議会の動き

百条委員会賛成討論

ひょうご県民連合議員団の迎山志保です。

ただいま上程となりました『元県民局長の文書問題の内容調査に関する動議』に賛成の立場から討論を行います。

 元県民局長の手による文書を初めて目にしたのが3月下旬、今から2ヶ月半前のことになります。にわかに信じがたい内容に困惑しつつも、「事実無根」であると知事が会見の場で語気強く否定されたこともあり、県の人事当局による内部調査を見守っておりました。 

その結果、核心的な部分が事実ではないとして元県民局長が処分されましたが、調査最中に、県内企業からの高級コーヒーメーカー等の贈答品が産業労働部長あてに届けられていたこと、そして告発文書の内容を受けて慌てて返却したことが報道等で明らかになり唖然と致しました。

人事当局が作成している県職員向けの『不祥事防止読本』では、「公務員が職務に関連して金品を受け取った場合、職務に不正があったかどうかを問わず収賄罪が成立します」「受け取った後に返した場合や要求して相手が応じなかった場合も罪は同じです」と記されています。 「PRのためなら業者からもらっても良い」などという根拠は、県のどの規定にもなく、今になってそうした規定を作成しようとしているとのことですが、それはとんでもないことであり、県職員から「PRのためなら何をもらってもいいなどというのは恥ずかしい言い訳」との声も届きました。 

また、人事当局の内部調査に長年兵庫県信用保証協会の顧問をつとめる弁護士が関わっていたことも報道され、調査に中立性がないことも明らかになりました。一体この調査に何の意味があったのでしょう。こうした場当たり的な対応、内部調査への不信が相次いで報道されるに至り、人事処分発表2日後の5月9日、私たちは中立的な第三者機関の設置と議会独自の調査が必要であるとして地方自治法百条に基づく委員会設置への協力を求める申入れを県当局に行いました。 

この間、議会の総意としての議長による要請を受け第三者機関の設置が表明されましたが、知事のパワーハラスメントを証言する複数の県職員らの声が別の報道機関からも報じられるなど、県民の納得を得られるような事態の収束は見通せない状況であり、本日、この動議を自民党会派と共同提案するに至りました。

百条調査権は行政の監視者たる議会が持つ大きな権限です。まずは第三者委員会の結果を待つべきという意見がありますが、知事当局が設置する第三者委員会と議会の権能である百条委員会は全くもって別物であり同列に扱うべきものではありません。 また第三者委員会の人選や調査内容に議会として細かくコミットすればよいとの意見もありますが、それは本当に望ましいことでしょうか。知事の選挙に関わった議員も多数いる中で、第三者機関のあり方を考えたとき、人選の中立性を監視するくらいの役割は理解できるものの、逆に必要以上の介入は慎まなければならないと考えます。 

地方自治体は二元代表制であり、知事の疑惑の解明への責務や権限は知事が負うだけでなく、私たち議会も負っています。百条委員会は県民に開かれた場です。委員会を設置することは県民に対して議会の責務を果たすことに他ならず、議員がこれを拒むのは県民の知る権利を奪うことであり、自ら議会の存在意義を否定することです。 また知事当局にとっても事実無根の内容を明らかにすることで身の潔白を証明し、名誉を回復する機会であると考えます。 

先の一般質問で片山副知事がご自身の身を賭してまで百条委員会設置をやめてほしいと議運委員長に働きかけた事実が明らかになりました。この際自民党会派への働きかけはあり得ることでしょう。しかしながら議運委員長へのそうした行為は議会へのあからさまな介入であって言葉を失うとともに、この問題に神経を尖らせ、都合の悪いことを何としても握りつぶそうとしているとしか映りません。職員の負担を理由に百条委員会を否定されたとも聞いていますが、疑惑を指摘されている人が証人として事実を述べれば良いだけで、証人として事実を述べることこそが全職員にとって有益で重要なことに他ならず、職員を思えば県幹部として進んで協力すべき立場ではないでしょうか。何としても百条委員会を阻止したい理由が本当にわかりません。この度の片山副知事の行為で議会として百条委員会を必ずや設置しなければならないと確信いたしました。 

執行機関である行政と議決機関である議会は独立しつつも双方が抑制均衡を保ちながら両輪として機能しています。二元代表の一翼にかけられた嫌疑を究明するのは同じく一翼を担う我々以外にありません。 第三者委員会の結果を待って百条委員会を検討するなどという解決の先送り、責任転嫁はやめ、1日も早い兵庫県政への信頼回復、兵庫県政の前進のために、県民から負託を受けた私たち議員一人一人の責任において兵庫県議会が真正面から取り組むべき事案だと考えます。 議場におられる皆さんには県民の、県職員の生の声が届いているはずです。政局とか政争などという次元の話ではなく、ただひたすら県民のために兵庫県の未来のために86名全員一致で取り組みませんか。 全ての兵庫県議会議員の皆さんの賛同を願い討論を終わります。