第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部2)
2012年3月5日(月)
1 私立高校支援について
県下の中学校卒業者数は、少子化により中期的に減少となることや、国の高等学校の実質無償化などにより私立高校を取り巻く環境が変化している。このような中、大阪府は昨年度から公私間格差をなくす為の取り組みとして、私立高等学校等授業料支援補助金の新制度をスタートさせた。結果として大阪府下の生徒の受験動向が変化し、延いては兵庫県内の私立高校に影響を与えることが懸念される。
県内の私立高校に通う生徒数は、平成17年度38,638人から23年度35,958人へと2,680人減となるなど減少傾向にある。また大阪府下から兵庫県内の私立高校へ通う生徒数も同様の傾向で、平成17年度2,456人から23年度の1,949人へ約500人2割減している。これらにより阪神間の一部の女子校で定員割れが生じるなど、県下の私立高校の経営は非常に厳しさが増していると聞いている。
一方で、兵庫県内から大阪府下の私立高校への通学者は平成17年度5,564人から23年度の6,157人へと逆に593人・10%増えている。
公私間のバランス、地域性などの要素を考慮する必要があり単純に比較すべき数字ではないが、結果として4000人あまりの生徒が県外に流出するアンバランスが生じている。
私立高校を希望する県内の生徒の、県内での受験機会の確保が必要であることから、先ほどのアンバランスの是正と、多様な高校教育の一環を担う私立高校の経営健全化に向けた県の取り組みを問う。
2 県立大学について
政治、経済はじめ東京の一極集中が続く中、関西の復権が求められている。知事も双眼的国家構造を目指すと様々な場面でのべている。大学教育の分野においても受験生の東京への進学希望の一極集中が止まらない。
あわせて東京の一部有力私立大学などは高校の系列化を進めるなど地方での学生獲得競争が激化しており、関西の大学の一層の努力が求められる。
そこで、大学を取り巻く環境が変化する中で2点、質問する。
(1) 公立大学法人移行に向けた取り組みについて
大学運営の自立性、意思決定の迅速化、業務の効率化を図り、学生や地域に魅力ある大学づくりを目的とし、平成25年4月に公立大学法人化への移行のための予算が計上されている。
県立大学は、平成12年の県立大学検討懇話会より「県立大学の様相を一新できるような思い切った改革が必要であり、1大学に統合することが望まれる」との提言を受け、平成16年神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学の3校が統合された。
因みに統合前後の志願者数をみるとH13年6977人、14年7864人、15年7990人、16年7649人、17年6323人、18年、6446人となっており、志願者数だけで統合効果を図るものではないが、その効果は実感しづらい状況にある。
統合前の看護大学の頃は地元議員として卒業式に出席させて頂くなど地元としての親近感もあったが、統合以降はこのような機会がなくなってしまったことは残念である。勿論、統合によって多くの成果があがっているとも思うが、3校それぞれが県立大学の名の下に埋没しているのではないかとの危惧も持っている。
そこで、法人化議論のスタートにあたり、統合後どのような成果があがっているのか、またどのような課題が生じているのかについて伺うとともに、これらをしっかり整理した上で法人化に臨むべきと考えるが、所見を問う。
(2) 近隣府県立大学との連携について
県立大学ではHUMAPをはじめ、ひょうご神戸産学学官アライアンス、大学コンソーシアムひょうご神戸、ユニティなど様々な大学間交流が行われている。いずれも県内を中心とした交流で県の枠組みを超えた大学間連携を促進すべきではないか。
この点、県立大学においても、平成19年度から、京都・奈良・和歌山の各府県立医科大学と連携して、「がんプロフェッショナル養成プラン」に取り組む、あるいは、平成23年4月に、大阪府立大学等と連携して「大阪ベイエリア金属系新素材コンソーシアム」を立ち上げるなど、個々の分野における取組は進められているようである。
しかしながら、積極的な大学間連携による関西復権を図るためには、個々の分野における連携に止まらず、より総合的な連携を図っていく必要性は高い。
旧国立大の京都大学・大阪大学・神戸大学では、3大学が相互に連携し、高度な研究者及び技術者の人材育成に貢献、ひいては関西地域の活性化に資することを目的とし、科学技術、文化・芸術等の振興に関する共同教育・研究事業として、平成19年からシンポジウムを開催している。また、私立大学間においても関西・関西学院・同志社・立命館大学による関西4大学学長フォーラムなども開かれている。
地域での近隣大学との連携や個々の分野における連携はもちろんであるが、県立大学と同じような位置づけである近隣の各府県立大学との総合的な連携を、より積極的に図ってはと思うが、所見を問う。
3 災害時要援護者対策の充実について
(1) 災害時要援護者名簿の整備促進について
県下の災害時要援護者名簿の整備状況を見ると、H23.4.1現在で4市町が整備中であるものの37市町が策定を終えている。しかしながら、各市町ごとに要援護者名簿の整備方法や他団体への名簿の提供状況は千差万別で、名簿の内容には大きなバラツキが見られる。
一つには、整備方法は、内閣府のガイドラインにより、福祉関係部局等が保有する情報を関係機関が共有する関係機関共有方式、本人に直接的に働きかけ情報を収集する同意方式、自らが名簿への登録を希望した者の情報を収集する手上げ方式と3つの方式に分けられており、行政コストの高低、情報把握の漏れの多少、個人情報保護の視点などそれぞれにメリット・デメリットがある。
3つの方法を組み合わせるなどにより県下には8通りが並存している。
二つには、名簿の提供先は、社会福祉協議会はじめ民生委員、消防団員、自治会などの自主防災組織、警察などその他の団体などが対象で、提供時期も平時から提供するものと災害時のみ提供するものとに分かれている。このように提供先、提供時期とも市町ごとに全く異なり、中には個人情報保護等を理由に先に述べた団体に全く提供していない自治体が10市町にのぼっている。
言うまでもなく要援護者名簿は、災害発生時の初動を決めるまさに重要な情報であり、生死を分ける情報になるといっても過言ではない。要援護者名簿の精度により次に質問する個別計画の成否がかかっている。
個人情報保護の重要性にも一理あるが、特に大規模災害では、被災地自治体のみでなく広域での支援が不可欠であり、県として統一した基準の要援護者名簿の整備・運用を目指すべきと考える。
そのため市町のバラツキを小さくしていくことは重要であると考えるが、県下市町に対しどのような支援をしていくのか問う。
(2) 避難支援プランについて
市町別災害時要援護者対策の取り組み状況を見ると、避難支援プラン全体計画は今年度中にすべての市町が策定を終える予定であるが、要援護者を誰がどのように支援するのかを具体的に定める個別計画については、8市町で策定され33市町が整備中となっている。
地元の明石市においても地域における避難支援の手引き(案)を作成や自治会はじめ福祉団体の方々から意見集約、講演会の実施など個別計画の策定に向けた努力を続けているが、個別計画の策定にはまだまだハードルが残る。
先日、明石市で福祉をテーマに開かれた市長懇談会では、災害の種別によっての避難所の違い、障がい者の視点での避難路の整備や情報伝達方法、福祉避難室や福祉避難所の設置など多種多様な意見が出された。
要援護者の特性によって支援体制に違いが生まれ、例えば高齢者は単身の場合、高齢者世帯の場合、介護がどの程度必要かなど、また障がい者の場合、視覚・聴覚・知的・発達・精神、内部障害、難病とまさに個々にあわせたオーダーメードでの支援が必要で、日頃からの接点が少なければ少ないほど、どのように接して良いのかわからないとも聞く。
また地元明石市の担当者からは、支援者となる団体の役員が1年ごとに変わってしまうことや、必要性は感じているものの団体として意識の醸成には時間が必要なことなど現場での難しさを伺った。
市町の取り組みであるとは云え、広域で対応できる部分はないかを精査するとともに、各市町の取り組み情報の共有など市町を積極的に支援するべきと考えるが所見を問う。