議会の動き

◆19年6月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  向山 好一  議員

一般質問  相崎 佐和子  議員
      中田 英一   議員

代表質問

(向山 好一 議員)[発言方式:一問一答]

1 被選挙権を有しない者の立候補届出について
2 神戸空港の規制緩和について
3 北神急行の市営化について
4 民間賃貸住宅の家賃補助制度の創設について
5 がん対策の強化について
6 高齢者交通事故対策について
7 不登校対策について

質問全文

第344回 定例県議会 代表質問

質問日 :令和元年6月18日(火)

質問者 :向山 好一 議員

質問方式:一問一答  方式

1 被選挙権を有しない者の立候補届出について

本年4月に行われた兵庫県下の統一地方選挙で被選挙権がない者が立候補し、多くの無効票が発生するという残念なことが起こった。


1つは、兵庫県議会議員選挙の伊丹市選挙区、もう1つは、播磨町議会議員選挙であった。
公職選挙法の規定では、県議選の被選挙権は選挙期日までに県内の同一自治体に3ケ月以上居住することを要件としているが、その候補者はその要件を満たしていなかった。また、播磨町議選の場合、そもそも播磨町に居住すらもなかった。それにもかかわらず選挙管理委員会は立候補届出を受理し、投開票日までそれを公表しなかった。その結果、県議選の場合、無効票が約3000票、投票総数の約5%に及んでいる。


選挙管理委員会には、「無効と分かっていれば別の投票先を考えた」、あるいは「なぜ立候補を許したのか」という苦情が寄せられたと聞く。


なぜこのような事態に陥ったのか。その大きな理由は、現法体系では告示日に被選挙権の居住要件を満たさない場合であっても立候補の届出を拒否する規定がないこと、被選挙権のない者が立候補していることを選挙管理機関が公表することは選挙の自由公正を害し、選挙の規定に違反するという過去の判例があること、と伺っている。しかし、今回のように多くの無効票が起こりうる状況を放置することは公正・公平な公職選挙の主旨から大きく逸脱している。何らかの対策が必要と考えるが、当局の所見を伺う。

2 神戸空港の規制緩和について

さる5月11日に開催された「関西3空港懇談会」で悲願の神戸空港の規制緩和策が示された。その内容は、「午後10時までの運用時間を11時まで延長する」、「1日の最大発着回数60回を80回まで拡大する」ということであった。


確かに、神戸空港が開港して14年間、一度も開かなかった規制緩和への重い扉がようやく開いたことは大きな成果だとは思う。しかし、昨年末の懇談会で井戸知事が提案した「運用時間の深夜0時までを含む3時間の延長」、「1日の最大発着回数を120回に拡大」、「国際チャーター便を出発点とする国際化」と比較すると、新聞記事にある知事のコメント通り「値切られた」格好となっており、誠に残念と言わざるを得ない。


この昨年末の関西3空港懇談会での知事提案は、漠然とした提案ではなく、将来の需要予測、国際線の危機管理、神戸空港のポテンシャルの最大化、特にエアラインの具体的ニーズに裏打ちされたものであると考える。それなのに、なぜ提案の一部しか懇談会では合意できなかったのか、舞台裏の話を含めて伺う。

3 北神急行の市営化について

今年の2月定例議会での予算特別委員会で北神急行の市営化について、県土整備部への部局別審査と知事への総括質疑で県の立場や支援策について伺った。しつこいようだが改めて質問させていただく。


予算特別委員会の際に、知事や当局の責任者から「現在の支援スキームは投資余力の少ない中小民鉄等への支援に限定しているものであり、北神急行は運営主体が民間企業であったものが公営団体に変わるケースなので、現制度では支援策はない。しかし、具体的支援内容は神戸市と阪急との最終合意がどうなるかを見極めて検討したい」との答弁であった。


その後、3月29日に神戸市と阪急電鉄が譲渡に関し基本合意し、神戸市としては遅くとも2020年10月までには市営化を実現したいと表明された。その合意内容を前提とした運賃は、現行谷上~三宮間540円を280円と約半額にまで値下げする方針である。その新聞記事を見て北区の住民は画期的な出来事だと手放しで喜んでいる。しかし、それは兵庫県や国がしっかりと継続して支援してくれることが前提となっている。


この基本合意から2か月以上が経つ。神戸市自ら決めた期限まで約1年と迫っていることを考えると、久元神戸市長から兵庫県に具体的支援の要請もあったのではないかと思う。予算特別委員会の知事答弁でも過去の地下鉄西神山手線の財政支援などを引き合いに出され、市営化の助成制度について「国への働きかけを含めしっかり取り組む」と前向きな答弁を行っている。神戸市からの要請の内容と、それに対する現在の検討状況をお聞きする。

4 民間賃貸住宅の家賃補助制度の創設について

県の人口推計調査によれば兵庫県の人口は2018年に1万9,107人減となり9年連続で減少するとともに転出超過が続いている。その要因は、自然減を補うだけの社会増が見込めないことにある。このように兵庫県では、東京を中心とした首都圏だけでなく大阪方面への転出に歯止めがかからない状況にある。人口だけが都市の魅力ではないが、活力のバロメーターだけでなく地方交付税にも悪影響を及ぼすだけに放置できない。


兵庫県は、「カムバックひょうごセンター」等数々の人口減少対策事業を行っているが、数値だけ見ると効果を発揮していないし、今後さらに減少に拍車がかかる危惧すら持たざるを得ない。つまり、何らかの思い切った政策を打ち出す必要性を感じている。


そこで、提案だが他府県からの転入者に限って民間賃貸住宅を住宅用に賃借する者に一定額を家賃補助する制度を創設すればどうか。全国的には、現在、持ち家には住宅ローン減税や低金利貸し出しなどの支援制度は結構整備されているが、賃貸住宅には同様の支援制度がほとんどない。他府県からの転入者はまずは賃貸住宅に住むことを考えれば効果的だと思う。


さらに、現在社会問題となっている「空き家」の約5割は賃貸住宅である。「空き家」は倒壊の危険、衛生や悪臭、景観などの環境問題、犯罪誘発などの治安問題も起こしている。住居と言う社会的資産の有効活用の観点からもその活用は重要な問題であり、「空き家」状態になっている賃貸住宅を活用するための家賃補助を行うことなどの制度は社会的にも価値ある制度ではないか。
兵庫県としての独自策としてのこの民間賃貸住宅の「家賃補助制度」の創設についてご見解を伺う。

5 がん対策の強化について

本年4月に「兵庫県がん対策推進条例」が施行された。私も昨年2月の一般質問でその必要性を訴え具体的内容まで提案したし、これまで多くの議員が条例化を訴えてきたことを思うと、多くの県民は条例化によって兵庫県が名実ともがん最先進県になってほしいと期待している。それだけに、今後見える形で具体的な施策を提供していくことが何より重要である。
兵庫県条例の特徴は、①がん予防及び早期発見の推進②がん医療の充実③がんに罹患しても安心して暮らせる環境の整備、などが挙げられる。そこで、この特徴を実現させるために何点か提言を行いたい。


まず、がん予防と早期発見のためには、がん検診の充実が何をおいても必要である。再三指摘されているように、兵庫県のがん検診受診率が全国平均より5ポイント程度低い現状をまずは少なくとも平均以上に引き上げることが必要である。
条例第10条に、県民のがん検診受診の努力義務、従業員対策として事業者の検診への協力義務が明記されている。それを謳うのであれば県のそれなりの支援が必要と考える。特に受診の最も大きな障害となる経済的負担の低減には、一定の金額を助成するなど思い切った施策が必要と思われるがご見解を伺う。


また、患者さんへの支援体制として、治療以外の支援は非常に重要であるにもかかわらず、それが十分でないばかりか多岐にわたるニーズに総合的に対処できる体制になっていない。
同僚議員の経験から来る指摘を紹介すると、患者さんとそのご家族の不安や悩みに対処できる施設として脚光を浴びている「マギーズ東京」には、看護師や心理士が常駐し無料で多岐にわたる相談に応じる体制があり、2年間で約13,000名が訪問しているとのこと。

条例の趣旨に添い兵庫県に「(仮称)がん総合支援センター」を設け、がん患者さんとその家族への総合的ケアを行えるようにすべきでないか。それは、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして開催される大阪万博のサテライトに整備し、世界に発信すればよいと思うがいかがか。あるいは県立病院の建替え・再編の目玉施設として位置付けることもできる。
このような施設の整備についてのご見解も伺う。

6 高齢者交通事故対策について

最近頻繁に起こっている高齢者による重大な交通事故について質問する。
本年4月に池袋で発生した事故では若い母親と幼児が犠牲になったばかりか10名が重軽傷を負った。6月に福岡で起こった事故では運転者と同乗者の配偶者が亡くなり7人が怪我を負った。いずれも状況判断から原因は運転操作の誤りと思われる。

兵庫県でも、4月21日に三宮駅前で神戸市バスが歩行者8人はねて2人の若者が犠牲となるという痛ましい事故があり、現場では今なお献花が後を絶たない。運転者は64歳で高齢者というには微妙だが、その原因は同様にブレーキとアクセルの踏み間違いである。ここ数年、このような高齢者による運転操作の誤りによる重大な交通事故の発生が後を絶たず、その都度社会問題となっていることから、そろそろ真剣に抜本的な対策を講ずる必要があるのではないか。


その対策として考えられるのは、一つに運転免許の自主返納を促進すること。二つに運転免許に年齢制限を設けること。三つに一定の年齢以上になれば安全装置付きの車の運転に限定すること等が考えられる。新聞報道によると、現在国では、自動ブレーキなどの安全機能が付いた自動車のみを運転できる免許制度の創設を検討しているが、その免許は選択制であると聞く。それでは、あまり効果が期待できないと考えるが、こういった国の取組に加え、兵庫県でも独自で出来る対策は行っていくべきであり、その1つが免許自主返納の促進策を充実させることである。


現在、県警では協賛企業の協力のもと、バス料金の半額化、タクシー料金の1割引きなどの促進策を実施しているが、その効果は限定的である。その理由は、この程度の促進策では車を手放すこと以上のメリットを感じられないからではないか。バス料金にしても殆どの自治体が高齢者割引を実施しており、タクシー料金も1割引きではお得感はそれほどでもない。思い切ってバス無料・タクシー5割引き、鉄道2割引くらいの特典などを働きかけるべきではないか。
そこで、運転免許証の自主返納促進策の充実に対する県警のご見解について伺う。

7 不登校対策について

平成29年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、全国の小中学校における不登校の児童生徒数は14万人を超え、過去最多を記録。本県においても、平成27年度から増加傾向が続いている。
背景には、平成29年2月に施行された教育機会確保法によるものがある。同法は、学校復帰を大前提としていた従来の不登校対策を転換し、フリースクールなど学校以外で学ぶ児童生徒の支援を目的とし、休養の必要性も認めている。


しかし、民間のフリースクール等の運営は学校教育法に基づく学校に該当しないため、公的な支援制度が適用されず、その運営は大変厳しい状況である。フリースクール等に委ねる以上、その施設と十分に連携をとりながら、必要に応じてできる限りの支援も検討すべきであると考える。


同法は不登校の児童生徒が通いやすい民間のフリースクールなど、学校以外の教育機会を確保する施策を国と自治体の責務とし、必要な財政支援に努めるよう求めているが、本県としてはどのような支援を行おうとしているのか伺う。


また、フリースクールに頼ることなく生徒に近い学校がいち早くこうした生徒の声を察知し、不登校生徒にならないようにきめ細かい支援がまずは必要である。広島県教育委員会では、本年度からモデル事業として、空き教室や相談室などを転用して専用教室を確保し、担当教員を配置し、それぞれの子供の学習の理解度や関心に合わせた指導、集団生活になじむためのサポートを行っている。


このように、子供が安心して過ごせる居場所を確保し、学校との接点を保ち続けるといった取組を行うことにより、不登校の深刻化が防げるのではないか。
そこで、学校における不登校児童生徒の未然防止、早期対応を図り、不登校児童生徒の増加を防ぐための取組について伺う。

向山 好一

(選挙区:神戸市北区)

一般質問

(相崎 佐和子 議員)[発言方式:分割]

1 広報の充実について
(1)広報官を活用した広報の強化について
(2)地域創生における戦略的広報について
2 男女共同参画の推進について
(1)推進に向けた取組状況について
(2)男女共同参画の推進に向けた県庁職員の環境整備について
3 伊丹空港の今後の展開について
4 特別支援教育人材への支援について

質問全文

第344回 定例県議会 一般質問要旨

質 問 日:令和元年6月19日(水)

質 問 者:相崎 佐和子 議員

質問方式:分割方式

1(1)~(2),2(1)~(2),3~4

1 広報の充実について

(1)広報官を活用した広報の強化について

1点目の質問は、広報官を活用した広報の強化についてです。
私は、前職が伊丹市議会議員でございますが、その前は兵庫県の広報専門員を務めておりました。わかりやすく親しみやすい県広報を進めるというミッションの元、テレビやラジオや広報紙など様々なツールを通して県の広報に取り組んだものです。そのため、県広報には思い入れがあり、今回質問に取り上げた次第です。


現在の県広報は、昨年度に外部からの専門家である広報官並びにメディアディレクターと編集・デザインディレクターを設置し、積極的で戦略的な広報を展開中です。「兵庫五国連邦(U5H)プロジェクト」や「ヒョーゴアーカイブス」など、これまでにないユニークな県の魅力発信も始まっており、注目を集めているところです。
そもそも行政の広報は、2種類がございます。情報提供と魅力発信です。


1つ目の情報提供は、県民に届けるべき情報を確実に提供することです。県では、様々な媒体を駆使してタイムリーに県政情報を発信していますが、ともすれば行政広報は難しい・硬い・分かりにくいと指摘される中、兵庫県の情報提供は適切・的確に実施されているのでしょうか。そこで情報提供について、ノウハウとアイデアを持った広報官がアドバイザーになってほしいのです。助言や研修などを通して、庁内全体のメディアリテラシーを向上させ広報力のレベルアップを図る。デザイン力の向上、SNSなど時代にあったツールの活用、住民を巻き込んだ参画と協働型の手法など、様々にあります。職員全員が広報の意識と力を有するようになればと思います。


行政広報は2種類あると申し上げました。2つ目は魅力発信です。街の魅力を戦略的な方法でPRして地域を活性化させるという広報です。
これにはまず、何を目指すかという明確な目的が必要です。私は兵庫県の場合、移住定住を促進する、つまり「住みたい兵庫、住み続けたい兵庫」を目指したいと考えています。
この目的を実現するには、県民愛を高めることが重要と考えられ、私は現在実施されている「兵庫五国連邦(U5H)プロジェクト」で進めるのも効果的な取組と捉えています。
戦略的広報の成功例として、弱点を逆手に取るという手段があります。兵庫県は旧国が五国存在し統一的な広報が難しいとされてきましたが、多様性に富んでいることを前面に押し出した「兵庫五国連邦プロジェクト」は、私は面白いと思いました。“面白い”“あるある”の段階である現在から、今後どう展開するかがカギだと捉えています。


そこで伺います。県広報について、まず情報提供については、広報官を中心に県庁全体の広報力アップを図るべきと考えますが、これまでの取り組みの効果と今後の展開をどう考えておられるのか、また、魅力発信については、住みたい街兵庫、住み続けたい兵庫の実現につなげるために効果的と考える「兵庫五国連邦プロジェクト」について、次の展開をどのように進めようと考えておられるのか、当局のご所見を伺います。

(2)地域創生における戦略的広報について

次に、具体的な取組における広報について伺います。
先程も言いましたように、私は兵庫県を「住みたい兵庫、住み続けたい兵庫」にしたいと考えており、そのために移住定住の促進に関する取組の情報発信が重要と考えています。


まず、「住みたい兵庫」にするには、移住促進をはじめ様々に取り組んでいるコンテンツを加味し、兵庫県に住みたいと思ってもらえる全体的・戦略的なPRを打ちたいところです。そして「住み続けたい兵庫」にするには、実際の兵庫県での生活を県民に満足をしてもらうことであり、福祉・労働・医療などが実際に充実していることが肝要です。


県では2015年10月に「兵庫県地域創生戦略」を策定し、少子高齢化の進展や本格的な人口減少の中にあっても、活力ある地域社会を実現するために、様々な施策を展開されておりますが、その取組を知ってもらわないと意味がありません。そのためには、広報官にアドバイスを受け、戦略的な情報発信に努める必要があります。


そこで伺います。「住みたい兵庫、住み続けたい兵庫」を目指し、どのような情報発信に取り組まれてきたのか、また、今後の展開をどのように考えているのか、お伺いします。

2 男女共同参画の推進について

(1)推進に向けた取組状況について

2点目の質問です。男女共同参画の推進についてです。
男女共同参画社会とはどんな社会でしょうか。2002年4月に施行された兵庫県の「男女共同参画社会づくり条例」には、「男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」だと定義されています。この定義の通り、女性や男性などの性別にとらわれることなく、全ての人が1人の人間としてその個性や能力を十分に発揮できる男女共同参画社会をつくりたいと考えます。


しかるに現状、女性の出産育児によって職を離れ、30代を中心に働く人が減るM字カーブは年々改善されていますが十分ではありません。また、男性の育児休業は地方公務員や民間企業においては、国が第4次男女共同参画基本計画に示す取得目標値に半分にも至っていません。兵庫県が昨年実施した「人権に関する県民意識調査」では、男女の性別による固定的な意識(男は仕事、女は家庭など)に問題を感じている人が34.8%、昇給・昇進の格差など職場での男女の待遇の違いに問題を感じている人が30.6%で、3割を超える県民が男女共同参画の現状に問題を感じています。


もちろん様々な考え方や生き方があって当然です。大事なことは、その生き方や考え方が性別によって阻まれることなく、その人が望むカタチが選択できること、多様性を認め合えることではないでしょうか。それには制度の改善と意識の醸成の双方からの取り組みが必須であり、行政はそれを進める役割と責任があります。


県条例にも「男女共同参画社会の形成についての基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする」と、県の責務として取り決めています。
そこで伺います。兵庫県では男女共同参画社会の形成について、現状をどう認識し、今後どう取り組むべきと考えているのか、当局のご所見を伺います。

(2)男女共同参画の推進に向けた県庁職員の環境整備について

続いて男女共同参画について、具体的な取り組みを掘り下げます。
男女共同参画社会を形成するには、特効薬はなくあらゆる分野であらゆる取り組みを進めることが肝要です。ただ、多岐にわたるため「隗より始めよ」ということで、形成の責任と役割を担う県庁内での取り組みをピックアップします。


私が気になるのは、まず県庁男性職員の育児休業です。国では男性育休取得率の目標値を2020年で13%としていますが、6月4日に発表された2018年度の速報値は6.16%で約半分にも至っておらず、取得が進んでいない現実が明確化しています。内閣府が実施した2016年度の都道府県別の常勤の男性職員育児休業取得率の調査では、兵庫県が3.8%。上位の岐阜県32.6%、愛知県29.3%、福島県26.4%。広島県22.1%には遠く及ばず、近畿圏内でも下から3番目です。


産後女性の死亡率の原因の1位は自殺であり、産後うつの問題が顕在化している現状下、産後の家庭における男性のサポートは重要です。そのためには、男性の育休取得は推進したいところであり、兵庫県庁で高い取得率を示すことが県下の企業等に大きな波及効果を与えると考えます。


男性の育休取得が進まない一般的な要因として、制度が不十分であること(休暇中の給料が保障されないなど)、仕事内容や昇進に影響が生じること、取得しにくい風土があることなどが挙げられます。県庁において、このような要因が存在することなく、男性職員が育休を確実に取得できる状況が整備促進されなければなりません。


もう1つ取り上げたいのが、非正規職員の休暇です。実態として、非正規職員における女性の割合が高いと捉えていますが、男女共同参画の推進において、女性が希望すれば働ける、働き続けられる環境の整備が大変重要だと捉えています。現状を鑑みますと、正規職員や大企業の正規社員は産休育休、介護休暇などの環境が整いつつあります。また、離職して子育てに専念するという選択は、1つの選択肢として尊重されるべきです。課題は、妊娠出産育児や介護などのライフステージと並行しながら働きたい、働き続けたいと希望する方が、制度が整っていないからと雇い止めになった、前例がないからとか子育てに専念するべきだとの圧力で退職を余儀なくされたりなど、制度や意識の壁に阻まれてその希望を選択できないことです。


この課題は、非正規労働者において顕著です。兵庫県庁で約15,000人おられる臨時職員・非常勤職員などの非正規職員が、希望すれば働き続けられる制度と風土にあるのでしょうか。来年度から会計年度任用職員制度への移行が予定されていますが、休暇をはじめ処遇がどうなるかを懸念しています。


そこで伺います。男女共同参画の推進における県庁職員の働き方において、まず男性職員の育児休業について現状をどう認識しており、今後どんな手法で取得率向上を進めるのでしょうか。あわせて、非正規職員の休暇についての制度整備や意識醸成について、不十分な面もあるのではないかと感じていますが、来年度からの会計年度任用職員の制度構築において十分な考慮がなされるのか、当局のご所見を伺います。

3 伊丹空港の今後の展開について

3点目の質問は、伊丹空港の今後の展開についてです。
5月11日、関西3空港懇談会が開催されました。関西国際空港、大阪国際(伊丹)空港、神戸空港の関西3空港の最適活用法、今後のあり方について官民で協議する懇談会です。3空港が関西エアポート株式会社の民間企業による一体運営となった事、インバウンドの増加により航空需要が拡大している事、昨年の台風被害の教訓から災害時における3空港の相互補完が求められている事などを背景に、懇談会では伊丹空港と神戸空港の国際線就航を含む規制緩和が焦点となりました。結果は、神戸空港は発着回数上限1日60回から80回に引き上げ、運用時間22時から23時までの延長、国際線就航は2025年の大阪・関西万博を見据えて検討となり、一方の伊丹空港は現状据え置きとなりました。


関西3空港の将来像や神戸空港については、先の代表質問でも取り上げられておりますので、私からは特に伊丹空港について伺います。
伊丹空港は、都市部に存在する利便性の高い空港です。運用時間7時~21時、発着回数上限1日370回なる枠組みの中で、2018年度1,630万人の方にご利用いただいています。地元として、安全と環境(騒音)の観点から、現在の時間や便数の運用について大幅に拡大することは、慎重な議論が必要と捉えています。

一方で、現在就航が規制されている国際線については、安全と環境に万全を期したうえで、就航可能にできればと考えます。今後、予定されている大阪・関西万博などによる今後ますますのインバウンドの増加に対応するために、また災害時に海上空港である関空や神戸空港の利用が困難になった場合に対応するために、伊丹空港は国内線に限るとの規制を緩和するのが望ましいと考えます。これは伊丹空港のみの利益誘導や活性化を目論んでの話ではなく、オール関西での航空需要拡大への対応と経済活性化を鑑みて申し上げております。


伊丹空港の課題である騒音については、一部地域では環境基準値を上回っていますが、今後低騒音機の開発が進む中で、いっそう課題の緩和が進むであろうと予測されています。安全と環境に万全の配慮をした上での国際線就航への規制緩和は、地元の伊丹市議会でもコンセンサスが取れている事柄です。


もちろん、今回の関西3空港懇談会の結論を否定はしておりません。知事をはじめ関係者の方々が尽力されたことに感謝をしており、神戸空港の規制が緩和されたことにおいて「扉は開いた」「まずは第一歩」と認識しています。ただ、伊丹空港においては、オール関西の活性化・災害時のリスクマネジメントの観点から、引き続き国際便復便のスタンスを変えずに主張していただきたいと願っています。


そこで伺います。今回の関西3空港懇談会における伊丹空港の方向付けについて、どのように捉えておられるのか、そして今後も伊丹空港については国内線に限定されている規制の緩和を要望するというスタンスを維持し、引き続き国への働きかけ等に取り組んでほしいと考えておりますが、当局のご所見を伺います。

4 特別支援教育人材への支援について

4つ目の質問は、特別支援教育人材への支援についてです。
未来を担う人づくりは重要であり、教育の充実は兵庫県において全力で取り組むべき施策です。「子どもを学校に行かせるなら兵庫県」と、教育の視点で選んでもらえる兵庫県にしたいと思っています。


私は市議時代12年、教育について様々な要望等を伺ってきました。子をもつ保護者、見守る地域の方々、学校現場の先生方からの要望等についてです。全てが貴重で大事な内容ですが、中でも学校現場から特別支援教育の人材が不足しているとの声を多くお聞きしました。ある公立小学校の校長先生が仰った話が印象に残っています。

いわく「近年、特別な支援を必要とする児童が急増している。我々はきめ細かく適切な支援をしたいが、人材が不足しており、目が届かず手が回りません」とのこと。実際に現場を視察し、その通りだと実感したのを覚えています。さらに伊丹市内の学校の校長先生や教頭先生に「特別支援教育の人材は足りていますか」と聞くと、異口同音に「足りていません」と回答されたのも、現場の悲鳴を聞いた気持ちになったものです。


このように、公立小中学校において、特別支援学級の在籍児童生徒、通級指導を必要とする児童生徒が急増している現況下、現場では特別支援教育の人的支援を必要としています。ではどんな対策ができるのか。基礎自治体である市町では、地方財政措置されている特別支援教育支援員・独自措置である介助員などの増員を進めています。しかし財政負担が大きいこともあり、県からのいっそうのサポートが望まれるところです。


では県でどのような充実策が可能か。2つあると考えます。

1つは学校生活支援教員の充実です。LD・ADHDなどの障害のある児童・生徒を支援する通級指導担当教員である学校生活支援教員は、現在県内で地域拠点校に151名配置されています。すべての市町に2人以上は配置されている状況ですが、通級による指導を希望する児童・生徒が増加している中、ニーズに対応できていない状況です。国では2017年度から10年かけて加配定数を基礎定数化する、つまり希望する児童・生徒の人数に応じて、通級担当教員を配置するという事ですが、現場は待ったなしであり、国に要望を上げつつ県でも取組を進めなければなりません。


県ができる2つ目は、特別支援教育コーディネーターの充実です。保護者や関係機関に対する学校の窓口、学校内の関係者や福祉・医療等の関係機関との連絡調整の役割を担う「特別支援教育コーディネーター」は、現在各学校の校長が校内の教員の中から指名し、担当になった教員は担任業務に加えて特別支援教育に関する連絡調整をしています。現場では、教員の多忙化によりコーディネートまで手が回らないとの声を聞きます。対策として、ベストは加配措置によるコーディネーターの専任化です。国では、教育再生実行会議第10次提言(H29年)にてコーディネーターの専任化が盛り込まれていることを受け、国に対して要望するとともに、県でも取組を検討していただきたいと考えます。


そこで伺います。公立小中学校における特別支援教育の人材が絶対的に不足している課題の対策として、まずは通級指導担当教員である学校生活支援教員について、国に加配定数の基礎定数化を早く進め、充実した内容にすること、及び特別支援教育コーディネーターについても、国に対し専任加配を強く要望していただきたいと考えますが、加えて、県においても現場の実態を踏まえてどのように市町と連携して支援を進めようとされるのか、当局のご所見をお伺いします。

相崎 佐和子

(選挙区:伊丹市)

(中田 英一 議員)[発言方式:分割]

1 兵庫県政150周年記念事業について
(1)県民連携事業の総括について
(2)今後の事業の活用について
2 オールドニュータウン対策について
(1)オールドニュータウン対策の取組と成果について
(2)三田フラワータウン駅ビルの空きテナントについて
(3)カルチャータウン地区センターについて

質問全文

第344回 定例県議会 一般質問項目

質 問 日:令和元年6月20日(木)

質 問 者:中田 英一 議員

質問方式:分割方式

1 兵庫県政150周年記念事業について

(1)県民連携事業の総括について

兵庫県は豊かな自然と壮大な歴史のもとに、昨年県政150周年の大きな節目を迎え、本年度、新元号とともにポスト150年に向けた新たな1歩を踏み出した。社会は、目まぐるしい科学技術の進歩とともに、ライフスタイルや、それにともなって価値観の多様化も進んでおり、これからの予測困難な未来を切り開いていくためには、しっかりと過去を振り返り、常に自身の改善を行う姿勢が必要不可欠であると考える。


昨年、約5億円の予算を投じ、目玉政策の一つとして実施された150周年記念事業についても、これまでの県政150年を見つめ直しつつ、「兵庫の未来を創る」という趣旨で行われている。特に県民連携事業は県民による様々なイベントを「兵庫県政150周年記念事業」と認定して助成金を出したものであり、私も特認事業を含め一般県民としていくつかの事業に参加させて頂き、素晴らしいと感じた部分も多くあったが、報告書を見ると、約70%が既に継続されてきた事業であり、その中で書面上も特に例年との違いの見られない事業も多数散見される。


そこで、もう一度、この事業の目的と、目的達成のために想定されていた手法について簡潔にご説明頂いたうえで、この事業ではどうだったのか総括をお願いする。(目的・達成手法がどのようなものでそれが達成できたか)
また、この事業は年間で1360件が採択され不採択とされた事業は0件であるなど、助成金の採択にあたって十分な審査ができていなかったのではないかとの疑義を免れないようにも思えるが、適切な審査を実施できたと認識しているか所見を伺う。

(2)今後の事業の活用について

あわせて、兵庫県政150周年記念事業に関するWEBページは兵庫県のホームページ上から既に削除されており、一般の県民がホームページからこの事業や、兵庫県政150周年について簡単に振り返ることができないようになっている。
この事業自体の振り返りが困難でむしろ「一過性のもの」になってしまっているのではないか。
まずは、県として節目の事業を振り返り、今回獲得できた成果をしっかりと整理し、これを公開して、継続的に兵庫の未来を創造していくという思いとともに県民が共有できる仕組みをつくるべきと考えるが所見を伺う。

2 オールドニュータウン対策について

(1)オールドニュータウン対策の取組と成果について

高度経済成長期から日本中で都市郊外にニュータウン建設が行われるようになり、兵庫県にも多くのニュータウンが誕生した。私も、その内の一つであり県主導で開発計画がなされた三田市のフラワータウンで育った。


当時は意識をしていなかったが、地域の多くの家庭の家族構成は、私と同年代の子どもとその親世代の核家族であり、ニュータウン開発から30年以上が経過した今、その子供の多くは独立して家を出て親世代だけが残っており、住宅街からは登下校時や放課後の時間帯にはしゃぐ子供たちの声が消え、急速に高齢化が進むという現象が起こっている。


一口にニュータウンと言っても、集合住宅については、不動産市場の流動性も高く、比較的に住民の入れ替わりが起きやすいため、若い世代の入居も見られるが、戸建て住宅については低調である。
そこに、既に突入している人口減少傾向や、戸建て志向の低下もあわせて考えると、将来にわたりニュータウン開発時のような、戸建て住居への活発な転入・住み替えは期待できない。
この状況下で、施設の老朽化や住民の高齢化、消費の低下とそれにともなう民間サービスの減退、空き家の増加などが進めばまちのイメージの低下に直結し、ただでさえ遅い戸建てへの新規入居のペースが鈍ったり、退去のペースが速まったりして悪循環に陥り、まちの衰退が一気に加速する危険がある。


これを防ぐためには、特に戸建てを中心としたニュータウンについて、空き家が出始めればすぐに入居が進むような、早めの対応策を準備し若者世帯の入居を促進してまちの世代構成を平準化していくしか方法はないと考える。
前任期でも同じ趣旨の質問をさせて頂き、その後、平成28年4月に、この戸建てを中心としたニュータウンに特化した政策や助成制度も含み、非常によくできた「兵庫県ニュータウン再生ガイドライン」を作成頂いたが、実際現場においてその効果を感じられるまでには至っていない。
そこで、県としての具体的な取組とその成果について伺う。

(2)三田フラワータウン駅ビルの空きテナントについて

三田市のフラワータウンの中心部にある三田フラワータウン駅ビルについて、大区画テナントに入居していた学習塾が撤退し空きが出ている。私が小学生の時からあった、地元の名門塾だったが、生徒数の減少による撤退ということで、まさに少子高齢化・オールドタウン化を顕著に表しているものだと感じている。


ここは、駅の真上にあってスーパーや複合利便施設を結ぶ連絡通路に面しており、フラワータウンの中で最も通行人の数が多い非常に目立つ部分でもあって、空き状態が長く続くことは、まちの衰退を顕著に表し続けるということにもなる。
逆に、この場所に活気のある施設、まちの再生に向けたテナントが来ればオールドニュータウン活性化策として大きな一手にもなるのではないか。


これまでは、収益を上げることを最重点に掲げてきたと思われるが、政策加点(応募多数時)や政策減免(賃料の割引)などを実施してオールドニュータウンの活性化という政策課題の解消も、事業計画の考慮要素に入れるべきと考える。
例えば、子育て世代や若者が集まるような施設、保育所などにターゲットを絞って攻めてはどうかと考えるが、今後のテナント募集・営業の進め方について伺う。

(3)カルチャータウン地区センターについて

昨年、カルチャータウンの地区センター計画予定地の北側部分に、三田まほろばブレッツァがオープンした。兵庫県企業庁が手掛ける「カルチャータウンの地区センター計画」といえば、当初は、スーパーなどの商業施設の他に行政機能や銀行機能、また文化活動を行う事の出来るスペースを含めた総合的な施設とされていた。


私の前任期の丁度終わり頃に、この計画が進むということになり地域住民とともに喜んだが、ふたを開けてみると地域住民が使う日用というよりは、お土産物に近い商品が並ぶ物販施設とレストランの併設された商業施設にとどまっている状況であり、この経営されている法人が県内で道の駅を営業されていることから、道の駅のように観光客などの遠方からの集客をメインターゲットにしているのではないかとの声もあがっている。


また、住民の中には、地区センター計画はこれで完成したとものと考えている方もいるため、地区センター計画における三田まほろばブレッツァの位置づけと、今後の計画の進め方や企業庁としての方針について所見を伺う。

3 渋滞の解消について

「県の役割は見えにくい」とよく言われるが、こと県道整備に関しては多くの県民がその重要性を認識している。
例えば、昨年夏は台風と豪雨により、国道・県道・公共交通がストップ、三田市は陸の孤島のような状態となり、多くの県民が足止めされ、商品を納入するトラックが来られず市内のスーパーは売場がガラガラの状態になった。
最近でも子どもが犠牲となる痛ましい交通事故が多発しており、通学路の安全も大きな関心を集めている。


また、渋滞問題では、多くの県民が足を止められ経済的な損失も大きいうえに、通勤時の渋滞は、家庭で過ごす貴重な時間が削られていることから、渋滞解消は地域における身近な課題の一つである。
この、渋滞対策について県では、本年3月に「渋滞交差点解消プログラム」を策定し、2023年度末までに同プログラムに位置付けられた全57か所の交差点のうち、その半数の箇所において解消・緩和を目指している。限られた予算の中で、最大限の効果を発揮するために計画的に対策を進めて行くことは大変重要であると認識しており、しっかりと取り組んで頂きたい。


一方で、プログラムに位置付けられていない交差点でも渋滞が発生している箇所が存在する。例えば、三田市の「テクノパーク前交差点」では、朝の通勤時間帯に、南側から南西方面に向かう車両により毎朝渋滞が発生している。
通勤時の渋滞は、昼間の街中や高速道路の渋滞と異なり、平日毎朝多くの車利用の通勤者が時間を無駄に削り取られているのが特徴と言える。例えば、毎朝20分として、1週間に100分、月平均約7時間にもなり、非常にもったいないことではないか。


このような交差点においても、適時適切な対策が必要であり、比較的に低コストで改良できるような措置があれば、コストパフォーマンスも加味して弾力的に取り組むべきと考える。
ついては、県管理道路における渋滞対策について、これまでどのように取り組み、今後、弾力的な対応を含めどのように進めていくのか所見を伺う。

4 公立高等学校生徒募集計画について

兵庫県においても人口減少に突入し、もちろん若者の定着や出生率の向上など目指して進んでもらいたいが、生徒数の減少に合わせて県立高校のクラス数や募集定員も減少する局面が多く出てくる。31年度の全日制高校の募集定員も昨年に比べて1000人、学級にして25学級が減少している。


この25学級をどの高等学校から減少させるかという決定に際して、考慮するとされる要素の一つが「旧学区ごとの国公立中学校卒業見込者の数」であると聞いている。
新学区の内で中学校の卒業者数と高校の募集定員をバランスさせるというのであれば自然だと感じるが、「旧学区」という文言が唐突に出てきているという印象がある。

その理由としては「多くの受験生は自宅からの距離が近い旧学区内の高校を受験する傾向にあること」と想像できるが、そうだとしても「旧学区」という概念は仕組上廃止されたものであるし、あくまでも実質は「自宅からの距離が近い」というものであり基準とするには不適切である。
しかも、この制度では、例えば、高校の魅力・特色づくりが進み、受験生から人気を得た高校でも、旧学区の卒業者数が減少するという高校にはどうすることもできない事由によって、募集定員が削減されてしまうという事態が起こり得てしまい、学校の向上意欲の阻害要因になってしまう。


最も重視すべきは「生徒の希望」ではないか。生徒が希望する学校の募集定員をできる限り確保し、学びたい環境で生徒を学ばせてあげることが何より重要であると考える。
とすれば、旧学区の卒業者数ではなく、「受験生の希望の多さ」を募集定員決定の最重要項目とすべきではないか。
そこで、これもあわせて募集計画の考え方について、わかりやすく、誤解の生じにくいものとし、県民にも公開すべきではないかと考えるが所見を伺う。

5 野焼き問題について

ニュースにも取り上げられたが、三田市においてこの4年間で急激に畔焼き(野焼き)を原因とする廃棄物処理法違反での取り調べや検挙数が増加し、先祖代々の伝統的な農業を営んできた三田市の農業者は戦々恐々としながら、それでも今日も農業を営んでいる。
三田市における廃棄物処理法違反全体の件数でみると平成23年から26年までの4年間は、1年平均5件の検挙であったのが、平成27年から30年までの4年間は31.5件と6倍以上、平成30年だけ見れば48件と10倍近い数字に跳ね上がっている。


廃棄物処理法は、平成12年に改正され、悪質な業者などにより急増する廃棄物処理基準に違反した野外焼却の取締まり強化を目的として、一部の例外を除き野外焼却することを禁止し、罰則の対象とした。


この例外は、公益上もしくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却または周辺地域の生活環境に与える影響が軽微であるものとして政令で定められているが、この例外であっても処理基準を遵守しない焼却は、改善命令等の行政処分及び行政指導の対象となる。


しかし、そもそも「野焼き」として罰せられる根拠となる、例外に該当するか否かの判断については、当該地方公共団体にゆだねるとされており、取締を行う警察も、これを踏まえて個別対応しているのが現状だという。


法律とは各地方自治体で制定される条例と異なり、全国一律で適用されるという性格を持っており、同じことをしてある地域では罪に問われ、別の地域では罪に問われないというのは、憲法でも規定されている「法の下の平等」に反すると考えている。
食の供給に多大なる寄与をしている農業と豊かな県土の環境保全の両立について、県の所見を伺う。

中田 英一

(選挙区:三田市)