議会の動き

石井 健一郎議員が質問(予算審査・産業労働部)

予算特別委員会(予算審査・産業労働部)

質 問 者   石井 健一郎 委員(民主党・県民連合

1 ひょうごの日本酒のブランド化等の推進について

江戸時代、一大生産地である灘の酒は、江戸へ積み下された酒は「下り酒」と称され、高級酒として珍重されてきた。以来、幕府の酒造奨励政策を期に、六甲山系から流れ出る急流を利用した水車精米による、大量でしかも精白度の高い酒造米の確保、酒造にもっとも適しているといわれる宮水の利用、さらに海岸部に大規模な酒蔵を建て、丹波杜氏の優れた技術をもって寒造りに集中したこと、船積みに適した立地等、好条件のもとで灘の酒造業は急成長を遂げ他の酒造地域を凌駕した。

現在は大量生産の日本酒により、その量こそは日本一の座を譲ってはいないものの、知名度に反し、ブランド力の面においては残念ながら立ち遅れているように感じる。事実、灘の酒を置いていない飲食店が非常に多いと感じるし、地元神戸の飲食店でも同様と考える。観光客が来ても地元の日本酒がなく、他地域の日本酒を飲んでいるといったことは大変惜しい機会喪失である。

ブランド化や販路開拓の取組については、2月補正の経済対策で海外での総合見本市への出展を支援するなど、対外的なアプローチを行う施策を主に講じているが、インバウンドをはじめとした兵庫県へ訪れる人が増えている中、地元飲食店等へのひょうごの「日本酒」販売促進等を通じ、来県者へのアプローチを強化していくこともブランド力向上には効果的と考えるが、当局の所見を伺う。

2 コーヒー等の地域の食文化発信によるツーリズム振興について

日本酒に続き、地元神戸の特徴という意味でコーヒー文化に関連してツーリズムの振興について伺う。

神戸港は明治時代の開港以来、多くの外国文化を受け入れてきた。パンやスイーツ、そして、コーヒー文化も神戸のハイカラ文化のひとつである。神戸港におけるコーヒー荷揚量は、現在、横浜港に続いて第2位であるが、阪神・淡路大震災の前は日本一だった。コーヒー産業も古くから盛んで、有名な企業も数多くある。また、だれもがコーヒーを味わい、楽しむ文化を育ててきたのは喫茶店であり、神戸には老舗や名店と呼ばれる喫茶店をはじめ地元の人に愛され続ける店が数多くある。

そういった中、スターバックスから始まり、現在はコンビニでも気軽に安く美味しいコーヒーが楽しめるようになった。コーヒーの消費者層拡大といった意味においては評価されるべきものであるが、一つの文化としてとらえると味気ないようにも感じる。

本県においては、「五つ星ひょうご」プロモーション事業などを通じ、地域ブランドや地域イメージの強化によるツーリズム振興を促進しているが、先に述べたコーヒー産業や、老舗、名店と言われる喫茶店を含め、コーヒー文化自体が貴重なツーリズム資源となると考える。

そこで、伝統ある神戸のコーヒー文化もわが県の特色の一つとしてアピールすることもできるのではないかと考えるが、地域の食文化発信等によるツーリズム振興について所見を伺う。

3 広域での観光政策について

平成26年度における本県の観光入込者数は、約1億3,300万人、前年度比2.3%増となっている。その後も増加傾向にあり、好調な状況と聞くが、近隣の大阪、京都などと比較すると、インバウンドによる訪問率で大阪は本県の4.5倍、京都は3.5倍となっているなど、大きく水を開けられていると感じる。

本県においては、平成26年度に策定したひょうごツーリズム戦略のもと、ツーリズム振興に全庁をあげて取り組んでおり、地域の創意と工夫による主体的な取組によって、エリアごとに特色あるツーリズムを展開する「ひょうご五国の個性あふれる地域ツーリズム」などの戦略により、諸施策を展開している。平成26年度の観光入込者数の地域別動向を見ると、阪神南、阪神北、中播磨、但馬などが増加しており、阪神南では甲子園、阪神北では宝塚大劇場、中播磨では姫路城、但馬では竹田城跡や城崎温泉が増加要因となったとされている。これは、ツーリズム戦略による各県民局エリアごとの特色あるツーリズム展開に基づく施策の、一定の成果が出たものと思う。

ただ、大阪、京都などとの比較などを踏まえると、さらなる相乗効果による入込増加につなげていく必要があり、そのためには、観光振興について各県民局で独自に行い、管轄地域のみをPRするのは効率が悪いと考える。特に阪神地域、播磨地域は分割することによる非効率性を感じる。但馬地域も交通アクセス等を考えると、姫路との連携をとることが大切である。

このような観点から、より広域で観光政策を推進していくことが望まれるが、当局の所見を伺う。

4 商店街の活性化について

近年、商店街を取り巻く環境は厳しさを増している。大規模店舗の進出やインターネット販売の拡大に加え、商店主の高齢化や後継者不足等により、廃業する店舗が増加している。

私の地元、神戸市灘区の水道筋商店街では、様々なイベントを実施するなど集客力アップに取り組んでおり、昨年10月には、近畿経済産業局から「近畿のイケテル商店街」に選出されるなど、賑わいを維持しているという見方もできる。

しかし、商店街全体としてみると、駅から離れた東側の市場エリアでは空き区画が増加し、シャッター街の様相を呈するなど、地元商店者は危機感を感じている。

県では、まちづくり部と連携して、今年度から商店街の活性化とまちの再整備を総合的に支援するモデル事業を実施しており、水道筋商店街をモデル商店街に指定し、商店街の活性化に向け、現在、地元が主体的に計画策定に取り組んでいるところである。

そこで、商店街の活性化とまちの再整備による賑わいのまちづくりモデル事業の現在の状況と、今後、同事業によりどのように水道筋地域の活性化を進め、そして、その成果を県下商店街の活性化にいかに活かしていこうと考えているのか当局の所見を伺う。

5 障害者雇用の促進について

本県における障害者の雇用率は1.97%、全国平均の1.88%を上回っているものの、法定雇用率2.0%には届いていない。また、法定雇用率達成企業は51.8%と全国平均の47.2%を上回っているものの、まだ半数の企業が法定雇用率に達していないというのが現状である。

また、障害者雇用の本県での内訳を見ると、身体障害者が67.4%、知的障害者が27.5%であるのに対し、精神障害者は5.1%と障害の間でも大きな差が生じている。

先月、我が会派の政務活動で東京都大田区のアイエスエフネットハーモニーを訪れた。様々な障害者が様々なIT業務に携わっており、グループ全体で精神障害者約200名を含む約400名の障害者を雇用し、障害者の採用率はまさに約12%であった。また、障害者雇用の中でも雇用が難しいと一般的に言われる精神障害者の割合も約50%と、全国全体での比率7.6%と比べてもかなり高く、企業努力で障害者にとって働きやすい職場となっていると感じた。そして、平成20年の設立以来、離職者もないと言う。

そういう中、改正障害者雇用促進法、障害者差別解消法が来月から施行される。雇用における場面をはじめ障害者への差別を禁止し、支障を改善するための措置を講じることが義務付けられる。障害者の多くは自身の生活に必要な収入を得ることができないことが実情であるが、豊かな個性、ほとばしるやる気を持った方も多く、それらの方が健常者と同様に就労でき、生きがい、やりがいを持って自立できる環境が必要である。

そこで、本県においては、法定雇用率2.0%の達成等を地域創生戦略の総括的なKPIとして示しているが、このような指標達成に向けた取組を含め、各企業で障害者雇用が進むよう具体的にどのように取り組んでいくのか伺う。