議会の動き

上野英一議員が質問(予算審査・県土整備部)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(県土整備部)
2012年3月9日(金)

1 総合治水条例の施行を踏まえた今後の河川整備について

 平成16年台風21号・23号による被害や平成21年台風9号による被害を受けて中・上流域の河川整備や治水・砂防事業さらには災害に強い森づくり等様々な事業が進められています。また、平成23年台風12号・15号による被害に対しても、災害復旧事業はもちろんのこと、堆積土砂の撤去や緊急河川整備など、迅速に対応していただいています。

 このように近年の台風等による大雨や集中豪雨、局地的大雨に対しては、河川や下水道の整備といったこれまでの治水対策だけで、浸水被害を防ぐには限界があり、今定例会において総合治水条例が上程されているところです。

 総合治水条例の議案では、第8条において河川の整備及び維持が謳われており、①ダムの設置、河道の拡幅、堤防の設置、河床の掘削等の対策を、計画的、効果的に組み合わせて整備を行う。②河川内の樹木、土砂等の流水の妨げとなる物の撤去等を行う。③過去の氾濫において著しい被害のあった河川にあっては、同様の降雨があった時においても、浸水被害を軽減できるよう、河道の拡幅、堤防の補強等を行う。④流下能力が下流に比べて著しく低い個所のある河川にあっては、流下能力を向上させるため、河床の掘削等を行う。となっています。

 これまで、河川整備予算は少なく、中・上流域の河川整備は決して十分とは言えなかったと思っています。

 そこで、第2次行革プランにおいて投資的事業は大幅に削減されているなかでの総合治水条例の施行となりますが、条例制定を踏まえ、今後の河川整備をどのように進めていくのか、ご所見をお伺いします。

 また、昨年の台風災害では、堆積土砂が多く発生したわけですが、逆に上流域では洗掘が進み、とりわけ床止工等といわゆる護床工との接合部分の洗掘が著しくなっており、護床工をはじめ護岸工等の構造物の破壊につながりかねません。護床工の延長等の検討やあるいは堆積土砂を活用した補強なども必要と考えますが、この点についてもあわせてご所見をお伺いします。

2 山陰本線、播但線等の利便性の維持について

 山陰本線や播但線などのローカル線は、人口減少やマイカー通勤の増加などにより利用客の減少が進んでいます。しかしながら交通弱者と言われるお年寄りや通学生などにとっては、なくてはならない重要な公共交通であることから、兵庫県及び地元市町では利便性向上に向けて、姫新線の高速化に取り組むとともに、大都市近郊の利用者の多い駅においてはユニバーサル社会に対応すべくエレベーターの設置や駅舎の改築、さらには駅前広場の整備など多くの費用負担を行っています。JR山陰本線・播但線でも、輸送改善事業として今年度までに、2億44百万円、来年度も1億52百万円の支援を予定しています。

 このような状況の中、JRは普通列車のうち①利用が1人/日に満たない便のうち、②通勤、通学、通院に影響の少ない便について、駅を通過することにより、速達化を図るとしましたが、その実施にあたり、JRは地元自治体や県とも事前協議を行うことなく、一方的に11月29日に通知し、その後、6回の協議と2月17日には関係自治体と要望会の場だけは持ちましたが、何ら改善することなく、平成24年の3月17日のダイヤ改正から計画通り実施するとして、ダイヤ改正を発表しました。

 県当局の説明よれば、時間短縮効果は、行き違いや乗りつぎ時間の増加により相殺され、最大でも豊岡浜坂間で4分とされています。しかも、山陰本線豊岡~浜坂間では玄武洞・鎧・久谷駅で4便が通過し、平均2分の短縮効果はあるものの、乗継時間が逆に1.3分伸び、実際には0.7分しか短縮されません。

また、豊岡~城崎温泉間では、4便が玄武洞駅を通過し、短縮時間は、0.8分、浜坂~鳥取間では、9便が居組駅を通過することで平均1.7分の短縮の効果があるものの、乗継で1分の増加となり、こちらも0.7分しか短縮されません。

 また、播但線長谷駅では、8便通過となるものの、姫路~和田山間では乗継や列車の行き違い待ち時間の増加により、逆に所要時間が平均2.2分、最大で11分増加し、乗継のない寺前~和田山間を取ってみても、8便中2便で2分、8分の増加となります。

 さらには、通過設定の駅でも単線のために列車の行き違いの必要から運転停車が必要であったり、列車間隔が1時間から1時間30分へと拡大するなど、速達化どころか、利便性を著しく低下させるだけの内容となっています。

 そこで、県当局は、これだけ明確に、JRの停車駅の見直し計画についての矛盾を把握しているのであれば、JRに対してもっと強い姿勢で臨み、計画を撤回させるべきではなかったのか、そして今後、3月17日以降の早い段階で元のダイヤに戻すように強く働きかけるべきと考えますがご所見をお伺いします。

3 歩行者・自転車分離大作戦の実施について

 都市部においては、自転車と歩行者との接触事故が多発していることから、歩行者と自転車を分離する取り組みが数年前から始められています。

 平成24年度は6億5千万円の予算を投じて、新たに「歩行者・自転車分離大作戦」と銘打ち、実施をされることとなっています。また、この中で歩行者対自動車の分離対策も併せて実施をされることは、歩行者や自転車の安全対策への効果が期待できるものであります。

 一方、郡部においても自動車交通量の多い路線もあります。しかも、歩道幅員が2.5m以下の場合、学校付近や公共施設の近くを除き、自転車の歩道通行は認められておらず、自・歩道は連続していませんので、自・歩道の認定外の部分では自転車は車道を走らなければなりません。

 自転車の安全確保の観点からは、私は、部分的な自・歩道認定でなく、連続した認定していくべきと考えていますが、警察は今以上の認定を行う考えはないようであります。
 歩行者・自転車分離大作戦の実施にあたっては、安全確保のために車道・歩道や路肩部分をカラー舗装で視覚的分離していくことになりますが、歩行者と自転車の分離対策、歩行者と自動車の分離対策のいずれについても連続性の確保が重要と考えます。

 そこで、事業実施していくにあたり、安全対策の連続性をどのように確保していくのか、ご所見をお伺いいたします。