第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (教育委員会)
2011年10月18日(火)
1 奨学資金貸付金の回収について
質問の第1は「奨学資金貸付金の回収」についてです。
高校、大学の修学を奨励するための貸付制度には、昭和62年以降約3,500名が利用している高校奨学資金貸付金、昭和57年以降約2,800名が利用している大学奨学資金貸付金、平成14年以降約15,200名が利用している高等学校奨学資金貸付金に加え、昭和48年以降のべ約15,000名が利用している勤労生徒奨学資金貸付金の4つがあり、これまで多くの生徒、学生がこれらの制度を利用し、高校や大学を卒業しております。
しかし、平成22年度決算を見れば、高校奨学資金貸付金返還金の収入未済額は約5億円であり、うち滞納繰越額は約4億6千万円、同じく大学奨学資金貸付金返還金では約4億2千万円と約3億6千万円、高等学校奨学資金貸付金返還金では約2億1,300万円と約1億4,100万円、勤労生徒奨学資金貸付金返還金では約233万円と約200万円となっており、これら4つの貸付金全体での収入未済額は約11億3千万円、うち滞納繰越額は約10億円にものぼっております。
現在のところ、これらの滞納繰越の大部分は、いまだ不納欠損額に計上されていませんが、このまま手をこまぬいていれば、いずれは不納欠損になる可能性もあり、速やかにその防止策を講じて、滞納繰越の削減、解消に努めていくべきだと考えます。
そこで、当局として、不納欠損額が増加しないよう、これらの滞納繰越の回収について、どのような対策を講じているのか、お伺いします。
2 県立円山川公苑に係る職員人件費について
質問の第2は「県立円山川公苑に係る職員人件費」についてです。
平成22年度における歳入歳出決算報告書によれば、勤労者総合福祉施設整備事業特別会計の内訳として、県立円山川公苑の管理運営に従事した職員2名の人件費に要する経費として約1500万円が支出されています。この2名の内訳は、事務職員1名と指導主事1名とされていますが、単純に計算すれば1名当たり750万円の人件費支出となります。
この点、国税庁の民間給与実態統計調査の結果によれば、民間の事業所に努める会社員等の平均年収は、平成10年以降、概ね減少傾向が続いており、平成22年度の平均年収は412万円(平均年齢44.7歳)となっています。このような現実や、昨今の大変厳しい社会経済情勢の下で、平均未満の収入で生活をしている方も多い現状を見れば、1名当たり750万円という金額が果たして適正な額であるかどうか、また、素直な県民感情として納得できる金額であるかどうかは、疑問です。
一般的なイメージとして、公共施設における管理事務というものは、施設への申込み受付などの業務内容が主なものであり、さほど忙しいものでないような印象があります。私の地元でも、通常、定年退職後の再就職先として選ばれることも多く、そのような場合、おそらく年収200万円以下程度の安価な賃金で勤めておられる方が大部分ではないかと推察しております。
そこで、県立円山川公苑における管理運営の業務内容が一体どのようなものであるのか、また、その業務内容に照らして、2名分で約1,500万円の人件費が適正な金額であると言えるのか、当局のご所見をお伺いします。
3 県立文化体育館の指定管理者の選定手続について
質問の第3は「県立文化体育館の指定管理者の選定手続」についてです。
兵庫県立文化体育館は、勤労者をはじめ広く県民の文化の高揚及び体育・スポーツの振興を図りその福祉を増進することを目的に、昭和60年、神戸市長田区に設置されました。
平成7年の阪神・淡路大震災によりスポーツ館が全壊し、本館も多大な被害を受けましたが、平成10年に新たなスポーツ館が完成し、本館と併せてリニューアルオープンしました。現在は、文化活動および体育・スポーツの練習、競技、講座、講習会、研修会、展示会など、地域の方々はもとより、広く県民の皆様に利用されています。
この文化体育館については、平成20年4月から今年3月までの3年間、「兵庫県体育協会グループ」が指定管理者に指定され、その管理運営を委託されており、平成22年度における歳入歳出決算報告書によれば、同年度の指定管理料として約1億4,800万円が支出されています。
当然のことながら、当該団体を指定管理者とするにあたっては、平成19年度に適切な手続を経て、その選定が行われているものと考えますが、この「兵庫県体育協会グループ」という名称だけからは、どのような団体であるのかが、もうひとつはっきりと解りません。
そこで、本年4月以降の指定管理者を選定するにあたり、平成22年度にどのような手続を経て選定を行ったのか、具体的なご説明をお願いします。
あわせて、「兵庫県体育協会グループ」の概要についても、ご説明をお願いします。
4 「豊かな心」を育む教育における兵庫型「体験教育」について
質問の第4は「豊かな心」を育む教育における兵庫型「体験教育」」についてです。
本県では、児童・生徒の「豊かな心」を育む教育の充実を図るため、様々な「体験教育」に積極的に取り組んでいます。
その体験教育の1つとして、中学生が参加するトライやる・ウィークがあり、平成22年度には368校が実施、48,094名もの生徒が参加しています。主な活動場所としては、幼児教育施設に11,241名、販売事業所に10,519名となっているほか、製造業や病院において活動した生徒もいるようです。
私の地元、尼崎でも、多くの中学生が、幼稚園や病院、消防署などで活動している姿を見かけることがありました。
一方、高校における体験教育の1つとして、インターンシップ推進プランがあり、平成22年度には県下の全153校で実施され、生徒自身が事業所内での職業体験や社会人との交流を通して、自らの将来の職業や将来設計を考える良い機会となっています。
しかし、トライやる・ウィーク、インターンシップともに、残念ながら、介護施設を活動先とされている例が少ないように思います。核家族化が進んでいる現在、若者が高齢者と生活する機会が少なくなっており、老いるということがどういうことか解らないままに成長していては、高齢者や弱者を大切にしようとする心が芽生えるはずはありません。
これからの超高齢化の時代、介護施設での要員不足が十分予測される中、介護職員の処遇の問題もありますが、若年層の頃から高齢者を敬い大切にする心を養っていく必要があるのではないでしょうか。
そこで、平成22年度決算において、トライやる・ウィーク推進事業費補助として約1億3,900万円、インターンシップ推進事業費として約1,260万円が充てられていますが、これら2つの体験教育における活動先として、介護施設がどの程度入っているのかを含め、平成22年度の取組概要及び、その成果について、当局のご所見をお伺いします。
5 県立特別支援学校卒業後の就労実現について
質問の第5は「県立特別支援学校卒業後の就労実現」についてです。
県立特別支援学校の在籍者数は、小学部・中学部・高等部ともに、近年、増加傾向にあり、特に高等部で大幅に増加しています。
増加に対応するために、県では、県立特別支援学校の整備を計画的に進めており、そして、長期的な視点に立ち、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した教育的支援を行うための個別の教育支援計画を作成し、特別支援学校を卒業する生徒への就労を含めた支援が行われているところです。
また、就労体験活動は、県立特別支援学校全体で行われており、高等部生徒が現場実習を受けられる事業所数は年々増加し、平成22年度は目標の290事業所を上回る337事業所での受け入れが実現しました。
しかし、それだけで、生徒の社会的自立につながるとは言えないのではないでしょうか。将来的に自立できるかどうかは、小・中・高等部を通じて能力や態度を身につけ、手に職をつけられるかどうかにかかっているものと考えます。
各児童・生徒の保護者は、自分達がいなくなった後の子どものことを非常に心配されています。それだけに、高等部卒業後に向けた就労支援がとりわけ重要になってくるものと思います。
そこで、平成22年度の決算では、特別支援教育推進費として、約9,700万円が充てられているようですが、当局として、県立特別支援学校の生徒卒業後の就労実現に向けた支援にどのように取り組まれているのか、お伺いします。