第339回定例県議会 予算特別委員会 <財政状況>
質問日:平成30年3月5日
議員名:上野 英一
1 将来負担比率改善に向けた取り組みについて
まず、最初に、平成19年度からの行革の成果・実績を平成30年度の当初予算との比較で改めて確認しておく。収支不足の解消は、投資事業の削減及び事務事業の見直しと職員数3割削減を中心とした人件費の削減、そして県債管理基金の活用と財源対策債の発行であったと考えている。
歳入歳出構成の状況を見ると、平成19年度当初予算の収支不足額が1,381億円であり、平成30年度でのその改善額は、人件費の削減額1,328億円とほぼ同額であった。そのほか、行政経費(社会保障関係費等)の増額分1,083億円は、県税・地方交付税等の増額分に相当している。これまでの収支不足額1,381億円は、財源対策として退職手当債・行革推進債・資金手当債の発行と県債管理基金の活用で対応しており、その総額は6,080億円である。
投資事業は、事業費ベースでは△1,228億円ではあるが、一般財源ベースでは△381億円と効果が少額であったが、これは県税交付金362億円とほぼ同額である。これらで見事に収支均衡となっている。
ところで、私は、財政指標の中でも、将来負担比率に特に着目している。11年間の行革期間では、教職員給与負担事務の政令市への移譲に伴う標準財政規模の縮減等による影響で、震災関連県債残高除きでは平成19年度比プラス3%の275.3%になっている。平成30年度での実質的な県債残高は3兆507憶円である。将来負担比率は、言うまでもなく将来世代へのつけ回しであり、本県は全国でも数字が高い方であるがやはり、この数字を改善していくことが大事だと考えている。
一方で、経済的あるいは交流の拡大に必要なもの、老朽化対策で必要なもの、防災対策として必要なもの等々、社会基盤整備の需要は高いと思うので、その着実な推進も、県民が期待しているところであると考える。
将来負担比率の改善を図ることと、着実な社会基盤整備を進めることを両立させるためには、財源確保のため、県債を発行するにしても交付税措置の手厚いものに、あるいは国庫補助金等をできるだけ活用するようにしていく必要があると考える。
しかし、今後、大阪湾岸道路西伸部や播磨臨海地域道路、そして場合によっては県庁周辺再整備など、ビッグプロジェクトが控えている。県庁周辺再整備などはある意味大きな夢を抱く課題でもあるが、神戸一極集中のような気もする。そのことはさておき、財政フレーム・将来負担比率の大幅な上昇も考えられる。
当局は予算編成の基本的な考え方として、「平成30年度においても、緩やかな拡大基調が続くと見込まれているが、海外経済の動向、金融資本市場の変動に注視していく必要がある。」とされているが、欧米の金融政策正常化、あるいは引き締めに入っている中であっても、いまだ日本ではゼロ金利・量的緩和策をとり続けていることを踏まえると、大きな不安を抱くものである。
そこで、これらの状況をふまえ、30年度以降の将来負担比率改善に向け、どのような方針のもとで、財政運営に取り組んでいくのか、所見を伺う。
2 県税収入について
(1)平成29年度の県税収入見込みについて
今年1月に閣議決定された「平成30年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」によると、平成29年度の我が国経済は、アベノミクスの推進により、雇用・所得環境が改善し、海外経済が回復する下で、輸出や生産の持ち直しが続くとともに、個人消費及び民間設備投資が持ち直すなど民需が改善し、経済の好循環が実現しつつあるとしている。
また、物価の動向については原油価格の上昇の影響等により上昇しているとしているところである。
こうした経済状況の中で、平成29年度の県税収入は、年度前半は、法人関係税が予想以上に落ち込んだことから、当初予算の確保が難しいとの見込みがあったものの、結果的には2月補正で当初予算額から32億円の増額補正をし、現計予算額が7,237億円となったところである。
そこで、まず大きな増減収があった税目について、その状況と要因等をお伺いしたい。
(2)平成30年度の県税収入見込みについて
最近のわが国経済の状況は、1月発表の内閣府月例経済報告によると、景気は、個人消費や設備投資、輸出に持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続いているとし、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待されている。
また、今年1月に閣議決定された「平成30年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」によると、平成30年度の我が国経済は、海外経済の回復が続く下、政策効果もあいまって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好環境が更に進展する中で、民需を中心とした景気回復を見込んでいる。
こうした経済見通しを踏まえて策定された平成30年度当初予算における県税収入は、平成30年度から始まる教職員給与負担事務の神戸市への移譲に伴う個人県民税の税源移譲の影響もあると思われるが、平成29年度現計予算額から5億円の減となる7,232億円を計上されている。
そこで、主な税目についてどのように考え、見込まれたのか、お伺いしたい。
3 森林環境税(仮称)の創設について
昨年12月の平成30年度税制改正大綱において、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成31年度税制改正において、森林環境税(仮称)及び森林環境譲与税(仮称)を創設することとされた。
中でも、森林環境税は、国税として、1人年額1,000円を上乗せして徴収されるもので、平成36年から課税されることとされている。そして、それを全額、間伐などを実施する市町村やそれを支援する都道府県に森林環境譲与税として譲与(配分)するとされている。
本県では、既に県民税均等割の超過課税として「県民緑税」の負担を県民にお願いしているところである。県民緑税は、個人と法人が納税義務者であり、課税期間は今のところ、個人が平成32年度分まで、法人が平成33年3月31日までに開始する各事業年度分とされている。
「県民緑税」の規模は5年間で120億円、単純計算すると年24億円であるが、森林環境税の規模が全体で600億円とされていることからすると、「県民緑税」は県にとって大きな財源であると考える。
しかし、県民緑税がまちなみ緑化にも使われるのに対し、森林環境税創設の目的が林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立を図ることにあることから、その使途はまちなみ緑化には使えないものであると思われる。
そこで、県民緑税と森林環境税(仮称)とは目的が一部重複し、二重課税とならないか懸念するところであるが、森林環境税創設に対する当局の所見を伺う。