第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (病院局)
2010年3月5日(金)
1 県立病院12病院の役割について
(1) 県立病院の役割について
県立病院の設置条例では、第1条 県民の健康保持に必要な医療を提供するため、兵庫県病院事業を設置する。 第2条 病院事業は、常に公共の福祉を増進するとともに、企業の経済性を発揮するように運営されなければならない。 2 病院事業の施設としての病院の名称及び位置は、次のとおりとする。・・・とし、12の病院名と位置が記されています。
県立病院は、低所得者層の医療を確保するため、西宮病院が昭和11年に西宮懐仁病院として設置されて以来、結核対策、地域の中核的病院としての役割、専門医療における全県の拠点的病院としての役割など、その時々の県内の疾病構造や医療ニーズ、地域の医療提供体制に的確に対応し必要な県立病院が設置されてきており、各県立病院において、がん、循環器疾患、糖尿病医療や、救急医療や感染症医療等高度専門・特殊医療等の政策医療を中心に医療提供がなされています。
一方、県内においては、私の地元神河町が人口13,000人程度の町で実質年間約1億4,000万円を負担して公立神崎病院を設置しているように、財政状況が厳しい中ではありますが、公立病院を設置し、住民に身近な医療を提供している自治体もあれば、他方、人口や財政規模においてはるかに大きな市において市民病院がない中で県立病院が設置され、市民の医療ニーズに応えているというところもあります。
県立病院のあり方については、しっかりと整理されていることは認識していますが、県立病院の配置や提供している医療内容を判断すると、必ずしも県立病院だけで県民の医療を全てまかなえるものではないとも感じます。
そこで、県民への医療提供について、県立病院が果たす役割についてお尋ねいたします。
(2) 政策医療の提供が経営に与える影響について
尼崎病院では、神経難病医療の全県の拠点的な機能を担う、塚口病院では成育医療の全県の拠点的な機能や性差医療のセンター機能を担う、加古川医療センターでは、生活習慣病医療の全県の拠点的な機能を担う、光風病院では精神科医療の全県拠点病院として、急性期医療を中心に他の医療機関では処遇が困難な精神科医療を担う、こども病院では、小児専門病院として、また総合周産期母子医療センターとして、小児やハイリスク母子への高度専門医療を担う、がんセンターでは、都道府県がん診療連携拠点病院として、がんの全県的な拠点病院としての役割を担う、姫路循環器病センターでは、他の医療機関では対応困難な心疾患、脳血管疾患の急性期医療を中心とした高度専門医療の全県の拠点的な病院としての役割を担う、粒子線医療センターでは陽子線及び炭素線の2種類の粒子線治療が可能である世界唯一の施設としてがんの先進医療を担う、災害医療センターでは災害医療の全県拠点としての役割を担う、西宮・淡路・柏原病院では全県的な機能を担うとはなっていませんが、それぞれ圏域の中核的な病院として、がん、糖尿病等の高度専門医療を担うとなっています。
このように、それぞれの県立病院が、全県や二次医療圏域における拠点的な病院として、高度専門・特殊医療等を効果的かつ効率的に提供する役割を担っていますが、各病院がこれだけ多岐にわたる役割を担っていることを考えると、役割によっては、その役割を果たすことが経営上大きな負担となっていることも考えられます。そういう意味で、各県立病院の役割についての経営的観点からの検証も必要ではないかと考えます。
そこで、その特色ある政策医療の提供が病院経営に与える影響についてお尋ねします。
2 県立病院改革収支フレームについて
自立した経営の確保に向けて、日夜弛まぬ努力をされていることに敬意を表します。
昨年5月に策定された兵庫県の県立病院改革プランにおいて、平成28年度には病院事業全体での当期純損益の黒字化を達成するため、病院ごとに平成28年度までの収支計画を策定するとともに、病床利用率や入院単価等、主な経営指標に係る具体的な数値目標を設定して経営改善に取り組んでおられます。
そういう中で、今年度は人事委員会勧告に伴う大幅な手当・賃金の切り下げがありました。人件費の削減に伴い費用抑制が進み、経営指標に係る数値目標の一つである給与費比率の改善にもつながっているのではないかと考えます。
また、今定例会の一般質問において、我が会派の竹内議員からも確認しましたが、新政権による平成22年度からの診療報酬の改定もあったところであり、竹内議員への答弁では約9億円程度の収支改善が見込まれるとのことでした。
そこで、今、指摘した2つの要因が県立病院の経営に与える影響を伺うとともに、今後の収支フレームにどのように影響するのか伺います。
3 一般会計からの繰入金について
病院事業会計には、一般会計から、毎年100億円を超えるいわゆる繰入金が計上されており、平成22年度当初予算においても、病院事業経営費負担金約123億円、病院事業資本費負担金約42億円など、合計約170億円が計上されています。
これは、県立病院において各種の政策医療の提供を行うための負担金等かと思います。病院事業の経営において、過度にこの負担金に依存しすぎることには問題があるのではと思いますが、県立病院が政策医療を永続的にしっかりと担っていくためには、一定は行政が負担していくべきであります。病院局としてもその必要性を知事部局にアピールすることはもちろんのこと、現在、県民への痛みも伴う新行革プランの推進中ですし、公営企業である病院局がなぜ県から負担金を受けているのかという疑問に対し、この経費の必要性を県民に対しても明確に示し、十分な理解を得ることが県立病院の持続的な経営のためにも必要だと考えます。
そこで、これらの一般会計からの負担金がどのような根拠で算出されているのかお尋ねいたします。また、交付税対象分の他に県単独分があるかと思いますが、その算出根拠も含めて、お尋ねいたします。
4 減価償却費について
愛和病院(長野市)副院長のブログに掲載されていた平成19年の朝日新聞に、「民間企業なら建物や設備機器の更新に手持ち資金をあてることで、金利負担のある借金をできるだけ減らそうとする。だが、公立病院の建設や設備更新は借金で賄うのが普通だ。返済に充てる元利償還金の半分が自治体から繰り入れられ、交付税が上乗せされることもあり、自己資金で賄うより有利と考えられていた」との記事がありました。そして、三位一体改革のもとで交付税が削減され、診療報酬引き下げも相まって、公立病院の閉鎖も含め経営が厳しくなっていった現状を指摘している。
また、この「借金した方が交付税が多くもらえる」という仕組みが、多くの自治体を、厚生労働省関係者の言葉のようですが「病院の名を借りた公共事業」に走らせ、借金をふくれあがらせた、と指摘しています。県財政にも言えることかと思いますが、言うまでもなく、借金に借金を重ねることは非常に危険であります。特に、病院事業については、地域医療を確保し、県民の命を守るという大命題があり、決して倒れることは許されません。健全経営に努めることをお願いします。
また、同じ朝日新聞の記事に減価償却費に関する次のような記載もありました。「公立病院も会計上、民間企業と同様に毎年、減価償却費を計上する。だが、実際には支出されないため、将来の設備更新に備える手持ち資金として残る。そのため、赤字が出ても手持ち資金の範囲内なら問題ない、と自治体も病院もとらえがちだった」という内容であります。
しかし、現状は病院建設に係る費用等については、補助金と起債を財源とし、その後、起債を償還していくこととなります。
そこで、兵庫県の病院事業会計における減価償却費、起債償還額資金収支の関係について、どのようになっているのかお伺いします。