第339回定例県議会 予算特別委員会 <企画県民部①>
質問日:平成30年3月6日
議員名:前田 ともき
1.選挙運動費用公費負担の不正防止と改善策について
(1) 選挙運動費用公費負担の不正防止と関係書類のネット公開 について
公費負担はお金のかからない選挙と選挙運動の機会均等を目指している。公営掲示板のポスターや選挙カーのレンタル・運転手代、ガソリン代など選挙費用の一定金額は税金で賄われ 平成27年執行の兵庫県議会議員選挙においては、約97百万円の税金がつかわれている。
民主主義のコストとはいえ、非常に高額である。政務活動費では兵庫県議会をはじめ全国で様々な不正の実態が明らかになったが、選挙の公費負担でも同じ問題があるのでは、と危惧している。
過去には、公費ポスターの水増し請求が2004年の岐阜県山県市議選で発生し、14人が書類送検。ガソリン代の水増し請求が2007年の渋谷区議選で発生し、6人が書類送検されている。証拠を取るのが難しいので表には出てきていないのだろうが、公費ポスターとして上限請求し、その中に公費負担にならない名刺や政治チラシ代との合算やキックバック、などの手口も考えられる。
そこで、公費負担の不正に対する調査の現状と対策とともに、不正が発覚した場合は原則告発すべきと考えるが如何考えるか所見を伺う。併せて、不正に対する抑止力を高めるために、契約書等の関係書類をインターネット公開すべきと考えるが所見を伺う。
(2)ポスターの公費負担の単価及び限度枚数の引き下げについて
公費により負担するポスターの作成単価は掲示場数や固定費など、ある算定式で選挙区ごとに上限が設定されている。例えば、平成27年執行の県議会議員選挙においては、相生市2,497円、西宮市668円と約4倍も1枚当たりの単価に開きがある。
この算定式では市場価格から大きく乖離しており、高すぎる。デザイン・写真等のポスター作成費は10万円以下で十分可能で、印刷単価は普段愛用する東京カラー印刷では、相生市の300枚なら140円程度、西宮市の1000枚なら90円以下で印刷可能である。
ちなみに、平成27年の兵庫県議会議員選挙西宮市選挙区でポスターの作成に要した費用の最高額は約113万円、最低額は約15万円であり約7倍の差に驚く。
西宮市選挙区で分離計算したとすると、ポスター作成費10万円+印刷実費9万円の19万円となり、先ほどの実最低額15万円とそう変りない数値になる。相生の場合でも同様の結果である。
加えて、ポスター掲示場の数の2倍も作成できるのは明らかに過剰だ。
1993年、当時の自治省選挙部管理課は通達で、「国政選挙に比して選挙運動期間が短い選挙にあっては、ポスター掲示場数を作成枚数の限度とすることが適当である」と、している。実際に市町によっては掲示場数×1や1.2といった限度設定もある。従って、兵庫県もポスター掲示場+予備として数%に留めるべきだ。
そこで、同じ選挙区で約7倍の請求額の差をどのように認識しているのか、固定作成費と印刷費用は個別に限度額を設定すべきでないか、と考えるが所見を伺う。
また、ポスター公費の負担限度枚数は掲示場+5%程度に設定すべきであると考えるがいかがか。さらに、ポスター単価が市場価格と大きくかい離している現状の是正策を問う。
(3)選挙事務に係る業務の合理化と適正化について
逆に単価を上げるべき費用もある。公費負担の運転手の報酬は12500円。
単発の仕事で、約12時間の勤務を考えると、この金額で人を雇うことは善意を除けば厳しいし、追加で候補者が支払うと買収となる。
また、ハイヤーで選挙カーを運用すると1日64500円の公費負担だが、運転手+レンタカー+ガソリン代と分離すると35860円とハイヤー有利の問題も適正化すべきでないか。更に公費負担ではないが、支払可能な報酬がいわゆるウグイス嬢15000円や事務員10000円なども低すぎるので改善すべきだ。
また、煩雑な事務手続きも候補者を悩ませる。
例えば、燃料費はガソリンスタンドと別途契約の必要があり、スタンド側の事務負担や入金が長期化する問題を考慮すると粗利1割以下のビジネスモデルであるスタンドとしてはやってられないし、ここ20年でスタンド数が半減している現状を考えるとこの方式は限界を迎えている。公費上限を設定したうえでの契約不要の領収書払いへの変更が妥当。また、選挙公報はデータ入稿を認めるべきだ。
そこで、これらの公費負担や報酬の上限額の適正化について所見を伺うとともに、併せて事務手続きの合理化について見解を伺う。
(4)公費負担の定額給付化について
政務活動費や選挙費用の不正は過去に多くの事例がある。政治だけに限らず、不正・悪事を働く人間は存在し、それを阻止するために多くの善良な人間が多大なコストや事務負担を強いられている。飛行機の手荷物検査はどれだけコストや手間がかかっても、テロや密輸等のリスクを考えると削減できないが、選挙公費負担は削減できる。一つの方策として公費負担の定額給付化である。
もちろん、給付狙いで選挙運動を全くしない人間も予想されるため、併せて供託金の没収点の引き上げか別途公費負担の最低得票率ラインを設定する。
そこで、現行制度の不正リスク、事務コスト、選挙費用の高止まり懸念を考えると、選挙費用の公費負担は定額給付化が最適と考えるが如何か。
2.人と防災未来センターのダークツーリズム対応について
(1)現状の課題とリニューアルの方針について
東館のリニューアル予算について、ダークツーリズムの考えを導入していただきたい。ダークツーリズムとは、災害や戦争跡地など過去の悲劇や悲しみから学ぶために訪れること。僕も思い返せば、広島の原爆ドームやニューヨークのグラウンドゼロ、ポーランドのアウシュビッツ収容所、カンボジアのトゥール・スレン虐殺博物館、ニュージーランドの地震館など他にも多く訪れてきた。どれも、訪問国を決定した際にぜひ行きたい先、メイン級の扱いで訪れた。実はダークツーリズムというのは観光という切り口で強いコンテンツになる。
世界・日本中から集客できる兵庫の美術館・博物館は、その土地ならではの必然性やストーリー性、知名度を考えると神戸ビーフ館と人と防災未来センターであり、県立美術館や神戸市立美術館などよりも集客力の伸び代は大きいと考えている。
そこで、現状の課題とリニューアルの方針について伺う。
(2) 体験型アトラクションの導入と検討委員会の人選について
2月に毎月1回の無料入館日に同センターを訪れた。そこで感じた改善点。
まずは、映像コンテンツの更新が必要。全映像コンテンツの多言語化対応はもちろんのこと、1.17映像はストーリー性、画質、2番目の映像との重複など改善すべきと考える。東館は個別に指摘しないが、全面的に刷新する必要があると感じた。
次に、体験型アトラクションを導入すべきだ。展示映像や資料はネットや書籍で見ることができる。当センターに訪問する必然性を作ることやメディアやネットを通じた拡散性、満足度を高めるには体験型アトラクションが必須。特に地震や津波は体験とうまくマッチする。
例えば、阪神・淡路大震災や世界の過去最高震度を体験できる施設やVR・ARを活用したコンテンツ。また、死亡率100%になる津波浸水1メートルは安全上・構造上難しいかもしれないが10センチ程度の津波体験なら可能ではないか。体験型は費用が高額化するが、別途追加料金やアトラクションごとに企業スポンサードを獲得する方法もある。
そこで、ダークツーリズム対応と体験型コンテンツの創設についての所見を伺うとともに、体験型アトラクションの導入や映像コンテンツの更新が必要と考えるがどうか。
また、検討委員会で具体的に検討するなら委員には、例えばUSJやSEGA、チームラボなど、アミューズメント施設やテーマパークなどでコンテンツ制作に携わる専門家。また、観光のJTBやHISなど民間事業者を委員に選定する必要があると考えるが所見を伺う。
3.職員公舎の効率的な運用と東京職員公舎の売却について
(1)職員公舎の効率的な運用と家賃適正化について
職員公舎の設置目的は、所得や民間賃貸住宅の供給不足等による住宅困窮者への対応だ。しかし、民間住宅の供給は増加の一途をたどり、平成25年の空家率が13.5%、野村総研の2033年予想では30.4%と十分すぎるほどの供給だ。
更に、職員公舎の家賃は単身者用で5500円から12500円と非常に安価に設定されており、住居手当との整合性や福利厚生としての役割を考慮しても一定の値上げが必要と考える。
国家公務員宿舎は平成23年に削減計画が策定され、5年で25.5%削減し、家賃は、歳出に見合うよう値上げが実行されている。
兵庫県は平成19年の管理戸数1,396戸から平成27年984戸と3割減を達成した。
さらに、最終2カ年行革プランでは平成37年に平成27年から44%減の560戸、入居率80%を計画している。
職員数はこの10年で3割減少している。数十年という時間軸で見れば職員数は今後も減少していくだろう。加えて、核家族・独身・大家族などの家族形態や居住エリアなどの多様なニーズに対応するには50年以上の長期間固定化される直営公舎では柔軟で効率的な運用は難しいと考える。
そこで、平成28年度末の入居率が65%に留まっていることを考えると、計画以上の削減と他部局との共有化などを積極的に推進することが必要と考えるが所見を伺う。また、国の方針に準拠した適切な家賃へ値上げすべきと考えるが所見を伺う。
(2)東京職員公舎の売却について
さて、東京都文京区にある30室の東京職員公舎の建て替え検討がなされていると聞いている。この公舎は売却し、借り上げか家賃補助で対応するべきだ。
道路幅による影響を考慮すると、敷地面積1,843㎡に対して建面積411㎡、建蔽率は60%だが約3分の1の22.2%しか利用していない。さらに、延床面積は1,296㎡で容積率は160%だが約4分の1以下の44%しか利用していない。土地の価値を100%活かしていない贅沢すぎる作りだ。
そこで、東京職員公舎は売却し、借り上げ宿舎で対応すべきと考えるが所見を問う。