質問日:平成29年10月13日
質問者 石井 健一郎 議員
1.楽農生活の推進について
本県では、県民が気軽に食と農に親しむライフスタイルとして楽農生活が提唱され、その体験や実践ができる拠点として兵庫楽農生活センターを整備するとともに、楽農学校事業、楽農交流事業ほか、市民農園の整備等が推進されている。新しいライフスタイルの確立に向けて、さらに多くの県民が農に親しむよう周知に努めていただきたいと思う。
その一方、推進すべき施策であるひょうご市民農園整備推進事業や田舎暮らし農園施設整備支援事業については、その予算が消化しきれていないことが目につく。
市民農園を利用した、あるいは利用したいという方は、私の周囲でもよく聞くので、都市住民にとってニーズの高い事業であると思う。また、田舎暮らし農園については、遊休農地を家庭菜園等として利用するときに、農地の整備やベンチ、トイレ等を設置する場合に補助しようとするものであり、これも遊休農地の有効活用を図る点において意義があると思っている。
それだけに、どちらの事業もあまり利用されていないことを残念に思っている。これは、マッチングがうまくいっていないということではないかと思うのだが、そもそも事業を開始前に、うまくマッチングさせるための課題等について、その見込みも含め、少し整理が足りていなかったからではないかとも考える。
そこで、ひょうご市民農園整備推進事業と田舎暮らし農園施設整備支援事業を更に充実させるための方向性を、県としてはどう分析しているのか、そして、それを踏まえてどう取り組んでいるのか伺う。
2.森林管理100%作戦について
森林は、木材生産のみならず、CO2の吸収機能や土砂災害や洪水等の災害防止、水源の涵養、保健・レクリエーションの場等多面的な機能を持っており適切な管理が必要です。
そのため、本県では、平成24年度から33年度にかけて新ひょうごの森づくり第2期対策に取り組まれているが、その中で森林管理100%作戦について伺いたい。森林管理100%作戦の内容は、間伐と作業道整備に分かれている。この8月に28年度までの実績が公表されたが、それを見ると、作業道の方は、平成28年度末目標に対する達成率が101.7%で、目標以上の進捗を見せている。一方、間伐の方はというと、達成率50.8%と低くなっている。
新ひょうごの森づくりは、この森林管理100%作戦以外に、里山林の再生、森林ボランティアリーダー養成、企業の森づくりという事業からなっているが、それぞれの達成率を見ると、118%、103%、97%と概ね計画通り進んでいるのと比べると、やはり低いように感じる。
原因は、平成24年度以降、国の施策が切捨間伐から搬出間伐に転換されたこと、奥地等条件不利地での間伐が進んでいないこと、そして、境界や所有者の不明な森林の間伐が進んでいないことがあげられているが、特に、最後の境界や所有者不明というのは長年の課題であって、事業開始当初から予想されたであろうと思う。
冒頭述べたように、森林は我々の生活にとって重要な機能を有している以上、その整備を促進していかなければならない。そこで、特に森林管理100%作戦を計画通り進めていくためにも、境界や所有者不明という長年の課題について早期の解決が求められると思うが、県の取り組みを伺う。
3.今後の再生可能エネルギーの導入のあり方について
国が平成27年7月に公表した長期エネルギー需給見通し2030年度の電源構成では、ベースロード電源として再生可能エネルギーが22~24%、今後の再稼働は不透明ではあるものの原子力が22~20%、天然ガスが27%、石炭・石油火力が29%となっており、実現に向けてさらなる再生可能エネルギーの導入が必要である。
県においては、地球温暖化対策を推進するため、2030年度に発電量70億kWhの再生可能エネルギーを導入する計画となっているが、その内訳を見ると、太陽光発電が約51億kWhで全体の70%を占めている。次に多いのがバイオマス発電の10.4億kWhなので、いかに太陽光発電の割合が大きいかがわかる。
ただ、太陽光発電に偏っているということは、課題となることもあるのではないか。それは、将来、太陽光発電に係るパネル等設備が更新になった時に、たとえば今の買取価格の水準でなければ、家庭においても事業者においても、今ほど導入しようとしなくなるのではないか。あるいは、無秩序な設置により近隣に迷惑がかかる事例や、景観を破壊するなどの事例もある。また、現在設置されている太陽光パネル等が老朽化し、一斉に撤去された場合の廃棄問題などの課題も想定される。事実、環境省では、将来の大量廃棄に対応するため、平成28年3月に「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」を発表している。
そういった課題も踏まえつつ、本県における今後の再生可能エネルギーの導入のあり方についての見解を伺う。
4.省エネの推進について
我が国のエネルギー政策は、東日本大震災における福島第一原発の事故の教訓を踏まえ、安全性の確保を前提に、エネルギーの安定供給、経済効率性の向上、環境への適合を同時に図ることが不可欠になったと言われている。
特に環境面でいうと、地球温暖化防止の観点から、いわゆるパリ協定を踏まえ、県においても2030年度に2013年度比26.5%温室効果ガスを削減するという目標を掲げた兵庫県地球温暖化対策推進計画を28年度に策定している。
この計画を見ると、温室効果ガスの具体的な削減対策として、省エネ設備の導入推進、住宅の省エネ化、省エネ啓発など、省エネによる対策が目に付く。引き続きこの省エネというものをもっと進めていくことが大切であるが、懸念されるのは県民の省エネへの意識である。
東日本大震災を受けて原発がすべて停止された時には、厳しい電力需給を踏まえた節電目標の設定があり、経済活動や社会生活への影響の懸念もあったため、節電意識は高まりを見せ、結果、大きなトラブルもなく乗り切ってこられた経緯がある。しかし、震災から早6年が過ぎ、当時より省エネに対し、県民の意識もがうすくなっているのではないか、また、省エネの多くは日常生活に少なからず不便を強いることであることからも省エネの継続が懸念される。
せっかく意識が高まった省エネの取組を、今後も長いスパンで取り組んでいくことこそが重要であると考えるが、省エネへの取組みとして、どのように取り組んだのか伺うとともに、今後どのように推進していくのか見解を伺う。
5.おいしいごはんを食べよう県民運動について
おいしいごはんを食べよう県民運動は、平成9年度から始まったということである。そのねらいは、生活習慣病を予防する食生活の啓発、国内食料自給率の向上、水田の持つ環境保全と災害防止機能の維持及び震災を教訓とした農業・農村の活性化とされている。国内で自給できる数少ない農産物である米の生産力を維持するためにも、引き続き事業を継続させる必要がある。
おいしいごはんを食べよう県民運動は、27,641千円の予算を使っており、ひょうご農林水産ビジョン2025によれば取組の成果指標を「ごはん食普及啓発実践活動参加者数」を平成37年度に100万人にすることとしている。
私としては、果たして先のねらいに対し、その成果指標だけでいいのか、という思いがある。そこで、まず、その参加者数以外、どういった取組の成果があったのか、それをどのように評価しているのか伺う。
次に、この運動の進め方であるが、今後とも継続しておいしいごはんを食べよう県民運動は広げるにあたっては、会員や関係事業者の自主的な取り組みに委ね、県はフォローするというやり方もあるのではないかと思う。そこで、運動の進め方について、今後の県の関わり方を含め、どう取り組んでいこうとされているのか伺う。