予算特別委員会質問(企画県民①)
平成25年3月6日(水)
1 自転車の交通安全対策について
(1)県内の自転車事故の現状等について
近年、一番身近な乗り物である自転車をめぐる事故は増えてきており、自転車事故への対策は、飲酒運転や高齢者事故、通学路安全対策などとともに、交通安全対策における大きな柱の一つとなりつつあります。
自転車は、年齢を問わず気軽に乗ることが出来るうえ、環境にも優しいとても便利な乗り物ではありますが、利用者の道路交通法に対する遵法意識は低く、誤った乗り方や、ルールやマナーを無視した乗り方によって、重大な交通事故を引き起こしています。自転車の安全利用に向けては、自転車、歩行者、ドライバーが互いの立場を尊重したマナーの向上に向けた呼び掛けを行っていく必要があります。
県では、平成16年からは、自転車利用のマナー向上を図るため、交通安全対策の一環として、「自転車運転免許証等制度推進市町」の指定を行い、警察や関係機関等と連携した子どもや高齢者を対象とした参加・体験・実践型の自転車教室の開催や、「自転車運転免許証」等の交付を行っています。
昨年、文教常任委員会で視察した有馬高校でも、自転車の正しい乗り方を身に着けてもらうため学校独自の「自転車運転免許」制度を導入していました。学科と技能の合計点で合否を判定し、携帯電話の使用や傘差し運転などの違反を教師が見つけたら、累積点次第で保護者の呼び出しや免停として1ヶ月間の自転車登校禁止などの処分をしているとのことであります。
はじめに、本県における平成24年中の自転車事故の発生状況について、これまでの防止対策と併せてお伺いいたします。
(2)県有施設を活用した自転車講習会の開催について
ご答弁にもありましたように、兵庫県交通安全県民運動の成果もあって、ここ10年来、多少の増減はあるものの、交通事故件数は減少傾向にありますが、自転車事故の占める割合は依然として、20%を超える割合で推移しています。
私は前々から、「自転車運転免許証等制度」は自転車交通安全対策の普及・啓発に一定の効果があり、成果も出てきていると思っており、県当局の皆様の努力に対して感謝しています。
来年度は新たに、自転車交通事故の防止と被害者支援の充実を図るため、自転車事故多発市町を自転車交通安全対策重点推進地域に指定し、中学生・高校生・地域住民を対象に自転車のルールとマナーの徹底及び保険加入促進の重点啓発活動を実施されるとのことであります。
重点推進地域の決定にあたっては、人口あたりの事故件数等を考慮して、来年度は、姫路市・尼崎市・伊丹市・加古川市・高砂市の5市が指定されるとの事ですが、自転車事故は県下各地で起こっていることから、今後は全県的な取り組みとして拡げていただきたいところです。
しかしながら、自転車の講習会を実施するにあたっては、会場の確保、参加者の募集や取りまとめ、講師の手配、当日の会場運営等、準備に一定の手間を要することから、開催回数を増やしていくのは、容易ではありません。
毎年、数か所選定し、県下で実施していくのとは別に、校外学習等の一環として決まった場所で講習会を開催できる場所があれば、より多くの方が受講できるのではないかと期待しています。例えば、明石公園の自転車競技場のバンク内にある球技場で、自転車の乗り方を教え、座学は、付随している管理棟か、県立図書館で行うといったように、既存の県有施設を活用した自転車講習会の開催により、自転車講習会の開催機会の増大に取り組んでいただきたいと考えますが、ご所見をお伺いします。
(3)自転車保険の加入促進について
自転車は幅広い年齢層が愛用し、昨今の「エコブーム」もあり、自転車人気は年々高まってきていますが、ひとたび事故が起これば、たとえ自転車であっても、加害者・被害者どちらにもなりえる、かなり危険な乗り物であるということを改めて認識する必要があります。
また、自転車と歩行者の通行空間を分離しても、自転車・歩行者が混在しているのが現状であり、道路での自転車利用は常に重大事故と隣り合わせともいえます。
しかしながらこのような危険性を孕んでいるにも関わらず、自転車事故で加害者となった際の賠償責任への備えである個人賠償責任保険への加入については、ほとんど進んでいないように思います。
夜間、無灯火のまま、徐行もせずに歩道を通行し、安全確認を怠り、歩行者と衝突し死亡させた事故では、約4千万円の損害賠償金の支払義務が発生した事例も見られます。県としても、チラシを作成し、啓発活動は行ってはいますが、依然として賠償保険に加入している人の割合はかなり少ないように思います。
損害保険各社が扱う火災保険や自動車保険には、わずかな掛け金を足すことにより、家族が自転車事故の加害者となった場合の賠償金を補償する特約を付けることができる場合が多くあり、自転車保険の加入促進を行っていくとともに、損保会社に対しても付帯保険の整備について積極的な働きかけを行っていくべきであります。
自転車保険の加入促進を通じて自転車の危険性を啓発していくことは、事故の減少による保険金の支払額の圧縮も見込まれ、損保会社にとっても、一定のメリットもあるように思います。また、被害者の側に立てば、加害者が保険に加入していることにより、賠償が確実に行われ、被害者救済の観点からも自転車保険の加入促進を進めるべきであります。
そこで、自転車保険の加入促進について、県民運動として、もっと積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、当局のご所見をお伺いします。