質問日:平成29年10月10日
質問者:石井 健一郎 委員
1 地方分権の取組について
本格的な人口減少社会を迎え、東京一極集中が大きな課題となる中、地域を自らの手で造る地域創生の取り組みを本格化する必要があります。
そのためには行政システムを中央集権型から、地方分権型に転換することが必要であるという認識のもと、県においても地方六団体や関西広域連合の枠組みの中で様々な取り組みを続けられていることに敬意を表します。
しかし、東京一極集中の是正や地方の財源確保、また、特区制度の利用等をはじめ様々な地域創生の提案をおこなってきているものの、インパクトに欠けている面は否めない状況です。
一方で、今年度に提言された中央集権制限法はなかなか難しい提案ですが、インパクトがあります。これは、「国の役割を外交や防衛、司法等に限定し、それ以外の事務・権限を財源と共に地方に移譲する」といった、わかりやすい提案であると感心したところです。
そこで、地方分権の取組について、県のこれまでの成果や問題点、それらを踏まえた今後の展望をお伺いします。
2 「ひょうご安全の日のつどい」について
阪神・淡路大震災から20年以上が経過し、記憶の風化が懸念される中、震災の経験や教訓を後世に伝えるために開催される「ひょうご安全の日のつどい」は、神戸、兵庫県にとって大切な事業です。
このつどいでは、「-1.17は忘れない-」、「伝える」「備える」「活かす」をテーマとして、「ひょうごメモリアルウォーク」や防災展示、体験学習、防災訓練等が実施されています。
なかでも、「ひょうごメモリアルウォーク」は、復興した街並みや震災モニュメントを巡って防災意識を高めるとともに、交通機関の途絶を想定した災害に備えるため緊急時の避難路、救援路として整備された山手幹線等を歩くなど、大変意義深いものと考えています。
しかしながら、震災20年という節目の年が過ぎ、ひょうご安全の日である1月17日が平日の場合は、参加者が減少する傾向にあるようです。
国内外で大規模な自然災害が頻発する中で、震災の経験と教訓を発信、継承する「ひょうご安全の日のつどい」の意義は、ますます重要性を増していると考えます。
そこで、「ひょうご安全の日のつどい」により多くの県民が集えるよう、知恵を出さなければならないと思いますが、県としてどのように考えているのか、お伺いします。
3 被災地への任期付職員の派遣について
これまで県では、東日本大震災の被災地である宮城県に任期付職員を派遣しています。被災地の復興に役立つ人材を派遣することは有意義であり、今後とも進めていかなければならないと考えます。
その一方で、任期付職員の派遣については、最終的には全て国費で賄われ県負担はないということですが、県が行う以上、例えば県内雇用に寄与することや、被災地に派遣した職員の知見がこれからの県防災に役立つこと等が求められます。
そういった中、任期付職員の出身地を拝見すると、県出身者、宮城県、その他が1/3ずつ程度であり、任期終了後の就職は約束されていないとのことであります。
県出身者は、そうは言っても任期終了後に兵庫県に帰ってくることもあると思いますが、それ以外は、なかなか兵庫県にきて就職される可能性は低いのではないでしょうか。
他の都道府県で同様の事業が行われていれば、兵庫県を選ぶというよりも単に給与が高いところを選択している可能性もあるように思います。
以上のことを踏まえると、任期付職員の派遣を県が主体となって行うことの必要性が低いように思われます。また、国費負担であればむしろ、国が全国一律で主体的に取り組む事業のようにも思われますが、県として被災地に任期付職員を派遣する意義と、派遣職員の経験を今後の防災行政にどのように活かしていくのか、見解をお伺いします。
4 競馬事業について
兵庫県の競馬事業は、現在、大井、川崎競馬に次ぐ全国3位の売り上げを誇っていますが、全盛期と比べて入場人員や売り上げの減少が続き、一時は存続すら危ぶまれたところです。
昨今の夜間開催やJRA馬券の取り扱い等もあり、売り上げが増加したことにともない経営状況も改善されたということで、県としても競馬事業存続を決め、園田・姫路競馬場の改修工事を行っていると理解しています。
しかしその一方で、競馬人口も減少傾向にあり、競馬場を訪れる利用者が今後減少することが懸念されます。
競馬はお金を賭けるといったネガティブな印象からか、観光客の動態統計にも競馬場は入っていませんが、例えば近代競馬発祥の地であるイギリスでは競馬場を英国王室が所有していますし、年間の観客動員数はイギリス国内ではサッカーに次ぐ人気を持つスポーツであり、日本との認識のかい離に驚かされます。
厳しい財政状況下、県費をかけることは今後難しくなるということを考えると、地域活性化に寄与し、地元と共生する中で利用者増を図ることにより、経営を安定させることも考えなければならないかもしれません。
そこで、競馬事業の昨今の取組の成果と私が申し上げましたことも踏まえ、競馬事業に対する今後の事業展開のあり方をお伺いします。
5 県立美術館王子分館のあり方について
県立美術館王子分館は、耐震補強、大規模改修した原田の森ギャラリーと横尾忠則美術館からなり、広く県民に親しまれる施設として整備されています。
原田の森は、県民の作品発表、創作活動の場として、また、横尾美術館は著名な現代美術に触れる場として大きな役割を果たすことが期待されています。
さて、その一方で地元とのつながりが薄いように感じられ、寂しい思いがいたします。
原田の森、横尾美術館はともに、その場所を目指して来場される利用者が多く、近隣に及ぼす影響が少ない中、地元の方には王子分館に親しみを持っていただくことが大切です。
ご承知の通り県においても、この周辺はミュージアムロードとして、県立美術館との間で近隣の賑わいづくりを一つの目標としており、神戸市立王子動物園との連携も期待されるところです。
また、横尾美術館と地元商店街とのコラボも一部で行われていますが、極めて限られた範囲であり、今後の新しい展開が求められています。
そこで、県立美術館王子分館のこれまでの取組と県の考える王子分館の役割について、見解をお伺いします。