議会の動き

決算特別委員会 19年09月定例会

決算特別委員会

副委員長  上野 英一  議員(神崎郡)
理  事  前田 ともき 議員(神戸市東灘区)
委  員  黒田 一美  議員(神戸市垂水区)
      木戸 さだかず 議員(神戸市須磨区)

上野 英一 議員
 公安委員会 | 農政環境部 | 県土整備部 | 病院局 | 企業庁
前田 ともき 議員
 財政状況 | 企画県民部① | 企画県民部② | 公安委員会 |
 教育委員会 | 病院局 | 総括審査
黒田 一美 議員
 企画県民部① | 健康福祉部 | 産業労働部 | 県土整備部 |
 教育委員会
木戸 さだかず 議員
 財政状況 | 企画県民部① | 企画県民部② | 健康福祉部 |
 産業労働部 | 農政環境部 | 教育委員会


<上野 英一 議員>
●公安委員会
1 警察官の不祥事とその対応について
2 警察署の適正配置について
3 高齢者の免許更新、自主返納について
(1)免許更新手続きについて
(2)免許証の自主返納促進策について

全文

平成30年度決算特別委員会 公安委員会

質問日:令和元年10月10日

質問者:上野 英一 議員

1.警察官の不祥事とその対応について

9月29日に鉄道警察隊所属の27歳の女性巡査長がJR相生駅のトイレに拳銃などを一時置き忘れる事件がありました。しかも、本人は忘れたことに気づかず、その後の勤務を続けたと報じられています。幸い約1時間半後にトイレに入った女性客の通報により事なきを得ましたが、私には信じ難いことでした。

拳銃は、帯革という警察官が腰に巻いている革のベルトに警棒などの装備品とともに携帯されていますが、トイレで用を足す際に取り外し、そのまま忘れてしまったのだと思います。

うっかり忘れるということは、人間であれば誰にもあり得ることだと思いますが、その後も気が付かないことがあるのだろうかと考えてしまいます。

また、この不祥事に関連して、内容は全く異なりますが頭の中に浮かんだことがあります。それは、昨年4月に彦根市河瀬駅前交番で起こった19歳の新人巡査による上司の警察官射殺事件と、2005年のJR宝塚線脱線事故で問題になったJR西社による日勤教育です。

普通の状態では、いつも身につけて勤務している拳銃を忘れるようなことは、まずあり得ないと思います。それを忘れるということは、忘れた本人がかなりのストレスを感じており、その影響が不祥事につながったのではないかと懸念するところです。

これまで、度々不祥事が発生するたびに対策を取られてきておられますが、不祥事をなくすためにはマニュアル的な対応に加えて、メンタル面でのフォローも重要であると思います。

そこで、これまで5年間における傾向別の懲戒処分者数の推移を伺うとともに、原因分析の結果を踏まえた再発防止対策について、ご所見をお伺いします。

2.警察署の適正配置について

次世代に向けた兵庫県警察の組織の在り方を考える懇話会の答申に基づき、警察署等の再編整備(素案)が示され、適正配置に向けた取り組みが始まりました。

再編整備案は、小規模警察署の事態対処能力の強化等に置いたものであると謳ってありますが、兵庫県町村会から「兵庫県警察組織の再編整備に関する緊急要望」が出され、「犯罪の高度化、複雑化、広域化をはじめ、時代の変化に的確に対応しうる警察組織の再構築の必要性については理解できるところであるが、住民生活の安全、安心の確保に重要な役割を果たしている小規模警察署、警部派出所や交番及び駐在所の再編整備の検討にあたり、関係自治体住民や関係機関等との十分な意見調整を行い、再編整備を進めること」との要望が出されています。

また、町村会長の庵逧佐用町長は、「管理部門の集約合理化を行うと聞くのだが、少人数の署よりも都市部の多人数のところでの集約合理化の方が、効果が大きいのでは?」と仰っていました。

私は、再編にあたり気になる点として、1点目は欠員の多さです。

警察官は体力的にも精神的にも非常に大変で、マンパワーが必要な職業だと思っています。そのため、離職率が高いなどの理由で欠員が多くなるのは仕方がありませんが、再編整備計画を考える上で、この欠員を減らすような検討もあわせてされているのでしょうか。

また、2点目は警察署によっては警察官1人あたりの刑法犯認知件数に大きな差があり、これを解消するために集約をされるのは一定必要なことと考えておりますが、集約しても機動的に動ける体制となるよう検討がなされているのでしょうか。

そこで、これから丁寧に関係自治体住民や関係機関等との十分な意見調整を行われると思いますが、再編整備にあたりどのような検討がなされたのかお伺いします。

3.高齢者の免許更新、自主返納について

(1)免許更新手続きについて

高齢者のアクセル・ブレーキ踏み間違い等による重大事故が数多く起こっていますが、高齢者の運転免許証更新状況について伺います。

県内の自主返納(全部取消)は、平成24年中で5,490人、うち経歴証明書発行は4,508人で、65歳以上の占める割合はそれぞれ約95%です。

その数は年々増加し、平成30年中では、自主返納が21,026人、うち経歴証明書発行は19,744人、65歳以上の占める割合は約96%となっています。また、平成30年中で、免許更新時の認知機能検査を受検された方が74,833人で、うち認知症の恐れと判定された方が1,549人でした。

私の近所で満93歳の方が昨年3月に免許更新されたのですが、少し耳が遠いのと背中が少し曲がっているぐらいで、普段から農作業や古文書・歴史の研究をされていた方ですが、12月に突然夜と昼が逆転するなどの認知症の症状で入院、退院後は車いす生活となり、今年の7月に老衰で他界されました。

身近でこのような普通に生活されていた方が急に認知症を発症し、亡くなるといった経験をしたものですから、免許の更新時に、例えば認知症の兆候などが本当にわからなかったのだろうかと感じるところです。

また、事前にお聞きした認知症機能検査を受検された方は74,833人であり、そのうち1,549人が認知症の恐れと判定されたとのことでしたが、これは約2%程度であり、厚労省の発表した65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症(2015年時点)という発表からすると、非常に少なく感じます。

団塊の世代が75歳以上となる2025年問題など、今後も高齢者が増加し続けます。そのため、免許の更新時にしっかりと歯止めをかけるような対策をとらないと、今後も高齢者の事故が減少していかないのではないでしょうか。

そこで、免許更新にあたって認知機能検査の内容とその後の手続きについてご所見をお伺いします。

(2)免許証の自主返納促進策について

高齢者の安全運転対策について、本定例会で急発進防止装置の設置補助制度が可決されましたが、免許証の自主返納を進めるための施策についても必要ではないかと考えます。

自主返納により免許がなくなることから、身分証明のその一つに、運転経歴証明書交付があります。この度、免許証の更新を受けなかった者に対しても5年間遡り交付されることになり、手数料徴収条例も改正されることとなりました。

県全体でいろいろの施策を展開されていますが、自主返納を促すにあたっては返納のインセンティブをもたらす補助制度の創設なども有効であると考えます。

私の近くの福伸電気株式会社が電動カートを作られておりますが、時速2~6㎞で、連続走行距離29㎞です。都心部では勧められませんが、交通量の少ない郡部では最適だと思います。郡部では車がなければ移動が非常に困難となります。

自主返納で公共交通機関の割引等はありますが、そもそも公共交通機関が少ない状況があります。そのため、例えば、地域で行う交通安全イベントなどで、このような代替案を紹介し、自主返納につなげては如何でしょうか。

そこで、地域によって自主返納に向けた取組を工夫する必要があると考えますが、現状どのような取組をされているのか、ご所見をお伺いします。


●農政環境部
1 農地中間管理機構関連農地整備事業と地域集積協力金について 
2 農地多面的機能支払制度について
3 農業の大規模化に向けた取組について

全文

平成30年度決算特別委員会 農政環境部

質問日:令和元年10月11日(金)

質問者:上野 英一 委員

1.農地中間管理機構関連農地整備事業と地域集積協力金について

国の農業政策の大きな柱として、農地の集積による大規模化の推進があります。

農地の有効利用の継続や農業経営の効率化を進める担い手への農地利用の集積・集約化を加速させることが不可欠であることから、「4つの改革」として、農地中間管理機構の制度化等が行われました。

近年は、土地の所有者でもあった農家が農家でなくなっている状況にあり、国の農業政策に相まって、圃場整備等の農地整備事業を行う場合に、農地中間管理機構に農地を預けることによって、本来受益者が支払う負担金を国が肩代わりする農地中間管理機構関連農地整備事業が平成30年度から実施されています。

従来は、農地整備を行う場合、国庫補助事業を活用して整備を進めることが多いことから、受益者負担が必要でありましたが、この農地整備事業では農家の負担がなく整備ができることから非常にメリットとなっています。

この事業は日本農業の現状に即した画期的な事業だと考えています。兵庫県では、第1号ともいえる採択地区に、朝来市の夜久野高原地区、南あわじ市の八幡北地区、姫路市の須加院地区、市川町の屋形地区があります。

この事業の実施要件としては、①事業対象農地の全てについて、農地中間管理権の設定、②事業対象農地面積が10ha以上(中山間地域は5ha以上)、③事業対象農地の8割以上を事業完了後5年以内に担い手に集団化などの様々な要件がありますが、私の地元の市川町屋形地区では、事業採択にあたり地権者89名、418筆、33,4haについて、農地中間管理権の設定などの合意が得られ、採択されたことに大変喜んでいました。

しかし、一方で、農地中間管理事業による農地集積が交付要件となる地域集積協力金において、H31年度の制度改正による問題が発生をしました。従前の制度であれば、地域集積協力金が、約300万円交付されるものでしたが、受けられなくなりました。

また、平成31年度の農地中間管理権の設定でしたら、約900万円の地域集積協力金が交付されるものでした。

国の制度改正による問題ではありますが、しっかりと情報が伝わっていれば防ぐことができた事案です。新しい制度を活用し積極的に取り組もうとしている地域に対して、国からの情報収集に努め、丁寧に説明ができていたのでしょうか。

そこで、制度改正に伴う県の対応について、ご所見をお伺いします。

2.農地多面的機能支払制度について

先ほども申し上げましたが、農村に農家がいなくなりつつあります。

農家は、これまで個々の農地の管理以外に、農道や水路・井堰などの農業施設に限らず農村そのものや、景観などを維持し守ってきました。

かなり前にも申し上げたことがありますが、農村は単に生活をしているだけではなく、水や空気、労働力を都会に提供してきております。そのため、これからも農村を維持し続けなければなりません。

国においては、このような課題に取り組むため、「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」に向けた4つの柱のうち、農村の多面的機能の維持・発揮を図る取組として、日本型直接支払制度の1つである農地多面的機能支払制度を創設しました。

この支払制度では、水路の泥上げ、農道の路面維持、施設の点検、年度活動計画の策定等、地域資源の基礎的な保全活動に関するものと、地域資源の適切な保全管理のための推進活動による農地維持支払交付金があります。

また、施設の軽微な補修、花などの植栽事業、生き物の調査など地域資源の質的向上を図る共同活動、未舗装農道の舗装や素掘り水路からの更新などの施設の長寿命化のための活動による資源向上支払交付金があります。

農会などの自治会組織が機能をしているところでは交付金を活用して、農地保全だけでなく地域そのものの活性化に繋げています。

活動内容の一例をあげましたが、制度では多くの実施すべき活動内容があり、多くの内容で共同作業の必要があります。報告書の作成も、非常に負担の大きい事務作業です。

これらの課題から、事業そのものを実施していない地域もたくさんあると思います。また、以前は実施していたができなくなった地域もあるのではないでしょうか。

そこで、農地多面的機能支払制度の県内の活用について、推移も含めた県下の実施状況をお伺いするとともに、組織の広域化・体制強化を含めた今後の方針についてお伺いします。

3.農業の大規模化に向けた取組について

日本における農業は、農家の高齢化や後継者不足、またこれらの影響による耕作放棄地の増加など、さまざまな問題があります。

そのため、国においては、 先の質問のように農地中間管理機構を創設するなど、これらの課題に対して農業を持続的に発展させるため、効率的な農業経営がしやすい農業の大規模化を推進しております。

農業の大規模化にあたっては、特に農地の集積と認定農業者や営農組合の組織・法人化、企業参入などが必要と考えますが、農地の集積については、平成30年度の予算特別委員会において、本県の耕地面積7万5千haの3分の2である66%の約5万haを担い手に集積することを目標として進めているとの答弁がありました。また、兵庫農林水産ビジョン2025では、現状(平成26年)14,729ha、中間(平成32年)38,600haとなっています。

次に、認定農業者についても、同じく平成30年度の予算特別委員会の答弁の中で、本県の認定農業者は60歳以上が半数を超えているなど高齢化が進んでおり、平成28年度においては、高齢等を理由に認定の更新をしなかった者が新たに認定を受けた者を大幅に上回った結果、昨年度よりも128経営体が減少したとの答弁がありました。

これも農林水産ビジョン2025では、現状(平成26年)2,545経営体、中間(平成32年)2,800経営体となっています。

加えて、同じくビジョンの中で、法人経営体については、現状(平成26年)346法人、中間(平成32年)700法人、集落営農組織化集落数 現状(平成26年)1,066集落、中間(平成32年)1,300集落、新規就農者数 現状(平成26年)303人、中間(平成32年)400人となっています。

私は、現状の農業における環境を考えると、持続的な農業に向けて大規模化等による経営の効率化を進める必要があると考えておりますが、日本では地理的な制限もあることから、アメリカ等の農業を目指すのではなく、日本にあった大規模化、効率化を検討していく必要があると考えております。

そこで、農林水産ビジョンにおいて、大規模化に関係する農地の集積や認定農業者、営農組合の組織化、法人化、新規就農者数などの目標が掲げられておりますが、計画的に進められているのか状況をお伺いするとともに、持続的な農業を推進するため、今後どのように取り組もうとされているのか、ご所見をお伺いします。


●県土整備部
1 播但連絡道路について
2 ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画について
3 日常の道路・河川の維持管理について

全文

平成30年度決算特別委員会 県土整備部 質問原稿

質問日:令和元年10月15日

質問者:上野 英一 委員

1 播但連絡道路について

播但連絡道路は、県の幹線道路網「高速道六基幹軸」のうちの「播磨但馬軸」として、また国道312号線のバイパス道路の位置づけで有料道路事業として、1970年より建設が進められ2000年に完成しました。

1973年11月1日に砥堀ランプ福崎北ランプ間が初めて供用開始し、その後6度にわけて、あわせて、全線65.1kmが開通となりました。ETCも2017年3月31日に全料金所に導入されました。また、基本料金の値下げや、様々な料金割引きも行い、利用者へのサービス向上に取り組まれています。

一方、平成30年度実績では、料金収入が51億67百万円、維持管理費等が34億4百万円、償還準備金が767億78百万円、借入金等が1,817億54百万円、要償還額が1,049億75百万円となっています。

播但連絡道路の現状は、経年劣化の進展及び過酷な使用環境などにより、大規模な修繕等が必要となっており、その必要額は大規模修繕費約90億円、橋梁耐震対策費約80億円、あわせて約170億円と聞きます。

有料道路制度は、利用者負担を原則としているため、現行の有料道路制度では考慮されていない大規模修繕費等に、国や県からの補助金・交付金等を活用できなく、独自で対策費用を確保する必要があります。

そこで、大規模修繕等に対する今後の進め方について伺います。

2 ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画について

本県では2014年度から「ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画」に着手し、施設の安全性確保と総コストの低減と予算の平準化を図り、計画的・効率的な老朽化対策を進められています。

最初の5年間では、約2,430億円の内約940億円38.6%の実施となっていますが、これは多額の費用を要する下水道施設、排水機場の電気設備等で事業費が確保できていなかったとのことであり、今後の予算確保に努力をお願いいたします。

具体的な取組をみますと、まず、点検・評価としては、特A、Aなど4段階があり橋梁、トンネルなどの土木構造物は5年ごと、排水機場、水門、電気設備などは毎年の点検となっています。そして新計画では、早期対策特Aは無いことになっていますが、この5年間の対策では特Aの対策ばかりだったのか、要対策Aも含まれていたのか伺います。

次に、排水機場、水門、電気設備などに問題があれば取り換えることができますが、橋梁・トンネルなどの土木構造物ではそうはいきません。新幹線の台車や飛行機などで金属疲労が言われましたが、どのような点検・対策をとっているのか疑問として浮かびます。

パンフレットには、橋桁の事例として、「コンクリートの損傷が大きく、深い位置までの剥離が進行した状態、また鉄筋が露出し腐食した状態」の損傷状況に対して、「炭素繊維の接着、鋼板をあてがうことによる補強」を行うと対策例を挙げていますが、鉄筋の腐食は強度において致命的な損傷と言えるのではないでしょうか。具体的な修繕方法について伺います。

3 日常の道路・河川の維持管理について

道路の除草については事務所によっても異なりますが、年2回のところでも苦情がきますが年1回のところはどうしようもない状況になっています。過去にも何回か言いましたが国道428号は見れたものではありません。画一的に整備をした道路構造にも問題があります。

また、小規模河川の除草もなかなか対応できていません。

例えば、福崎町から姫路市に流れる平田川があります。姫路市内はブロック積がなされていますが、福崎町内は土羽であります。しかも河床幅が狭いために草が伸びると河川断面すべてが草に覆われる状態になっています。

立ち木が生い茂ると流れを阻害するために土木事務所は対応してくれますが、草は流れを阻害しないことになっていますので事務所は対応してくれません。地元で管理といっても、株が年々大きな塊となって人の手にはなかなか負えないのが現状です。

昨年・今年と土羽部分の草刈りを地元の土建屋さんに重機で、それもサービスで対応頂きました。その後、河床部分の株除去を事務所で対応頂きました。

また市川本流ですが、土砂が堆積して葦が生い茂り、その上に洪水で流れてきた葦やごみが覆い被って大変な状況になっています。またそこは獣の巣となっており、獣害のもととなっています。一度だけ極わずかの部分の撤去を事務所で対応頂きましたが、単年で終わりお茶を濁しただけであります。

これらは1例に過ぎず、また事務所の維持管理予算がないこともよく理解をしています。これが県下各事務所の現状と思いますが、アドプトなど県民との協働も踏まえて所見を伺います。


●病院局
1 加古川医療センターの経営方針について
2 粒子線医療センターの展望について

全文

平成30年度決算特別委員会 病院局

質問日:令和元年10月17日

質問者:上野 英一 委員

1 加古川医療センターの経営方針について

病院事業の運営にあたっては、病院構造改革推進方策に基づき、「より良質な医療の提供」、「安心してかかれる県立病院の実現」、「自立した経営の確保」、「安定した医療提供体制の確立」を基本理念としたうえで、県民から信頼され、安心できる病院づくりに努められています。

また、はりま姫路総合医療センター(仮称)の整備や、西宮病院と西宮中央市民病院との統合再編、がんセンターの建替整備など、新たな医療体制提供に向けた取組を進められており大いに期待するところです。

さて、その中で病院別の利用状況や決算状況を見ますと、加古川医療センターの経営状況が気にかかるところです。説明には一部診療科の医師減少による減収とされており、医師の確保が大きな課題となっています。

建設当初から交通アクセスの問題など、立地場所について危惧をされていました。加古川市内には、加古川西市民病院と加古川東市民病院を統合した加古川中央市民病院が市内中心部にあります。また、東播磨南北道路が完成しますと北播磨総合医療センターの利便性が高まり、利用者の減少が懸念されるところです。

また、2022年の上期に開設予定のはりま姫路総合医療センター(仮称)は、姫路駅に近接しており、加古川医療センターを取り巻く環境は厳しさを増していくのではないかと考えられます。

そこで、医師確保や交通アクセスのことも含め、加古川医療センターの今後の経営方針について伺います。

2 粒子線医療センターの展望について

次に、気にかかることに粒子線医療センターがあります。当センターは粒子線治療において、国内での画期的・先駆的役割を果たしてきました。

しかし、これまでにも、我が会派の前田議員が度々指摘をしてまいりました。現在国内に23か所の粒子線がん治療センターがあります。

関西には当県の2施設を含めて6施設あり、隣の岡山県にもがん陽子線治療センターが開設されています。また、鹿児島県には「リゾート滞在型陽子線治療」を提唱するメディポリス国際粒子線治療センターがあります。

前田議員が言うように医療ツーリズムという考え方もあるかもしれませんが、県立病院としての役割を考えるとそういう訳にもいかないと考えます。そこで今後の経営も含めたうえでの展望をお聞かせください。


●企業庁
1 三田まほろばブレッツァの運営について 
2 播磨科学公園都市における取組の効果について

全文

平成30年度決算特別委員会 企業庁 質問原稿

質問日:令和元年10月17日(木)

質問者:上野 英一 委員

1 三田まほろばブレッツァの運営について

三田まほろばブレッツァは、神戸三田国際公園都市(カルチャータウン)の利便性と都市機能を高めることを目的に、市民の台所・スーパーマーケットとして期待され、兵庫五国の食材が一堂に集まる「食の拠点」をコンセプトにして、賑わいづくりも合わせた商業施設として設置されたと理解しています。

建設費用は2億8千万円、980平方メートルの平屋づくり、車約200台、大型バス3台が停められる駐車場があり、レストランやKiss FMが入るサテライトスタジオが併設されています。

そのオープン時の運営者は、道の駅「但馬のまほろば」を経営する(株)グリーンウィンドです。(株)グリーンウィンドの関係者との縁で、オープン間もなく見学に行き、支配人の方からも説明を受けました。

私も、地元で閉店したスーパーの立ち上げに関わった経験から、経営側の視点で見学をしましたが、市民の台所・スーパーマーケットの期待とは程遠く、これは長く持たないなと感じました。実際に、その時に感じた意見については(株)グリーンウィンド、企業庁の関係者の方にも申し上げましたが、結果、1年余りで運営者の交替となっています。

事前に市場調査等も行っていたと思いますが、近隣に大型スーパーが出店するなどの影響を受けての早期撤退の判断となり、非常に残念な結果です。民間企業が運営しているものであり、県が口を挟むものではないとの意見もあるかと思いますが、神戸三田国際公園都市の活性化につなげるためには、経営の改善にあたり県からの情報提供や意見等が少なかったのではないでしょうか。

そこで、経営の改善に向けて県からのアプローチをどのようにされていたのか、また、今後、別会社により運営されますが、県としてどのように関わろうとされているのか、ご所見をお伺いします。

2 播磨科学公園都市における取組の効果について

播磨科学公園都市は定住人口を5,100人、住宅戸数1,800戸の計画でしたが、本年4月現在1,292人、463戸となっています。住宅用地だけでなく業務用地も分譲がなかなか進まない状況にあります。原因についてはSPring-8の利活用において、インターネットなど通信手段の急激な進歩により、播磨科学公園都市にいなくても仕事ができることなど、SPring-8による人口増が見込めないことから、やむを得ないことだと考えます。

しかし、そのような中でも、一昨年のまちびらき20周年を機にサッカー場の増設をはじめとする取り組みを進められています。特に、本来企業庁が行う業務ではないと感じますが、サッカー場を中心としたスポーツ振興は、目を見張る成果だと思います。また、本年3月には地元住民や通勤者等からの多くの要望を受けてコンビニも設置されましたが、地元住民だけでなく、スポーツイベントで来られた方々にも非常に喜ばれているとの話も伺っております。

そこで、これまで先程述べたスポーツ振興やコンビニ等の誘致を始め、最近では自動運転の実証実験など様々な取組をされていますが、これまでの播磨科学公園都市に対して行った取組に対する効果について、どのように考えられているのか、ご所見をお伺いします。

上野 英一
神崎郡

<前田 ともき 議員>
●財政状況

1 パチンコ税の創設について
2 超低金利・フラット化する金融情勢を活かした超長期債の発行について

全文

平成30年度決算特別委員会(財政状況)

日 時:令和元年10月7日(月)

質問者:前田 ともき 委員

1 パチンコ税の創設について

以前、宿泊税の創設を提言しました。答弁では価格弾力性や消費税との整合性など問題点を指摘しながら、創設しない答弁がされました。その後、大阪・京都などで導入され、兵庫県でも導入すべきと考えています。

今回は、パチンコ税の創設を提言します。パチンコは娯楽施設利用税として課税されていたこともあります。

消費税の創設に伴い廃止されましたが、IR導入を契機としてギャンブル依存症などの社会的コストが明らかとなっています。厚生労働省の調査では、生涯で3.6%、320万人の成人がギャンブル依存症が疑われる状態になったと推計しています。

お金を費やした対象はパチンコ・パチスロが最多で、2.9%。競輪・競馬などを抑えてダントツ1位。ギャンブル依存症はパチンコ・パチスロ依存症といっても過言ではありません。精神保健福祉センターや保健所におけるギャンブル等に関する相談件数は、平成 29 年度で 4,843 件に留まっており、適切に依存症患者が受診した場合、そのコストは飛躍的に増加する。そのコストを事業者に負担させることは当然ではないでしょうか。

競輪・競馬などは公営事業であり、収益は税収となる。カジノは売り上げの30%が税収となります。

しかし、完全民間事業であるパチンコ・パチスロはギャンブル依存症対策のコストを支払っていません。例えば、熱海市では別荘等所有税を創設し、ゴミ処理や消防梯子車、上下水道の整備などの行政需要・外部不経済の内部化を図っています。

今年、兵庫県ギャンブル等依存症対策推進計画(仮称)の策定が検討され、今後政策が実行されます。

ギャンブル依存症対策の財源を確保するために、その大半の発生原因であるパチンコ・パチスロ事業者に対して県独自の課税を行うべきと考えますが見解を伺います。

2 超低金利・フラット化する金融情勢を活かした超長期債の発行について

超金融緩和と景気後退懸念から、逆イールド・長短金利逆転は7年物まで、マイナス金利は15年物、新発5年債は過去最低の利回りを更新しました。また、10年国債と1年国債のスプレッドがほぼ0でフラット化が進んでいます。

金利低下と逆イールドで目下の金融情勢は資金調達、超長期債を発行する有利なタイミングです。国債ではアルゼンチン、オーストリア、メキシコ、ベルギーなどで100年債が発行され、ドイツは30年物のゼロクーポン債を発行しています。

ちなみに、オーストリアの100年債の利回りは1.2%程度まで低下。日本においては、地方債も暗黙の政府保証があるといわれ、金融機関にとってもリスクウェイトがゼロとされます。

兵庫県も超長期債の発行で有利な資金調達を図るべきでないでしょうか。

例えば、建設国債ならぬ、新県庁舎債の発行も行うべきでないでしょうか。

イールドハンティングが活発化する中で、長期間の安定的な債券投資に対するニーズが高まっています。

しかし、国内ではようやく今年に入り、三菱地所が最長かつ初となる50年、150億円、1.132%で調達した程度。民間はもちろん公社債でも投資家に対して債券投資先を供給できていないと考えています。

このような超長期債は国内で競合は少なく、先駆的に行うことで有利な条件で起債できると考えます。

そこで、超低金利・フラット化する金融情勢を活かした超長期債による資金調達についての方向性を伺います。

また、現行制度では地方債は、一部の例外を除き30年が最長となっていますが、最低でも建設国債並みの60年を最長とするよう国に規制緩和を働きかけるべきでないでしょうか。


●企画県民部①
1 兵庫県規制改革推進会議について
2 行政手続コストの2割削減について
3 公募型ふるさと納税の創設について

全文

令和元年 平成30年度決算特別委員会(企画県民部①)

日 時:令和元年10月8日(火)

質問者:前田 ともき 委員

1 兵庫県規制改革推進会議について

2017年9月本会議で提案した兵庫県版の規制改革制度ですが、翌年5月に兵庫県規制改革推進会議が設置されスピード感ある実現をうれしく思います。昨年度は類似案件を含め34件の応募があり、31件の審議を行い、いくつか制度改正が実現しています。今後、更に件数を伸ばし、行政や企業の事業の効率化や行政サービスの最適化を図り、社会的インパクトを高めるために縷々改善点を指摘していきたいと思います。

まず、市町や団体などに対してプッシュ型広報をすると同時に、1枚もののPDF資料を作成して、全県の事業者に送信するくらいの努力量が必要です。まだまだ、この制度が知られていないのが課題ではないでしょうか。

提案募集は僅か3か月、この短い期間を狙って提案する、その存在を記憶に留めておくほど人は暇ではありません。思い立った時が吉日。即、提案できるよう募集は通年化すべきです。

現行の提案対象は「条例、規則等に基づく独自規制により、行政や企業等の事業活動の妨げとなっている規制の見直し」です。もっと、対象を拡大できないでしょうか。

例えば、「補助金交付要綱の見直し」なども対象にできないのかと考えています。

私が県民から意見を受け議会で提案し、制度変更につながった事例を紹介すると、私立高校に通学する場合の授業料補助対象が「隣接府県」が対象で、隣の隣、つまり奈良県や滋賀県に通学する生徒は補助対象外となる問題。誰が聞いてもおかしな話です。議会で指摘するとすぐに改善されました。しかし、これでよかったね。ではありません。保護者と直接やり取りする職員から、なぜ改善すべき点として提案が上がってこないのか。

他にも多くの改善すべき点が埋もれています。県民や職員の不満となり蓄積しているのではないでしょうか。また、このようなテーマは議会で細かく議論するよりも、仕組化して自立的に改善する組織体にしたいと考えています。「ルールは守るべきもの」であると同時に、「変えることができるもの」という考えを県民はもちろん県職員に浸透させる必要があります 。

市町・団体・県民と直接窓口となる職員に対しても制度内容を徹底周知させ、「職員提案制度」と並行して、現場での問題を吸い上げ、行政組織内でも自律的に改善していく必要があります。

そこで、兵庫県規制改革推進会議を活用して、社会を変える、ルールを変える、お役所気質をどう変えていくのか。これまで指摘してきた改善に対する方針と併せてお伺いします。

2 行政手続コストの2割削減について

平成29年9月議会で行政手続コストの削減について代表質問を行いました。

内閣府の規制改革推進会議は、行政申請書類の作業時間を2020年までに2割削減、「簡素化の3原則」(①行政手続の電子化の徹底(デジタルファースト)、②同じ情報は一度だけの原則(ワンスオンリー)、③書式・様式の統一)を決定。素晴らしい取り組みです。事業者のコストは約9,000億円。これが2割カットできればその影響は非常に大きいと考えています。

本年6月の規制改革推進に関する第5次答申では、鳥取県は1年間で 30%削減を実現しています。その内容としては、審査手続の簡素合理化、同時処理可能な手続の一本化などの対策を進め、約120万時間を削減とのこと。

本県において、添付書類の削減、不要な押印の省略、書式・様式の改善といった細かいものから補助金・許認可の際のあらゆる手続きについてどのような改善が図られているのでしょうか。

そこで、私の本会議での提言から2年。国は来年までに2割削減の計画、鳥取県は1年で3割削減を達成した中で、本県はどのような成果をあげてきたのか。今回はその進捗状況をお伺いします。

3 公募型ふるさと納税の創設について

一部の地方自治体がルールの不備をつくような形で展開し、単なる節税商品化しつつあったふるさと納税。事業の理念を踏みにじり、己さえが良いという自治体は矜恃が無いのか疑問に感じます。

また、ルールに無いから何しても良い、この一件で地方分権改革は停滞する危惧も持っています。いずれ返礼品は無しに制度変更されると考えていますが、そこで重要なのが、納税者ニーズに沿った事業提案です。しかし、過去2年度の事業別寄付金を拝見すると、全く寄付を獲得できていない、またそのような事業が連続して募集されていることに驚きを感じます。

そこで、寄付金500万円以上で寄付者が対象事業を提案・オーダーメードできる公募型ふるさと納税を提案します。カジノでも寄付金でも大事なのは大口顧客を如何に確保するかが大事です。アメリカの場合は2017年の寄付金トップ10が総額1兆1,300億、1位はビルゲイツ夫妻で5,100億円。極一部の大口が総額・平均値を高めている状況があります。しかし、多額の寄付をするからには、その寄付者の考えや思いにフィットする事業でなければなりません。これは、政策ネタを民間から募集するオープンイノベーションでもあります。

もちろん、ふるさと納税の事業としての妥当性等々は一定の審査を踏まえた上ではあるものの、提案・オーダーメードできる公募型ふるさと納税を実現すべきではないかと考えますが、所見をお伺いします。


●企画県民部②
1 広報力の強化について~ナッジ活用と市町への支援~
2 オープンデータの現状と課題について
3 企業版ふるさと納税について
4 出会いサポート事業の廃止について

全文

令和元年 平成30年度決算特別委員会(企画県民部②)

日 時:令和元年10月8日(火)

質問者:前田 ともき 委員

1 広報力の強化について~ナッジ活用と市町への支援~

平成29年9月議会では、広報・デザイン改革をテーマに、広報戦略監の創設とデザイン・コピー・ウェブディレクションの専門家を採用し、専門家による「助言」ではなく、「制作」する仕組みにし、抜本的に改革するよう提言しました。兵庫県レベルの組織や広報量を踏まえると、内製化したほうがコスト削減・レベルアップにつながると考えているからです。

ここ数年、広報・デザインはようやく変わりつつあることを実感します。しかし、チラシやウェブページなどのクリエイティブはまだ現場の職員が作っている状況です。

素人の職員が一から勉強して、イラストレーターやパワーポイントで制作する。これは非効率であり、現場の士気も上がらないのではないでしょうか。

私も議員として県議会報告チラシを発行しています。

デザイン・制作の書籍は各10冊以上は読み、常に学び続けていますがデザイン作成は専門家に外注しています。やはりプロの制作スピード・質は素人の私が何日かけても出来ないレベルの制作物を数時間で仕上げてきます。

そこで伺います。専門家による「助言」ではなく「制作」する仕組みに変更し、更なる広報力の強化を図るべきでないでしょうか。と同時に広報人材が弱い市町から業務を受託して支援する仕組みも必要ではないでしょうか。

兵庫県全体の広報力の強化。それは、内製化と市町からの受託の次のステージは行動経済学・ナッジの活用です。ずいぶん前にふるさと納税でクラウドファンディング活用を提言しました。その趣旨はゲーミフィケーション効果。

これも、行動経済学を活用したものです。広報の究極の目的は対象者が考え方を変える・行動を起こすこと。ナッジは経済的インセンティブではなく、行動科学の知見に基づく工夫や仕組みによって、人々がより望ましい行動を自発的に選択するよう誘導する政策手法です。

例えばがん検診受診率の向上は毎議会ごとに議論になります。

福井県高浜町の事例では、特定健診とがん検診の申し込みフォームをセット受診が一般的な風にデザインを変更するだけで、申し込み率は36%から53%に上昇。コストをかけてシンポジウムやチラシの量を増やすより、ちょっとした工夫で結果につながります。

先ほどの行政手続きコストでも指摘しましたが、書式・様式もこの理論を活用し、合理化が求められます。

今年2月に横浜市、5月に経済産業省でナッジユニットが設置されました。また、厚労省はナッジを活用した受診率向上施策ハンドブックを作成するなど行政での活用が活発化しています。

そこで、本県においても、広報活動にナッジの手法を取り入れ、広報力強化を図ってはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

2 オープンデータの現状と課題について

5年ほど前の本会議でオープンデータの推進について提言しました。

その後、カタログサイトが始まり、データセットは250を超え、バリアフリー情報や犯罪発生状況など様々なデータが提供されています。では、それで世の中が何か変わったのでしょうか?また、便利になったのでしょうか?

オープンデータ化を進める事業費と比較して十分な成果を挙げられたのかというと図りかねるところがあります。もちろん、データ利活用の重要性は認識しており、行政は特に貴重なデータを保有し、それは民間事業者が大金を積んででも欲しい。うまく活用すれば大きな社会的インパクトを生み出します。そのため、ひょうご・データ利活用プランが出来たばかりであります。

しかし、現行のカタログサイトでいいのでしょうか?データ利活用プランとの整合性をどう図っていくのか?情報銀行が誕生する中で県の立ち位置や役割はどうすべきなのでしょうか?ニーズの高いデータの選定とデータ提供レベル、どのような経路でデータを出すのがベストなのか?難しい課題であります。

そこで、オープンデータの現状と課題について、ご所見をお伺いします。

3 企業版ふるさと納税について

企業版ふるさと納税は2018年度の総額は34億円、個人版は5,000億円超なので大きく出遅れています。出遅れ理由は、返礼品の有無や税負担の差、株主に対する説明責任もあると思いますが、伸びしろはあります。

政府も対策に乗り出しており、今春には寄附対象の事業拡大や自治体の基金も対象とするなど強化がされてきました。内閣府は2020年度税制改正要望に税負担軽減を9割にする大幅拡充を盛り込みました。10月2日付の産経新聞でも北村地方創生担当相は「企業版ふるさと納税の抜本的な強化に取り組む」とコメントされています。つまり、今がチャンスです。

例えば、淡路・但馬の専門職大学の新設では、映画・テレビ局・タレント事務所などメディア系企業向けに、がん患者相談支援センターの新設では、医薬品や保険会社に、また、博物館・美術館も法人向けになど、兵庫にゆかりのある企業や創業者向けにオーダーメイドで政策立案しても良いのではないでしょうか。

谷上プロジェクトの中核で今年上場したチャットワークス、ヴィッセル神戸を有する楽天はスポーツのみならず光免疫療法のがん対策にも興味を示すでしょう。共に政策をつくることは、オープンイノベーション・プロボノといったメリットがあります。

そこで、兵庫の持つ魅力、兵庫にゆかりのある企業といった資産で、ふるさと納税をフル活用し、新たな施策展開を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いします。

4 出会いサポート事業の廃止について

過去の決算特別委員会でも指摘しましたが、私は出会いサポート事業はもう役目を終えたと考えています。

とはいえ事業として存続させる。というので様々な改善案を問題提起してきました。

ネットワークの外部性と規模の経済がこの事業の肝であります。その改善点として、居住要件の撤廃です。これは実現しました。が、一番重要な会員データーベースの共有化は実現していません。

登録会員が5,000人レベルではうまくマッチングが成立せず、成婚数は低空飛行であります。ちなみに民間企業ではIBJは会員6万、パートナーエージェントが5.5万人です。

横ばいを続ける出会いサポート事業ですが、出会いをアプリや結婚相談所に外注する流れは右肩上がりとなっています。合コンはオワコン。出会いの主軸はマッチングアプリです。

2019年のオンライン恋活・婚活マッチングサービス市場は、前年比約4割増の530億円。2016年は156億円であり、僅か3年で3倍以上の成長であります。

シカゴ大学の研究者らによりますと、米国では2005~12年の結婚の約3割がオンラインで関係がスタートしており、また、ピュー研究所の調査によると、オンラインデートをしている人や、オンラインデートで配偶者や恋人を見つけた人が知人にいる米国人は、全体の半数に上ることのことです。

また、オンラインきっかけの方が離婚率は低く、結婚生活は満足というデータもあります。日本もこの流れが更に加速します。従来型の友人関係や職場での出会いは今後少なくなります。出会いサポート事業は先駆的な取り組みでしたが、もうその役目は終えたのではないでしょうか。

民間によるサービスが充実する中で、運用コストは極めて高止まりしています。過去3か年平均事業費1億3,540万円から平均成婚数で割った、成婚実現コストは90万円。オフラインの相談所なら年間25万円、マッチングアプリなら年間数万円。そして、選択肢も民間のほうが10倍以上豊富。どちらがいいのか自明であります。

そこで、本事業は廃止すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。


●公安委員会
1 路上駐車の規制緩和について
(1)訪問診療等に対する駐車許可事務の簡素合理化について
(2)原付・バイクの駐車場整備の働きかけと駐車規制の見直しについて
(3)宅配事業者の路上規制緩和について
2 警備業者に対する指導・監督・規制改革について
(1)警備業者に対する指導・監督について
(2)警備に対する規制改革について
3 通信傍受の運用と犯罪捜査への活用について
4 都市部警察署への負担集中について

全文

平成30年度決算特別委員会(公安委員会)

日 時:令和元年10月10日(木)

質問者:前田 ともき 委員

1 路上駐車の規制緩和について

道路の役割は交通・空間機能。道路は県民のためにあるのであり、道路行政だけの部分最適化ではいけません。県民利益の全体最適を図るため、道路資産の活用と柔軟な運用を意識して行く必要があります。そのような観点から路上駐車に関する規制改革の在り方を3点伺います。

(1)訪問診療等に対する駐車許可事務の簡素合理化について

国は、療養病床の減少や医療費適正化、在宅医療を推進中です。在宅医療の重要な担い手として、訪問医療・看護・介護の役割は大きく、県民の命や暮らしの質に直結する貴重なインフラ。従来から、警察署の許可証で、駐車禁止区域でも駐車が可能です。しかし、民間委託も含めた駐車違反取締りが強化された結果、事業者に対する負担や緊急時の対応などでこの駐車規制の硬直性が一つの障害となっています。

今年3月、警察庁は関係車両の駐車許可事務の簡素合理化について通達しました。

駐車可能な日時・場所の柔軟な対応や申請手続きの簡素化・合理化、事業者の負担軽減を各都道府県警に要請しました。また、駐車許可制度自体が事業者に周知されていない課題認識も示しています。

そこで、貴重な社会インフラである訪問診療等を円滑に効率よく運営するため、駐車規制の合理化・緩和に対する対応状況を伺います。

(2) 原付・バイクの駐車場整備の働きかけと駐車規制の見直しについて

2018年4月に警察庁は「自動二輪車等に係る駐車環境の整備の推進について」を県警に通達しました。今回はその対応状況を伺います。

通達は、駐車場整備の働き掛けと駐車規制の見直しが趣旨。地方公共団体、道路管理者、民間事業者に、駐輪場の整備を働きかける。市区町村には、自動二輪車の駐車場整備の条例を働きかける。内容となっています。

例えば、JR住吉駅で神戸市が運用する駐輪場は150ccまでしか駐車できません。昔から大型バイクはなぜ駐車できないのか疑問に思っていました。原付・バイクの駐輪場整備不足は大きな課題であります。

また、駐車禁止規制の対象から除外する見直しや駐車禁止規制の廃止、駐車可規制の検討などがあります。バイクは自動車に比べると占有面積が小さいので道路環境を疎外しない形で道路の高度利用やユーザーメリットを高めることができるのではないでしょうか。

それら指摘を踏まえた駐車場整備・規制の対応状況と今後の取組を伺います。

(3)宅配事業者の路上規制緩和について

物流は法人・個人の産業・生活インフラであります。ドアtoドアで1個数百円でどこでも配達してもらえるこの環境。ネット通販や宅配は、頻繁に買い物に行けない高齢者や障がい者、過疎地の買い物難民を救う面もあり、無くてはならないものです。

さて、2018年2月の警察庁通知では、直ちに取り組む施策として宅配事業者の駐車規制の見直しがされている。各県警が対象区間・箇所や緩和条件を決定しており、荷下ろし場の設置などもなされている。県警によって対象業種や車種、積載量の緩和が違うようです。そこで、兵庫県警はこれら社会的意義を踏まえてどのように規制緩和を行っているのか伺う。

2 警備業者に対する指導・監督・規制改革について

 (1)警備業者に対する指導・監督について

今や警備員は空港や新幹線、万引き警戒など街の至る所で目にします。その業務は施設や雑踏警備、交通誘導など身近な存在です。民間ですが警備員も治安サービス・体感治安の向上に寄与しています。

民間警備業の本格的な発展は、1964年の東京オリンピックで選手村警備で始まり、大手1社の綜合警備保障は警察官僚が退官後に設立したベンチャーでもありました。56年の時を経て来年の東京オリンピックでも大きな役割を果たすことになり、必要な警備要員5万人で警察官2.1万人に対して、民間警備員1.4万人、ボランティア警備員0.9万人とされています。

都道府県の警察官の条例定員は約26万人。これに対して、民間警備員は約55万人とほぼ倍となっています。 意外なことに警察官より人員は多く、その質・量的向上は体感治安に大きな影響を与えます。

そこで、県民の治安サービス向上のため、警備業の健全運営と警備業者に対する指導と監督、その結果を踏まえた措置など伺います。

(2)警備に対する規制改革について

とはいえ、警備員の人員不足は大きな課題です。

警察庁の実態調査では、交通誘導やイベントでの雑踏警備などで90%以上の業者が人手不足と回答。花火やお祭りなどのイベント運営にも大きな影響を与えています。

例えば、宝塚花火大会は警備員の確保が困難で中止。天神祭も警備費用が高騰し、クラウドファンディングなどで資金調達を狙いましたが赤字化しました。イベントの実施主体に自主警備を求めていく流れは正しいですが、警備員の配置に関する警察の指導が厳しすぎるのではないでしょうか。兵庫県規制改革会議では道路工事の際の警備員配置基準の周知徹底がなされました。明石の悲しい事件はあるものの、過剰な配置を警察が求めすぎていないか。それが、不要なコスト、人手不足を生み出す要因となっていないか懸念が残ります。また、警備員が所持できる護身具も厳しすぎます。

県下には神戸港・伊丹空港・神戸空港など重要インフラが存在します。テロリストの攻撃対象になる可能性や万が一の場合のリスクを考慮しますと、催涙などの護身用スプレーや金属製楯や特殊警棒のサイズ制限など改善すべき点があるのではないか。

これら指摘した点を踏まえて、警備に対する規制改革の状況を伺います。

3 通信傍受の運用と犯罪捜査への活用について

2016年に成立した改正通信傍受法が6月施行されました。従来とは違い、県警本部で通信を傍受でき、通信業者の立ち合いも不要で録音も可能。運用が効率的になり、捜査力の向上や効率化が期待できます。対象犯罪の拡大もなされ、特に多くの被害者・被害金額を生み出す特殊詐欺や暴力団に対しては積極的に活用していただきたい。

法務省は昨年の全国実績を公表しました。通信傍受は1万件以上、12事件で82人を逮捕に繋がりました。

そこで、法施行から県警での通信傍受の実績やどのような犯罪に対して行われたのか。法改正までの捜査現場での課題。また、通信傍受を捜査に活用する有用性についての評価を伺います。

一方で、通信の秘密・プライバシーの侵害、通信傍受の乱用など法改正の際には大いに議論されました。諸外国と比べますと、日本はかなり厳格な要件・手続きが依然としてあるわけですが国民の信頼がなくては、この制度の存続は成り立ちません。県民が警察に見張られているではなく、見守られていると感じてもらえるような運用や透明性の担保が必要ですが、具体的にどのように取り組んでいくのか。

また、例えば通信傍受から30年を超えた場合は一定の情報開示を行っていく必要があるのではないか。ご所見を伺います。

4 都市部警察署への負荷集中について

兵庫県警の警察再編計画が策定中です。

この問題は、私が警察常任委員だった時、各警察署を回って調査した際に気づいた警察署間の業務負荷の大きな差。例えば、警察官1人あたりの事件・事故などの処理件数は最大約8倍。県全体の治安サービスの最適化を図るため、平成27年の決算委員会で部局別、そして総括でも警察署や交番の再編を提言しました。

議員もどうでしょうか。一人当たりの質問時間が約8倍も格差があった場合、ちょっとどうなのでしょうか?と思います。

本会議では多くの会派から統合対象の警察署に対する支援や地元の配慮を求める声がありました。警察署が無くなる地域は不安を感じる、という声です。

しかし、都市部の住民は十分な治安サービスを十分受けることができていません。

業務量から見て、適正に警察官が配置されていれば防げていた事件・事故があったのかもしれません。これら住民は警察人員の偏在に気づいていないため、声をあげることができません。だから私は兵庫県全体を俯瞰してあるべき姿を繰り返し問題提起します。そこで、平成27年の提言から4年近くがたち、警察人員の最適化はどのように改善されてきたのか。また、都市部の警察署の業務負荷についての見解、再編によってどの程度改善されるのか伺います。


●教育委員会
1 学校ルールと生徒指導のあり方について~ブラック校則の撲滅~
2 病気療養中の児童・生徒に対する学習支援について
3 学校での事故リスク軽減について~組体操・部活動など~
4 美術品の購入・展示指針の必要性について
5 教職員公舎の廃止と福利厚生の最適化について

全文

平成30年度決算特別委員会(教育委員会)

日 時:令和元年10月16日(水)

質問者:前田 ともき 委員

1 学校ルールと生徒指導のあり方について~ブラック校則の撲滅~

ブラック校則というキーワードを最近見聞きします。

学校には校則や生徒手帳など明文化されたものから、部活動や教師の指導など様々なルールがあります。私が最初に問題に気づいたのは、ある高校の卒業式への参加です。訪問前に学校情報を調べておこうと高校名でネット検索してみると、口コミサイトにたどり着きました。

そこには保護者からの「真冬にセーター着用禁止ってありえない」の声が多数。

このような、理不尽・社会常識から乖離した校則は他にも指摘されています。

例えば、防寒用のタイツやマフラーの禁止や下着の色指定、地毛が茶髪の生徒に対する黒染め強要は裁判に発展しました。

小学生が10数キロのランドセルを背負った通学は昨年、文科省の通知でようやく携行品の重さや量への配慮されたばかり。校風・風紀・教育的配慮など様々な観点から当然必要なものではあります。学校ごとに違っていいでしょう。

しかし、一部の学校・一部の教師の校則や独自ルールが生徒を過度に萎縮させていないでしょうか。29年前に起こった校門圧死事件も忘れてはいけません。

文科省の全国の不登校に関する平成29年度の実態調査では、不登校の3.8%は原因が「学校のきまり」。高校生の不登校は5万人弱なので学校のルールが原因で不登校になる生徒は1800人と推定されます。無視できる数字ではありません。

国連子どもの権利委員会は日本政府に対し、学校制度への子供が参加する権利や意見の尊重が限定的になっている懸念を勧告しています。

校則などのルールは、一定の合理性や納得感、決定プロセスへの生徒・PTAの参加が必要です。校則がいやなら入学するなという声もあります。

しかし、国立教育政策研究所の調査では6割超の学校が就学段階で校則や指導基準を伝えていない。としています。校則や生徒手帳など明文化されたルールは学校HPなどで公開し、PTAや受験生向けに広報する仕組みが必要です。

そこで、県教委として県立高等学校の校則などのルール策定・運用の妥当性や教師の指導状況の問題点をどのように把握し、是正しているのか教えてください。

また、これらに対してガバナンスを利かせ、学校・生徒・保護者が納得感ある、校則や生徒指導の運用を図るためには、校長・PTA・生徒会が年に1回議論する会議体が必要と考えますが所見を伺います。

2 病気療養中の児童・生徒に対する学習支援について

先日、お子さんが闘病のため県立こども病院に入院されていた方からご相談を受けました。

中学生の時に病気が発覚し、入院。しかし、一年遅れたものの無事に高校に進学されたそうです。

そこで伺ったのが、高校生に対する学習支援の不備。義務教育である小中学校と比べると高校の学習支援には様々な課題があります。98.8%の高校進学率とすると、小中学校と同等の支援が当然ではないでしょうか。

例えば、昨年9月。小中学校の病気療養児は同時双方向型の授業配信を一定要件の下で指導要録上「出席扱い」とし、評価に反映できることになりました。病院のクリーンルームと学校を動画でつなぐイメージ。兵庫データ利活用プランでは、過疎地域同士をつなぐ遠隔授業の調査研究を実施していますが、病児に対する学習支援こそ必要ではないでしょうか。

厚労省は今年小児がんの調査を初めて実態調査に乗り出しました。不妊リスクの説明や本人の就学状況、治療と教育の両立への配慮の有無などが対象ですが、遅きに失した感はあります。

2018年閣議決定のがん対策推進基本計画でも小児・AYA世代のがん患者サポート体制が不十分で、高校教育では取組が遅れている指摘がされています。

こども病院を運営し、今年がん対策条例を成立させた兵庫県。本県ではAYA世代、就学支援の独自性・先導的役割が求められます。

学習支援は教員派遣や遠隔授業など学校単位で実施していますが、県教委が小中学生向けも含めて課題を把握し、さらに学習支援を実施していく必要性を伺います。

3 学校での事故リスク軽減について~組体操・部活動など~

ブラック校則の調査をする際に、フェイスブック広告で事例を募集しました。その際に、校則を超える勢いで批判が多かったのが組体操問題です。

3年前の本会議で竹内議員が指摘をしていました。大阪経済大学の西山教授によりますと、2017年度の兵庫県の組体操事故は3年連続で全国最多です。特にハイリスクなのがピラミッドとタワーです。骨折等の全治一ヶ月以上の重傷事故発生率は1~2%。

例えば、柔道やアメフトなどの部活での事故発生は生徒の自発的意思で参加するため、善良なる注意者としての管理義務を果たしていれば、まだ理解できます。現実的に事故0にはできませんので。

しかし、全員参加強制の体育祭だとどうでしょうか。そこで発生した事故に納得感はあるのでしょうか。神戸市では小中学校で、過去3年間で123件の骨折事故が発生していました。神戸市長の再三の要請にもかかわらず、今年の組体操で6人が骨折とのこと。

もうこれは人災であり、犯罪。国家賠償法違反、民法の使用者責任を問われてもおかしくありません。県教委が保護者を代表して訴訟するレベルだと思います。

また、県立高校での全治1か月以上の重傷事故は平成28年12件、平成29年17件、平成30年13件あり、そのうち組体操による事故は平成30年1件発生しております。

そこで、平成28年3月に示された組体操についての県教委の方針以降、県下における事故発生はどのように低減してきたのか。また、部活動などの学校内における事故リスク減少に向けた取組を伺います。

4 美術品の購入・展示指針の必要性について

最近では古代中国鏡の寄贈に伴う考古博物館分館整備、今回も頴川美術館の寄贈に伴う補正予算案が可決されました。

県立美術館や博物館は寄贈の受け入れや美術品の購入を行いますが、購入金額や保管・管理費用は馬鹿になりません。学芸員の職務には収集・保管・研究などがありますが、単なるコレクターになっていないでしょうか。

購入に関して全体の指針はあるのでしょうか。購入の基準は適正なのか。過度の収集を行っていないか。しっかりと展示され、資産が有効活用されているだろうか。ガバナンスを利かせる必要があります。

年間の美術品購入額は5か年平均で約2千5百万円。所蔵作品全体の5年展示率は42.6%であります。県立美術館でいうと32億相当の美術品を保有しています。そして、5年間の常設展平均来場者はわずか5.4万人です。

もちろん、いつ行っても同じ展示品だとリピート客につながりませんし、休ませる必要がある作品もあるのは承知しています。しかし、この購入額を抑制すれば、県民にもっと見てもらえる施策も打てます。

私が提唱している美術館・博物館の月1無償化。県立美術館の場合は1日の入館収入が約2万円だから、無償化による入場者数の増加を加味しても、100万円程度の予算で県民誰もが無料で県立美術館を楽しめるチャンスを提供できます。

他の美術館への貸し出しも行なっていることは承知していますが、今後は購入を抑制し、貸し借りの強化で多様なコレクションを県民に提供する形の方がいいのではないでしょうか。

また、大阪府ではバブル期に購入した10億円の絵画が倉庫に眠っているそうです。兵庫県で一括仮受けしてはどうでしょうか。兵庫県立だからと言って、兵庫由来の作家に注力する必要はありません。

全国の倉庫に眠っているコレクションの展示ギャラリーとしての県立美術館もありではないでしょうか。これら点を踏まえた、購入・展示指針の必要性について伺います。

5 教職員公舎の廃止と福利厚生の最適化について

教職員公舎は不要ではないか。これが今回の問題提起であります。もちろん、福利厚生は必要で公舎もその一環。

しかし、学校の近隣に賃貸住宅がない一部地域を除いて、県教委が土地・建物を保有して公舎を提供する必要はないと考えます。

現在、賃貸住宅に住む職員は月上限2万8千円の手当、公舎に住む職員は御影の職員公舎だと63平方メートル。築年数26年で支払い賃料はわずか2万3千円。同エリアで同程度の家賃相場は8万円程度。

そして、職員が住宅を保有すると住宅手当はゼロ。資産形成において、持ち家は重要ですが逆インセンティブになっています。これって不公平を感じないでしょうか? 賃貸・公舎・持ち家と様々な福利厚生のあり方を1本化すべきでないか御所見を伺います。

また、現状の教職員公舎は339世帯、空室率は27.9%であります。今後の建て替えは反対しますが、既存住宅は有効活用すべきです。県・市町の職員はもちろん、県民も入居できるよう空室率低減に向けて努力すべきではないでしょうか。兵庫県全体の空室率は約2割であり、教職員が入居できなくてもバッファーは不要です。

そこで、新築・建て替えは今後行うべきでないと考えますが御所見を伺います。

さらに、既存施設の空室率低減に向けた取組状況、また、全職員が享受出来る手当への一本化のためにも公舎は廃止する必要があると思いますがいかがでしょうか。


●病院局
1 学会参加など研究・研修体制の充実について

全文

令和3年度決算特別委員会 【病院局】

質問日:令和4年10月17日(月)

質問者:前田 ともき 議員(ひょうご県民連合)

1 おとなホスピスで稼ぎ、こどもホスピスを守れ

ホスピス事業へ参入する企業が増加している。

日本ホスピスHDやアンビス、パーキンソン特化型のサンウェルズが上場を果たした。

営業利益率は非常に高く、アンビスHDは23%。小売業は平均2.1%、製造業4%であり突出している。

高収益の要因は介護保険・医療保険・障がい者総合支援・自己負担の併用。

保険制度はこのような併用を想定した点数ではなかったのではないか? 合成の誤謬による高収益だ。

一方で、こどもホスピスは全国に数か所しかなく、その要因は社会保険はもちろん公的支援の少なさからくる資金不足。同じホスピスでも、おとなホスピスは高収益で上場し、創業者は数百億の資産。一方で、こどもホスピスは爪の火を灯す運営。

なんかおかしくないか?

そこで県がホスピスへ参入することで是正する。

医療資源の限界、病院看取から在宅医療の推進、患者・家族も病院外を求めるが自宅・介護施設では医療ケアが不十分。第三の場所としてホスピスのニーズが高まっているが、ホスピス自体が少なく社会的意義は大きい。そして、ホスピス経営で重要な点は患者獲得と医療人材。

高度・急性期の病院グループを有する県は患者獲得で最強の強みを有している。

また、医療人材も共同採用や高度・急性期で疲れた医療人材の活用など効率化できる。

そこで、高収益・県民ニーズの高いおとなホスピスへの参入を行い、獲得した利益でこどもホスピス向け支援を行ってはどうか。企業庁は経営ビジョンで新規事業として、福祉事業への参入も検討している。直営でリスクが高いと感じるのであれば、土地建物と患者送客機能だけを保有し、運営はオペレーターに任せる形態でもよい。どのような主体であれ、兵庫県としてホスピス事業に参入すべきである。

2 デジタル療法の早期導入・治験について

治療用アプリの世界市場は2020年3.4億ドルから、年平均成長率21%で成長し、2027年には14.5億ドルとなる見込み。

国内ではcureapp社のニコチン依存症や高血圧治療補助アプリが保険適用されている。

適用疾患は意外に広く、開発中も含めてうつ・ADHDなど精神疾患はもちろん、糖尿病や高血圧など多様であり、ACPなど支持緩和療法も期待されている。

医療サービスの効率化、低侵襲への移行、医療人材不足への対応、データ管理の重要性などデジタル療法への将来性・期待は高い。

従って、高度・急性期の県立病院でも検討の余地はあるし、ひょうごこころの医療センターは早期の導入が求められるのではいだろうか。

また、県民に対しては常に最適・最先端の医療を提供したい。ドラッグラグの解消は国別だけでなく、病院間でも存在する。また、標準医療の先、つまり治験・共同研究を積極的にデジタル療法で行っていくことも重要だ。デジタル療法は侵襲性がなく、⼈体へ与える悪影響の可能性が極めて低いため、倫理委員会や治験費用、現場の負担は化学療法と比較して参加しやすいのではないか。

そこで、県立病院におけるデジタル療法の早期導入・治験への積極的な参加への見解を伺う。


●総括審査
1 制研究会の設置による課税自主権の検討について
2 オープンイノベーションHYOGOについて
3 県職員力の強化について
4 次世代型がん患者支援センターの設置について
5 多様性社会における人権と差別への対応について
(1)県民意識調査を踏まえた人権対策について
(2)ネット被害対策支援サービスの創設などネット上で県民を守る取組について
6 パワハラ・カスハラなどの積極的な事件化について

全文

平成30年度決算特別委員会(総括)

日 時:令和元年10月21日(月)

質問者:前田 ともき 委員

1 税制研究会の設置による課税自主権の検討について

兵庫県の税制研究会が設置されたのは、平成13年。18年前であります。

10年ひと昔なので、18年は大昔。僕は金髪ロン毛の大学生でありました。そんな金髪大学生が県議3期目となりました。

消費税が10%となり、ふるさと納税が創設され、国では森林環境税も創設されるなど税を取り巻く環境は激変しています。そして、過去の県議会議論でも課税自主権に関する問題提起が数多くされています。

大きく分けますと、税の創設では、宿泊税・パチンコ税。税の維持では、ゴルフ場利用税。税の廃止では、法人超過課税、県民緑税などが指摘されています。今回の部局別審査でも我が会派だけでなく、様々な議員から問題提起がありました。しかし、これらに対する答弁は大昔の税制研究会の要旨をほとんど切りはりして答弁しています。

私はパチンコ税の創設を提言しました。ギャンブル依存症対策の費用をしっかり業界に負担させるべき。担税力も十分にあると。しかし、答弁は研究会の基本的な考え方をご紹介いただいた後は具体的な話は、業界が右肩下がりだから安定財源に疑問がある。とのこと。

ゴルフの利用者は減少でもゴルフ場利用税は断固維持なのに?依存症対策の団体に業界が助成金を出しているとご紹介がありましたが、ギャンブル依存症という外部不経済の何割をその助成金でカバーできているのか?ほとんど出来ていない。事業者負担はスルーでいいのか。具体的な検討が窺えるような答弁は全くと言ってありませんでした。

木戸委員のホテル税についても同様です。私も6年前にホテル税は指摘しました。税を徴収すると価格競争力が落ちると言いますが1泊七千円として百円課税して客数がどれだけ減少するのか。価格弾力性に対する具体的な言及はありません。

ホテルはダイナミックプライシングで日々ではなく、秒単位で価格調整がされているので百円など誤差、価格差を認識したレベルではありません。客が兵庫に来ないのは、100円の価格差ではなく、適切な広告が適切な量・適切な相手に適切に伝わっていないから来ないのです。

これ以上、課税自主権について議会で議論しても無駄ということでしょうか。

そこで、これまで議会で取り上げられた様々な税のあり方も含めて、税制研究会を18年ぶりに復活させて兵庫県における税のあり方を検討すべきでないでしょうか。

2 オープンイノベーションHYOGOについて

今回の決算委員会では、私から兵庫県規制改革推進会議の改善点について指摘しました。

企業に対する制度の周知徹底はもちろんのこと、企業と直接やりとりする現場の職員から改善点あがってこなければ、きめ細かな改善はできません。

職員提案も絡めた意識作り・動機作りが今後の課題であります。木戸委員からは行政指導の運用についても議論がありました。役所のルールや明文化されていない助言・指導が産業活性化や企業の生産性の阻害要因にならぬよう是正していただきたいと思います。

さて、オープンイノベーションとは、意図的かつ積極的に組織内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること。役所は前例踏襲と揶揄されますが、私も当局と様々な議論をするなかで前例踏襲、横並び主義、原課ミクロ視点の弊害を感じます。

とはいえ、これは役所だけでなく、大企業や老舗企業などでも指摘されます。そのような弊害を打開するために、民間でも新しい発想、新しい技術、スピード感をどのように外部からどう取り入れていくのか?様々な取り組みがなされています。

例えばアイデアソン。アイデアとマラソンを掛けた造語であり、新しいアイデアを生み出すために様々な分野の人間が集まって課題解決を出し合う取組。富山県では移住アイデアソン。林野庁では新しい林業ビジネスをアイデアソンで模索するなど行政部門でも取組が始まっています。

また、原課には企業から様々な新サービスや技術の提案がなされていると思います。本当に課長レベルで正しい判断ができているのか?視野の広さ、構造的な分析、判断するセンス。不安であります。

私にも原課を紹介してほしいなど依頼を受けることがありますが、公平性や癒着リスクなど憚れて紹介しづらい。そして、企業側も窓口や受け入れ体制も含めて行いづらいのではないでしょうか。その結果、古い技術・陳腐な発想・情報収集力が落ち込むことになり、行政サービスの向上につながらないのではないか。と危惧しています。

そこで、企業向けに幅広く事業アイデア・技術・サービスを公募し、行政は部長クラス、議会は常任委員長・政調会長クラスが出席した場でプレゼンができるコンテストの創設はいかがでしょうか。

加えて外部の目でマッキンゼー神戸研修所からもアドバイザーに入ってもらい、より大所高所・斬新な発想で外部の血を取り込む仕掛けが良い。または、アーバンイノベーション神戸はよくできているので、そこに県が参加して更なる発展を図ることもありです。

これまで指摘した点を踏まえて兵庫県に新しい技術・発想を外部から取り込み、行政サービスの高度化・効率化・最適化を図るための取組について伺います。

3 県職員力の強化について

10月10日に人事委員会勧告が出されました。

勧告を踏まえた指摘や優秀な人材の獲得や魅力的な職場作りのために問題提起を行います。

まずは、人材採用の強化についてです。9月代表質問でも迎山議員から優秀な人材の確保やその育成について問題提起しました。

加えて、エリア限定採用の導入、例えば、兵庫5国採用はどうだろうか。もちろん、全ての勤務期間をそのエリアだけで勤務するのは難しいので、勤務期間を8:2くらいで配慮する一つのアイデアとして考えられます。

また、人事異動についても、県下は広く、どこに転勤命令がでるかと思うと、家も買えない。子供の転校は控えたい。単身赴任は寂しく、経済負担も大きい。そんなリスクを抱えるなら、県職員になるのはやめておこうとなります。

これは、民間も同様で全国転勤ある業種は地域限定社員などがありました。最近は更に進んで、AIGでは全正社員の転居を伴う転勤や単身赴任の最小化に取り組んでおり、キリンビールでは一定回数は転勤回避措置を行うなど知恵を絞っています。

更に、採用・委託・委嘱形態をより柔軟にして、これらの力を借りる仕組は作れないでしょうか。例えば、民間人材の更なる活用。最近では副業解禁やプロボノが進んでいます。地元のため、公のために自分の力を発揮したい現役民間社員も多いはずです。

広報戦略課の広報官は週2日で勤務していますが、その他の業務についても副業・テレワークにクラウドソーシングの活用など、まだまだ、眠っている労働力はあります。県は知恵と工夫、ルールの改善でこれらを活用すべきです。

次に、働く職員向けについてです。まずは、管理職手当の給与抑制措置は早急に解消するよう求めます。

本庁課長級で年収1000万円には満たないのは、夢が持てる年収ではありません。本気で優秀な人材を獲得するには、100万程度を増やして年収1,000万円代にすることは誤差の範囲であるが、費用対効果としては必要と考えます。

次にハラスメント対策についてです。神戸市の教職員で問題化しています。本年6月に労働施策総合推進法等が改正され、職員においてはハラスメントは刑事事件化しうる事案という認識のもと、趣旨・事例・相談・通報制度の充実を行うと共に、LGBTに対する配慮・取り組みも留意願いたいです。

福利厚生の最適化も必要です。教育委員会では教職員公舎の廃止を提言しました。教職員公舎の空室率が27.9%、家を購入すると住居手当が出ない、資産形成上逆インセンティブとなっています。自宅に係る住居手当の廃止・持ち家・公舎のあり方は福利厚生として最適なのでしょうか。

扶養手当で、親の所得が130万円未満が支給条件。定年延長や年金支給の条件緩和がなされる中、労働意欲を削ぐ条件ではないでしょうか。

配偶者に対する手当は共働きを抑制する作用が働かないのか。配偶者の連れ子をなぜ扶養親族とできないのか。不公平感はないのか。人口減少対策というなら、配偶者・父母に対する手当は廃止して、その分全額を子供に対する手当に配分するダイナミックさも必要です。

多様化する家族・働き方の中で現行の福利厚生や手当は最適なのか。ゼロベースで考える必要があります。

最後に仕事の中身改革です。行革による3割人員削減と超過勤務削減のためにも、仕事を再定義する必要があります。何を行い、何を行わないか。どのレベルでどの程度のスピード感で行うのでしょうか。

知的労働者は、誰も読まない報告書を書かされ、何も聞く必要のない会議に出席。その結果、仕事は充実するどころか不毛化しています。生産性は破壊される。

動機付けも士気も損なわれる。手っ取り早く最も効果的に知識労働の生産性を向上させる方法は、仕事を定義し直すことであります。特に、行う必要のない仕事をやめること。2年前に本会議で紹介したドラッカーの言葉。

2年の時を経てなお、無駄な業務・無駄な資料・無駄な手続きが目に余ります。職員のやる気を削ぎ、時間を奪い、付加価値を生まない業務の改善状況についても伺います。

税金を払ってよかったと思ってもらえる行政サービスを提供するには公務員力の強化が必要です。

優秀な人材を採用し、彼らに創造的仕事を提供し、やりがいある職場作りの提供はトップの責任です。

これら指摘に対する知事の見解を伺います。

4 次世代型がん患者支援センターの設置について

がん対策条例の目玉施策として、次世代型がん患者相談支援センターを提案します。

既存のがん患者支援センターは県内に24施設あり、看護師・臨床心理士等がメンタルケア・就学就労支援・アピアランスやセカンドオピニオンに関する相談などを行なっています。

がん対策は心のケアも重要で、がん患者のうち適応障害30~40%、うつ病20%、自殺率4倍との報告がある。更に深刻なのは主治医はこの状況にほとんど気づいていない現状も明らかになっています。

既存センターの利用状況は、がんセンター3061件、中央市民病院924件、年間で18,193件程度。がん患者数を考慮すると十分に利用されているのでしょうか?患者を支える体制ができているのでしょうか?

2014年調査では利用率が7.7%。国は利用促進の方策を検討とありますが、既存センターは患者目線で果たして相談しやすい体勢なのでしょうか?疑問であります。

病院の一室でパイプ椅子に座って、「はい、ご相談は?」

じっくりと悩みやモヤモヤを吐露できる、リラックスできる雰囲気なのでしょうか。

企画県民部では広報*ナッジ(行動経済学・心理学)やデザインの重要性を提言しました。

広報チラシから箱物まで、行政サービス全てに言えるのが、デザインや立地、雰囲気、コピーなど細かい点・利用者視点で考慮されていないこと。だから、伝わらない。利用されない。成功しない。リテールはディティールなのです。センターがどのような空間づくりをしているのか?従来型ではいけないのです。

また、同種の民間施設マギーズ東京で伺ったのは相談件数の1/3は主治医との関係。

既存センターは病院内に設置されているため、相談しづらい層も明らかです。

そこで、次世代型の具体的なイメージを披露します。

場所はポートアイランド南公園あたりの緑豊かな場所にたたずむおしゃれな一軒家。中央市民病院や低侵襲がんセンターやこども病院もあるうってつけの場所。

新県庁舎の受注前から考えていたのですが、設計は隈研吾氏。スターバックスはサードプレイスを意識した居心地のいい場づくりがコンセプトで、隈氏はスタバの店舗設計していることからぴったりです。

そして、建物はあったかい・穏やかな雰囲気が必要でそこにはやはり木材。そこで県産木材の活用、ショウケースとしての役割も果たします。

さらに、統合医療・補完療法の研究機関としての機能を持たせ、神戸の医療産業都市に新しい切り口を作ることを提案します。統合医療とは、「近代西洋医学を前提として、これに相補・代替療法や伝統医学等を組み合わせ、更にQOLを向上させる医療」、補完医療とは「一般的に従来の通常医療と見なされていない、様々な医学・ヘルスケアシステム・施術」などと定義されています。

標準治療が原理原則はもちろんだ。並行してこのような療法の検討も必要ではないかと考えます。

最近はエビデンスレベルは低いものの、色んな論文が出てきています。ピアサポートやカウンセリングによって生存期間が8か月以上優位に伸びた報告。システマティックレビューで音楽療法は疼痛・疲労・不安軽減に効果。

聖路加国際病院はマインドフルネス、アロマテラピーはその効果から英国の7割のホスピスで提供され、効果検証の研究も進んでいます。

このような事例は医薬品とは違い、治験に経済的インセンティブがないので、データ整備が難しく、保険適用は到底無理。だが、自治体の独自事業で行うにあたってのB/Cデータ程度は整備できるかもしれません。今は脚光を浴びる免疫療法も数十年前は眉唾ものだったのです。

今後は、こうした療法も検証・評価してセンターに研究機関としての機能も持たせ、患者組み入れに積極的に協力することで関連企業の集積と先端サービスを県民に提供できます。

同センターの整備にあたっては、建設費用は企業版・個人版ふるさと納税、クラウドファンディングを活用して、100%寄付で賄う。自治体EC化するふるさと納税に対して兵庫の矜持を示す。国立がん研究センターは保険適用できないサービスをクラウドファンディングで資金調達して提供し、様々な課題解決や調査研究を行っています。

ここを関西の拠点として位置づけたい。そして、施設自体を関西万博の兵庫パビリオンとし、世界にがんと共生する社会に向けた日本の先駆的役割を示し、世界に展開させていく。

そこで、申し上げた機能や役割を有する「次世代型がん患者支援センター」の創設を提案しますがご所見を伺います。

5 多様性社会における人権と差別への対応について

(1)県民意識調査を踏まえた人権対策について

黒田委員からは就職差別撤廃に向けて各部局に対して提言がありました。

出生地や戸籍などで差別がないように、行政機関の採用はもちろんのこと。県下の事業者・県立大学の卒業生に至るまできめの細かい指摘でありました。本籍や出生地による差別以外にも様々な差別に悩む人々が存在します。例えば、外国人。県下には在留外国人が約11万人います。

反レイシズム情報センターが4月に実施した調査では、外国人の約半数が差別を経験したとのこと。求人や職場での差別や住宅入居の拒否、公共施設・交通機関など様々です。

外国人が差別されない環境を県がしっかりと構築していく必要があります。

また、人材不足で悩む職員採用では外国人は貴重な戦力ではないでしょうか。

公権力の行使又は公の意思の形成への参画は日本国籍のみに限られるようですが、一般行政職員でも外国人だから力を発揮できる仕事や新しい視点があるのではないでしょうか。

県民意識調査では外国人も日本人同様に人権は守られるべきと75%が答えています。改正入管法の施行により、外国人の増加が予想され、受け入れ・溶け込み対策が必要です。

LGBTに対する人権と差別では人権指針や教職員に対する研修など実施はされているものの、2つの都道府県で成立したLGBT差別禁止条例やパートナーシップ証明書などの分野で遅れています。

県の扶養手当は「事実上の婚姻関係と同様の事情」を含むとありますが、ここにパートナーシップ証明書があれば手当が支給されるのか、見解を示してください。

県民意識調査では初めて質問項目が設置されたが、この結果を受けた取組を積極的に図られたい。職員向けのLGBT暴露禁止の指針を定めるべきと考えます。

今年3月には5年に1度の県民意識調査で県民の人権意識が発表されました。

兵庫県として、それら人権課題や差別撤廃、多様な人々が快適に生活できる兵庫県に向けてどのような取組を行うのかご所見を伺います。

(2)ネット被害対策支援サービスの創設などネット上で県民を守る取組について

次に県民意識調査では、課題と考える人権問題で障がい者46.8%に次ぐ2位のネット上の人権問題は42.8%と非常に高く、抜本的な対策が必要です。

最近でも韓国の有名アイドルがネット上の誹謗中傷で自殺。いじめもオンライン化しています。今年9月のユニセフ調査発表では、世界の若者の3割がネットいじめを経験し、19%が学校を休んだ経験。ネットいじめを止める責任の所在については、1位で32%が政府と回答しています。

したがって、兵庫県は県民をネット所の様々な被害から守るためにも果たすべき責務・具体的な行動が求められるのではないでしょうか。

例えば、被害者が削除を要請を重ねて行っても無視し続けるサイト管理者に対しては警察が名誉毀損幇助として積極的な事件化が必要です。

ネット上の諸問題への対応はプロバイダーに開示請求を行い、発信者の特定や慰謝料請求、刑事事件化や削除要請などが考えられます。しかし、弁護士を通じて手続きを行うと数十万円かかることもあり、費用対効果を考えて躊躇・あきらめてしまう人が多い。

しかし、このような手続きは定型業務なので県で仕組化すればそこまで事務負担はありません。

例えば、1件定額1万円でネット上の誹謗中傷や名誉棄損への対策サービスを開始するなど、県民をネット上でも守っていく必要があると考えますがご所見を伺います。

6 パワハラ・カスハラなどの積極的な事件化について

いじめやパラワラ・セクハラにあおり運転、更には客による悪質な行為カスタマーハラスメント・カスハラ、など様々な問題がニュースを賑わしています。その多くが泣き寝入りし、具体的な法整備の動きや対策を求める声も上がっています。

例えば、罰則規定はないが、パワハラ・セクハラは対策法が5月に成立。急増するカスハラは2020年の春に厚労省が企業向け対応指針を出すとのこと。

エスピーネットワーク社の調査アンケート事例では、購入済みの商品を明らかに使用済なのに、返品返金を要求。(恐喝罪)店内の商品が気に入らなったため投げつける。(暴行罪)担当者の日常生活や仕事に影響があるようにするぞと脅迫。(脅迫罪)など紹介されている。

しかし、これらの社会をにぎわす、県民を苦しめる行為のほとんどは現行法で警察が積極的な関与を行うことで対策が進むと考えます。

例えば、あおり運転の場合、重大事故の発生や社会的関心の高まりと警察庁の指示により、故意の幅寄せは暴行罪を適用するなど積極的に摘発がなされています。

いじめ・パワハラは暴行罪、強要罪、名誉毀損罪。

神戸市の教職員の問題はパワハラではなく、暴行罪で断罪できる案件です。

カスタマーハラスメントはそれらに加えて、威力業務妨害、不退去罪などが適用可能です。

セクハラ罪という罪はありません。なぜならば、強制わいせつ・強制性交等罪で厳正な対処をすればいいのですから。

県立病院でも患者からのセクハラが発生していると考えますが、積極的に警察に相談、事件化するよう提言しています。介護分野では深夜の訪問介護にセクハラが発生するので複数人訪問の必要性が発生し、そのための施策が税金でなされています。

これも、税金を投入するのではなく、さっさと警察に通報、サービスを提供しないのが最適です。日本は客にペコペコしすぎなのです。そのような行為をする人間は同僚でもなければ、客でもない。犯罪者なのです。

10/1に閣議決定された過労死白書では、精神疾患と認定された女性はセクハラ19.7%,パワハラ16.6%で合わせると原因の1位となります。精神疾患・自殺につながる悲劇を生み出す前に、警察ができることはもっとあるのではないでしょうか。DVやストーカーなどは従来は身内の話、民事不介入ということで警察はほとんど関与しなかったが様変わりしています。

そこで、パワハラ・セクハラ・カスハラなど警察が積極的に事件化することで県民の幸せを守ることにつながると考えますがご所見を伺います。

前田 ともき
神戸市東灘区

<黒田 一美 議員>
●企画県民部①

1 新たな行政課題に対応した専門職員の配置について
2 就職差別の撤廃について
(1)県の非常勤職員の採用について
(2)県行政と密接な関連ある公社等の職員等の採用について
(3)県内市町の非常勤職員や外郭団体の職員等の採用について
(4)私立高校の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について
(5)県立大学の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について

全文

平成30年度特別委員会 企画県民部①

質問日:令和元年10月8日(火)

質問者:黒田 一美 委員

1 新たな行政課題に対応した専門職員の配置について

行革後の県職員の定数については、3割カット後の平成30年4月1日の職員数を基本とする方針が示されましたが、我が会派からは、行政サービスの低下につながらないよう意見を発表したところであります。

昨年9月定例会の一般質問で、「行政サービスの低下を招かないよう、適切な職員数の見極めや柔軟な配置についてどう取り組むか」伺ったところ、当時の企画県民部長は、「災害復旧などの県民の安全・安心に直結する分野や、児童福祉等の当面の行政課題については、重点的に職員を配置するなど、メリハリのある定員配置を行う」との答弁がありました。これを踏まえて、新たな行政課題に対応した専門職員の配置について伺います。

新たな行政課題として急務を要するものが2つあります。

一つは、近年の豪雨や連続する台風被害に対する復旧体制の強化です。

先日、関西電力の方と話をした際、台風第15号による千葉県の電線の倒壊・損傷について、電線を修復する技術は持っているが、周辺の倒木が道路をふさぐなどして作業員が現場に近づけず、停電の復旧が大幅に遅れていると伺いました。これも近年にない「想定外」の被害でありますが、これに限らず、近年多発する自然災害の復旧には、現場に応じた土木技術職員の配置が必要です。

もう一つは、児童虐待に即応できる体制の強化です。

2018年度に全国の児童相談所が対応した虐待件数の速報値は、過去最多の15万9850件で10年前の3.7倍に上ります。虐待通告から原則48時間以内に子供の安全を確認する「48時間ルール」の徹底は子供を守る第一歩です。しかし、そのルールに対応出来なかったケースが2019年6月までの約1年間に1万2千件程ありました。即応できない要因に児相の人手不足が指摘されています。虐待への対応にあたる児童福祉司の増員・配置が必要です。

前回の予算特別委員会の質問の際にも述べましたが、職員定数の3割削減で画一的な対応でなく、こうした新しい課題の現状に沿った職場体制をしっかりと作ってほしいと考えています。今回の職員定数の方針が、そういった課題に対応できない行政の後退となってはならないと要望してきたところであります。

そこで、これらの新たな行政課題に対し、どのようにメリハリのある職員配置を行い、体制の強化に努めているのか伺います。

2 就職差別の撤廃について

 (1) 県の非常勤職員の採用について

就職差別の撤廃に向けてはこれまで、「全国高等学校統一用紙」やJIS規格に基づく履歴書など厚生労働省が定める適正な応募用紙の利用、公正な採用選考を行うための「公正採用選考人権啓発推進員制度」、求職者等の個人情報の取扱いを定めた「職業安定法第5条の4」と「労働大臣指針-労働省告示第141号」が実現されるなど一定の成果をあげてきました。

しかし、「適正な応募用紙」ができて44年以上過ぎた今日も、「適正な応募用紙」の趣旨に違反する書面や面接での差別的な質問が後を絶たず、また最近では、就職希望者がホームページ上から登録する「エントリーシート」が増加し、その中に本籍地や家族状況などを記入させる項目を設け、差別撤廃の取組成果を土台から崩すような動きも出てきています。

こうした状況を踏まえ、就職差別撤廃に向けた取組を一層図る必要があります。

特に国や自治体は、就職差別撤廃や人権教育・啓発を推進する立場にあり、まずは自らが率先して実践し徹底する必要があります。

しかし、公務員関係職場でも「適正な応募用紙違反」が後を絶たない現実があると聞いています。

例えば、県の非常勤職員の採用時に「応募用紙違反」があったり、採用後に採用関係書類の提出にあたり、本籍地や出生地、家族状況などを記入させたりする事例があってはなりません。

そこで、本県における非常勤職員の採用に係る「応募用紙違反」の防止など就職差別撤廃に向けた取組について伺います。

(2) 県行政と密接な関連のある公社等の職員等の採用について

先程の非常勤職員に加えて、県行政と密接な関連のある公社等の職員等の採用に係る「適正な応募用紙違反」や職員名簿作成時の聞いてはいけない事項の記入強制などの実態の把握と就職差別撤廃に向けた取組についても伺います。

(3) 県内市町の非常勤職員や外郭団体の職員等の採用について

先程の質問にあるように、県の場合に限らず、県内各市町における非常勤職員や外郭団体の職員等の採用に係る「適正な応募用紙違反」や職員名簿作成時の聞いてはいけない事項の記入強制などの実態把握に努め、就職差別撤廃に向けた取組を市町に促す必要があると思いますが、それらの状況についても伺います。

 (4)私立高校の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について

学校の教職員は、人権教育を推進する役割があるとともに、進路指導などで就職差別撤廃を進める重要な立場にあると言えます。

「就職受験報告書」は、生徒が採用試験を受けた後に、学校に報告するもので、就職差別につながる事柄がなかったか点検し、問題があれば是正するためのものです。

「統一用紙違反」を見逃さず無くしていくためには、就職試験を受けた卒業生から「就職受験報告書」を学校に提出させて、就職差別をしている企業やその実態を把握し、労働局における指導が何よりも重要です。

そこで、県内の私立高校において、「就職受験報告書」の取組をはじめ就職差別の実態把握にどのように取り組み、それを踏まえ、就職差別撤廃に向けてどのように取り組み、結果どうであったのか、また、今後どのように取り組むのかあわせて伺います。

(5) 県立大学の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について

日本労働組合総連合会が今年4月に行った就職差別に関する調査によりますと、「採用選考で会社独自の履歴書提出を求められた」58%(大卒者)、「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%、「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%、「面接で本籍地や出生地を質問された」32%等の調査結果が得られました。

この調査結果について専門家は、「本籍地や出生地」など、仕事に無関係の偏見が採用に忍び込むリスクを高め、個人の心の自由も損なう恐れがある。また、「宗教」、「支持政党」など複数の内容を提示し、「面接官が聞いてはいけない質問だと思うもの」を聞いたところ、「あてはまるものはない」と答えた人が16%あり、認識率の低いものがある。このような面接される側の知識不足も、就職差別に抑止力が働きにくい一因となっている。学校での「キャリア教育」にこうした情報を入れ込んでおくことの重要性がここから見えてくると指摘しています。

この結果から、県立大学においても「受験結果報告書」の取組を行うなど就職差別撤回に向けた取組を推進していく必要があると思います。そこで、県立大学は就職差別撤廃に向けてどのように取り組み、結果どうであったのか、また、それを踏まえ、今後どのように取り組むのかあわせて伺います。


●健康福祉部
1 隣保館のバリアフリー化について
2 就職差別に対する取組について
(1)県による公正採用選考人権啓発推進員への人権啓発の充実について
(2)県内市町による公正採用選考人権啓発推進員への人権啓発の支援について
3 ドクターヘリによる広域救急医療体制のさらなる充実について

全文

平成31年 平成30年度決算特別委員会(健康福祉)

日 時:令和元年10月9日(水)

質問者:黒田 一美 委員

1 隣保館のバリアフリー化について

隣保館は、地域社会全体の中で福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティーセンターとして、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行うことを目的として市町が設置し、運営されている社会福祉施設であります。

施設には会議室や調理室、教養娯楽室、多目的利用室などがあり、また休日も開館可能となっていることから、クラブ活動やレクリエーション等の各種地域交流活動を実施することができるなど、地域に根付いた施設と言えます。そのため、地域の子どもから高齢者まで様々な方が利用されることから、平成14年の厚労省事務次官通知においても、隣保館設置運営要綱の中で、「2階以上の建物については、昇降機を設置するほか、段差解消等のための傾斜路等の整備を図る等、その環境整備に務め、高齢者や障害者の利用に配慮すること」との記載があり、各市町において国の補助メニューを活用してエレベーターの設置を進めている状況であると認識しています。

利用者として高齢者も多いことから早期にエレベーターの設置等のバリアフリー化を進めるべきであると考えますが、一方、国の予算は十分ではなく、例えば、現状県内にある85館のうち、2階以上の隣保館は76館、うち59館についてはエレベーターが未設置という状況です。

そこで、早期にエレベーターの設置等のバリアフリー化を積極的に進めるべきと考えますが、県としてどのように市町へ支援をされようとしているのか、またバリアフリー化に対する今後の方針について、当局のご所見をお伺いします。

2 就職差別に対する取組について

日本国憲法では第22条第1項に、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」と規定されており、職業選択の自由が保障されていますが、これまで採用選考にあたり本籍地や出生地の記入を求められたり、面接時に宗教や支持政党を聞かれるなど様々な就職差別が行われてきました。

特に、採用選考にあたって最も大きな人権問題として同和問題がありますが、昭和50年12月に全国の被差別部落の所在地を示し、住民の職業や世帯数等を記載した「人事極秘・特殊部落地名総鑑」という冊子が販売され、上場企業を中心に200社以上が購入していたことが明らかになりました。この問題に対して、関係行政機関が一体となって啓発・指導を行っていますが、その後もこのような差別はなくならず、調査会社等から依頼を受けた司法書士等がその権限を悪用して戸籍謄本を不正に取得する事件などが起きています。

今年5月に連合が採用選考における就職差別の実態を把握するため、インターネットリサーチにより全国の18~29歳の男女1,000名に対する「就職差別に関する調査」を行いましたが、採用試験の応募にあたり応募書類等で「本籍地や出生地」の記入を求められた56%、面接にあたり「家族構成」を質問された経験がある39%など、まだまだ就職差別につながる状況にあることがあきらかとなっています。

そこで、就職差別の撤廃にあたり、以下2問についてお伺いします。

(1)県による公正採用選考人権啓発推進員への人権啓発の充実について

国ではこのような各企業での同和問題をはじめとする人権問題についての正しい理解と認識のもとに、公正な採用選考システムの確率をめざして、人権啓発の研修の実施など差別意識の解消に向け、常時使用する従業員の数が50人以上である事業所など一定規模以上の事業所について、「公正採用選考人権啓発推進員」を選任してもらうよう、推奨を行っています。

しかしながら、兵庫労働局からは「研修参加者は1,004名で、参加率は21%だった」と聞いており、名ばかりの推進員が非常に多いことが明らかとなっています。

県では、毎年8月を「人権文化をすすめる県民運動」推進強調月間とし、人権に関する講演会やコンサート等を盛り込んだ県民参加型の人権啓発フェスティバル等の開催や、人権啓発テキストの作成、また(公財)兵庫県人権啓発協会が発行する「ひょうご人権ジャーナルきずな」の中では企業における取組を特集されるなど、様々な啓発等の取組が行われておりますが、実際に企業内で人権に対する意識改革の取組を進めていただくためには、公正採用選考人権啓発推進員に対して、これら県の取組を積極的に情報発信し、イベントへの参加や人権啓発の重要性を認識していただくなどの必要があると考えております。

そこで、県として民間企業における人権意識を高めるため、どのような取組をされてきたのか、また今後の取組方針についてどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

(2)県内市町による公正採用選考人権啓発推進員への人権啓発の支援について

次に、県内市町の取組に対する支援です。県と同様、市町においてもそれぞれ人権啓発に関する取組をされており、私も市町が主催する地元市民向けのイベント等に参加をしたことがあります。

市町の方が地元企業とのつながりが強く、企業の担当者と話をする機会も多いのではないかと思うのですが、先程の県の取組と同様、積極的なアプローチがなされていないように感じており、市町における人権啓発のさらなる充実が必要ではないでしょうか。

就職差別においては、就職において採用される側でなく、採用する側の意識改革が重要です。そのためには、先程の質問と同じく、公正採用選考人権啓発推進員への市町の人権に関する取組の情報提供や参加の呼びかけが必要と考えています。

例えば、市町の人権啓発のニュースや人権啓発の情報を民間企業や公正採用選考人権啓発推進員へアプローチするよう、市町へ働きかける必要があります。

そこで、これまでの市町と連携した就職差別撤廃に向けた人権啓発の取組について伺うとともに、民間企業へのアプローチについて、どのように進めようとされているのか、ご所見をお伺いします。

3 ドクターヘリによる広域救急医療体制のさらなる充実について

次にドクヘリの運用に関連して質問いたします。

先日、関西広域連合議会の8月定例会において、ドクターヘリ事業の充実強化や体制づくりなどについて質問をしたところですが、関西広域連合では現在7機体制で対応されており、年間の出動件数は平成25年度の2,414件から、平成30年度は4,711件に倍増するなど、2千万府民・県民の安全安心を支えているとの答弁がありました。

一方、兵庫県においても、広域救急医療体制を確保するため、現在、兵庫県ドクターヘリと公立豊岡病院ドクターヘリの2機に加え、兵庫県消防防災ヘリや徳島県及び鳥取県ドクターヘリを加えた体制で県内全域をカバーしておりますが、その出動件数は増加してきており、特に公立豊岡病院ドクターヘリでは平成29年度に全国で初めて出動件数が2千件を突破するなど、当時42道府県で配備されている52機中、8年間連続で出動件数がトップとの報道も目にしております。

今後も、ドクターヘリを運用してしっかりと県内の広域救急医療体制を維持していただきたいと考えておりますが、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題を始めとする出動の増加や、近年大規模な自然災害も多発する傾向にあり、大規模災害が発生すれば関西広域連合による被災地支援のためにヘリの数が減った状態での運行も想定されます。

このように、今後も出動件数の増加や不測の事態が発生する可能性が高くなることが想定され、例えば先程の公立豊岡病院ドクターヘリが運航している但馬地域、丹波北部地域をはじめとして、広域救急医療体制を十分確保するためには、さらなる充実強化に向けた検討が必要ではないでしょうか。

そこで、現状の体制に関する評価を伺うとともに、今後の充実強化についてどのように考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。


●産業労働部
1 就職差別撤廃に向けた取組について
2 公正採用選考人権啓発推進員研修の参加率の向上について
3 保育士養成訓練について

全文

平成30年度決算特別委員会 産業労働部

質問日:令和元年10月10日(木)

質問者:黒田 一美 委員

1 就職差別撤廃に向けた取組について

就職差別の撤廃に向けてはこれまで、「全国高等学校統一用紙」やJIS規格に基づく履歴書など厚生労働省が定める適正な応募用紙の利用、公正な採用選考を行うための「公正採用選考人権啓発推進員制度」、求職者等の個人情報の取扱いを定めた「職業安定法第5条の4」と「労働大臣指針-労働省告示第141号」が実現されるなど一定の成果をあげてきました。

しかし、「適正な応募用紙」ができて45年以上過ぎた今日も、「適正な応募用紙」の趣旨に違反する書面や面接での差別的な質問が後を絶たず、また最近では、就職希望者がホームページ上から登録する「エントリーシート」が増加し、その中に本籍地や家族状況などを記入させる項目を設け、差別撤廃の取組成果を土台から崩すような動きも出てきています。

日本労働組合総連合会が今年4月に行った就職差別に関する調査によりますと、「採用選考で会社独自の履歴書提出を求められた」58%(大卒者)、「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%、「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%、「面接で本籍地や出生地を質問された」32%等の調査結果が得られました。

こうした状況を踏まえ、特に国や自治体は、就職の機会均等を確保し、雇用の促進を図る立場にあることから、就職差別撤廃に向けた取組を一層図る必要があると考えます。

そこで、県内の就職差別をどのように把握し、その結果を踏まえどのようにして就職差別撤回に向けて取り組んできたのか伺います。

2 公正採用選考人権啓発推進員研修の参加率の向上について

国民の職業選択の自由、就職の機会均等を確保し、雇用の促進を図るためには、事業主が人権問題についての正しい理解と認識のもとに、公正な採用選考システムの確立を目指して、差別のない正しい選考を行っていくとともに、人権啓発の研修のなど、一層の取組を行うことが必要であります。

この趣旨を徹底するために、厚生労働省の提唱により、100人以上の事業所について「公正採用選考人権啓発推進員」(以下、「推進員」といいます。)を選任するよう勧奨されています。兵庫労働局では、50人以上の事業所に選任するよう勧奨しています。

推進員は、国民の就職の機会均等を確保するという視点に立って、採用方針・採用計画をはじめ、求人(募集)活動、選考基準、選考方法、採決決定等について点検し、差別のない正しい採用選考システムの確立を図るなどの役割を担っています。

公共職業安定所は、推進員がその役割を果たすのに必要な援助を図るため、研修会の開催等を行うこととしております。

厚生労働省職業安定局就労支援室が2016年5月に公表した「公正採用選考人権啓発推進員研修参加状況調べ」によりますと、推進員の研修受講率は全国平均47.3%(これは3年間で1回以上受講した事業所の数の割合)ということであり、いわゆる「名ばかり推進員」が半数も存在することが明らかになりました。数字の取り方が違うので単純に比較できませんが、一昨年度、兵庫労働局は「県内4793社の企業の推進員のうち研修参加者は1004名で、参加率は21%だった」と報告されました。大変残念な結果であり、これは、推進員の就職差別を無くそうとする意識の低さの現れではないでしょうか。

就職差別を無くすためには、まずは事業主の人権意識の高揚を図り、事業主が推進員を選任して、推進員研修に参加させる意識付けをさせる必要があります。事業主に推進員の研修参加を促す取組は非常に重要であり、その役割は労働局だけでなく行政も担うべきだと考えます。

そこで、本県においても推進員研修への参加率向上に向けて、労働局と連携しながら、研修の周知徹底、参加依頼など積極的な啓発を行うべきだと考えますが、これまでの取組と今後の取組について伺います。

3 保育士養成訓練について

この10月から幼児教育・保育の無償化が始まりました。今後とも、新たに喚起される保育の需要に対応していかなければなりません。

本県では、民間教育訓練機関等に委託して、人手不足が著しい介護・福祉分野等を中心に離職者訓練を実施しています。本県の職種別訓練計画数を確認いたしますと、保育士養成コースの定員は、平成30年度、令和元年度ともに126人。介護分野の定員と比べますとほぼ同じではありますが、情報通信や事務・経理等の定員と比べますとかなり少ない状況です。

特に待機児童の問題で、無償化で入所希望者が増え、市町によっては保育所の増設を行うことからも、保育士の養成・確保は益々必要となってきています。

そこで、これまで保育士希望者を受け入れられる定員となっていたのか、保育士の需要に応えるためにも充実した訓練定員の設定や予算確保に努める必要があると思いますが見解を伺います。


●県土整備部
1 迅速な災害対応のための体制について
2 福田川支流の小川フィールド流域の開発に伴う河川環境の保全について

全文

平成31年 平成30年度決算特別委員会(県土整備部)

日 時:令和元年10月15日(火)

質問者:黒田 一美 委員

1 迅速な災害対応のための体制について

近年、台風や大雨、地震などの自然災害が毎年のように発生しております。(先週末も大型の台風19号が近づき、大雨や強風による被害が発生しました。)

昨年も、近畿圏では6月に大阪府北部地震、7月には西日本豪雨など、大きな影響を及ぼしております。

もちろん、災害時の対応は防災部局が中心となって対応することになりますが、道路や河川、橋梁などの被害については、県土整備部の職員が各市町における被害状況等の情報収集をはじめ、県が管理するインフラ等についての被害状況の調査が必要となるなど、通常の業務に加えて災害に関する対応に追われることとなります。

また、例えば台風が過ぎ去り影響がなくなったとしても、その後の復旧作業が必要であり、長期にわたる場合もあります。また、被害の状況によっては市町で対応できない場合も考えられ、市町からの派遣要請による職員の一時的な派遣が必要な場合もあるのではないでしょうか。

昨年、県内でも大きな被害のあった西日本豪雨では、停電等も発生し、非常に大変でありました。先日の台風15号による千葉県の被害でも、強風の影響により大規模な停電が発生し、復旧が長期にわたっており、県内市町からの派遣要請により職員の派遣を行っております。そのため、今後も土木職の確保は必要でありますが、まずは、災害時においてもしっかり対応ができるように取り組む必要があると考えます。

そこで、これからも災害は頻発すると考えられることから、災害時においても、また、その後の復旧にも十分対応できる体制になっているのかという観点から、迅速な災害対応のための体制づくりについて、ご所見をお伺いします。

2 福田川支流の小川フィールド流域の開発に伴う河川環境の保全について

福田川は神戸市須磨区白川台を源流に垂水区平磯で大阪湾に注ぐ2級河川であり、その法定河川延長は7,410mで、自然が残る都市近郊の河川です。

この福田川では、災害の発生を防止し、地域住民が安全・安心に生活できる環境を確保する目的で、都市基盤河川改修事業が行われてきましたが、その整備にあたっては、都市住民にとって身近で貴重な自然環境の場となるよう生態系の再生を図る必要があることから、私は過去に環境に配慮した工法を取り入れることにより、魚や鳥等の生物が生息できるよう提言しました。

その結果、工法の見直しがなされ、昭和45年に治水を目的とした一次改修で両岸がコンクリートで固められ、川面にも降りられない、人から隔離された川から、今では豊かな自然と多様な生物が住む河川となっています。

その福田川の支流である小川は須磨区多井畑を源流に、垂水区名谷町で本流の福田川と合流しています。この流域は特に自然が多く残り、住宅開発のエアポケットのようになり、まさに里山そのものです。

サワガニ、カワムツ、ニホンミツバチの群生、蝶ではアサキマダラや絶滅危惧種とされているツマグロキチョウなど、多様な生物の生息地となっており、平成27年2月定例会では、地域住民によるふるさとの自然保護活動について質問を行い、知事から「小川フィールド」が都市近郊において貴重な自然が残るエリアとの見解を得ました。

この度、この小川流域において民間企業が土地を取得し、開発が計画されようとしています。また、開発にあたり、川の付け替えも検討されている等の話も聞いています。

そこで、貴重な都市近郊の自然環境を有する「小川フィールド」について、その自然を残し、生かすための計画を進めていただきたいと思いますが、開発に伴う河川環境の保全について河川管理者としての県の考えをお伺いします。


●教育委員会
1 就職差別の撤廃について
(1)県立高校の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について
(2)就職差別撤廃のための人権教育の推進について
2 「人権に関する県民意識調査」の活用について
(1)学校教育における活用について
(2)社会教育における活用について
3 県立高校における空調整備について

全文

平成30年度特別委員会 教育委員会 質問原稿

質問日:令和元年10月16日(水)

質問者:黒田 一美 委員

1 就職差別の撤廃について

(1)県立高校の新卒者に対する就職差別の実態把握と就職差別撤廃に向けた取組状況について

学校の教職員は、人権教育を推進する役割があるとともに、進路指導などで就職差別撤廃を進める重要な立場にあると言えます。

「受験結果報告書」は、生徒が採用試験を受けた後に、学校に報告するもので、就職差別につながる事柄がなかったか点検し、問題があれば是正するためのものです。

応募の際に使用している近畿高等学校統一用紙の趣旨にそわない選考を見逃さず無くしていくためには、就職試験を受けた卒業生から受験後、「受験結果報告書」を学校に提出させて、就職差別をしている企業やその実態を把握し、労働局における指導が何よりも重要です。

そこで、県立高校において、「受験結果報告書」の取組をはじめ就職差別の実態把握にどのように取り組み、それを踏まえ、就職差別撤廃に向けてどのように取り組み、結果どうであったのか、また、今後どのように取り組むのか伺います。

(2)就職差別撤廃のための人権教育の推進について

日本労働組合総連合会が今年4月に行った就職差別に関する調査によりますと、「採用選考で会社独自の履歴書提出を求められた」58%(大卒者)、「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%、「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%、「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%、「面接で本籍地や出生地を質問された」32%等の調査結果が得られました。

この調査結果について専門家は、「本籍地や出生地」など、仕事に無関係の偏見が採用に忍び込むリスクを高め、個人の心の自由も損なう恐れがある。また、「宗教」、「支持政党」など複数の内容について、「面接官が聞いてはいけない質問だと思うもの」を聞いたところ、「あてはまるものはない」と答えた人が16%あり、認識率の低いものがある。このような面接される側の知識不足も、就職差別に抑止力が働きにくい一因となっている。高卒者の場合、学校から情報を得ている場合が多い。学校での「キャリア教育」にこうした情報を入れ込んでおくことの重要性がここから見えてくると指摘しています。

高校生自ら、何が就職差別につながるか、どんな面接が問題なのかに気づくための人権意識の醸成が必要です。そのためにも就職差別に係る人権教育をしっかりと行う必要があると思いますが、現在の取組内容と今後の取組について伺います。

2 「人権に関する県民意識調査」の活用について

本県では、多岐にわたる人権教育の解決に取り組み、人権文化を進めることを目的として、1998年から5年ごとに、今後の効果的な人権施策を検討する基礎資料とするために県民の人権に関する意識調査を行い、冊子として関係機関に配布しています。

2019年3月に発行されました今回で5回目となるこの調査では、今日的な課題として、「性的指向に関する人権問題」と「性同一性障害者に関する人権問題」に関する設問が新たに設けられています。

私は、この調査は新しい時代に即した人権教育を推進していく上で、非常に有効なものであると高く評価しています。

特出すべき結果について触れますと、「人権侵害をした経験の有無」の調査結果を見ますと、「あると思う」5.3%と「自分では気づかなかったが、あるかもしれない」42.3%を合わせた割合が47.6%となり、「ないと思う」44.8%をやや上回っています。経年で見ますと、「ないと思う」の割合は年々低くなっています。人権侵害はなくなるどころか、年々増えています。

この調査結果は、今後の人権教育等を検討するにあたって大変参考になるものと考えます。

そこで、以下2点について伺います。

(1) 学校教育における活用について

本県では、人権教育資料等を作成し、効果的に活用したり、教員の指導力の向上や人権意識の高揚を図るための研修を実施するなど、学校教育における人権教育の充実を図っておられます。

こうした学校教育の取組の中でも、この調査結果を活用・参考にして人権教育をより充実したものとすべきだと考えます。

そこで、この調査結果を学校現場でどのように活かしているのかお伺いします。

(2) 社会教育における活用について

本県では、地域における人権課題の解決に向け、一人一人の人権が尊重される環境づくりに取り組み、各地域において、心と心が豊かにつながる地域づくりを推進するため、社会教育における人権教育を推進されておられます。

こうした社会教育の取組の中でもこの調査結果を活用・参考にして人権教育をより充実したものとすべきだと考えます。

そこで、この調査結果を社会教育現場でどのように活かしているのかお伺いします。

3 県立高校における空調整備について

昨年は、記録的な猛暑と地震や豪雨などの災害に見舞われた年であり、特に、「災害級」の猛暑でありました。

このため、児童生徒の保護者をはじめ、各方面から学校への空調整備を求める声が高まりました。また、学校現場からは「せっかく空調が設置されているのに稼働させてくれない」等の声も多く聞かれたことから、空調稼働に伴う光熱水費増加分の確保も重要な課題となりました。

一方で、今夏の暑さは昨年ほど厳しくはなかったものの、10月になっても気温が高い状況が続いており、生徒及び職員の体調管理の観点からも早急に空調整備を進めていかなくてはならなりません。

県立高校の空調整備については、昨年9月に普通教室への空調整備が完了し今後は、音楽室、美術室などの特別教室の整備を進めていくと聞いています。一度に全ての教室に整備することは難しいと考えますが、可能な限り速やかに整備を進めていくべきであります。

特に、工業高校をはじめとする職業学科を設置する高校では窓を閉め切って行う実習も多くあり、利用頻度等を考慮すると実習室などの特別教室への空調整備の必要性も高いと考えます。

そこで、これまでの県立高校における空調整備の状況と今後の見込みについて所見を伺います。

黒田 一美
神戸市垂水区

<木戸 さだかず 議員>
●財政状況

1 収支均衡について
2 将来負担比率について
3 業務見直しの取組状況について
4 県税収入について
(1)平成30年度の県税決算について
(2)個人県民税の税収確保と市町支援について
5 社会保障の財源確保について
6 自主財源の確保について
(1)県民緑税を活用した事業について
(2)宿泊税の導入について

全文

令和元年 平成30年度決算特別委員会(財政状況)

日 時:令和元年10月7日(月)

質問者:木戸 さだかず 委員

1 収支均衡について

平成30年度決算は、10年間にわたり行財政構造改革推進に取り組み、収支均衡を達成するという当初の目標を達成したということで、全体として、まずは評価したいと思います。

その一方で、本年3月に示された兵庫県行財政運営方針でも述べられているように、今後も、震災関連県債に加え、行革期間中に財源対策として発行した退職手当債や行革推進債の償還が今後も続いていく状態であり、依然、財政が厳しい状況にあることに変わりはありません。

このような状況の中、私の最初の質問は、財政の収支均衡について行います。

平成30年度決算において達成した収支均衡について、これまでの推移をみてみますと、毎年度、着実に収支不足を改善してきました。

特にここ5年間、平成26年度から平成30年度までを見てみますと、平成26年度が405億円の収支不足、平成27年度が322億円の収支不足、平成28年度が242億円、平成29年度が102億円の収支不足となっており、平成30年度で収支不足はゼロとなり、収支の均衡が図れたということになっています。

一方で、これらの収支について、年度毎の予算ベースを見ると、平成26年度は予算ベースで570億円の収支不足、平成27年度は430億円、平成28年度は320億円、そして平成29年度は170億円の収支不足となっており、各年度とも、予算ベースと比較すると、決算では、70億円から160億円程度、収支均衡の改善が見られる状況となっています。ところが、平成30年度においては、予算、決算ともに収支不足額がゼロとなり、予算と決算で収支均衡の改善は見られませんでした。

そこで、これまでの収支均衡の改善傾向については、予算時と比べて税収が伸びたことや、低金利に伴う公債費の減少など、その時々によって様々な要因があったかと思われますが、平成30年度において予算時に収支均衡の不足額はゼロとされ、結果、決算においても収支不足額がゼロとなった、その要因について、どのように分析されているかについて当局のご所見をお伺いします。

また、依然として本県の財政状況を取り巻く環境が厳しい中、この10月に消費税が増税となりました。

増税後は、景気が冷え込むというのは経済の常識であり、これまでの消費増税後も、景気は冷え込んできました。今後、景気の冷え込みから、法人関係税収の減収等が懸念されるところです。

そこで、収支均衡については、これまで右肩上がりの改善傾向を示してきましたが、今後、このトレンドはどのようになっていくと考えているのか、また、そのような中、今後も収支均衡を維持していくために、県としてどのように取り組みを進めていこうとされているのか、併せて当局のご所見をお伺いします。

2 将来負担比率について

2点目は、将来負担比率について質問させていただきます。

将来負担比率につきましては、行革開始前に比べて改善されており、平成30年度決算では、最終2カ年行革プランに基づく目標値を達成しました。

一方で、将来負担比率におけるこれまでの傾向を見てみますと、平成27年度までは、少しずつ減少していましたが、平成28年度からは、毎年増加している状況にあり、平成30年度は、平成29年度対比で4.2%上昇し、339.2%となっています。

各都道府県では、その平均値の推移は兵庫県とは異なり、わずかではありますが減少し続けており、これは、兵庫県と類似府県である埼玉県や千葉県、神奈川県なども同じ傾向となっています。

実際、兵庫県は、全国都道府県においてワーストの状況が続いており、平成29年度の各都道府県平均値が173.1%であることを考えると、まだまだ改善に積極的に取り組む必要があることは明白です。

都道府県における将来負担比率の早期健全化基準は400%であり、本県が夕張市のような状況にすぐに陥る状況ではありませんが、将来負担の高止まりは、これから先、少子高齢化社会がさらに進んでいくと、財政上、大きな重りになるのではと懸念しています。

そこで、平成30年度の将来負担比率の上昇は、緊急防災・減災事業、公共施設等適正管理推進事業債の増加や一般会計から病院事業会計への繰出金減額調整解消などの影響があったとされていますが、これらの県債、繰出金はそもそも予想の範囲内であったのか、将来負担比率がこのようなトレンドとなった要因はどのようなところにあるのか、また、今回の数値をどのように分析・評価しているのかについて当局のご所見をお伺いします。

併せて、今後、将来負担比率の高止まりは改善される方向にあるのか、当局のご所見をお伺いします。

3 業務見直しの取組状況について

4点目の質問は、業務見直しの取り組み状況についてです。

平成28年度の決算特別委員会において、当時、わが会派の越田議員が広報誌の業務委託見直しの件を取り上げられ、当局より、今後も不断の検証を行い、業務の見直しについて積極的に取り組んでいきたい旨の回答がありました。

さらに、追加の質問において「過去のやり方を見直すということは、非常に大変な苦労があるが、まだまだ改善の余地があるのではないか?全庁的な見直しをされているのか、またその検討結果はどうか?」とあり、これに対して当局より、「平成29年度の予算編成にあたり、アウトソーシングやICTを活用するといった形での見直しをするという通知も行った」との答弁がありました。

行革で職員数が削減される中、効率的、効果的に業務を進めるには、県として必要な業務を見極め、外部の力や新たなICT技術を活用できるものは積極的に活用すべきと考えます。

もちろん、すべてのものが予算削減効果を期待できるものではありませんが、働き方改革を進める中、働き方を変えることに繋がるのであれば、積極的に導入を進めていく必要があります。

そこで、前回の質問から2年が経ちましたが、現在、県庁において、どのような取組が行われているのか、また、今後の取組方針をどのように考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。

4 県税収入について

(1)平成30年度の県税決算について

まず、はじめに、平成30年度の県税決算についてお伺いいたします。

政府は、少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現を図るため、平成30年度の経済財政運営の基本的態度として、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本に名目GDP600兆円の実現を目指し、成長戦略の核となる「生産性革命」と、一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」に取り組むため、各種の政策を実施しています。

こうした経済対策の結果、我が国の経済は、自然災害により一時的に引き下げられたものの、緩やかな回復が続いており、企業収益が過去最高を記録する中で設備投資が増加するとともに、雇用、所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、まだまだ予断を許しませんが、経済の好循環は少しずつではありますが、進んでいるとされています。

このような我が国の経済情勢の下、昨年9月に発行された「ひょうご経済・雇用白書」では、本県においても、現下の経済・雇用情勢は、緩やかに拡大していると書かれていました。

しかしながら、本県の平成30年度の県税収入は7,149億円で、当初予算の7,232億円からは83億円の減、また、前年度決算額7,230億円に比べると、81億円の減となり、2年ぶりに前年度から減収となっています。

そこで、平成30年度の県税収入が前年度と比べ、減収になった要因について、当局のご所見をお伺いします。

(2)個人県民税の税収確保と市町支援について

次に、税の確保の面から、これまでから指摘されている個人県民税の税収確保についてお伺いいたします。

税の徴収については、これまでから再三再四質問されていますが、本来ならば、税をきちんと納めることは当たり前である中、毎年のように滞納者に対して、様々な取り組みをし、効果をあげておられることには敬意を表します。

個人県民税は、県税収入の中でも最も大きな割合であるため、個人県民税の徴収業務は大変重要な役割を担っているとも言えますが、本年8月作成の「県税の賦課徴収について」の資料を見ますと、個人県民税の平成30年度の収入未済額は、約76.5億円となっており、県税の収入未済額93億9,400万円のうち、81.5%を占めるに至っています。

徴収率の向上を図るため、平成30年度から兵庫県においても特別徴収一斉指定を行ったということですが、この特別徴収は普通徴収に比べて徴収率が高く、行政サービスを支える貴重な財源確保策として、他の殆どの都道府県でも導入されています。

しかし一方で、個人県民税の徴収にあたっては、市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が図れるものではなく、市町と連携した取り組みが望まれるところです。

そこで、特別徴収一斉指定を実施するにあたり、事業者等への丁寧な周知活動を行い、市町と連携した取り組みができたのか、当局のご所見をお伺いします。

5 社会保障の財源確保について

我が国は世界でもトップクラスの長寿を実現し、厚生労働省が発表している2015年都道府県別生命表によると、本県の平均寿命は男性が80.92歳(18位)と女性が87.07歳(25位)となっています。健康で長生きされる県民が増えるのは喜ばしいことではありますが、一方で、少子高齢化の進展に伴い、社会保障関係費は右肩上がりに増えています。

地方全体で見ると、平成30年度の社会保障関係費のうち、国制度に基づく補助事業が18.7兆円となっていますが、地方一般財源総額は60.3兆円となっています。なかでも、骨太の方針によって一般財源総額が実質同水準に抑制され始めた平成22年度以降の推移を見ると、補助事業は13.7兆円から5兆円(136.5%)伸びているのに対して、一般財源総額は58.8兆円から1.5兆円(102.6%)の増加にとどまっており、社会保障関係費の増嵩が地方財政を圧迫しています。

一方、本県の平成30年度決算における社会保障関係費を見ると、3,054億円で前年度から41億円増加していますが、全体の一般財源は72億円減少しており、本県においても社会保障関係費をまかなうために、一般財源がつぎ込まれている状況があるのではないでしょうか。

こうした懸念から、昨年も我が会派の石井秀武議員が、社会保障の財源を確保するために国に対して働きかけを行うよう質疑を行ったところです。この質疑では、当局より、社会保障関係費の安定的な財源確保に向けて、消費税10%への引き上げ、景気の底上げ対策の継続的な実施などを国に求めているという回答がありました。

そこで、今回の決算を踏まえ、社会保障関係費の増嵩による本県財政の圧迫について、どう評価しているのか。また、社会保障関係費の財源確保について、引き続き国に強く働きかけていく必要があると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

6 自主財源の確保について

7点目は、自主財源の確保についてです。

(1)県民緑税を活用した事業について

本県では、豊かな緑を次の世代に引き継いでいくため、県民共通の財産である「緑」の保全・再生を社会全体で支え、県民総参加で取組む仕組みとして、平成18年度から「県民緑税」を導入しています。

この税は、森林の防災面での機能を高める「災害に強い森づくり」を進めるにあたり、その費用負担を幅広く住民に求め、法定外目的税として導入し、徴収しているものです。

つまり、緑税で、県民みんなで緑を、環境を守っていこうというものです。

平成18年度から始まった県民緑税は、毎年、約24億円の税収となっており、災害に強い森づくり事業などに充当されています。

これまでの収支を見ると、平成18年度から平成24年度までは、毎年収支が黒字となっていましたが、平成25年度から平成28年度までは、税収よりも支出の方が多くなっています。

平成30年度で、これまでの収支総額は18億円の黒字となっていますが、年度間の収支差がある中で計画的な執行が求められているところです。一方、議会の一般質問でも、今後の森林整備拡充の必要性が述べられているところです。

このような状況の中、県民緑税を活用した、特に災害に強い森づくりについて、どのような方針で実施されているのか、当局のご所見をお伺いします。

(2)宿泊税の導入について

これまでから、わが会派では、各議員が宿泊税の導入について、当局の所見をお伺いしています。昨年の決算特別委員会では、石井秀武議員から、宿泊税の導入検討を求める質問がありました。

また、平成29年度の予算特別委員会では、同じくわが会派の竹内英明議員が、宿泊税の導入について質疑をいたしました。

平成29年度の、当局の回答は、「宿泊動向への影響の分析などが必要であり、導入には、産業労働部とも連携しながら研究を深めていきたい」というものでありました。

そして、昨年の決算委員会での当局の答弁は、「課税の根拠には合理性がある というふうに言われた一方で、宿泊客減少の可能性であるとか、宿泊客や旅館業者等の理解を得ることの課題が指摘をされているところである。 宿泊税は、観光振興施策の展開と密接に関連をするために、導入に当たっては、宿泊者や観光業者等の理解を得られる施策が必要となっていく。 一方で、宿泊施設稼働率に余裕がある本県においては、宿泊税の導入がインバウンド旅行客を含む宿泊客の減少につながるといった懸念もある」ということで、引き続き検討していくというスタンスでありありました。

今、我が国では、ラグビーワールドカップが非常に盛り上がり、神戸も会場として賑わいを見せています。来年には東京オリンピック・パラリンピックが、そしてその翌年には、関西ワールドマスターズ2021が開催されます。さらに、2023年の女子ワールドカップ開催に日本が正式に立候補している状況であり、2025年には大阪万博も開催されます。

県の財政状況は、引き続き厳しい状況が続く中、神戸の都市格をあげること、兵庫県の観光振興を図ることは、これからの、わが県にとって、重要な取組となってきます。

今後の賑わい創出のためにも、財源確保策のひとつとして、宿泊税の導入を前向きに検討すべきと考えます。

そこで、宿泊税について、今後、どのようなスキームで検討されようとしておられるのか、当局のご所見をお伺いします。


●企画県民部①
1 フェニックス共済の加入促進の取組について
2 兵庫県立大学大学院の入学者確保について
3 市町の防災力向上のための取組について

全文

令和元年 平成30年度決算特別委員会(企画県民部①)

日 時:令和元年10月8日(火)

質問者:木戸 さだかず 委員

1 フェニックス共済の加入促進の取組みについて

一点目は、フェニックス共済の加入促進について質問します。

フェニックス共済の取組につきましては、本会議の議員一般質問においても、度々、加入率の伸びの鈍化について、改善を促す質問がなされてきました。

本共済につきましては、災害時の速やかな住宅再建を後押しするための政策で、兵庫県独自の政策です。住宅の構造にかかわらず単一の負担金で加入でき、また、被害程度の公的な判定に基づき簡便に給付が受けられるというメリットがありますが、制度設立当初に掲げた目標はおろか、平成31年3月末日で加入率9.6%となっており、目標として掲げている15%加入率に達していない状況が続いています。

平成30年度もこれまでと同様、加入率はほぼ横ばいの状態で、加入促進の課題は依然として残ったままとなっています。

県では、これまで加入促進施策として、南海トラフ巨大地震の被害想定等を盛り込んだPR動画やパネル、パンフレットの作成や、継続加入の呼び掛け、脱退申し出者に対する個別説明、共済負担金の複数年一括支払い時の割引、損害保険会社との連携、新聞全面広告、SNSやIT事業者のメールサービスなど、実に様々な手法を用いて取組強化を図ってこられました。

特に、平成30年9月議会での議員一般質問への知事答弁では、「私はいつも不思議に思いますのは、地震保険の加入率が大変高くなってきているにも関わらず、どうして共済制度の加入が増えないのかということであります。やはり制度の内容がよく知られていないというのが基本なのではないかと思います」と、周知、PRの大切さを述べられています。

また、東日本大震災発生後の一年間は、住宅再建、家財再建併せて約1万3,000戸の大幅増加となったことを踏まえますと、住民の災害に対する危機意識が大きく左右することが分かります。

このように、フェニックス共済について、現体制、これまでの周知活動では、今後も加入促進の伸びを期待することには懐疑的にならざるを得ません。

そこで、周知、PRについて、何が必要か、足元から見つめ直してはいかがでしょうか。わが会派の前田議員からは、PR、広報について、根本的な改革の必要性が提言されています。広報は、全庁的な問題であるとして、フェニックス共済について言えば、例えば、最も身近な県職員のフェニックス共済加入率はどうなのか。

身内ともいえる県職員の方々は、その必要性に共感し、加入しているでしょうか。

加入していないとすれば、何が足りないのか。制度の問題か、意識の問題か、それとも周知の問題か。庁内アンケートの実施や意見交換など、加入を強制せず、率直な意見を聞くという作業を通じて、周知、PRを含めて考えていくことが必要と感じますが、当局のフェニックス共済加入促進に関するご所見をお伺いします。

2 兵庫県立大学大学院の入学者確保について

兵庫県立大学は2004年に、当時の神戸商科大学、兵庫県立看護大学、姫路工業大学を統合し設立されました。以降、県立大学としてこれまで人気の高い大学として続いています。

しかし一方で、大学院については、定員割れをおこしているキャンパスも多く、博士後期課程の物質理学研究科では、平成30年度、定員11名に対し、入学者が1名、入学者充足率9.1%という結果となりました。

博士前期課程においても、平成30年度は、全13研究科のうち、入学者充足率100%を満たしているのは6研究科となっています。もちろん、充足率がすべての指標ではありませんが、毎年定員割れを起こしている状況は問題があると考えます。

私は、淡路の緑環境景観マネジメント研究科の前身である県立淡路景観園芸学校景観園芸専門課程の第一期生ですが、当時は倍率が高かったと記憶しています。その淡路緑景観キャンパスにおいても、時代とともに、受験者が少なくなり、一時は定員割れの状態となっていました。

危機感をもった同キャンパスは、なんとかしなければという思いで様々検討され、平成31年度入学者は充足率115%という結果になっています。

大学自身が、定員割れの状況をなんとかしなければと検討されておられる時に、私も卒業生の一人として、キャンパスに呼んでいただき、意見交換したのを覚えています。

県立大学については、本年度新たに、国際商経学部、社会情報科学部に加え、減災復興政策研究科博士後期課程が開設されるなど、教育・研究の充実に努められています。

そこで、大学院における入学者充足率について、充足率をあげる取り組みを検討されておられるのか、おられるとすれば、どのように取り組んでおられるのか、当局のご所見をお伺いします。

3 市町の防災力向上のための取組について

予測不可能な災害が発生する昨今、防災・減災対策は行政の最重要テーマとなっています。わが県は、阪神・淡路大震災を経験し、その後も、台風などの自然災害による被害を受けてきました。

こういった背景のもと、災害時の速やかな住宅再建を後押しするための政策として、全国で唯一の制度、フェニックス共済が創設されました。

この共済については、県民の災害に対する危機意識の向上が大切なことは、先の質問で述べたとおりですが、同じことが自治体にも言えます。今、様々な防災減災対策が県はもとより、県内各自治体で行われていますが、積極的な姿勢で取り組むかで効果は大きく違ってきます。

そこで、これら防災減災対策について、本質問では、市町との連携状況についてお伺いします。

県では、平成26年度から、市町と連携を図るため、3年サイクルで県内自治体すべてに助言を行う事業を実施するなど、連携強化に努めています。

私は、本年2月まで、丹波篠山市で市議をしていましたが、この経験の中で、職員のモチベーションにより、政策の実行状況、効果はずいぶんと変わるということを実感しました。

そこで、防災減災に関する市町連携について、これまでの市町連携の取組において、成果と感じていることがあればお聞かせください。また、連携を図る中で、市町に取組の差を感じることがあったかどうか、併せてお伺いします。

特に、住民の防災意識向上には、やはり行政のリーダーシップが大きく影響すると考えます。市町によっては、危機管理図上訓練を実施するなど、取り組みに差があると思いますが、県において、市町の防災力向上のためにどのような取組がなされているのかお伺いします。


●企画県民部②
1 自治体クラウドの推進について
2 交通安全対策について
(1)飲酒運転根絶に向けたキッズ交通保安官の取組について
(2)交通事故防止対策について
3 ひょうご出会いサポートセンターについて
(1)これまでの取組の評価と改善した取組について
(2)地域に根ざした出会いサポートの取組について

全文

平成30年度決算特別委員会 企画県民部②

質問日:令和元年10月8日(火)

質問者:木戸 さだかず 委員

1 自治体クラウドの推進について

自治体クラウドの取組が全国で進んでいます。自治体クラウドとは、情報システムを庁舎内で保有、管理せず、外部のデータセンターで保有、管理することで、災害などで庁舎の情報機器が壊れても、クラウド化している他の自治体から情報を引き出せるというもので、各自治体が同じフォーマットで情報共有することで経費の削減にもつながるという、大変優れモノの取組です。

本県でも、県内市町のクラウド化に向けて取り組んでいますが、平成30年4月時点で、自治体クラウド導入済の自治体が、養父市、朝来市の2団体で、単独でクラウド化している自治体が、13団体、そして、未だクラウド自体を導入していない自治体が26団体となっており、自治体クラウド導入は約5%、単独クラウドと併せても約37%と、半分にも満たない状況となっています。

一方で、全国では、自治体クラウドは約23%、単独クラウドは40%で、全国で61%、1067団体がクラウド導入しています。

兵庫県は、この流れに後れをとっている状況です。

クラウド化については、その導入効果として、一つに、情報システムに係るコストの削減があります。これについては、アンケート調査では、全国の導入自治体のうち、8割以上が期待どおりのコスト削減効果があったと答えており、コスト面での効果が期待できることが明らかとなっています。

次に期待できるのが、情報システムの管理、運用業務の軽減です。これについても、導入自治体の9割が想定どおりの効果があったと回答しています。

その他、クラウド化は、業務プロセスの標準化による業務の効率化、情報セキュリティの確保、住民サービスの向上、そして災害への対応強化と、実に多くのメリットを得ることができます。

特に、災害への対応強化については、我が県は、阪神・淡路大震災を経験したことから、防災、減災対策には特に力を入れており、広域災害等を考えると、早期の自治体クラウド導入が必要ではないかと考えます。

県内市町で、自治体クラウドが進んでいないのは、帳票の様式や事前処理方法の統一や標準化への抵抗感や、システム移行に伴う作業増加への抵抗感があると聞きます。

しかし、標準化し、システム移行をしてしまえば、便利で安心安全なメリットが大きいのです。

現在、本県では、自治体クラウド研修会の開催や、地域研究会の立ち上げなどの取組を進められていますが、研修会を通じた自治体クラウドに対する各市町の反応や、今後の見通しはどのような状況となっているでしょうか。当局のご所見をお伺いします。

また、自治体クラウドの推進について、意気込みをお聞かせいただければと思います。

2 交通安全対策について

(1)飲酒運転根絶に向けたキッズ交通保安官の取組について

キッズ交通保安官は、子供たちを「キッズ交通保安官」に任命し、家庭や地域の中で活動することにより、飲酒運転は絶対に許さないという社会機運を醸成し、兵庫から飲酒運転を根絶することを目的として制度設計されました。

正直、私自身は、今までキッズ交通保安官の存在を知りませんでした。

それもそのはずで、キッズ交通保安官は総勢で744名しかいないのです。イベントでの活動といっても、それほどの期間、活動するわけではないので、イベントに遭遇しなければ知らないままなのです。

イベント風景や制度の趣旨を見ますと、とても効果がありそうな取組で、自分の子供がキッズ交通保安官になったら、親は絶対に飲酒運転はできないだろうと感じます。是非、これからも積極的に取組を進めていってほしいと思います。

一方で、キッズ交通保安官は、創設された平成19年度は896名が任命され、次年度は1,027名が任命されるなど、最初は順調な滑り出しを見せましたが、平成23年度には募集人数を500人、平成25年度からは募集人員を300人に削減しており、年々規模が縮小されています。

保安官の任命状況を見ても、募集人員は毎年300人なのに対して、ここ数年、ずっと定員割れの状態が続いています。そして、平成30年度は、166名で、定員の半分程度の任命となりました。

この原因については、応募要領において、親の同意を必要としており、イベントなどで応募用紙を置いて広報しているが、こどもは希望して応募用紙を書いても、親が取り消しをする、小学生自身が忙しく、活動できない、といったことがあると聞きました。

せっかくの取組が、広がりを見せていないのは非常に残念ですが、同時に、キッズ交通保安官は、たとえイベントに出られなくても、子供たち自身が、自分はキッズ交通保安官だと自覚し、親や周りの大人にPRをするだけでも十分に効果があるのではと考えます。

沢山の子供たちがバッジをつけて、キッズ交通保安官として生活するだけで、飲酒運転撲滅の機運は一気に広がりを見せる気がします。

そこで、キッズ交通保安官の現在の取組状況に対する評価と、周知状況、今後の取組方針について、当局のご所見をお伺いします。

(2)交通事故防止対策について

兵庫県の交通事故発生状況については、近年減少傾向にありますが、交通事故による死者数は、平成29年6月末時点で全国ワースト4位、平成30年6月末時点で全国ワースト5位、そして、令和元年6月末時点で、全国ワースト10位と、全国でも下から数えたほうが早い状況となっています。

また、平成30年の人身事故件数も全国ワースト7位となっており、交通事故対策は大きな課題となっています。

最近は、特に、高齢運転者の事故、特にブレーキとアクセルを踏み間違えるといった事故がテレビや新聞で取り上げられ、社会問題となっており、県では、高齢者ドライバーの安全対策として、アクセルを踏んでも急にスピードが出ない装置の取り付けに助成金を出すことになり、この社会問題に対する取組を始められることには敬意を表します。

しかし一方で、実は、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は、高齢者に限ったものではありません。

兵庫県における、ブレーキとアクセルの踏み間違い事故の各年代別の状況を見てみますと、平成30年の20歳代の件数は39件、70歳代の件数は35件となっています。20歳代と70歳代の年代別の免許保有状況を見ますと、どちらも全体の約11~12%となっており、免許保有者数は同程度となっています。

つまり、この踏み間違いによる事故件数は、特に20歳代、70歳代が多くなっており、高齢になると踏み間違い事故を起こす可能性は高くなりますが、一方で、20歳代も踏み間違い事故が多いということを示しています。

これは30~60歳代の事故発生率と比較しても非常に多い数字となっています。

そこで、交通事故防止対策について質問いたします。交通事故発生件数が全国ワースト上位の本県においては、これら20歳代のドライバーに対する交通事故防止対策を講じていく必要があるかと考えますが、平成30年度、この年齢層に対して、どのような取組をされたかお聞かせください。

今後、20歳、30歳代の年齢層に対して積極的なアプローチをかけていくことも、交通事故防止に対して効果的と考えます。この点についても、当局のご所見をお伺いします。

3 ひょうご出会いサポートセンターについて

(1)これまでの取組の評価と改善した取組について

ひょうご出会いサポートセンターに関しては、これまで多くの議員が、その効果の検証、民間委託の提案、PR方法の提案などをしてきました。

つまりは、この事業は、多くの人が関心を持ち、サポートセンターの必要性を感じているからだと思うところです。また、その一方で、事業に改善の余地があるから、質問が多いのではないかとも思っています。

今回、私も、本事業について、現状と今後の在り方について、当局のご所見をお伺いしたいと思います。

出会いサポートセンターは、現在、お見合い会員数が減少傾向にあります。平成28年度は会員数が5,596人であったのが、平成29年度は5,347人、平成30年度は4,978人と、ここ2年間で618人も減少しています。

これを、男女別でみると、男性が83人減少したのに対して、女性は535人の減少と、女性の減少が際立っています。会員数の減少は、成婚率に大きく影響することが推察されます。

平成31年3月時点で、累計795組の成婚が生まれたこの出会いサポートの取組は、今、岐路を迎えているのかもしれません。同じ事業を続けることは、知らず知らずのうちにマンネリ化を生み出すこともあり、今後に向けて、大きな変革が必要なのではとも考えます。

そこで、出会いサポートセンターの取組について、女性の会員減少について、どのような理由があり、これを改善するためにどのような取組が必要と考えておられるでしょうか。

また、サポートセンターとして、これまでの取組への評価と、これまで多くの議員からの提案も踏まえて、改善された取組みについて当局のご所見をお伺いします。

(2) 地域に根差した出会いサポートの取組について

出会いサポートセンター事業では、専門職向けイベントが平成29年度から本格実施され、平成30年度は19回開催し、113組のカップルが誕生したということでした。

自治体が支援すべき出会いサポートは民間ができないところに支援することに意味があります。

県内には、過疎化が進んでいる地区の若者たちが立ち上がり、自分たちで婚活イベントを立ち上げ、地区の独身男性たち向けの婚活イベントを開催したことがあります。

残念ながら、このイベントでカップルは誕生しませんでしたが、地域で婚活イベントを盛り上げるような小さな取組を展開していくことが、市町の元気につながっていくように感じており、こういった取組支援は行政にしかできないように思います。

今後、行政ならではの意義のある取組として、市町と協力して、こういった地域に根差した出会いサポートの取組を期待しますが、この点についても当局のご所見をお伺いします。


●健康福祉部
1 薬物乱用防止対策ついて 
2 受動喫煙防止対策について
3 水道事業の広域化の取組について

全文

平成30年度特別委員会 健康福祉部

質問日:令和元年10月9日(水)

質問者:木戸さだかず 委員

1 薬物乱用防止対策について

薬物事犯については、毎年のように、テレビ、ニュースで芸能人の逮捕が報じられているように、いつまでたってもなくならないのかと感じています。それどころか、県内の薬物事犯検挙の状況は、平成25年以降増加傾向にあり、特にここ2年間は大幅な増加となっています。

このような状況の中、県では、平成26年に薬物の濫用の防止に関する条例を制定し、当時、社会問題となっていた危険ドラッグの販売について規制することにより県内販売店舗を壊滅させるなど、一定の成果を収めてきました。

しかしながら、近年は、大麻事犯の検挙者数は非常に伸びており、結果、全体の薬物事犯数を押し上げる形となっています。

県内の大麻事犯の年齢別推移を見てみますと、大麻事犯は20歳代が最も多く、その伸びも圧倒的なものとなっています。

このことは当局も認識されており、昨年の決算特別委員会におきましても、戸井田委員の質問に対して、「大麻を初めて使用する年齢は29歳以下が75%を占め、また、若いほど誘われて使用する比率が高く、覚醒剤と比べ大麻の危険性の認識率が低いことが判明している。」と述べられています。

兵庫県における大麻事犯は、薬物事犯全体に占める割合も、全国平均が25.8%なのに対して、40.5%と非常に高い割合を占めています。

若年層の薬物事犯の増加は非常に問題で、ゲートウェイドラッグといわれる大麻事犯の増加には懸念をしています。

また、覚醒剤事犯についても依然として高止まり傾向にあり、再犯率も高く、再び手を出さないようにしていくことも大切なことだと思います。

さらには、若年層に拡がっている薬物事犯についても、再犯を防ぐためには、家族や地域などの周囲の意識の向上も大切であると考えます。

そこで、薬物乱用防止対策の現状と今後の取組方針、さらには薬物事犯に対して、検挙された者の家族等への対応、何か支援や啓発を行っているのかも併せてお聞かせください。

2 受動喫煙防止対策について

受動喫煙防止対策については、本年3月定例会にて、受動喫煙の防止等に関する条例が改正され、知事は、受動喫煙対策の先進県として、特に20歳未満の者と妊婦を守る観点から対策を強化しますと述べられました。

最近は、電子タバコといった、煙を出さないものも普及していますが、電子タバコについても、タバコ使用者の呼気には、大量のエアロゾルが含まれており、見えないだけで、煙を吐いているのと同じとの専門家の意見があります。

世界保健機構の報告でも、「電子タバコのエアロゾルに受動的にでも曝されると、健康に悪影響がもたらされる可能性がある」とされています。

さて、そのようなたばこですが、吸わない人間にとっては、その煙は、本当にきつく感じるところであり、本県が、受動喫煙対策の先進県となるという決意には敬意を表します。

ところで、この受動喫煙ですが、既にご存じのとおり、JR三ノ宮駅北側の喫煙スペースでは大変な状態となっています。

JRが設置した喫煙スペースに人が溢れ、スペースをはみ出して喫煙している人が沢山おり、北側から駅に向かう人にとっては、受動喫煙をせざるを得ない状況となっています。

問題の場所は神戸市にあるので、受動喫煙防止対策は、神戸市に権限移譲していることから、神戸市が対処すべき問題と思いますが、聞くと、神戸市とJRで昨年より協議しており、今年からは県も加わり協議しているということでした。

受動喫煙対策の先進県として、この問題を長らく放置することは大変、問題があると思います。

そこで、受動喫煙防止対策について、こういった現状、問題が起きている個所は外にないか、また、平成30年度、条例違反と思われる案件はいくつあったのかお聞かせください。

また、併せて、本県の受動喫煙対策の推進状況の評価と今後の取組について当局のご所見をお伺いします。

3 水道事業の広域化の取組について

水道事業につきましては、県下でも自治体格差が大きく、最大で約5倍の水道料金格差が生じています。今後、人口減少による給水人口の低下は益々進んでいくと考えられ、将来に課題を生じる可能性が高い事業となっています。

現在は、給水原価の高い自治体に国の高料金対策として交付税が措置されており、何とか格差5倍にとどまっていますが、自治体によっては、水道事業への繰入金が増え続けています。

水は、住民にとって大切なライフラインであり、同じくライフラインである電気については、県内で料金各差があるわけではなく、そもそも水道料金に差が生じていることは、あまり望ましい状態ではないと考えています。

そこで水道事業の広域化への取組について、以下、2点お聞きします。

1点目は、市町の水道事業で広域化によるスケールメリットのある個所は、どれくらいあると考えているか。

2点目は、広域化した際の運営共同事業体と県はどのようにかかわっていくのかについて、当局のご所見をお伺いします。

また、水道事業については、官民連携としてコンセッション方式の導入などが行われていますが、現在、市町水道事業の官民連携はどのような状況かも併せてお伺いします。


●産業労働部
1 アンテナショップ事業ついて
2 カムバックひょうごハローワークについて
3 企業立地の促進について

全文

令和元年 平成30年度決算特別委員会(産業労働部)

日 時:令和元年10月10日(木)

質問者:木戸 さだかず 委員

1 アンテナショップ事業について

兵庫県では、県内特産品の振興を図るため、アンテナショップ事業を展開しており、神戸阪急に「ひょうごふるさと館」を設置し、首都圏アンテナショップとして、一般社団法人兵庫県特産物発信協会が設置している「兵庫わくわく館」に支援しています。

県が設置しているひょうごふるさと館へは、施設管理運営に要する経費として約360万円、兵庫わくわく館へは設置者に対して、観光・物産情報の発信に要する経費として約800万円を支援しています。

本事業は、兵庫の特産品振興、PRであるから、広告費と思えばいいという考え方もありますが、優れた特産品は商業ベースにのり、適正な価格で販売され事業として成り立っています。今は、多くのスーパーで地方食材を取り扱っており、また、ネット販売のビジネスモデルが成り立つなど、流通は多角化しています。

このような時代に、三宮、東京という一等地で店舗を構えることでPRを図るというのは効果も限定的であり、県の支援がなければ、継続的な運営は厳しい状況にあると言え、事業の在り方を見直す必要もあるのではないかと考えます。

多くの自治体が物産館を展開していますが、そこから、どのような展開、拡がりが見られたかが大切です。理想は、アンテナショップから商談が生まれて、物産を扱う企業がどんどん成長するといったことだと思いますが、そういった話はどれくらいあるのでしょうか。

三宮ではそごう神戸店が閉店し、10月5日に神戸阪急が開店しました。その最初のイベントは、北海道物産展です。兵庫県の物産展は、北海道にかなわない状況で、民間は売れるかどうかですから厳しい世界です。しかしながら、本県では優れた特産品を「五つ星ひょうご」として魅力の発信をしていこうとしており、その意気込みには敬意を表します。

北海道ほどネームバリューがないのなら、アンテナショップで一個一個を売るというB2Cのビジネスモデルではなく、B2B、すなわち、商店街などと手を組み、企業に営業をかけ、販路拡大事業に注力した方が、結果として、物産品の魅力発信に繋がるのではと思います。

これらを踏まえ、アンテナショップ事業について、事業効果と意義、そして今後、経営改善の必要性も含めてどのような展開を図っていこうとされておられるのか、当局のご所見をお伺いします。

2 カムバックひょうごハローワークについて

本ハローワークは、カムバックひょうご東京センター、ひょうご出会いサポート東京センターと併設されており、そこでは就労相談の他に、移住相談、結婚相談の機能を備え、ワンストップで移住希望者の様々な相談内容に応えられるようになっています。

この取り組みを見ていますと、非常にターゲットが絞られており、これからも成果を期待するところです。

一方で、ハローワークの開業時間をみてみると、ターゲット層を的確に、がっちりと掴まえようとしているのか、疑問を抱きます。

就職相談のターゲットは現役世代、特に若い層であると思いますが、センターが開いているのは、平日の朝から夕方、そして土曜日の朝から夕方となっています。

働いている人にとっては、平日の昼間はミスマッチングとなるのではないでしょうか。特定の職業の方の休日というのであればまだ分かりますが、それでも、多くの人にマッチングしていくという視点が必要です。

調べると、ハローワークの平日と休日の来訪者の割合は、平日が火曜:19.9%、水曜:18.7%、金曜:23.5%、土曜:35.5%となっており、休日の方が来訪しやすい傾向があることがわかります。そのため、平日についても、ターゲットは働いていることを念頭に、勤務時間が終了した以降の時間帯の開業を検討するなどの工夫が必要と考えます。

また、カムバックひょうご東京センターが実施しているイベント等と連携した取組も重要です。特に若い世代にとっては、移住先でしっかりと仕事につき、そこで住む自分の幸せな状態が想像できるかがとても大切なファクターだと思います。加えて、PRを行うにあたっては、ひょうごに住むメリットや「今、ひょうごが熱い」といった空気を醸し出せるかが重要なのではないでしょうか。

そこで、開業時間帯の延長も含め、開業時間帯に来ていただくための工夫に加え、センターが行うイベントと連携した取組が必要と考えますが、来訪者を増やすためにこれまでどのような取組がなされ、今後どのように展開しようと考えておられるのか、当局のご所見をお伺いします。

3 企業立地の促進について

兵庫県は、全国でも企業立地数は上位に位置しており、これまでの取り組みに敬意を表します。

しかし、県内には、企業立地に適した場所とそうでない場所があるのも事実です。

県内の立地促進については、交通網の利便性や雇用の関係など様々な要因の影響があると思いますが、地域によって、企業立地のしやすさは大きく異なってくるのではないでしょうか。

また、現在、県内各自治体は、それぞれ企業誘致に取り組んでおり、各種アンケートでも、移住定住には働く場所の問題点があげられています。

一方で、通勤圏という言葉があるように、自分の住んでいる自治体外へ通勤している方はたくさんおられることを考えると、自治体が個別に企業誘致をしているのは効率的なのか、考えさせられるところです。もっと、大きな塊で企業誘致に取り組む方が、スケールメリットを活かせる気がします。

また、企業誘致を進めるには、例えば企業誘致達成分配金のようなものを創設し、利益を再配分するなど、自治体同士で争わず、協調して取り組むような必要性が今後あるかもしれません。

ある自治体に企業がくると、別の自治体から通勤して来る人もいます。そのため、労働者の確保も考慮すると、企業誘致にあたっては 各自治体が単独で企業誘致に動くというよりはある程度のエリアで連携して進めるべきではないかと考えています。

そこで、県民局単位等広域的に、その中の市町等とも連携しながら企業立地を展開していく必要性があると思いますが、ご所見をお伺いします。


●農政環境部
1 適正な産地表示の推進について
(1)啓発指導について
(2)産地表示の法的解釈について

全文

平成30年度特別委員会 農政環境部

質問日:令和元年10月11日(金)

質問者:木戸さだかず 委員

1 適正な産地表示の推進について

食品、農産物の産地表示は、県が指導を行っています。

食品、農産物にとっては、ブランドということがとても大切で、同じ品種でも産地により価格が異なるというのが一般的です。

このブランドの確立のために、農家をはじめ、関係する事業者は日々汗をかき努力をしておられます。

その一方で、産地偽装する事業者もあり、これについては、消費者を騙すという極めて悪質なもので、消費者保護の観点から、県としても、今後もしっかりと取り締まっていかなければなりません。

食品、農産物の産地表示は、消費者庁の食品表示法Q&Aにおいて、次のように定められています。

「国産品では、国産である旨の表示に代えて、より狭く限定され、範囲が明確な 地域として、都道府県名その他一般に知られている地名で表示することも可能です。

具体的には、 ① 郡名(例 秩父郡) ② 島名(例 屋久島) ③ 一般に知られている旧国名(例 丹波、土佐等)※丹波という事例は、9月から尾張に変更。 ④ 一般に知られている旧国名の別称(例 信州、甲州等) ⑤ その他一般に知られている地名(例 九州、関東、房総(地域名))です。

これらを踏まえて、以下2点ご質問いたします。

(1)啓発指導について

本年、篠山市が丹波篠山市に市名を変更しましたが、変更の大きな理由の一つとしてあげられたのは、産地表示でした。

丹波篠山産が使えるやら、使えないやらというものです。

この産地表示について、県では、丹波篠山産は、啓発指導の対象になるという見解を発表されました。さらに、丹波産も啓発指導の対象になるということでした。

これらの表記は、ただちに違反とは言えないが、消費者誤認を生む可能性があるというものです。

そこで、まずお聞きしたいのですが、啓発指導とは何なのでしょうか。消費者庁に問い合わせたところ、そのような言葉はないので分からない、県が独自に定めたものだろうという回答でした。

啓発指導は、行政手続法において、どこに該当するのかお聞かせください。

(2)産地表示の法的解釈について

産地表示の表記可能範囲は、先に述べたとおりです。

この表記に対して、県では、表示は、地図上で範囲が確定できるなど、何らかの根拠が必要であるため、表示可能例としてあげられている丹波産も、啓発指導とされています。

その他の旧国名も、例えば、播磨は、播磨町が存在するため、播磨国か播磨町かという誤認が生じるということで啓発指導。

播磨国別称の播州は、使用可能だけれど、播州小野という表記は地図上にないので啓発指導ということです。

これについては、消費者保護という視点で、一定理解しますが、明らかに表示法の定めと矛盾が生じていると思われます。

近畿他府県に、それぞれ質問し回答頂きましたが、他府県は、啓発指導はしておらず、表記についても、細かくは述べませんが、兵庫県の解釈ではなく、Q&Aに沿ったものでした。

そこで、県の産地表示の解釈について、法で可能とされている表記についても、表記をしないように求める行為に問題はないのか。解釈に間違いはないか、当局のご所見をお伺いします。


●教育委員会
1 教員のハラスメント対策について

全文

令和元年 平成30年度決算特別委員会(教育委員会)

日 時:令和元年10月16日(水)

質問者:木戸 さだかず 委員

1 教員のハラスメント対策について

今、神戸に衝撃が走っています。東須磨小学校の教師が教師をいじめていた問題です。私自身、息子が再来年から同じ須磨区内の小学校に入学しますので、大変、身近な問題に感じています。

この話題について、ある子育て世代の女性は、東須磨小学校の校長が記者会見で発した「4名を公務から外し、今後一切、東須磨の子どもたちの前で指導を行わせないという判断を行った」という言葉に耳を疑ったと言っておられました。さらに、「それって、神戸のどこかで教師をするってことですか?というのが正直な気持ちであり、校長自身の責任はどうなの?と思った。」とも言われていました。

この問題は深刻です。いじめをなくす側、指導する側の人間が、いじめをしているという、なんとも言えない話です。

これまで、県教育委員会におかれては、教職員の資質向上に努めてこられたと思いますが、今回の神戸市の事案を受けて、県教育委員会としても、県内の調査や現状の見直しが必要と考えます。

そこで、まずは教員のいじめ、パワハラ、セクハラ、モラハラといった、教員のハラスメント対策について、どのような取組をされているのでしょうか、また、教員が相談しやすい窓口として、第三者機関のような窓口がないと、相談のための一歩を踏み出しにくいと思いますが、十分に把握できる状況なのか、また、問題に対してどのように対処しておられるかお伺いします。併せて、今回の神戸市の事案を受けて、県教育委員会として、神戸市との連携、情報交換を含め、今後どのように対応されようとしているのか、お伺いします。

木戸 さだかず
神戸市須磨区