平成27年度決算委員会質疑(産業労働部)
1 過労死等防止対策について
昨年6月の代表質問でも取り上げた課題です。平成26年に議員立法により「過労死等防止対策推進法」が成立し、先日、法に基づき初めて「過労死等防止対策白書」が作成されました。しかし、過労死等に関する対策はまだ始まったばかりです。先日も大手広告代理店社員の自殺が労災認定を受けたとの報道もありましたが、改めて、このような不幸な出来事をなくしていかなければならないと考えています。代表質問では、井戸知事が「今後とも、政労使一体となって、長時間労働の改善や過労死等防止の取組を進める」との答弁でした。
そこで、兵庫県内における過労死等の現状をどのように把握をし、昨年一年間、政労使一体となってどのような取り組みをなされたのでしょうか?
2 ワークルールの啓発について
過労死等だけにかかわらず、労使双方に労働基準法などの労働法制等、いわゆる「ワークルール」に対する知識や理解が必ずしも十分ではないように感じています。実際に、ブラック企業やブラックバイトといった言葉に代表されるように、労働者が本来保障されるべき権利が守られていないというケースも散見します。過労死等の不幸な出来事を生み出さないためにも、雇用者側労働者側双方にワークルールに対する啓発の機会が必要だと考えています。
そこで、ワークルール普及について、昨年度の県の取り組みと今後の方針について、お伺いします。
3 多様な働き方を認めあうための施策展開について
国では「一億総活躍」「働き方改革」「同一労働同一賃金」など労働に関する言葉がよく話題に上がっています。兵庫県としても、これを機に、県民の働き方にさらにスポットを当てた施策展開、とりわけ、多様な働き方を認めあう社会に向けた施策が必要であるというのが、今回質問に当たっての私の問題意識です。兵庫県では、ひょうご仕事と生活センターを拠点に、政労使が一体となった取り組みを推進しているにもかかわらず、十分な成果とまでは至っていないのが現状です。
仕事と生活センターで実施している事業のうち、例えば、「仕事と生活の調和推進環境整備事業」は、平成27年度実績で53件、5,178万円が執行されています。また、多くの事業がアウトプット指標としては、当初目標を達成しています。しかし、アウトカム指標として、兵庫県の女性就業率は全国で
46番目であること、依然として長時間労働に従事する労働者が多いことなどを考えると、改善の余地は残されていると考えています。兵庫県として、仕事と生活センター事業をどのように評価し、今後、改善していこうと考えているのか?
私は、多様な働き方をいかに認めあうかという観点から、在宅ワークや事業所内に託児所を置くということも大切ですが、男女ともにワークライフバランスを実現することから考えれば、例えば、シェアオフィスを拡げていくべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか?
4 中小企業の人材不足対策について
景気回復に伴い、中小企業においては、特に人材不足が顕著であると言われています。
平成27年度の有効求人倍率が平成3年度以来1を超えたにもかかわらず、県内の就業者数が4万4千人減少していることを考えると、有効求人倍率が高くなったことをもって、経済・雇用環境が良くなったとは言えず、依然、人材不足が深刻であるというのが実情です。特に、県の約99%、就業者の約70%以上を占める中小企業においては、その傾向は顕著だと言えます。
実際に、2015年に兵庫県中小企業同友会が行ったアンケート調査によると、約6割の企業が人材不足と感じているとのことです。
「ひょうご経済・雇用白書」においても、中小企業の人材不足は、景気回復と同時に、労働人口の減少、さらには雇用のミスマッチが原因であるとの指摘がなされています。特に、求職者が多い事務職は、それを吸収するだけの求人数がない一方で、福祉部門や製造部門等では、人材不足が顕著となっているとのことです。
このような中小企業における人材不足は、営業機会の損失や労働者の超過勤務の増加という結果につながるため、県としても支援が必要なのは言うまでもありません。そこで、現在の県の施策を見ると、昨年度、中小企業の人手不足対策として、中小企業合同研修等支援事業を実施し、各地域のハローワークと連携した合同企業面接会では、合計1,274人の参加をいただきました。同事業では、新入社員の定着支援のためのセミナーも開催しています。また、「ひょうご応援企業」就職支援事業やふるさと企業就職活動支援事業なども実施されています。
ただ、中小企業の人材不足の課題は、何も今に始まったわけではありません。このように構造的な問題として、中小企業の人材不足がある中で、兵庫県として、県内の中小企業の人材不足をどのように認識しているのか?
また、県内の中小企業の人材不足に対して、どのように取り組んでいくのか、お伺いします。
5 中小企業人材のキャリアアップ支援について
中小企業側からすると、単なる「人手不足」ではなく「人材不足」だと言われています。しかし、文字通り人手も人材も不足している中、日々の業務に追われている中小企業において個々の従業員のキャリアを育成していくことは簡単なことではありません。
今後、好むと好まざるをえず、雇用は流動化し、必要な知識は早いスピードで変化していく。そのなかで、中小企業の従業員一人ひとりが絶えず能力を向上させていく必要があると考えますが、県のご所見をお伺いします。