかな対応が求められるところであります。

通学路ではこれまでの例からも、それぞれの場所で思いもかけない危険が潜んでおり、そうした危険箇所を把握している地元住民との情報共有を図ることにより事故防止に向け適切な対応をすることは大変重要な課題の一つです。

そこで、県警察として地元住民からの通学路等における危険箇所等の改善要望等をどの様に把握し、安全対策を行っているのかお伺いします。