第308回定例会(2月)一般質問
2011年2月28日(月)
第132号議案「特定調停の件」について
民主党・県民連合議員団を代表して、第308回定例県議会に知事から提出された第132号議案の社団法人滋賀県造林公社に対する「特定調停の件」に関して、審査を付託された総務常任委員会において、私たちの考えを主張したところでありますが、本会議での、賛否の態度を示すに当たり、県民の貴重な税金・財産を保全する観点から、我々の考え方について討論を行います。
滋賀県造林公社は、近畿の水甕である琵琶湖の水源涵養を目的として、琵琶湖周辺の分収造林事業を行う団体として昭和40年に設立されました。本県も、当時の高度経済成長に伴い増大した神戸・阪神地域の水需要に対応するため、大阪府、大阪市、兵庫県内6団体とともに、出資・貸付を行うことによって琵琶湖の水源開発に参画してきたところであります。
しかしながら、同公社は、木材価格の下落や、農林漁業金融公庫等から借入金の金利が増加したことから債務超過に陥り、債務超過を解消するために平成19年11月、大阪地裁に旧農林漁業金融公庫及び滋賀県と本県を含む下流9団体に対して、債務免除を要請する特定調停の申し立てを行いました。
大阪地裁から各団体に対する調停条項案とそれに対する調停委員会からの意見書が出され、全ての債権団体は、今年の1月に合計323億円の債権を放棄することで合意しました
これを受けて、本県でも、将来の弁済見込額を超える債権を放棄することとし、金額として債権額の約10.9億円うち、約9億円を放棄することとになり、弁済方法としては、残金約1億9,000万円について、今後の分収造林事業の収益を見込み、平成27年から36年間で受け取る長期分割弁済案を選択し、今県議会に提案されております。
我が会派は、この問題が提起された3年前から、行革特別委員会、常任委員会等において警鐘をならしてきましたが、それにもかかわらず、債権放棄額は、当初に県当局が主張していた以上に、県民の財産を著しく棄損させる結果となり、誠に遺憾であります。
今回の特定調停は、全ての債権者の合意が必要であり、もし本県のみが合意しなければ、調停は成り立たず、そのことによって同公社が民事再生等に至れば、回収金額が現在の合意案より低くなる可能性があります。さらに、他の府県市等の下流団体が債権放棄と言う痛みを受け入れる以上、本県だけが、債権放棄を反対することはできず、我が会派も、一部の債権の放棄については、やむを得ないものと判断します。
しかしながら、本県のみが選択しようとする長期分割弁済案は、今後の伐採収益が上がらなかった場合の保証もなく、経済の変動によって再び同じ結果を招けば、県民の貴重な税金・財産のさらなる棄損につながりかねません。また、弁済完了が平成63年となり、その時点での責任の所在も曖昧となります。
長期分割弁済を選択した理由として、神戸・阪神地域の水需要の8割を琵琶湖・淀川に依存する本県は、水源県に対する下流県、受益県としての責任を果たす立場から選択したと説明されております。確かに、琵琶湖における水源涵養機能の維持は重要であることは認識しているところであり、本県も下流県・受益県としての立場から今後とも水源県に対する責任を負っていかなければなりません。
しかしながら、一括弁済を受けても、本県は、引き続き同公社の出資者・社員としての立場で意見を具申するなど、同公社が今後とも水源涵養等の公益的機能を持続していけるよう水源県に対する責務を果たして行くことは可能であります。
よって長期分割弁済の受け入れを前提とした本議案にはついては、県民財産の確保の観点から最善の債権保全策と言えず、他の下流団体と同じく、一括弁済方法を選択するべきと考えることから、賛同できず、反対を表明します。
各議員の賛同をお願いいたしまして、我が会派の討論を終わります。
第308回定例会(2月)一般質問
2011年3月16日(水)
第1号議案(平成23年度兵庫県一般会計予算)~第56号議案(公の施設の指定管理者の指定)について
冒頭に、この11日に発生しました東北地方太平洋沖地震で被災をされました皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、安否不明の方々が一日も早く安否が確認できますように、また、お亡くなりになられました方へ、心からの哀悼の意を表します。さらに現在も救援、救出に当たって全力を挙げていただいている自衛隊、警察、消防、海上保安庁、そして地元自治体、関係各位の本当に身をおしまない努力に心から感謝を申し上げます。
私は、民主党・県民連合議員団を代表して、ただいま上程中の平成23年度当初予算、関連条例及び事件決議に係る第1号ないし第56号議案の56件に対して、賛同する立場から討論を行います。
我が国経済は、リーマンショック後の経済危機を克服し、外需や政策の需要創出・雇用下支え効果により持ち直してきましたが、急速な円高の進行や海外経済の減速懸念により、昨年夏以降、経済の先行きに対する不透明感が強まり、雇用も厳しい状況となっております。とりわけ今春卒業予定者の就職内定率は、これまでになく厳しい状況となっております。
我が会派では、このような厳しい経済・雇用情勢を踏まえつつ、今定例会に提出された各議案に対し、本会議、各常任委員会及び予算特別委員会における質疑・質問などを通じ、慎重な審議を行ってまいりました。
また、その前提として真の分権型社会の構築と県民の参画と協働の推進など8項目を柱に政務調査活動に取り組み、昨年9月13日には83項目から成る重要政策の提言を行うとともに、同じく11月15日には当初予算編成に対して、85項目にわたる申しれを行ってきたところです。さらに、本年度は、新行革プランの総点検が行われ、新行革プランの見直し検討に当たり、申入れや行革委員会で意見開陳を行ってまいりました。
そこで、我が会派の活動方針等に沿って、来年度当初予算案及び行革推進方策の変更の件に対する評価を述べたいと思います。
まず、行革推進方策に変更についてであります。
震災復興により危機的な財政状況を立て直すため平成20年に策定した新行革プランについて、「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、本年度は、行財政全般にわたる総点検が実施され、これにあわせて、県議会においても、行財政構造改革調査特別委員会を設置し、精力的に議論を重ね、今回の県議会に、第2次行革プランが上程されました。
これまでから我が会派は、見直しの基本方針として①選択と集中をより明確にして県民が納得できる優先順位をつけた改革とすること、②県民に一番近い距離にある現場の職員の声を反映し、その声を大切にした施策を推進することと主張するとともに、医療や福祉、治安、雇用、教育などの県民生活と直結する分野については県民本位の対応となるようにより慎重でなければならないこと、更に、厳しい行革に取り組んでいる職員にとって先の見通せない給与抑制措置は、職員の生活設計やモチベーションに支障が生じることから何らかの配慮が必要であるなどと主張してまいりました。
提案された第2次行革プランでは、見直しが予定されていた乳幼児等医療費助成事業等の所得判定単位の是正について十分な説明、周知を行うために周知期間が設定されたことや、職員給与の見直しについては、士気高揚にも留意しながらという文言が入るなど、これまでの我が会派からの申入れや意見開陳を概ね反映したものと一定の評価をするものでありますが、今後、実効性ある取り組みを期待するものであります。
しかしながら、県の財政に大きく影響する先行取得用地の処分や土地開発公社などの公社等の見直しのほか、高齢化社会が進む中で、活力ある高齢者の地域活動の支援や喫緊の課題である地域の足としての公共交通の確保と地域の活性化に係る施策の連携といったような解決すべき課題も残されております。
そして、何よりも新行革プランの目標とする、県民の安心・安全を高めるため将来にわたり持続可能な行財政基盤を確立するための改革は、県民の理解がなければその目標は達成しないことから、県民への周知が欠かせないことを重ねて申し添えておきます。
次に、平成23年度予算案についてであります。
まず、真の分権型社会の構築と県民の参画と協働の推進の中から、「地域主権の確立」と「参画と協働の推進と共生社会の実現」についてであります。
本年度予算の3つの基軸の一つとして「地域の自立」を掲げ、地域再生大作戦の展開や地域の夢推進事業の創設など地域の魅力と元気づくりを進めるとともに、昨年12月に設立された関西広域連合の活動の展開による地域主権改革の推進など積極的に取り組もうとしております。特に、地域の夢推進事業については、我が会派が主張してきた県民が将来に希望を持つことができる社会の実現に向けた予算として評価するものあり、その実施にあたっては、新しい公共として期待されるNPO等の協働や県民局を横断する地域課題にも対応するなど、その事業の実効性を高め、地域から夢がひとつひとつかなえて、この一歩、一歩が「新時代の兵庫」の創造につながることを期待するものであります。
次に、「健康福祉社会の実現」について、こども医療費助成事業の拡充やLSA配置事業の促進、児童家庭支援センターの拡充、発達障害児の早期発見・支援体制の強化など福祉基盤の整備に努められております。
一方で、この分野においては、人権尊重を基本としたDV防止対策や児童・高齢者虐待防止対策の更なる充実、自殺防止対策の推進、恒常的な医師不足の解消に向けた積極的な取り組み、検診受診率の向上などのがん対策の一層の推進、良質な介護を実現するためのマンパワーの養成や介護サービス基盤の充実、高齢者や障害者福祉の充実に向けた取り組みなど、我が会派があらゆる機会をとらえて指摘してきた課題が山積みしており、より一層の積極的かつ効果的な施策展開が求められております。
次に、「産業の活性化、雇用対策の充実」について、国の基金を活用して緊急雇用就業機会創出事業による5,400人の雇用の創出など経済雇用対策を推進しておりますが、県下の雇用情勢はいまだ厳しく、本格的な雇用につながっていない状況もあり、また、新卒者と中小企業とのミスマッチも生じていることから、臨時の雇用創出だけではなく、これからは将来につながる正規雇用の創出や新卒者雇用の支援を本格化する必要があります。
さらに、中小企業・地場産業の競争力強化のために、新たに海外需要開拓プロジェクトの推進など展開しようとしておりますが、長引く経済不況の中、一日も早く脱却するためにも、中小企業の経営革新に向けたさらなる支援や新たな成長分野である農業、環境分野などのグリーン産業への積極的な支援を行い、雇用確保とも結びつけた施策を展開して行くことを求めます。
次に、「新たな兵庫教育の推進」については、ひょうごの未来を担う子供たちをすこやかにたくましくはぐくむため、学校・地域・家庭がそれぞれ役割分担を明確にするとともに、参画と協働のもと、少人数学級の着実な拡充や教職員の勤務環境を整備することなどにより、基礎・基本の学力の確実な定着や一人一人の個性・能力を伸ばすとともに、情報、環境、福祉、人権、多文化共生など時代の要請に対応し、大震災を乗り越えた兵庫ならではの教育の推進に、さらに前向きに取り組まなければなりません。
このほか、「環境適合型社会の実現」「食料自給率の向上と活力ある農山漁村づくりの推進」「快適に暮らす社会環境づくりの推進」「芸術文化・スポーツの振興」「県民が安全で安心して暮らせる治安体制の充実と危機管理」などについても、重要課題として、着実かつ強力な取り組みを期待しております。
以上、来年度当初予算案及び行革推進方策の変更の件に対する評価及びより一層の取り組みが求められる重要な県政課題等について述べてまいりましたが、上程された予算案等の議案については、かつてない厳しい財政環境の中、現下の経済・雇用情勢や少子化をはじめとした本県の実態を踏まえた不可欠な事業を選択し、重点的に実施するために必要な額を確保したものであり、県政を取り巻く重要課題に対し、その解決と推進への努力がうかがえる予算となっている点で評価をいたします。
しかし、前述したとおり、我が会派が申し入れ、本会議などあらゆる機会を通じて指摘してきた事項、そして新行革プランの対象となった各分野には、さらなる取り組みが必要な分野や精査すべき課題も少なからず残っています。
本定例会開会日に行われた提案説明において、知事は、「行財政構造改革は、時代の変化に対応して、県民の県政への期待を実現していくための基盤づくりで、行財政環境は依然として厳しいが、県民の夢や希望が実現できる兵庫をめざして、全力で取り組む。」と述べられました。
今回の行革は、決して失敗は許されるものではなく、県民・議会と一体となって取り組まなければ、改革は達成し得ないと考えます。その意味でも、県民にこの行革の必要性及び意義をいかに理解してもらうかが、改革の成否を左右すると言っても過言ではありません。
知事におかれては、今後とも県民の声を真摯に受けとめ、新行革プラン全体が実効あるものとなるよう最大限配慮されるとともに、県民すべてに将来に希望を持つことができる政策を推進し、「自立新時代」に向けた強力なリーダーシップを発揮されることを強く要望いたします。
我が民主党・県民連合議員団は、「県民の生活が第一」と位置づけ、県民誰もが安全に安心して暮らすことのできる元気な兵庫づくりに全力で取り組む決意であることを表明いたします。
最後に、今回の東北地方太平洋沖地震は、未曾有の大災害であり、阪神・淡路大震災を経験した本県として、これまでの経験を生かして、被災地域に対する復旧・復興に対して最大限の支援を行っていただくとともに、我が民主党・県民連合議員団においても、出来る限りの支援・協力を行っていくとの決意であることを表明して、討論を終わらせていただきます。