議会の動き

中田 英一議員が質問(予算審査・教育委員会)

質問日:令和5年3月9日(木)

質問者:中田 英一 委員

1.子供への投資とシビックプライドについて

1月5日の定例記者会見において、知事は、新年度から県立学校の施設整備に集中的に予算を投入し、今後6年間でおよそ300億円を投じて、校舎の増築や冷暖房の設置などを進める考えを示されました。これまでの議論の中でもそれが県下の子供達にとって最良の使い方であり、これにより子供達にシビックプライドを醸成する旨の説明がなされてきました。

確かに、兵庫県では厳しい財政状況が続き、高校設備の老朽化についても現場からの声をお聞きしております。

しかし、令和5年度予算案を見ると、特別支援学校建設にかかる費用を除く、校庭の芝生化や部活設備、空調設備などに使われる予算が32.5億であるのに対して、学校現場の人的支援、すなわち業務支援員やスクールサポートスタッフの強化については2.6億円にとどまり、人より物に重点が置かれているように感じてしまいます。

また、これまでも述べさせて頂いてきましたが、小中学校現場における教員の多忙化は深刻で待ったなしです。

例えば、児童生徒が学校にいる時間帯は給食時間も含めて休憩が取りにくく、児童生徒の下校後に会議や部活指導、翌日の授業準備を行うといった長時間残業が常態化するなかで、小学校での外国語の教科化やプログラミング教育の必修化で負担が増加、さらにはコロナ禍において、ICT活用のための研修や準備、消毒作業ものしかかり教員の負担はさらに重くなっている。

また、コロナが収束に向かっても不登校児童生徒の急増があり、ただでさえ子供や家庭環境自体が多様化しており、教員への負担や求められるものは大きくなる一方であり、教職員の業務負担の軽減を図るための対策はかかせない。

令和5年度の当初予算では、全国的にも問題となっている教員の多忙化よりも、シビックプライドを醸成するため、多くの予算をかけて高校設備老朽化の対策をするというように見えるがシビックプライドとはどのようなものを想定されているのか。また、老朽化対策の重要性は理解できるが、教員の多忙化対策の方が緊急性・優先順位が高いと思われるが、未来への投資というには、子どもに時間を費やすべきと思うがそのためにどのような対策を行うのか当局の所見を伺う。

2.高校における不登校問題について

(1)相談体制の整備状況

これまで議会でも不登校児童生徒の問題は多く取り上げられてきたがここでは高校に焦点を当てたい。

コロナを経てその数はさらに増加傾向にあり、不登校になる要因はさまざまで本人すらわからない場合もあると聞くが、いずれにせよその要因を1つでも和らげることが私たち大人の責務であると考える。

1つには、相談できる場所と人の設置・充実である。適しているのは本人がリラックスできる場所で気兼ねなく話せる専門的な知識経験を有する人物である。

高校で考えると、保健室やカウンセリングルームで、養護教諭やキャンパスカウンセラーなどが想定されているが、そうした場所での相談体制の整備状況について伺う。

(2)長期欠席した際の授業・学校への参加方法の確立

次に教室でできる取組みについて提案したい。

相談を受けた事例では、通学がしんどくなり一時自宅で休んだが、一度休むとクラスの雰囲気がわからなくなり不安が増し、戻れなくなってしまったというものである。

高校で不登校となると、義務教育と異なり進級するには、決められた必要な時間数の授業に出席し、履修することが必要で、数カ月休むと進級できない仕組みとなっているため、じっくりと学校を離れ休養してからというわけにいかず、なるべく学校から離れきる前に気づきつなぎとめられる必要がある。大人から見れば「あわない学校に無理して通うより通信制や他校への転校」や「高等学校卒業程度認定試験から大学受験を目指せばいい」と思うかもしれない、友人たちとの青春真っただ中の高校生時代に、当事者でもそう言えるか。通いにくくなった生徒が戻れるサポートが重要と考える。

そこで、コロナをきっかけにGIGAスクール構想をはじめ学校現場でのICT化が飛躍的に進み、コロナ休校の際に実施されていたオンラインによる学習支援を行えば、登校できなくとも授業の遅れが防げるだけでなく、学校やクラスの雰囲気を感じることもできると考えるが、当局の所見を伺う。

3.遠距離通学する学生定期の補助について

学区再編に伴い、学生にとってはより広い範囲の中から高校を選択することが可能となり可能性が拡がった反面、高校生の通学距離・費用も延長・増大していないか

そのせいでかえって可能性が狭められるような事態が起きていないか危惧される。

神戸市は子育て世帯応援また子供の進路選択の幅を広げるために昨年9月から独自で通学定期の半額補助をスタートしたが、その際の調査では3か月定期で最大約84000円かかっていた生徒がいたとのことである。

神戸市とは比較にならないほど広大な県土を誇る兵庫県では、多い生徒でどのくらいの定期代がかかっているか。

県の学区再編に起因するものであることからも県で補助できないか合わせて伺う。