議会の動き

竹内 英明議員が質問(病院局)を実施

令和4年度決算特別委員会 【病院局】

質問日:令和5年10月16日(月)

質問者:竹内 英明 委員(ひょうご県民連合)

1 粒子線医療センターの患者数の減少傾向、年間病床稼働率が50%を割ってきていることについて

県立粒子線医療センターは陽子線・重粒子線の2つの粒子線治療が可能でこの分野で日本有数の実績のある病院である。しかし、近年、患者数の減少傾向が顕著で、病床数50床の年間病床稼働率は平均24床、47.8%。県立病院平均が74.8%であるので、かなり劣後している。

2021年度も46.2%。昨年度からあまり改善されていない。想像するに大阪を始め全国に同じ領域をカバーする病院が増えたからであろう。

これは神戸陽子線医療センターも含む数字だが、昨年度の赤字は14.5億円。実患者数は入院で207人、外来が354人、同じ人がたくさんいるのは後ほど紹介する治療実績でわかるが、最大561人の患者さんがいるとして少なく計算しても、1人あたり258万円の赤字になる。これは県の一般会計から5億4千万円を繰り入れた上での数字であるから、別に1人あたり96万円の負担をしているということで、ざっくりいうと患者一人当たり354万円の公費負担をしているということである。結構な数字である。

基本的な病院の経営指標で、一般会計繰入金の影響を受けない、医業収益対医業費用比率で見ると、粒子線医療センターは40.9、次に悪いのは45.5のこころの医療センターであるので、いつの間にか、この病院が根本的な経営問題を抱える病院となってしまったということになる。

先ほど全国で病院が増えたという話をしたが、特に2018年3月に大阪国際がんセンターの隣接地に、大阪城が見える一等地に民間の重粒子線がん治療施設「大阪重粒子線センター」が開業した。この影響を大きくうけていると思われる。

その治療実績は2018年10月の治療開始から2023年5月末までに3,114例、うち前立腺がんが2,099例と同病院のHPに記載されている。一方、兵庫県の粒子線医療センターの陽子線を含む2003年度以降の総治療実績数は2023年3月末現在10,148名となっている。歴史が長いので本県の方が総数は遥かに多いが、直近の大阪の2022年度の実績は1088事例と陽子線を含めて314人の兵庫県の実績と大きく差がある。しかも、大阪府の予算編成過程を調べたが、大阪では重粒子線がん治療患者支援事業として患者への治療費貸付金制度に対する利子補給の制度はあるものの、民設民営で補助金等による経営支援メニューは見当たらなかった。利子補給の府負担は年間予算で1千万円だった。

【診療機能の充実や施設・医療機器の整備状況】

・ 診療機能の充実

1 県立粒子線医療センター、附属神戸陽子線センター、県立がんセンター、県立こども病院によるがん診療ネットワークの運用(テレビ会議システム等を活用したキャンサーボードの実施。(令和4年度実施回数:630 回)

2 保険適用の拡大に向けた臨床試験(先進医療B)の実施

3 肝がん・膵がんに対する粒子線治療の治療成績と安全性の向上

4 紹介元医療機関の新規開拓のための「講演会の開催」(令和4年度実施回数3回、82 人参加)

5 患者・一般向け「ウェビナー」の開催(令和4年度実施回数 12 回、56 人参加)

6 オンライン診療による患者利便性の向上(令和4年度利用者 135 人(たつの:124 人、神戸:11人)

7 神戸陽子線における照射精度の向上(スキャニング照射における呼吸同期機能を付加、R5.3)

【今後の取組】

1 保険適用拡大を受けた広報活動の充実

2 医療従事者専用サイトを活用した症例検討会の実施

3 患者・一般向け「ウェビナー」の開催

など粒子線医療センターも様々な努力はされていると思うが、患者数を戻し、一般会計繰入金以外に経営数値をもう少し改善させる方法はないか。

2 病院事業会計の実情について

(1) 貸借対照表に反映されていない負債を加味した真の債務超過額について

資料を見てもらうと貸借対照表では、退職給付引当金は現在201億円となっているが、実際はこれだけではない。未計上となっている退職給付引当金の金額がある。現在未計上となっている退職給付引当金はいくらか。

(再質問)

引き当てを分割としたことが法令でも認められているのは知っているが、この際、知事の言う経営の見える化を進めるべきでも、一括計上すればいいと思うがどうか。

[資料] 病院事業会計貸借対照表・竹内作成貸借対照表

(2) 監査指摘への考え

監査審査意見書を見ると、「純損益は、前年度から117億円悪化し、86億円の純損失となっている。その結果、当年度未処理欠損金は402億円となり、これに資本金、資本剰余金及び評価差額等を加えた資本合計は112億円のマイナスで、4年連続で債務超過となっている。」と指摘されている。実際は未計上分があるので先ほど指摘したように188億円のマイナスです。

また「令和4年開院のはりま姫路総合医療センターに加え、8年開院予定の県立西宮総合医療センター(仮称)をはじめとする病院の整備においては、減価償却費や人件費総額の大幅な増加が見込まれる一方、病院規模の拡大等により収益の増加が期待される。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症対応と通常医療との両立を推進する中、原材料費や光熱水費の高騰による材料費・経費の増加など、今後も厳しい経営環境が続くものと考えられる。引き続き、コンサルタントなど外部の知見を活用した経営再生本部における経営改善の推進等と併せ、次の事項に一層積極的に取り組むことにより、債務超過の解消をはじめ、持続可能な経営の確保に努められたい。」

とか、「病院局及び各県立病院の幹部職員は経営責任を認識して、「第4次病院構造改革推進方策」及び「令和5年度病院構造改革推進方策実施計画」に示された病院ごとの経営方針や経営改善の取組方策に従い、経営指標に係る数値目標を達成するよう努めること。また、個々の職員も経営改革の重要性を認識するとともに、一人ひとりが経営に貢献しうるという意識を持ち、取り組むこと」とも記載されている。

個々の職員に範を示すのが、まず幹部であると思うが、経営責任を認識せよと監査から言われているが、どのように管理者は経営責任を認識しているのか。