決算特別委員会 [ 10月15日(月)農政環境部・黒田副委員長 ]
1 水産物の消費拡大に向けた取り組みについて
はじめに、水産物の消費拡大に向けた取り組み、お伺いします。
水産王国である我が国において、「魚離れ」が続いています。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、1人が1日に食べる魚介類の量はこれまでほぼ減少の一途をたどり、平成18年以降は肉類の消費が魚介類の消費を上回る傾向が続いています。魚離れは、若者だけでなく、50歳以上の中高年でもその傾向が見られます。
魚離れの原因としては、食生活の変化と家族形態の変化の2点が指摘されています。食生活の変化による原因としては、調理を簡易にする電子レンジなどの調理家電の普及やレトルト食品、ファーストフードやコンビニエンスストアの登場により食生活の簡易化や欧米化したことなどが指摘されています。一方、家族形態による変化につきましては、核家族化に伴い、①どうしても子ども中心のメニューとなることや、②魚料理は調理が面倒な場合も多く、親から調理について教わる機会がなくなったこと、③さらには、都市集中型の生活では、収集の日まで生ゴミを家屋の中に置いておかなければならず、特に可食部が少ない魚種の廃棄があること。さらには、④家族が食事する時間がバラバラで家庭内において個食化の傾向が進んでいることなどが、家族形態の変化に伴う原因として指摘されているところです。
水産庁の試算では、平成34年には、平成22年に比べて、魚介類の消費量が更に2割程度減ることが見込まれることから、国では、消費者を水産物及びその加工品に向けていくため、2012年8月から「魚の国のしあわせ」プロジェクトを開始しています。
このまま試算どおり魚介類の消費量が減り、肉食へ転換していくと、動脈硬化など生活習慣病の増大を招くことも懸念されます。現在では、多くの消費者は、魚をスーパーマーケットで購入するようになり、従来は、魚屋さんが担っていた美味しい食べ方や旬や味など魚の魅力を消費者へ伝達する力が失われており、今まで以上に漁業や水産物に親しみをもってもらう視点が必要ではないかと感じています。
また、消費者を水産物等に向けていくだけではなく、水産物を消費者に向けていくことも必要であります。
そこで、水産物の消費拡大に向けた対策を食に関わる関係者とともに進めていく必要がありますが、これまでの取組み状況について、魚離れの現状認識と併せてお伺いします。
(答弁 ①)
2 漁業の魅力発信について
次に、魚離れを防ぐ意味で、漁業の魅力発信について、お伺いします。
漁業は、朝は早くから働き、仕事場は揺れる船上であるうえ、港に帰っても魚の水揚げや梱包など、翌日の漁に備え準備をしなければならず、誰の目からもきつい仕事であり、漁村で生まれ育った方以外は、漁業という仕事と接することはほとんどないのではないかと思います。
しかしながら、その一方で漁業者しか味わうことのできない魅力もあります。私の友人である垂水の漁業者からは、「10年程前までは、沖に出るとスナメリが数頭、船と一緒になって泳ぎ、獲れた魚を投げてやると嬉しそうに飛びついていましたが、最近になってまたこの光景が見られるようになってきた」という話を聞きました。
また、垂水の塩屋漁港では若手漁業者が毎年5月には「大漁市」と称して、獲ったばかりの魚をそのまま販売しています。そこには、「タモリ」という、薄茶色の縦縞の魚が売っていました。自宅で食べましたが、煮ても焼いてもとても美味しくいただける魚でした。この「大漁市」では、市場に卸すほどの量が獲れない魚も安価で販売し、普段ありつけない魚を買うことができるので、大人気です。前獲れで、鮮度が高く、多種多様な魚があるという本県のさかなの特徴を活かしたイベントであります。
このように、漁業には自然と一緒になって働くことのできる魅力や多様な食を提供できる魅力があります。
そこで、漁業への理解をより深め、兵庫の魚や漁業に親しんでもらえるように、漁業や水産物の魅力をもっと発信していくべきと考えますが、これまでの取組みについて、今後の取組みと併せてお伺いします。
(答弁 ②)
3 特定外来生物による被害対策について
最後に、特定外来生物なかでもアライグマによる被害対策についてお伺いします。
特定外来生物の中でも、雑食で繁殖力が強いアライグマによる被害が近年特に増加し、農業被害が深刻になっています。また、最近では農村部だけではなく、市街地でも多く確認されており、私の地元神戸市垂水区でも、海に近いJR垂水駅や垂水区役所の近くでも捕獲され、昨年度は38頭が捕獲されており、神戸市内では917頭も捕獲されているとのことです。
アライグマが引き起こす問題としては、農業被害のほか、住宅等の建物への侵入による汚損被害も報告されているほか、生態系への影響などがあります。
(1)被害状況及び捕獲体制について
そこで、まずは特定外来生物のなかでもアライグマによる被害の状況について、県内の捕獲体制と併せてお伺いします。
また、捕獲から処分までは、わなの運搬・設置・回収・捕獲した個体の処分が一連のプロセスになるかと思いますが、1頭あたりに要する経費についても併せてお伺いします。
(答弁 ③)
(2)都市部における対策の充実・強化について
最後に、都市部における対策の充実・強化についてお伺いします。
アライグマは野生動物であることから、その捕獲は鳥獣保護法で禁止されています。また、アライグマ回虫、狂犬病、レプトスピラ症などの人畜共通のキャリア動物で、人が近づくと興奮して咬みついたり引っ掻くなどの攻撃をすることがあることから、都市部において出没した場合、アライグマに対する知識のない方が不用意に触れると怪我するだけではなく感染症や寄生虫に感染する危険性があります。
そこで、都市部においてアライグマが出没した場合は、家屋侵入による生活環境への悪影響や感染症等への感染リスクなどがより高くなると思われますので、都市部でのアライグマへの対策を充実・強化させていくべきと考えますがご所見をお伺いします。
(答弁 ④)