議会の動き

上野 英一議員が代表質問を実施

質 問 日:令和3年2月24日(水)

質 問 者:上野 英一 議員

質問方式:分割 方式

1.多様な風土、歴史を持つ五国の特性を活かした兵庫づくりの進め方について

昨年12月の代表質問で竹内議員は、「神戸市長らが特別市の実現へ向けた法制化を総理官邸へ要望したとの報道に対して、飾磨県の分離再設置運動のある歴史を思い出したとして、飾磨県復活は実現しませんでしたが、神戸港やその周辺の開発や発展のために播磨をはじめ周辺地域が果たした財政的役割は大きかった。」と述べられています。

竹内議員の発言に加えて、私はその当時の税収の多くが、山林や田畑などからの固定資産税や米や薪炭、塩、魚など農産・海産物からだったと思います。また、私は県議となった平成19年の9月議会で初めての質問をし、私が政治の道に入った動機については、平成の市町村合併に対して、地方の過疎化に対しての挑戦でした。自分の生まれ育った故郷の山河を、先祖伝来の田畑・森林を、そして何よりも地域の人情・ぬくもりのある生活を残していきたいと考えていました。地域は違っても、どなたも同じ思いだと考えます。人間が生きていくためには、経済活動が基盤であることは当然ですが、少子・高齢・過疎の現状に対しては、政治が関わらなければならないと考えていました。都市部の方々から言えば「田舎もんのエゴイズム」と映るかもしれませんが、「田舎が滅べば都会も滅びる」と私は考えていました。都市の近代化・経済発展の陰には、労働力、食料、そして人間が生きていくための水・空気の提供を田舎が行ってきたと発言しています。さらに、近年の豪雨被害に対しても、森林や田畑の治水能力への期待が高まっています。

私は、トランプ前大統領のアメリカンファースト、小池都知事の東京ファースト、すでに報道されている指定都市市長会や神戸市長の考えは、歴史的な経過を考えないエゴイズムと考えます。また、経済中心、競争や効率だけを中心とした考え方だけならば、行政・公は必要ないとなります。競争・効率中心の経済社会で生じる歪みを修正し、誰もが安心して暮らせる社会を作るのが、国であり地方自治体であり行政であります。また、大河内町長に就任した時の議員の質問に対して、「町政を担うに当たっての基本スタンスは、均衡ある町勢の発展である。」と答弁しました。しかし、それはすべてを同じにするということではなく、当然のことながら中心部・人口密集地に施策・予算は集中します。この考え方については、兵庫県議になってからも変わりません。広い兵庫県全般を見渡しての政策判断をすべきと考えてきました。平成27年に施行された兵庫県地域創生条例では基本理念として、「大都市、地方都市、中山間地域等が産業、生活等の機能の分担をしながら、活力を持って自立できるよう、人、もの、資本、情報等が活用される環境をつくり」、とあります。また、令和3年度から本格的に地域プロジェクトモデル事業も始まります。

そこで、改めて、多様な歴史や文化・風土を持つ五国それぞれの特性を活かした兵庫づくりの今後の進め方について、知事のご所見をお伺いします。

2.令和3年度当初予算と今後の財政見通しについて

財政当局におかれましては、年度当初より蔓延・拡大する新型コロナウイルス禍に対して、数度にわたる補正予算を作成され、県民の安全と健康、経済的・生活支援に当たってこられました。しかし、年末から年始にかけて爆発的な感染拡大となり、今日現在では感染者数は減少してきましたが予断を許しません。今後は、ワクチン接種に向けて万全の体制を構築していかなければなりません。そのための新年度予算であります。

昨年9月には、コロナ禍での経済の停滞により、税収が令和2年度当初フレームに対して約2,000億円落込む見込みを予想されました。税収の落ち込みは、地方交付税で75%は賄われますが、25%相当分500億円の留保財源、これは地方交付税の財政調整の対象とならない財源ですが、私はどのように穴埋めをするのか不安でなりませんでした。

それが10月~12月にかけての企業成績もあり、新年度予算では令和2年度当初予算比で919億円減の見込みとなっています。その25%は、229億円です。当局の説明資料では、減収対策として、特別減収対策債146億円、調整債49億円の発行、シーリングの強化で15億円減、新規事業枠18億円減でほぼ相殺となっています。また、地方交付税の算定基準となる基準財政需要額は+205億17百万円となっています。その基準財政需要額は、地域デジタル社会推進費の新設(21億円)や保健師の人員強化に対する経費、会計年度職員制度の平年度化による期末手当の支給月数の増加等が算定されることに加え、地方財政計画上、地方税等の減少に伴う地方単独事業の財源の減少に対し、地方交付税等による財源保障を行うことで個別・包括算定経費が増加(216億円)すること等により、205億円の増加となっていると説明されています。その結果、普通交付税が前年比+243億円、臨時財政対策債+605億円を含めると848億円、特別交付税が+1億円、合計849億円の増額となっています。

これらのことから、国の財政支援、あるいは財政当局の、国の制度を十分に認識した上での巧みな予算編成と言えるのではないかということです。ただ、厳しいと言いながら、結果として、令和3年度当初予算は収支均衡しているため、厳しい財政状況であるというメッセージが県民に正しく伝わらないのではないかと懸念するところです。一方で、相当に厳しい財政状況として、我々ひょうご県民連合が1月20日に緊急申し入れをした、県庁等再整備、コウノトリ但馬空港、大型アリーナ等の大型投資事業の内容の再精査や検討の中止については、新年度予算等において概ね受け入れて頂いたと受け止めています。

また、知事をはじめ給料・手当のカットを上乗せされています。我々議員の報酬削減についても議員条例提案の予定です。行財政運営方針の財政運営目標の見通しでは令和4年度から9年度までは収支不足が続くと見込まれています。

そこで、令和3年度の予算は特別であったと思いますが、これをどのように編成されたのか、また令和3年度の税収見込みの変化にみられるようにコロナ不況は意外に短期に回復すると考えられますが、次年度以降の予算の見込みも含めて令和9年度までなぜ収支不足が発生するのかお伺いします。

3.コロナ禍で明らかになった課題に対する県の取組について

(1)有事における保健所の危機管理体制、職員配置について

昨年の初めからコロナ対策において、感染症等対策室を中心に懸命に対応されていることに感謝を申し上げます。一日も早く収束することを願うばかりです。その中でも、最前線といえる保健所の現状についてお伺いします。

平成6年に保健所法が地域保健法に改正されました。兵庫県ではそれを受けて、26か所あった保健所が、平成13年に福祉事務所と統合されて健康福祉事務所となり、行革と中核市への移管等も経て平成30年には12か所となりました。保健所数の削減と合わせて人員削減も並行して行われました。平成30年度の厚生労働省衛生行政報告例の概況では、兵庫県の人口10万人当たりの保健師数は、全国平均41.9人に対して32.1人であり大きく下まわっています。

そのような中で保健所職員の声を聴きますと、「24時間対応を行っており、超過勤務の増大、休日出勤が続いており、また、感染症担当用携帯を持ち帰るときもある。休日出勤の代休をとることが困難で、職員は疲弊をしている。現在、福祉の担当職員も含め、職員全体で、患者搬送等、コロナ対応を協力して実施しているが、保健所職員がすべて感染症に精通しているわけではなく、一部の職員にどうしても負担がかかっている現状です。感染症対応には専門的な知識や経験が必要であり、一朝一夕には対応できません。

また、保健所では精神保健福祉対応などの通常業務もあり、コロナ対応だけをしているわけではなく業務に支障を来たすこともある。「職場を辞めたい」という保健師も出てきている。

さらに、クラスターは保健所が適切に対応すれば抑えられるが、今の体制では限界がある。」などと訴えています。

この中で、「クラスターは保健所が適切に対応すれば抑えられる」という声がありますが、体制整備、職員配置が如何に重要であるかということです。コロナ禍における緊急の対応・人員配置として、令和2年3月~12月の間に本庁など他所からの応援が197人、市町からが226人、OG等看護協会からが278人延べ701人となっています。県で働く保健師の時間外勤務も、この間(令和2年3月~12月)で延べ25,000時間を超え(25,292時間)、一人一月あたりの平均は19.3時間と、まさしく総力を挙げて、外部の力も借りながら、ぎりぎりの状態で対応しているのではと拝察します。

保健所において、中長期的な視点から有事における危機管理体制について整備しておく必要があると考えます。加えて、人員削減や採用抑制の結果、職場に中堅層が少なく、新人の指導、人材育成も困難になっているのではないでしょうか。保健師の増員を含む職員配置も必要であると考えます。

今後、現在のような感染症拡大などの事態に備えるため、保健所の体制や職員配置を見直す考えがあるのかお伺いします。

(2)無届け有料老人ホーム等の対応について

平成30年度の予算特別委員会での質問に対して介護保険課長は、「無届け有料老人ホームについては、平成29年6月30日時点調査で県内に76施設ということであるが、これらについては、老人福祉法に基づいて、市町と連携し、行政へ届け出るよう指導を行っている。

また、毎年度、一つには、職員の配置状況、二つには、食事・その他サービスの実施状況、三つには、防犯・防災対策を記したチェックリストの提出を求めて、取組が不十分施設には実地指導を行うなど、適正な施設運営に努めているところである。一方、国において無届けを含む有料老人ホームへの指導、監督を強化するため、老人福祉法の改正が行われて、一つには、事業停止命令の創設、二つには、提供するサービス等の行政への報告義務といったようなことが平成30年度から施行されることとなっている。県としては、今後も市町と連携し無届け有料老人ホームへの届出指導を継続するとともに、このたびの制度改正の内容の周知徹底やチェックリストを活用した適正な施設指導を行って、高齢者が安全・安心に暮らせる居住環境の確保に努めていく。」と答弁されました。

今回その施設でクラスターが発生しました。ホームホスピス、シェアハウスなど名称はいろいろありますが、実態は有料老人ホームに該当し、行政へ届出が必要な施設もあると思われます。事業者は、その施設に利用者を集めて居住させて、訪問医療・看護、訪問介護を行っているため、サービスについては、介護保険制度の適用を受けていますが、施設整備などは自前での建設であり、中には、施設としては無届け状態のものもあります。当然のことながら、居住空間などは、グループホームや特別養護老人ホームに比べると大幅に見劣りする施設整備のところも多数あります。この間どのような具体的な指導、また、コロナもある意味災害であると言えますが、チェックリストを活用した適正な施設指導はどうであったのか伺うと同時に、ある意味脱法的な施設設置となっている現状に対してどう考えるのか所見をお伺いします。

(3)ポストコロナを見据えた地域経済の活性化について

新年度予算では、中小企業制度資金貸付金が昨年度予算より7,126億円増の9,549億円と、一般会計では過去最大となる2兆7,304億円となっています。また、その中小企業の振興、経営資源の充実として、中小企業向け融資制度の運用(融資枠8,000億円)等が計上されています。コロナ禍で経営が厳しくなった中小企業者に対して、適切な支援を求めるところです。

ただ、心配することに、東京財団政策研究所をはじめとする多くの経済学者や経営者、財政制度等審議会の「令和3年度予算の編成等に関する建議」や、「成長戦略会議」での委員発言に、「生産性の低い企業の退出(廃業、倒産)と新規参入による新陳代謝が不可欠である。適正なスピードでの企業の新陳代謝を促す政策も組み合わせることが必要である。」「度重なる天災や・自然災害ごとに中小企業へ支援するのはややもすれば過度な保護になり、新陳代謝を損ないかねない。」と言っていることです。とくに、「成長戦略会議」メンバーであるデービッド・アトキンソン氏の「大きくなれない中小企業は消えてもらうしかない」「小規模事業者に補助金を出す必要はない」という意見は非常に辛辣です。ちなみに、訪日外国人を激増させた「観光立国政策」はアトキンソン氏の助言と言われています。

9月6日の日本経済新聞の報道では、「自民党総裁選菅候補、中小企業基本法の見直しに言及、中小企業の統合・再編を促進すると表明した。中小の成長や効率化の阻害要因とも指摘される中小企業基本法の見直しに言及した。アベノミクスの継承と同時に、グローバル市場における日本経済の競争力強化に政策の照準を定める」とあります。

言い換えれば融資制度の見直し、雇用調整助成金の見直し、代替策としての「事業再構築補助金」です。そして、デジタルSociety5.0の実現、グリーン成長・カーボンニュートラル、オープンイノベーションへの転換です。

新しい成長産業への転換、生産性の向上は必要なことと考えます。しかし、中小企業は本当に生産性が低いのでしょうか。大企業はコストの安い中小企業を選別して仕事を外注することになりますが、その関係性に終始してしまうと、中小企業の成長を阻害することにもなると考えられます。中小企業には、コスト競争に陥らない経営基盤強化に向けて、技術・製品開発や販路開拓などの取組が必要ではないでしょうか。

そこで、国の産業政策を前提としながらも、県としてポストコロナを見据えた地域経済の活性化、中小企業への支援をどのように進めていくのか、所見を伺います。

(4)3密回避、都市から地方への展開における県としての具体的施策としての県立高校のあり方について

このコロナ禍において、都会から地方への回帰が注目されています。

ひょうご未来の高校教育あり方検討委員会報告書の素案では、「県立高等学校の活力を維持するための望ましい規模と配置のあり方として、普通科及び総合学科で6~8学級、職業学科の単独校で3学級以上を望ましい規模として考えていくこと。通学できる範囲に高等学校が少ない地域にある、望ましい規模に満たない高等学校については、これまで本県が行ってきた、地域の実情を考慮した配置に関する考え方を踏まえ、生徒の学びの多様性の保障を損なわない範囲において、地域の支援を得ながら存続させる方法を検討すること」とされています。つまり、都市部では統合再編、山間部では地域の支援を得ながらできるだけ残していこうということと思いますが、果たしてどうやって残していくのかです。

ここで、今年の4月に兵庫県立大学と同じ公立大学法人の運営により開学する芸術文化観光専門職大学について触れます。但馬の3市2町の強い要望もあり、県と地元を中心に計画が進められてきました。学長予定者は平田オリザ氏で、1年間を4期に区分するクォーター制の導入や徹底した少人数教育で、芸術文化と観光の双方の視点をもったプロフェッショナルを育てることを目的としています。現在、学生募集を行っていますが、全国から注目を集め、高い倍率となっています。世界的に活躍する人材が生まれ、そのことにより、但馬地域の地域創生に繋がると私は期待します。また、大学、学生寮の建設用地はともに豊岡市から無償で貸付されており、今後の大学運営にも3市2町が積極的に関わることが、大学及び地域の発展となると考えます。

もう一つの事例として、島根県隠岐郡海士町にある島根県立隠岐島前高校では、寮を完備して全国から生徒を集める工夫を行っています。いろいろなことを行っていますが、そのひとつとして、海士町立学習塾を運営してリクルート等の協力も得ながら学力を高めて、一流大学への合格者を出しています。そのことがさらに全国から生徒を集めることにつながっています。自然豊かな環境は学習 環境にも最適であると思います。

ひょうご未来の高校教育のあり方検討委員会の報告書の素案にも「生徒の学びの多様性の保障を損なわない範囲において、地域の支援を得ながら存続させる方法を検討すること」とあり、高等学校の魅力づくりを地元市町と連携して、積極的に取り組むべきであると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

4.農業の地域協働体制の構築に向けた取組について

ひょうご農林水産ビジョン2030(案)では、「『農』とは、土を耕し、森を育て、豊かな海を守り、食料をはじめ人々の生活を支える様々なものを産み出す農林水産業の営み、その営みを通じた生物多様性などの環境保全や洪水防止、水源かん養等の多面的機能により県民の『いのち』と『くらし』を支えるもの。さらには、人々の生活の場である農山漁村とそこに育まれた伝統・文化、豊かで美しい景観など、広く農林水産業・農山漁村を捉えた概念。」と記されています。まさしく私の思いと同じであります。

しかし、経済社会の発展と生活様式の変化の中で、農村では少子高齢化の進行に歯止めがかからず、労働力不足や地域活力の低下等様々な問題が深刻化しています。その原因の大きな要素として、農業での自立が困難であることが考えられます。如何にして、生産性を上げ農業所得を増やしていくかが重要です。と同時に、生活と暮らし、農村そのものを守っていくことが問われています。

昭和40年(1965)と平成27年(2015)における50年間で米価と人件費の伸びを比較すると、米価は約4倍になっているが、高卒公務員の人件費は約10倍となっており、実質的に米価は大きく下落したと捉えることができます。

淡路に代表される玉ねぎやレタス栽培等の野菜や果樹栽培、酪農などの畜産については、施設整備などの資本集中をすれば経営は安定すると思われます。問題は、県内耕地面積の91%を担う土地利用型農業をどのようにしていくかが、農業経営だけでなく農村集落そのものの存続にかかる問題です。特に中山間地における土地利用型農業です。

ビジョンでは、地域の農業・農村を守る集落営農法人経営モデルとして、農地を集積した上で水稲と高収益転作作物の栽培、水田の自動水管理やドローン等スマート技術活用による省力化・高品質化を図ることと、自給的小規模農家の営農継続と、多様な人材が地域の農業を支え合う地域協働体制の構築を謳っています。

以前調査をさせてもらったJA兵庫六甲では、需要が落ち込む山田錦や主食用米からの転作作物として、キャベツ・ブロッコリー等の野菜に初めて取り組む生産者向けに、栽培しやすいよう大きく育てておいた苗の供給や、直売所での販売促進などにも取り組まれていました。まさしく儲かる農業への挑戦だと思います。また、昨年は、酷暑の後一気に野菜が市場に出回り、価格が暴落するなど自然との兼ね合いもあります。 ビジョンに謳う地域協働体制の構築の前提として、大規模農家、小規模自給的農家が安定した農業経営を行い、営農意欲が高まるようにすることが必要だと考えます。

そのために、今後、生産システムや販売システムなどの工夫を含め、儲かる農業の実現のためにどのように施策を展開されるのか伺います。

5.住民が納得できる交通安全施設等の整備について

兵庫県の交通死亡事故者数は年々減少しており、令和2年1~12月の間では110人となっています。その内、道路横断中の死者数は25人で、高齢者が22人と大半を占めています。

私も含めて、過去に多くの議員が交通安全施設整備について質問をしています。特に信号機について多くの質問が出ています。というのも、令和2年度の信号機の新設要望箇所は約260か所ありますが、新設数は12月末現在でわずか11基という状況だからです。ただし、要望個所260か所のうち、所轄警察署において平成27年度に警察庁が策定した信号機設置の指針に示された設置基準を満たすと判断したものは、約100か所です。また、総数は令和2年12月末で、7,234基であります。信号機の老朽化・LED化更新費用も多額に上ります。LED灯器になれば、消費電力や電球の取り換え作業の面で維持管理費用が低く抑えられるだけでなく、見易さ・安全面でも大きな効果が期待できます。しかし、令和元年度末でLED灯化率は37.5%であり、毎年伸び率3%で整備をすると100%に達するのは、20年後の令和22年度になる見込みです。

また、撤去についても平成28年度10基、29年度19基、30年度16基、令和元年度15基、令和2年12月末現在で18基を撤去するなど、総数管理に努められています。平成31年3月には、警察庁指示により、信号機設置基準に照らして点検・分析を行った結果、撤去が妥当と判断した信号機166基を抽出し、令和5年度末を目標に集中的、計画的に取り組むとされています。撤去には住民の理解が必要ですが、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

しかし、設置基準に満たない要望もたくさんあります。例えば、幹線道路ではなく、子供たちの通学路での横断部分などにおいて、横断歩道だけではなく信号機の設置を強く求められている箇所です。こうした設置基準に満たず信号機が設置できない場所では、道路標示やハンプ等の物理的デバイスの設置のように、信号機に頼らない交通安全施設整備が必要であると考えますがこれらの中には道路管理者が行うべき整備もありますので限りある予算や人員の問題からも、より連携していくことが必要です。

交通安全対策には警察官による交通整理や交通取締まり、地域住民による安全誘導や見守り活動等、複合的な取り組みを進めていかなければならないことは言うまでもありませんが、信号機や横断歩道などの交通安全施設等の整備やカラー舗装、ハンプ等の物理的デバイスの設置などハード面での対策は極めて重要であると考えており、そうした中、住民が納得できる交通安全施設等の整備をどのように進められるのかお伺いします。