議会の動き

決算特別委員会11年09月定例会

●財政状況

1.国の補正予算に対する県の事業決定の流れについて
2.地域活性化交付金について
(1) 地域活性化交付金に対する評価について
(2) 「住民生活に光をそそぐ交付金」の使途について
3.減税補てん債・減収補てん債、臨時財政対策債について
(1) 減税補てん債の状況について
(2) 臨時財政対策債の起債総額に占める割合の推移について
(3) 減収補てん債、臨時財政対策債の考え方について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2011年10月7日(金)

 決算の時期になると、新聞紙上に「県の2010年度実質単年度収支 3年連続で黒字確保」の文字が躍ります。しかし、財政規模に対する後年度の出費や負債の割合である将来負担比率は350.2%、収入に対する借金返済の割合を表す実質公債比率は昨年度に比べて2.4%改善しているものの、3ヵ年平均では0.3%悪化し、21.0%と財政健全化比率は依然として全国ワーストに近い厳しい状況が続いていると文は続きます。見出しの「黒字」という表記に大きなインパクトがあり、赤字に比べて黒字の響きが良いに決まっていますが、県財政の状況を県民のみなさんに情報としてしっかり流し、今後の県政運営の厳しさを県民のみなさんと共有していかなければなりません。
 昨年度策定しました「第2次改革プラン」を着実に推進していくためにも、県の説明責任が大きく求められます。私は、この度、財政状況について質問するに当たり、10年間の財政の動きを調査しました。この10年間は井戸知事の県政運営の期間でもありますが、この間、政府の三位一体改革による地方交付税の大幅削減やリーマンショックをはじめとした経済不況・景気低迷など、地方財政は国の政策に翻弄され続けました。ようやく、「国と地方との協議の場」の設置や国庫補助金における義務づけ・枠付けが見直されたり、地方の自由度が増すひも付き補助金の一括交付金化など、地方の自立を促す動きも見られ始めましたが、まだまだ不十分ではないかと感じています。
 また、16年前の阪神・淡路大震災からの復旧・復興において血のにじむ努力があったことも心に刻まれています。そして、今年3月11日に発生しました東日本大震災では大津波だけでなく福島第一原子力発電所の収束という重い課題があります。その上、台風12号・15号をはじめとした豪雨による災害が多発するなど、その後の復旧・復興に早期に取り掛かるという課題も山積しています。
 国・地方合わせての負債残高が900兆円に及ぶ中、限られた財源を有効に活用していくためには、事業における優先順位をどのように決定していくのかが鍵となります。県財政にとっても、目標達成のために施策推進されているとは思いますが、県実態に即した実効性ある財政運営をめざして、提言を踏まえて質問します。

1 国の補正予算に対する県の事業決定の流れについて

 2010年度は4度の補正予算が編成されました。10月には、国の緊急的な経済対策に対応して約149億円、12月には、国の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策に対応して約737億円、2月には、追加措置として約46億円、3月には、東日本大震災対応として約6億円の補正予算が編成されました。
 国の補正予算について、昨年12月議会でわが会派の石井健一郎議員の代表質問において知事は、「現在の経済状況は、円高の進行・海外経済の下振れ懸念等により回復の動きが減速し先行きに対する懸念が強まっている。この度の国の補正予算は、切れ目なく機動的に対応していくため、雇用・人材育成・子育て支援・地域の活性化など喫緊の課題に対応し、地方の創意工夫を生かした単独事業実施も配慮し、国の財源措置を最大限活用し、一般財源負担が後年度も含めて生じないことを基本に編成した」と答弁されています。本来、補正予算は、災害・緊急時など予見し難い事態への対応として出されるものですが、実態としては国の補正予算には本予算をより充実させるものが多く含まれています。このような貴重な財源を効果的に活用するためには、県の実態に即した事業の決定が重要となることから、新たな視点での熟慮があったものと思いますが、県の一般施策と同様に、各部局から提案された内容に対して、予算当局が優先順位や県実態を踏まえた精査を経た決定がされているのか、国の補正予算を受けて編成する県の補正予算のプロセスについてお尋ねします。

2 地域活性化交付金について

(1) 地域活性化交付金に対する評価について

 地域活性化交付金は、2010年10月に閣議決定された「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策~新成長戦略実現に向けたステップ2~」において、「地域活性化交付金の創設」が盛り込まれたことを踏まえ、「住民生活に光をそそぐ交付金」と「きめ細かな交付金」が創設されました。
 「住民生活に光をそそぐ交付金」はこれまで住民生活にとって大事な分野でありながら、光が十分あてられてこなかった分野(地方消費者行政・DV対策・自殺予防等の弱者対策・自立支援・知の地域づくり)に対する地方の取り組みを支援する交付金として、「きめ細かな交付金」は、観光地における電線地中化等、地域の活性化ニーズに応じて、きめ細やかな事業を実施できるよう支援するとして、共に12月補正予算に提案され2月にも追加配分されたところでありますが、このような新たに創設された地域活性化交付金について、県としてどのように評価しているのか、ご所見を伺います。

(2) 「住民生活に光をそそぐ交付金」の使途について

 「住民生活に光をそそぐ交付金」では、ハード事業を排除するものではないとなっていますが、交付金充当額22億5000万円余を、消費者行政活性化事業基金・安心こども基金・自殺対策強化基金にそれぞれ1億円合計3億円の基金積み増しがあり、残り19億5000万余円の内、ハード事業の金額と割合を伺います。

3 減税補てん債・減収補てん債、臨時財政対策債について

(1) 減税補てん債の状況について

 本会議の質問においても県財政の逼迫した状況が明らかとなり、知事も「2014年(平成26年)が実質公債費比率のピーク」と答弁されています。
 それらの県債の中に、減税補てん債があります。1994年度からの個人住民税の特別減税による減収額や1999年度からの恒久的な減税による減収額等を補てんするために設けられた制度であり、その元利償還について交付税措置されるものです。
 これは、恒久減税の廃止に伴い2006年度発行をもって廃止され、後は償還を残すのみと聞いていますが、その現状について経過も含めてお伺いします。

(2) 臨時財政対策債の起債総額に占める割合の推移について

 臨時財政対策債は、地方交付税の原資不足を補うため、2001年度より制度化されたものと聞いています。県債残高が増加し、県財政運営に困難を伴う状況ですが、臨時財政対策債発行額の起債総額に占める割合は2001年からどのように推移しているのか伺います。

(3) 減収補てん債、臨時財政対策債の考え方について

 減収補てん債や臨時財政対策債は、歳入として計上されることにより分母が大きくなることから経常収支比率を引き下げています。経常収支比率の大きさが財政の硬直化を招くことになるわけですから、数値が下がれば、財政改善を印象づけることになります。
 2010年度の経常収支比率は94.5パーセントですが、減収補てん債と臨時財政対策債を除くと114.9パーセントとなり、20.4パーセントもかい離することとなります。同様に、2008年度では8ポイント、2009年度では17ポイントのかい離が生じています。2010年度公債費2714億5000万円余があり、臨時財政対策債などの影響により1378億7000万円余が交付税措置されています。国の財政も厳しい状況下にあり、2001年以降臨時財政対策債も増加傾向にあります。特に、2003年度の1027億円を上回っているのが、2010年度1900億円です。交付税で措置されるとはいえ、分母が大きくなることに対する懸念があると考えますが、ご所見を伺います。

●企画県民部1

1.政策形成のあり方について
2.21世紀兵庫長期ビジョンの見直しについて
3.公共文化施設のあり方について
4.男性の育休取得について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部1)
2011年10月11日(火)

1 政策形成のあり方について

 従来の総合計画は、基本構想・基本計画・実施計画という三重層計画の策定を求めた自治省通達がもとになっています。しかし、このたびの地方分権改革に基づく義務付けの廃止により、総合計画の策定・運用は自治体の自由となり、自治体の知恵のみせどころとなりました。
 政策形成にあたっては、その入口である課題設定や立案作業を議論していくべきものと考えています。しかしながら、実態は、予算要求・予算査定において、前年度実績主義による事務事業推進が多く見られます。
 事務事業の執行にあたっては、政策の目標がいかに達成されるのかという視点が重要であります。政策課題の解決にあたっては、事務事業の執行が直接的な解決手段となるからです。
 各部局は予算査定を終えた事務事業に対して、事業を消化することが目的とならないよう仕事の進め方を改め、事務事業が政策に的確に反映されるよう、総合計画ではない、論理的に首尾一貫した政策の目的達成手段の体系を構築することや次に、事務事業を政策課題の解決の観点から再編することが必要であります。
 そこで、今後、分権改革を進めるためにも兵庫県としての自立ある政策を打ち出すことが大切であり、事務事業の執行途中において、政策目的に見合った効果が出ているか確認し、政策へフィードバックしていく仕組みが必要であると考えますが、現在の政策形成過程において、どのような課題認識をされているのかご所見を伺います。

2 21世紀兵庫長期ビジョンの見直しについて

 先の財政状況の審査においても、県財政の厳しさが明らかになりました。策定から10年を経過した兵庫長期ビジョンについて、人口減少・地域課題の複雑化など、県民を取り巻く社会状況の大きな変化を踏まえた見直しが進められていますが、そもそも、ビジョン策定時において、あえて行政が実施する事業量を示すという形の計画ではなく、県民・事業者・団体・NPO・行政など多様な主体が目標として共有できる望ましい社会の姿を示すビジョンとしてはじめられました。「計画」ではなく、「ビジョン」という形を取った点については、先見性のある取り組みであり、私としても評価しているところであります。平成22年度兵庫長期ビジョン推進状況を見ると、4つの社会像のもとに、個々の事業の成果が出されています。これらが、多様な主体が共有できる望ましい社会にどれだけ近づけたのか、そのために県の役割がどのように遂行されたのか、など目標へのフィードバックが必要であります。
 また、見直しについては、なお一層の要因分析が必要と考えます。今定例会において我が会派、上野英一議員の「兵庫長期ビジョン見直し」の質問に対して、知事は、「多様な人と地域を兵庫の財産と捉え、これを守り・生かすこと、そのために、人や地域が絆の中で支え、支えられながら自立していくという基本的な考え方のもとで、県民生活に即した将来の姿を、12の戦略的シナリオにより県政施策を推進していく」と答弁されていますが、質問にあった「原因分析や県の主体的行動における地域づくりの視点」についての明解な答弁はありませんでした。ビジョンは、計画ではないと言いながら、まだ計画から脱皮しきれていないように見えます。
 そこで、兵庫長期ビジョンの見直しにあたって、2040年度への希望ある兵庫長期ビジョンに向けてどのように取り組んでいくのか、ご所見を伺います。

3 公共文化施設のあり方について

 阪神・淡路大震災の癒しの拠点として西宮北口に建設された芸術文化センターは、今年で6周年を迎え、先日、300万人の入場者を数えました。文化施設の存在は、文化的アイデンティを確立し、次世代・コミュニティへの教育的価値を見出し、文化交流の拠点を形成していくものであります。特に、芸術文化センターは、地元住民・自治会・商店街とのネットワークや芸術文化創造団体とのネットワークを形成し地域の文化力の向上に大きな役割を果たしています。パブリックシアターとして舞台芸術を通して人々が地域との関わりを考える場と成長してきました。
 しかしながら、他県では、財政改革や福祉予算増額のため文化施策の事業削減が打ち出されたり、文化施策予算そのものが削減されたりするなど、文化施策の推進を取り巻く状況は極めて厳しくなっています。
 一方で、公共文化施設における芸術文化は「ハコモノ」でないという認識も次第に広がりつつあります。それは、外来のオペラパック買いは安いが、一過性の文化消費では地域の文化力を持続的に育むことができないことや、プロデュースオペラには自主制作の醍醐味があるなど、舞台芸術が持つ感動を伝える力、情報を感動と共に訴えかける力が次世代の青少年の心に広く育まれることが実感されてきたからだと思っています。
 短期的リターンに捉われない息の長い文化施設こそ地域の持続的創造性を可能にするものです。昭和53年に活動を始めた尼崎青少年創造劇場は、芸術文化センターに比べて地味な存在ですが、初代館長である山根淑子さんの手塩に掛け育まれたパブリックシアターです。震災時やアウトリーチ活動の学校公演に加え、今、中学生のわくわくステージも実施しています。また、東日本大震災の被災地でのワークショップ開催や、東北を拠点とする俳優達の上演の企画、関西の演劇集団とのコラボなど地域演劇の連携・交流を進めてきました。
 そこで、開場から33年経過した尼崎青少年創造劇場における活動をどのように評価しているのかご所見をお伺いします。また、施設の老朽化により、長時間の演劇鑑賞に堪えづらくなってきていることもあり、アメニティの向上方策についてもあわせてお伺いします。

4 男性の育休取得について

 イクメンという言葉が定着し、男性の育児参加が求められています。育児・介護休業法も男性が取得しやすい方向に改正されました。しかしながら、2010年度の男性育児休業取得率は1.38%と2009年度の1.72%に比べ減少し、2008年度の水準にもどってしまいました。
 制度が周知されていないとか、職場の理解がないなどの問題とも考えられることから、給付率を上げ育休を取得しやすくする制度設計を国に働きかけるなど、県としては率先して制度運用の模範を示す説得力ある行動をとることが民間事業所への説得にも必要と考えます。また、男女共同参画を推進し、フルタイムの共働き率を増やすことも一考です。
 県はこれまで、自らが男女共同参画のモデル職場となるよう「第3次男女共同参画兵庫県率先行動計画―アクション8」として様々なメニューを組み立て実行されてきました。わかってはいるが動かないという、潜在需要を動かすために、行動を阻害している原因をできるだけ解消していく政策手法が求められますが、ご所見を伺います。

●健康福祉部

1.女性医師の確保対策について
2.在日外国籍無年金障害者に対する障害者特別給付金について
3.不育症への対応について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (健康福祉部)
2011年10月12日(水)

1 女性医師の確保対策について

 全国の医療施設で働く医師数は、厚生労働省の調査によると、2008年12月末現在で、27万1897人で、うち女性が占める割合は18.1%となっています。また、女性医師が占める割合は、年齢が低いほど高く、20代では36.1%、30代では26.5%となっています。2040年には、女性医師の占める割合が、29.5%~34.3%程度になると予測されています。一方、本県では、2008年12月末現在で、医療施設で働く医師数は1万1688人となっており、うち女性が占める割合は17.2%となっています。
 結婚しても働き続ける女性医師にとっては、育児中は仕事のペースダウンを余儀なくされ、25歳の時点では90%強であった就業率は、概ね36歳の時点で76%まで低下していることからも窺い知ることが出来ます。
 医師の絶対数の不足や産科・小児科など、診療科偏在が大きな問題となる中、県でも医師確保の一環で、院内保育所への補助制度や女性医師の再就業支援センターの開設など女性医師の確保対策に取り組んでおられますが、ここ3カ年の取組状況からは、なかなか厳しい状況を窺い知ることができます。
 医師の国家試験合格者のうち女性が約3割を占めていることからも、退職した女性医師の復帰促進が医師確保対策へ大きな効果が見込まれるものであると思われます。
 しかしながら、退職された女性医師を復帰させるためには、以前に働いていた状況と比べて勤務環境が改善されていなくては、働こうという意識も起こらないのではないかと考えます。勤務環境の改善に向けて、全女性職員の育休取得、院内保育所利用者等の短時間勤務、夜勤の免除、さらには、育休中の待遇改善、復帰後の裁量勤務時間制、他の医師に負担がかからないように開業医など外部から当直確保するなどの工夫をされている事例があります。
 県内でも、厚生労働省の調査によると院内の保育所の設置数は2005年から3年間で16カ所増え、現在129カ所となっています。院内保育所での病児保育・24時間保育・学童併設などを病院単位ではなく、地域として取り組むことにより効率的な運営が期待できるのではないかと考えます。医師確保対策には、直接的な手段に加え、県が率先して実施しているワークライフバランスの意識改革を病院経営者に対してしっかり根付かせることなど、就労環境を整えていくことも、重要な要素であり、ひいては安心してかかることができる医療の提供につながると考えますが、女性医師の確保対策について、これまでの取り組みをどのように評価しているのか、今後の展望と併せてご所見を伺います。

2 在日外国籍無年金障害者に対する障害者特別給付金について

 在日外国籍県民の制度的無年金者の問題についてですが、県では、1998年度に「特別給付金制度」を創設しました。創設当時は、無年金外国籍高齢者等福祉給付金は月額5000円で1906人に支給されており、支給総額は1億1586万円余でしたが、2010年度では、月額16900円で、支給人員は601人に減りましたが、1億2885万8000円の支給総額となっています。
 2010年度より、制度的無年金高齢者に対して、老齢福祉年金の1/2に相当する金額の支給を県が実施したことにより、市町の支給分と合わせて、対象の受給者は国の老齢福祉年金に見合う給付金を受給できるようになりました。制度的無年金者の問題を国が責任を果たすまでの措置として、県が高齢者県民の命を保障したものであり、県の対応を評価するものであります。
 一方、無年金外国籍障害者等福祉給付金は、創設当時、月額10000円で115人に支給されており、支給総額は1340万円でしたが、2010年度では、月額33800円で108人に支給され、支給総額は4443万9000円となっています。
 これまで、障害基礎年金1級に相当する方に対しては、満額とはなっていませんが、障害基礎年金1級相当額の1/2を目指し、着実に支給額を増額していただいているところであります。その一方で、障害基礎年金2級に相当する32人の制度的無年金障害者に対しては、兵庫県下各市では、2008年度から共同事業として、障害基礎年金2級相当額の1/2の金額の支給が実施されていますが、県では、いまだ全く支給されていない状況が続いています。支給対象者の高齢化もあり、県でも早急に対応をすべきと考えますがご所見を伺います。

3 不育症への対応について

 不育症をご存知でしょうか。今年になり、ようやくマスコミにも取り上げられるようになりました。妊娠することが難しい「不妊症」と混同されがちですが、不育症は何度も繰り返す流産、いわゆる習慣流産の病気です。厚生労働省研究班の報告では、妊娠経験がある女性の4.2%に起き、年間3万人が発症すると推定されています。私も、死産そして流産3回繰り返した際には、全て自己責任と悩んだ時期がありましたが、産婦人科医の説明で病気とわかり、医師の指導も受けながら無事一子を抱き上げることができました。
 わが国では、年間約30万件の自然流産があると推定されています。わが国で最初の不育症外来を開設し、数多くの患者さんに接している牧野恒久医学博士によると、「60%が受精卵の致死的異常のため手のほどこしようがないとしても、残りの40%は、生殖医療の治療対象になる」と言われており、このうち約55%を占める染色体異常・子宮の形態異常・抗リン脂質抗体症候群などは治療法が既に確立しています。
 しかしながら、治療を進めていくには、産婦人科での不育症検査・1万6150円から始まり、妊娠判明時には、血栓形成の予防としてのヘパリン注射の開始で・3万6330円など、月5万円前後がかかるため、負担感を訴える患者は多いのが現状です。不育症の治療や医療機関が独自に設けている検査項目は、保険診療の適用外で、自費診療であることが多いからです。
 また、不育症外来が少ないうえ、病院までの距離が遠く、通院することが困難なため、病院の近くに短期マンションを借りたりする場合も多く、出産まで150万円程度の出費を覚悟しているとの話もあります。
 不育症の治療には、不妊治療と違い公的な助成制度はありません。「不育症そだてねっと」が都道府県を対象に実施した全国調査によれば、11自治体に既に助成制度があり、助成額は3万円から30万円となっています。今年度から茨城県日立市、石川県かほく市、和歌山県、神奈川県大和市などで助成制度が設けられましたが、まだまだ、不育症という疾患が認知されていないのが現状です。また、不育症の専門医がいないケースも多く、患者の病態や事情を把握した上で、その患者に最も適した医師や医療機関を紹介する医療コーディネーターの果たす役割が重要となってきます。さらには、新しい不育症の臨床研究として、免疫学・発生学・内分泌学・代謝学とが協力した取組も始まっていると聞いています。
 そこで、県においても、習慣流産を繰り返す不育症という疾患について、広く県民に周知していくとともに、無事出産できるよう県も支援していく必要があると考えますが、当局のご所見を伺います。

●産業労働部

1.障害者雇用対策について
(1) 障害者雇用率の向上に向けた課題について
(2) 障害者の自立のための雇用について
2.シニア世代との協働による中小企業の活性化について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2011年10月12日(水)

1 障害者雇用対策について

(1) 障害者雇用率の向上に向けた課題について

 改正障害雇用促進法によって、56人以上の民間企業に対しては従業員の1.8%の障害者雇用を義務付けていますが、2010年の全国平均の実雇用率は1.68%にとどまっています。兵庫県の場合、5年間の推移をみると2006年の1.70%から、(2007年が)1.75%、(2008年が)1.76%、(2009年が)同じく1.76%そして2010年は1.81%と辛うじて法定雇用率を上回っていますが、兵庫労働局発表の障害者の雇用状況では、企業の規模別では、1000人以上規模では1.86%、56人~99人規模では1.85%となっており、何とか法定雇用率を上回っていますが、100人~299人規模では1.78%、300人~499人規模は1.69%、500人~999人規模は1.79%といずれも法定雇用率を下回る状況です。障害者の雇用状況を産業別では、医療・福祉分野を中心に多岐に渡っており、障害者が少しずつ受け入れられる状況になりつつありますが、実雇用率は、法定雇用率の数値前後という際どい現実があります。
 また、未達成企業のうち障害者を一人も雇用していない(0人雇用企業)が法定雇用率未達成企業の65.0%となっており、取組姿勢は企業により濃淡があることが窺えます。
 実雇用率の低い事業主に対しては、雇用状況報告を求めることから始まり、3ヵ年の雇い入れ計画作成命令、雇い入れ計画の適正実施勧告、特別指導、企業名の公表と障害者雇用促進法に基づく指導がなされていますが、それほど大きなペナルティとは実感できません。違反企業に対しては、罰金というサイクルが定着しており、障害者雇用には結びつかず、安易な流れを作っているように思えてなりません。
 実雇用率の向上に向けては、大きな壁があり、法の縛りだけでなく障害者と共生することを企業へ丁寧に説明していくなど、地道な取組を継続していくことが重要だと考えますが、障害者雇用率の向上に向けた現状の課題認識について当局のご所見を伺います。

(2) 障害者の自立のための雇用について

 今年、改正障害者基本法が成立しました。国連の障害者権利条約の批准要件を満たす国内法の整備として、一歩前進しました。障害者自立支援法に代わり総合福祉法・障害者差別禁止法の制定へと繋がることを期待しています。障害者権利条約の基本的な考え方は、障害者本人が本来持っている力をきちんと発揮できる環境を整えることであり、この方向に向かい最大限努力することが求められます。
 従来、障害者は福祉的就労として働くことが当たり前でした。しかし、社会状況・世界の流れの中で、障害者雇用をリスクと捉えず、積極的意義を見いだし、取り組まれている企業も見られはじめています。障害者雇用の大半は身体・知的障害者ですが、敢えて、の精神障害者を雇用することによって、企業が現在抱えている課題の一つである「うつ」などの精神疾患の社員への対応や社員の健康改善につながると研修会を開催するなど職場の労働環境整備に努力されている企業もあります。もちろん、教育・福祉関係機関との連携により就職の準備から職場定着までのチーム支援推進も大切であると考えます。
 そこで、障害者の雇用に当たっては、単に障害者を雇用するだけでなく、障害者が職場に定着できるよう、企業側が障害者の持つ様々な能力を引き出して、障害者が希望を持って働ける就労環境を整えていくことが重要でありますが、障害者の雇用の定着に向けた県の取組状況についてお伺いします。

2 シニア世代との協働による中小企業の活性化について

 数年前、団塊の世代の大量退職が続きました。退職された方には、シルバー人材センターで活動されている方や、子ども達に技術を伝承する活動をされている方、悠々自適の生活を満喫している方など色々な方がおられます。
 その中には、民間企業において一線で活躍された方も多くおられます。また、県の行政職・技能職にも民間に劣らず、すばらしい知識・技能を有する方も多くおられます。
 滋賀県野洲市では、「ものづくり交流経営センター」を開設し退職者の高度な知識・技術に着目し、2004年に経済産業省から支援を受け70人のインストラクターを輩出している東京大学ものづくり経営研究センターと協働し、再教育し、産業を超えて異業種に対しても指導できる人材を育てる取組を行っています。野洲市ものづくりインストラクター養成スクールの運営は、厚生労働省のふるさと雇用再生特別推進事業補助金と経営改善の支援料、地元金融機関の協力金の合計1500万円の資金で事業推進されています。この取り組みの成果は、受講生の能力を最大限に発揮できることや、低価格で経営改善指導を依頼できることから、市域、県域越えて広がろうとしていると聞いています。
 このように、シニア世代の高度な知識や技能を活かし、中小企業や他産業の改善指導できる人材を育てる試みが滋賀県野洲市で行われているのを知り、ものづくりの兵庫県で応用できないかと調べましたが、同様の取組は行われていないとのことであります。
 現在の経済不況・景気低迷の厳しい環境下にある中小企業にとって、生き抜くためには、中小企業の業種の壁を越え、異業種の知恵を取り込むことも方策と考えます。
 そこで、野洲市とは一味違う、産学官の協働の歴史を持つ兵庫においても、中小企業の支援においてシニア世代を積極的に活用していくべきであると考えますが、どのような活用方策が考えられるのか、ご所見を伺います。

●教育委員会

1.県立高校の役割について
(1) 県立高校の中途退学対策について
(2) 多様化する学科と教育の質の保証との両立について
2.キャリア教育における労働教育の充実について
3.特別支援教育の検証と課題について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (教育委員会)
2011年10月18日(火)

1 県立高校の役割について

(1) 県立高校の中途退学対策について

 社会・経済状況が悪化し、高校生の就学環境が悪化しています。このことは、生活保護対象世帯も年々増加傾向にあることや、本県の高等学校奨学資金貸与事業の利用者が増えていることからも、窺い知ることができます。
 2010年の学校基本調査によれば、15,553人の高校卒業者、19,332人の大学卒業者が短期雇用の職に就き、また、大学の卒業生総数の16%にあたる87,174人の若者が就職も進学もしていない状況であり、若者の雇用状況は極めて厳しい環境に晒されています。
 義務教育を終了し、晴れて高校の門を潜った時には、自身の将来像を描き、とても晴れがましく、また、自分の可能性を信じる時だったと思います。高校進学率も97%を超える状況であり、だれもが高校教育を受ける状況となっています。
 しかしながら、毎年報告される長期欠席者数や中途退学者数の状況を見るたびに心が痛みます。昨年度、連続ないしは断続して30日以上欠席した長期欠席者は1,585人に上っており、そのうち、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある不登校は850人となっています。
 また、中途退学の状況は1,321人となっており、率にして1.44%となっています。中途退学の主な理由は、進路変更44.6%、学校生活・学業不適応37.1%となっており、学年別の状況は、第1学年が1.5%で415人、第2学年が1.0%で271人となっています。また、学科別では、専門学科・1.8%、普通科・0.7%、総合学科・0.8%となっています。
 中途退学した原因については、「進路変更」や「学校生活・学業不適応」の割合が高くなっており、高校中退後、別の高校への編入や就職をすることとなりますが、社会全体が就職難となっているような状況のなか若者の就職も決して楽な状況ではありませんし、ましてや高校の中途退学者はとりわけ厳しい状況であり、中途退学後、概ね2年以内に正規雇用に至る割合は,働いている者のうち、2割弱であり、無業者である割合も約3割に上ります。新たなスタートを切ってくれることを願うばかりです。
 中途退学への対策については、実際に中途退学した生徒から原因を調査し、また、一定期間ごとに追跡調査を行い、課題を把握していく必要があると考えます。
 そこで、県立高校における中途退学の防止策について、これまでどのように取り組んでこられ、課題をどのように認識し、今後どのように解決していこうとしているのか、ご所見をお伺いします。

(2) 多様化する学科と教育の質の保証との両立について

 高校教育は、進学率の上昇に伴って、昭和60年代以降、生徒の個性や能力に応じた教育システムへの転換が進められ、本県でも、学校選択の幅を広がるよう、普通科や専門学科の特色化や総合学科、単位制、さらには中高一貫教育校や新しい専門高校の設置を行うなどの高校教育改革を進めてこられており、カリキュラムが多様化すると共に、生徒の学習機会も多様なものとなっています。
 その一方で、昨年度の高校進学希望調査を見てみると、国際文化系コースの希望者の募集定員割れを起こしていることが顕著となっている他に、普通科においても地域によっての偏りが見られます。
 現状の多様化する高校教育において、どのように教育の質を保証していくのかが課題となります。このまま、個性やニーズに対応しての多様性を維持していくのか、それとも、現在の多様なシステムを整理し再構築するのかの選択が迫られているのではないかと感じています。
 国際学習到達度調査等の結果からは、日本の生徒では「読解力」「数学的活用力」「科学的活用力」の不足や低下が問題となっていることから、今後の高校教育では、知識・技能の習得に加え、知識・技能を活用する学習活動を重視した、確かな学力と生きる力の育成が急務であり、基礎的・基本的な学力を身に付けることができるような教育を重視する必要があると考えます。
 そこで、生徒の生活スタイルや価値観が多様化しても、高校本来の目的である自立した社会人として、生きていくための能力・規範意識・生活設計能力を高校段階で身につけさせるためには、学習意欲の向上や学習習慣の確立は欠かせないと考えますが、県立高校における学科の多様化と教育の質の保証の両立について、どのように認識されているのかご所見をお伺いします。

2 キャリア教育における労働教育の充実について

 文部科学省が「キャリア教育」という言葉を使い始めたのは、1999年の中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続改善について」からであると言われており、フリーターや就職後3年以内の離職率が高くなってきたことから、学校教育と職業生活との接続への課題認識がその始まりであります。
 2008年に厚生労働省が実施した、「労働関係法制度の知識の理解状況に関する調査」によれば、労働条件が募集時と異なるとか、法定の休憩時間がとれないなどアルバイト先で遭遇した諸問題について「何もしなかった」と答えており、その理由として、「対処するのが面倒だったから」「どうせ何も変わらないから」「どうしたら良いか分からないから」となっています。あまりにも無防備でありますが、そのほとんどが一定の知識があれば、解消できるものであると思われます。
 最近では、若者が無防備で社会に放り出されないように、労働法を含めた労働教育の重要性が言われるようになり、今年の1月31日に中教審より答申された「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」においても、重視すべき教育内容として「経済・社会の仕組みや労働者としての権利・義務等についての理解の促進」が記載されています。
 先の厚生労働省の調査における、15歳~24歳の男女大学生・高校生に調査した労働法の理解度の調査によれば、「男女雇用機会均等」・「育児休暇」「団結権」といった用語は授業で教わり、意味が分かるようですが、「未払い賃金の請求権」「就業規則」「労災保険」「雇用保険」といった、アルバイト労働から直接関係が深い用語に関する理解の低さがわかります。
 本県では、阪神・淡路大震災の教訓や1997年の神戸連続児童殺傷事件を機に中学2年生を対象にトライやる・ウィークが始められましたが、トライやる・ウィークの実施は、単なる就業体験ではなく、自分が住む地域を知り能力を発揮できるものとして定着していますが、実施前後に働く意義もあわせて授業に取り入れていると聞きます。
 小学校段階では、男女平等の視点から、低学年の生活科では、単なるお手伝いではなく家族における自分の仕事として積極的に自分の役割を果たすための実践や高学年では女性のM字型雇用について授業で取り上げていますが、すべての小学校で実践されているわけではありません。また、高校では、トライやるワークやインターンシップなどの事業が推進されていますが、先に質問しました中途退学者に届いているのか確かではありません。
 他府県において、ある全日制普通科高校の授業実践について聞く機会がありました。この高校ではアルバイトで働く者が大半を占め、家庭の経済状況が厳しい中、学校生活を続ける上で必要な経費をアルバイトにより捻出している状態だったので、教師が、最低賃金のことについて話すと、最低賃金以下の時給の生徒が早速、使用者と交渉し、時給が上がった事例がありました。この生徒は、法律が自分に関わりがあることを実感し、その後の学習への取組み態度に変化が見られたそうであります。
 キャリア教育には、重要な労働法をはじめとした、労働者の権利や多様な生き方を知ることや、知識だけでなくトラブルに直面した際の解決法や相談窓口について紹介など、実際に権利が侵害された時どう対処していくのかなど社会の中で孤立しないようにしていくことが求められます。
 そこで、社会人・職業人として自立していくには、社会で直面する様々な課題に柔軟に対応できる能力が求められることからキャリア教育において、各教育段階に応じた労働教育の充実を図っていくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 特別支援教育の検証と課題について

 1994年ユネスコでインクルーシブ教育が提唱されました。インクルーシブ教育とは、分け隔てない教育であり、全ての子どもが関わりながら一緒に生活・学習すべきという考え方です。共に学びあえる学校こそすべての人達にとって最善の社会をつくるベースであるとしています。2003年、文部科学省は今後の特別支援教育の在り方の中で障害のある子どもは養護学校・障害児学級籍と固定的に考えず全てのこども達が通常学級に在籍できることを可能とする「特別支援教室」の構想を発表しました。その後の、2007年には、特別支援教育がスタートしましたが、当初の共生・共学実現の方向性は中途半端な形でしか制度化されず、特別支援教室構想は実現していません。
 2007年4月の文部科学省通知は、特別支援教育の基本理念として、自己や社会参加にむけた主体的な取り組みを支援する視点に立つとあり、一人一人の自己選択・自己実現への取り組みを支えることの重要性が書かれています。今、特別支援教育がもたらしたプラス面は、教員一人でなくチームで相談にとりくむようになったこと、校内委員会やコーディネーターなど職員全体でこども達のことを考えることがあげられています。その一方で、特別支援学校・学級通学者数は右肩上がりで増加しており、規模過大校の解消や生活・学習の困難を改善・克服するために学校生活の仕組みや学級の雰囲気を変えていく必要があるなど、克服すべき課題もまだまだ多くあります。
 例えば、学校図書館の蔵書はこども達の感性の沿ったものが備えられているか。また、将来の就労を見据えた学習ツールは揃っているかなど、こども達が本来持っている力をきちんと発揮できる環境を整えていく必要があります。
 そこで、特別支援教育としてスタートして4年が経過しましたが、これまでの特別支援教育の取組状況に対してどのように評価しているのか、今後解消していくべき課題とあわせてご所見をお伺いします。

掛水すみえ
西宮市

●産業労働部

1.県民理解を得やすい国際交流のあり方について
(1) 国際交流事業の情報発信について
(2) 企業・団体を含めた地域間交流について
2.兵庫県国際交流協会の運営について 

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2011年10月13日(木)

1 県民理解を得やすい国際交流のあり方について

(1) 国際交流事業の情報発信について

 以前も質問していますが、県の国際交流事業についてお尋ね致します。
本県では、昭和38年以来、7つの国、地域と姉妹・友好提携を結び、現在、アメリカ・シアトル、西オーストラリア州・パース、フランス・パリ、パラナ州・クリチーバと、海外の4カ所に事務所を設置されています。
 私もこれまでいくつかの海外事務所をお訪ねし、厳しい財政状況の中で、文化交流を始め、民間・経済など多岐にわたる事業を展開しており、海外事務所で働いておられる職員の方々のご努力に敬意を表する次第です。
 しかしながら、本県が取り組んでいる情報発信は、未だまだ不十分な状況にあるのではないかと感じています。
 本県の国際交流について、県民の皆さんが、どれくらいのご理解を頂いているのか、兵庫県の姉妹・友好提携についてどの程度ご存じなのか疑問です。
 県民からすれば、「どこかの都市と姉妹都市ぐらいにはなっているだろう」ぐらいの認識であるとすれば、行政機関の交流にとどまり、本当の国際交流が進んでいるとは言えません。
 例えば、県のホームページにアクセスしても、兵庫の姉妹・友好提携先や海外事務所の一覧が記載されているものの、それぞれの都市の魅力を伝える情報が十分といえず、また県が取り組んでいる国際交流事業の最新情報や、例えばパスポートなどの各種申請手続き、県内市町の姉妹提携情報、外務省情報へのリンクなど、民間の方々が特に欲するであろう情報もダイレクトに入手しにくく、少なくとも県民に対する事業・サービスの紹介という視点からだけでも、不足している感が否めません。
 少なくとも県のホームページについて、それほど費用が発生するわけでもないにもかかわらず、通り一遍で情報量として少なすぎるということを以前にも申し上げ、当局の答弁では通り一遍ではない情報発信の充実を心がけるということでありました。
 そこで、国際交流活動に対する県民の理解に向け、私の質問後、取り組まれてきた情報発信の実績をお聞かせ頂くとともに、今後の課題や取り組みについてどのように進めようとされるのかについて、ご所見を伺います。

(2) 企業・団体を含めた地域間交流について

 国際交流は行政機関だけが行うものでは無く、ましてやその交流実績が行政機関だけの自己満足のみに終始するようではならず、国はもとより県や市町が行う交流がきっかけとなって、企業・団体はもとより、NPO等も含めた民間相互の絶え間ない交流があって、初めて二つの都市が本当の姉妹・友好提携の都市として繋がっていくものと考えます。
 県民参加のない国際交流には、この厳しい財政状況下、県民の理解も得られない一方で、海外との友好提携は息の長い交流が必要であり、そのことにも県民の理解を得る努力が必要です。そのためには、県民の方々が、海外を訪問しようと思えるような、また、相手都市の方々が兵庫県を訪れたいと思える動機付けにつながるような取り組み・PRなどの環境整備をしっかりとしていかなければなりません。
 兵庫はもともと神戸が世界に開かれた港湾都市として発展してきた経緯からも、企業活動をはじめ、文化、生活、青少年など世界中の人々と地域との交流を深めることは兵庫の持っている特色ともなり得ます。
 そこで、県民をはじめとする、企業や各団体等の理解を得やすい、また、参加を促すことのできる兵庫の国際交流のあり方について、これも改めてご所見を伺います。

2 兵庫県国際交流協会の運営について

 兵庫県国際交流協会は、多文化共生の社会づくりと県民主体の国際交流活動を促進するとともに国際性豊かな社会の創造を目指し、県の全額出捐により設立された公益法人で、平成2年の設立以来20年が経過した現在まで、県内の国際交流における中核的組織として着実に取り組みを重ねてこられました。
 国際交流協会は全国的に見てもほぼ全ての都道府県と政令市に設置されており、自治体の国際化の意義も問われていますが、本県の国際交流を牽引してきた役割は一定の評価をしていますし、友好姉妹都市との交流をはじめ様々な地域間交流の推進を今後とも期待しています。
 一方で、昨今の公社等自治体関連団体を取り巻く経営状況とその評価は大変厳しいものがあります。
 県が出資する公社など関連34団体の2010年度決算状況を概観すると、赤字団体が前年度より4団体増えて14団体となったことと合わせ、6団体は2年連続赤字となった旨の報道がありました。
 その6団体のうちの一つが国際交流協会であったわけであり、2009年度の収支約2,580万円の赤字から、2010年度には約7,140万円へと実に3倍近くに赤字が膨らんでおりました。
 県の外郭団体の経営状況を点検する「公社等経営評価委員会」の報告によれば、同協会を含む2年連続赤字の6団体等については「役員報酬やプロパー職員の給与制度の見直しを検討すべき」といった提言がされており、今後の協会の運営上特に気を引き締めなければならない厳しい評価ではないかと考えます。
 国際交流協会の赤字額約7千万円の内容としては、約4千万円は国際交流協会がドル建てで運用している資金の円高に伴う為替差損の影響によるもの、約2,300万円は別途県に積み立てている国際交流基金の取り崩しを節約するための正味財産の当期計上増減額の赤字分、残りの約700万円は事業のための基金を国際協力セミナー等の開催のために取り崩した分が計上されており、いわゆる予算超過や財源不足による赤字ではないと聞いておりますが、基本的には本来業務ではない基本財産の運用で悩むようなことはないように考えていかなければならないと個人的には思っておりますし、そもそも決算内容の判りづらさは否めません。
公会計と企業会計の違いもあるようですが、少なくとも県民目線では、こうした説明は判りづらく、ホームページや各種広報媒体等を通じた説明が、結果として、不足している状況では、赤字額の対前年度比3倍増としか写らず、県民に対する情報開示・説明責任が尽くされているとは言えません。
 今後とも国際交流協会の役割は重要であり、そのためにも同協会の収支をより明確化して、協会運営の安定性を高めるとともに、より一層の県民理解を得る努力が必要があると考えますが、当局のご所見を伺います。

●農政環境部

1.温暖化防止に向けた基本的な考え方について
2.太陽光発電の県施設への導入について
(1) 県施設への導入状況について
(2) 県施設への導入効果について
(3) 今後の県施設への導入について
3.農業施策における県の食料自給率の意義について
4.県産野菜の産地育成・振興方策について
5.環境ロードプライシングについて

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2011年10月13日(木)

1 県民理解を得やすい国際交流のあり方について

(1) 国際交流事業の情報発信について

 以前も質問していますが、県の国際交流事業についてお尋ね致します。
本県では、昭和38年以来、7つの国、地域と姉妹・友好提携を結び、現在、アメリカ・シアトル、西オーストラリア州・パース、フランス・パリ、パラナ州・クリチーバと、海外の4カ所に事務所を設置されています。
 私もこれまでいくつかの海外事務所をお訪ねし、厳しい財政状況の中で、文化交流を始め、民間・経済など多岐にわたる事業を展開しており、海外事務所で働いておられる職員の方々のご努力に敬意を表する次第です。
 しかしながら、本県が取り組んでいる情報発信は、未だまだ不十分な状況にあるのではないかと感じています。
 本県の国際交流について、県民の皆さんが、どれくらいのご理解を頂いているのか、兵庫県の姉妹・友好提携についてどの程度ご存じなのか疑問です。
 県民からすれば、「どこかの都市と姉妹都市ぐらいにはなっているだろう」ぐらいの認識であるとすれば、行政機関の交流にとどまり、本当の国際交流が進んでいるとは言えません。
 例えば、県のホームページにアクセスしても、兵庫の姉妹・友好提携先や海外事務所の一覧が記載されているものの、それぞれの都市の魅力を伝える情報が十分といえず、また県が取り組んでいる国際交流事業の最新情報や、例えばパスポートなどの各種申請手続き、県内市町の姉妹提携情報、外務省情報へのリンクなど、民間の方々が特に欲するであろう情報もダイレクトに入手しにくく、少なくとも県民に対する事業・サービスの紹介という視点からだけでも、不足している感が否めません。
 少なくとも県のホームページについて、それほど費用が発生するわけでもないにもかかわらず、通り一遍で情報量として少なすぎるということを以前にも申し上げ、当局の答弁では通り一遍ではない情報発信の充実を心がけるということでありました。
 そこで、国際交流活動に対する県民の理解に向け、私の質問後、取り組まれてきた情報発信の実績をお聞かせ頂くとともに、今後の課題や取り組みについてどのように進めようとされるのかについて、ご所見を伺います。

(2) 企業・団体を含めた地域間交流について

 国際交流は行政機関だけが行うものでは無く、ましてやその交流実績が行政機関だけの自己満足のみに終始するようではならず、国はもとより県や市町が行う交流がきっかけとなって、企業・団体はもとより、NPO等も含めた民間相互の絶え間ない交流があって、初めて二つの都市が本当の姉妹・友好提携の都市として繋がっていくものと考えます。
 県民参加のない国際交流には、この厳しい財政状況下、県民の理解も得られない一方で、海外との友好提携は息の長い交流が必要であり、そのことにも県民の理解を得る努力が必要です。そのためには、県民の方々が、海外を訪問しようと思えるような、また、相手都市の方々が兵庫県を訪れたいと思える動機付けにつながるような取り組み・PRなどの環境整備をしっかりとしていかなければなりません。
 兵庫はもともと神戸が世界に開かれた港湾都市として発展してきた経緯からも、企業活動をはじめ、文化、生活、青少年など世界中の人々と地域との交流を深めることは兵庫の持っている特色ともなり得ます。
 そこで、県民をはじめとする、企業や各団体等の理解を得やすい、また、参加を促すことのできる兵庫の国際交流のあり方について、これも改めてご所見を伺います。

2 兵庫県国際交流協会の運営について

 兵庫県国際交流協会は、多文化共生の社会づくりと県民主体の国際交流活動を促進するとともに国際性豊かな社会の創造を目指し、県の全額出捐により設立された公益法人で、平成2年の設立以来20年が経過した現在まで、県内の国際交流における中核的組織として着実に取り組みを重ねてこられました。
 国際交流協会は全国的に見てもほぼ全ての都道府県と政令市に設置されており、自治体の国際化の意義も問われていますが、本県の国際交流を牽引してきた役割は一定の評価をしていますし、友好姉妹都市との交流をはじめ様々な地域間交流の推進を今後とも期待しています。
 一方で、昨今の公社等自治体関連団体を取り巻く経営状況とその評価は大変厳しいものがあります。
 県が出資する公社など関連34団体の2010年度決算状況を概観すると、赤字団体が前年度より4団体増えて14団体となったことと合わせ、6団体は2年連続赤字となった旨の報道がありました。
 その6団体のうちの一つが国際交流協会であったわけであり、2009年度の収支約2,580万円の赤字から、2010年度には約7,140万円へと実に3倍近くに赤字が膨らんでおりました。
 県の外郭団体の経営状況を点検する「公社等経営評価委員会」の報告によれば、同協会を含む2年連続赤字の6団体等については「役員報酬やプロパー職員の給与制度の見直しを検討すべき」といった提言がされており、今後の協会の運営上特に気を引き締めなければならない厳しい評価ではないかと考えます。
 国際交流協会の赤字額約7千万円の内容としては、約4千万円は国際交流協会がドル建てで運用している資金の円高に伴う為替差損の影響によるもの、約2,300万円は別途県に積み立てている国際交流基金の取り崩しを節約するための正味財産の当期計上増減額の赤字分、残りの約700万円は事業のための基金を国際協力セミナー等の開催のために取り崩した分が計上されており、いわゆる予算超過や財源不足による赤字ではないと聞いておりますが、基本的には本来業務ではない基本財産の運用で悩むようなことはないように考えていかなければならないと個人的には思っておりますし、そもそも決算内容の判りづらさは否めません。
公会計と企業会計の違いもあるようですが、少なくとも県民目線では、こうした説明は判りづらく、ホームページや各種広報媒体等を通じた説明が、結果として、不足している状況では、赤字額の対前年度比3倍増としか写らず、県民に対する情報開示・説明責任が尽くされているとは言えません。
 今後とも国際交流協会の役割は重要であり、そのためにも同協会の収支をより明確化して、協会運営の安定性を高めるとともに、より一層の県民理解を得る努力が必要があると考えますが、当局のご所見を伺います。

●県土整備部

1.関西国際空港と伊丹空港の経営統合について
2.関西国際空港と伊丹空港の経営統合後の神戸空港について
3.関西国際空港の経営改善に向けた取組みについて
4.関西国際空港と伊丹空港の経営統合を見据えた空港戦略について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (県土整備部)
2011年10月17日(月)

1 関西国際空港と伊丹空港の経営統合について

 関西国際空港と伊丹空港の経営統合法案は5月に成立し、来年4月1日に新たな運営会社を設立し、同7月1日に経営統合することを定めた政令が閣議決定されています。なお、経営統合後は、民間へ運営権を売却するとしていますが、これは黒字が出ている大阪空港と一体的に運用することにより、約1兆円に上る関空会社の有利子負債を早期に解消し、首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生するのが目的であります。

 しかしながら、羽田空港が国により空港島を造成しているのとは異なり、関空会社は、自社の借り入れによって空港島を造成していることから年間約180億円の利払い負担があります。

 一方、今年度の国からの補給金は2009年度の90億円から75億円に減額されており、予断を許さない状況です。営業利益は約190億円であり、関空会社の決算が黒字ではあるというものの、国からの補給金を収益に計上しているからであって、補給金なしには経営が成り立つ状況ではないし、ましてや約1兆円に上る有利子負債の返済は遅々として進んでいないのが現状です。

 伊丹空港の約40億円の黒字はこれまで社会資本整備事業特別会計空港整備勘定において管理されていたわけですが、経営統合により、関西国際空港の補填に伊丹の黒字を直接活用できることは評価しています。また、経営統合による運営の最適化により、伊丹空港の国際線復活等、航空需要を掘り起こすことが出来るとしていることも承知しているところですが、国内路線の棲み分けや伊丹空港と関西国際空港の両立など、経営統合による新たな課題も生じます。

 そこでまずは、既に決まっている伊丹空港と関西国際空港の経営統合に対して、県としてどのように評価しているのか、経営統合のメリット、デメリットと併せてご所見をお伺いします。

2 関西国際空港と伊丹空港の経営統合後の神戸空港について

 ただいま、関西国際空港と伊丹空港の経営統合に対する評価、メリット・デメリットをお伺いしましたが、経営統合の際には、神戸空港は地方空港だと言うことで脇に置かれた格好になりました。

 神戸空港は、関西国際空港と伊丹空港の経営統合後も、自立した運営ができるようにしていくことはもとより、関西復権の一翼を担っていることから、積極的な空港運営を推進していくべきと考えますが、関西国際空港と伊丹空港の経営統合後は2空港プラス1空港という形になるわけですが、関西三空港における、神戸空港の役割や神戸空港に対する県の支援ついてどのように考えておられるのか、ご所見をお伺いします。

3 関西国際空港の経営改善に向けた取組みについて

 関西国際空港と伊丹空港が経営統合したからといって、関空会社の経営状況が劇的には好転するとは考えられません。経営統合後は、関西国際空港・伊丹空港を一体運営・管理するわけですから、伊丹空港の活用促進だけではなく、関西国際空港のハブ化をすすめ、国際拠点空港として運営していくことを、今まで以上に本県としても努めてまいらなければなりません。

 現在の関西国際空港における大きな問題点としては、空港へのアクセス利便性や、関西国際空港を拠点とする航空会社の少なさ等が挙げられますが、何と言っても最大の問題は関西国際空港の財務体質です。

 空港へのアクセス利便性の改善については、成田・東京間の距離の方が関空・伊丹間より長いにも関わらず、成田より関空の方に不便さを感じることが問題であり、これまでの成田・羽田間のアクセス改善を参考とし改善しなければなりません。また、関西国際空港を拠点とする航空会社の誘致も大切です。航空会社としては拠点空港に経営資源を集中する必要があり、拠点とした空港からしか航空網を拡げることはできないわけであります。海外の航空会社は国内間の輸送ができませんので、全日空(ANA)などが出資する格安航空会社(LCC)「ピーチ・アビエーション」が来年3月に就航することは喜ばしいことでありますが、引き続き関西国際空港を拠点とする航空会社を誘致していく必要があります。

また、航空会社の誘致により訪日外国人の獲得にもつながっていくことが見込まれます。
 最大の問題である、財務体質を改善していくに当たっては、先ほど申し上げたLCCのこともあり、着陸料の軽減は関西国際空港の競争力を高めていくためには必要不可欠であります。 巨額の有利子負債は国の基本インフラである関西国際空港の空港島まで関空会社に負担させたことによるものであり、例えば、空港島については国が買い取り、補給金を打ち切ることを国に求めることは一つの考え方です。また、関空会社の有利子・無利子合わせた約1.3兆円の債務の株式化等を求めていくことも一つの方法かもしれません。

 そこで、関西のハブ空港となるべき関西国際空港の経営改善のために解決すべき課題を県としてどのように認識しているのかご所見をお伺いします。

4 関西国際空港と伊丹空港の経営統合を見据えた空港戦略について

 知事も以前から言われていますように、関西国際空港と伊丹空港の経営統合は、伊丹空港の収益による関西国際空港の財務の改善が主眼ではなく、関西の浮揚に向けた航空需要の拡大につながらなければなりません。そのような観点からも、府県間の利害は対立する点があるかもしれませんが、これからは関西広域連合での議論も必要な問題であります。

 関西国際空港と伊丹空港の統合は既に決定しているわけでありますから、県も経営統合を待たずとも、経営統合後の空港運営に対して、国や新運営会社をはじめ関係機関へ積極的な働きかけを継続する必要があります。
 そこで、これまでの県の取組や、伊丹空港と関西国際空港の経営統合を見据えた空港戦略について、どのように考えるのか、あわせてご所見をお伺いします。

石井健一郎
灘区

●企画県民部2

1.職員の残業時間について
2.特別職報酬等審議会について
3.県民緑税の納税者への説明について
4.公益財団法人兵庫県住宅再建共済基金のソルベンシーマージンについて
5.国との人事交流と財政課長のあり方について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部2)
2011年10月11日(火)

1 職員の残業時間について

 節電の影響で注目。今年7、8月のサマータイム時に残業が減って1億円もの成果あげたとの新聞報道もあったが22年度の職員の残業について伺う。
 知事部局全体で年間いくらの残業時間があり、手当の実績はいくらだったのか?
 そのうち、一番長時間残業をした職員は年間何時間で、いくらの時間外手当を支給したのか?
 県独自の要綱「超過勤務の上限目標に関する要綱」では、月間の上限は45時間(イベント準備など特別の事情がある場合は月100時間)、年間では360時間とある。いずれも災害対応の場合は除くということだが、私も民間企業のサラリーマン時代、月100時間近く残業をしたことがある。かなりしんどかったことを覚えている。
 しかし、ここはルールがある。県の要綱には「所属長は、超過勤務の累計時間が300時間に達した職員がいる場合には、当該職員の健康状態を確認した上で、職場の現状分析を行うとともに、超過勤務縮減に向けた対策を講じなければならない」となっている。理由があったとしても、年間1100時間は健康面でも問題で、途中で対策が講じられなければならないだろう。
 また、要綱には超過勤務の状況を「管理局長」に報告するという規定もある。1人だけ多いということでもないと思うが、全体の話なのか、特別な理由があったのかわからないが、知事はこの7、8月のサマータイム導入や水曜・金曜日には管理職が職場の鍵を閉めるという取り組みで残業代が1億円程度減ったことを「やる気になったらケジメがつけられる面もある」と言われたそうだが、この要綱や「300時間超の対策」が機能していたのか、また今後こうした状況を減らしていけるのか伺いたい。

2 特別職報酬等審議会について

 「審議会は、知事の諮問に応じ、議会の議員の議員報酬の額並びに知事及び副知事の給料の額に関する事項を審議する」と規則で定められているが、県のHPには、特別職報酬等審議会(休止中)となっている。前回いつ開催され、その結果がどうであったのか教えてほしい。
 平成4年5月1日の改定から18年。行革により知事の給与、議員報酬等については独自に削減しているが、条例は知事と議会で決めることができる。18年間も第三者の評価を受けていないのはどうなのか。職員の給与は民間の給与等により毎年改定されている。次回の開催の予定は?

3 県民緑税の納税者への説明について

 サラリーマンなど源泉徴収される給与所得者(特別徴収)に対しては、給与明細のほかに、徴収する市町・自治体から、「市(町)県民税額の(特別徴収税額の)決定通知書」というのが5月に年一回配布されている。給与明細では、県と市町の税は一括して住民税として徴収されその内訳はわからないが、「市(町)県民税額の(特別徴収税額の)決定通知書」では県民税がいくらかわかるようになっている。
 そんな中で、県では平成18年から県民税均等割額を地方税の年1000円から県民緑税としてもう800円を超過課税する5年間の時限措置をはじめた。そして昨年、条例を改正し、今年度から5年間延長した。私も賛成したが、その審議の際に聞いたが、県民緑税については私の周りでは知っている人がほとんどいなかった。
 1年間で個人から約20億円(法人から約4億円)を徴収し、森林や都市の森の保全と再生のために使われる目的税的な貴重な財源なのに、払っている人はほとんど知らない。これはまずいと思った。
 実は、平成18年度、始めて導入した年の姫路市から発行された同決定通知書には、その裏面の説明書きに「均等割 県民税1,800円 「県民緑税」の導入により、県民税均等割が改正されました。県民税均等割のうち、800円は、森林や都市の森の保全と再生のために使われる「県民緑税」です」とあった。一定の説明責任を果たしている。しかし、翌19年以降、その記載がなくなって、「均等割 県民税1,800円」としかない。新しい納税者は払っていることを知らない。
 県民緑税は課税自主権を活用した兵庫の超過課税なのだから納税者に対する説明責任を果たす観点から、18年同様に毎年、県民緑税の説明を記載すべきだと思うし、通知書を発行する市町に求めるべきだと思うがどうか。

4 (公財)兵庫県住宅再建共済基金のソルベンシーマージンについて

 17年9月スタートした「共助」という大変素晴らしい取り組みである。
 共済給付金基金積立資産については、平成22年度は27億円、21年度は21億円、20年度は17億円となっていることに対し、共済の支給実績は、21年度の台風9号。22年度にかけ206戸3億2,920万円支給であった。
 事業開始から約6年。共済給付金基金積立資産は約26億7千万円。うち1億3千万円は短期国債、約3500万円が預金、残る25億円が兵庫県債。(全体では運用資産総額31億、負債3億、正味資産28億)。他の財団と比べると、かなりいい財務体質である。
 他の公益法人と違うのは、共済加入者、いわゆる消費者の立場からみれば保険会社に近いということ。保険と見れば一般の組織とは別の基準がある。
 民間の保険会社であれば、通常の予測を超えるリスクに対して、保険会社にどの程度の保険金の支払い余力(余裕資金)があるかを示す指標として金融庁ではソルベンシーマージン比率(保険金支払い余力比率)を使っている。消費者は保険会社を選択する1つの指標としているが、この共済にこうした健全性を客観的に示す指標はあるのか。
 家屋に限るが、加入者の全戸が全壊し、全員が県内に再建で600万円を請求した場合、=140882*600万円=8453億円に及ぶ。
 東日本大震災ではないが、「想定外」のことも想定しておかなければならないと知事も言っている。万が一、現在の基金で支払が難しくなるような規模の大震災が起こったとき、万一当面の資金が足りなくなったときなどに、兵庫県としては、支給が満額できるような資金手当や財政支援をするつもりがあると思うし、しなければならないと思うが、この共済基金のような「想定外」の時の支援、すなわち阪神・淡路大震災のような被害があった場合についてどう考えているのか。

5 国との人事交流と財政課長のあり方について

 財政課は、県の予算を所管し、実際の各部局の査定を行ったり、また県の財政全体にも目を光らす。国でいうところの財務省の主計局であり、それに加えて我々県議会まで担当している。大変な部署である。その財政課の責任者が財政課長である。
 今日の決算委員会でも歴代の財政課長も、何人か座っておられるが、歴代の財政課長について調べさせていただいた。近年では、私の当選した平成19年から総務省から出向していた小谷さん、20年は太田さん(管理局長)、21年は西上さん(企画財政局長)、22年は再び総務省からきた田中さん、今年は田中さんの予定が、総務省の都合による人事でこの9月9日から県の谷口さんが就任された。国と県の人がちょうど半分ずつぐらい。総務省の方は別の部署に最初に来て少ししてから財政課長になるようだ。
 しかし、今回の決算審査を前にしての突然の異動は民主党の内閣交替によるものと聞くので、天に唾する話だが、県の財政課長として出向している職員を呼び戻す。地方重視ではないことも明らか。このことを含めて何のために総務省から出向してもらっているのか?
 財政課長は大変重要で、実際の予算査定等を通じて県政全体について大変勉強になるポジション。このポストを2、3年で国へ帰ってしまう人に敢えて任せる必要は何か。昔は、大卒の採用等もほとんどなく、仕方なく国に人材を求めた歴史もあったと聞く。
 しかし、今は違う。私も先ほどあげた県プロパーの財政課長の方々と予算、決算、総務の各委員会で議論してきたが、国会でも十分通用する「ああいえばこういう」というような人ばかりで、私の期待するような答弁はしてくれないが、皆さん県の施策に精通しており優秀だということはわかった。
 このポジションを経験することで県政の枢要を担う人材が育つし、県全体のあらゆる課題に精通した上で予算査定等を行うには、一定の兵庫県政での経験も必要だと考える。財政課長こそ外部ではなく兵庫県職員が担当すべきポジションだと考えるがどうか。

●健康福祉部

1.災害援護資金貸付金について
2.安心こども基金について
3.生活保護の不正受給について
4.結核病床の地域偏在について
5.自殺抑制の取り組みについて

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (健康福祉部)
2011年10月12日(水)

1 災害援護資金貸付金について

 決算書の県の財産「債権」に記載されている「災害援護資金貸付金」がある。このうち県が市町を通じて阪神・淡路大震災の被災者に貸し付けた貸付金の残額は3月末現在75億円となっている。ちなみに政令指定都市の神戸市は独自で貸し付けているが、こちらは127億円、合計で202億円である。
 県が所管する75億円を調べてみると既に死亡等で免除となった分は既に除かれた金額ということである。当初の償還期間が10年という契約だから、現状で未償還額があるというのは、その全額が滞納による未収金ということである。この75億円のうち3分の2にあたる50億円は国からの貸付であり、未収金も含めて全額を国へ返済することとなっているということだが、未収分は県ではなく、市町が全額を返済するルールと聞いている。
 返済期限は平成18年に5年、23年にも3年延長され、小口で返済している人もいるが、償還額は年々落ち込み、22年度は4億円ほどである。国に対して東日本大震災と同様の免除要件の緩和を求める声もあるが、返済を終えた人の中には、生活が苦しくても人に借りたものは先に返すという努力した人もいただろう。後でルールを変えると問題もでてくる。いずれにしろ国が判断することだが、一方で、お金があるのに返さないという人はいないのか。
 神戸市を除く県内の未償還分75億円については5508件(人)にものぼるというが、財産があっても返さないという悪質な滞納者にはいかなる対応をしてきたのか?
 いずれにしろ国から県が償還を求められれば、県債の償還に応じなければならない。国もお金がない。県も市町に償還を求めていくことになるが、まず神戸市127億円を除く、未償還金額の多い3つの自治体とその金額を教えてほしい?
 今後の回収にもよるが、市町が県に答弁のような金額を償還するということになる。国や県は免除となった金額については一定の比率で損失を引き受けたことになるが、残りの債権は全て市町に委ねられる。
 その時点で、免除にならず滞納している金額が市町の債権として確定し、やはり最後まで残った債権ということでその自治体の負担もほぼ見える。市町の住民が当制度の採否を選択できたものではないのに、最終的な負担は市町ごとになる。全体額もさることながら住民1人当たりでみるとまた異なる。
 そこで住民1人当たりの未償還金額について上位3自治体と1人当たりの金額を教えてほしい

2 安心こども基金について

 少子化がいわれている一方で保育所の待機児童があるという。他方、幼稚園へ通う児童は減少してきている。そんな中、本県は、保育園・幼稚園という従来の省庁縦割りに風穴をあける認定こども園の数がH23.4.1現在で60施設と全国2位となり、大変頑張っている。
 保育所への待機児童数を調べると、23.4.1現在で県所管で229人、神戸市・姫路市・西宮市・尼崎市の政令市・中核市で842人の合計1071人となっている。
 「安心こども基金」といえば、国から20年度45億、21年度72億、22年度62億と合計179億円の交付金で造成された。22年度末の残高を調べてみると、決算書には「安心こども基金」として164億円が残っている。ここから22年度の事業費56億円を支出し、5月末の残高108億円とる。
 22年12月補正と2月補正で62億追加されたばかりとはいえ、交付額の約6割が残っている。基金を使った事業の期限は当初の22年度から23年度まで延長(繰越で24年度も)されたとはいえ、待機児童を解消するための定員拡大に必要な保育所等緊急整備事業等には市町の負担(や施設の自己負担)がネックとなり、県が進めようとしてもなかなか進んでいない。特に、待機児童の多い神戸市や西宮市の計画が進まず、21年度では県の予算を大きく減額するなどしたことは県議会でも話が出ていた。
 大阪府などではこの基金が使われない理由を国がこと細かく基準を定めているなどと批判しているようだが、実際は、都道府県は保育所整備等の基金事業に随伴補助する義務がなく自己負担がない。いわば国と市町、施設で整備費を負担することとなっている。県も実質的な負担がないから市町に強く言いにくい。これが基金が残っている一因でもある。しかし、事前に聞くところによると国もこうした話を聞き、基金を通じた国の負担率1/2から2/3に嵩上げし、逆に市町の負担が1/4から1/12に減ったことで、事業が進捗するという話も聞いている。
 23年度も第2四半期を過ぎ、神戸市や西宮市等の動きや見通しも見えてきたと思うが、今年度の基金の活用見込みはどのくらいになりそうか、また、基金の来年度以降の見通しはどうか?

3 生活保護の不正受給について

 本県の生活保護の実態を調べてみると、県全体の1000人当たりの保護率は10年前の平成13年度の平均10.9から今年23年7月の18.3へと10年前と比べても約1.7倍(1.68)に増え、10万2211人の方が保護を受けられている。
 生活保護の事務については、市は単独で福祉事務所を設置し、兵庫県は町、郡部の6福祉事務所を設置している。直近の23年7月の県所管の郡部では、保護率は宝塚(猪名川町)の1000人当たり1.6から新温泉町の5.4まで差はあるものの、県全体の平均18.3よりかなり低い。一方、福祉事務所を単独で設置する市では、三田市の2.5から尼崎市の38.2まで、その差は15倍と県内の市の中でも格差が非常に大きい。
 我々地方議員は住民の方と接する機会が多いが、近年よく聞くのは、この生活保護制度についての不満の声である。働けるのにもらっているとか、外車に乗っているのに、とか。メディアでも、「働くより生活保護の方が高い」とか「年金より高い」とか聞こえてくる。
 厚生労働省のHPに「平成23年度 地域別 最低賃金額 改定の答申について」という記者発表資料が掲載されている。「(最低賃金の)全国加重平均額は737円、生活保護水準との逆転現象の解消進む」とタイトルがうってある。これを見たら、働くより生活保護の方が多くもらえてきたのかと思われる。かなり違和感がある表現である。
 実際に同省の調査では、最低賃金が生活保護を下回る地域は北海道、宮城、埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島の9都道府県あったという。兵庫県もである。
 それが、今年の最低賃金審議会で調査され、この10月から地域別最低賃金額の改定が行われ、兵庫県の最低賃金は739円(+5)となり、逆転していた9都道府県のうち、兵庫を含む6都府県で逆転を解消したという。
 最低賃金に近い金額で働いている人は結構多い。この話をどう思うだろうか。
 最低賃金以外の、年金についてはどうなのか。
 自営業などで、国民年金にだけ加入してきた方で、20歳から60歳の40年間に全期間保険料を納めた方は、満額の老齢基礎年金を65歳から受給できる。平成23年度の老齢基礎年金は満額で月額65,741円。
 これに対して、生活保護の受給者が受け取る、日常生活に必要な費用「生活扶助額」は65歳の単身者では、県内では物価等の高い神戸市など都市部在住者の一番高いところで79,530円。物価の安い南あわじ市など一番低いところで61,640円。老齢基礎年金は満額65,741円だから、生活扶助だけでも既に逆転現象が起こっていることがわかる。生活扶助というのは一部であり、医療扶助やそれに伴う公費負担を含めた平均額では、完全に逆転する。
 大阪では生活保護の仲介をして保護費をピンハネをするという「貧困ビジネス」業者の存在や、奈良では病院で必要のない手術をしたことにして、自治体がその手術費用の全額を生活保護費から支払っていたという不正も報道されている。
 生活保護は必要な制度であると思うが、しかし、制度について住民の信用を損なわないようにしなければ制度の存続にも支障をきたす。不正受給などには厳正に対処しなければならないが、大阪など他府県の事例がよく報道されているが、本県の事例についてはあまり聞かない。ここで不正受給について確認しておきたい。
 22年度に悪質な「生活保護法第78条」「不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者があるとき」にあたる不正受給等の事例が県全体で何件でいくらあったのか、具体的な事例も含めて説明してほしい。また、それが全体支給額の何%にあたったのかもあわせて説明してほしい。

4 結核病床の地域偏在について

 結核について、県のHPをみると「人々の健康を脅かす世界3大感染症(結核、エイズ、マラリア)の一つで、現在でも、日本では年間23,000人以上もの方が発症~。決して過去の病気ではありません。(兵庫県でも)○平成22年の1年間で約1,100人の方が結核を発病。○人口あたりの発生数が全国ワースト5位。○新たに結核を発病する方の半数以上は70才以上の高齢者。」云々と…。
 正岡子規や石川啄木など明治期に結核で死んだ文豪は知られているが、治療薬が発明され、不治の病ではなくなったとはいえ、最近でもタレントJOY(ジョイ)さん、お笑いタレントのハリセンボンの箕輪はるかさんら若い有名人も感染を公表し入院治療等を行っている例が報道される。
 県では、「結核患者に対して、その同居者などに結核を感染させるおそれがある場合に、結核指定医療機関に入院することを勧告する」とのこともHPに記載されているが、どこの病院に入院できるのだろうか。
 結核病床を有する第二種感染症指定医療機関は公表されているが、本県では、
 兵庫県立淡路病院26床(洲本市)
 西神戸医療センター100(50)床(神戸市)
 谷向(たにむかい)病院60床(西宮市/阪神南)
 国立病院機構兵庫中央病院100床(50)(三田市/阪神北)※丹波
 国立病院機構兵庫青野原病院50床(0)(小野市)
 公立八鹿病院 7床(養父市/但馬)
 このほか、県立淡路病院1床、赤穂市民病院 8床、赤穂仁泉病院 1床(精神)の3病院に計10床のモデル病床があり、「高度な合併症を有する結核患者又は入院を要する精神病患者である結核患者の収容治療を行っている。とのこと。
 しかし、この中で、小野市の兵庫青野原病院の50床は19年9月から休床中で、実は、今現在、播磨全域に高度な合併症と精神病のモデル病床以外の通常の結核病床が全くない。
 東・北・中・西播磨の各二次医療圏は、人口は186万人と県全体の33%、平成21年の新登録結核患者は全県1226人中338人で、27.6%。地域偏在が顕著というか、あまりに偏在過ぎるのではないか。
 保健医療計画を策定する兵庫県として現状の地域偏在をどう考えているか? また、これまでどのような取り組みをしてきたのか?

●公安委員会

1.(公財)暴力団追放兵庫県民センターの資金運用について
2.駐車監視員の業務委託について
3.若手警察官の不祥事について
4.警察装備品の充足度について
5.重要凶悪犯罪の検挙について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (公安委員会)
2011年10月13日(木)

1 (公財)暴力団追放兵庫県民センターの資金運用について

 (公財)暴力団追放兵庫県民センターは、基本財産15億円(県市出捐金15億円)をさまざまな形で運用している。
 22年度決算、23年3月末現在の財務諸表をみると、15億円のうちの5億円を外国債で運用しているとのことであり、時価評価では「3億円の外国債が2億7738万円と2262万円の評価損」「2億円の外国債が1億5134万円と4866万円の評価損」、合計で「7128万円」の評価損が出ているとなっている。
 私が、平成20年9月に警察常任委員会で当法人の決算について質問した際には、平成18年度に地方債より利率がいいということで投資したとの話はあったが、詳細はわからなかったが、恐らくこれは仕組債といって、ドルをはじめとする外貨の為替レートに基づいて金利が支払われる商品ではないかと思うが、このそれぞれの満期日や金利、そしてこれをどこから購入したのか説明してほしい。
 平成48年ということで現に投資しているものをどうこうするのは難しいが、基本財産の他の10億円は地方債等で運用しているが、これは満期にあたる償還がくる。損を取り戻そうとして、外国債に逆張りするという投資の方法もあるが、暴力団追放という財団なのだから、一か八か、ギャンブルに近い資金運用は改めるべきだと思うが、今後も外国債の運用方針を続けるのか?

2 駐車監視員の業務委託について

 違法駐車は、交通の安全と円滑を阻害し、国民生活に著しい弊害をもたらしている。厳しい治安情勢のもと、駐車違反の取締りに投入できる警察力には限界がある。
 駐車監視員への委託による取締りは、新たな違法駐車抑止のための制度として導入され、「放置違反金」を徴収できる制度として平成18年度より導入された。
 全国で年間おおよそ800~900億円に及ぶとされる反則金は、いったん国庫に入ったのち「交通安全対策特別交付金」として総務省から都道府県・市町村に交付され、標識や信号機など交通安全施設の設置・管理にあてられているが、駐車監視員の活用による「放置違反金」は、国庫を経由せず、取締りを行った都道府県の収入になっている。
 兵庫県警では、駐車監視員を22年度、56組・112人配置しているが、22年度の放置車両確認事務の業務委託費、及びこの制度により歳入となった放置違反金の額について伺う。

3 若手警察官の不祥事について

 平成22年中における警察職員の懲戒処分は13人で、そのうち30代未満は9人と全体の約70%を占め、また階級別では巡査部長以下が11人と全体の約85%を占めている。大麻所持や警察学校入校中の窃盗、入寮中の不祥事など俄かに信じられないものもある。
 本県においては、相対的に若手警察官の懲戒処分が多いと見えるが、全国的な傾向と同じなのか?

4 警察装備品の充足度について

 警察を取り巻く犯罪情勢は日々変化しており、世界に誇る治安を維持するためにも犯罪の高度化や新たな犯罪手口に対応するなど、時代の流れに応じた警察活動や、それに伴う装備資機材の運用が求められる。
 サイバー犯罪対策としての資機材の整備や、今年度から運用が開始されている地域警察官が携帯するデジタル無線機などの先進機器はもちろんのこと、従来の交番等地域の警察拠点で活用するミニパトと呼ばれる警ら用自動車など既存の装備についても不足している箇所があると現場で聞いたことがある。
 県下の社会情勢や犯罪実態を踏まえ、警察活動において必要とされる各種装備品の配備について、何が足りて、何が足りていないのか、装備品の充足状況について伺う。

5 重要凶悪犯罪の検挙について

 県民に大きな不安を与え、早期の解決が望まれる重要凶悪犯罪については、県民の安全・安心の確保の観点から、より迅速・的確な初動捜査とその徹底検挙に向けた捜査のあり方が問われる。
 平成22年度中の重要犯罪の認知件数は673件で、前年に比べて127件減少したものの、体感治安の低下につながる過去の未解決の凶悪犯罪も残っている。
 兵庫県警として特に重要な殺人などの凶悪犯罪の検挙に向けて現在如何なる取組を進めているのか伺う。

●県土整備部

1.ノンステップバスの官民格差と地域間格差について
2.(財)兵庫県住宅建築総合センターと兵庫県住宅供給公社について(兵庫県住宅供給公社)

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (県土整備部)
2011年10月17日(月)

1 ノンステップバスの官民格差と地域間格差について

 本県では、高齢者、障害者、乳幼児連れの人などが日常生活や社会生活を営む際に利便性と安全性のある環境整備を図る一環として、あらゆる人が乗り降りしやすいノンステップバスの導入の促進を図るため、民営バス事業者に対し、購入費補助を行ってきた。
 県内のノンステップバスの保有状況を見ると、平成22年度末時点でバス総数に占める割合は40.9%、1,053台であり、導入台数のうち、公営が614台、民営が439台となっており、それぞれのバス総数に占める割合は、公営76.6%と民営24.8%と大きな格差が生じている。
 そして、公営のバス事業者とは神戸、明石等に限られ、特定の自治体を中心に運行していることでも分かるとおり、ノンステップバスの官民格差とは、実は県内の地域格差となっているのである。
 国の基本方針である平成32年度の導入率目標70%を達成する必要性からも、民営事業者の導入率アップのため、引き続き民営事業者への支援に取り組む必要があるが、導入のお願いや呼び掛けだけでは成果は限定的である。地域格差を解消するための方策について伺いたい。

2 (財)兵庫県住宅建築総合センターと兵庫県住宅供給公社について

 (参考人-兵庫県住宅供給公社)
 (財)兵庫県住宅建築総合センターが、今後使用する見込みのない約230億円の貸付金を返還するよう会計検査院から国土交通省が指摘を受けたと聞いているが、会計検査院といえば、昨年も知事がまさかという内容の不適切経理等を指摘するなど、国の補助金や基金に関して、本県の支出行為等までチェックをしている。
 本来であれば、県内部のチェックをはじめ、監査や議会の審査の過程で改めなければならないことが、外部のそれも国の機関に指摘されるというのは、確かにプロとはいえ地方分権の時代にあまりいいこととは言えない。
 国に先に指摘されたことは私自身も非常に恥ずかしい思いである。
 今回は、国の拠出した資金が使われていないという指摘だったが、その資金について遅ればせながら私なりに調べさせていただいた。
 すると報道では「事業が完了していないので残していただけ。使わない分は返納する」(読売新聞10/8)とコメントしているが、実は簡単には返せないことがわかった。
 資金は兵庫県住宅建築総合センターではなく、他の公社で実際に使われていることがわかったからである。その点について順次確認していきたい。
 決算にあわせて当局から提出されている「県の出資等に係る法人の経営状況説明書」にも少し記載があるが、この230億円が充当される「被災住宅再建対策利子補給事業」とは「阪神・淡路大震災からの復興を促進するため、兵庫県から受け入れた補助金により、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等への利子補給事業を実施する」こととなっている。
 同センターの財務諸表でも確かに、固定資産として230億円の「被災住宅再建対策引当資産」がある。一方の負債に、「被災住宅再建対策預かり金」として同額が記載されている。
 調べてみると、この引当資産の内容は、
 兵庫県住宅供給公社 貸付金139億9,500万円
 兵庫県住宅供給公社 公社債 90億8,500万円
 三井住友銀行 預金 102万1589円となっている。
 実は100万余りの預金以外の230億円ほぼ全額が、貸し付けまたは公社債という形で、兵庫県住宅供給公社に貸し出されているのである。
ということで、今日は、住宅供給公社から参考人にもお越しいただいている。住宅供給公社は貸入金の139億9,500万円を「短期借入金」に計上して、1年以内に返還する負債として位置付けている。公社債の90億8,500万円は負債に含まれている。
 しかし、住宅供給公社の流動資産は74億円。固定資産は多額で1162億円あるものの大半が賃貸事業資産としての土地や建物。賃貸事業資産は公社の基幹事業の財産で売却は難しく、他の資産も売却できるなら既にしているはず。
資産の現金化ではなく、新たに公社債を発行するか、どこかから借入をする、つまり借金をするしか返せないのではないか。
 いずれにしろ、いつ、どのような経緯でセンターの資金を活用することになったのか?また、今後、この資金は東日本大震災の復興支援資金に使うということで、早く返さないといけないわけだが、すぐに全額返済が可能なのか?また23年度の資金計画の修正議決も含めて対応が必要では思うが、どう対応するのか?お伺いする。

 阪神・淡路大震災に係る住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の災害復興住宅融資が終わる2013年までという約束だったから県として余裕資金を如何に運用しようが自由というのは理解できる。
 しかし、この制度の利用についてだが、平成15年から1件も新たな交付決定がなく、利子補給にしても16年の3万8千円を最後に実行されていない。
 今年度の事業計画では、1件38万3千円の利用計画があるとしているが、現行の金利水準から判断すれば、2.5%を超える分という基準を超えることはありえず、この制度の利用はないと思う。会計検査院の指摘も正しい。
 いずれにしろ、資金繰りについて、神戸市住宅供給公社の破綻もあり、新たな借金などの資金繰りは厳しくなっていると思うが、230億円の公社の資金の流れを調査する中で、平成18年に、住宅供給公社の金55億円が県の県債管理基金に積み立てられたことになっていることがわかった。これは公社の余裕資金で、県で運用してもらった方が有利ということで預託されていると聞いているが、公社にこうした余裕資金があるのならこれを返してもらって返済の原資にすべきものだがどうか?

 この際だから、もう一つ確認するが、私の調査で、住宅供給公社の資本金が22年度、利益剰余金を含めて61億2千万→46億6千万円と14億6千万円も減少していることがわかった。先の県議会本会議では知事は、同公社について「平成22年度決算でも黒字を計上しており」と答弁されていたのでおかしいと思ったが、損益計算書では確かに1億1千万円の当期純利益が出ているものの、損益計算書の外で利益剰余金から15億7千万円(1569百万)が取り崩され、負債の未払金に「芦屋浜水源負担」として計上されていたことがわかった。本会議では、黒字と説明している一方で、利益剰余金を含む資本が14億6千万円も減少している。これは全体として黒字ではない。
 この詳細については、議会に提出された資料をみてもわからない。
 「資本」の「利益剰余金」の中の約15億円が、今年から「負債」の「未払金」へ「振り替え」られたということである。
 おかしいと思って更に調べると、平成18年度には、今回の逆で、「負債」の「特定準備金」を「利益剰余金」に入れ、「資本」が多くなる経理がなされていた。
 問い合わせると、平成17年まで、芦屋浜水源負担の将来負担を見越して「特定準備金」14億34百万を「負債」に計上していたが、国土交通省所管の(社)全国住宅供給公社等連合会というところから会計基準の改定について通知があり、18年に「資本」の「利益剰余金」に「整理」したという。
 18年度、この会計処理だけで資本が14億34百万も増えていた。今年の決算では、今度は逆に、この資金を未払金に計上し、元に戻ったという。
 今回、資本から負債に戻したことで、過去18・19・20・21と4年の決算において、芦屋浜水源負担の将来負担という負債が資本に含まれていたおかしな状態は解消された思うが、私の指摘で概ね正しいのかどうか確認させてほしい。

 最後に言うが、住宅供給公社の18年度決算をみると、県を相手方とする未収金が55億円計上されていた。しかし、未収金が発生している一方で、同じ55億円の資金を県(県債管理基金)に預託している。不自然である(未収金については翌年度に解消)。
 55億円の公社のお金は余裕資金の運用といわれるが、結果として県債管理基金の積立金不足を解消し、実質公債費比率の数値を低下させる効果があることは、私がこれまで指摘してきた県の基金の問題と全く同じ。
 230億円の資金を返済するにあたり、新たに金融機関から融資を受けるか、公社債を発行しなければ返せないということは、外部へ支払う金利が発生するということでデメリットも多い。
 速やかに国に返済して東日本大震災のために活用してもらうとともに、ありのままの財政状況を県民に説明すべきだということも今回の決算調査で改めて感じた。

●病院局

1.病院事業会計の黒字の検証について
(1) 患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素について
(2) 病院経営分析比較表による分析について
(3) 一般会計の負担について
2.県立リハビリテーション病院の取得について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (病院局)
2011年10月17日(月)

1 病院事業会計の黒字の検証について

(1) 患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素について

 平成21年度の収益的収支 20億73百万円の赤字から、22年度は5億67百万円の黒字になった。前年度比26億40百万の収支改善である。
 県立病院の経営改革については、平成21年5月に県立病院改革プランが策定され、28年度の黒字化1600万円純利益が経営目標だったが、診療報酬の改定等を受けて23年4月に同プランの改定を行っていたが、21年の当初の予想では22年は8億9千万円の赤字だったので、2年前の予想からもプラス14億6千万円という大幅な収支改善がなされたことになる。
 前回、2年前にこの決算委員会でも質問し、厳しい指摘をしたが、現状がどうなのか今回も私なりに分析させていただいた。
 一般的に病院経営で最も重要なのは患者数と言われる。これは民間でも公立でも変わらない。平成21年5月の「県立病院改革プラン」でも、「患者1人1日当たり入院収益や外来収益は、『病院の収入分析をするうえで最も基本的な指標。料金収入を増加させるためには、患者数という量的な要素と1人当たりの収入という質的な要素が重要となります』としていた。
 まず入院。1日あたり入院患者数は2,830→ 2,913となり、83人増と2.9%増えている。しかし、このうち加古川医療センターのフルオープン化等に伴う病床数が108増した要因をみなければいけないので、病床利用率をみるが、82,4%→83,3%と病床利用率は0.9%の微増となっている。もう一つは、外来だが、1日あたり外来患者数は5,592 →5,574と18人減り、 99.7%。1日平均患者数は微減となっている。
 次に、1人当たりの収入について見る。
 入院単価51,566 → 55,310 +3,744 107.3%
 外来単価14,839 → 15,601 +762 105.1%
 いずれも5%以上伸びている。これは診療報酬の増額改定の影響とみて間違いないだろう。
 経営分析としては、患者数という「量的な要素」はさほど伸びていないが、1人当たりの収入という「質的な要素」が、かなりのプラス要因となったということだろう。
1人当たりの収入という「質的な要素」1人当たりの収入の対前年比、入院で7.3%、外来で5.1%の要因をどう分析しているか?

(2) 病院経営分析比較表による分析について

 診療報酬の改定は県立病院の自己努力ではどうにもならないが、他は経営努力。病院については官民比較というより、全国の公立病院との比較をすることで見えてくることが多い。
 調べてみると、総務省が全国の公立病院についての「病院経営分析比較表」というものを公表していた。HPにもあり、21年度決算分まで公表されている。
 比較されている経営指標だけでも見る価値はあるが、全国の傾向と比較してみると経営がよく見える、大変わかりやすい資料である。
 その中でも、平成22年度における給与費は46,749百万円と県立12病院の医業費用90,563に占める割合が51.6%(医業収益84,742に対して55%、総収益95,503の49%)と最大の費用となっているので比較してみると、人件費についての課題などよくわかる。
 年齢のばらつきが、多少あるとはいえ、全体として全国平均と比較してどうなのか?
 給与の比較をすると、公表されている経営分析表においては、準看護師の115.6%、医療技術員の115.3%と年齢が平均より少し高いとはいえこれらを筆頭に医師を除く全職種で全国平均より高くなっているが、医師だけは全国平均よりかなり低い90.6%。働いている場所は同じで、医師の場合は全国平均と年齢も同じなので、病院規模や地域だけでは説明が難しいと思うが、医師の給与だけが全国平均よりかなり低くなっている理由について説明願いたい。

(3)一般会計の負担について

 「病院経営分析比較表」には、一般会計の負担についても他会計繰入金対総収益比率という具合に比較されている。
 病院事業会計の収益的収支では、5億7千万円の黒字といっているが、126億円もの一般会計の繰り入れがあってのもの。つまりこの一般会計の負担がなければ赤字どころか、全く成り立たない。これが民間病院との決定的な違いである。また、これ以外にも病院の建設費用の負担などで42億円も負担しており、22年度だけで計168億円の負担をしている。
 新聞等に県立病院32年ぶりに黒字となると、県立病院が黒字ということは患者から利益をとるのかという人もたまに出てくる(議員でもいた)。先ほど一般会計から126億円入ったと言ったが、これは21年度より10億円多い。つまり、一般会計からの繰り入れがもし21年度と同額であれば、22年度も赤字だった(繰り入れ基準もあるので簡単に減らせないが)。新行革プランには、一般財源の負担する金額がわかりやすく記載されていた。これも認識しておかなければならない。
 病院事業に対する一般会計からの負担については、国も交付税措置により一定の支援を約束しているが、県は、交付税措置のない県独自の支援もしている。収益的収支126億円、資本的収支42億円の繰入金について、それぞれ国が繰入基準を設定していると思うが、基準の対象となる部分とならない部分の金額についてお答え願いたい。

2 県立リハビリテーション病院取得について

 最後に、改めて決算書を詳しく見てみると、企業債や他会計借入金の金額が多いことに気付く。償還する企業債には今度統合される尼崎病院の建設に係る償還分も含まれていた。建設費を返済している中で統合の準備が進んでいる
 その決算附属資料の企業債明細の中に、病院名としては見慣れない「本庁」という病院名があるのを見つけた。本庁には病院はないし、この項目自体が昨年まではなかったので、調べてみた。
 この借金は、本庁病院/借入資本金/発行日23.3.30=7,821=3,122[30年銀行等0.95%]+4,484[20年銀行等0.9]+ 215[4年銀行等0.6])。貸借対照表では「借入資本金」という科目に計上されていたので、それを頼りに調べたところ、「県立リハビリテーション病院」に行き着いた。23年3月30日に、病院局が県から2つのリハビリ病院の建物と電子カルテ等を購入し、その財源として7,821百万円の県債を発行した、その県債ということであった。
 県立リハビリテーション中央病院・同リハビリテーション西播磨病院といえば、それぞれ平成4年にリハビリ中央病院を立替え、西播磨については、18年に新設された病院で、現在も診療している。また、運営については県の外郭団体である(社)兵庫県社会福祉事業団が担当しており、契約方法が今年から指定管理者制度に変更されたことは承知している。
 ということで、県から県の病院局に建物の保有者が変わるだけなのに、新たに78億円も金融機関から借金をするということで驚いたが、県の財政担当者に問い合わせると、これらの建物は県が立替または建設当時に起債をして建設費用を賄った建物で、リハビリテーション中央病院・西播磨総合リハビリテーションセンターをあわせて現在も78億円の未償還残高が県本体にあるということであった。
 どういうことか、つまり、県の病院局と県本体の両方にそれぞれ78億円、合計156億円の県債が世の中に存在しているということである。
 同じ建物、決算時の価値は78億円しかないのに、県と病院局の両方が起債している、つまり、二重計上となっている。県の財政当局に更に意見を求めたところ、「病院局から県への所有権移転については建物と電子カルテ一式の対価として現金78億円を受け取った。そのため、いつでも県が過去に発行した県債の78億円全額を償還できる資金はあるが、もし繰り上げ償還するにしても相手の金融機関は運用しているので、繰り上げ償還ができない制度となっており、そのまま保有している」とのことであった。
 同じ病院の取得にかかる借金とはいえ、貸している側の金融機関がそれを担保にして抵当権を設定しているわけではないし、お互い知る話でもないので、それぞれの借金をきちんと返せば、相手方はそれで満足されることだと思うが、県民の立場に立てば同じ県なのに、それぞれが借金をしているということで、単純に言えば金利もその分かかっている。わかりにくい話だと思う。
 そこで、売った側の財政当局の担当者から、売買契約の方法や未償還残高については説明を受け、私なりに理解したので、こうした話をさせていただいたが、病院局の方も売買契約の際に一定の説明を受け、理解をされた上で、公印(管理者印)を押され契約したと思うが、私の理解で間違っていないか?

 病院事業として所有者を病院事業管理者にする必要があったことは理解する。しかし、売買契約をして所有権を移転して、当面払えない分については未払い金として病院の収益の中から割賦払いをする方法もあるし、県は様々な会計間でそれを実践しているのでそうした方法を使えば、外部の借金を二重にする必要はなかったと思う。
 1つの物件について2つの会計で起債が残っていても、それはたまたまで、こうしたことを禁じる規定もないようだ。しかし、悪用する人がいれば、同じ建物を転売していくと、2つでも、3つでも起債をしようと思えばできる。こうした手法で手持ちの現金を増やすことができるということである。しかし、こうしたことは本来議会がチェックすべき問題。23年2月の補正予算の議案の中にこの財産の取得について記載されていた、議案の形式としては問題がなかったことも自戒を込めてあわせて申し上げたい。しかし、またと言っては何だが今回もなぜか、今年の実質公債費比率が結果として、改善される結果になっている。もちろんこれはここで聞く話ではない。
ここは病院局であるから、黒字と言ってもまだまだ病院の経営は厳しいし、政治の考え方次第によっては、診療報酬を下げようとする人が政治を担うということもあるかも知れないので、そうしたことにも対応できる病院局であってほしいと思う。

●総括審査

1.自殺抑制の取り組みについて
2.障害者雇用の推進について
3.特別支援教育の充実について
4.都市計画道路の見直しと公共交通機関の充実について
5.総合治水対策の推進について
6.健全な財政運営のあり方について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (総括審査)
2011年10月21日(金)

1 自殺抑制の取り組みについて

 昭和60年以降、1,000人前後で推移してきた本県の自殺者数は、平成10年に1,400人を超えて急増して以降、1,300人~1,400人という高い水準を続けている。
 平成22年4月に、わが会派の代表質問を受けて兵庫県は、全国に先駆けて「兵庫県障害福祉課いのち対策室」を設置し、専属の部署を設けて市町と連携した自殺防止の取組を進めており、一定の評価しているところである。
 一方、厚生労働省は、平成19年以来の重点的な対策として取り組んできた、「がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病」について、近年の患者数の急増を背景に「精神疾患」を加えて「5大疾病」として重点的な取り組みを行う方針を固めた。
 平成20年に同省が行った調査によれば、糖尿病の患者が237万人、がん患者が152万人だったのに対し精神疾患は323万人と、いずれをも上回っていたことが、その大きな要因であるが、年間3万人を超える自殺者のおよそ9割が何らかの精神疾患にかかっていた可能性があるとの指摘もあることから「5大疾病」の位置づけとその対策の重要性が理解できる。
 本県における自殺対策推進方策においては、その基本的認識として、次の2点があげられている。
 1つには、「多くの自殺は、経済・生活問題、健康問題、家庭問題など様々な要因とその人の性格傾向等が複雑に関係して発生しており、自殺を図る直前には、うつ病、アルコール依存症等の精神疾患を発症するものの、うつ病等の精神疾患に対する早期発見と適切な治療によって、多くは防ぐことができる。」ということ。
 2つには、「家族や職場の同僚などは、自殺のサインに気づいていることも多く、県民一人ひとりの気づきを自殺予防につなげていくことが重要」ということである。その通りだと思う。
 兵庫県自殺対策推進本部会議の資料をみると、平成15~19年における圏域別年齢調整自殺死亡率で、「男性では、但馬・丹波県民局管内が高く、女性では、淡路が高い傾向にある」と分析されている。
 しかし、私が平成22年の個別の自治体や県民局ごとの数値を調べても、但馬の自治体でも、但馬県民局平均では人口10万人当たり22.3というが、香美町が9.5で、朝来市が67.6と大きく違っていることからも、エリアを区切った優先的な対処療法というよりは、各市町レベルでのきめ細かな取り組みが重要である。
 現在、兵庫県いのち対策室では、「①県民の自殺予防に対する理解の促進」、「②こころの健康保持対策(相談体制の充実等)」「③うつ病を中心とした精神疾患対策」そして「④自死遺族支援対策」の4項目を柱に取組を進めているが、最初に申し上げた5大疾病の話を持ち出すまでもなく、私は中でも②と③が重要だと思っている。
 私はフィンランドに行って自殺対策についてその取組、すなわち日照時間に関する研究や自殺のサインなど医療的ケアの先進事例による成果を勉強させてもらったことがあり、また、日本で自殺率の一番高い秋田県では、2001年度から2005年度にかけて、県下6町をモデル地区に指定して、うつ病と自殺に関する地域ぐるみの健康教育活動で、自殺率を下げることに成功したと聞いている。
 さらに日本では、気候風土のほか、景気と男性の自殺に相関関係にあるとも言われており、こうした面からの対策も必要になってくるだろう。
 平成22年における県内自殺者は1,359人であり、目標として「平成28年までに県内の自殺死亡者を1,000人以下に減少させる」とされている。
 我が会派としても、9月に行った重要政策提言で、「マスコミとの協力体制の構築も含めた、職域、学校、地域等との連携」「相談体制の充実、精神科医療の適切な受診環境の整備等の推進」「目標達成に向けた年次計画の作成」「精神保健的な視点だけではない社会・経済的な視点をも含めた県民運動としての取り組み」などの重要性を申し述べるなど、重要なテーマとして取り組んできた案件である。
 しかしながら、一方で講じられる対策が、総花的になり過ぎてはならず、施策の優先順位をきちんと付けた取り組みとすべきであるとともに、実務面でも部局間の縦割りを克服してオール県での対策であるべきこと、さらに支援対象者に関して重要なのは、より複雑な問題を抱えた人ほど、本来支援を必要としているにもかかわらず支援対象から埋没しているケースは多くあり得るということをしっかりと認識しておくべきである。
 こうした課題や施策の検証等を考えるとき、県の目標達成はそんなに簡単なことではないと思われるが、政府も3万人以下という目標達成に力を入れており、積極的な取り組みを期待する意味から、本県における自殺者数の現状と目標達成に向けた決意を伺う。

2 障害者雇用の推進について

 我が会派はこれまでも障害者雇用に関しては、「障害者雇用率制度を中心として一層の雇用拡大を図ることとし、企業に対する制度の普及・啓発、採用後のサポートや特例子会社設立への支援等を推進するとともに、福祉関係機関やハローワークとの連携を図りながら、障がい者の特性や希望に応じた職業訓練、職業指導に積極的に取り組むこと。」の大切さを提言し、取り組んできた。
 雇用情勢の低迷が長期化している中、不況の影響を大きく受ける障害者の雇用に対しては、より実効性のある対策が急務となっている。
近年における企業の社会的責任や共生社会の実現に向けた関心が高まる中、障害者の自立支援に向けた企業の取り組みをしっかりと調査するとともに、そのノウハウを活かした支援策を講じる必要がある。
 例えば、精神障害者の雇用率が低いとされる原因の一つに、企業職場の理解の低さや心の健康管理上の問題もあることから、それに対応する環境づくりも大切で、臨床心理士等の配置が急がれるという見方も多い。
 本県では、障害者の就労支援に積極的な「就労応援企業」を募集・登録し、企業等における障害者雇用の理解促進を図ることとしており、平成23年10月1日現在で、542社の登録を戴いているが、今後はさらに進めて、企業職場で障害者が能力を発揮しやすい雇用・就労条件や職場環境づくりを積極的に進められるような支援と、その進展プロセスを社会的にモニタリングできる仕組みの構築などの施策展開も検討していく必要がある。
 一方、部局審査の際に我が会派の掛水委員が指摘したように、改正障害雇用促進法で定められた法定雇用率1.8%について、本県は2010年実績で1.81%と辛うじて上向いているものの、極めて際どい状況にあり、間違っても法定雇用率をギリギリ達成しさえすればクリアしたかのような錯覚を抱くべきではない。
 障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」を実現することは少子高齢化が進展し多様化が進む我が国の今後の在り方を考える上で大変重要な課題である。
 そうしたことを県民に対してしっかりと周知しながら、自治体、教育機関、医療機関、企業、NPO等が実施して成果を挙げている先進事例やノウハウを活かした取り組みが必要と考えるが、障害者雇用の推進について当局の所見を伺う。

3 特別支援教育の充実について

 平成19年4月から、「特別支援教育」が学校教育法に位置づけられ、すべての学校において、障がいのある児童生徒の支援をさらに充実する特別支援教育がスタートして以来4年が経過した。
 障がいのある児童・生徒が生活や就労などの面で本来の力を発揮できる環境整備は全国的に進められており、特別支援教育を取り巻く環境変化が著しい中、従来の対象とされる障がいだけでなく、知的な遅れのない発達障害や、児童生徒数の約6%存在しているとされる、学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)、高機能自閉症を含めた児童生徒の自立や社会参加に向けた取り組みが、ますます重要視されている。
 しかしながら、特別支援教育を取り巻く状況は、障がいのある児童生徒の増加や、障がいの多様化による質的な複雑化が進んでいるといわれており、一方でこれに対応できる教員の人的不足や、専門性が不十分なものとなっているとの指摘もあり、これまでの取り組みをさらに工夫・拡充しつつ、様々な障がいに対応できるよう支援体制づくりや、学校種間の連携、教職員の専門性の向上などを一層進めていくことが肝要である。
 さらに、通常の学級にいる軽度の知的障害のある子どもたちが逆にエアポケットに入りつつある現状も見落としてはならず、子どもたちを落ちこぼすことのないセーフティネットとしての特別支援教育の全体的機能を、今一度考える必要がある。
 本県では、平成19年に「特別支援教育推進計画」を5カ年計画として策定し、県立特別支援学校の整備推進やLD、ADHD等の理解と支援、後期中等教育の充実、教職員の専門性の向上など、様々な取り組みを精力的に行ってきたところであるが、今後とも子どもたちの障がいの種類や程度に応じて、一人一人の個性を尊重するとともに、個人の才能を伸長して、自立に向けた成長を促すためには、障がいのある児童生徒をとりまくすべての人々が特別支援教育への理解を深め、年齢が進んで教育機関の変化(保育所・幼稚園から特別支援学校小・中・高等部への変化)により支援が寸断されることのないよう部局間の連携を図りながら、一層きめ細かく適切な支援を強化していく努力が欠かせない。
 先日の教育委員会部局審査でも指摘があったように、姫路特別支援学校をはじめ県内各地の特別支援学校に関わる課題として、普通教室や運動場の不足などといった環境改善の問題なども取りざたされている中、制度から4年を経過した特別支援教育はまさに転換期にある。
 特別支援教育の一層の充実化に資するため、これまでの課題の先送りで無い決意のもと、その予算確保と事業の着実な実施について、所見を伺う。

4 都市計画道路の見直しと公共交通機関の充実について

 都市における人や物資の円滑な移動を確保するための交通機能のほか、市街地形成機能、景観形成機能など様々な役割を有する都市計画道路は、急速にまちづくりが進められた高度経済成長期に多くの計画が決定されてきたといわれるが、本県では、戦後からの高度成長期に、都市の拡大を想定して多くの都市計画道路が決定されたものの、50年以上未着手の区間が多く残されていると聞いている。
 例えば、県全体の都市計画道路の延長を見ると、これまで計画された約2,500㎞の幹線街路のうち、未着手となっている部分が約720㎞に及んでおり、その割合は約28%で、特に昭和20年~33年に決定された1,335㎞の幹線街路のうち、約3割にあたる396㎞が未着手の状態である。
 老年人口の増加に伴い、今後の都市計画道路の整備には、安全・安心で快適な移動空間機能の確保など質の高い都市施設としてのニーズが求められているとはいえ、こうした状況を鑑みれば、その必要性や整備手法等の適正化等を改めて検討する必要性がある。
 一方、少子高齢化や地球環境問題などの社会情勢が大きく変化する中、都市部における交通環境改善や地方部での生活の足の確保などを鑑みた公共交通ネットワークの充実が求められている。
 政府は本年2月に「交通基本法の立案における基本的な論点について」を発表し、環境問題やまちづくり政策など、持続可能な交通、社会づくりに資する私鉄、バス、フェリー等の公共交通の充実・発展は21世紀に求められる国家的な重要政策と位置づけている。
 本県でも、公共交通の充実や利用促進方策をひょうご交通10カ年計画としてとりまとめ、その推進を図ってきたところであるが、特に今年は策定から5年を経過した節目といえる。
 バリアフリー新法に伴って、まちづくりとともに公共交通の重要性が高まっている中、生活交通バスや鉄道など、県内公共交通の廃止・削減などにより移動権が侵害されつつある現状を打ち破るとともに、買い物難民や通院難民の解消や計画で定める公共交通の輸送分担率40%達成に向け、地域で安心して暮らせる整備が重要である。
 成熟社会にふさわしいまちづくの推進にあっては、地域特性に応じた新たなまちづくりの視点から、都市計画道路については、強力なリーダーシップをもって、見直すべきは見直される決断を行う一方で、公共交通機関の整備充実を一層進める取り組みが必要になってくると思われるが、所見を伺う。

5 総合治水対策の推進について

 県土整備部の部局審査において我が会派の三戸委員が質問したが、改めて所見を伺う。
 治水事業は、県土を保全して、水害や土砂災害から国民の生命と財産を守り、活力ある経済社会と安全で快適な国民社会を実現するための生活基盤の中でも最も優先的に整備すべき根幹的事業である。
 ごく近年だけでも2004年の台風23号や、22名の死者を出した2009年の台風9号による兵庫県西・北部豪雨などは未だその傷跡も癒えず、台風12号と15号もあわせると、いわば本県全域が台風常襲地帯ともいえるのではないかとも見まがわれる状況にあり、洪水・高潮といった水害や、地すべり・土石流・急傾斜地崩壊などの土砂災害からの防御策の取り組みが急がれることが改めて実感された。
 また、近年は全国各地で局所的な集中豪雨が頻発しているなか、いわゆる都市型水害が増加しており、本県においても同様な浸水被害が増えている。
 その主な要因としては、都市化の進展に伴う雨水の地下浸透の減退等によって、流域が持つ保水・遊水機能が低下し、雨水の流出量が短時間に増大することが指摘されているが、こうした都市型水害の発生を防止するためには、雨水の河川や下水道への排除のみならず、地域全体での雨水の流出抑制に取り組むことが大切で、加えて、土地利用や減災対策といったソフト対策も併行して進める必要がある。 
 本県でも、河川や下水道の整備に加えて、雨水を貯めて流出量を抑える「流域対策」、浸水被害が発生した場合でも被害を小さくする「減災対策」を組み合わせた『総合治水』の推進が重要との認識のもと、これを実現するための、「兵庫県総合治水条例(仮称)」の策定が計画されている。
 これは一定規模以上の宅地開発をする業者などに調整池の整備を義務付けるほか、流域ごとに推進計画を策定するもので、都道府県単位では全国初の条例化といわれている。
 台風や集中豪雨による洪水被害の多発を受け、県では従来の河川整備による対策では限界があるとして、総合的な治水対策を先駆けてまとめた武庫川水系河川整備計画を踏まえた検討を進めていたと聞くが、今後はとりわけ、ハード面の対策の限界をどのように踏まえ、県民に対する説明責任をどのように果たしていくのか、また他府県内の市が施行した条例による効果や、昨日(10/20)まで行われていた条例骨子案に関するパブリック・コメントの声を如何に分析した上で、その評価をどのように本県施策に活かそうとしているのか伺う。

6 健全な財政運営のあり方について

 これまで財政状況については今回の決算委員会だけでなく、本会議、予算委員会等でも多くの時間を割いて議論してきたが、今回は知事も出席されるのでマクロの話をさせていただく。
 まず、昨今の金融不安、ヨーロッパ、ギリシャの例を取り上げたい。
 ギリシャは、外国に国債を買ってもらっていたが、市場でギリシャの財政赤字が取り沙汰され、ギリシャ国債が暴落した。簡単に言うとこれがギリシャ問題、ヨーロッパの金融危機の発端で、その後、ギリシャを支援するヨーロッパ諸国の通貨であるユーロの信用が落ち、ユーロ安となり、その結果、相対的に信用があるスイスや日本にお金が流れて円高やスイスフラン高になっている。日本も多額の財政赤字を抱えているが、日本国債の外国人保有率は5%ほどとかなり低く、個人資産の方が国債残高より多いから暴落しないとも言われる。
 いずれにしろ、こうした観点から各国は財政赤字を減らす、すなわち財政収支のバランスをとろうという動きになっているが、日本やアメリカはなお赤字を続けており、増税や歳出削減ができない国、痛みから逃げる国と言われている。しかし、兵庫県は、知事や職員の給与カット、県単独福祉医療の見直しなど痛みを伴う改革を実施してきており、議会としても報酬の10%カットを継続するなど、国に先んじて取り組んできたところである。
 しかし、私が本県財政で心配するのは、財政指標・地方交付税リスクと県債総額・金利リスクであるが、やはり最大のリスクは金利だと思っている。
 行政の場合、先物取引や外国債での運用など金利のリスクヘッジを資金運用でできる民間企業ではない。金利を自由に設定できる立場にもない。やはり県債残高という量でリスクを管理しないといけない。
 というのもフローの指標である実質公債費比率が21.2と兵庫県の21.0を抜いてワースト2になった徳島県であるが、ここの将来負担比率は238.6%と兵庫県の350.2%より111.6%も良い。実質公債費24.1とワーストの北海道でも将来負担比率では330.2と兵庫より20%もいい。兵庫県はやはりストック面での課題が数字にも現れているということである。
 本県の場合、起債が認められるものは全て起債を原則とし、通常の起債で足りない部分も行革推進債、退職手当債といった資金手当債を活用してきた。本県は、地方債の許可期限が30年となっていることから、最長では30年の超長期債も発行しているが、それより短い償還期間で満期を迎えた県債については一定の範囲で再び借換債を発行して、その償還資金を工面している状況である。つまり、当面は高水準の県債残高が維持されるものと見ている。しかし、残高が多いまま、金利が高くなれば、必然的に利払い額は増えていくことになる。現在は低金利によって助かっているが、今後金利が上がれば大変な負担になってくることは容易に想像できる。
 金利と言う観点から、一般会計等のほか公営企業会計も含めた支払う県債総額をみるが、全会計の21年度末県債残高4兆7032億円に対する支払利子は22年度747億円、金利は1.59%。一方県全体の基金の受取利息は16億円。ただし、財政基金、特定目的基金や他の集約基金等の利子は、県債の償還財源には充てられないため、県債管理基金のルール積立分に限れば、2億円の受取利息しかない。差し引きをすると金利だけで745億円の支払超過となっていることになる。この利払いについては交付税措置で一定のカバーがあるため、差額そのものが県だけでなく国も負担しているということであるが、いずれにしろ、この金利リスクは厳しく見ておかなければならない。
 「第2次行革プラン」の中間目標として、「県債残高を平成25 年度末には平成19 年度末[地財33,591]の95%水準に圧縮する」という目標が掲げられている。22年度は原口総務大臣の強いリーダーシップで地方交付税の代替措置と言われる臨時財政対策債の発行が1900億円も認められたが、現在の推移を見ていると、この目標達成は容易だろう。新行革プランの想定より内容は改善傾向にあるということで、もう少し厳しい目標設定が可能になったのではと感じている。そこで本県の県債残高を縮減する取り組みについて、もう少し厳しい目標設定にすべきではないかと、また、そうしたメッセージがやや弱いのではないかという気もしているが、また、財政の最大のリスクである金利についての所見もあわせてお伺いしたい。

竹内英明
姫路市

●財政状況

1.財政運営について
(1) 起債による収支不足対策について
(2) 県税等の滞納繰越の解消について
(3) 不納欠損額の状況について
2.平成22年度補正予算における雇用確保対策等について
3.新設ポストによる効果について
4.各種基金の使途及び必要性の検証について
5.県有地信託事業について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2011年10月7日(金)

1 財政運営について

 質問の第1は、財政運営について3点お伺いする。

(1) 起債による収支不足対策について

 まず、「起債による収支不足対策」についてである。
 現在、本県では、平成11年度以降、全庁を挙げて、行財政全般にわたる改革を行い、持続可能な行財政基盤の確立及び元気で安全安心な兵庫づくりを進める行財政構造改革に取り組んでいる。
 この取組の基本として、平成11年度には「行財政構造改革推進方策」を策定し、その後、社会状況等の変化等を踏まえて適宜見直しが行われ、平成20年度には、新行財政構造改革推進方策、いわゆる「新行革プラン」が、また、この3月には、第2次行財政構造改革推進方策、いわゆる「第2次行革プラン」が策定された。
 しかし、これら二つのプランで示された平成30年度までの財政フレームにおいては、収支不足の財源対策として、退職手当債及び行革推進債の発行、並びに県債管理基金の取り崩しが充てられている。
 この点、平成22年度決算においても、このような財源対策により、4億円の黒字になったとされているが、その背景で県債残高は確実に増えており、借金を増やしながらの黒字ということに疑問を感じざるを得ない。私は、安易な県債発行や基金取り崩しは、収支不足の根本的な対策としては不適切であり、より適切かつ根本的な取組を進めることが必要ではないかと考える。
 そこで、平成22年度には、退職手当債250億円、行革推進債203億円の発行を行っているが、この発行金額はどのような算定の下で定められたのか、22年度決算を踏まえて、その金額の妥当性について、どのように認識しているのか、当局のご所見を伺う。
 併せて、第2次行革プランにおいて、退職手当債は平成28年度以降は発行せず、また行革推進債についても今後、漸減傾向にあるが、22年度決算を踏まえ、その見通しについての変更の有無についても、説明頂きたい。

(2) 県税等の滞納繰越の解消について

 次に、「県税等の滞納繰越の解消」についてである。
 平成22年度の本県の決算状況によれば、県税における収入未済額は、前年度より約14億3千万円減少し、約212億2千万円となっており、このうち、滞納繰越額は約149億5千万円となっている。
 また、県税を除く各部局における各種の償還金や使用料等の滞納繰越額も、約95億1千万円と未だ多額な状況が続いている。
 このような滞納繰越は、本来、本県の正当な収入として徴収が行われるべきものであり、債務者の経済事情などにより徴収が困難な事例など、それぞれのケースで個々の事情はあるとは考えるが、引き続き、積極的な徴収を行うことにより、本県の収入確保に努める必要が高いと考える。
 そこで、平成22年度末の滞納繰越の状況について、その多くを占める県税、産業労働部、県土整備部で、それぞれ、その金額を含め、概要を説明頂きたい。
 併せて、滞納繰越となることを未然に防止するため、また、滞納繰越額を改善、解消するため、当局においては、従来から様々な取組を進めておられることと思うが、平成22年度の取組の成果を踏まえ、今後、更にどのように取り組んでいくのか、お伺いする。

(3) 不納欠損額の状況について

 次に、「不納欠損額の状況」についてである。
 平成22年度の監査報告書においては、平成22年度における県税等、また各部局における不納欠損額の状況も示されている。
 このうち、県税等における不納欠損額は約15億1千万円、各部局において最も不納欠損額が多額であるのは県土整備部の約1億9千万円となっている。
 この点、滞納者の経済状況等を見れば、中にはやむなく不納欠損とせざるを得ないケースがあることや、また、不納欠損の条件は、地方税法等に定められており、これらの規定に基づき適切な手続が進められた結果、不納欠損として取り扱われることとなることは、私も理解はしている。
 しかし、先ほども申し上げたが、これらの不納欠損額は、本来であれば、本県の正当な収入として徴収が行われるべきものであったはずであり、毎年、多額の不納欠損額が生じることは、本県の厳しい財政状況を見ても、決して好ましいことではないことは明らかであり、当局においても、それぞれの滞納が不納欠損に陥ることを未然に防止し、不納欠損額の増加を防ぐため、あらゆる方策に取り組んでおられることと考える。
 そこで、上記の県税等、また県土整備部における不納欠損額について、どのような未然防止策、また増加防止策に取り組んだ結果、従前に比べ、22年度の状況は改善したのか、またはしなかったのか、それぞれ、その状況について伺う。

2 平成22年度補正予算における雇用確保対策等について

 質問の第2は、「平成22年度補正予算における雇用確保対策等」についてである。
 円高による景気の下振れ懸念や厳しい雇用状況などに対応するため、国の経済対策に伴い、本県においても、昨年10月及び12月の2度にわたり、県として取り組むべき事業の予算化を図るとともに、本県の経済・雇用情勢を踏まえ、早急に対策を必要とする生活関連や防災に係る県単独事業の実施、中小企業の資金繰り対策等に関する補正予算を編成した。
 補正予算の規模は、10月補正が約149億円、12月補正予算が約750億円であるが、このうち、雇用確保対策に10月補正で約55億円、12月補正で約59億円、そして中小企業金融対策に12月補正で200億円が充てられており、2つの補正予算全体の3分の1を占めている。
 そこで、これら雇用確保対策と中小企業金融対策の主な施策について、その概要と実績について説明を頂きたい。
 また、こうした雇用確保対策等も、一朝一夕に目覚しい効果が上がるものではなく、より長いスパンでその効果を分析検証していくべきものとは考えるが、取り組んだ施策の実績を現時点でどのように評価し、次なる施策展開につなげていくのか、あわせて説明を頂きたい。

3 新設ポストによる効果について

 質問の第3は「新設ポストによる効果」についてである。
 行財政改革の取組が進む中、職員の定員・給与については、平成30年度までに概ね3割の定員削減に加え、給与カットも引き続き実施されている一方で、平成22年度の組織改正においては、変化の激しい時代における県政の総合調整機能や政策立案機能を強化するため、政策参事にかえて「総合政策室長」を設置するとともに、続発する危機管理事案への対応や、東南海・南海地震への備えに万全を期すため、危機発生時の統括責任者である防災監を補佐・代理し、防災対策に的確に対応するためのポストとして「副防災監」が設置された。
 これら総合政策室長及び副防災監に対しては、行革の取組の一環として、7%削減がなされるとは言え、管理職手当も支給されていると聞いている。
 簡素で効率的な組織体制を目指し取組を進める中で、こうしたポストの新設については、その役割や果たすべき責任とコストとのバランスを常に検証し、不断の改革に努めていく必要があると考える。
 そこで、総合政策室長及び副防災監の二つのポストについて、これらの検証をどのように行ったのか、今年度は総合政策室長が廃止され政策監が新設された一方で、副防災監は引き続き継続設置されることと判断された経緯や考え方を含め、説明を頂きたい。

4 各種基金の使途及び必要性の検証について

 質問の第4は「各種基金の使途及び必要性の検証」についてである。
 今定例議会の議案とともに配布された、本県における平成22 年度の基金運用状況審査意見書等によれば、本県においては平成22年度中、計48もの基金が運用され、各種の関連事業の財源として活用されてきた。
 その中で、今回の基金運用状況の審査対象のひとつに「美術品等取得基金」が挙げられており、その内容を確認したところ、約1億円の経費を用いて陶芸美術品等の購入が行われていた。
 同意見書によれば、これにより、同基金に関して、現金の平成22年度末現在高は約1億円減少するものの、動産(物品)に関する平成22年度末現在高が同額増加するとの説明となっている。
 確かに、この説明のとおり、動産として財産上の形は残るとは言えるが、県の財政状況が非常に厳しく、県民とも痛みを分かち合いながら行革の取組を進めている中で、基金とは言え、このような多額の予算を用いて、いわば贅沢品を購入することについて県民の理解が得られるのか疑問を感じざるを得ない。
 そこで、この例を含め、基金を活用した事業実施を行うにあたって、県民の理解を含め当該事業の妥当性を検証するために、どのような方策を採っているのか、説明頂きたい。
 併せて、一般県民の率直な意見として、本県財政がこれだけ苦しい状況であり、行革の取組も積極的に進める中、そもそも48もの基金自体の必要性について、しっかりと検証を行い、仮に不要と判断されるものがあれば、積極的にその見直しを進めるべきと考えるが、当局の所見を伺う。

5 県有地信託事業について

 質問の第5は「県有地信託事業」についてである。
 昨年の21年度決算特別委員会においても、質問が出たようであるが、本県の財政運営を考える上で、非常に重要な問題であると考え、改めてお尋ねする。
 この県有地信託事業については、平成19年に受託者である信託銀行から立て替え金の支払いを求めて訴訟を提起されている。
1審では、県が勝訴したが、2審では平成22年、受託者の請求を認容する判決が出された。2審判決を不服として県は最高裁へ上告、現在最高裁で、上告受理についての審査が行われているところである。
 同事業は、バブル絶頂期の昭和62年に加西市の153万㎡の信託土地を青野運動公苑と名付け、県民スポーツ・レクリエーション施設として造成・建設し、その信託土地と信託施設を受託者である信託銀行が信託期間の昭和62年から28年間、2015年まで管理・運用する事業である。
 信託銀行は、平成18年以降、管理運営資金の借り換えができず、債務返済資金と運転資金78億7900万円を立て替えた、その分を年6%の利息を合わせ、県に支払いを求め、県との間で争いとなったものである。
 契約内容から推測すると、信託銀行側が自己利益を守るために、訴訟を起こした感もあるが、いずれにしても、万一敗訴の場合、79億円に利息を含めた支出が発生することとなる。
 第2次行革プランで、一生懸命支出の削減にも努めている中、万が一にもそのような事態となれば、職員の士気にも影響しないか、また県民の理解を得られるのかどうか、非常に行方を危惧している。
 そこで、昨年の最高裁への上告後、現在どのような状況におかれているのか、係争中でもあり、詳細な答弁は難しいかもしれないが、可能な限り詳細な状況説明を頂きたい。

●公安委員会

1.警察費の施策効果等の公表について
2.交番などの警察施設の建替方針について
3.,地域住民による防犯活動の取組支援について
4.県民が求める警察官の育成等について
(1) 採用試験における資質の見極めについて
(2) 時代に即した新人警察官への教養について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (公安委員会)
2011年10月13日(木)

1 警察費の施策効果等の公表について

 質問の第1は「警察費の施策効果等の公表」についてである。
 平成22年度決算として134億9,464万円が公表されている。しかし、一般県民にしてみれば多額の予算が投じられている中、警察としてどのような活動をして、どのような効果があったのか、県民に分かりやすく公表する必要があるのではないか。
 兵庫県では犯罪の発生件数が8年連続減少し、数字のうえでは治安は良くなっているように思える。しかし、県内外を含め、凶悪事件が発生しているニュースが多く聞かれる中、私も含め、県民のほとんどが、生活の中で治安が良くなったとは実感できていないのではないかと考える。
 発生件数の減少は、警察官の皆さん一人ひとりが地道に頑張っておられる成果だと思うが、それが県民に伝わらないのが残念であり、なおさら、冒頭の約135億円という多額の予算が充てられ、県警が頑張っているのだということをしっかりと公表する必要性を感じる。
 例えば、振り込め詐欺防止に、緊急雇用の広報啓発支援員を、金融機関のATM周辺に配置することにより、被害を最小限にくいとめる効果があった。警備員の委託費用からみても有効な事例であり、このような県警察として取り組んだ施策により生じた具体の治安向上の効果やその評価を広く公表すれば、県民による警察への理解や信頼度、防犯への取組がさらに進み、結果として県民自身の体感治安の向上にもつながるのではないか。
 そこで、県警察として実施した施策の具体的な効果や、その評価について、より一層、県民に積極的に公表していくべきと考えるが、所見を伺う。

2 交番などの警察施設の建替方針について

 質問の第2は「交番などの警察施設の建替方針」についてである。
 世界の中で、日本の治安の良さは誇れるものであり、それは地域の中に、交番、駐在所が存在することが非常に大きい効果を生んでいるものと考える。それぞれの交番や駐在所に勤務する警察官の皆さんが、地域に溶け込んで活動され、住民から、身近なおまわりさんとして親しまれ、信頼を得て、地域の治安を守る上で大きな役割を果たし、その存在自体が犯罪の抑止力となり、地域住民は安心して生活を送ってこられた。
 ところが、近年、交番を統合・再編し、その数は減少傾向にある。警察官の配置にもよるが、長年身近な存在であった交番が、統合のために移転を余儀なくされれば、仮にパトロールの強化によりこれまで通りの治安の維持が図られるとの説明を受けたとしても、それまで、現に存在していた交番が失われてしまうという住民の不安には計り知れないものがある。地域において、交番や駐在所というものはとても重要な施設であり、まさにすべての県民の安全安心の拠り所である。
 そこで、このような交番、駐在所を建て替える際には、安易な現状建替をするのではなく、犯罪発生状況や住宅等の周辺の環境にも十分配意して設置していることと思うが、交番、駐在所の存在意義についての認識や設置する際の県警察としての方針を伺いたい。
 加えて、平成22年度決算として、警察施設等活動基盤の整備充実として27億4,029万円が公表されているが、その中に含まれる交番、駐在所の決算額と建替戸数、名称についても、あわせて伺いたい。

3 地域住民による防犯活動の取組支援について

 質問の第3は「地域住民による防犯活動の取組支援」についてである。
 地域の治安を向上させるため、地域住民をはじめ、県当局や防犯協会等の関係団体とも連携しながら、積極的に地域安全活動を推進しておられる県警察の皆様には、大変感謝している。
 このようなご尽力もあり、県下では、12,603もの自主防犯活動実施団体が活動を行うとともに、18,430箇所もの防犯連絡所、58,091ケ所もの子供を守る110番の家が設置されるなど、各地域において、地域住民が主体となって県警察と協働活動している拠点も、草の根的に増えてきている。
 県下の各地域では、朝早くから子供たちの登下校時間に、横断歩道で誘導、また声をかけて温かく見守って頂いているこども見守り隊、夜間の警戒パトロールや、町内の公園、暗い夜道を歩く防犯パトロールなど、町内会や婦人会、こども会といった地域団体の役員、会員の皆様が、毎週毎日欠かさず、積極的に活動されている。
 ただ、このような地域の方々の活動は、聞くところによると、ボランティアとして無償で活動されていることがほとんどのようである。
 確かに、このような地域防犯活動は、自らが住む地域の治安を自らの手で守り、安全安心に暮らすための活動として、地域住民が、その負担において主体的かつ自発的に取り組むべきものとも考えられる。
 しかし、こうした地域の活動の活発化により地域の治安が守られ、犯罪等の発生が抑止されることにつながれれば、結果的に、警察業務の効率化や省力化にもつながるものであり、県警察としても好ましい結果を生むのではないか。
 そこで、県警察として、県民が地域防犯のために尽力されているこのような活動に対して、安全に活動できるための機材整備など、積極的に何らかの支援、サポートを行っていくとともに、市町とも連携を図り、このような住民の防犯活動の輪がより一層広がるよう取り組んで行くべきと考えるが、所見を伺う。

4 県民が求める警察官の育成等について

 質問の第4は「県民が求める警察官の育成等」についてである。
 現在の若者気質には、私たちの世代には理解できないものがある。しかし、その若者が将来の県警察を担っていくのは間違いがない。
 一方、警察という組織は日々発生する犯罪への対応や犯人の逮捕から、県民の要望や身の上相談まで、幅広く対応しなければならない。そのような広範な業務の大半は、警察官個々の力では対応が困難なものであり、適切な対応を目指し組織として活動することとなる。
 そこで、人間として、また警察官として、真に県民が求める人材の採用や育成に取り組む上で、2点伺いたい。

(1) 採用試験における資質の見極めについて

 まず、「採用試験における資質の見極め」について伺う。
 県警察は採用の年齢条件を30歳から35歳に引き上げ、より多くの受験者を確保しているようであるが、中には、警察官として採用されることを熱望し、何度も受験している方もおられると聞いている。
 確かに、採用試験に合格するには、一定の学力が必要とされることは当然であり、すべての受験者に対して、共通かつ公平な基準で、その合否を決定すべきことは言うまでもない。また、警察官の職務のご苦労は並大抵なものではなく、ヤル気だけで勤まるものではないことも十分に理解している。
 しかし、警察官として何よりも必要とされるのは、公共の安全と秩序の維持に邁進する強い正義感や高い志とともに、組織で活動するための強い帰属意識ではないか。
 そこで、県警察として、採用者を決定するにあたっては、このような将来の警察官を目指す強い信念や気概についても、警察官としての適性につながる資質の一つとして、しっかりと見極めていくべきと考えるが、県警察としての所見を伺う。

(2) 時代に即した新人警察官への教養について

 次に、「時代に即した新人警察官への教養」について伺う。
 警察官の試験に合格すると、芦屋市の警察学校に一定期間入校し、そこで警察としての教養を受けているが、その入校期間中に多数の辞職者があると聞いている。
 この点、多くの県民が、警察官には「強くて、頼もしくて、何事にも動じないタフな人」といったイメージを抱き、「正義の味方、強くて頼もしい存在」であることを願っているのではないか。警察官という職業が、このような県民からの期待に応えるべき厳しい職業であることを考えれば、私は、団体生活や教養に馴染めない者が辞職していくことは、真に県民が求める人材を育てる上では、ある程度、やむを得ないことと思っている。
 しかし、現実には、求められる警察官像に最初から100%適合するようなスーパーマンが存在する可能性は限りなくゼロに近い。人間には誰しも何らかの欠陥があり、長所も短所も持ち合わせているのであり、このような様々な特徴を持った新人警察官に教養を行い、警察組織を維持していくため必要とされる「知力・体力・気力」の三つの能力を兼ね備えた人物により近づけていくのが、警察学校の役割であると考える。
 そこで、厳しく指導することも必要であるが、その一方で、現代の若者気質を理解した上で、時代に即した新人警察官の教育を行っていく必要もあると考えるが、県警察としての所見を伺う。

●農政環境部

1.環境保全等の取組について
(1) 大気環境汚染対策の効果について
(2) 環境学習の推進をはじめとする意識啓発について
2.県民生活と食をつなぐ仕組みについて
(1) 日本型食生活の普及について
(2) 卸売市場の機能強化について
3.農業の後継者確保対策について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (農政環境部)
2011年10月14日(金)

1 環境保全等の取組について

 質問の第1は「環境保全等の取組」についてです。
 環境問題は、我が国のみならず、この地球に住む全人類にとって喫緊の課題であり、本県としても、国の動向を踏まえ、引き続きしっかりと関連施策を進めていかなくてはなりません。
 そこで、以下、2点お伺いします。

(1) 大気環境汚染対策の効果について

 まず、「大気環境汚染対策の効果」について伺います。
 大気汚染の主な原因としては、工場などが生産活動を行う際に、汚染物質を排出する場合と、物流や人流など自動車等の使用によって汚染物質が排出される場合の二つがあります。
 昔、大阪から阪神間の大気汚染は、1960年代前後から70年代の高度経済成長期にかけてピークとなりました。その頃は小学校の教室の窓を開けたままにしておくと、工場のばい煙によるすすが机上に積もり、まるで砂に字を書くように、そこに文字が書けた時代でもあり、人々の健康よりも、社会全体の経済成長が優先される時代でした。
 しかし、水俣病やイタイイタイ病、四日市喘息といった公害病が発生し、国民の健康被害が社会的に大きく取り上げられ、国民への公害問題への関心が高まる中、ようやく1967年に公害対策基本法が制定されました。その後も、関連法令が整備、適正に運用され、工場・事業所など多岐にわたる汚染物質の発生源に対する総合的な対策に取り組まれてきた結果、いまだ十分とは言えませんが、かなり改善されてきました。
 その一方で、こうした公害型の大気汚染に代わり、大都市を中心に次第に大きな問題となってきたのが、自動車、特にディーゼル車から排出される二酸化窒素(NO2)及び浮遊粒子状物質(SPM)による大気汚染です。これらの物質は、呼吸器に望ましくない影響を与えるとされ、発がん性のおそれを含む国民の健康への悪影響が懸念されています。
 国道43号沿線の大気汚染問題に係る尼崎公害訴訟も記憶に新しい本県としても、引き続きしっかりと対策を講じる必要があるものと考えます。
 そこで、平成22年度に、自動車環境等対策事業として、約14億2,400万円の予算を充てて取組を進めておられるようですが、具体的にどのような対策に取り組み、どの程度の効果につながったのか、お伺いします。

(2) 環境学習の推進をはじめとする意識啓発について

 次に、「環境学習の推進をはじめとする意識啓発」について伺います。
 1960年代までは、公害問題は大都市を中心とする特定地域における問題でしたが、その後、世界各地で大規模な開発と工業化が進むに連れ、例えば国境を越えた酸性雨被害など、最早、特定地域における問題と言えない状況となりました。
 様々な経済活動による自然破壊や、豊かで快適な生活を送るための大量のエネルギー・資源の消費、これに伴う多量の廃棄物の発生など、人々の活動が拡大するにつれ、熱帯雨林の減少やオゾン層破壊、地球温暖化問題など、地球規模での環境問題が顕在化し、我々人類全体の生存に関わる喫緊の課題となっています。
 この3月に発生した東日本大震災は、地震や津波によるがれき等の災害廃棄物の処理、流出した有害物質や原発事故で外部放出された放射性物質による環境汚染など、被災地を中心に環境面でも甚大な被害を及ぼしました。
 大震災以降、原発事故による水や土壌の汚染についての関心や、節電をキーワードとした省エネ意識など、国民の環境意識が高まっていますが、現実には、もっと大きな意識・価値観の変化が見られるのではないでしょうか。
 阪神・淡路大震災の時も同様でしたが、今回の大震災で私たちは、経済成長や効率化の中で忘れかけていた人と人とのつながりや地域のきずなの重要性を改めて認識したのではないかと思います。
 また、人が抗えない自然の脅威というものを目の当たりにし、「人と人とのつながりや絆の大切さ。それぞれの地域にあった自然との共存のあり方」ということにも、目を向けるようになったことと思います。
 これを機にあらためて、県民一人ひとりが、これまでのライフスタイルがどれほど環境に悪影響を与えているかを再認識するとともに、真摯、謙虚な気持ちで環境について学び、責任ある行動を行うよう、県として、より一層、その意識啓発や機会提供に努めていくべきと考えます。
 そこで、平成22年度における環境部局の総予算は約98億5600万円(決算ベース)となりますが、これらを活用して、県民の意識啓発や広報のためにどのような取組を行い、どのような効果につながったのか、お伺いします。

2 県民生活と食をつなぐ仕組みについて

 質問の第2は「県民生活と食をつなぐ仕組み」についてです。
 日々、安全で安心な食生活を送ることは、心身の健康につながります。食事内容と健康とは密接な関係にありますが、近年、バランスのとれた食生活を送っている人が少ないことは残念です。アンバランスな食事は、体調を崩し様々な病気の原因ともなり、ひいては医療費の増大にもつながります。
 未病という言葉がありますが、主に乳製品、動物性油脂、穀類等から成り、食物繊維含量の少ない欧米型の食事と異なり、多種多様な食素材を組み合わせ、蒸す、焼く、揚げる等の各種の調理法を用いる日本型の食事は、生活習慣病をはじめ、各種の病気を予防する上で、大きな効果があると言われており、世界的に見ても、非常にバランス良い食生活であると言えます。
 そこで、以下、2点お伺いします。

(1) 日本型食生活の普及について

 まず、「日本型食生活の普及」についてです。
 日本型食生活と呼ばれる我が国の伝統的な食生活は、米を主食に、春夏秋冬の四季に応じた水産物や農産物など多種多様な副食から構成され、江戸時代半ば頃に成立したと言われています。かつては、タンパク質不足と塩分過剰摂取が問題とされていましたが、経済成長とともに栄養状態が改善され、栄養バランスに優れた健康食として欧米諸国からも注目を浴びるようになって来ました。
 30年ほど前のヨーロッパと日米共同研究の例によると、心筋梗塞による死亡率は1位フィンランド、2位アメリカ、3位オランダの順で高く、日本は上位国と比べて7分の1の死亡率にとどまっていたそうですが、近年、日本の献立や食生活が欧米化するに連れ、エネルギーや脂質の摂り過ぎによる生活習慣病が増加しております。
 心臓病が死亡原因のベスト3に入るなど、我が国における死亡原因の6割を生活習慣病に起因し、関連する医療費は医療費全体の3分の1を占めると言われております。
 こうした現状や、年々、医療費の増加が大きな問題とされている状況を見れば、生活習慣病の増加に歯止めをかけ、これ以上の医療費の増加を防ぐためにも、改めて伝統的な健康食である日本型食生活の良さを見直し、積極的にその普及に努めていくことが必要だと考えます。ひいては、この取組が、近年伸び悩んでいる米の消費量を増加に転じさせることにもつながるのではないでしょうか。
 そこで、平成22年度にごはんを中心とした日本型食生活の普及として、約4千万円を充てて取組を進めておられますが、どのような取組を行い、どのような効果につながったのか、お伺いします。

(2) 卸売市場の機能強化について

 次に、「卸売市場の機能強化」についてです。
 従来から、卸売市場は生鮮食料品等を国民へ円滑かつ安定的に供給するための基幹的インフラとして重要な役割を担ってきましたが、近年、生産者と直接取引を行う大型商業店の進出や、調理済み食品や外食を好むなど消費者ニーズが多様化する中、卸売市場を取り巻く環境は非常に厳しいものとなっています。
 各地の市場で、市場経由率の低下や取扱数量の減少、卸売業者、仲卸業者の経営悪化などが見られ、市場内の店舗は激減、今や存在意義まで問われつつある状況です。
 しかし、東日本大震災では、ヘリを用いた卸売市場間の生鮮食料品輸送を行い、被災地の支援に大きな役割を果たしたと聞いており、今後、有事に備え事前に必要な対策を取っておくことで、万一の際の県民の生鮮食料品不足の不安も解消できるなど、災害時の活躍が期待できると思われます。
 そこで、平成22年度に、約950万円の予算により卸売市場関係事業に取り組まれているようであるが、県内市場が88ケ所あるところ、そのような少額の予算でどの程度、卸売市場の機能強化につながったのか、その状況をお伺いします。

3 農業の後継者確保対策について

 質問の第3は「農業の後継者確保対策」についてです。
 農業の後継者不足の問題については、ずいぶん以前から懸念されてきましたが、昨今の少子・高齢化の進行により、ますます若者の農業離れが加速してきた感があります。
 日本の縮図といわれる兵庫県においては、豊かな自然に恵まれたこの県土を有効に活用し県内総生産を確保して行くため、また食料自給率を上げて行くためにも、農業を絶やすことはできず、県を挙げて行財政構造改革の取組を進めている中ではありますが、新規就農者の育成などを通じた農業の後継者確保へ向け、積極的に取り組んでいくべきだと思います。
 農業を巡るこうした課題は、郡部だけの問題ではありません。都市部においても、例えば尼崎では、まだ入居率が高い頃は、資産運用で田畑の農地転用等を行ってマンションを建設し、マンション経営に転じた農家も見られましたが、現在は、不況などで入居者が確保できず、こうした転身は困難です。
 かと言って、農業を継続するにも後継者不足で、先祖代々守り続けてきた田畑を簡単に手放したくない気持や、他人に継がせることの感情面での抵抗等もあり、高齢になってもやむなく続けざるを得ない状況に、多くの農家が頭を悩ませています。
 このような、農業の後継者を巡る問題には、個々の農家の複雑な事情等も絡んでくるため、単純に行政が介入できるか難しい点もあると思いますが、本県における農業の持続的発展を図るためには、何もせずに手をこまぬいている訳にも行きません。
 そこで、平成22年度に、農業の後継者不足問題を解消するために、どのような施策に取り組み、どのような効果をあげているのか、行革の取組の中での過去3年間における関連予算額(決算ベース)の推移も含め、お伺いします。

●教育委員会

1.奨学資金貸付金の回収について
2.県立円山川公苑に係る職員人件費について
3.県立文化体育館の指定管理者の選定手続について
4.「豊かな心」を育む教育における兵庫型「体験教育」について
5.県立特別支援学校卒業後の就労実現について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (教育委員会)
2011年10月18日(火)

1 奨学資金貸付金の回収について

 質問の第1は「奨学資金貸付金の回収」についてです。
 高校、大学の修学を奨励するための貸付制度には、昭和62年以降約3,500名が利用している高校奨学資金貸付金、昭和57年以降約2,800名が利用している大学奨学資金貸付金、平成14年以降約15,200名が利用している高等学校奨学資金貸付金に加え、昭和48年以降のべ約15,000名が利用している勤労生徒奨学資金貸付金の4つがあり、これまで多くの生徒、学生がこれらの制度を利用し、高校や大学を卒業しております。
 しかし、平成22年度決算を見れば、高校奨学資金貸付金返還金の収入未済額は約5億円であり、うち滞納繰越額は約4億6千万円、同じく大学奨学資金貸付金返還金では約4億2千万円と約3億6千万円、高等学校奨学資金貸付金返還金では約2億1,300万円と約1億4,100万円、勤労生徒奨学資金貸付金返還金では約233万円と約200万円となっており、これら4つの貸付金全体での収入未済額は約11億3千万円、うち滞納繰越額は約10億円にものぼっております。
 現在のところ、これらの滞納繰越の大部分は、いまだ不納欠損額に計上されていませんが、このまま手をこまぬいていれば、いずれは不納欠損になる可能性もあり、速やかにその防止策を講じて、滞納繰越の削減、解消に努めていくべきだと考えます。
 そこで、当局として、不納欠損額が増加しないよう、これらの滞納繰越の回収について、どのような対策を講じているのか、お伺いします。

2 県立円山川公苑に係る職員人件費について

 質問の第2は「県立円山川公苑に係る職員人件費」についてです。
 平成22年度における歳入歳出決算報告書によれば、勤労者総合福祉施設整備事業特別会計の内訳として、県立円山川公苑の管理運営に従事した職員2名の人件費に要する経費として約1500万円が支出されています。この2名の内訳は、事務職員1名と指導主事1名とされていますが、単純に計算すれば1名当たり750万円の人件費支出となります。
 この点、国税庁の民間給与実態統計調査の結果によれば、民間の事業所に努める会社員等の平均年収は、平成10年以降、概ね減少傾向が続いており、平成22年度の平均年収は412万円(平均年齢44.7歳)となっています。このような現実や、昨今の大変厳しい社会経済情勢の下で、平均未満の収入で生活をしている方も多い現状を見れば、1名当たり750万円という金額が果たして適正な額であるかどうか、また、素直な県民感情として納得できる金額であるかどうかは、疑問です。
 一般的なイメージとして、公共施設における管理事務というものは、施設への申込み受付などの業務内容が主なものであり、さほど忙しいものでないような印象があります。私の地元でも、通常、定年退職後の再就職先として選ばれることも多く、そのような場合、おそらく年収200万円以下程度の安価な賃金で勤めておられる方が大部分ではないかと推察しております。
 そこで、県立円山川公苑における管理運営の業務内容が一体どのようなものであるのか、また、その業務内容に照らして、2名分で約1,500万円の人件費が適正な金額であると言えるのか、当局のご所見をお伺いします。

3 県立文化体育館の指定管理者の選定手続について

 質問の第3は「県立文化体育館の指定管理者の選定手続」についてです。
 兵庫県立文化体育館は、勤労者をはじめ広く県民の文化の高揚及び体育・スポーツの振興を図りその福祉を増進することを目的に、昭和60年、神戸市長田区に設置されました。
 平成7年の阪神・淡路大震災によりスポーツ館が全壊し、本館も多大な被害を受けましたが、平成10年に新たなスポーツ館が完成し、本館と併せてリニューアルオープンしました。現在は、文化活動および体育・スポーツの練習、競技、講座、講習会、研修会、展示会など、地域の方々はもとより、広く県民の皆様に利用されています。
 この文化体育館については、平成20年4月から今年3月までの3年間、「兵庫県体育協会グループ」が指定管理者に指定され、その管理運営を委託されており、平成22年度における歳入歳出決算報告書によれば、同年度の指定管理料として約1億4,800万円が支出されています。
 当然のことながら、当該団体を指定管理者とするにあたっては、平成19年度に適切な手続を経て、その選定が行われているものと考えますが、この「兵庫県体育協会グループ」という名称だけからは、どのような団体であるのかが、もうひとつはっきりと解りません。
 そこで、本年4月以降の指定管理者を選定するにあたり、平成22年度にどのような手続を経て選定を行ったのか、具体的なご説明をお願いします。
 あわせて、「兵庫県体育協会グループ」の概要についても、ご説明をお願いします。

4 「豊かな心」を育む教育における兵庫型「体験教育」について

 質問の第4は「豊かな心」を育む教育における兵庫型「体験教育」」についてです。
 本県では、児童・生徒の「豊かな心」を育む教育の充実を図るため、様々な「体験教育」に積極的に取り組んでいます。
 その体験教育の1つとして、中学生が参加するトライやる・ウィークがあり、平成22年度には368校が実施、48,094名もの生徒が参加しています。主な活動場所としては、幼児教育施設に11,241名、販売事業所に10,519名となっているほか、製造業や病院において活動した生徒もいるようです。
 私の地元、尼崎でも、多くの中学生が、幼稚園や病院、消防署などで活動している姿を見かけることがありました。
 一方、高校における体験教育の1つとして、インターンシップ推進プランがあり、平成22年度には県下の全153校で実施され、生徒自身が事業所内での職業体験や社会人との交流を通して、自らの将来の職業や将来設計を考える良い機会となっています。
 しかし、トライやる・ウィーク、インターンシップともに、残念ながら、介護施設を活動先とされている例が少ないように思います。核家族化が進んでいる現在、若者が高齢者と生活する機会が少なくなっており、老いるということがどういうことか解らないままに成長していては、高齢者や弱者を大切にしようとする心が芽生えるはずはありません。
 これからの超高齢化の時代、介護施設での要員不足が十分予測される中、介護職員の処遇の問題もありますが、若年層の頃から高齢者を敬い大切にする心を養っていく必要があるのではないでしょうか。
 そこで、平成22年度決算において、トライやる・ウィーク推進事業費補助として約1億3,900万円、インターンシップ推進事業費として約1,260万円が充てられていますが、これら2つの体験教育における活動先として、介護施設がどの程度入っているのかを含め、平成22年度の取組概要及び、その成果について、当局のご所見をお伺いします。

5 県立特別支援学校卒業後の就労実現について

 質問の第5は「県立特別支援学校卒業後の就労実現」についてです。
 県立特別支援学校の在籍者数は、小学部・中学部・高等部ともに、近年、増加傾向にあり、特に高等部で大幅に増加しています。
 増加に対応するために、県では、県立特別支援学校の整備を計画的に進めており、そして、長期的な視点に立ち、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した教育的支援を行うための個別の教育支援計画を作成し、特別支援学校を卒業する生徒への就労を含めた支援が行われているところです。
 また、就労体験活動は、県立特別支援学校全体で行われており、高等部生徒が現場実習を受けられる事業所数は年々増加し、平成22年度は目標の290事業所を上回る337事業所での受け入れが実現しました。
 しかし、それだけで、生徒の社会的自立につながるとは言えないのではないでしょうか。将来的に自立できるかどうかは、小・中・高等部を通じて能力や態度を身につけ、手に職をつけられるかどうかにかかっているものと考えます。
 各児童・生徒の保護者は、自分達がいなくなった後の子どものことを非常に心配されています。それだけに、高等部卒業後に向けた就労支援がとりわけ重要になってくるものと思います。
 そこで、平成22年度の決算では、特別支援教育推進費として、約9,700万円が充てられているようですが、当局として、県立特別支援学校の生徒卒業後の就労実現に向けた支援にどのように取り組まれているのか、お伺いします。

●病院局

1.県立病院改革プランについて
(1) プランの実施状況について
(2) 一般会計からの繰入金について
2.尼崎・塚口病院の統合再編について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (病院局)
2011年10月18日(火)

1 県立病院改革プランについて

 質問の第1は「県立病院改革プラン」について、2点お伺いします。

(1) プランの実施状況について

 まず、「プランの実施状況」についてです。
 近年、多くの公立病院の経営状況が悪化し、健全な経営環境や医療提供体制の維持が困難となっていることを踏まえ、平成19年、総務省は、公立病院における抜本的な改革を推進するための指針として、「公立病院改革ガイドライン」を策定しました。
 本県においても、既に策定していた「病院構造改革推進方策」に基づく取組を踏まえ、平成21年1月、「より良質な医療の提供」、「安心してかかれる県立病院の実現」、「自立した経営の確保」、「安定した医療提供体制」の4つを柱とする「病院構造改革推進方策(改訂版)」を策定しました。
 さらに、同年5月、この方策に基づく取組推進を基本とし、総務省のガイドラインに示された公立病院改革の視点も踏まえ、各県立病院の役割と、それを踏まえた診療機能の充実や経営改善を進めるための中期的な計画として、「県立病院改革プラン」を策定し、日々、県民から信頼され安心できる県立病院づくりへ向け、弛まぬ改革に取り組んでおられることと思います。
 そこで、同プランの計画期間は平成21年度~25年度とされているところ、この3月末でプラン策定から2年が経過し、この4月にはその改訂も行われましたが、これまで県立病院改革としてどのような取組を進めてこられたのかについてお伺いするとともに、当初のプランの内容通りに実行し、当初の想定通りの成果を上げておられるのか、当局の認識についてお伺いします。

(2) 一般会計からの繰入金について

 次に、「一般会計からの繰入金」についてです。
 先ほども延べた「病院構造改革推進方策(改訂版)」の柱の一つである「自立した経営の確保」へ向けた取組を進める中で、平成22年度における病院事業全体の収支は、昭和53年以来32年ぶりに当期純損益が約5億6千万円の黒字となりました。
 しかし、県立病院事業、粒子線医療センター事業及び災害医療センター事業の3つについて、消費税分を除く医業収益817億2,200万円に対し、医業費用は905億6,300万円で、差し引きで88億4,100万円の医業損失を計上しており、一般会計からの繰入金として122億4400万円を入れることにより、ようやく黒字とされています。
 この点、確かに、公立病院としての性格上、全国のほとんどの地域において、この一般会計からの繰入金がなければ、その経営が成り立たないような状況にあり、本県病院事業においても例外ではないことは理解しております。
 しかし、そもそも一般会計は県民の皆様からお預かりしている県税であり、この貴重な県税を投入して黒字としたところで、それで真の自立した経営といえるのかどうかには、大きな疑問を感じざるを得ません。しかも、ここ数年の状況を見れば、一般会計からの繰入額は、年々増額の傾向にあります。
 そこで、推進方策において「自立した経営の確保」に取り組むという基本理念として掲げつつ、現実には、一般会計からの多額の繰入金がなくては経営が成り立たない現状についてどう認識しているのか、また、今後の繰入金のあり方と繰入額の見通しについてどのように考えているのか、当局のご所見をお伺いします。

2 尼崎・塚口病院の統合再編について

 質問の第2は「尼崎・塚口病院の統合再編」について、お伺いします。
 私の地元にある、県立の尼崎病院と塚口病院については、皆様ご存知のとおり、現在、統合再編の手続が進められており、昨年12月に策定された統合再編基本計画に基づき、現在は、用地の測量、建築設計委託者選定も終え、来年から本格的に建設が始まるようです。
 基本計画によると、統合再編後の新しい県立病院は、総予算340億円を投じて、地上12階建て、延床面積約66,000㎡で病床数730床という、阪神間でも最大の3次救急も受け入れる24時間体制の病院として平成26年度に開業する予定です。
 これまで尼崎病院では、大阪方面からも外来患者として多くの方々が受診されており、また、塚口病院へも伊丹市や川西市、宝塚市などの近隣市から多くの外来患者が訪れており、新しい県立病院の開業は、尼崎市民だけでなく、県内外を問わず、多くの近隣市民の方々からも大いに期待されているものと思います。
 そこで、両病院の統合再編へ向けた現在の進捗状況と、今後の想定スケジュールについてお伺いします。

徳安淳子
尼崎市

●企画県民部1

1.県民交流広場について
(1) これまでの取組と成果及び、その評価について
(2) 事業採択時の選定プロセス等について
(3) 地域住民の満足度について
(4) 今後の事業継続方針について
2.芸術文化センター運営費について
(1) センターと県との関係及び、センターの財政収支について
(2) センターの予算管理について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部1)
2011年10月11日(火)

 民主党県民連合、三戸政和でございます。
 本日、人生初の決算特別委員会の質問に立たせて頂いております。
 初当選から、はや半年が過ぎようとしておりますが、選挙の際に、有権者の皆さまに訴えてきた想い、若さと、初々しさをいつまでも忘れず、頑張って参りますので、どうぞよろしくお願い致します。
 初回ですので、この半年間の県政に対する雑感から質問に移って参りたいと思います。
 これまで県の事業について、色々と教えて頂きました。
 素朴な疑問として、費用対効果を確認させて頂く意図で、突き詰めて質問をすると、これは、地域活性のための、文化推進のための、安心安全の、命の重さの、という、形容詞で煙に巻かれる事が、多くありました。
 私の前職は、投資会社ですので、形容詞や推量を交えて、プレゼンをする事は許されませんでした。そこにお金を投じる以上、合理的に説明する事が出来ない、計数管理の出来ないということはありえなかった訳です。
 そういった点で、私の前職と県政は、真逆の場所であると感じておりますが、それはそれで、納得理由もあります。
 行政というのは、必ずしも、絶対的な事ばかりをするのではなく、将来を見据えて、目に見えない、計り知れないものに投資していくということは理解しております。
 教育などはその際たるものでしょう。
 また、東日本大震災の被災を現場で見た時に、命の重さを費用対効果で考えることは出来ないと体感致しました。
 ただ、県民の皆さんは、経済環境が悪化する中でも、身を削りながら納税をしている訳で、それが、どのようにどう使われたのか、その効果はどういったものだったのかというものを明確に説明する義務が我々にはあると思っております。
 そのためにも、可能な限り、論理的で、県民の納得がいくご説明を頂ければと思います。

1 県民交流広場について

 では、初めに、県民交流広場について、4点お尋ねします。

(1) これまでの取組と成果及び、その評価について

 まず、「これまでの取組と成果及び、その評価」についてです。
 この事業は、平成16、17年度のモデル事業から始まり、22年度末で新規採択が終了しましたが、県民一人ひとりが、身近な地域を舞台に、多彩な分野で地域づくり活動等に取り組めるよう、法人県民税の超過課税を活用して、進めてこられた事業です。
 私も、これまでの予算、決算特別委員会の議事録により、各議員の皆さんがご質問されている内容を拝見しましたが、22年度末で新規採択が終了ということから、検証データも出ている事と思いますので、事業総括的に質問をさせて頂きたいと思います。
まずは、これまでの取組と成果及び、事業の評価について、当局のご所見をお伺いします。

(2) 事業採択時の選定プロセス等について

 次に、「事業採択時の選定プロセス等」について伺います。
 各団体が、事業プランを出してきた際に、これを採択するにあたり、どういうプロセスに沿って決定されたのかが、非常に気になります。
 と言いますのは、私の地元でも、同事業が採択され、オープニングセレモニーにも参加させて頂きました。参加された皆さんは、非常に生き生きとして、地元の発展につながっていくのであろうと期待出来るものでした。
 しかし一方で、同じ地元の30代-40代から聞こえてくるのは、「あの事業は、年配者の人たちだけでやっているものでしょ」という、傍観的なつぶやきでした。
 少し寂しい県民アンケートが手元にあるのですが、「地域の異なる世代との人と付き合いがある人の割合」という指標(美しい兵庫指標)で、本事業が本格的に始まった平成18年には48.8%だったのが、平成22年には36.5%に下がっております。つまり、本事業を行っている最中に、地域での世代間交流が出来ているという意識が、12.3%も下がっているのです。
 こういった助成金を地域に渡す場合には、声の大きな人だけに助成をするのではなく、地域の多数が納得いく形で助成をしていくことで、地域間の摩擦を起こす事無く活性化させていく必要があるかと思います。
 事業採択のプロセスと、その地域の合意形成の平均的な期間、これに対する県の考え方や、支援はどのようなものでしたでしょうか。
 また、小学校区に1つという区割りで、助成を行っておりますが、その区内で摩擦が生じた際に、例えば、助成金を分割しなくてはいけなかった等の事例は、ありましたでしょうか。
 あったとすれば、それぞれ、地域間での摩擦が生じなかったのかが心配です。
 事業の申請を上げていない校区もあったとのことですが、その理由は何だったのでしょうか。把握されている範囲で結構ですので、その辺りの数字と、状況、見解をご説明ください。

(3) 地域住民の満足度について

 次に、「地域住民の満足度」について伺います。
 十分な合意形成の下で同事業が進められているのであれば、基本的には、その地域、少なくとも、事業主体が、同事業に満足をしないはずはないと思うのですが、頂いたアンケートでは、県民交流広場で地域が活性化したかと、事業主体に質問すると、85%が活性化につながったと回答しておりますが、逆に言えば、残りの15%は、不満足だったとも考えられます。
 より厳密には、地域の合意形成を行った事業主体が納得していないということは、その地域に住む人にまでアンケートを拡大すれば、活性化に繋がっていると感じている人が少ないのではないかと心配になりますが、地域住民の満足度について、どのように評価しているのかお伺いします。
 事業主体のみだけではなく、そこに住む地域の皆さんに、サンプリング形式でも結構ですので、アンケートを取ってみて、今回の事業評価を行う予定は無いのかも含め、ご答弁ください。

(4) 今後の事業継続方針について

 続きまして、「今後の事業継続方針」について伺います。
 民主党は、バラマキ政治と揶揄されており、民主党議員の一人としては、不本意に思っているのですが、地域に均等に助成していくという資金提供の場合、バラマキ、ハコモノと呼ばれないように気をつけなくてはいけません。
 そう考えますと、平成22年度末で72億34百万円を使い647地区で実施した本事業についても、本来の趣旨通り、その場が有効的に、かつ、継続的に利用されていく必要があります。
 この事業は、採択から5年すれば活動費が出なくなりますが、各広場は、どういった形で、今後の事業、利用継続を図っていくのでしょうか。
 手元のアンケート結果を見ますと、県に対する主な意見として、回答項目のトップに、5年後の助成制度の継続、新たな事業の創設、31%とあります。
 また、今後の活動資金の調達方法について、という質問に対しても、回答項目の1番に、助成金の活用や他事業との共催47%、とあり、半分程度の事業主体が助成金を期待しております。
 地域交流の起爆剤としての取っ掛かりを県が推進し、あとは、自助努力で地域活性が進んでいくというのが当初の目的だったかと思うのですが、実際の事業主体から出てくる要望は、助成金を継続して欲しいということです。
 こうした現実を踏まえ、この事業がバラマキと言われないように、継続性を確立していく必要があろうかと思うのですが、当局のご所見をお聞かせ下さい。

 これまでの活用施設一覧を見ますと、新温泉町の旧町立幼稚舎、篠山市の中立舎、また私の地元にある花井邸などは、地域に根ざした文化の継続性を地域で保持していこうというコンセプトが感じられる施設かと思います。
 しかし、647施設ある中の、562施設は、公民館や地区集会所等の改修にあてられているようです。
 この現状を見ていると、「助成金がもらえるらしいよ。じゃあ、公民館に調理場でも作ってもらおうか」という「使うための」助成と言う気がしてきます。
 91%もの非常に高い割合で事業採択をされている状況もそうですが、本格的事業開始から5年間の最初の4年間の実施件数が年間平均121件で、平均実施率が16.1%となっているのですが、準備期間も入れると7年の期間があったのにも関わらず、最後の1年間の駆け込み実施件数が、231件で、全体の30%を占めている事を見ると、助成金消化の駆け込み需要に見えてなりません。
 企業のCSRという言葉が流行ってきて、企業は直接やらないから、行政が税金で集めてやってやろう、というトップダウン的な発想が先にきて、事業計画が立てられ、それにあてはまる地域は素晴らしい結果を残せるのですが、上手く使う事が出来ない先は、とりあえず使ってしまうという構図が見え隠れしてしまいます。
 行革の厳しい財政状況の中、職員の皆さんの給与を削減してまで、県政の推進にご努力されておりますし、少しでも効率的な予算執行が求められます。
 不用な予算であれば、辞めるという英断をしなくてはいけませんし、助成金の使われ方も、行革レベルの精査をする必要があると思います。
 また、地域交流の活性手段というのは、トップダウンではなく、ボトムアップで生まれてくるものが本来のものでしょうし、そういうニーズに対してだけ助成すれば良かった気もします。
 画一的に、助成するのではなく、そういった税金の使い方こそが、公平な使い方だとも思います。今回は、超過課税という税金の性質もありますから、普段以上に論理的で精緻な事業評価を期待したいと思います。

2 芸術文化センター運営費について

 次に、企画県民部の予算執行において、重要施策体系表の区分けの仕方で55本ある事業区分けの中で、4番目に大きな予算を使っている芸術文化センター運営費について、2点お伺いします。

(1) センターと県との関係及び、センターの財政収支について

 まず最初に、兵庫県立芸術文化センターと兵庫県の関係について、お金の流れと人の流れを中心に、その概要をご説明ください。
 あわせて、同センターの平成22年度の財政収支の状況について簡単にご説明をお願いします。

(2) センターの予算管理について

 次に「センターの予算管理」についてお伺いします。
 3千万円の収支プラスという事で、黒字ではありますが、県からの支出が、14.4億円入っておりますので、センター単独で見た時には、14.1億円の赤字事業ということになります。
 そもそも、平成19年度から22年度までのセンターの収支状況(経営状況)を見れば、事業収入や県費支出等を総合した収入総額は32~34億円であるにも関わらず、収支差額は21年度の2億2千万円を除けば、概ね3~5千万円で推移しており、事業収入を上げる努力をしているのか疑問が残ります。県費を使える範囲で使って、わずか数千万円の黒字を維持すれば足りると考えているのではないかとさえ思われます。
 また、企画県民部の歳入歳出決算報告書によれば、12億円の予算額に対して、2月補正で870万円、当初予算額に対して0.7%の減額補正となっています。
 この点、企画県民部のそれぞれの事業における当初予算額に対する2月補正での減額補正額の平均割合は2.3%であり、センターの3倍以上もの割合となっていることを考えれば、センターが事業を実施するにあたり、より一層の費用節約に努力するよう、県として、しっかり管理すべきではないでしょうか。
 そこで、県として、芸術文化センターが事業を実施するにあたって、より一層の事業収入確保と費用節約に努めるべきとの観点から、その予算管理をどのように行っておられるのか、お伺いします。

 この場は、枝葉末節について追求していくにはそぐわないと思いますが、行革の中、様々なところでコスト削減がなされており、高い費用対効果を要求されている状況の中で、芸術という目には見えない効果に対して聖域を定め、ザル勘定の予算執行になってはいないかと懸念しております。
 予算規模も決して小さな数値ではないですし、扱う金額が大きくなれば、人間不思議なものでザル勘定になる傾向にあります。
 私も前職の投資会社時代、5千万円の投資案件には、社内の目が厳しいのに、20億円の投資案件はすんなりと通ったりと不思議な経験がよくありました。人間、身近な数字であれば、精査が出来ますが、金額が大きくなるとエイヤーとなってしまいます。
 更に前職時代の話ばかりで恐縮ですが、ブロードウェイのミュージカルに対するプロジェクトファイナンスに投資をした事があります。
 そのミュージカルは、資金調達に苦労して、上演開始にたどり着けない危機が何回もあり、その度に、プロデューサーが資金集めに駆けずり回っていました。
 ブロードウェイは、ご存知の通り、世界で一番シビヤなところで、十数億と集めて、開演に持っていっても、客が入らなければ、1週間も待たずに、劇場側から立ち退きを要求されます。お陰さまで、私の投資PJは、ロングヒットで、未だ上映中です。
 彼らは、お金を集めるのに苦労し、お客を集めるのに苦労して、針のむしろの上で芸術という商いをマネジメントしているからこそ、世界で一番のミュージカル文化を継承出来ている訳です。
 私は、芸術振興に関する予算をそこまで厳しくする必要性は感じませんが、淘汰される環境にあっても生き残れる価値があってこそ文化とも言える訳で、甘やかした予算を与える事で、むしろ、文化の振興を止めてしまう可能性もある訳です。

●企画県民部2

1.本県における災害対策について
(1) 市町の行う避難勧告への支援について
(2) 被災住民への対応について
(3) ひょうご防災ネットの運用実態について
(4) 地域防災計画について
2.行政手続のオンライン化について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企画県民部2)
2011年10月11日(火)

 今回の台風12号、15号の災害に関しては、本会議においても一般質問がなされておりましたが、県下で一番被害の大きかった高砂選出の県会議員として、触れない訳にはいかず、これまでの対応実績とあわせて質問をさせて頂きます。

1 本県における災害対策について

(1) 市町の行う避難勧告への支援について

 今回の台風災害に対しては、一般質問でも、知事から「県として、市町による避
 難勧告等の具体的な発令基準のガイドラインを整備するほか、市町に対してよりきめ細かな情報を提供できるよう、県下全河川の氾濫予測システムを前倒し整備するなど、迅速かつ的確な避難勧告等の発令を支援して、県民の安全・安心の確保に努める」「兵庫県独自の災害援護金の支給を実施」といった前向きな答弁を聞きました。
 職員の皆さんの日頃からのご努力により、比較的迅速な対応であったと感じております。
 しかし、今回の災害では我々としても反省すべき点は多いと思っています。
 特に、災害の発生する可能性が明らかに高まった際に行われた、避難勧告の緊急放送について、豪雨による災害で、家の中にいる人も多く、窓をしめていたことからも、緊急放送を聞く事ができなかったという話を聞きました。
 高砂市では、各戸に防災ラジオを一部補助する形で配布しようかという動きがあるとも聞いていますが、防災先進県としての兵庫県として、県下全域の基礎自治体のこうした取り組みに対する助成を含めた支援を検討していくことも必要ではないでしょうか。
 そこで、県がこれまで市町に対して取り組んでこられた避難の円滑化に向けた支援の実績をお伺いするとともに、その課題と申し上げた支援のあり方をどのように考えておられるか所見を伺います。

(2) 被災住民への対応について

 次に、災害にあってしまった住民への対応について伺います。
 今回の台風災害については、床上浸水の住宅に対し、5万円の見舞金が県からは出ておりますが、当然のことながら、被害額を補填できる金額ではない事は明らかです。
 例えば岡山県では、平成21年台風9号災害の際には、県と美作市で支援金150万円/半壊、50万円/床上という補助を実施しており、単純に兵庫県の10倍の金額を支援されております。
 何故、他の自治体にこのような英断ができ、防災先進県である我が県において、その英断がなされないのか疑問であります。
 本県には、住宅再建支援制度、いわゆるフェニックス共済が存在しており、これを利用して欲しいという県の答弁が想像出来ますが、平成17年度に始まった同制度の加入状況は昨年度末で8%と、未だ高い水準とは到底言えず、大規模災害が発生した場合に被災者への給付がカバー出来るのかという心配もあります。
 そこで、今回の12号、15号台風を含めた過年度の主な災害で被災された方々のうち、どの程度の方々が、当共済に加入しておられ、またどれだけの給付実績があるのかをお示し戴くとともに、その実績をもって、同制度が抱える課題、とりわけ普及のあり方や支給率をどのように認識しておられるのかと併せ、被災者の救済に関する県としての総合的な対応のあり方について所見を伺います。

(3) ひょうご防災ネットの運用実態について

 兵庫県では、携帯電話のメール機能やホームページ機能を利用して、災害発生時等の緊急時に、緊急情報や避難情報等をいち早く県民や市民の方々に発信するシステムである「ひょうご防災ネット」を運用しています。
 かつての阪神・淡路大震災では、通常の50倍の通話が集中し、6日間もの不通状態が続いたことや、新潟県中越地震の際では、広範囲の土砂崩れと道路崩壊に伴って最大4500回線が使用不能となった実態がありました。
 さらに、本年3月の東日本大震災では、固定通信に関しては、通信設備を設置するビル自体とビル内の設備の損壊・水没、中継伝送路の切断、電柱の倒壊、約190万回線のサービスが影響を受けるとともに、移動通信に関しても、携帯電話基地局の倒壊・流失や、光ファイバ等のエントランス回線の故障・切断、商用電源の途絶の長期化による非常用電源の枯渇により、約2万9千の基地局が停波しました。
 勿論このような大規模地震と今回の台風災害を同列に論じることはできませんが、大災害等の緊急時に、いち早くその情報を県民・市民の方々に伝達する取り組みとして、防災ネットの役割と活用のあり方は、一層重要視されてくるのではないでしょうか。
 そこで、ひょうご防災ネットの概要とこれまでの運用実績、特に最近の災害時における利用実態をお示し戴くとともに、それを踏まえた改善点や、あるべき展開について所見を伺います。

(4) 地域防災計画について

 東日本大震災を受けて、県では地域防災計画の見直しを進めておられるとのことですが、今回を含めた台風災害が激しさを増している近年の状況を踏まえれば、市町との連携のあり方なども一層改善していくべきではないかと考えます。
 平成22年度においても関連資料の一部が修正されるとともに、一昨年の台風第9号災害を教訓に、県の防災体制や市町・防災関係機関との連携のあり方、市町が実施する避難対策に対する県の支援のあり方などに関する検証委員会の提言を受けた、地域防災計画の見直しなどが行われてきたと聞いていますが、主な見直し内容を具体的にご説明戴くとともに、現時点の課題や方向性について伺います。

2 行政手続のオンライン化について

 私は、相当、ズボラな性格で、銀行の振込や、行政手続きが本当に苦手です。
 当選して、一人親方になると、煩雑な業務が山積し、それに日々追われる状況の中で、ネットバンクを本格的に利用し始めたのですが、とにもかくにも便利です。
 銀行に行って振込をしてという時間コストがかなり低減する上に、振込手数料が、無料に近いという劇的なソリューションという事に、改めて気づかされました。
 振込手数料が、無料に近いのは、営業戦略もあるのですが、物理的なオフィスコストや、人件費を抑制出来るため、手数料を軽減しても、ビジネスとして成立するのです。
 しかし、納税に関しては、窓口までいかなくてはならない振込手続きで、ネットバンクの良さを、一気に打ち消してくれております。
 本県では、約800の行政手続きを、自宅のパソコンから申請できるオンラインシステムを運営するとともに、イベントの申請なども行える申請システムを運営されるなど行政手続きのオンライン化を進めてこられましたが、今、申し上げました通り、住民の皆さんの時間コストや、行政側の運営コストも低減でき、税金であれば、徴収漏れも少なくでき、正確にもなることが期待されると思います。
 このようにメリットのあるシステムと私は評価したいと思っていますが、申し述べてきたように費用対効果をしっかりと見据えた取り組みでなければなりません。
 そこで、同システムを開発するに際してのプロジェクトコストと、現在までの利用件数の推移、その利用者が感じる利便性などを鑑みた上での課題やこれからの拡充の動向を、事業評価の観点から伺います。

●産業労働部

1.職業能力開発の推進について
(1) 職業能力開発施設における就職率等について
(2) 民間企業との協業について
2.新産業の育成について
(1) ひょうご産業活性化ファンドの成果及び評価について
(2) 投資後の株式売却益の状況等について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (産業労働部)
2011年10月13日(木)

 先日の企画県民部での質問は、生意気にも厳しい質問、要望をさせて頂きました。
 前回は、予算を可能な限り減少させるべきだという視点での質問で、当局の皆さんには、少し不快な質問、要望であったかと思います。
 しかし、私も冷徹な人間で、とにかくカットしろという発想を持っているのではなく、むしろ、一歩踏み込んで、事業を拡大して欲しいと期待する視点も持っております。本日は、「選択と集中」を基本に据えつつ、事業を推進する視点で、質問、要望させて頂きます。

1 職業能力開発の推進について

 まず、「職業能力開発の推進」について、2点お尋ねします。

(1) 職業能力開発施設における就職率等について

 まず、「職業能力開発施設における就職率等」についてです。
 国の職業能力開発促進法を踏まえ、兵庫県でも第8次兵庫県職業能力開発計画に基づき、「強みを生かし、元気なひょうごを支える人づくり」に向けて、5つの公共職業能力開発施設において、新規学卒者、離転職者、障害者などの求職者に対する職業能力開発を行なって来ました。
 この点、平成22年度における各学科や各コース全体の平均就職率を見れば、但馬技術大学校が95.8%、神戸高等技術専門学院が73.3%、姫路高等技術専門学院が82.8%となっております。
 厚生労働省発表の平成22年度大学等卒業者の就職状況調査にある、これらの施設と類似する専修学校の平均就職率が86.1%であることと比べますと、神戸で12.8%マイナス、姫路で3.3%マイナスとなっております。
 また、未修了者、つまり退校者が、姫路では9.0%であるのに対し、但馬は、23.6%となっておりますので、一見すれば、但馬の就職率が高いようにも見えますが、入学者数に対する就職者数では、数値は変わりません。
 そこで、平成22年度におけるこれらの各施設の平均就職率及び退校率の状況に対して、どのように評価、分析をされているのか、但馬だけ199千円の授業料をとって、他の2施設は無料とされている理由を含め、お伺いします。
加えて、各施設の修了生の就職定着状況について、どの程度まで把握しているのかも含めご説明をお願いします。

 この大学校という事業は、非常に重要なコンセプトであると思っております。「手に職がない。職があれば雇用機会に巡り会えたのに。」といった人たちに、手に職をつけてもらう。民間の専門学校に行けば数十万という金額がかかるが、税金でカバーしながら労働者の裾野を広げていくということは、非常に重要な施策です。
 しかし、そのような場を作ったら、それで行政の仕事が終わりというのではなく、そこに競争原理が働かない分、その品質を高め、維持する努力を民間以上にしなくてはいけません。また、授業を受ける方々にも、税金を投入している事に緊張感を持って頂く仕組みを考えて頂く必要があろうかと思います。
 中途退学をした場合や、就職できる機会があったのに就職という選択をしなかった場合であるとか、就職後に1年程度で辞めてしまった場合には、授業料相当額をある程度負担してもらうなどが考えられるかと思います。
 同時に、学校の運営も、民間に劣らない緊張感を持つような仕組みを整えるべくお尋ねしたような数値の分析が必要かと思います。

(2) 民間企業との協業について

 次に「民間企業との協業」についてです。
 私の地元には、ものづくり系の大企業が多くあります。ある会社を視察させて頂いた時に、自社の工場内で、ものづくりの学校を運営しており、技能五輪で、全国で優秀な成績をおさめておられました。
 こういう点をみても、ものづくりの基礎技術を教えるという事は、非常に重要だと思うのですが、このような民間企業と協業する事によって、最先端の技術指導を受けたり、あるいは寄付講座のようなものを開設してもらうことで、大学校の運営コストを軽減させたりするといった取組はされているのでしょうか。
 姫路に新設されたものづくり大学校は、約42億円の総工費をかけて作られておりますが、実は民間企業との協業を考えて行けば、既に使わなくなった工場施設を安く購入出来た可能性や、あるいは貸してもらえる可能性等もあったのではないかと思います。また、このような形で民間企業との接点を持っていけば、その企業への就職も可能となり、就職率も上昇していく道が拓けていくのではないでしょうか。
 そこで、こうした民間企業との協業や交流の推進について、県としてどのように認識しどのように取り組んでおられるのか、その実績を含め、お伺いします。

 非常に重要なコンセプトの事業だけに、長く続いて欲しいと願います。そのためには、厳しい財政状況の中、品質の維持が重要となりますので、知恵を絞りながらの事業運営を要望します。

2 新産業の育成について

 次に、「新産業の育成」について、2点お伺いします。

(1) ひょうご産業活性化ファンドの成果及び評価について

 まず、「ひょうご産業活性化ファンドの成果及び評価」についてです。
 新産業の育成という考えの下、平成17年度及び18年度以降、ひょうご産業活性化センターにおいて、ひょうご産業活性化第1号ファンド、第2号ファンドというファンドに基づき、中小・ベンチャー企業の資金調達を支援するための投資事業が進められております。これらのファンドは、2つ合算での総額が15億円で、内、活性化センターからのファンド拠出が約12.6億円という数字となっておりますが、これら2つのファンドについては、既に投資実行が終わっております。
 そこで、当初の重点投資対象として掲げた大学発ベンチャーや、次世代成長産業への投資が現実に図られたのか、また、新産業の創造を図る事が出来たのかなどを中心に、これらのファンド事業の成果及び、これに対する当局の評価についてお伺いします。

(2) 投資後の株式売却益の状況等について

 次に、「投資後の株式売却益の状況等」についてです。
 ただいまのご答弁にもありましたとおり、成果のひとつとして、県内企業に約14億円の売上が増加し、雇用数が109名増加したとのご説明がありました。
 しかし、ファンド合算での全体のサイズが15億円で、内、活性化センターからのファンドへの拠出が12.6億円あることを考えますと、雇用増加数一人当たり11百万円も使った事になりますし、県内企業の売上増加金額よりファンド金額の方が大きい状態となっております。
 勿論、企業が大きく成長して、当初の投資時に取得した株式の売却益が出れば問題ないのですが、これまでの投資先を見ておりますと、それほど期待出来る感じではない気がします。
 そこで、実際に取得株式を売却出来た実績とその売却損益、既存投資先の引当後の簿価について、具体的にご説明をお願いします。
 加えて、運用期間が10年あるファンドであるにも関わらず、第2号ファンドの投資状況として、平成23年の1月から3月の3ヶ月の間に、第2号ファンド全体の20%にあたる2億円が計5社に投資実行されており、内、4社は再投資となっております。また、第2号ファンドだけ運用主体がセンターになっておりますが、その理由についても、あわせてお伺いします。

 ここで、私は、本事業を税金の無駄遣いだと断じたい訳ではなく、そもそも行政がベンチャー投資をすることに無理があるということです。
 ベンチャー投資は、私の専門ですが、千三つの世界です。日本にある大手VCでも、この景況感の中、また、新興市場が冷めきっている中、売却益が出るようなファンド運用は、殆ど出来ていません。また、ひょうご産業活性化ファンドのそれぞれ個別の投資金額や、投資タイミングを見ていますと、民間のVCと同じような投資スタンスをとっており、行政がやる意味を見出し難い状況です。中途半端にやるのであれば、やらない方がましです。
 私の考えは、むしろ割り切って、助成金のような発想で投資していくのが良いと思っております。
 今、この業界で何が求められているかと言いますと、広く薄く、創業時に投資してくれる投資家です。これは、ファンド運用実績のみを追求しなくてはいけない民間では、リスクが高すぎてなかなか出来難い事ですし、融資という性質では難しい状況です。何人雇用が増えたとか、売上高が増えたとかよりも、どれだけの人を起業させることが出来たか、どれだけの投資先が売上を稼ぐ事が出来るようになったのかなど、新しい成果目標で運用してく方が、痒いところに手が届く、行政にしか出来ないファンドになります。
 シリコンバレーなどでは、学生に1年間の食事代とオフィスを提供する程度の投資を100人にする、みたいなファンドが出来てきています。勿論、バラマキになりやすいので、ビジネスプランの精査や、投資後のメンテナンスは重要となりますが。
 本事業は、予算もそんなに大きくない事業なのですが、ここで私が言いたかったのは、先ほどのアイディアを検討して頂きたいという業界人としての意見と、加えて、流行に乗るのはやめましょう、ということです。
 第1号ファンドが立ち上がったのが、ライブドアなどが有名になってきたベンチャーブームの時です。第2号ファンドは、ライブドアショックが終わって、リーマンショックになる前のベンチャー投資が復活した頃です。どの事業でも同じだと思いますが、民間で流行っているからやるのではなく、行政としての立ち位置はどうあるべきで、どうすれば民間に出来ない事ができるのかということを突き詰めて欲しいと思っております。

●県土整備部

1.高砂市の県管轄の法華山谷川と間の川について
(1) 法華山谷川流域の治水対策について
(2) 河川管理者が異なる場合の市町との連携等について
(3) 総合治水条例案について
(4) 総合治水条例案の実効性について
2.明石海峡大橋について
(1) 料金の低廉化または無料化へ向けた取組について
(2) 明石海峡大橋の値下げの可能性について

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (県土整備部)
2011年10月17日(月)

 県土整備部の皆さんへの質問ということで、やはりどうしても、今回の台風被害についての質問がメインとなってしまいます。
 今回、質問を作るにあたり、県土整備部の皆さんや、東播磨県民局の皆さんから説明を受けておりますが、私が当選前に訴えた事の一つとして、県議会が何をしているか見え難い、その意味は、議会と当局が議論している過程が見えないということでした。
 ということもありますので、あえて、この公式の場にて、県民目線での質問をぶつけさせて頂きます。可能な限り、質問が被らないよう、また、建設的な質問となっていくよう心がけますので、ご斟酌頂けましたら幸いです。

1 高砂市の県管轄の法華山谷川と間の川について

 質問の第1は「高砂市の県管轄の法華山谷川と間の川」について、4点伺います。

(1) 法華山谷川流域の治水対策について

 まず、「法華山谷川流域の治水対策」についてです。
 この点については、この度の本会議において、自民党の井上議員も質問され、濱田県土整備部長も「県と両市で技術検討会を設置いたしまして、法華山谷川の上下流バランスに配慮した上流部の改修や遊水池の整備、間の川の内水排除ポンプの整備等、総合的で抜本的な治水対策を検討し、年内に結論を得る」と答弁されておりますので、詳細は避けますが、今回の台風12号で大きな被害を受けた地域です。まさに私の自宅がこの地域にあり、先日、地元の皆さんと、高砂市、各議員からなる協議会に出席をさせて頂きました。皆さん、完全復旧もまだの状態で、台風がまだ来る季節でもあり、不安が募る毎日といった状況です。
 そこで、この法華山谷川流域の問題点をどのように認識し、これまでにどのような対策を取っていたのか、そして、今回の台風12号でどういう結果になったのかお伺いするとともに、今回の被災状況を踏まえた今後の対策について、タイムラインを示しながらの説明をお願いします。

(2) 河川管理者が異なる場合の市町との連携等について

 次に「河川管理者が異なる場合の市町との連携等」についてです。
 この法華山谷川と間の川は、県が管理する二流河川に、市が管理する普通河川が注ぎ込む形となっております。この間の川流域の宅地化が進んだ事によって、法華山谷川の水位が上がると、内水が捌け難く水害が懸念される場所でありました。
 私は、今回の水害で、県と市の両方の担当者にお話をお伺いしました。さすが、両者ともプロの行政マンであり、真剣に懸念を払拭されようとするご努力を感じました。しかし、縦割り行政の弊害が出てしまった最たるものである気がしております。
 つまりは、県管理の河川と、市管理の河川の狭間で、責任の所在が不明確になり、災害が起こる事が想定されながら、先延ばしになってしまっているということです。私は、このような県と市町とが管理する河川で同じような問題を抱えている箇所は無いのかが心配であります。
 そこで、法華山谷川のように、県が管理する河川に流入する普通河川等で、内水氾濫が起こる可能性が高いと県が認識している箇所はどの程度あり、また、すでに市町が内水排除について県と協議を進めている箇所はありますか。そして、それらに対して県はどのような対応をし、また、市町と連携を図っているのかお教え下さい。

(3) 総合治水条例案について

 次に「総合治水条例案」についてです。
 今回の雨量は、想定外だったという言葉がありますが、想定外を想定内にしておくのが行政の仕事でもあります。このように、近年の気候の変化による局地的な大雨や台風、また、宅地化等による地形の変化によって、これまでの治水対策では間に合わない箇所が増加している事が想定できます。こういった現状を踏まえまして、県としても総合治水条例案なるものをパブリックコメントに上げております。
 そこで、条例案の概要と、これをもって県民の安心、安全の確保が、どのように期待できるのかを端的にお教え頂けますでしょうか。

(4) 総合治水条例案の実効性について

 次に「総合治水条例案の実効性」についてです。
 知事が、法華山谷川について抜本的に対応すると仰っている割には、条例案に列挙されている項目は、すでにこれまで実施されているような事業をまとめただけの様に見えます。
 また、同条例の目玉施策の中に、調整池の義務化というものがあります。これに類似した制度として、埼玉県では、埼玉県雨水流出抑制施設の設置等に関する条例が、平成18年に施行されております。埼玉県では、これまで行政指導であった1ha以上の開発地においては、調整池が義務付けられ「知事の許可」が必要となる一歩踏み込んだ条例です。これと対比すると、兵庫県が考えているのは、勧告に留まり、これまでの行政指導とあまり変わらないようにも見えます。
 そこで、この点について、当局としてどのように認識しているのか、お伺いします。

2 明石海峡大橋について

 質問の第2は、少しエールも交えた内容です。自民党の原テツアキ議員が、議員生命をかけているほど重要にされている明石海峡大橋に参戦し、2点お伺いします。

(1) 料金の低廉化または無料化に向けた取組について

 まず、「料金の低廉化または無料化に向けた取組」についてです。
 私は、大学は京都で、仕事は、東京、海外だったので、自由に自分の意志で旅行をしたり出来る年頃には地元を離れていて、淡路島は、10代の時にキャンプに行ったきり、足を踏み入れていませんでした。
 この度、兵庫県に戻ってきて、淡路島には既に3回お邪魔していますが、これほどまでに素晴らしい場所が我が地元にあったのか、と正直驚きました。本州から明石海峡大橋に乗って、真上から眺める瀬戸内の穏やかな表情から、淡路島に入って、神戸、明石の町並みを背中に見ながら、山間部に突入し、山の自然を感じながら、田園風景が目の前に広がり、その向こうには海が背景として、それらの緑を際立たせます。そして、そこには温泉もあるし、国生み神話もある。
 私は、47都道府県、全てを旅しましたし、世界の観光地にも、まあまあ行っております。普通の人よりかは、観光資源について目は肥えているかと思いますが、そんな目で見ても、かなり質の高いリゾート地になるポテンシャルを抱えている島であると断言できます。環境未来島構想も良いかも知れませんが、私は、バリ、プーケット、セブなどと並ぶ、アジア屈指のリゾートアイランド計画を今すぐにでも、知事に出して欲しいと本気で思っています。
 このような大胆な計画を構想するための、取っ掛かりとして、まずは、明石海峡大橋の有効利用、これが必須かと思います。管理路の利用検討は、原議員が、かなりしつこく訴え続けたので、23年度予算で検討をしております。訴え続ければ、夢は叶う、そんな思いで、明石海峡大橋の料金低廉化、もしくは、無料化についてお伺いします。
 昨年12月の307回定例会にて、知事は、「明石海峡大橋の料金低廉化あるいは無料化と併せて、淡路の先駆的な試みへの応援を国に引き続き働きかけながら、県内他地域の再生につながるモデルを住民・産・学・公の協働で形づくっていきます」とのコメントをされています。
 そこで、料金の低廉化、無料化というのは、どういった計算根拠から仰っていたのか、またそのために、今どういう動きをされているのかをお伺いします。
 また、国は、今年6月に高速道路休日上限千円の廃止を行なった後、8月から全国の7つの高速道路にある割高区間等にて、割引を行ないました。例えば、関越トンネルが1,250円だったのが850円に、関空連絡橋が800円だったのが550円にされましたが、これに滑り込む事は出来なかったのかという点についても併せてお伺いします。

(2) 明石海峡大橋の値下げの可能性について

 次に、「明石海峡大橋の値下げの可能性について」です。
 地元からは、明石海峡大橋には迂回路がないことから、無料であるべきと言う意見を聞いております。
 私が調べましたところ、道路法第48条の2の第2項では、自動車専用道路の指定は、「通常他に道路の通行の方法があって、自動車以外の方法による通行に支障のない場合に限る」とあります。この条文より、明石海峡大橋は迂回路がないことから、一般道路と同様に無料であるべきと、地元は考えているのではないかと思っておりますが、ご意見をお伺いします。
 さらに、社会実験と高速道路休日上限千円の効果の分析、検証を通じて、結局、どの程度の利用料が適正なのか、また、国が考えている料金の見通しも含めて、県として、値下げの可能性をどう考えているのか、当局の認識を伺います。

 結局、高速道路の無料化は、民主党の失策のように語られていますが、利用料を下げろと言えば、財源論になるのは、重々分かっています。
 しかし、兵庫県の有するダイアモンドの原石が淡路島であると私は思っているので、あえて質問させて頂きました。
 播丹連絡道路の社会実験割引には、年間約4億円の減収補填がなされている訳ですし、最近の有料道路事業はデフレ下の経済環境で、当初の償還計画とは大幅に計算が狂っている訳ですから、償還期間を国に伸ばしてもらうという選択肢もあろうかと思います。部局は違うと思いますが、経済効果などを考えたり、法定外目的税等で少し補うとか、利用料を低減する方策も考えられます。
 何よりも淡路への間口が狭くては何も始まらない訳で、その橋が有効に使われないほど無駄な事はないのですから、何とか知恵を絞って、考えて頂けないかと要望させて頂きます。

●企業庁

1.津名地区、播磨科学公園都市への企業誘致について
(1) 企業誘致の実績及び現在の取組状況について
(2) 今後の誘致に向けた取組方針について
2.地域整備事業の今後のあり方について
3.株式会社夢舞台について
(1) 抜本的な経営改革について
(2) 公的施設と民間委託部分の切り分けについて

全文

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (企業庁)
2011年10月19日(水)

 様々な歴史を持つ企業庁への質問は、非常に悩みました。はっきり言って、多くの負の遺産を、どう処理していくかという非常に厳しいところもあろうかと思います。そこを細かくついても良いのかも知れませんが、それでは生産性がありませんので、重くのしかかっている事業を、どう処理していくのか、それをいつまでと時限を設けるのか、という点に焦点をあてて、質問をさせて頂きます。

1 津名地区、播磨科学公園都市への企業誘致について

(1) 企業誘致の実績及び現在の取組状況について

 まずは、企業誘致に関する事業です。今、大きく悩みの種になっている誘致先は、津名地区、播磨科学公園都市地区かと思います。これまでの開発経緯を踏まえた企業誘致の実績、そして、現在の誘致体制やそのコストを加味した現在の誘致に対する取組についてお伺いします。

(2) 今後の企業誘致に向けた取組方針について

 誘致に関して、金融機関、ゼネコンなどの工場進出の情報が多く入っていく先への営業を行い、そこで情報を得た企業や企業庁がアンケート調査で入手した立地可能性のある個別の企業へのアプローチを行なっているとの事ですが、今後の誘致に向けた意気込み並びに取組方針についてお伺いします。

2 地域整備事業の今後のあり方について

 私が意思決定者であれば、この土地に関しての管理コストが低く(キャッシュアウトが少なくて)、経済環境が悪く誘致の決まり難い状況を考えれば、悪あがきはしないと思います。つまり、金融機関やゼネコン等の情報を持っている先に、最低限の人員で情報交換を行なっておき、整理縮小していく。もしくは、土地をある程度大幅に下げて、強引に売り切って損切りしてしまうかだと思います。実際、淡路では、エコ割50%をやって誘致が上手くいっております。余りに大きすぎる壁を登ろうとしても、スタッフのモチベーションが続かず逆効果になってしまい、ダラダラと無駄な月日を過ごしてしまいます。この点、いつまでに、どうするのか、地価の変更検討も含めて、当局のご所見をお伺います。

3 株式会社夢舞台について

(1) 抜本的な経営改革について

 次に、夢舞台について。これは、詳細は、すでに様々論じられています。(株)夢舞台に対し、当初25億円出資し、その後10億円増資をするとともに、建物を約130億円で買い取り、本来、年間約3億円だったリース料を約1億円に減額して、やっと、年間約1億円の利益が出たかと思うと、期待して連れてきた社長が解任となりました。一般感覚からすれば、もう禊は済んだのではないかと思います。つまり、こういった最高レベルのサービス感覚を要求されるレジャー産業に、公的な機関が関係するのは限界だと言う事だということが分かったのだから、全面撤退をしても良いのではないかと思います。
 これから先、消費者のサービスに対する要求はますます多様化・高度化し、時流を先読みしながら、俊敏な経営が求められてくるでしょう。ハウステンボスが、HISの澤田さんの手に渡って、やっと今年、黒字回復しました。勿論、まだ不安定なものであり、成否を付けるには時期早尚かと思います。夢舞台とは、規模や形態が少し違いますが、三セクでやって失敗し、2250億円の債務免除をして、天下の野村証券のファンドがやって再生できなかった案件です。結果、HISという旅行業界を変革した人間が、張り付きの状態で再建して、やっと機体が浮き始めたという状況です。このように、レジャー産業というのは、本当にタフなものだと思います。そこは、多くの利害調整が求められ、我々のような公的な人間では対応できないスピード感や研ぎ澄まされた経営感覚が求められると思います。
 また、この夢舞台、本会議か委員会での議題に毎回入っています。これを議論し、説明している機会費用も考えれば、早く手放した方が、懸命なのでは無いかと感じてしまいます。淡路の活性化を考えれば、年間のリースを返せる程度の発想で経営をするのではなく、優秀な民間の知恵と行動力を借りて、抜本的に甦らせた方が良いと思います。この点、施設売却の業者を入札し売却した場合の市場価値を窺うなどの対応を含めて、ご所見をお伺いします。

(2) 公的施設と民間委託部分の切り分けについて

 過去の議事録からも地域の振興という観点から民間に任せるには、不適当であり、幾ばくかの黒字経営故に、売却の必要性には乏しいということでありますが、リース料の調整金額を考えれば、黒字とは言いがたい状況ですし、今後の増改築費用や、更なる経済環境の悪化なども考えると、また多額の公金が投入される可能性が容易に想定されます。
 これほどまでに多くの議員が(追求はしなくても)疑問に思っている事業であるならば、せめて公的な部分と民間部分を明確に切り分けて、本当に地域振興に役立つ部分は、しっかり税金で執り行い、民間に委託できる部分は民間にしてもらうということを再度、真剣に考える必要があると思います。
 実際に、公的施設の象徴ともいえる国営明石海峡公園では開場から年率152%で伸びていますし、温室についても、130%で伸びております。一方で、ホテルの稼働率は71%で頭打ちし、客単価は平成19年を頭に3年連続で下がり、ピーク時の8割弱に落ち込んでいます。地域振興という意味での公的施設と、サービス業としての民間施設を分けるという観点からの経営改革について、ご所見をお伺いします。

三戸政和
高砂市