議会の動き

黒田 一美 議員が一般質問を実施

質問日:平成30年10月2日
質問者:黒田 一美 議員
質問方式:一括

1.元町山手地区と三宮周辺地区の一体化した再整備について

元町山手地区の再整備の検討が本格的に始まりました。都市計画や都市デザインの学識者ばかりでなく、県議会からは副議長もメンバーに入り、基本構想・基本計画検討委員会での議論が行われています。

一方で、先行して、神戸市が中心になって三宮駅周辺地区の再整備の検討が進められています。

私は、ほぼ同じような時期に、近隣で同じような再整備が同時並行で検討されていることに大きな期待を持っています。

県庁所在地の神戸は、人口は福岡に抜かれ、インバウンド需要は大阪、京都に大きく水を開けられております。そうした中においても神戸は経済・文化・政治等様々な分野で兵庫県を牽引する役割を担っていることに変わりはないと思いますし、その活性化が兵庫県全体の発展に大きな影響を与えることは間違いないと考えています。そういう意味で、このたびの県庁周辺、あるいは三宮駅周辺の再整備は大きな取組であると認識しているところです。

特に注目すべきは、先にも述べたように、それが同時並行的に行われていることです。共に大きな費用と時間が必要になる事業ですから、今後50年、100年といった長期的な影響を本県に与えると思います。であるからこそ、その二つの動きを一つにして、一体的に進めるべきではないかと考えています。

県庁の建物そのものは県が主体的に考えればいいことかもしれませんが、その周辺を巻き込んで整備をしようとするならば、三宮から元町にかけて広域的な視点に立ち、このエリアを人や物が活発に行き交う流れを作るように整備することが重要であると考えています。

しかし、先の検討委員会の資料を見ますと、元町山手地区の再整備という狭い地域を対象にしているように見えるのです。一方、神戸市の方の計画を見ても、県庁周辺にまで考えが及んではいないように感じていますし、県民も一体的な取組を望んでいると思います。

マンパワーの面でも資金の面でも、県と神戸市が人を出し合い、一体的な組織を作って検討する方が、もっと効率的に、合理的に、そして大きな成果を挙げられる事業として進むように感じています。

そこで、現在取り組んでいる元町山手地区の再整備について、もっと三宮周辺地区の再整備との一体性に配慮した取組にすべきと考えますが、所見を伺います。

2.行政サービスの維持・向上について

今定例会に、来年度からの新たな行財政運営の取組を推進するための条例及び行財政運営方針が提案されています。6月定例会で設置された行財政構造改革調査特別委員会で慎重に審議されてきている中で、我が会派としての考えもいろいろと主張してきたところです。

その中で、特に私が気にかけていることは、運営方針に基づく取組が行政サービスの低下につながらないようにしていただきたい、という点です。

特別委員会での我が会派の意見開陳の中で、特に定員に関して、今後も県への多様な行政課題が増えていくことが考えられるところ、平成30年4月1日時点の職員数を基本とする、という方針が打ち出されていることに対して、行政サービスの低下につながらないようにという意見も表明させていただきました。

取組そのものは持続可能な兵庫県の行財政運営にとって欠かせないものであることは認識するものの、県民に対する行政サービスが低下するようでは、県民の生活や円滑な産業活動によい影響は与えないと思われますので、せっかくの運営方針の意義も薄れてしまうのではないでしょうか。

業務の効率化も進める一方で、最低限、今の行政サービスの水準を維持すること、さらにその向上を図るよう努めることが重要なのであり、そのためには、新たな課題や変化にも対応できるよう、適切な職員数の見極めや柔軟な配置に努めていただきたいと考えています。

例えば、今回の豪雨、連続する台風被害は今まで考えられなかった新たな課題と変化であり、今後も続くと考えられます。災害対応、復旧、防災に対

応できた職員配置なのか十分な検証が必要ではないでしょうか。

そこで、今後の行財政運営の取組において、行政サービスの低下を招かないよう、適切な職員数の見極めや柔軟な配置について、どう取り組んでいこうとしているのか伺います。

3.県民の公的活動への参画を推進する取組について

消防団、警察署協議会、学校評議員や県の各種審議会等、公的な活動に対して広く県民に参画を呼びかけるものは多くあり、大切な取組です。

多くあるのですが、そのメンバー構成は、幅広い年代や職業、性別などの点においてバランスのとれたものになっているのか、について課題があるのではないかと考えています。

国が5年ごとに行っている社会生活基本調査の中で、ボランティア活動に関する調査を行っています。最近の調査は平成28年に行われたもので、その結果の行動者率という指標を見ますと兵庫県は26.0で、これは全国平均と同じ数値になっています。少し遡ると、平成23年は全国が26.3で兵庫県は25.7、平成18年は全国が26.2で兵庫県が26.5となっています。大体全国平均前後の数字で、ここ15年は特に増えも減りもしていないため、もしかすると新しく参加する人があまりいないのではないだろうか、とも考えられます。

たとえば、警察署協議会を見ると、平成29年の警察白書によると、全国1,160署に10,540人の委員が委嘱されているといいます。その年齢構成を見ると、70歳以上が18.0%、60~69歳が38.5%ですから、60歳以上の方が半数以上を占めていることになります。これに対し、29歳以下は1.5%、30~39歳が3.5%となっており、若い世代の人はほとんどいない状況のようです。

また、学校評議員の方は、PTA関係者が入っていたりするため、少し古いデータですが、神戸市が公表している平成18年度の構成を見ると、平均55.7歳となっており、60歳以上の割合も37%ほどですから、警察署協議会よりはやや若くなっているようです。

また、消防団はどうでしょうか。平成29年消防白書を見ますと、年齢構成も20代が減り、平均年齢も40歳を超えたようです。それだけではなく、団員数は減少の一途をたどっており、それに対して、被雇用者の割合は上昇傾向にあるようです。つまり、被雇用者は急に休みをとって、なかなか消防団活動に従事できにくいということだと思われます。確かに、先に述べた協議会などは年数回程度、あらかじめ開催日や時間がわかるので予定が立てやすいものだと思いますが、消防団の活動は主に火災や台風・地震等の災害時ですから、いつ何時出動しなければならなくなるかわからないため、仕事との調整がむずかしいということなのだと思います。

これは公的活動への従事そのものの調査ではありませんが、一つの目安になる調査だと考える平成28年度市民の社会貢献に関する実態調査報告書を見ますと、ボランティア活動に参加しなかった理由で最も多いのは時間がない、さらに3番目に休暇がとりくにい、という理由があげられており、そのことを裏付けているように思われます。

しかし、県民の参画と協働の推進に関する条例に基づく取組を進めてきた本県にとっては、やはり幅広い層の県民の方々に公的活動に参画いただくよう図るべきでありますし、それが時代の変化に対応する成果へとつながっていくと考えます。そのためには、たとえば、ボランティア休暇の充実を始め、被雇用者が公的活動に無理なく参画しやすい環境整備を進める必要があります。

そこで、井戸県政の柱である「参画と協働」をより地域で推進するため、本県における公的活動に関わる幅広い年代や職業の県民をもっと増やしていくため、県民が公的活動に参画しやすい環境づくりの取組を強力に進めていくべきと考えますが、所見を伺います。

4.猛暑・温暖化と共存・共生する取組の推進について

今年の夏は近年にない猛暑だったというイメージを誰しもお持ちのことと思います。テレビ等では連日、どこそこで最高気温の記録を塗り替えたとか、熱中症で何人搬送されたとか伝えられたりし、私もいつになったらしのぎやすくなるのか、と思った印象が強くあります。NHKのニュースでも「命にかかわることもある危険な暑さ 熱中症に厳重な警戒を」と繰り返し伝えられていました。極めつけは、気象庁の予報官が臨時記者会見で、「命の危険がある暑さであり、一つの災害と認識している」、と述べたということですが、暑さが災害などというコメントは初めて聞いた方も多かったのではないでしょうか。

思い起こせば、今年の5月、気象庁が日本付近の二酸化炭素濃度が観測史上最高を更新したと発表していましたが、この猛暑も地球温暖化の影響が大きいのだろう、と思うところです。もちろん、世界的に平均気温は上昇しているので、我が国だけの問題ではありませんが、我々の生活や経済活動が地球温暖化に影響を与えていることは確かだと思います。

我が国では、2015年のパリ協定を踏まえ、温室効果ガスの排出量を2030年度までに2013年度比26%削減するということを国際的に約束した形になっています。環境省が2016年度の温室効果ガス排出量を公表していますが、それによると、総排出量は13億700万トン、2013年度比7.3%の減だったとのことなので、我が国としては一定の成果は出ているようですが、気候変動は地球規模のため、そう簡単に世界的な温室効果ガスの削減、気温上昇の傾向が変わるとは考えられません。つまり、猛暑は将来的にも続くと予想され、それであればそれに適応していくように努力することが当面必要ではないかと考えます。

国においては、この6月に気候変動適応法を成立させ、今後、気候変動適応計画を策定し、総合的かつ計画的な取組を進めていくということです。本県でも「温暖化からひょうごを守る適応策基本方針」を昨年3月に策定し、取組が進められています。それは大切なことですが、もう一つ「猛暑・温暖化と共存と共生する兵庫づくり」との考え方はどうでしょうか。

猛暑による県民生活への影響として最も懸念するのは、暑熱により健康を害したり、最悪の場合、死に至るような事態になることです。たとえば、熱中症であれば、消防庁が今年7月の救急搬送状況を公表していますが、それによると全国で54,220人が搬送されたとのことです。昨年同時期26,702人と比べると2倍以上となっていることから、そうした面でも今年の暑さが際だっていることがわかります。また、搬送者の内訳を見ると、搬送者の6割は軽症だったようですが、死亡が133人あります。そして、発生場所を見ると、住居が最も多くなっているものの、屋外・道路でも4分の1程度発生しています。特に、コンクリートやアスファルトで固められた環境にある都市部では、上からは直射日光の熱、下からは輻射熱により、さらに、エアコンや自動車など産業活動や社会活動に伴って排出される人工排熱に囲まれ、熱中症になりやすい外的要因が揃っています。そのため、それを少しでも和らげるための取組がやはり必要だと考えています。たとえば、都市緑化の取組も、COの削減という効果だけでなく、猛暑対策として街の中にもっと街路樹等による緑の木陰を作ったり、公園にも藤棚のような日陰になるところを増やすよう意識的に取り組むことなども必要だと考えています。
そこで、猛暑・温暖化と共存・共生する兵庫をつくるためにも、今後県が策定する「適応計画」に期待しているところですが、具体的にどう取り組んでいこうと考えているのか、伺います。

5.教員の事務処理業務の削減対策について

教員の多忙化が言われて久しくなります。私は、教員の本分は子どもと一緒に歩むことだと思うのですが、その時間がなかなか確保できないと言われています。児童・生徒に基礎学力を身に付けさせること、教育による人材育成が重要なことは論を待ちませんが、その肝心要の子どもと関わる時間が十分確保されないならば、それは児童・生徒にとってよいわけがありません。

多忙化という課題の解消に向けては、国が今年の6月に取りまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2018」においても、教育の質の向上等を図るため、学校現場での教員の勤務実態を改善する必要性に言及しています。

それに先だって文部科学省では、平成28年6月に「学校現場における業務の適正化に向けて」という通知を出しています。その内容を見ると、教員の長時間勤務を改善することにより、教員が授業改善に取り組む時間や子どもと向き合う時間を確保し、教員一人ひとりが持っている力を高め、発揮できる環境を整えていく必要があるとしています。それに呼応する形で、平成29年度文部科学白書では、「学校における働き方改革」と題した特集も組んでいます。

こうした国の対応に加え、兵庫県では、平成29年度に「教職員の勤務時間適正化推進プラン」を策定しています。

その中で、平成28年度に行った教職員に対する勤務時間実態調査の結果があげられていますが、それによると、特に「現在負担に感じている業務」として、「事務・報告書の作成」が全体的に高い割合を占めているのがわかります。

さらに、「苦手に感じている業務」として、「苦情対応」につぐのが「事務・報告書の作成」となっています。確かに、就学援助や奨学金に関する書類作成は、かなり時間をとられると聞いたことがあります。

報告書の作成などは、教員自身が作成する必要性が高いものがあると推測するのですが、事務の方はどうでしょうか。今、教員が処理している事務すべてを教員がしなければならないものなのでしょうか。

どこの学校にも事務を処理するため、職員が配属されています。学校の規模によりその人数は異なっていると思いますが、そうした事務職の職員が処理できる事務もあるのではないか、教員しか処理できない事務と、事務職員が処理できる事務との整理がきちんとできているのか、従来からの役割分担に縛られて、見直しが適切に行われていないのでは、というようなことを考えてしまいます。

定型的な事務ならば、システム化を進めることによって効率的に処理することができるようになるでしょうし、既に県内の自治体でも行っているところもあるようですが、たとえば小中学校の給食費を学校でなく地方自治体で徴収するようにすれば教員の事務が削減されます。また、学校事務のサポートスタッフの充実を図るなど、県立学校でも、教員以外の力を使い事務処理をする方法などは、まだまだあるように思います。

そこで、県立学校における業務について、教員が負担と考える原因をどうとらえているのか、教員と事務職員の役割分担が適正に行われているのか、そして、事務処理の効率化にどう取り組もうとしているのか、お伺いするとともに、市町における教員の事務削減につながる先導的な取組を広めていただきたいと思いますが、所見を伺います。