決算特別委員会 [ 10月11日(金)公安委員会・前田委員 ]
1 犯罪インフラ撲滅による犯罪の未然防止について
はじめに、「犯罪インフラ撲滅による犯罪の未然防止について」お伺いします。
犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいい、基盤そのものが合法なものであっても、犯罪に悪用されている状態にあれば、犯罪インフラとして含むものであります。
振込詐欺などの特殊詐欺の被害は、今年の1月から6月で211億円余りに上り、過去最悪だった2012年の上半期の155億円に対して約56億円上回り、被害額は1日平均1億円を超える状況となっています。また、最近では有名人に成りすまし、不特定多数にメールを送って出会い系に登録させ、サイト利用料の名目でおよそ37万人余りから、116億円以上を集めていた詐欺グループが警視庁に摘発されたケースもありました。
犯罪者は手を変え品を変えながら、被害者を作り出し、たとえ、警察が犯人を摘発しても、被害者には被害額はほとんど返ってこないものと思います。
従いまして、やはり犯罪を起こさせない、犯罪グループが組織的に効率よく運営できないような、未然抑止が重要で、そのためには、犯罪を効果的、効率よく達成するためのツールとして利用される他人名義の携帯電話や預貯金口座、外国人犯罪を助長するヤード、規制薬物等の密売などのためのネット上の闇サイトや掲示板、偽装のための身分証明書やバーチャルオフィスなど様々な犯罪ツールについて、利用される前に撲滅していくことが、犯罪の未然防止、被害者の拡大を防ぐ、根源的な対策に繋がっていくものであります。
犯罪インフラは、近年、詐欺、窃盗、サイバー犯罪等のあらゆる犯罪の分野で着々と構築され、巧妙に張り巡らされており、治安に対する重大な脅威となっています。警察庁でも、平成23年3月から犯罪インフラ対策プランを策定し、本県警察においても、同年6月から対策推進室が設置されています。
そこで、本県警察における、これまでの犯罪インフラ撲滅策への取り組み状況について、その成果及び現状の課題と併せてお伺いします。
(答弁 ①)
2 警察組織の生産性向上に向けた取り組みについて
(1)情報分析支援システム(CIS-CATS)の運用状況等について
次に、警察組織の生産性向上に向けた取り組みについて、お伺いします。
警察部門は、治安維持という住民サービスに直結する部門で簡単には削減するわけにはいきませんが、兵庫県警察は約1.2万人の大組織で、それなりの経費もかかっていることも事実です。従いまして、警察組織におきましては、捜査費用等も際限なくあるわけではありませんので、常にかかっている費用を意識しながら、業務の合理化・効率化に取組んでいただきたいと考えていますので、あえて、ここでは「生産性の向上」と表現していています。
今年度の予算委員会でもICTを活用した捜査の効率化について提言させていただいたところであります。その際にも指摘いたしましたが、将来的な人口減少や予算制約に伴う警察官の削減という議論も十分にありえるので、ICTの活用により人的資源を補っていく視点が必要であります。
警察組織におけるICTへの投資としては、平成21年から全都道府県で運用が開始されているCIS-CATSは、犯罪手口・犯罪統計や地図情報や被疑者の写真などのデータベースを統合した、情報分析支援システムがあります。
CIS-CATSを活用した犯罪関連情報の総合的な分析を進め、捜査の方向性や捜査の優先順位の判断を支援することなど、捜査効率をいかに高めていくかが重要であります。加えて、また、ICTを苦手とする高齢警察官も、積極的にシステムを活用することにより、これまで現場で培った知識や経験と併せて、より効率的な捜査に繋げていただきたいところです
そこで、本県におけるCIS-CATSのこれまでの運用状況について、現状抱える課題とともにお伺いします。
(答弁 ②)
(2)組織や人員配置の見直しによる警察組織の効率的な運用について
次に、組織や人員配置の見直しによる警察組織の効率的な運用について、お伺いします。
先ほどはICTでしたが、次は、直接的な生産性の向上についてです。誰しも同じような光景を見たことがあるかも知れませんが、私も生産性に疑問を持った経験があります。数年前、県内の主要幹線道路で車の接触事故を見かけました。破損の状況はさほどひどいものではありませんし、夜遅くなので交通量もそんなに多くはない状況でしたが、警察官が7・8人で対応していました。素人目線でも明らかに人員が多いのではないかと正直思いました。
事故の当事者同士が言い争っている場合や、安全確保の必要性の程度については、実際に現場に駆けつけて見ないと、一概に必要な人員が確定しないのかもしれませんが、どのようなケースにどれだけの警察官を投入するのか、一定の判断基準が必要なのかもしれません。
この点、平成12年度より実施されています、警察改革の一環で、警察庁長官官房長から、「人員の配置と運用の抜本的な見直しについて」の通達がだされています。この通達には、業務の在り方や必要性にまで踏み込んだ見直しや効率運用に向けた人員と組織の見直しなどについて、徹底的に合理化を推進するよう指示がなされているところです。
そこで、この通達を含めた、人員・組織・業務の在り方、効率的な運用に向けたこれまでの取り組み状況について、今後の見通しとともにお伺いします。
(答弁 ③)
3 適正な自動車の速度規制のあり方について
最後に、「適正な自動車の速度規制のあり方について」について、お伺いします。
自動車の速度規制は交通安全や円滑化などの観点のみならず、地域経済にも影響を与えています。
企業や工場を誘致する際には、移動時間の短縮が経済効果に直結することから、交通アクセスは重要な判断要素の一つになります。北近畿豊岡自動車道の整備により、豊岡市から兵庫県庁までの所要時間が約20分短縮され、所要時間の短縮による経済効果は年間約187億円に上ると予想されています。地域間の往来に係る時間が短縮されますと当然に、交流人口が拡大し、地域経済の活性化に繋がっていくことが期待されます。
警察庁は平成21年10月に新たな速度規制基準を17年ぶりに導入し、基準速度は従来どおり40~60 km/hとしたまま、通行機能を重視した構造の道路では70・80km/hが可能とする一方、生活道路は原則30km/hのメリハリある規制速度に改めました。いわゆるゾーン30もこの流れで創設されたものです。
今年の8月に警察庁交通局より公表されました資料「速度規制の見直し状況と課題」によりますと、平成21年度から23年度の全国の見直し状況は一般道36.2%、生活道路区間規制38.2%、自動車道路45%、生活道路区域規制いわゆるゾーン30が43.6%となっています。本県警察における速度規制の見直しの状況について速度規制の見直し後の変化とともにお伺いします。
(答弁 ④)