議会の動き

上野 英一議員が代表質問を実施

質問日:平成29年2月23日(木)

質問者:上野 英一幹事長

質問方式:分割方式

1.真の行財政構造改革について

(1)人口減少社会における社会の担い手づくりについて

最終2ヵ年行革の特別委員会での議論の中で明らかになったことは、社会保障関係費が増え続ける中で、地方一般財源総額が平成27年度と同水準に据え置かれても、平成30年の収支均衡については、財政運用を含めてめどは立った。

しかし、平成31年度以降もこの状態が続けば、新たな財源を見つけるか、真の行財政構造改革を行うかであるということでした。 それでは真の行財政構造改革とは何か。最終2ヵ年行革プランに対する意見開陳でも申し上げましたが、第一に、生産年齢人口の見直しを通じた社会の担い手の拡大です。地域創生戦略では、「団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年以降、15~74歳を『拡大生産年齢人口』として、地域経済を含め広く地域づくり活動の担い手となるよう、その取組を進める」こととしています。

また、高齢者問題の研究者でつくる日本老年学会でも、「高齢者を75歳以上に、65~74歳は准高齢者、現代人は10~20年前と比較し、加齢に伴う衰えが5~10年遅く『若返り』がみられる。65~74歳では活発に活動できる人が多数を占め、社会一般の意識としても高齢者とすることに否定的な意見が強い。その上で、高齢者の年齢を75歳以上に引き上げ、65~74歳は就労やボランティア活動ができるように後押しし、『社会の支え手』として捉えなおすべき。」としています。

私は、最終2ヵ年行革プランにおける老人医療費助成事業の廃止や県立施設高齢者減免要件の見直しなどはその考え方の一環であると捉えています。持続可能な行財政構造の構築には、健康寿命の延伸を進め、医療・介護費の大幅な削減を目指すとともに、さらなる参画と協働を進め、社会の担い手を増やす施策の充実が必要不可欠と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

(2)人口減少を見据えた基幹道路ネットワークの整備について

第二に、組織やハコモノの抜本的な見直しも主張してきました。例えば、 (公財)兵庫丹波の森協会の丹波県民局との業務の一体化により、業務上はもとより、住民サービスの観点から効率化を図るとともに、地元による多額の運賃補助を必要としている但馬空港については、但馬地域への交通アクセスが格段に改善している中においては、現実的な認識に沿った抜本的な見直しを行うべきです。

新西宮ヨットハーバー(株)についても、県はいつまで経営に関与を続けていくのでしょうか。収益性が求められる事業については、運営を民間に任せるべきです。我が会派としては、今後の人口減少を見据え、これらの組織・ハコモノの見直しを本格的に進め、質的な改革を成し遂げなければならないと考えています。

これに関連して、人口減少を見据えた基幹道路ネットワークの整備について質問します。本県では、従来からミッシングリング解消を目指し、国やネクスコ等関係機関と連携する中で基幹道路整備に取り組んできました。もちろん、県土発展という観点からみるとミッシングリング解消に取り組むことは理解をして参りました。

一方で人口減少に伴い交通量も減少していくことが確実です。県としてもこれらの社会状況を前提に計画を見直す時期に来ています。従来の社会基盤整備プログラムは、成長経済等を前提とした計画作りでありました。

これからは、人口減少を前提に、新たな社会基盤整備を考えるべきであると考えます。この度改めて「ひょうご基幹道路ネットワーク整備基本計画(仮称)」を策定するに当たり、人口減少や交通量の減少をどのように評価し今後の計画に盛り込むのか、ご所見をお伺いします。

(3)県政150周年記念事業について

第三に、限られた財源の中での持続可能な行財政運営実現のために、スクラップの意味での既存施策の見直しだけではなく、ビルド部分、つまり新規施策展開時における優先順位の明示のほか、既存施策の方針転換を行う際の丁寧な説明が欠かせません。

特に投資事業の実施にあたっては、将来にわたって維持管理費が発生するため、その判断には、より一層の慎重さが求められます。我が会派では、県政150周年記念事業や、小野市市場地区開発等の企業庁の施策展開について色々と指摘してきましたが、人口減少社会へ進む今だからこそ、ビルド部分に関する意識改革をさらに進めるべきです。

100周年記念事業は、戦後復興から高度成長への時代でありました。そして未来への兵庫県民の希望の象徴として、県民会館、芸術文化協会、こども病院が建設・設立されました。現在、あるいはこれからは、低成長・人口減少社会、経済の縮小社会であります。この厳しい社会情勢の中で、150周年記念事業は、ひょうごの未来に向けて県民の気持ちを一つにする事業を行うべきであります。そのためにも、シンボル的な施設ではなく、五国、県民局単位、あるいは各部局でそれぞれにおいてソフト事業を中心に展開すべきであると考えます。

例えば、先日も「めざせ、日本遺産!! 銀の馬車道 鉱石の道」フォーラムが3市3町の住民の総決起で開催されましたが、播磨・但馬の150周年事業として展開するなど考えられます。部局の1例では、県立高校で考える県政150周年記念事業などもなかなかなものと考えます。当局のご所見をお伺いします。

2.地域創生の真髄について

平成27年4月1日に施行の兵庫県地域創生条例に基づき地域創生戦略が策定されて、2020年までの目標として9つの基本目標と70の施策の全県対策、さらに各県民局・県民センターでの地域別の対策が策定されています。また、各市町においても総合戦略が策定されています。その総合戦略策定に当たっては、それぞれ総合戦略会議が開催されています。さらに兵庫県では、地域創生戦略アクション・プランが策定され、戦略の3本柱である「自然増対策」「社会増対策」「地域の元気づくり」ごとに、平成31年度までの年次目標値の達成状況を明確にするため、9つの基本目標のもとに設定した70の施策ごとに、成果指標である「総括KPI」を設定するとともに、平成28年度当初予算及び平成27年度補正予算(緊急経済対策等)の中から、70の施策の「総括KPI」を達成するために必要な主な事業について、「事業KPI」を設定されています。

また、「地域創生トップフォーラム」が、平成28年2月16日にラッセホールで開催、地域創生NEWSレターの発行、地域創生リーフレットの作成などの取組を進められています。 県民・市民との協働による戦略の策定、アクション・プランによる成果目標の設定、各種広報・啓発活動と精力的に進められています。戦略などの計画づくりやアクション・プランは、素晴らしい中身・出来栄えになっていると思います。 知事は新年交礼会の中で、計画づくりよりも、県民が夢や希望を感じるビジョンを示すことが大事であると仰っていました。

また、以前からふるさと意識の醸成を仰っています。私は神河町の戦略会議に参加をさせて頂きましたが、どうしても戦略の策定にタイムリミットがあるため、やはり計画づくりに終わっていたのではないかと思います。これまでも、地域の協働社会づくりを進めるチャンスは、市町村合併、スポーツクラブ21事業、県民交流広場事業、地域の夢推進事業などがありましたが、合併特例債や補助金獲得のための計画づくりに終わったのではないかと思います。

地域創生は、これからの県民・住民の協働作業で地域を考え作っていく最後のチャンスだと考えます。 私は、人口減少、東京一極集中になった根本的な原因は、経済活動にあると考えます。その自由主義経済の中で、この現状を変えるためには、私たちの価値観を問い直すことが必要ではないでしょうか。

自由主義経済の下での物資的豊かさだけではなく、地域循環型経済を確立して、自然環境の豊かさや自然の恵みでの生産活動、これらをベースにした起業、牧歌的な地域コミュニティ、新たな農村コミュニティを創造することではないでしょうか。都会も田舎も県民・住民の協働で、人と人がつながり、命と絆を大切にした人間社会を再構築することではないでしょうか。ご所見をお伺いします。

3.県立大学の今後の目指す大学像と経営について

法人移行3年が経過して、組織及び業務全般にわたる検証の実施が行われました。その中で理事長と学長の一体型でも、「メリットである機動性を発揮して、概ね計画に即した成果を挙げたものと評価できる」とされています。ただし、大学改革(教育・組織・ガバナンス)については、「国による様々な改革が矢継ぎ早に打ち出されていることから、特に教育面を中心に取組の加速化が必要である。」とされています。

さらに、「3年間の取り組み、残された課題を踏まえると、多様な学部・研究科等を有する分散型キャンパスという本学の特性により、他大学よりマネージメントが難しい要因となって、理事長兼学長が、経営・教学両面にわたる重要課題のすべてに十分なリーダーシップを発揮することは困難であったことは否めない。」とされています。そして、平成29年度から、理事長と学長の分離型への移行となっています。

神戸商科大学・姫路工業大学・看護大学のOBの皆さんからは、兵庫県立大学に移行してからは、一体化することによって旧大学の良さが埋没するだけでなく、知名度も下がっているのではないかとの声を聞いています。

それは一流企業への就職状況にも表れています。週刊ダイヤモンド2014.10.18号では、関西地元17社(積水ハウス、大和ハウス工業、武田薬品工業、神戸製鋼所、京セラ、シャープ、日本電産、パナソニック、村田製作所、ダイキン工業、川崎重工業、京都銀行、近畿日本鉄道、NTT西日本、JR西日本、関西電力、大阪ガス)の就職者数は関西の大学で20位です。

また、地元16社(積水ハウス、大和ハウス工業、武田薬品工業、神戸製鋼所、京セラ、シャープ、日本電産、パナソニック、村田製作所、ダイキン工業、川崎重工業、京都銀行、近畿日本鉄道、JR西日本、関西電力、大阪ガス)の役員数では5位です。

このことは、旧大学時代には地元関西の大手企業に多くが就職するだけでなく多くの役員を生み出したと言うことです。近年多くの公立大学が誕生していますが、兵庫県立大学も、企業の人事には新設校と思われているのではないでしょうか。一方、日経グローカル2014.12.1号の全国の地域貢献度ランキングでは、2012年55位、2013年26位、総合順位12位と上位に位置しています。 そこで、兵庫県立大学として目指す大学像と、その経営方針について伺います。

4.働き方改革について

働き方改革、1億総活躍社会の創造が議論されていますが、兵庫における現状はどうなっているのか。兵庫県が率先して進めることが行政としての使命と考えます。次の2点についてお伺いします。

(1)時間外労働の現状と縮減の取り組みについて

第一は、時間外労働の現状と縮減の取り組みについてであります。電通高橋まつりさんの過労自殺で、改めて長時間労働の実態が明らかになり、残業上限・罰則導入の議論がされています。労働基準法では労働時間を1日8時間、週40時間までと規定しており、使用者は労働者に残業をさせるには労使が合意して協定(36協定)を結ぶ必要があります。

厚生労働省は36協定の残業を月45時間、年間360時間までとしていますが、労使で合意し特別条項付き協定を締結すればこれを上回ることが可能となっており、上限に取り決めはありません。事実上青天井となっています。厚生労働省は、脳・心疾患を労災認定する基準を、発症前1か月におおむね100時間の残業があったことを目安の一つとしており、「過労死ライン」と呼ばれています。80時間を下回る残業でも過労死と認定される場合もあります。

兵庫県では、要綱や36協定で残業を月45時間、年間360時間、特別な場合月100時間としておりますが、平成27年10月14日の決算特別委員会での竹内英明議員の質問に対して、人事課長から、「平成26年度の職員の超過勤務時間については、知事部局の対象人数が約5,400人である。総時間数が82万時間、手当の支給実績については24億円となっている。

また、お尋ねの年間1,000時間を超えて超過勤務をした職員であるが、これは人数で18人である。上位ベスト3ということであるが、最も超過勤務時間の多かった職員は、年間1,422時間、手当額にして約370万円を支給している。2番目に多い職員は、年間1,186時間で約430万円。3番目に多い職員は、年間1,167時間で約320万円というふうになっている。」との答弁がありました。

また、行革調査特別委員会の議論の中では、平成27年度の時間外勤務時間が年間360時間を超える職員は約550人でした。実に1割の職員であります。 ある民間企業の商品の発送作業では、包装のビニール袋を机の下から机の横にセットすることで1工程9秒の短縮を行い、1日200工程で30分の時間短縮を可能にした取り組み、また、ありとあらゆる工程の見直しで生産性の向上を果たしたという報道がされていました。行政と民間の労働実態は異なりますが、工夫をすれば時間短縮を生み出すことが可能ではないでしょうか。 そこで、県職員の勤務実態をどのように考えておられるのか。また、具体的に時間外労働を減らす方策を考えているのかお尋ねします。

(2)育児・介護と仕事の両立支援について

育児・介護と仕事の両立支援についてでありますが、これも民間の取り組み事例ですが、育児・介護に関する休暇を勤務時間の始め、途中、終わりでそれぞれ30分単位で取得可能にしたところ、こどもの送り迎えや親の介護の対応に対してイライラすることがなくなり、仕事に集中できるようになり生産性が向上したということです。育児・介護と仕事の両立支援は、大企業を中心に制度の普及が進んでいます。

しかし、職場が休暇を取りにくい雰囲気であったり、実情に合った制度になっていない等の理由で、制度があっても充分活用できているとは言いがたい状況が多々見受けられます。 県職員については、様々な育児・介護に関する休暇があり、テレワークも含めて、育児・介護の支援制度の充実は図られているところです。

しかしながら、制度を充実するだけではなく、職員が制度を十分に活用できるような環境づくりや制度の改善を行う必要があると考えます。 そこで、県職員の育児・介護と仕事の両立支援に向けて、どのように取り組んでいく方針なのか、ご所見をお伺いします。

5.本県におけるキャリア教育について

子供の貧困と奨学金問題、学ぶことの保障が活発に議論され、いよいよ給付型奨学金の創設も始まります。私たちは、貧しくても勉強して社会に貢献したいと考える意欲を持った若者達を、是非とも応援したいと考えています。 人間にとって進路を決めることは大変重要なことであります。それは幼稚園・小学校のお受験に始まり、中・高・大学受験と続きます。さらに、社会参加、この世界・日本の社会の中で自分は何を成すべきかと続きます。

特に、中学から高校、高校から大学へは、人生にとって特に大切な進路選択の準備期間となります。 過去においては、貧しいから中学あるいは高校を卒業し就職をして、夜間・通信教育で高校・大学へ通う苦学生がたくさんいました。

また、中学から高校の選択において工業・商業科等の職業科の選択も非常に難しいことであります。中には「僕は勉強苦手やから職業科を選んで大学には行かず就職します。」という方もいました。 私は、自分の進路を自分で決めることができる教育と進路指導が重要と考えます。現行学習指導要領では、「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の調和を重視した「生きる力」を育むことが重要とあります。そのために職業観にとどまらず人生観を養うキャリア教育が重要と考えます。

加えて、アクティブラーニングの視点も取り入れたキャリア教育にも期待しています。 そこで、本県におけるキャリア教育をどのように取り組んでいくのか、教育長のご所見をお伺いします。

6.災害時のスムーズな交通確保を見据えた県警の取り組みについて

昨年、4月には熊本県で震度7の大地震、10月には鳥取県で震度6弱、11月には、東北地方で再度マグニチュード7.4の地震に見舞われました。

本県においても、南海トラフ地震が今後近いうちに高い確率で発生すると言われています。また、地球温暖化・異常気象による豪雨被害や豪雪被害などが多発をしています。 大規模災害が発生した場合、発災後72時間を境に生存率が大きく低下すると言われており、救出・救援活動は、まさに時間との闘いであります。

災害応急対策を的確かつ円滑に実施するためには、人命救助や緊急支援物資の搬送等に従事する車両が速やかに被災地へ入ることが肝要であり、こうした車両の通行を確保するため、災害対策基本法では、公安委員会が路線と区間を緊急交通路として指定し、一般車両の通行禁止・制限を行うことが規定されています。

本県においても、阪神地域18路線、但馬・丹波地域9路線、東・西播地域22路線、淡路地域2路線が緊急交通路に事前指定されています。熊本県では風水害などの広域災害を想定した計画は立てられていましたが、直下型地震の想定はしておらず、各地で混乱が生じたと報道されています。

また、大規模災害時には、停電による信号機の滅灯等により車両事故が増加する傾向が東日本、熊本でも確認されており、救援活動の障害となったと聞いています。 これらに対応するため、緊急交通路を指定するときには、災害の発生場所や規模等に応じた適切な路線を迅速に指定することが求められます。

県警察においては、災害発生時の停電等に備えた信号機の整備を順次進めていると聞きますが、財政的な面においてその整備は十分に進んでいないのではと危惧をするところです。 そこで、その整備状況と、災害発生時における交通規制対策にどのように取り組まれているのか、ご所見をお伺いします。