議会の動き

大塚 たかひろ議員が質問(決算審査・産業労働部)を実施

質問日:平成25年10月11日(金) 質問者:民主党・県民連合 大塚たかひろ委員

1 企業立地支援制度のあり方について

(1) 新事業・雇用創出型産業集積促進補助金について

県では、県内の優れた産業基盤及び地域特性を生かしつつ、県内において新たな経済的環境にふさわしい多様な産業が集積する拠点を形成することで、県内産業の活性化と新たな雇用の創出を図り、それによって県内産業の発展と地域経済の振興を図るため、平成14年に「産業の集積による経済及び雇用の活性化に関する条例」、いわゆる「産業集積条例」を施行し、条例に基づき、指定拠点地区に進出する企業に対して、雇用や設備投資等について支援を行う「新事業・雇用創出型産業集積促進補助金」制度を平成14年度から実施してきた。

同制度のメニューとしては、まず、雇用補助として一人あたり補助額30万円(但馬や丹波、淡路地域など促進地域は60万円)で、限度額3億円として補助を受けることができる。次に設備投資補助として、土地を除く投資額の3%以内の補助率(促進地域は10億円以下の部分が5%以内)、限度額は上限なしで補助を受けることができる。最後に、エネルギー対策設備補助は補助率2分の1で限度額が3億円で補助が受けられるというものである。

 ① これまでの実績・効果と今後の見通しについて

そこでまず、新事業・雇用創出型産業集積促進補助金について、これまでの実績及び効果と今後の見通しについて伺う。

 ②今後の企業誘致の取組方針について

一昨日、パナソニックは2013年度末をめどに、プラズマテレビ向けのパネルの生産を停止し、尼崎工場を売却する方針を固めたという報道がなされた。兵庫県では、同社に巨額の補助金を投入し、三工場を誘致したわけだが、報道内容が事実であるとすれば、他社との液晶の競争の中で、採算が悪化し、わずか8年ですべての工場が撤退することとなる。

これまでの企業誘致においては、地域経済発展のために企業誘致ありき、広大な敷地をとにかく活用すべき、他の自治体との競争の中で負けてはならない、ということが優先されてきたのではないか、という厳しい声もある。今後は今回のパナソニックの事例のように企業のリスク の動向を行政も日頃から注視・分析し、防止策を持ったうえで、誘致を進めていく必要があると考える。

そこで、今後の企業誘致の取組方針について伺う。

(2) 都市中心部の立地促進の方針について

県では、平成14年に「産業集積条例」を施行し、「新産業創造拠点地区」や「国際経済拠点地区」、「産業集積促進地区」など5つの拠点地区内において、新規成長事業を行う事業者に対して、助成等の支援措置を行っている。

これまで、県内の64地区における企業進出に対し、不動産取得税の不均一課税や新事業・雇用創出型産業集積促進補助金、拠点地区進出貸付等の支援措置が行われてきた。これらの取り組みによって、拠点地区に進出した企業は、平成24年11月末までに689社に上っている。

しかし、近年、大阪駅北側の「うめきた」再開発や、西宮市のアサヒビール工場の移転など、県内からの企業の流出・撤退などの影響が懸念される事案もあることから、それらへの対策として、今年度からは、さらに市街地の高度利用や工場跡地等の有効活用による産業集積を促進するため、産業集積条例を改正し、「都市再生高度業務地区」と「工場跡地等再生促進地区」の2つの拠点を追加し、法人事業税の軽減等により立地企業を支援するなど企業立地支援制度の充実・強化することとした。

そこでまず、産業集積の24年度の実績について伺う。また、今年度から施行する条例改正による、新たな2地区の追加によって、産業集積がどのように進むと見込んでおられるのか併せて伺う。

2 商店街の活性化について

兵庫県内の商店数は、昭和57年の75,383件をピークに減少傾向となり、平成24年には43,414件となった。全国的に見ても同様に、人口減少や消費者ニーズの多様化、大型店舗の進出、さらには後継者不足など商店街を取り巻く環境は厳しく、その結果、多くの商店街では来街者が減少し、空き店舗が増加、来街者がさらに減少、と負のスパイラルに歯止めがかからなくなっており、閉鎖によってシャッターを下ろした店舗等が目立ついわゆる「シャッター通り商店街」が増加している。

かつて商店街は、単に物を売るという機能だけではなく、地域の住民にとって交流の場であるなど、地域の公共財としての機能を有し、町のアイデンティティーという役割も兼ね備えていた。今、人口減少社会の中で進行する急速な高齢化社会などの社会情勢の変化に伴い、地域コミュニティの衰退がおこっている。

これからの商店街は、かつて有していた機能を生かし、介護や子育て施設、NPOの活動拠点づくり、郊外型小売店を利用できない買い物弱者のための買い物支援、さらには、全国一律の品ぞろえの大型小売店とは違い、地元の産品を取り扱うことなどによって地域経済の循環機能も果たすなど、地域の公共財としての役割を果たことでその存在意義を高めていってはどうだろうか。このような取り組みはひいては商店街の活性化につながり、今後、商店街を再構築していくべき時期が来ているのではないかと考える。

もちろん、商店街の活性化には、商工団体、地域住民、行政が一体となって取り組むことが必要であるのは言うまでもありません。

そこで、商店街の活性化に向け、県が取り組む2つの事業について伺う。

(1) 商店街活性化事業について

県においては、地域商業の再生・活性化に向けて、多彩なメニューにより小売商業を支援している。中でも、商店街の魅力をアップし、賑わいを創出するために県が支援を行う事業の一つに、「商店街活性化事業」がある。同事業は、商店街振興組合等が地域資源などを活用しながら実施するソフト事業である。

同事業には、商店街が地域と一体となって取り組むイベントに対して支援を行う「元気づくり事業」と、NPOや大学、専門学校、自治会など地域に根ざした団体や市町が連携して、先導的な複数の取り組みに対して支援する「先導的活性化事業」がある。

平成23年度の実績は、「元気づくり事業」は81件で補助額1,741万3千円、「先導的活性化事業」は4件で補助額693万1千円となっている。いずれにしても、使いやすい補助金、街づくりを包括的にとらえた総合的な支援のあり方が重要と考える。

そこで、商店街活性化事業の24年度の実績について、過去の実績との比較と、併せて、活用によってどのような効果がもたらされたのか事例を挙げてご説明いただきたい。

(2) 支援策のあり方について

県においては、商店街や周辺地域の賑わい、衰退の程度に応じて活性化の方向性を示すとともに、それらに応じてハード、ソフトの両面から支援することによって、商店街及びまちの再生を図っている。

しかしながら、アーケードや街路灯など共同施設の整備、賑わいづくりのためのイベントへの補助、新規出店にかかる事業費の一部補助などといった現状の支援だけでは、消費者ニーズや後継者不足問題など、現在の商店街を取り巻く趨勢に合わない場合もあり、商店街の抜本的な活性化には繋がっていかないと考える。

事業の補助金の枠、事業内容などがすでにあり、それに応募してきた商店街に対し支援していくという方法は、商店街にとっては、補助金も少額で使いにくいものとなっているだけでなく、一過性のものとなり、活性化していくというような継続的なものになっていかず有効な支援とならないのが現状である。

県としては、商店街の公益性、緊急度、重要度などを考慮して支援先を認定し、それらの商店街に対し、個別に案件を精査しどのような支援の仕方が適切なのかというような視点が必要なのではないか。

そこで、商店街の活性化のためには、商店街がそれぞれの地域において住民ニーズに見合うものになっていくべきであると考え、次の4つの取り組みを提案したい。

まず1点目は、商店街の空き店舗に福祉的、教育的なものを誘致することによって地域コミュニティを再生するなど、地域の公共財としての機能を強化し、まちづくりと一体となった取り組みを行うこと。2点目は、地元農産物や地場産品といった地域資源を活用するなど大型店との徹底した差別化を図ること。3点目は、公益の視点から、空き店舗や空き地となった商店街の建物・土地について、店舗融通システムを構築するなど、有効に活用する仕組みを検討すること。最後に4点目は、行政の支援の見直しなどによって、今後も商店街が存続し、継続していけるような販路拡大支援といったソフト面に対する支援を行っていくこと、である。

さらには、限られた予算の中で広く薄く支援するよりも、市町のモデルとなるような先導的な支援を集中的に行うことが効果的と思われる。補助率、補助限度額の引き上げも検討していくべきと考える。

そこで、これらの提案について県のご所見を伺う。