平成30年度決算特別委員会(公安委員会)
日 時:令和元年10月10日(木)
質問者:前田 ともき 委員
1 路上駐車の規制緩和について
道路の役割は交通・空間機能。道路は県民のためにあるのであり、道路行政だけの部分最適化ではいけません。県民利益の全体最適を図るため、道路資産の活用と柔軟な運用を意識して行く必要があります。そのような観点から路上駐車に関する規制改革の在り方を3点伺います。
(1)訪問診療等に対する駐車許可事務の簡素合理化について
国は、療養病床の減少や医療費適正化、在宅医療を推進中です。在宅医療の重要な担い手として、訪問医療・看護・介護の役割は大きく、県民の命や暮らしの質に直結する貴重なインフラ。従来から、警察署の許可証で、駐車禁止区域でも駐車が可能です。しかし、民間委託も含めた駐車違反取締りが強化された結果、事業者に対する負担や緊急時の対応などでこの駐車規制の硬直性が一つの障害となっています。
今年3月、警察庁は関係車両の駐車許可事務の簡素合理化について通達しました。
駐車可能な日時・場所の柔軟な対応や申請手続きの簡素化・合理化、事業者の負担軽減を各都道府県警に要請しました。また、駐車許可制度自体が事業者に周知されていない課題認識も示しています。
そこで、貴重な社会インフラである訪問診療等を円滑に効率よく運営するため、駐車規制の合理化・緩和に対する対応状況を伺います。
(2) 原付・バイクの駐車場整備の働きかけと駐車規制の見直しについて
2018年4月に警察庁は「自動二輪車等に係る駐車環境の整備の推進について」を県警に通達しました。今回はその対応状況を伺います。
通達は、駐車場整備の働き掛けと駐車規制の見直しが趣旨。地方公共団体、道路管理者、民間事業者に、駐輪場の整備を働きかける。市区町村には、自動二輪車の駐車場整備の条例を働きかける。内容となっています。
例えば、JR住吉駅で神戸市が運用する駐輪場は150ccまでしか駐車できません。昔から大型バイクはなぜ駐車できないのか疑問に思っていました。原付・バイクの駐輪場整備不足は大きな課題であります。
また、駐車禁止規制の対象から除外する見直しや駐車禁止規制の廃止、駐車可規制の検討などがあります。バイクは自動車に比べると占有面積が小さいので道路環境を疎外しない形で道路の高度利用やユーザーメリットを高めることができるのではないでしょうか。
それら指摘を踏まえた駐車場整備・規制の対応状況と今後の取組を伺います。
(3)宅配事業者の路上規制緩和について
物流は法人・個人の産業・生活インフラであります。ドアtoドアで1個数百円でどこでも配達してもらえるこの環境。ネット通販や宅配は、頻繁に買い物に行けない高齢者や障がい者、過疎地の買い物難民を救う面もあり、無くてはならないものです。
さて、2018年2月の警察庁通知では、直ちに取り組む施策として宅配事業者の駐車規制の見直しがされている。各県警が対象区間・箇所や緩和条件を決定しており、荷下ろし場の設置などもなされている。県警によって対象業種や車種、積載量の緩和が違うようです。そこで、兵庫県警はこれら社会的意義を踏まえてどのように規制緩和を行っているのか伺う。
2 警備業者に対する指導・監督・規制改革について
(1)警備業者に対する指導・監督について
今や警備員は空港や新幹線、万引き警戒など街の至る所で目にします。その業務は施設や雑踏警備、交通誘導など身近な存在です。民間ですが警備員も治安サービス・体感治安の向上に寄与しています。
民間警備業の本格的な発展は、1964年の東京オリンピックで選手村警備で始まり、大手1社の綜合警備保障は警察官僚が退官後に設立したベンチャーでもありました。56年の時を経て来年の東京オリンピックでも大きな役割を果たすことになり、必要な警備要員5万人で警察官2.1万人に対して、民間警備員1.4万人、ボランティア警備員0.9万人とされています。
都道府県の警察官の条例定員は約26万人。これに対して、民間警備員は約55万人とほぼ倍となっています。 意外なことに警察官より人員は多く、その質・量的向上は体感治安に大きな影響を与えます。
そこで、県民の治安サービス向上のため、警備業の健全運営と警備業者に対する指導と監督、その結果を踏まえた措置など伺います。
(2)警備に対する規制改革について
とはいえ、警備員の人員不足は大きな課題です。
警察庁の実態調査では、交通誘導やイベントでの雑踏警備などで90%以上の業者が人手不足と回答。花火やお祭りなどのイベント運営にも大きな影響を与えています。
例えば、宝塚花火大会は警備員の確保が困難で中止。天神祭も警備費用が高騰し、クラウドファンディングなどで資金調達を狙いましたが赤字化しました。イベントの実施主体に自主警備を求めていく流れは正しいですが、警備員の配置に関する警察の指導が厳しすぎるのではないでしょうか。兵庫県規制改革会議では道路工事の際の警備員配置基準の周知徹底がなされました。明石の悲しい事件はあるものの、過剰な配置を警察が求めすぎていないか。それが、不要なコスト、人手不足を生み出す要因となっていないか懸念が残ります。また、警備員が所持できる護身具も厳しすぎます。
県下には神戸港・伊丹空港・神戸空港など重要インフラが存在します。テロリストの攻撃対象になる可能性や万が一の場合のリスクを考慮しますと、催涙などの護身用スプレーや金属製楯や特殊警棒のサイズ制限など改善すべき点があるのではないか。
これら指摘した点を踏まえて、警備に対する規制改革の状況を伺います。
3 通信傍受の運用と犯罪捜査への活用について
2016年に成立した改正通信傍受法が6月施行されました。従来とは違い、県警本部で通信を傍受でき、通信業者の立ち合いも不要で録音も可能。運用が効率的になり、捜査力の向上や効率化が期待できます。対象犯罪の拡大もなされ、特に多くの被害者・被害金額を生み出す特殊詐欺や暴力団に対しては積極的に活用していただきたい。
法務省は昨年の全国実績を公表しました。通信傍受は1万件以上、12事件で82人を逮捕に繋がりました。
そこで、法施行から県警での通信傍受の実績やどのような犯罪に対して行われたのか。法改正までの捜査現場での課題。また、通信傍受を捜査に活用する有用性についての評価を伺います。
一方で、通信の秘密・プライバシーの侵害、通信傍受の乱用など法改正の際には大いに議論されました。諸外国と比べますと、日本はかなり厳格な要件・手続きが依然としてあるわけですが国民の信頼がなくては、この制度の存続は成り立ちません。県民が警察に見張られているではなく、見守られていると感じてもらえるような運用や透明性の担保が必要ですが、具体的にどのように取り組んでいくのか。
また、例えば通信傍受から30年を超えた場合は一定の情報開示を行っていく必要があるのではないか。ご所見を伺います。
4 都市部警察署への負荷集中について
兵庫県警の警察再編計画が策定中です。
この問題は、私が警察常任委員だった時、各警察署を回って調査した際に気づいた警察署間の業務負荷の大きな差。例えば、警察官1人あたりの事件・事故などの処理件数は最大約8倍。県全体の治安サービスの最適化を図るため、平成27年の決算委員会で部局別、そして総括でも警察署や交番の再編を提言しました。
議員もどうでしょうか。一人当たりの質問時間が約8倍も格差があった場合、ちょっとどうなのでしょうか?と思います。
本会議では多くの会派から統合対象の警察署に対する支援や地元の配慮を求める声がありました。警察署が無くなる地域は不安を感じる、という声です。
しかし、都市部の住民は十分な治安サービスを十分受けることができていません。
業務量から見て、適正に警察官が配置されていれば防げていた事件・事故があったのかもしれません。これら住民は警察人員の偏在に気づいていないため、声をあげることができません。だから私は兵庫県全体を俯瞰してあるべき姿を繰り返し問題提起します。そこで、平成27年の提言から4年近くがたち、警察人員の最適化はどのように改善されてきたのか。また、都市部の警察署の業務負荷についての見解、再編によってどの程度改善されるのか伺います。