第308回2月定例会 予算特別委員会質問(県土整備部)
2011年3月8日(火)
1 地域生活道路の整備に向けた用地交渉のあり方について
(1) 用地取得の現状について
地方における社会資本整備は、県民生活や経済・社会活動を支える礎であり、「人」や「もの」の交流基盤の整備促進などは、住民が安全・安心で、豊かな生活を営むためにも必要不可欠であり、特に通勤・通学をはじめ日常生活に不可欠な主要県道等、生活道路に至る道路整備は極めて重要です。
本県では、地域の生活道路のうち、日常の交通の安全・安心に問題のある箇所、日々の生活に支障を来している箇所について、すれ違い困難箇所や渋滞交差点の解消、歩道の連続性確保等の整備を進めておられます。
平成21年度末までに、すれ違い困難箇所の解消24.6㎞、歩道不連続区間の解消64.4㎞、歩道のバリアフリー化48.9㎞、渋滞交差点の緩和・解消23箇所の整備を実施してきたと報告されています。
その実施の前提としての用地取得交渉にあっては、交渉の経過の中で様々な課題があるものと聞き及んでおります。
一般的に、用地取得はまさに相手のあることで、特に困難事案に要する期間の予測は、その諸状況を鑑みても困難が伴い、費用的にも大きな負担がかかるともいわれていますが、とりわけ難航する場合の理由として、一つに、事業の必要性や周辺環境への影響・住民説明への不満不信といった事業計画そのものに関する課題、二つに、補償方法や開発利益に関するものや代替地の要求などといった補償に関する課題、そして三つには、地権者間の係争や境界不確定、公図混乱地域の存在、区分所有や共有地での合意を得ることの困難さといった、複雑な土地の権利関係に関する課題があると聞いております。
こうしたそれぞれの課題への対応のあり方として、例えば事業計画の説明のあり方や、補償における利益調整の従前からの仕組みを見直すこと、また、権利関係を明確化するために地籍調査の推進方策を見直したりすることなども考えられますが、地域生活道路の整備に関する用地取得の課題についての所見と、これまでの県の取り組みについて伺います。
(2) 用地交渉に係る専門職の導入について
現行では、県職員が調査から嘱託登記までの手続きが可能であり、現に遂行されているものと思いますが、人員的にも専門知識の面でも従前よりも一定の困難が生じているのではないかと推察します。
特に、行革の推進による県民局部署の統廃合や人員削減、特に三田は、宝塚土木に統合されましたが、用地関係については専門職員や経験のあるベテラン職員の退職による減少も影響して、その対応は最近では限界に達しているものと考えられます。
そこで、例えば国家資格を持ったプロである司法書士や土地家屋調査士・不動産鑑定士といった外部専門職の導入を検討する方法も検討すべきではないかと考えます。
或いは、行政の責任の所在を明らかにする意味で、先に申し述べた専門家を職員による交渉時に同行させるということでも、職員の負担軽減はもとより、用地交渉をスムーズに進めることになり、誤解を生まないことにも貢献できるのではないかと考えます。
県としても、これまで、土地の調査・測量については測量会社へ委託したり、物件調査は補償コンサルタントに委託してこられ、また、三田によくある事例ですが、地図と現地とが不整合になっている、いわゆる地図混乱により権利関係が錯綜し、地図訂正が必要となるような登記困難な案件の登記については、「兵庫県公共嘱託登記土地家屋調査士協会」などを通じて、一定の外部専門職の導入を行ってこられたとは伺っていますが、用地交渉に関する、よりスムーズできめ細やかな促進を図るとともに、現場職員の負担軽減を検討する観点からも、専門職員の充実など、これは当該職員の専門性の充実問いう意味ですが、専門家のより積極的な導入を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
(3) 土地収用のあり方について
用地取得の難航理由は,それぞれの事業の異なる対応や社会的背景に基づくものであり,各課題に対応した制度の改善が必要であります。
私が知っております主要県道におけるケースで、数百メートルにわたってすれ違い困難区間が存在し、その前後については歩道を含めて改良されたものの、当該区間において、たった一人の地権者との間で補償額をはじめとする各種諸条件が折り合わずに用地取得が難航し、約20年にわたってその進捗が見られていない例があります。
こうした場合に対応する一つの手段として土地収用の方法が考えられると思います。
この制度は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用に関し、公共の利益と私有財産との調整を図るための制度であり、補償金額等諸般の事情で折り合いがつかないため土地を取得できない場合に、県等が土地収用法に基づいて国土交通大臣等から事業認定を受けたうえ、収用委員会に対し裁決申請を行い、収用委員会による裁決を経て土地を取得、場合によっては行政代執行による強制執行が行えるようになる仕組みや手続きです。
本県の場合、土地収用法に基づく事業認定を受けた件数は、過去5年間で計4件に過ぎず、かつ行政代執行による強制執行に踏み切ったのは過去10年間で1件に過ぎず、実績が少ないと思います。
未改良の道路のせいで、安全、快適な市民生活が脅かされることなく、円滑な経済活動の促進を図るた、生活道路整備の計画的推進が今後とも一層求められることとなることから、こうした土地収用を進めていく、あるいは進めざるを得ない事案が増加していくのではないかと考えますし、それを着実に推進するための職員マニュアルの整備なども必要になっていくのではと思われます。
特に県民局管内では、人員的にも体制的にも困難が伴うことから、本庁部局における専門的な対応が適当と考えます。
そこで、土地収用による用地取得について、今後どのように進めていかれるのかを伺いたいと思います。
2 人口減少社会における市街地再開発事業のあり方について
(1) 県下の実施状況について
ご承知のように、市街地再開発事業は、都市再開発法に基づき、都市の中心商店街や駅前ターミナルをはじめとする中心市街地内の木造家屋が密集している地区や、駅前広場等公共施設の整備が遅れている地区の再整備を行うことによって、活力あふれる豊かなまちづくりの推進や、まちのにぎわいの創造に寄与する大きな事業です。
本県ではあの阪神・淡路大震災の復興過程においても、公共施設の整備、災害時におる防災機能の向上、災害に強いまちづくりに大きな役割を果たしてきましたが、全国的にみても、平成22年3月現在755地区・約1,067ヘクタールが実施・完了しています。
しかしながら、近年の経済情勢の停滞が続く中で、一般的に事業のスタート段階から竣工・清算までの期間が概ね10年以上が必要ともいわれており、長期に及ぶ期間中には、参画事業者の入れ替わりや競合、そして長期間であるが故の計画変更、事業者側にとっては、投資に対する回収期間の長期化・不安定さといった数々の阻害要因も発生し得る昨今です。
そこで、本県における市街地再開発事業の実施状況について、まず伺います。
(2) 三田市駅前地区の現状について
三田駅前地区は、JR三田駅・神鉄三田駅の駅前に位置しており、従来から三田市の玄関口として、まちの顔として重要な地域であります。
平成3年に策定された市の総合計画では、三田駅前地区は三田市の玄関口と、また、内陸新都市圏の中心商業地と位置づけられております。
三田駅前のターミナル機能とこれを核とする基幹交通軸の整備を、そして中心商業地としての活性化を図る役割が期待されることとなっております。
駅前地区をA~Dの4ブロックに区分したうえで、ブロック毎に順次整備を進めていく計画となっております。
平成2年に高度利用地区、駅前線等主要な道路及び三田駅前Aブロック地区市街地再開発事業の都市計画が、平成9年には三田駅前Dブロック地区市街地再開発事業の都市計画が決定しました。
平成15年2月にDブロックが、平成18年3月にはAブロックがそれぞれ事業完了したところであり、加えて平成22年度末には、まさにあと数日まできましたが、駅側の駅前北側のロータリーの完成が間近であります。
しかしながら、残るBブロックとCブロックについては長引く経済不況等に伴って再開発ビルの施工や分譲などを請け負う「特定業務代行者」が長らく決まらず、老朽建築物等が密集して防災上危険な状況が継続している状況にあります。
そこで、BブロックやCブロック地区の再開発事業の現状と今後について、伺います。