過労死・過労自殺を撲滅するための労働基準法改正等を求める意見書
意見書 第52号
過労死・過労自殺が、大きな社会問題となり、深刻さを増している。
厚生労働省が取りまとめた「過労死等防止対策白書」によると、2015年度に全国で過労死により労災認定された人は96人、過労自殺(未遂を含む。)により労災認定された人は93人と過労死・過労自殺を合わせた認定件数は200件前後、兵庫県内でも過労死が2人、過労自殺が7人と合わせて10人前後となっている。
また、2015年度の全国の過労死96人中89人、過労自殺93人中62人が、月80時間以上の時間外労働を行っており、長時間労働が過労死・過労自殺の大きな要因であることが明瞭である。
労働基準法に基づき厚生労働大臣が定める「時間外労働の限度に関する基準」には1ヵ月の時間外労働の上限は45時間という規定はあるものの、労使間で特別条項付き36協定が結ばれると、事実上、上限なく働かせることが可能である。
特に月間80時間を超える時間外労働は、厚生労働省の基準では過労死に関わるとされているにもかかわらず、それ以上の時間で労使協定を結ばれていたとしても何の罰則も存在しないことから、過労死・過労自殺対策として実効性が乏しい。
よって、国におかれては、いまだゼロとならない過労死・過労自殺撲滅に向け、以下の内容を盛り込んだ労働基準法の改正等の措置を講じられることを強く要望する。
記
1 特別条項付き36協定における時間外労働時間の上限を定めること。
2 次の勤務時間まで一定の休息時間を設ける「インターバル規制」を新たに導入すること。
3 法令に違反して長時間労働をさせた雇用者に対する罰則を強化すること。
4 労働基準監督署の職員を適正配置するなど、より厳格な取り締まりを行うための体制を整備すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年12月15日
兵庫県議会議長 藤 田 孝 夫