議会の動き

永富 正彦議員が質問(決算審査・健康福祉部)を実施

決算特別委員会 [ 10月11日(木)健康福祉部・永富議員 ]

1 がん対策の推進について

 
質問の第1は、「がん対策の推進」について、2点お伺いします。

(1) 受診率向上の取組について

 
1点目は、「受診率向上の取組」についてです。
厚生労働省の人口動態調査の結果によると、平成22年における本県内の死亡者数51,568人のうち、悪性新生物、いわゆる、がんを死因とする死亡者が最も多く15,855人となっており、2位の心疾患7,969人の約2倍となっております。また、平成18年以降22年までの5年間、がんによる死亡者数は年々増加の一途を辿っている現状を見れば、「健康づくり推進条例」及び「兵庫県健康づくり推進プラン」に基づき、県民の健康づくりに重点的に取り組んでいる本県において、がん対策の推進は喫緊の課題です。
近年、がんを取り巻く研究も進むとともに医学の進歩等により、がんの種類や状況等によっては治癒することも不可能な時代ではなくなりました。
しかしながら、的確な治療を通じてがんを治癒させるためには、従来から指摘されているように早期発見、早期治療が大切であることは昔と変わっておらず、そのためにもがん検診の受診率の向上が大事でありますが、本県の受診率は全国平均よりかなり低いと言わざるを得ません。
厚生労働省の国民生活基礎調査の結果によると、平成22年における本県内のがん検診受診率は、調査対象となっている5つのがん検診のいずれにおいても全国平均をかなり下回っている現状にあり、いわば、がん対策の入り口からつまずいているような状況にあるのではないでしょうか。
この受診率向上の取組については、これまでも本会議や常任委員会等の場で、何度も指摘がなされ、県当局としても、非常に力を入れておられることと思うが、なかなかその成果が数字に現れていないように思います。
そこで、改めて、県内におけるがん検診の受診率向上へ向けて、昨年度はどのような取組を行い、その成果はどうであったのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 医療機関相互の連携について

2点目は、「医療機関相互の連携」についてです。
近年の医療は、高齢化の進展等に伴い、技術の高度化・専門化など、非常に複雑化・多様化しており、また患者のニーズも健康管理から初期医療、リハビリテーションに至るまで幅広いものとなっておりますが、すべてのニーズを1つの医療機関で提供することは困難であり、医療機関相互の役割分担と連携が重要です。
そのためには、地域住民の身近なところで日常的な保健医療サービスを提供するかかりつけ医を中心とした診療を基盤としつつ、必要に応じて専門医療機関、リハビリ医療機関といった各種医療機関が役割を分担しつつ、連携しながら患者に対応していく必要があります。
また、患者一人一人の治療開始から終了までの全体的な治療計画(地域連携クリティカルパス)を作成し、各医療提供者がそれを共有した治療を行うという、患者を中心とした連携体制が望まれます。
がん対策においても、同様のことが言え、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画及びがん診療連携拠点病院の指定要件の見直しに伴い、本年3月までに、5大がん(肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん、乳がん)について、地域連携クリティカルパスを整備することとされました。
特に、がん患者の方の中には、1ヶ月以上手術のための入院待ちをされている方などもおられるようであり、こうした方の不安を解消するための個別ケアなども含め、しっかりと医療機関同士が連携していく必要があるものと思います。
そこで、この地域連携クリティカルパスの整備状況を含め、本県における、がん対策に関する医療機関相互の連携へむけた取組の現状について、当局のご所見をお伺いします。

2 認知症対策の推進について

 
質問の第2は、「認知症対策の推進」について、2点お伺いします。

(1) 認知症高齢者対策について

 
1点目は、「認知症高齢者対策」についてです。
先月末に統計課が公表した統計速報によると、本年2月1日現在の県内の高齢者人口(65歳以上)は129万6,538人、総人口に占める割合は23.2%であり、前年比で0.6ポイント上昇したとされております。また、75歳以上の人口は62万7,537人、総人口に占める割合は11.2%で、前年比0.4ポイント上昇したとされております。
県民の約4人に1人が高齢者である現状を見れば、高齢者やその家族が、笑顔で住み慣れた家庭や地域において健康で生きがいをもち、安心して暮らせるよう、県として必要な対策を取っていく必要性は高いと言えます。
このような中、誰にも起こりうる脳の病気であり、85歳以上の4人に1人にその症状があると言われる認知症に関する対策の重要性も、これまでにも増して高まっています。
厚生労働省の推計によれば、日常生活自立度Ⅱ(日常生活に支障を来すような症状や行動の困難さがあっても誰かがサポートすれば自立できる状態)以上の認知症高齢者数は、平成22年時点で、全国に約280万人おられ、今後、ますますその数は増加すると推定されております。
そこで、本県における認知症高齢者数の現状及び今後の見通しと、昨年度を含め、このような方々に対する支援として、これまで県がどのような支援を行って来たのか、当局のご所見をお伺いします。

(2) 若年性認知症対策について

 
2点目は、「若年性認知症対策」についてです。
高齢者の認知症と並び、昨今、注目を浴びているのが若年性認知症です。
若年性認知症とは、18歳以上65歳未満で発症する認知症の総称であり、65歳以上の高齢者が発症する認知症と同じく、もの忘れや言語障害などの症状が現れるとされております。
厚生労働省の調査結果(平成21年3月)によれば、全国で推計3万7,800人の患者がいるとされており、18~64歳人口の人口10万人当たり47.6人の割合となります。
認知症高齢者は65歳以上人口の9.5%と推計されるのに対して、人数は少ないものの、働き盛りの世代に発症するため、その家族にも大きな影響があり、高齢者の認知症以上に、大きな社会的問題となっております。
本県においても、若年性認知症自立支援ネットワーク会議の取組や支援ハンドブックの作成など、その取組を次第に拡充しており、昨年度は、若年性認知症当事者支援モデル事業として、市町における支援体制の構築に取り組まれたと聞いております。
そこで、同事業の概要と具体の成果についてお伺いするとともに、今後、本県において、若年性認知症対策にどのように取り組んでいこうとされているのか、当局のご所見をお伺いします

3 消費生活行政の推進について

質問の第3は、「消費生活行政の推進」について、2点お伺いします。

(1) 消費者行政活性化事業基金の成果について

1点目は、「消費者行政活性化事業基金の成果」についてです。
近年における消費生活相談の複雑化や高度化、相談件数の増加といった環境変化に対応し、国民の安心を確保していくため、国においては、平成20年度、地方消費者行政活性化交付金で、様々な支援メニューを提示したことを受け、これをもとに各都道府県が基金を造成し、地方における消費者行政の活性化を促進してきました。
本県においても、このような国の動きを踏まえ、総額15億円近くの「消費者行政活性化事業基金」を造成し、平成21年度以降、消費生活相談員の養成・配置、消費生活センターの設置・拡充、消費者教育・啓発などの取組を積極的に進めて来られました。
中でも特に消費生活センターの設置については、全国に先駆け、県が設置した7つのセンターに加え、設置に努めるとされるに過ぎない市町レベルにおいても、県内41市町すべてに消費生活センターが設置されるとともに、これらのセンターが相互密接に連携・協力し、本県における消費生活行政の円滑な推進に取り組んで来られました。
このように、本県における消費生活行政の充実・強化に大きく寄与することとなった同基金については、残念ながら、国の方針により、本年度が最終年度であると聞いております。
そこで、昨年度を含め、この4年間、県下において、同基金を活用してどのような取組が進められ、具体的にどのような成果につながったのか、当局のご所見をお伺いします。