議会の動き

◆15年6月定例会 代表・一般質問

概要  代表・一般質問  議案に対する態度と考え方

代表質問  越田 謙治郎議員

一般質問  前田 ともき議員・小池 ひろのり議員

代表質問

(越田 謙治郎 議員)[発言方式:分割]

1 地域創生戦略について
(1)地域創生の基本的な考え方について
(2)オール兵庫での推進体制について
2 子供の健全育成等に向けた特別養子縁組制度の普及等について
3 障がい児への支援の充実について
4 過労死等防止対策について
5 公立高校入試制度について
6 シティズンシップ教育の導入について
7 サイバー攻撃に対する取組について

質問全文

第327回 6月定例県議会 代表質問

質問日 :平成27年6月18日

質問者  :越田謙治郎 政調副会長

質問方式:分割方式

1 地域創生戦略について

昨年5月に公表されたいわゆる「増田レポート」は、従来から認識されていた人口減少という課題を改めて浮き彫りにしました。

もちろん、人口減少は従来から兵庫県政にとっても大きな課題として位置づけられていましたし「過疎化」や「限界集落化」等、人口の減少や高齢化により地域活力が低下することが懸念されていました。そのため、本県でも「ふるさと自立計画の推進」「小規模集落元気作戦」等の地域再生大作戦が進められてきました。

また、いわゆる「オールドニュータウンの活性化」や「市街化調整区域における計画的なまちづくり」など、人口減少や高齢化等に伴う課題に向き合い、それぞれの地域活性化について地元市町と連携をしながら取り組んできたものと認識しています。

しかし、このような多くの取り組みにもかかわらず、「増田レポート」では、本県においても半数の自治体において消滅の危険性があるとのデータが示されており、人口減少が一つの自治体の将来を決める大きな課題だと、あらためて県民に共有されたものと思います。

そのような流れの中、本県では本年3月に「地域創生条例」を制定し、現在「地域版総合戦略」である「地域創生戦略」の策定作業が進められております。「地域創生戦略」については、9月議会で上程されるというスケジュールであるため今回の代表質問においては大きな方向性として議論をすることで、地域創生における課題を明らかにしていきたいと考えています。

(1)地域創生の基本的な考え方について

地域創生を進めるうえで、県が進めようとしている少子化対策といった自然増対策、企業誘致や雇用の創出、観光振興などの社会増対策という大きな方向性について異論はありませんが、私たちは、それと同時に人口減少という問題を避けることができない課題としてとらえその中でいかに生活の質を担保し、社会としての持続可能性を高めていくのかということについて議論をし、方向性を示さなければならないと考えています。

ここで私が大きな論点として取り上げるのは地域創生を進めるうえでの「効率性」と「多様性」とのバランスです。今後、人口減少が進む中で、社会の在り方、街づくりの在り方、政治資源の配分において県としての明確な思想が必要だと考えています。

当然のことながら、人口減少が進む中、現在の負担水準を維持したまま、従来の規模の公共サービスを継続することは困難です。

財政運営が選択と集中を基本としている中で、街づくりにおいても機能の集約による効率的な都市経営が求められています。

一方で、効率性、とりわけ財政運営上の効率性だけで県民の生活の質を維持することもできません。一見、短期的には効果が見えず非効率に見えるようなものであったとしても、中長期的には社会の豊かさに貢献しているものもあり、まちづくりや行政運営には、多様性が必要だと考えます。

現在が右肩上がりの社会であれば、効率性を高めながら多様性を担保するという余裕がありました。しかし、人口減少を前提としたときに、このような発想を継続することは困難であり、効率性と多様性のバランスをどのように位置づけるかということが重要です。特に、兵庫県は日本の縮図と言われるほど多様な地域における中、地域創生を行う上で、この効率性と多様性、言い換えれば都市部と地方部の発展のバランスは本県における地域創生の最大の論点の一つであると考えます。

知事として、効率性、多様性という観点をどのようにとらえ、本県の地域創生に臨もうとしているのか。この戦略策定にかける基本的な思いをお伺いします。

(2)オール兵庫での推進体制について

地域創生の取り組みは、戦後一貫して信じてきた成長モデルから脱皮をし、人口減少を前提とした取り組みになるということだと考えています。従来であれば、多様な要望に対して実現する順位をつけること、いわば利益を配分することが政治の役割でした。しかし、地域創生の時代は人口の減少を前提としているわけでから、いかに痛みや負担を分かち合い、不利益を配分するのかということが政治の役割となってくるのです。

そういった時代において、当然のことながら県の役割も見直していく必要があります。従来は、ややもすれば、県と市町との関係は上下関係になりがちでした。しかし、この地方創生の主役は市町だと言われており、県の役割は、従来にもまして市町の自立を支援しながら、一つの自治体の枠組みではできないことへの支援や広域行政に特化をしていく必要があると考えています。

そして、それぞれの自治体ではなかなか実現できない「東京への一極集中」打破に向け、各市町それぞれの自治を最大限尊重しながらも、「オール兵庫」で地域創生を進める体制を構築していく役割が求められます。

兵庫県の有する五国の国からなる多様な風土を生かし、かつ各市町の自治や自立を尊重しながら、県と市町が連携を深めながらオール兵庫の体制をつくることができれば、まさに日本の縮図である兵庫県が地域創生のモデルケースにもなるはずです。

現在、県においては、各県民局単位で各市町にも意見をいただきながら、対策検討を進めてきておりますが、地域創生の主役である市町とどのような協力体制を引き、「オール兵庫」での地域創生の推進を図ろうとしているのか。知事の見解を伺います。

2 子供の健全育成等に向けた特別養子縁組制度の普及等について

人類にとって、我が子を産みたい、育てたいというのは、多くの夫婦がもつ自然な感情です。しかしながら、現在10組に1組が不妊の可能性があるといわれており、子どもを望む多くの夫婦が様々な形で不妊治療を受けています。

日本産科婦人科学会の調査によると、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療によって生まれた子どもは、2012年度は年間37,953人を数えます。

本県においても、特定不妊治療費助成事業など生殖医療に対する助成を行っておりますが、男女ともに晩婚化等の影響からニーズがますます高まっており、男性女性問わずより一層の支援が必要であると考えます。

このように望んでも子供に恵まれない夫婦がいる一方で、予期せぬ妊娠による出産や家庭での養育が困難となった子供たちが少なからず存在しています。本県では、平成26年度末現在、乳児院に87人、児童養護施設に921人の子どもたちが入所しています。厚生労働省も社会的養護の中では里親優先の方針を打ち出しておりますが、本県においては里親への委託率は、平成25年度で9.9%、平成26年度末では12.5%であり、大きく改善していかなければならないと考えています。とりわけ、平成24年度実績で、0歳の乳児の委託率ゼロ(神戸市1)という現状は大きな課題だと考えます。

「望んでも子どもを持てない家庭」「家庭での養育が困難な子ども」という課題を解決するためにも、何よりも子供の最善の利益を確保するためにも、現在本県でも行っている里親委託制度を充実させるとともに、さらにその中でも特別養子縁組制度を普及、充実させるべきと考えます。

具体的には、まず予期せぬ形で妊娠した段階からの相談体制の充実、特別養子縁組制度の普及啓発、養子縁組を斡旋するための人的面での支援、環境面での整備が必要です。

環境整備の面では、特別養子縁組制度の場合、6ヶ月以上の試験養育期間が必要ですが、その期間、育児休業が認められないなどの課題が出てきています。国の抜本的な制度改正が必要ではありますが、まさに地方創生の時代において、兵庫県独自として産業界に働きかけ支援する方向性を打ち出すことが重要と考えます。

そこで、全ての子供の健全育成を図るため、里親委託制度の充実、特に特別養子縁組制度の普及、充実に、県として主体的に取り組むべきと考えますが、当局の見解を伺います。

3 障がい児への支援の充実について

兵庫県は今年の3月に「ひょうご障害者福祉計画」を策定しました。知事も今議会の提案説明の中でも「障害のある人が、必要に応じて支援を受けつつ、自分の生き方を自分で決め、その生き方が尊重される社会、地域の一員として生涯安心して暮らし、誰もが支えあう社会の実現に向け取り組んでいきます」と決意を述べられております。

医療技術の発達等に伴い、今後障害のある人がより長生きできることにより、障害者人口の推計での県内人口に占める障がい者の割合は、現在の6.27%から25年後には7.27%と上昇することが見込まれており、必ずしも十分ではないかもしれませんが、今後、「ひょうご障害者福祉計画」に基づき計画的にサービスが拡充していくものと考えています。

ただ、さらに考えなければならないのは、全国の健常児を持つ母親の常勤雇用率は34%に上る一方、障がい児の母親はかなり低い現状をどうするのかということです。

障がいを抱える子供を持つ親は、子どもを預けることが困難なため、就労を希望しながらも、働けない障がい児の母親が潜在的に存在すると考えられます。とりわけ、障害の程度が重い場合、受け入れ可能な施設は限られており、就労と両立することは困難です。「ひょうご障害者福祉計画」では、「フルタイム(常勤)での両親の共働きを支援する長時間受入が可能な児童発達支援センター等の整備」が、今後さらに検討を深めていく施策と位置づけられております。

このような観点から、障がい児への支援の拡充、とりわけ親の子育てと仕事の両立を可能とさせる支援が必要ではないかと思いますが、当局の考えを伺います。

4 過労死等防止対策について

平成26年6月議員立法により過労死等防止対策推進法が成立、同11月に施行されました。また、本年5月25日には法に基づく大綱案が明らかになりました。大綱案では、国の責任で過労死の実態調査を進めることが柱として盛り込まれているのに加え、地方公共団体も「国と協力しつつ、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するよう努めなければならない」と定められていることから、兵庫県としても今後具体的な取り組みが必要だと考えています。

実際に、厚生労働省発表の労災補償状況資料によると、平成25年度兵庫県で脳・心臓疾患として労災認定されたのは17件、そのうち死亡が8件になります。また、精神疾患として労災認定されたのは35件、そのうち自殺は3件となっています。なお、この数字はあくまで過労死の最も狭い定義であり、請求したものの認められなかったものや、そもそも明らかになっていない埋もれたものがあると思われます。

過労死を防止するためには、長時間労働の抑制や、終業時間から次の始業時間までの間に一定時間の休憩を義務付ける、いわゆる「インターバル制度」の導入、有給休暇取得の促進など、「働き方を見直す」とともに、労働者へのメンタルヘルス対策の強化、さらには労働法制の知識、啓発に加え、処罰等の取り締まりの強化等、政労使それぞれの立場からの取り組みが必要だと考えます。

このような中、本県の労働政策の状況を顧みると、政労使の協働による取り組みが進められており、「ひょうご仕事と生活センター」を中心に、ワークライフバランス企業の表彰制度やそれに伴う相談業務、さらには企業において、自らがリーダーになってワークライフバランスを推進するキーパーソンの養成などに取り組み、徐々に効果が出てきていると認識しています。

ただ、このような懸命の取り組みの中、850社を超える企業が取り組み宣言を行っているものの、昨年度から始めたWLB認定企業数はまだ30社程度であることを考えると、これらの取り組みをさらに拡大していかなければなりません。特に、これらの取組みにそもそも関心のない企業等への働きかけが重要だと考えます。

長時間労働の危険性の周知、WLBの必要性に対して啓発するとともに、労働時間の抑制に向けて必要な業務改善について県としても経営者に働きかけ、従業員の長時間労働の改善を支援していくことが必要だと考えていますが、県当局の見解を伺います。

5 公立高校入試制度について

本県では、高等教育改革の方針に基づき、平成15年度入試から複数志願選抜制度が導入され始め、従来の総合選抜制であった学区においても平成20年度入試から順次複数選抜制度への移行が行われました。さらには平成27年度入試より通学区域が拡大し、現在の制度になりました。

今回の制度は、通学区域を拡大したことにより子どもたちの選択肢が広がる一方で、複数志願を可能にしたことにより、今まで兵庫県の総合選抜制度の中で守られてきた理念も維持されたものと考えています。

ただ、制度というのは完全なものはなく、制度設計の時点では想定できなかったことがあるのは当然のことであり、制度を運用する中で矛盾をいかに解消していくのかを考えていかなければなりません。とりわけ、子どもたちの人生にとって、重大な岐路を迎える高校入試は、制度の矛盾というものを少しでも解消していく必要があると考えます。

そのうえで、平成27年度の状況を見たときに一つの矛盾が表れています。具体的には、複数志願選抜実施校間においては第一志望校を変更できず、志望校の変更は第2志望のみという制度になっておりながら、普通科から職業学科、職業学科から普通科への志願変更が可能になっているということです。

実際に、兵庫県教育委員会が公表した資料から推計すると、全日制の第一志望の出願者は職業学科間の志願変更も含めて250人以上が変更しています。

この制度では、本来普通科を希望する生徒が一度他の職業学科を第一志望とすれば、全体の出願者数の傾向を見て、比較的倍率が低いところに志望することが可能な制度であり、場合によってはモラルハザードが起きうるということです。

私は、現在の選抜方式の趣旨や理念を否定するつもりはありませんが、現在の運用方法では兵庫県教育委員会で進められてきた改革の理念とは異なる結果を引き起こすのではないかと危惧をしています。

そこで、現在の複数志願制度の課題をどのように認識し、改善を行おうとしているのか伺います。現状の普通科の間においては志願変更はできないが、普通科、職業学科間の移動は可能といったダブルスタンダードは解消するべきだと考えますが教育委員会の見解を伺います。

6 シティズンシップ教育の導入について

昨日、6月17日公職選挙法が改正され、選挙権が18歳以上となりました。これは1945年に女性に選挙権・被選挙権が認められたことに次ぐ大きな改革であり、来年の7月に行われる参議院議員通常選挙から導入されます。

来年の7月には18歳となった高校生が選挙に行って選挙権を行使できることになりましたので、学校現場における「主権者教育」が必要となってきます。

といいますのも、若年者の投票率は低下傾向が続いており、昨年12月の衆議院選挙では20歳代の投票率は32.58%でした。いつの時代も若者世代の投票率はあらゆる世代の中で低いものの、60歳代の投票率が68.28%という事実を考えたときに、選挙権が拡大したとしても若者世代が投票に行こうという思いにならなければ、この法改正自体の意義が薄れてしまいます。

そこで、子供たちが、将来、市民として十分な役割を果たせるよう、シティズンシップを育む取り組みが必要だと考え、その取り組みを求めていきたいと考えています。

そもそも、シティズンシップとは、国などの正式な構成員たる市民として保障される権利という側面と、市民たるにふさわしい資質という側面の二つを併せ持つ概念です。シティズンシップ教育とは、自らが属する社会における市民としての権利に関する認識を培う一方で、その社会に自ら積極的に参加するための資質を育む教育だと言えます。

このシティズンシップ教育は、単に知識を身につけるだけではなく、それをもとに能動的に参画しようとする態度を育むこと、子供たちが参加型民主主義の意義を理解し、当事者として実践するために必要な知識、スキル、価値観を身につけ、行動的な市民となることを目的としています。これにより、将来の民主主義のプレーヤーとなる市民を育てていくことにつながると考えています。

具体的には、模擬投票の全県下での展開をはじめ、18歳選挙権の実現を契機に、本県の将来を支えてくれる行動的な市民をより多く育てていくためには、県下全ての高校でシティズンシップ教育を進めていくと同時に、兵庫県における一貫した教育の柱の一つとしてシティズンシップ教育を導入するべきだと考えますがいかがでしょうか。

7 サイバー攻撃に対する取組について

新型のコンピューターウイルスにより、日本年金機構職員のパソコンから基礎年金番号や住所などの年金に関わる個人情報約125万件が流出したことが、6月1日に報道されました。犯罪内容に関して現時点ではわかっておりませんが、改めてサイバー対策の重要性や対策の遅れを認識しなければならないと考えています。

いわゆるサイバー犯罪について、平成26年中、全国の検挙件数は、7,905件と報告されており、そのうち4.6%の364件が不正アクセス禁止法違反となっています。

県警本部でも、官民連携からなる「サイバー空間の脅威に対する兵庫県官民合同対策プロジェクト」を立ち上げ、全国に先駆けサイバー犯罪の対策に取り組んでいます。

しかし、サイバー犯罪は、他の犯罪と同様に県民自らが被害に遭わないような自覚や具体的なセキュリティ対策が必要ですが、必ずしもその重要性が県民に認識されているとはいえません。サイバー犯罪の被害により情報が流出した場合、対策を怠った本人、企業だけではなく、その個人や企業に関係する人たちにも被害が及びます。したがって、いかに県民にセキュリティ対策を講じるように啓発していくのか重要になってきます。

一方、今回の日本年金機構への標的型メール攻撃による個人情報流出事件は、重要な社会インフラや官公庁、企業システムに対するサイバー攻撃で、これらの手口は、ますます進化しながら発生している現状にあります。サイバー空間は、現代社会におけるあらゆる活動で大きなウエイトを占め、今後ますます重要性が増していくと考えられ、サイバー空間の安全なくして治安は成り立たないと考えます。言い換えれば、県警のサイバー空間の脅威への対処能力が、今後の県民生活の安全安心の確保を大きく左右すると言っても過言でないと考えます。

そこで、年々新たな手口で、悪質、巧妙化するサイバー攻撃に対し、治安維持の観点からどのように対処していこうと考えているのか、県警に伺います。

越田 謙治郎

(川西市・川辺郡)

一般質問

(前田 ともき 議員)[発言方式:分割]

1 投資教育の推進について
2 不動産の活用について
(1)宿泊ビジネスにおける規制緩和について
(2)宅建業者への指導・監督体制について
3 ふるさとひょうご寄附金のさらなる改善について
4 性的マイノリティへの理解促進について
(1)性的マイノリティの位置づけについて
(2)教育現場での取組みについて
5 警察捜査の効率化・最適化について

質問全文

質問者 前田 ともき 議員(民主党・県民連合)

質問日:6月19日(金)

【質問方式:分割方式】

1 投資教育の推進について

2012年にOECD加盟国において、「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」が採択され、金融面での個人の良い暮らしを達成するためには、学校カリキュラムに金融教育を含めることを勧告すべきとされている。金融教育の中にも、家計の収支・将来設計や経済・金融の仕組みなど様々だが、特に投資教育について質問する。

約1,700兆円の家計の金融資産のうち、株式や債券などの有価証券比率は16.7%であり、アメリカの51.2%、欧州の30.2%と比較すると、現預金の比率が圧倒的に多く、投資されずに眠ったままといえる。

政府・日銀は物価上昇率を2%としている。実現した場合、現金1,000万円が30年後には552万円とほぼ半減してしまう。実質賃金が上昇し、喜んだのもつかの間、せっせと貯金に励むほど、価値は激減、ぬか喜びに終わってしまう。

貯蓄から投資への流れを作るべく、政府は税制面で強力に推進しており、少額投資非課税制度NISAが2014年1月にスタート、2016年4月からは未成年向けジュニアNISA、2017年にはすべての現役世代で確定拠出型年金401Kが実現する。これからは全ての人が好むと好まざるとに関わらず投資・運用能力が問われてくる時代に突入する。低成長率下の日本では労働所得以外にも運用によるダブルインカム化が必要であり、インフレを見据えると、今ほど投資教育が必要とされている時代はない。

投資というとバブル崩壊やリーマンショックの悪夢がよぎるかもしれないが、気にする必要はない。バブルピーク時に日本株しか投資していなければ、投資収益は大幅にマイナスだが、債券や海外の株式などしっかりと国際分散投資を行っていれば、大きなリターンを得ている。

また、投資期間は寿命尽きるまでと言え、20歳から始めても60年はある。ピケティによると、全世界の200年間の株や土地などの資本利回りは5%。世界有数の金融資産を保有する日本には大きなアドバンテージがあると認識すべきだ。これは、金持ちだけの話ではない。複利は若者の味方である。20歳の若者が、毎月1万円を投資して、死ぬまで60年間、利回り5%で運用すると、80歳で4,550万円の資産を達成する。投資した金額はたったの720万円だが、運用収益は3,830万円に上る。

更に、投資教育は個人を豊かにすると同時に、県の財政も豊かにする。現状の、現預金中心の利回りが低いポートフォリオでも、株式売却と配当による兵庫県の税収は制度が創設された平成15年度以降を平均すると年間98億円程度ある。県民の運用力が向上すれば、毎年数十億円といった規模感で税収増が期待できる。県民に金銭的な余裕ができ、県財政にも余裕ができる2者両得の関係だ。

そこで、ライフプランについて考え始める高校生の段階において、学校設定教科や総合学習等に投資教育を積極的に組み込む必要性があると考えるが、投資教育の現状と必要性について、当局の所見を伺う。

2 不動産の活用について

(1)宿泊ビジネスにおける規制緩和について

次に不動産の活用。家計の資産構成を見ると、現金の次に大きいのが土地。平成25年度は676兆円と資産の1/4のシェアを占める。

しかし、この15年間で地価の下落などにより400兆円近く減少し、家計に大きなダメージを与えている。

人口は既に減少に転じたが、世帯数の減少が数年後に始まる。

つまり、土地や建物の居住ニーズが構造的に減少していく中で、新しい活用法を創生していくことは、家計の資産毀損を防ぐだけでなく、市町村税収の約4割を占める固定資産税収を維持していくためにも必要な取組みである。

空家の活用法に、障害者向けグループホームがある。従来は低コストで開業しようと、中古の戸建住宅を活用しようとしても、建築基準法上の「寄宿舎」になぜか該当し、廊下の幅から防火間仕切りまで追加の改修コストがかかり転用が難しかった。しかし、県条例などの改正により、ほぼそのままで転用できるようになり、空家の新しい利用法が創生された。このように、土地と建物の利用は都市計画や建築基準法など様々な規制がなされているが、時代の流れや社会のニーズにうまく対応できていない部分もあり、不断の改善が必要である。

そこで、新たな不動産の活用として、宿泊サービスの規制改革について伺う。空き部屋や空き家の旅行者への貸し出しを仲介するairbnbというサービスがある。設立から7年弱で時価総額2兆円、190か国、2,500万人以上が利用するなど急成長中である。新しいサービスなので各国の法規制で様々な議論が交わされているが、それだけニーズがある。

昨年4月に国家戦略特別区の旅館業法特例が施行され、宿泊施設として提供できるようになり、新しい活用法の道が開けた。訪日外国人客は一気に2000万人を射程にいれ、ホテルは過去最高の客室稼働率を記録し、ホテル不足の声も聞かれるようになった。この仕組みは、空家対策のみならず、ワールドマスターズゲームやMICEなどの大規模イベントで一時的に増加する旅行者を柔軟に受け入れするためにも必要だ。

兵庫県でも条例を制定し、新しい不動産の利用法を創生させると同時に、最低7日間の使用期間や外国語を用いた情報提供の実施といったハードルの高い要件を自治体条例でさらに緩和して運用できるよう政府に求めるべきと考えるが、所見を伺う。

(2)宅建業者への指導・監督体制について

不動産の活性化には円滑な流通が必要だが、流通を阻害する問題点の一つが、宅建業者による物件情報の囲い込み問題である。

宅建業者は、専任媒介契約を締結したときには、基本的に7日以内に物件情報の共有システム「レインズ」に登録する必要があるが、それに登録しない。また、他の仲介業者が買い付け打診をしても契約予定などと偽って断り、自社で買い付け顧客を探索し、売り手・買い手の両者から手数料を獲得する、いわゆる両手取引による収益増を図る問題がある。

この行為は、物件情報を囲い込まれることで需給バランスが崩れ、売却価格が下落することにつながる。また、引っ越しなどで売却に時間がかかると、二重ローンや二重家賃に苦しむことになり、県民に大きな不利益を及ぼす。平成24年9月に取りまとめられた、国土交通省の不動産流通市場のあり方研究会においても、囲みの問題が指摘されている。また、先月の週刊ダイヤモンドによると、首都圏約500件を対象に調査をした結果、囲い込み率は10.5%、某大手企業では2割以上も囲い込んでいたという実態があきらかになった。

問題は囲い込みだけではない。成約済みの物件や実在しない好条件の物件を掲載することで集客を図るおとり広告や建築条件付き土地と建物の同時契約を求めるなど、多くの問題事例が明らかとなっている。このような事態を防ぐのが、2015年4月から名称が宅地建物取引主任者から変更された宅地建物取引士であり、公正誠実義務や信用失墜行為の禁止が課せられている。不動産取引の専門家として、当事者の利益保護及び円滑な流通に資する必要があるが、十分には機能していないように感じられる。

ついては、円滑な不動産の流通と消費者保護のため、県当局は受け身でない能動的な指導・監督を行っていくことが望ましいと思うが、ご所見を伺う。

3 ふるさとひょうご寄附金のさらなる改善について

最近、ふるさと寄附はお返し商品の豪華さを競う争いが激化し、投資雑誌に大きく特集が掲載されるなど本来の趣旨から逸脱しつつある。総務省からは高額返礼は自粛するよう通達が出ている状況である。

私は、平成24年度の決算特別委員会で、本県への寄附金を増やすためには、納税者が寄付したいと思える政策をしっかり提示することが先決であるとの考えから、3点の改善案を提言した。

1 寄付金を活用して行う事業を選択制にすることで、税金の使い道は納税者が決める仕組み。

2 クラウドファンディングを活用し、意義や理念をしっかり伝え、多くの人に伝播させる仕組み。

3 寄附金を新規事業や意欲的な事業に充当することで、県庁職員の政策力と意識向上を図る仕組み。

1つ目は提言通り改善され、筋電義手や神戸マラソンなど寄付する人が税金の使い道を選択できるようになり、平成25年度の14百万円から平成26年度は64百万円と大幅に増加した。

しかし、ふるさと寄附金には控除の制度がある。人口数万規模の市町が数千万・数億円の寄付金を集めている事例を見ると、本県の収支はマイナスの可能性すらある。

2015年4月からは特例控除の上限が約1割から約2割に拡充され、確定申告も一部不要となった。ふるさと寄附金の規模は数倍に跳ね上がるだろう。

したがって更なる改善を実行し、収入額を確実に増やしていく必要がある。そこで改めて提言したいのが、次の提言だ。

1つ目は、ふるさと寄附金で実施する事業を県庁はもちろん全国から公募する政策コンテストの実施だ。26年度から、対象事業への寄附金は、その事業に100%充当されることにはなっている。その事業案を、県庁職員のみならず、県民や県にゆかりのある人からも募集する。これによって、財源不足から存続が危ぶまれていた事業や税金の使い道として適切なのか判断しづらく、実行できなかった先進的な事業に光が当たる場合もあるだろう。また、県庁では考え付かなかった面白い政策が納税者側から出てくるかもしれない。そして納税者の事業に対する支持・評価が寄付金額として定量的に結果がでることである。ある種、直接民主主義の実現ともいえる。

2つ目はクラウドファンディング事業者の活用だ。残念ながら、現在の兵庫県のサイトには訴求力が感じられない。5行程度の事業概要を伝えてHPのトップページにリンクを張るだけ。これでは事業の意義で寄付はしてもらえない。例えば、シリア難民支援議員連盟。今年の3月に設立された議員連盟が、シリア難民の子どもたちの学校をつくるために寄附金を集めているものだが、意義やストーリーをホームページで分かりやすく紹介しており、6月19日現在、1,800万円を越える寄附が集まっている。このような訴求力あるホームページづくりが大切である。

そこで、ふるさと寄附金の収入増加のため、対象事業を県庁内外から広く公募し、現状の5事業から大幅に拡充すること、また、クラウドファンディング事業者も活用した、よりわかりやすく、広く全国の人々に伝わる仕組みづくりの実施について、当局の認識を伺う。

4 性的マイノリティへの理解促進について

(1)性的マイノリティの位置づけについて

3年前の本会議において、性的マイノリティに対する理解促進を提言した。最近は、この問題をよく目にする機会が増えてきた。2014年にロシアで開催されたソチ五輪では、同国の同性愛宣伝禁止法が国際的な非難を浴び、国際オリンピック委員会は憲章の根本原則に「性的指向」を盛り込むことを決議した。渋谷区では「パートナーシップ証明書」を発行する条例が可決。今年3月には国会でも超党派による議員連盟が発足するなど、性的マイノリティに対する意識・取り組みは大きく変わってきた。

しかし、未だに変わらないものがある。平成13年に策定された、兵庫県の人権教育及び啓発に関する総合推進指針には、女性や子ども、障害者などはあるものの、性的マイノリティを課題とする記載は未だない。

策定から14年が経過した中で、今こそ人権課題の一つと位置づけるべきと考えるが、当局の見解を伺う。

(2)教育現場での取組みについて

3年前の質問では、教育現場では性同一性障害については取り組みをするものの、性的指向は、国からも明確な指導方針が示されていないという答弁であった。要は対象外であった。

1年後の予算委員会では、小学校高学年用教育資料に性的マイノリティを追加するほか、中学生用にも掲載予定との答弁があり、県教育委員会は大きな前進を見せたと感じている。

国も大きな変化を見せた。この4月、文科省の通知では、性同一性障害のみならず、性的マイノリティの児童・生徒に対しても、悩みや不安を受け止める必要性や教職員の適切な理解を促進することが必要と記載された。国として学校に対応を求めたのは初めてのことである。

これまで、遅れていた性的マイノリティへの学校教育における取組みであるが、県として、私立学校も含めた今後の取組みはいかなるもので、どのような将来像を描いているのか、またそれをいつまでに実現されようとしているのか、あわせてご所見を伺う。

5 警察捜査の効率化・最適化について

DVや認知症高齢者の保護など多様化する警察業務を遂行するうえで警察定員の増加が図られている。兵庫県警においても定員不足約270名の解消に向けて施策を行っているが、単なる人員増だけではなく、積極的なICT・設備投資を行うことで、一人一人の効率性を向上させていくことも必要だと考える。

昨年、本会議で政策提言したICT戦略の推進は今年4月からスタートした。今後は具体的な施策が展開されていくと思うが、多数の人員を抱える警察組織においては非常に大きな効果をもたらすと考えている。

効率化だけではない。従来の事件・事故の「事後」対応から「未然」防止に向けたパラダイムシフト。これが、ICT活用で可能となる。

犯罪捜査では、天気予報ならぬ犯罪予報が実現しつつあり、捜査の効率化が進んでいる。

ニューヨーク市警は、全捜査情報のデジタル化や過去の犯罪データはもちろん、SNSや街頭カメラの稼働状況などのビッグデータを活用し、いつどの地点で犯罪が起きそうなのかを予測し、警察官を先制配備。さらにリアルタイム捜査情報システムで、2割の人員が削減されたにもかかわらず、検挙率を維持している。既にアメリカ60都市では同様のシステムが導入され、警察官の巡回エリアの最適化などで、数百万円の年間投資で犯罪発生率を10%以上減少させているとの報告もある。

交通事故の防止についてもICTの力は成果をあげている。埼玉県とホンダはカーナビの走行データを活用して、急ブレーキ多発地点を抽出し、160か所の安全対策を施した結果、急ブレーキ数は7割減、交通事故は2割減を実現。交通取り締まりや事故対応は業務量も多いが、ICTの活用によって業務を確実に縮減できるのであれば、道路管理者にしっかりとその活用を求める必要がある。

このようなICTの活用による、事件・事故を起こさせない環境づくりは、県民の財産・安全を未然に守ることと同時に、その分の犯罪捜査や事故処理などの業務量を0にし、警察業務の縮減が実現できることとなる。

また、広大な範囲の山間部や危険個所、災害現場を警察官だけで捜索するのではなく、ドローンなどの先進機材を活用して職員の安全性と効率性を両立できる体制も必要と考える。

もちろん、現場の経験と勘による捜査や地道な聞き込みなどは警察活動の前提である。しかし、ICT投資により警察官定員約1万2千名のパフォーマンスを3%でも改善できれば、実質的な定員不足の解消を低コストで実現できる。

そこで、今回は犯罪捜査に係る警察捜査の更なる効率化に向けた、ICT活用による犯罪捜査の効率化や先進機材の導入について、当局のご所見を伺う。

前田 ともき

(選挙区:神戸市東灘区)

(小池 ひろのり 議員)[発言方式:分割]

1 安全で快適な自転車道整備の推進について
2 加配教員の増員と運用について
3 介護福祉士の養成制度の充実について
4 中国との友好・経済交流について
5 三宮駅周辺の再開発推進について

質問全文

第327回 6月定例県議会 一般質問

質問日 :平成27年6月22日

質問者  :小池ひろのり 議員

質問方式:分割方式

1.安全で快適な自転車道整備の推進について

この6月1日より、改正道路交通法が施行され、自転車運転者対策として危険運転行為に対する講習制度が始まりました。自転車事故を減らすためにも必要なことと思われます。しかし、私は、法規制だけでは不十分で、本当に効果を挙げるためには自転車道等の環境整備を併せて行うべきだと考えます。

また、兵庫県では今年3月全国に先駆けて自転車保険加入を義務化する条例を制定しました。大変良い仕事をされたと思っています。しかし、いくら義務化と言っても、最終的には保険加入の強制は出来ず、一定の加入率になると予想します。

私は、国内のみならずアジア・北米・欧州・オセアニアの国々を自転車で駆け巡った40年のサイクリング歴を持っています。その経験と海外の動向から、自転車の素晴らしさをもっと広く県民に浸透させ、自転車事故を減らす県民運動の展開を願っています。

そのような観点から、県内における安全で快適な自転車道整備について、質問します。

皆さんもご存知のように、自転車に乗ることは、心肺機能を高め、心身ともに健康づくりに大いに役立ちます。更に排気ガスや騒音も出さず環境に優しく、交通渋滞もありません。また何と言っても経済的で、いろんな面で大変優れモノです。唯一欠点があるとすれば、交通事故の問題です。

そこで、安全に自転車が利用出来る街づくりの施策を遂行して、車から自転車へのシフトを誘導していくべきと考えます。

私達、民主党県民連合は、昨年夏に、オランダのアムステルダムを視察しました。オランダ自転車協議会の説明によれば、今から25年前の1990年に、既にアムステルダム市内の幹線道路には、自転車道を併設するという条例を制定し、政策的に自転車奨励社会の推進を展開していました。

市内の道路には、制限時速30キロ、50キロ、70キロの3種類あり、50キロ以上の道路には自転車道を併設、30キロの道路は出来るだけ車を走らせないような施策を採り入れました。その結果、現在では市民の54%が、自転車通勤・通学するようになり、自転車利用率は約10倍に拡大したにもかかわらず、自転車による交通事故死者数が、年間約600人から約20人へと激減したそうです。

アムステルダム市のこのような街づくりは、ヨーロッパ全土に広がり、自転車に対する評価が高まっていき、現在、パリでは、道路の真ん中に対面通行出来る自転車道が整備され、美術館・博物館巡りが出来ます。コペンハーゲンでは、自転車通勤者が5割になることを目指し、都市づくり政策が進められています。

このように、先進国では、今や自転車を車と同様な交通機関と位置付け、交通政策もしくは交通規制の中において明確に配慮すると共に、自転車交通を街づくりに活かす努力が見られます。自転車が環境に優しい身近な交通機関であることや、安全確保で自転車の利便性が高まっているヨーロッパ諸国の自転車奨励政策から学び、兵庫県においても単に「対策」にとどめることなく、積極的に「自転車交通政策」として確立する必要があると思います。

また、最近では台湾・中国等のアジアに於いても、観光客や住民のために、ディポジット制で乗り捨て自由の貸自転車と自転車ステーションを設けて回遊性を高め、更に、全電車の自転車持ち込みを可能とし、自転車での観光地巡りや、身軽な自転車移動を奨励しています。

先進国だけでなく、発展途上国の観光地にまで自転車利用が広がっており、自転車利用の推進は世界の常識と理解します。国においても、健康や環境への意識の高まり等を背景に利用ニーズが高まっていることを踏まえ、平成24年11月に「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」を策定されています。まさに、観光にも力を入れる兵庫県が、安全で快適な自転車道整備の推進による自転車奨励の街づくり政策を積極的に推進すべき“時”であると考えます。

具体的には、まず、県内の適当な規模の市町をモデル地区として指定し、自転車道を集中的に整備し、まちづくりの一環として自転車利用を奨励する県民運動の社会実験から始めては如何でしょうか?街づくりの施策の中に自転車道の整備を位置付け、マナー向上の啓発を行うと同時に、歩道と自転車道を分離した整備を積極的に取組み、安全を確保した自転車奨励地区から県民運動へと展開することを期待するものです。

そこで、安全で快適な自転車道整備の推進について、安全な自転車利用環境の創出に向けた今後の展望も含め、ご所見をお聞かせください。

2.加配教員の増員と運用について

昨年の9月の県会本会議の一般質問で、私は『教師の多忙対策について』を取り上げました。

今、教師の給料など待遇面は下がる一方で、任務や責任だけは過剰に押し付けられている現状と言えます。また、教師が遣り甲斐や教師冥利を感じる時は、児童・生徒や親から「先生、有難う」と言われたり、児童が前向きに頑張りだす時です。ところが、教師に対する尊敬度や社会的地位が下がっているためか、児童や親の教師に対する感謝の気持ちが薄れていることが、余計に教師を疲れさせています。

更に、教師が元気でないということは、児童・生徒たちにも影響し、学校現場の活気が薄れ、児童・生徒が夢や目標を見出し伸び伸び活気づく環境ではなくなり、引いては委縮させる結果を招くことに繋がります。

今、学校現場で大きな問題となっている一つに、教師が多忙過ぎるということがあります。「教師の多忙化」は、昨年9月の本会議でも取り上げたように、多忙化に伴う心の病も増加しており、心身ともに疲労困憊している現状にあると言えます。指導する立場の教師が疲れ果てていては、学校が元気になる筈がありません。

また、教師にとって最も重要な“目の行き届いた授業”の面では、現在、兵庫県は小学4年生まで35人学級を実現しましたが、教育効果を挙げているフィンランドの20人以下学級、しかも複数担任制とは比較になりません。日本の現状では、家庭の躾が出来ていない児童も多い上、小学1年生でも、教師の指導になかなか従わない児童が見受けられます。そのような状況で、35人もの多様化している児童を一斉授業で指導することは、至難の業と言わざるを得ません。

そこで、当面の対策として、学級崩壊の危険性の高い学級や行動面、学習面に課題があり、支援を要する児童が多く存在する学級に、副担任として教師を配置出来れば、クラス運営でどれだけ助かることか容易に想像つくことでしょう! 加えて、加配教員を1名増員することは、学校訪問者やモンスターペアレンツ等に対応したり、教師の出張や突然の年休に対する代理授業を可能とすることも出来、大変大きな効果が期待できると思います。

前回の質問で、私は「百年樹人」や「国家百年の計、教育に在り」という格言を引用しました。是非、教育効果を高め、児童・生徒に夢や目標を抱かせ、少しでも目の行き届いた指導を可能とする加配教員の増員をお願いしたいと思います。財政難の中であっても、教育を重視する施策を推進いただきたいと思います。

教員の人数は、定数法によってクラス数に応じて決まります。それ以外に、国からの予算で目的加配という教員がプラスされます。現在、兵庫県には3,137名の目的加配の教員がいますが、その目的加配は、通年規定で年度途中の変更は許されません。しかし、目的加配で運用を縛るのではなく、現場を熟知した校長の裁量に運用を任せ、年度途中での配置目的の変更を臨機応変に出来るような仕組みになれば、同じ予算内で大きな教育効果を発揮することは明らかであります。

学校現場の事を一番知っているのは、校長であり教職員です。学級崩壊や問題が起こってからの対応ではなく、起こりかけた時の即座の現場の判断と対応は、傷も浅く大きな教育効果を上げることが出来ます。

校長が現状に合わせ適切な判断をし、加配教員の運用が容易に出来るような制度にするためにも、目的加配というような規制を緩和するよう、国に要望して頂きたいと思います。同時に、県単独で行っている加配については、直ちに規制を緩和し、学校現場に任せることで効果的な配置目的の変更が容易に出来る制度にしていくべきと考えます。

そこで、県教育委員会の教育現場の現状を踏まえた加配教員の増員、並びに加配制度の見直しを含めた加配教員の運用について、当局のご所見を伺います。

3.介護福祉士の養成制度の充実について

厚生労働省の社会保障審議会福祉部会の報告によれば、後期高齢者が2000万人を超える2025年には、高齢化率は30%に達し、介護が大きな問題になると予想しています。更に、介護人材は約248万人が必要とされ、今後、具体的対策を講じないならば、約30万人が不足するとの見通しが示されています。同時に、介護ニーズの高度化、多様化に対応する介護人材の質的向上を図ることも求められています。

高齢者の生き方として、本当はまず第1に、高齢者の気持ちを最優先させるべきところ、現実は核家族化で、家族の支援を得ることがなかなか難しい状況です。やむを得ず施設を探してみても、入所できる施設は不足しており、安心して暮らせる状況ではないという現状です。

財政上の問題もあり、苦肉の策として、政府は在宅介護を推奨しています。その意味はよく理解しますが、現実には在宅介護の支援が乏しく、大変不安な状況にあります。在宅介護の実現には、行政が勧める、住み慣れた地域で人生を最後まで自分らしく暮らせるよう「地域包括ケアシステム」を名実ともに充実させ、訪問介護や地域全体で見守るコミュニティーの再生を図らなければできません。しかし、あるべき理論と現実ではかなりのギャップが生じてきています。

現在、働きながら介護をしている人は、290万人いるそうです。そのうち介護のために退職せざるを得ない人が、年間10万人にも達しているそうです。しかも、働き盛りの40代以下の人が3割もいるとのテレビ報道がありました。もちろん退職をすれば、経済的にも苦しくなることは明らかで、更に働けるのに介護退職を余儀なくされるのは大きな社会の損失でもあります。

また、最近、私の県政相談に介護の相談で来られる人が増えています。先日も、92歳の母親の介護をしているという65歳の娘さんや、83歳の認知症の妻の介護をしている88歳の夫から、世間で言われる老・老介護の相談がありました。いずれも「介護で限界を感じています。何とかなりませんか?」という相談でした。

地域の理解や制度的な支援がなければ、家族だけの介護では限界があります。現に、私たちの周りには、精一杯家族で頑張り、介護疲れで家庭崩壊寸前にまで来ているという事例が多く見受けられます。

このような問題は、介護職員の不足が大きな要因であると考えます。現在、介護職員の待遇が余り良くないということで、離職率もやや高いと言われています。そして、離職者の7割が、勤務年数3年未満であることから、もっと将来的展望を見据えた政策として、介護の担い手となる若者を育てることに重点を置いた介護福祉士養成施設・学校の支援や、介護福祉士の悩みを聞くための相談窓口の開設が、介護福祉士養成制度の充実に向けての有効な施策と考えます。また、介護福祉士の社会的評価と資質の向上を図るとともに、介護の担い手になろうとしている若者を育てると言う観点から、介護にやり甲斐や目標を感じられるよう、早急な処遇改善と雇用環境改善を進める必要があると思われます。

先日、介護福祉専門家の大学教授と意見交換をしました。

平成26年度の兵庫県内の介護福祉士養成施設・学校の学生の充足率は、55%と大変低くなっているそうです。これでは、今後の介護制度に明るい展望が開かれるとは到底考えられません。

この現実に直視し、介護福祉の意義や役割を介護福祉士養成施設・学校でしっかり学び、介護福祉士が“遣り甲斐”を持って介護に従事出来るような環境整備が必要であると考えます。同時に、介護福祉士等修学資金貸付制度も、介護福祉士養成制度の充実に向け有効な施策になると考えます。

そこで、介護福祉士の確保と資質の向上という観点からも、介護福祉士の養成制度の充実を図ることが喫緊の課題だと考えます。この点について、当局の現状認識と対策に関するご所見を伺います。

4.中国との友好・経済交流について

1972年9月の日中国交正常化以来、今年で43年目になります。

これまでの日中関係を振り返ると、過去には歴史認識をめぐり困難な状況に立ち至ることもありましたが、その都度両国の努力により改善を図り、共通の戦略的利益に立脚した互恵関係を構築してきました。

ところが、現在の日中関係は、軍事力の増強や周辺海域での海洋活動の活発化等の懸念が高まる中、尖閣諸島をめぐる外交上の問題が発生し、両国の世論が相互に不信感を抱く事態となっています。

しかし、友好関係の構築途上にある中、領土問題で不信感を煽るのではなく、地道に友好交流や経済交流を押し進め、信頼関係を高めていくことが大切であると考えます。

そういう中、最近、ようやく硬直した日中関係に回復の兆しが見えつつあります。今年の4月、安倍総理が習近平国家主席と首脳会談を行い、日中関係が改善しつつあることを確認しました。2001年に、広東省の経済発展に寄与するために、オールジャパンとして日本広東経済促進会が設立され、今年、井戸知事がその会長に就任し、経済交流推進の基盤が整ったと言えます。また今年5月には、二階俊博衆議院議員が率いる「日中観光文化交流団」に約3,100人が参加しました。

こうした機運の高まりを捉え、我が兵庫県でも戦略的互恵関係を推し進め、議会、行政、民間が一体となって、さらなる友好交流や経済交流を展開すべき時であると考えます。日中関係の根本は民間にあります。政治がギクシャクしている時こそ民間交流を推進し、経済発展と平和に寄与すべきと考えます。

1983年、兵庫県は中国の広東省と友好提携しました。日中関係で長い歴史を持つ両省県が、こういう困難な時期こそ先頭に立って友好・経済交流を展開すべきであると思います。

日本企業にとって中国は、人件費をはじめとする生産コストの上昇や、市場における競合の激化といった課題はありますが、実質GDP成長率7%台での安定成長へ移行し、人口13億人と圧倒的な規模のマーケットとして、また豊富な裾野産業を有する生産拠点として、中国経済の重要性に変わりはありません。政治情勢に左右されない民間レベルの多様な関係が大切であり、兵庫県香港事務所等の活躍で、地域間経済交流の様々な活動が、両国交流の起爆剤になることを期待するものです。

また、近年、中国からの観光客が急増しており、昨年1年間で約12万人が兵庫県を訪れています。このことは、間違いなく兵庫経済の発展にも繋がっています。今後も誘客に力を入れると同時に、草の根レベルの交流に力を入れていくべきと考えます。

そこで、県として中国との友好・経済交流を、今後どのように展開されるつもりなのか、当局のご所見をお伺いします。

5 三宮駅周辺の再開発推進について

私は、三宮駅周辺の再開発については、神戸の発展に大きな影響を与え、今がその重大な時期に来ているとの考えから、昨年9月の県会本会議でも取り上げましたが、再度質問をしたいと思います。

兵庫県の顔であり、観光・ビジネスの中心地で交通の拠点でもある三宮駅周辺を整備することは、その波及効果の高さから地域の経済全体の活性化につながるため、県としてもこの再開発事業に積極的に関わっていくべきと考えます。

神戸の都心の『未来の姿』検討委員会と三宮駅周辺の構想会議が、この1年間、将来ビジョンと事業化を見据え、より具体的な再整備の検討をしてきました。そして、いよいよ神戸の都心の『未来の姿』(将来ビジョン)と三宮駅周辺の「再整備基本構想」が、今年上半期中に策定されることになっています。この基本構想が発表されてからの提言では、既に“時遅し”と言われるのは明らかで、構想策定段階の今、行政としての役割をしっかり果たしていって欲しいと考えます。

この検討委員会と協議会には、まちづくり協議会等の地元組織代表、自治会・婦人会等の市民代表、交通事業者代表、経済界、学識経験者が委員として、更には国土交通省・兵庫県・県警がオブザーバーとして参画して、将来ビジョンの策定と具体的な検討を行っています。

ビジョンの策定や協議会での検討に当たっては、是非とも“神戸らしさ”を発揮した知恵を絞った総合的な再開発で、元気な神戸を取り戻す起爆剤につなげて頂くことを願っています。それ故、行政には、広域的な立場から企業間の事業を有機的に結びつけ、地域の発展につなげていく大きな役割があると思っています。

この再開発に当たっては、JR三宮駅ビル改築案に加え、阪急東館建替えも2015年中に構想の具体案を発表されると聞いています。その他にも、バスセンターの設置や温泉施設の計画もあり、まさに三宮駅周辺が、大きく変わろうとしています。

兵庫県は、是非、この機を的確に捉え、主体的に三宮駅周辺の再開発構想に加わり、各交通機関を有機的に連結させ利便性を高め、分かりやすく乗り換えが出来るようにしてもらいたいものです。同時に回遊性を高め、国際観光都市・神戸の発展に結び付け、賑わいのある元気な神戸を取り戻して行くことを大いに期待するものです。元気な神戸を取り戻すことなく兵庫県の発展はないと考えます。

そこで、県としての三宮駅周辺再開発の取り組み状況と、今後どのような計画を描いておられるのか所見をお伺いします。

小池 ひろのり

(選挙区:神戸市中央区)