質問日:令和5年3月13日(月)
質問者:前田 ともき 委員
1 寄附金獲得の拡大へ
(1)ファンドレイザーの採用
来年度予算について、財政基金の透明化が図られ、県民から見えやすくなった。県立学校の施設整備を300億円投資するなど、選択と集中に意を持ち得ていることは評価をする。積極的な自主財源の確保が求められるが、もっと工夫ができるのではないか。その点も踏まえ、以下質問する。寄付金獲得については、10年前から提言してきた。ふるさと納税では、資金使途の選択型・オーダーメイド、クラファン活用。遺贈寄付、寄付型私募債、ファンドレイザー採用など具体、かつ多様に。
渉外活動とマッチングサービス活用で新予算6.7百万円も第一歩として評価したい。
ファンドレイズに必要なのは名簿整備、富裕層を顧客に持つ組織との連携、寄附者のニーズに合わせた寄附使途の提案。そして、ひたすら営業だが、営業は公務員には向いてない。だからファンドレイザーを採用せよと提言している。これまで民間採用を提言してきた情報監や広報監、後述する県営住宅でも同じ理由。
高校に300億の投資は卒業生名簿をAlumnoteなどで整備されていれば卒業生から数億は集まったかもしれない。病院Wi-Fiやダヴィンチ導入は遺贈寄付の連携や病院内広報がもっと出来いれば。プレミアム芸術デーは企業版ふるさと納税で楽天やユニクロと連携。県美で大口寄付者向けにパーティーを開催し、キュレーターの解説やネットワーキングなど非日常な体験を提供すれば、県費負担ゼロで実施できていたはず。お金の集め方は属性ごとに、資金使途別に多様なアプローチが必要だ。
事業への納税者の支持が寄附金として定量的に結果。すなわち直接民主主義の実現と2015年に申し上げた。しかし、毎年数万円しか集まってないプロジェクトを維持している。寄付者の意向を無視した傲慢さ。ジャムの法則的にも問題だ。見せ方、伝え方、立地、期限切る。ナッジ、行動経済学、心理学、色彩学なども考慮しないといけない。
外から非常勤でどれだけ指摘しても、無駄。常勤でプロが実務を回しながら行わないと結果がでない。県庁にノウハウがない中では、始動段階は民間採用で考え方、ノウハウを導入していくことが結果を出すには必要と考える。国立大学の7割はファンドレイザーの設置と急速に進んだ。1大学レベルでこれなら都道府県でも当然必要だ。
ファンドレイジングに取り組むにあたって、プロの視点とノウハウを持つ人材の採用が必要と考えるが、当局の所見を伺う。
(2)遺贈寄付の提携先拡大
2018年の本会議で遺贈寄付について提言した。年間相続額は52兆円、遺贈してもよい人は約5割。遺贈理由の1位は、遺産使途の自己決定が46%、社会へ恩返しが37%。期待値は膨大。その後、三井住友とみなと銀行と協定を締結したが、遺贈寄付の金額は4年で9件、6900万円に留まる。全く足りていない。
銀行経由の遺贈寄付はふるさと納税のように手数料、返礼品も不要で寄付金額も大口が期待できる。つまり事業採算がよく、注力すべきファンドレイズ先。締結後は如何に現場の行員へ浸透させるか。
遺贈寄付の意向は「寄付白書2010」で14.7%、「2021」で42.4%。認知度は大幅拡大するも、提案し、働きかけを行うべき自治体がやるべき打ち手を打っていない。提携先の拡大と行員向け研修、サポート、遺贈寄付者のニーズ把握とそれに合わせた提案活動が必要だ。
メガバン・信託・PB、県下信金、都市圏有力地銀、大手証券会社とは全て締結すべく県から提案すべきだ。金融機関が複数の自治体と協定を結んだ後では、兵庫県の遺贈寄付について行員への浸透度が弱まるので遅い。自治体最速・最多の締結が必要。
最低でも、2023年中に3割、2024年中に7割、2025年までに全行との提携締結を求めるがどうか。
2 信用金庫の再編、中小企業の支援力強化へ
小規模・家族経営の企業支援は地銀・信金の役割が大きい。銀行法の改正で融資以外にも業務範囲が緩和され人材・ICT・マーケ・コンサルと多岐にわたり、金融機関の経営支援力の向上と収益源の多角化が実現。また、金融業は規模の経済が効くビジネスモデル。オーバーバンキングが指摘される中、再編規制の緩和や資金交付制度、優遇金利などの政策支援など、金融庁を中心に地銀再編へ向けた地ならしが進む。
金融庁の有識者会議では兵庫は「2行での競争は困難だが1行単独であれば存続可能地域」だ。システム投資や店舗重複、営業・管理コストの削減へ、一県一行が妥当とも言われる中、兵庫県は信金が群雄割拠する状態。更に小規模融資は組み込み型金融・エンベデッドファイナンスに喰われていく。
例えばECのshopifyは取引データをもとに高度与信管理で小規模・迅速融資を手がけ、個人向けにはBNPL。数百万レベルの小口金融はこれらフィンテックに取られていく。役所や政治家は金融機関に伴走型支援を求めるが、融資額4000万円、金利2%マイナス調達金利となると年間80万円以下の金利収入では採算割れ。融資額を増やすか、株保有をしなければ金融機関による経営支援のインセンティブは薄くなる。
ゼロゼロ融資で膨らんだ過剰債務。デットエクイティスワップやメザニンなど株主として参画せねば利回り向上、b/s改善、伴走型支援はできない。大阪投資育成のように、小規模企業を対象に、株式、転換型社債、資本性融資メザニンに投資する会社を広域連合レベルで作ることも必要だ。
信金は非営利・相互扶助が基本といえど、一定の経営効率は持続性から必要だ。地銀は上場企業も多く株主によるガバナンスや金融庁の指導も熱が入るが信金はどうだろうか。地銀の再編事例を見ていても、戦略面、株主圧力だけでなく、
多分に頭取同士の人間関係や些細なキッカケで統合に至る事例を目にする。
兵庫県の中小企業・個人事業主への支援・収益拡大にはデッドガバナンスの強化、信金再編による経営効率と経営支援力の向上が必要であり、県が率先して再編に向けた取り組みを行うべきと考えるが。
3 ひょうご首長ピッチ、新たな公共調達×オープンイノベーション
お役所ルールを民間がアップデートする規制改革推進会議の創設、自治体VCファンドはGovTech特化と提言してきた。
これに続く3本目の矢、それがひょうご首長ピッチ。
知事をはじめ兵庫県下の首長が居並ぶ中で、ベンチャーを中心に民間企業が新技術・サービスをプレゼン。首長が評価して、随意契約。
他の自治体でも有識者会議を経て認定・随契はあるが、本制度は行政向け営業にはないスピード感と多数の首長に直接プレゼンが魅力。
有識者では技術評価できても、ニーズ評価できない。首長は行政ニーズを一番よく知っている。ひょうごテックイノベーションはよい取り組みで発展させてほしい。しかし、役所内で課題認識と要件定義を正しくする必要性があること。役所の認識外の課題や知らない技術・サービスで改革できるテーマは外からの提案が必要。残念ながら、斬新かつ実績少ない技術が保守的なお役所でボトムアップで採用されるとは思えない。また、大企業有利な入札資格も是正が必要だ。
東京都の元ヤフー社長が推進するスタートアップ支援は強力で同じ仕組みでは勝てない。今回の予算化されている協業支援やコミュニティ作りはVC、大手企業、経済団体が十分すぎるほどやっている。city tech tokyoには勝てない。。
スタートアップには箔付と発注が一番の支援。新しい技術・サービスのピッチを受けることは首長も勉強になる。ひょうご首長ピッチ。この3本目の矢で兵庫にイノベーションを、民間と共創を、全国で突き抜けろ。
ひょうご首長ピッチで新たな公共調達とオープンイノベーションを推進させることに関する、当局の所見を伺う。
4 インターナショナルスクール・ボーディングスクールの誘致
部局別ではギフテッド特化型の県立小中一貫校の創設を提唱した。
多様な学びを提供する前田案の二つ目が海外インター校・全寮制ボーディングスクールの誘致だ。私立比は小学校1.2%、中学校8.7%とごく僅か。高校26.7%、大学78.2%であり、小中学校は多様な学びの場が提供されているとはいいがたい。
首都圏では中学私立受験が17%以上、公立小初のバカロレアの初等教育プログラム校が誕生するなど萌芽はある。私立が何でも優れているとは言わないが、公立は小規模特認校や区域外通学を利用しない限り、学校の選択肢はない。インターは高度外国人の獲得、外資企業の誘致にも必要な要素。担税力ある人材には、住環境と教育だ。
最近では、英国マルバーンが東京小平市に、ハロウは岩手県八幡平市、千葉県柏市にラグビーなど海外名門校の進出が続出している。
いまや上海、ソウルより学費・生活費が安い日本。安全、医療、文化を考慮すると外資系の進出意欲は高いのではないか。
インター数は上海169、シンガポール122、東京ですら20校であり、拡大余地は大きい。田村こうたろう氏「中堅インタの時価総額は650 億円」投資、出店意欲はありそうだ。
本来は兵庫県というより広域連合レベルで出店候補地の情報提供、自治体所有地や廃校跡地の活用、私立校の事業承継による運営体制への支援などを行うべきだ。
また、神山まるごと高専やキャピタルインターなど企業経営者が学校設立に動いている。
ゼロイチで学校法人や学校の新設手続きは新規参入者に非常に負担であり、慣れている行政で支援することも一案だ。大規模な資金ニーズが発生するため、保証協会による保証融資も検討の余地がある。シンガポールや香港では低利融資や土地提供など行い、誘致している。外国人学校の設置基準も最低生徒数が過大となっていないか。校地を自己所有と規制し投資負担を招く状態になってないか。改善の余地がある。そして、これら支援の見返りに兵庫県民向け格安枠を進出校には求め、家計に関係なくチャンスを提供する。
これらの指摘を踏まえた海外インターナショナルスクールやボーディングスクールの誘致について知事の所見を伺う。
5 近代五種障害物レース「通称SASUKE」の誘致
私は10年前にスポーツを教育委員会から知事部局に移管せよと提言した。本年4月から知事部局の所管となる予定。障害物レース施設の誘致は総括としては小さいが、部局移管の必要性を再認識する契機と考えるのでここで伺う。
TBSテレビで人気を博すSASUKEは世界160以上の国と地域で10億人に視聴されている。オリンピック競技の近代5種は人気低迷や馬術の高額費用による競技者不足・動物虐待問題から馬術を廃止し、SASUKEを参考にした障害物レースの採用を検討。2022年11月には国際近代五種連合がIOCに種目変更を提案し、採択されれば2028年ロス五輪でお目見えする。TV発の五輪種目という話題性、世界に刺さっている面白さ、視聴者獲得はIOC収支改善のための課題であり、大きな目玉・ブームとなりうる。
日本初であり、忍者競争とも呼ばれる同競技。近代常設施設を設置すれば、そこが世界の聖地となる。世界一の五種アスリート養成地域となり、合宿誘致につながる。
また、学生向けにはSASUKE甲子園の企画、4万人を動員するX GAMES Chibaのような国際イベントの開催にもつなげていく。アイススケートのように運営費用は高くなく、野球場のように広大な敷地も不要で低コスト。高校再編後の跡地で活用できるのではないか。正式に五輪採用が決定してから誘致の検討・行動したのでは遅い。他の自治自体が動いていない今から動くことが結果につながる。
そこで、近代五種の新候補である障害物レース施設の整備と、通称SASUKEの誘致について伺う。
6 自衛隊との連携強化と県警の役割、武力攻撃に備えた方針
検討使とも揶揄される岸田政権が極めて迅速に決断しているのが軍事・防衛関連だ。台湾有事はある。そして時間軸は数10年先レベルではなく、2027年にも侵攻との噂もあり緊張感は高まるばかり。
県は自衛隊との連携をこれまでの大規模事故・鳥インフル・防災から上げる必要がある。
ミサイル配備や基地設置など首長の反対で頓挫してきた事例が散見される。個々の事例で合理的に認められないものから、首長の思想から認めないものまで様々だ。斎藤知事はどうなのか。今後予想される基地拡張やミサイル部隊、弾薬庫などの増設、共同訓練・演習に賛成ですか。空港や港湾での自衛隊の訓練利用には首長許可が必要だが許可するのか。現職自衛官と県庁職員の人事交流は防災のみならず、武力攻撃時を見据えた人事交流や連携が必要ではないでしょうか。必要な際、躊躇なく自衛隊の部隊等の派遣(国民保護等派遣)を要請するのか。
また、兵庫県警の役割も薄く感じる。兵庫県国民保護計画では国民保護対策本部を県警本部長が本部員、防災監が副本部長。副本部長にしたからなんだというのはあるが、県警が担う役割の認識が薄い、大規模な攻撃を受けるリスクを過小評価しているのでは。武力攻撃事態等における警察の役割は交通規制や避難が中心となっている。マシンガンなどの特殊装備や練度は十分か、SATは大阪府警頼みでいいのか、自衛隊のノウハウ、連携、支援も必要ではないか。これら指摘を踏まえ、県民の命と財産を守るため、自衛隊との連携強化や県警の役割について知事の所見を伺う。
7 マギーズ誘致、公設民営がん患者相談支援センター
私はこれまで、治療だけでなく妊娠可能性温存やアピアランスなどがんと共生する社会に向けて、実体験も踏まえ県議会初の提言を重ね、実現することができました。しかし、今回、未だ改善の余地がある部分、それががん患者相談支援センターです。
認知度が2018年度、66.4%。2014年度の56.0%から上昇している一方で、利用率の14.4%は、非常に少ないと感じております。
2022年8月「がん診療連携拠点病院等の整備に関する指針」では、がんと診断された方に、がん相談支援センターを案内する仕組みを拠点病院の義務としましたが、十分に活用されていないのは、何故でしょうか。
令和元年の議会でも指摘致しましたが、「デザイン・立地・雰囲気」等のハード作りの足りないことが患者目線ではなく、認知度が高くとも、活用、相談されないのです。県当局は当件に対する様々な議員の提言に対して、周知・相互連携・スキルアップ支援等、積極的ではなかったと感じています。私は「マギーズ」共同代表の鈴木さんと知り合いですので、「マギーズ」個別名は避けてまいりました。しかし、県民から頂戴する声や看護師たち、神戸市会を含めた他議員との議論からも「マギーズ」指名の声が強く、やはり兵庫に誘致すべきだと考えております。
それが関西圏での、がん患者相談支援センターのモデル・研修機能として活用され、真に寄り添ったがん患者支援、公民連携型として先進県を担う兵庫県の役割であると考えております。「がん条例」の目玉施策としても、県立がんセンター建て替え整備を期に、マギーズを誘致するべきです。
兵庫県と神戸市が協力、適地を確保し、企業版ふるさと納税等を活用して県予算0で建設。無償貸与、運営をマギーズに任せる等、公設民営が理想だと考えております。
知事のご見解をお伺いします。
8 県営住宅局長の創設と民間採用
これまで県営住宅の改善点について数多く提言してきた。
容積率・建蔽率のフル活用、借上げ型の採用、優先入居要件の改善、入居率や当選辞退率の向上、駐車場の一般開放や公園設備、エレベーター保守費用は私の提言で年間2.9億、従来比54%削減、70年とすると約210億円の削減。深江の県住では廃止決定から廃止完了まで10年、廃止完了後に利用希望を照会する手際の悪さから、更に2年後に売却手続き。保有する土地の逸失利益を認識しないから、平気でこんなに時間をかける。他にも指摘したい点はあるがもうキリがない。
それはなぜか?
県営住宅の運営、すなわち不動産投資・大家業を素人がやっているからだ。
県住4.7万戸×建築1700万円+土地=総資産は軽く1兆円。
ご存じワコーレで1000億、上場不動産165社で資産1兆円以上は12社しかない。
ローテーションの素人課長が経営できるレベルではない。
これまでの質疑を通じて身に染みた。
民間経験者を採用して、より洗練された経営とすべき。
プロの不動産事業者でも営業利益率=経営効率で数%の差はザラ。
1兆円を1%改善すれば100億分のメリットが生み出せる。
県職員が全部ダメだとはいってない。向き不向きがある。
ただ、不動産投資・運営は向いてない。
1兆円の資産額に見合った洗練された運用体制にすべく、県営住宅局長職の創設と民間採用をすべき。