第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (産業労働部)
2010年3月8日(月)
1 海外事務所のあり方について
(1) 自治体国際化協会について
自治体国際化協会は、地方自治体の国際化を推進するため、地方自治体の共同組織として昭和63年に設立された。東京に本部を置き、そして、現在ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー、北京に海外事務所を設置している。各地方自治体の国際交流を補完し、さらに促進するといった意味では海外に直接窓口を持たない地方自治体にとって、大きな意味のある団体であると思う。
我が県も、協会設立当初から加盟し、これまで延べ19人の職員を派遣してきており、財政面でも、例えば平成20年度では約3000万円、21年度も約2700万円の分担金を支出している。
また、昨年12月定例会での我が会派の吉本議員が行った、アジアとの経済交流に関する質問に対して、知事は、国際交流による産業振興に自治体国際化協会も活用したいとの答弁されたところである。
そこで、まず、本県の国際化、国際交流の推進において、当該協会の活動がどのような役割を果たしているのか、これまでの成果と今後の期待について伺う。
(2) 中国における観光・経済活動の支援機能について
兵庫県では、現在アメリカのシアトル、西オーストラリア州のパース、フランスのパリ、ブラジルのクリチバの4ヵ所に海外事務所を設置している。
中国に関しては、香港事務所を平成20年に閉鎖し、現在は現地事務所はないが、近年著しい発展を遂げている華東地区において、上海・長江交易促進プロジェクトを積極的に推進するため、神戸市南京事務所を県市共同事務所とした上で、アドバイザーを配置し、その交流機能の強化を図ってきた。パリ・パース・シアトルは否定しないが、一番交流が厚く、県も重視すべきである中国の現地事務所が閉鎖されたままということには違和感がある。
同じく、吉本議員の質問への答弁では、「閉鎖した香港事務所の代替として、現地事情を熟知する駐在員を配置し、連絡事務所機能を残し、さらに神戸・ひょうご南京経済貿易連絡事務所の活用を行っている。また、自治体国際化協会の北京事務所へは次長を派遣し、友好省の対外経済部門との連携強化などにもよって、経済活動を支援する機能を後退させないように努めている。」とあったが、そこで、現行体制の下での、観光交流も含めた経済活動の支援機能とは、一体どのようなものなのか、説明願いたい。
(3) 東アジアにおける海外事務所設置の必要性について
海外事務所は設置することに意義があるのではなく、設置するからには何らかの意義がなければならない。中国をはじめとする東アジアとの交流を強力に推進することについては誰も異論はないと思うが、それなら機能維持ではなく、機能強化が必要ではないか。現行の体制のままで支援機能の強化が可能だというのなら結構だが、強化が難しいというのなら、現行の体制を見直し、相応の機能を持った海外事務所を設置する必要があると考える。
そこで、東アジアを所管する海外事務所設置の必要性について、どのように考えているのか、所見を伺う。
2 韓国及び姉妹・友好都市との交流について
(1) 韓国との交流について
兵庫県内の韓国、朝鮮の方の居住者は全国で3位となるほど、多くの方が暮らしており、また隣国でもあり、大変交流の深い国と言える。県下では、豊岡市、三田市、姫路市が、それぞれ韓国の各都市と姉妹提携を結んでおり、また、兵庫県においても、コウノトリの郷公園と韓国コウノトリ復元研究センターとの交流をはじめ、様々な人的交流、教育交流、文化交流の取り組みを続けていることは承知している。
しかし、近年、話題として取り上げられるような取り組みが少ないように感じる。要人の往来について見ても、最近では(といっても1年以上前であるが)、慶尚南道の金知事一行の来県があったとのことであるが、我が県からの訪問はないと聞いている。
隣国である韓国との交流は大切なプログラムであるので、もう少し積極的な事業展開を期待するところであるが、そこで、韓国との交流に関して、施策の基本姿勢と今後の施策展開について、所見を伺う。
(2) 姉妹・友好提携先との交流について
兵庫県の国際交流について、果たして県民の皆さんにどれぐらいのご理解をいただいているのか、兵庫県の姉妹・友好提携についてどの程度ご存知なのかが私は疑問である。どこかの外国の都市と姉妹都市ぐらいにはなっているんだろうぐらいの認識では、せっかくの国際交流が浸透しているとは言えないわけである。
行政や企業・団体だけではなく、県民レベルの絶え間ない相互交流があり、初めて二つの都市が本当の姉妹・友好提携の都市としてつながっていくものであり、県民の皆さんが訪問しやすい環境や、当然相手の都市の方がこの兵庫県を訪れやすいような環境も整備していくべきである。
そこで、例えば、旅行業者に対して様々な旅行プログラムの設定などを働きかけたり、お互いの公式ホームページで、相手のことを紹介し合うことなど、姉妹・友好提携先との交流促進のための取り組みの強化が必要であると考えるが、これに対する所見を伺う。
3 「灘の酒」振興について
長期の景気低迷の影響や消費者嗜好の多様化などから、日本酒の出荷量は漸減傾向にあり、県内酒造業は厳しい状況が続いている。特に「灘の酒」は、全国の日本酒の約3割を占め、シェア、知名度ともに全国1位であるが、ブランド力については総じて弱く、有名なのにブランドイメージは低いという、ジレンマを抱えている。一方で、地酒ブームの主役となった新潟県は90年以降、シェアを大きく伸ばし、全国第3位を持続している。特に吟醸酒・純米酒といった特定名称酒の出荷量は3万1千klに上り、本県の2万9千klを上回っている。本県をはじめ、全国主産地の大手企業は低価格競争から抜け出せないのに対して、新潟は高級化路線の差別化に見事に成功している。
本県では、これまでから日本酒の振興として、日本酒の魅力をアピールするイベントの開催をはじめ、海外での商談会や全国の大消費地での試飲・即売会の開催、酒蔵や資料館の産業ツーリズム施設への登録など、様々な支援を行っており、これらの取り組みに対しては評価をしている。
しかし、現在の厳しい局面を打開するためには、戦略的にもう一歩踏み込んだ取り組みが必要ではないかと考えるが、そこで、県としては、「灘の酒」振興の戦略について、どのような考えを持っているのか、伺う。