第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年3月8日(月)
1 緊急雇用就業機会創出基金事業について
(1) 雇用実態と定着率について
本県では、一昨年12月に知事を本部長とする緊急・経済雇用対策本部を設置し、昨年の5月まで数次にわたる補正予算を編成してきました。
雇用面の対策では、失業者のために、緊急雇用就業機会創出事業として、国の交付金を財源に基金を造成・拡充し、県事業による雇用創出数について目標を定め、原則6か月未満の雇用就業機会の提供に努めてきたわけですが、世界規模の金融危機に端を発した不況は長期に及んでおり、今なお県下の新規求職者数は増加しており、雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
そこで、これまで実施してきた県事業による緊急雇用機会就業創出事業が掲げてきた雇用創出数の目標に対する達成状況とともに、この事業の実施によって正規の雇用・就業にどの程度結びついたのか、その評価と課題についてお伺いします。
(2) 重点分野雇用創造事業について
県の来年度予算では、新政権のもとで編成された平成21年度補正予算による重点分野雇用創造事業が新たに提案されています。
重点分野として、介護、医療、農林水産、環境・エネルギー、地域社会雇用の6分野が示され、子育てなどその他の分野と合わせて、県事業約45億6百万円のほか、市町への事業費補助38億9千5百万円で合計約84億1百万円が予算計上され、県事業177事業で3,349人の雇用創出を見込んでいます。
この事業の実施に当たっては、市町との連携や協調はどのように図られるのか、重点分野のうち、介護の分野では27事業8億3千2百万円が計上されていますが、県が策定した「福祉人材確保対策推進プログラム」に掲げた約23,000人の人材確保との整合性は図られるのか、また、知事の提案説明でも言及されなかったニート・フリーターなど若者の雇用対策について、考慮がなされたものなのか、所見をお伺いします。
2 商店街とまちの再生について
来年度予算の新規事業として、空洞化が進む商店街の再生の鍵となる活性化プラン等の策定を支援する「商店街・まち再生プランづくり事業」、さらに、空洞化が進む商店街や再開発ビルにおいて、まちづくり会社等による不動産の所有と利用を分離した未利用店舗や未利用地の有効活用を支援する「商店街・まち再生整備事業」が打ち出されています。
事業内容は、いずれも空き店舗、空き地等を活用した商業施設、駐車場、住宅等の整備等、まちづくりと一体となった商店街の再生を図る事業に対して補助しようとするものですが、例えば、元気で意欲的な高齢者が増加する今の時代にあっては、県土整備部、健康福祉部をも巻き込んで関係部局と連携し、高齢者が活動する場づくりという視点で商店街等の活性化を考えることも必要です。
高齢者支援等を含め商店街のコミュニティ機能の向上を図る別事業もあるようですが、件数も少なく必ずしも十分ではないと思われます。元気な高齢者が地域のニーズに応えるサービス提供も可能とし、運営については、そこに集う高齢者を中心にさまざまな形があっても良いのではないかと考えます。
便利なまちの中で高齢者の居場所があれば、商店街やまちの元気、社会参加がよりやりやすくなり、まち全体が活性化するのではないかと考えますが、所見をお伺いします。
3 中小企業育児休業・介護休業代替要員確保支援事業について
常時雇用する労働者が300人以下の中小企業で20人以下の事業所が育児休業・介護休業取得者の代替要員を確保する場合に、その賃金の一部を助成する制度が新たに予算計上されました。
育児休業や介護休業の取得が困難な中小企業への誘導策として、また、休業者が職場復帰しやすい環境整備、すなわちワークライフバランスを促す施策としては敬意を表し、この事業が目的達成のために機能することを期待します。
この事業は、法人県民税超過課税を財源として、1億円が計上されていますが、対象事業所をどのように見込んでいるのか、また、休業者の代替要員の賃金の1/2を助成することとしていますが、休業者の賃金は保障されるのか、併せてお伺いします。
4 障がい者の雇用促進について
(1) 雇用率アップに向けた地域の連携について
昨年11月に、阪神北県民局管内(猪名川町)で開催された障がい者就労支援大会に来賓として出席し、あいさつで壇上から会場を見わたしたとき、200名程度の参加者で一杯となった会場内に、障がい者を受け入れる企業関係者の姿が見あたりませんでした。就労先の体験を発表する2名の話を聞いていたのは、家族会や作業所関係者等、見慣れたメンバーが多く目につきました。
パネラーの1人が「この会場に企業の方はいませんか」と聞いたときに挙手がゼロであったことが、折角のこの大会に少し物足りなさを感じたところです。
当日の午後には、就労への個人面談が行われるとのことでしたが、障がいを持ちながらも懸命に働いている状況を直接目にすることで、理解や認識につながるのにと考えます。なお、当日の個人面談では128名が相談し、5名が雇用につながったということです。
しかし、この大会は、宝塚健康福祉事務所が地域のハローワークと連携して実施している阪神北県民局独自の取り組みであり、他の県民局には見られないモデル的な事業であることを聞き、その取り組みには敬意を表したいと思います。
現行の障害者雇用促進法は、常用労働者数56人以上の民間企業に対して、1.8%以上の障がい者の雇用を義務づけていますが、昨年6月1日現在、本県の雇用率は、全国平均の1.63%を上回る1.76%となっていますが、前年比では横ばいです。
このような全国レベルや都道府県ごとの雇用率は、厚生労働省が定期的に公表していますが、障がい者の雇用を確実なものとしていくには、個々の障がいに応じたきめの細かい対応が必要であり、そのためには各県民局管内の市町ごとの雇用率の実態と課題を把握しておくことがより障がい者の雇用の促進につながると考えますが、国では、市町ごとの雇用率は公表しない方針と聞き、釈然としない思いが残ります。
そこで、阪神北県民局の取り組みも参考に、各県民局とハローワークなど地域の関係機関が連携することによって、障がい者の雇用率アップに向けた取り組みを一層強化していくことが必要と考えますが、所見を伺いします。
(2) 障害者雇用促進法改正の影響について
意欲・能力に応じた障がい者の雇用機会の拡大を主眼として、障害者雇用促進法の改正が行われ、昨年4月1日以降、段階的に施行されることになりました。
今回の改正は、障がい者の就労意欲の高まりや、短時間労働に対する障がい者のニーズに対応できていないという実態に応えるために、障害者雇用納付金制度の適用対象範囲の拡大、短時間労働に対応した雇用率制度の見直し、特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で雇用率を算定するグループ適用制度の創設等を柱としています。
この法改正が本県の中小企業と障がい者の雇用にどのような影響を与えると考えられるのか、所見をお伺いします。
(3) ジョブコーチの養成と実態について
平成14年の障害者雇用促進法改正により、障がい者の就職支援、雇用後の職場適応支援等を職場に出向いて直接行うジョブコーチの制度が設けられました。
ジョブコーチは、(独)高齢・障害者雇用支援機構の地域障害者職業センターから支援計画に基づき派遣され、障がい者への支援のほか、仕事の内容や指導方法の改善など事業主に対する助言・提案や、対象となる障がい者の職業生活を支えるための家族への助言など、障がい者の就労や職場定着にとって非常に重要な役割を担っています。
そこで、このジョブコーチの養成はどのように行われ、派遣数など支援の実態はどうなっているのか、県との連携はなされているのか、併せてお伺いします。