議会の動き

予算特別委員会◆21年02月定例会

副委員長  上野 英一  議員(神崎郡)
理   事  北上 あきひと 議員(川西市及び川辺郡)
委   員  黒田 一美 議員(神戸市垂水区)
委員外議員  栗山 雅史 議員(西宮市)

上野 英一 議員
 企画県民部① | 病院局 | 企業庁 | 公安委員会

北上 あきひと 議員
 財政状況 | 企画県民部② | 健康福祉部 | 教育委員会 | 総括審査

黒田 一美 議員
 健康福祉部 | 産業労働部・労働委員会 | 農政環境部 | 県土整備部 | 教育委員会

栗山 雅史 議員
 県土整備部

<上野 英一 議員>
●企画県民部①
1 職員の給与抑制措置について
2 財政運営の方針について
3 危機に備えた体制整備について
4 職員のパワー・ハラスメント対策について
5 消防体制の充実・強化について

全文

質問日:令和3年3月8日(月)

質問者:上野 英一 委員

1 職員の給与抑制措置について

県では、阪神淡路大震災からの創造的復興に対して、多額の県債を発行してきたために厳しい財政運営を強いられてきた。それに対して、平成12年から行財政全般にわたる改革を行ってきた。さらに、長引くデフレ経済、新たな財政健全化指標の導入などの影響により収支不足や財政指標が悪化し、行財政環境が更に厳しさを増したため、平成20年度に新行革プランを策定し、平成20年度~平成30年度にかけては、多額の収支不足に対応するために、職員の3割削減と職員の給与カットを含む行財政構造改革に取り組んできた。平成30年度には収支均衡となり、一般職員の管理職以外の給与カットは解消された。しかし、依然として特別職と一般職の管理職の給与カットは継続されてきた。

それが、今回コロナショックにより、特別職と管理職の給与カットの上乗せの予算案が上程されている。特別職はともかくとして、一般職の給与カットが一度も元に戻らず、10数年も継続されるのは如何なものかと考える。雇用主責任を果たしていると言えるのだろうか。

一般職員の管理職手当に対する減額措置はいつまで継続させる見込なのか、当局の所見を伺う。

2 財政運営の方針について

令和2年2月定例会の代表質問でも指摘したが、平成20~30年の11年間にわたる財政再建の結果については、平成19年度末の震災関連県債残高は8,460億円であったものが、平成30年度末で3,615億円、改善額4,845億円に減少した。一方で、行財政構造改革期間中に発行した財源対策債の残高は平成30年度末で2,892億円に上った。令和2年度から県債管理基金での償還を行っているが、平成30年度までの実質の改善額は11年間で1,953億円であり、平成30年度末で6,507億円が残っていると考えてもよいと思う。今回の行財政運営方針の変更(案)では、令和2年度末の震災関連県債約2,900億円、行革期間中に発行した退職手当債と行革推進債の残高約2,300億円と記載している。さらに、令和4年度~9年度までの間に要調整額が合計で330億円が生じる見込みとなっているが、平成20年~30年までの11年間と同じことの繰り返しとなるのではないかと危惧している。一般事業費等の削減や、一般行政部門等の定員の平成19年度比3割削減を行った上でも、収支不足額が発生する今後の財政の見通しについて、どのように考えておられるのか、当局の所見を伺う。

3 危機に備えた体制整備について

先月2月に「有事における保健所の危機管理体制、職員配置について」の代表質問を行った。知事の答弁では、保健師の採用を増やし純増7名の人員体制強化をはじめ、令和2年度より保健師等の免許職種の採用上限年齢を45歳に引き上げ、中堅層を含め職員確保に努めている。各事務所の職員配置については、若手、中堅、ベテランをバランス良く配置するとともに、新任職員には指導担当者による現任教育を行うほか、感染症、精神保健、難病など業務ごとに研修会を実施し、専門性の向上を図っている。さらに、「保健師バンク」や「兵庫県保健師キャリア支援センター」を設置など外部での取組強化の答弁も頂いた。今回はコロナ禍で明らかになった保健所対応だが、他部署においても起こってからではなく普段から非常時に備えた体制整備を行う必要があると考える。例えば、今年は鳥インフルエンザも発生したが、農政環境部では素早く対応されました。話を伺うと、事前に発生に対しての体制整備を行っており、また、年1回はシミュレーション訓練を行っているとのことである。

今後、新型コロナウイルスのような感染症や国民保護事案などの危機に備え、平時からの体制整備や訓練をどのようにしていくのか、当局の所見を伺う。

4 県職員のパワー・ハラスメント対策について

職場のいじめ・嫌がらせに関する都道府県労働局への相談は令和元年度で8万7千件を超え、8年連続で全ての相談の中でトップである。国は、ハラスメントのない社会の実現に向けて、職場での対策を強化するため、令和2年6月に改正労働施策総合推進法等が施行され、事業主に、パワー・ハラスメントいわゆるパワハラ防止のために相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講じることを義務づけたところである。

しかし、兵庫県では平成23年度以来の残念なパワハラ事案が起こり、昨年12月に管理職2名が配置転換になった。この間も、潜在化していたのではないかと心配する。今回の2名については、2名とも、本人がパワハラをしているという自覚がないタイプであったと聞いている。私はこのタイプが危険であると考える。私たちも一度自身を振り返ってみる必要があると考える。おそらく優秀な職員が陥りやすく、子供のころからエリートで頭脳明晰、自身の考えや理論に自信を持っており、他者や、特に部下に対しては、意見を聞かないだけでなく強要するタイプが多いのではないか思う。

県では「兵庫県ハラスメント防止指針」を作成しているが、パワハラに対して日頃どのような研修・指導をしているのか、また、職場でのチェック体制はどのようになっているのか、当局の所見を伺う。

5 消防体制の充実・強化について

消防体制の中でも、消防団の現状と充実強化について伺う。

一つには、人口減少や労働環境の変化の中で、消防団員が減少していることである。昭和40年に122消防団、2,620分団あったものが、令和2年4月時点では、62消防団、1,214分団で、消防団員数は41,141人となっている。また、都市部と地方部でも大きな違いがあるが、神崎郡3町の実態は、福崎町で35自治会に対して32分団613人で、人口に対して約3%である。それを本部の下に中部・東部・西部支部に編成している。市川町では、30自治会に対して26分団493人で、人口に対して約4.4%である。神河町では、39自治会に対して、7分団27部595人で、人口に対して約5.6%である。

3町では、元々自治会1分団であった。神河町の例でいえば、消防操法訓練が始まったころから、分団合同で選手・チーム編成するようになり、現在の7分団に編成して、さらに1分団で部は解消したために27部となっている。それは、消防団員が減少していく中で、活動を維持していくための工夫である。特に、火災などの有事に備えるには分団・部の日常的な活動が重要であり、そのための組織である。

分団単位で実施する活動は、(非常)呼集訓練は年3回以上、広報活動は月4~5回以上(各部月1回以上)、正副分団長会議は月1回以上で参加対象は、副本団長、分団長、副分団長、班長(各部1名)である。部単位では、ポンプ点検及び放水訓練を分団内の複数の部合同で月1回以上行い、分団内配備の各ポンプ操作の習得に努める、消火栓訓練を年1回以上行う、サイレン吹鳴を毎月第1日曜日の午前8時に行う、部役員会を月1回以上正副分団長、班長出席で行うなど、団員不足の中でも組織再編を行いながら、消防活動の充実に努め住民の負託に応えている。

消防団の充実・強化は市・町が主体的に取り組むべき課題ではあるが、例えば、消防団員の活動に対して勤め先の理解・協力を得るなど、市町と協力しながら県としてどのような取組をしているか、当局の所見を伺う。

上野 英一
神崎郡

病院局
1 適切な病院経営について
2 未知のウイルスから守る治療薬の使用について

全文

質問日:令和3年3月9日(火)

質問者:上野 英一 委員

1.適切な病院経営について

令和3年度予算を審議する以前の問題として、今定例会で可決された補正予算について、伺います。それは退職給付引当金についてであります。もちろん可決成立した予算でありますので、ホームページにある病院事業の予算、決算等の経営管理について、「医師偏在等により依然として経営環境が厳しい中、経営基盤の強化を図り、適切な公的負担のもとで自立した経営が確保できるよう、医療資源の有効活用や職員の経営意識の高揚を図り、計画的な経営改善に取り組んで参ります。」の観点からお伺いします。

令和2年度の最終予算では、コロナウイルスによる受診控えなどにより厳しい経営環境でありましたが、尼崎総合医療センター・加古川医療センターの新型コロナウイルス感染症空床補償補助金などにより、予想以上の収益がありました。それは一般会計でも令和3年度予算において、特別減収対策債の発行を新たに制度化することや、基準財政需要額を上乗せすることにより地方交付税を増額するなどをしてくれた国の財政補填と同じことです。そのこともあってか、退職給付引当金の過年度修正55億34百万円が計上されています。私は突然に多額の退職給付引当金が計上されたことに対して、違和感・疑問を率直に感じました。これまでの決算の信憑性に関わることであり、民間企業では経営責任を問われかねないのではないかとまで思うところです。ただ、県立病院ですから、このことが、私腹を肥やしたり、銀行融資を引出したり、株価の操作につながるものではないことは理解しています。

そこで、令和3年度当初予算について「適切な公的負担のもとで自立した経営が確保できる予算」と言えるのかご所見をお伺いします。

2.未知のウイルスから守る治療薬の使用について

ようやくコロナウイルスについて、いろいろなことが解明されつつありワクチンの供給も始まりました。私は、最前線で働き、感染という恐怖に立ち向かう職員をどうやって守っていくのかも、議員の一人として務めではないかと考えていました。

次亜塩素酸水が感染予防に大きな効果を発揮するとの確信から、5月15日に加古川医療センター、翌16日に神戸医療センター中央市民病院に、無料レンタルで噴霧器や次亜塩素酸水を持込みました。多くの大手民間企業でも採用をしています。その時点では、大いに歓待を受けました。しかし、次亜塩素酸ナトリウム、いわゆる水道水の塩素滅菌ですが、それらとの混同もあり、あるいは厚労省における認可・通達・利権絡みもあり、途中から使用が中止されました。

次に、健康局長やコロナ対策課長や金澤副知事にも、1月以降からイベルメクチンの提言を行ってきました。兵庫県出身の国会議員にも、イベルメクチンの国内外におけるコロナ対策における症例をまとめた資料を送付しました。その後2月17日の衆議院予算委員会で中島議員に取り上げられて、田村厚生労働大臣答は、「適応外使用では今も実は使えまして、一回飲めば、例えばもう自宅に戻った方は飲まなくていいというような、そういう便利さもありますので、医療機関で飲んでいただいて御自宅で待機いただく、こういう使い方もあろうというふうに思います。いずれにいたしましても、まだ実際問題、これは用途外適応といいますか、それでやっておりませんけれども、実際問題もう今使っている、使えるというような形で御利用いただけるということであります。」。菅総理は、「新型コロナに対する治療薬の研究開発については、一日も早く国民の皆さんの不安を解消するために必要だというふうに思っています。今、大臣から御説明をさせていただきましたけれども、私自身も、やはり日本にとって極めて重要な治療薬だというふうに思っていますので、最大限努力はさせていただきます。」と答弁されています。

そのイベルメクチンの使用について、当局のご所見をお伺いします。

企業庁
1 株式会社夢舞台の経営状況とその対応について
(1)夢舞台のホテルの利用状況と株式会社夢舞台の令和元年度決算
(2)株式会社夢舞台の令和2年度決算と今後の対応
2 企業庁の人材育成について

全文

質問日:令和3年3月12日(金)

質問者:上野 英一 委員

1 株式会社夢舞台の経営状況とその対応について

(1) 夢舞台のホテルの利用状況と株式会社夢舞台の令和元年度決算

北淡路地域の振興と関西国際空港の埋め立て用土砂の採取跡地の有効活用を図るため、ホテル、国際会議場、温室などを整備し、企業庁が出資する株式会社夢舞台が一括して管理運営を行ってきている。

その中でも中心は、201室を有するホテルである。ただ、今回の新型コロナウィルス感染症の拡大で、ホテルの営業は大きな打撃を受けているのではないかと危惧をしている。

去年の3月1日に兵庫県ではじめて感染者が出て、その後、4月7日から第1回目の緊急事態宣言となった。7月下旬からは観光業界への支援のGo Toトラベルキャンペーンが始まった。それと前後して8月には感染のいわゆる第2波がやってきた。

第2波がおさまるにつれ、秋口は旅行客が順調に増えていたが、11月中旬からいわゆる第3波となり、12月28日にGo Toトラベルは停止になり、かきいれ時の年末年始を直撃、そして2回目の緊急事態宣言となって、今に至っている。

この流れに呼応して、ホテルの宿泊客の動向はどうなっているのか。また、令和元年度の株式会社夢舞台の決算状況はどうなっているのか、伺う。

(2) 株式会社夢舞台の令和2年度決算と今後の対応

令和元年度で新型コロナウィルス感染症の影響を受けたのは、令和2年2~3月の2ヶ月であって、それが、7,000万円の赤字となると、単純に計算すると令和2年度はその6倍、4億円以上の赤字となるのではないかと心配をするところである。

株式会社夢舞台では160人以上の社員が働いている。その雇用を守っていかないといけない。これまでにも、いろいろな議論がされてきた。2年度決算並びに今後の対応を聞く前に、過去の議論を振り返ってみる。

夢舞台は、周辺の整備も含めて683億円をつぎ込んで平成12年に建設された。平成14年度にホテル施設を企業庁が131億円で買い取り、リースバックをしてきた。その後、平成19年度に企業庁は、減資と増資を合わせた32億5千万円を支援して、累積損失を圧縮し、債務超過を解消してきた。また、経営状況を踏まえ、賃料も大幅に切り下げ、後年度繰延べとした。さらに、平成26年度にショップ等リニューアルに2億96百万円、平成28年~30年度に客室リニューアルで2億3千万円を追加投資してきた。

これは先にも述べたとおり、関西国際空港の埋め立て用土砂の採取跡地の有効活用を図るためと、何よりも北淡路地域の振興を図る目的が大である。株式会社という大原則はあるが、減価償却とまでいかなくとも、せめてランニングコストぐらいは賄えればと我々は議案にも賛成をしてきた。

また、平成21年の第8回公社等経営評価委員会では、「リースバックを考えれば、本来経費計上すべき減価償却ができておらず、実質的には赤字である。今後も引き続き赤字が続くと想定されるのに、ホテル経営を、第三セクターが続けていく意義があるのか疑問である。ホテルは民間に売却、売却が無理であれば廃止という方向性もある」との厳しい意見もあった。

これらを踏まえ、管理者の立場は、出資元の責任者でかつ、株式会社夢舞台の取締役である。たとえていうならば、親会社の社長で、子会社の取締役である。

そこで、①令和2年度はどの程度の赤字となると見込んでいるのか。②株式会社夢舞台は倒産という事態にならず大丈夫なのか。③巨額の赤字をどのように取り戻していくのか。④第3セクターの解散ということもあるのか。について、管理者の見解を伺いたい。

2.企業庁の人材育成について

企業庁は、県の組織ではあるものの、地方公営企業法が適用され、同法3条に規定されている「常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営」することが求められている。公益性が重視される一般行政部門とも異なるし、経済性が優先する一般の企業とも異なり、ちょうどこれらの中間の存在である。一般行政部門と最も異なる点は、財務分野である。一般行政部門で採用されている官公庁会計は現金の収入及び支出の事実に基づいて経理記帳される「現金主義会計」であるのに対し、公営企業会計では、現金の収支の有無にかかわらず、経済活動の発生という事実に基づき、その都度記録し整理する「発生主義会計」が採用されている。そして、経営に要する経費をその経営に伴う収入で賄う「独立採算」が原則で運営される。

また、業務分野でも、水道用水、工業用水の設備工事は、技術的にみても企業庁しか行っていないし、用地分譲はまさしく民間企業の営業と同じである。

企業庁の職員は約150人であるが、基本は一般行政部門との交流人事により人事配置を行っている。以前は水道関係の専門技術職員は、企業庁独自の職員採用を行っていたが、職域が企業庁だけに限定されることから、現在は新たな採用は企業庁だけで実施せず、一般行政部門との交流人事によって対応している。事務職員が一般行政部門から企業庁に異動になった場合、複式簿記に対応できるのか、技術職員が一般行政部門から企業庁に異動になった場合、水道所管整備業務に対応できるのか、心配なところである。ましてや営業がしたいからと言って県庁を希望する人はいないのではないか。さらには、用地分譲の担当ではその営業をしないといけない。

そこで、企業庁の業務の特殊性に対応するため、人事管理面でどのように工夫しているのか、伺いたい。

●公安委員会
1 猟銃所持者への安全配慮義務のさらなる周知、徹底について

全文

質問日:令和3年3月10日(水)

質問者:上野 英一 委員

1.猟銃所持者への安全配慮義務のさらなる周知、徹底について

県民が安全・安心に生活が送れるのも、警察官の皆様のおかげと感謝を申し上げます。

暮らしの一部、特に、農林業に関わるところに鳥獣被害の問題があります。そのための駆除活動も、近年農家からの強い要望が多くあります。その中でも、猟銃を使った駆除活動は、猟銃の管理やその使用において、厳しい安全配慮義務が求められます。狩猟免許は農政環境部、猟銃所持許可は公安委員会が所管しており、許可証の交付までには講習・教習など手続きがあるうえ、3年ごとの更新手続きにおいても一部の例外を除き技能も含めた講習があると聞いています。

法律では、狩猟禁止場所として「鳥獣保護区及び休猟区、公道、区域が明示された都市公園等、自然公園の特別保護地区、原生自然環境保全地域、社寺境内及び墓地」があり、さらに銃猟の禁止場所として、「特定猟具使用禁止区域(銃)、住居が集合している地域若しくは広場、駅その他多数の者が集合する場所」のほか、銃弾の達する恐れのある人、飼養動物、建物、自動車、電車、船舶などの乗り物等に向かっての銃猟が禁止されています。

さらに、銃砲等の所持許可の取消しの処分基準には、「銃砲刀剣類所持等取締法に違反し、この違反に伴う実害の発生、同種事案の再犯のおそれ、社会的に非難されるべき点などが認められる場合に、許可を取り消すことができる。」と示されており、司法と行政のそれぞれの手続により、それぞれの罰を与えられることとなります。

このような手続について私自身も県警当局の方と意見交換することによって、ずいぶん明確になりましたが、私の住む地域でも鹿の駆除活動中に、国道近くの河川に逃げ込んだ鹿に対し発砲をして警察に検挙された事案があり、多くの猟銃所持者の方たちは、法律で禁止されている様々な違反行為への理解と、違反に伴う取消処分をはじめとする行政処分への認識が曖昧ではないかと思われて仕方ありません。

猟銃は、その使い方を誤れば、人の生命を奪ったり、傷つけてしまうおそれのあるものですから、公共の安全を脅かすような違反行為に対しては、司法、行政それぞれの手続をもって厳しく対応する必要があると考えますが、その一方で、農林業における鳥獣被害が増大するなかで、有害鳥獣駆除に従事されている猟銃所持者は地元において貴重な存在でありますので、猟銃所持者の技能向上を図ることは言うまでもありませんが、違反行為に対するしっかりとした認識を与え、猟銃の許可が取消となるような違反者を出さないといった取組が必要であると考えております。

このことについて、改めてご所見をお伺いします。

<北上 あきひと 議員>
●財政状況
1 地方財政計画の評価について
2 県税収入見込みについて
3 財政フレームのフロー指標について
4 シーリング強化について
5 個人住民税の税収確保に向けた取組について
(1)個人住民税徴収支援に係る取組状況と結果について
(2)個人住民税特別徴収に係る取組状況と結果について
6 コロナ禍における県税デジタル化の取組について
7 県民緑税について
8 県財政への県民理解と予算編成過程の透明化について

全文

質問日:令和3年3月5日(金)

質問者:北上 あきひと 委員

1.地方財政計画の評価について

令和3年度の地方財政計画は、歳出において給与関係経費は前年度を若干下回っているものの、これは退職手当等の減少が影響しているためであり、職員数は保健所人員拡充を含め総数で増やす等、積極的な見積もりを行っていると言えるのではないでしょうか。また社会保障関係費の伸びを中心に補助事業が増加し、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用した地域デジタル社会推進費は皆増です。加えて「まち・ひと・しごと創生事業費」の1兆円は維持されました。これらにより一般行政経費が増加しています。一方で、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の国直轄・補助事業について、令和2年度国第3次補正予算により措置されることから投資的経費が減少しました。

歳入においては、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税・地方譲与税が大幅に減少するなか、地方特例交付金等、地方交付税、臨時財政対策債が増加しています。

この結果、水準超経費を除く交付団体ベースの一般財源総額は、前年度から2,414億円増の61兆9,932億円となりました。

県では、新型コロナの影響により財政状況がリーマン・ショックを超えて悪化することが懸念されることから、国に対して十分な財政措置が講じられるよう強く要望してきたことと思います。

令和3年度の地方財政計画の評価について、県のご所見をお伺いします。

2.県税収入見込みについて

県は、昨年9月県議会では、新型コロナウイルス蔓延の影響により、県税等の収入が令和2年度当初フレームから約2000億円減少する可能性があると言及されました。このたびの当初予算における県税及び特別法人事業譲与税収は、2020度当初予算額から919億円の減となる7,647億円を計上されています。令和2年度当初フレームからの減少額は、昨年9月時発表の見込み額の凡そ半分になりました。

今年1月に閣議決定された「令和3年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」では、年度中の経済の回復が見込まれていますが、一方では、感染症による内外経済の下振れリスクや、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があるとされており、経済の先行きは不透明な状況が続くと思われます。2月の月例経済報告によると、景気は新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られるとされています。

こうしたなか、主な税目についてどのように見込まれたのか、お伺いします。

3.財政フレームのフロー指標について

令和3年度当初予算をもとにした財政フレーム見直しによると、実質公債費比率は令和5年度17.4%、令和10年度は18.1%になる見通しで、令和10年度における過去3年間の平均は17.9%となり、辛うじて18%未満に納まる見通しとなっています。

前提となる内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の実現可能性は厳しく、また大型投資事業実施の有無を含め不確定要素が多いなか、地方債発行額や借入れ時の利子をどう見込むのか、積算根拠について県のご所見をお伺いします。また、将来的に社会保障関係費の占める割合の増加が予測されるなか、財政構造の硬直化を危惧するところですが、フレーム見直しにあたっての実質公債費比率をはじめとするフロー指標に対する認識について、県のご所見をお伺いします。

4.シーリング強化について

県税等の減収対策として様々な手法を駆使しておられ、シーリング強化もその一つです。新年度予算における効果額は、15億円であります。

国や多くの自治体でも何らかの形でのシーリングを導入しており、シーリングは予算抑制の一つの有用策であると認識するところです。しかし一方、要求段階で予算額が決められるため「社会経済の実情にあわせた必要な事業に取り組めない」、また逆に「不要な事業であっても、基準のなかであれば細かく査定を行わないなどによりシェアの固定化を招いてしまう」等の弊害が指摘されています。他県においては、従来行っていたシーリングを廃止し、各部局には必要と思われる事業を自由に要求してもらい、財政部局等が必要性を充分に検討精査して優先度の高いものから予算計上する方策に変更した例も見受けられます。

シーリング強化による、県民サービスや職員の働き方改革への影響をどう分析されるのか、メリット・デメリットをどう評価されるのか、また今後の在り方について県のご所見をお伺いします。

5.個人住民税の税収確保に向けた取組について

県税の徴収歩合は毎年向上し、収入未済額も着実に減少しているところであります。そのようななか、令和元年度個人県民税の収入未済額は未済額全体の78.6%となっており、依然として高い割合です。県税収入の確保を果たすには、県税収入の約3割を占める個人県民税を如何に徴収していくかが大きな課題となっていると考えます。

(1)個人住民税徴収支援に係る取組状況と結果について

個人県民税は市町が個人市町民税と併せて賦課徴収することになっているため、県だけの徴収対策で収入確保が叶うものではありません。令和2年度は、個人住民税特別対策官を中心として、市町の徴収能力向上を図り、個人県民税の徴収を確保するための支援を行っていると聞き及んでいますが、どのような取組を行い、どのような成果があったのか、また今後どのように進めていくのか伺いします。

(2)個人住民税特別徴収に係る取組状況と結果について

平成30年度より、個人住民税特別徴収の徹底が図られました。特別徴収実施率の上昇に伴い、個人県民税の徴収歩合も上昇していると聞き及んでいるところであり、その効果は大きいと認識するところです。特別徴収義務者に、制度の意義を一層周知し、併せて事務負担軽減や利便性向上図ることによって、特別徴収の実施率向上に努めて頂きたいと考えます。これまでどのような取組を行い、どのような成果があったのか、また今後どのように進めていくのか伺いします。

6.コロナ禍における県税デジタル化の取組について

行政側の課税や徴収手続きにおけるデジタル化についても、業務効率化に加え、法務局・金融機関等の関係職員との接触機会を減らし、コロナの感染拡大防止を図る観点から、同様にデジタル化を推進・拡大していくことが課題であると考えます。そこで今後の課税・徴収におけるデジタル化の取組について、県のご所見をお伺いします。

7.県民緑税について

県民緑税は昨年12月議会県議会における十分な審査を経て、引き続き5年間の延長を決定したところであります。県民緑税は、県にとって大きな財源であり森林再生や都市緑化は環境や防災の観点から、今後必要な施策であると認識するところです。一方、森林環境税との「二重課税」ではないか、との疑義や不満を漏れ聞くこともあります。超過課税である県民緑税については、課税にあたってはそもそもの必要性や税率、期間設定について丁寧な精査を行なうとともに県民・事業者への十分な説明を尽くしその目的等の理解を得ることが肝要であります。そこで、改めて、県民緑税の必要性と税率、期間設定の考え方、納税義務者である県民・事業者の理解の状況について、県のご所見をお伺いします。

8.県財政への県民理解と予算編成過程の透明化について

県においては、毎年2回定期的に財政状況の公表を行う等、県財政の実態を県民に理解を頂くための努力を続けておられるものと認識します。

少子高齢化等による税収減少や社会保障関係費の増大等によって、財政状況は将来にわたり厳しさを増すことが予測されるなか、財源の確保・配分に対する住民の理解納得をえることは益々重要であり、全国の自治体でも様々な取組が模索されているところです。既に近隣府県や県内市町でも「予算編成過程の公開」等が実施されています。

県財政についての県民理解を深める取組の状況と成果について、また予算編成過程の透明化等、更なる取組について、県のご所見をお伺いします。

北上 あきひと
川西市及び川辺郡

●企画県民部②
1 コロナ禍による芸術文化活動影響と支援策について
2 高齢者の交通安全対策推進について
3 更生支援と再犯防止対策推進について

全文

質問日:令和3年3月8日(月)

質問者:北上 あきひと 委員

1.コロナ禍による芸術文化活動影響と支援策について

新型コロナウイルス蔓延によって、県内においても芸術文化関連の公演、展示等のイベント中止・延期が相次いでいます。神戸大学大学院国際文化学研究科藤野一夫研究室の調査によると、兵庫県内における、昨年2月~12月の文化芸術関係者(個人・団体)の損失は、少なくとも590億円が見込まれることが明らかになりました。また藤野研究室による関係者へのアンケート調査では、今後困りそうなこととして「創作発表の機会が減少すること」「観客や顧客が戻ってこないこと」等の回答が多く、必要とする支援策については「公演、展示、イベント等の延期または中止による損失補填」「芸術文化活動に関する情報発信、周知、啓発、提言」「芸術文化活動を活かした機会・場づくり」「支援策に関する相談・情報提供」等の回答が多く寄せられたと発表されています。

「文化はグルメのための特選品ではなく、万人にとってのパンなのです」とは、ドイツ文化相の言葉ですが、私たちの社会においても、芸術文化がライフラインの一つであるとの認識が徐々に拡がりつつあるように感じたところです。しかし、芸術文化関係者の生存と活動を支える施策については十分ではなく、ミスマッチであったり、照明、音響等いわゆる「裏方」への支援策が不足しているとの指摘を聞くところでもあります。

県は、コロナ禍による芸術文化活動への影響をどのように分析し、これまでの支援策をどう総括されるのか、また新年度以降においてはどのような取組を展開されるのかお伺い致します。

2.高齢者の交通安全対策推進について

交通事故の死者数は年々減少傾向にある一方、65歳以上の高齢者の占める割合が高くなっており、最近は事故の被害者だけでなく加害者になるケースも増加しています。昨年の県内交通事故の状況を見ると、①死者数は110人で内65歳以上は65人(59.1%)、②人身事故件数は17,352件で内65歳以上の第1当事者が3,978件(22.9%)、③人身事故のうちブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故件数は142件で内65歳以上ドライバーの事故は56件(39.4%)であります。高齢社会が今後一層進むなか、高齢者を含め全ての県民の命を守るために、高齢者の交通安全対策推進の充実が求められているところです。

高齢ドライバーの交通事故を防ぐための施策として運転免許証の自主返納制度があり、一定の効果を上げているものと認識します。しかし、運転免許返納の直後から引きこもりがちになったり、認知症の発症や症状が進むケースもあり、免許証返納以外の対策を講じる必要性も指摘をされているところです。

高齢者の歩行中、自転車・自動車運転中における交通事故を防止するためには、高齢者自身の法令遵守や交通安全意識高揚の努力に加え、安全を確保するアシストシステムや周囲の人々の理解も重要になります。

新年度、県においては緊急対策として実施した「高齢運転者交通事故防止対策事業」を終了し、引き続き「交通安全シルバー元気アップ事業」を推進する予算が計上されていますが、高齢者の交通安全にかかる取組内容をお伺い致します。

3.更生支援と再犯防止対策推進について

平成28年に施行された再犯防止推進法では、地方公共団体においても再犯の防止等に関する施策を実施する責務があること(第4条第2項)や、国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければならないこと(第5条)、再犯防止対策は、起訴猶予等となった者や満期釈放者も含む従来よりも広範となる「犯罪をした者等」を対象に実施されるべきものであること(第2条)が規定されました。本県においても地域安全まちづくり条例や同推進計画等に基づき、取組が進められているものと理解するところです。

犯罪に至る背景には、過去の理不尽な暴力や差別の記憶、悲しみや恥辱、怒りといった感情があり、その記憶や感情を自らが受け止め理解し表現する「エモーショナルリテラシー」が、更生にとって重要であることが注目されています。「島根あさひ社会復帰促進センター」での、「エモーショナルリテラシー」を尊重する取組(「セラピューティック・コミュニティ・ユニット」)では、再入所率を半減するとの調査結果もあります。本県においても、「エモーショナルリテラシー」についての調査研究を進め、施策展開(講座、相談、カウンセリング、自助グループ養成等)に、その理念を活用することは有用と考えますが、県のご所見をお伺いします。

●健康福祉部
1 新型コロナウイルス感染症対策における市町との連携について
2 新型コロナウイルスワクチン接種における県の役割について
3 ギャンブル等依存症対策について
4 児童虐待への対応について
(1)児童福祉司等職員の確保、育成について
(2)一時保護所に対する今後の取組について
5 人権啓発施策の推進について

全文

質問日:令和3年3月9日(火)

質問者:北上 あきひと 委員

1.新型コロナウイルス感染症対策における市町との連携について

新型コロナウイルス感染症への対応は、1.感染状況の把握、2.感染者に対する治療、3.感染の拡大を抑えるための対策、大きくこの三つだといわれ、いずれについても国や市町村と連携しつつ都道府県が中心的役割を果たしているものと認識します。限られた人員のなかでご奮闘頂く保健所職員はもとより、新型コロナウイルスへの対応にご精励頂く全ての関係者に敬意と感謝を表するところです。

より効果的、効率的な対応を行うためには、県と市町の連携が重要です。例えば、感染者・濃厚接触者で自宅待機となる場合において、健康面の支援については県保健所が対応していますが、生活面での支援は必要性が高いものの人員等の都合からその対応は困難であり、市町に担って頂くべきだと考えます。感染症拡大の状況は不確実性が大きく、またプライバシー保護も強く求められるなかであり、連携を図るには難しい面も多いと推察しますが、本県を対象にした緊急事態宣言が解除され、感染者数が比較的抑制されている時期に、県と市町の情報共有や役割分担についてのスキーム構築をより一層進めて頂きたいと存じます。一部市町とは連携が始まっていると聞き及ぶところでありますが、県内市町との情報共有や役割分担について、その現状と課題をどのように認識しておられるのか、県のご所見をお伺いします。

2.新型コロナウイルスワクチン接種における県の役割について

新型コロナウイルスワクチン接種における県の役割は、医療従事者の優先接種調整、市町支援、副反応への専門相談等だと認識します。県は新年度、「県内医療従事者への優先接種や市町における高齢者への優先接種を適切に実施するため、各種調整業務等に必要となる体制を整備する」とされていますが、その実施内容をお伺いします。

今後、県内市町が高齢者へのワクチン接種を実施していくにあたっての課題は、ワクチン供給時期の確定と、接種業務を担う医療スタッフ確保だといわれます。ワクチン供給については政府の対応に頼らざるを得ないところですが、医療スタッフ確保、特に医師確保に苦慮している自治体は多く、医師確保における県の支援は極めて重要だと考えます。県内各地域で医療を取り巻く事情が異なるなか、全県において円滑な住民接種が叶うよう、県が適切な役割を存分に果たして頂くことを切に期待するものです。県のご所見をお伺いします。

3.ギャンブル等依存症対策について

県においては「兵庫県ギャンブル等依存症対策推進計画」を策定し、新年度以降「計画」に基づく施策展開が図られる事を大いに期待するところです。「家族会」の方々にお話を伺うと、オンラインギャンブルの普及やコロナ禍の「ステイホーム」等が影響し、ギャンブル等への依存傾向が増していることを深く憂慮されており、速やか且つ果敢な取組が求められていると認識します。

薬物依存はそもそも多くの場合が違法行為であり、またアルコール依存症は健康被害等により顕在化し易い面があります。あらゆる依存症において、予防啓発や克服支援の取組は大切でありますが、ギャンブル等依存症の場合、違法行為にあたらない場合がほとんどであり、健康被害等によって顕在化する場合も稀で、自覚や他者の気づきが遅れがちになることから、啓発・教育・相談等の取組が殊更重要になります。また、DV、児童虐待、多重債務の背景に、ギャンブル等依存症が存在している場合もあり、健康福祉、消費生活、教育、医療等の関係機関が緊密な連携のもと対策を講じる必要があるのではないでしょうか。加えて、「自助グループ」や「家族会」の果たす役割は大きく、その支援や周知も行政の役割だと考えます。

公営ギャンブル主催者一員でもある県の責務を重く受けとめて頂くことを切に願うとともに、今後のギャンブル等依存症対策の取組について、県のご所見をお伺いします。

4. 児童虐待への対応について

県の報告によると、令和元年度に県内のこども家庭センターが受け付けた児童虐待相談件数は8,308件で、平成27年度の3,281件と比較して153%増、令和元年度の一時保護児童数は2,698人であり、平成27年度の1,402人と比較として92%増となっています。急増する児童虐待相談や一時保護に迅速かつ適切に対応するため、県においては児童福祉司や児童心理司等の専門職員の人材を確保するとともに人材育成にも努力して頂いているものと認識します。また、尼崎市、加東市において、こども家庭センターの新設が予定され、機能強化が図られるところです。

(1)児童福祉司等職員の確保、育成について

新年度には法令によって求められる専門職員の増員も見込まれるところであり、期待を致します。しかしながら、例えば、中央こども家庭センター一時保護所においては、令和元年度に18人の会計年度任用職員を追加募集したものの、未だ6人しか採用ができておらず、必要な職員配置が叶わないため、受け入れ児童数の増員は少数にとどまっています。昨年12月県議会一般質問において、その原因分析と改善を求めたところでもあります。新年度においては、児童福祉司や保育士等の専門職をはじめ必要な職員確保についてどのような改善策が講じられるのか、また資質の向上をどのように図っていかれるのか、県のご所見をお伺いします。

(2)一時保護所に対する今後の取組について

現在、県の一時保護所は、広い県域にも関わらず中央こども家庭センター1か所のみで、常に満床状態であり、民間児童養護施設や里親への一時保護委託件数が急増している状況です。加えて新型コロナウイルス感染症対策として、保護の必要な児童については、別途サテライト保護所を設け、一時保護を行っている状況であります。

新年度においては、県の「一時保護所のあり方検討部会」の提言に基づき、阪神間における一時保護所新規整備に向けた取組が見込まれており、大変心強く感じるものです。設計、設備、人員、運営等において、「子どもの最善の利益」に配慮したものとなることを期待するところですが、今後の取組について県のご所見をお伺いします。

5. 人権啓発施策の推進について

インターネットの普及に伴い、その匿名性、情報発信の容易さから、個人の名誉を侵害したり、差別を助長する表現等、インターネット等への差別的な書込みが後を絶たないことから、本県では平成30年より「インターネット・モニタリング事業」を実施し、悪質な人権侵害の抑止に取組んでおられるところです。モニタリングの対象は、県内の在留外国人に対する悪質・差別的な書込み、部落差別等の同和問題に係る悪質・差別的な書込みであり、令和2年6月からは新型コロナウイルス感染症に関する悪質・差別的な書込みも対象に加えられたところです。

本事業については、その内容を県民に十分周知をすることによって、「差別を許さない」県民意識の高揚を図ることが肝要ではないでしょうか。また県内の多くの市町においても類似の事業が展開されているところであり、県として全県の取組内容を把握分析し、人権課題の抽出や課題解決に向けた方策を追求し、共有することは、兵庫の人権文化構築に有用だと考えるところです。

「インターネット・モニタリング事業」における、これまでの取組の成果と今後の課題について、県のご所見をお伺いします。

●教育委員会
1 公立夜間中学について
(1)夜間中学設置市と未設置市町との覚書・協定書締結について
(2)経済的に困窮する生徒への支援について
(3)教職員の配置について
(4)全県的な広報について
2 中学校の部活動における合理的、科学的で適切な指導の徹底について
3 学校給食について

全文

質問日:令和3年3月15日(月)

質問者:北上 あきひと 委員

1.公立夜間中学について

「教育機会確保法」によって、全ての地方公共団体に夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務付けられました。地方公共団体においては、夜間中学を新たに設置すること、夜間中学を既に設置している場合は受け入れる対象生徒の拡大を図ること等が求められます。本県においては、神戸市と尼崎市において公立夜間中学が運営されており、姫路市内においては設置に向けた取組みが展開されていると聞き及んでいるところです。義務教育を修了せずに学齢期を過ぎた人々や日本の義務教育に相当する教育が未修了の外国人が通う夜間中学のニーズは、2015年7月30日の文部科学省通知により、実質的に義務教育未修了と言える不登校によるいわゆる“形式卒業者”の再入学が認められるようになったことからますます高まったと考えます。夜間中学施策の一層の拡充を願い、質問をさせて頂きます。

(1)  夜間中学設置市と未設置市町との覚書・協定書締結について

県のご尽力と尼崎市はもとより阪神間各市のご理解、ご協力により、新年度より尼崎市立成良中学校琴城分校の入学要件が緩和されることになりました。神戸市立の夜間中学においても、市内在住在勤者以外にも門戸が開かれたと聞き及ぶところです。

今後、夜間中学未設置市町在住者で夜間中学に入学を希望する者の入学手続きが円滑に進むよう、設置市と未設置市町との間において、教育負担金等を定める覚書・協定書の締結が必要であると認識しますが、現状と課題、また県教育委員会として果たすべき役割についてお伺いします。

(2)経済的に困窮する生徒への支援について

昼間の義務教育課程においては、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して就学援助がなされます。これは、学校教育法に基づくものです。しかし、学齢期を過ぎた生徒を受け入れる夜間中学においては、経済的な理由で就学が困難な生徒であっても、残念ながら就学援助の対象にはなりません。夜間中学の生徒の通学圏は広域であり、交通費等の負担が多額になる場合も想定されます。経済的に困窮する夜間中学の生徒に対しては、在籍する期間中の何らかの経済的支援を保障することが求められていると認識しますが、現状と課題について、ご所見をお伺いします。

(3) 教職員の配置について

夜間中学の生徒は、年齢構成に幅があり、民族も多様で母語や習慣も異なり、また様々に複雑な課題を抱えた人も多いと認識します。学びの機会を逸してきた人々が、夜間中学での学習によって社会との結びつきを深め、暮らしの質を高めて行くために、教職員の果たす役割は大きく、幅広い知識と洗練された高い指導力、熱意とあくなき向上心など総合的な人間力が求められるのではないでしょうか。加えて、日本語を駆使することが困難な生徒が増加していることから、日本語指導の担当教員加配の必要性も感じるところです。教職員の配置の現状と課題について、ご所見をお伺いします。

(4) 全県的な広報について

夜間中学入学への潜在的ニーズは高いと思われるため、広く、的確な広報活動によって、大きな反響があると考えます。市町の枠を越えた広域的な受け入れが本格的に始まる新年度においては、県の積極的な広報活動が尚一層強く求められるのではないでしょうか。県は、夜間中学の生徒募集を、県民にどのように周知して行かれるのか、今後の広報活動の取組内容についてお伺いします。

2.中学校の部活動における合理的、科学的で適切な指導の徹底について

中学校の部活動は、体力や技術力の向上、学年や学校を超えた人間関係の構築、責任感や協調性の養成等に資するものであり、心身の成長が著しい時期における大変有益な取組だと考えます。一方、子どもたちを取り巻く社会経済環境が大きく変化し、教育課題が多様化、複雑化するなか、部活動のあり方について抜本的改革が求められており、スポーツ庁より「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が、文化庁より「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」がそれぞれ示され、本県教育委員会でも「いきいき運動部活動」の改定や「文化部活動の在り方に関する方針」の策定等、持続可能な部活動に向けた様々な改革が行われていると認識するところです。

昨今、県内の中学校部活動において、顧問教員による体罰、また言葉や態度により精神的に追い詰める指導に起因し、生徒が重傷を負ったり不幸な事案に至るケースが散見されるところであり、極めて残念なことです。合理的、科学的で適切な指導の徹底が求められていると考えます。生徒の心身の健康保持、顧問教員による体罰や言葉の暴力、ハラスメントの根絶等に向けて、県教育委員会としてどのような指導や支援を行うのか、その現状と課題について、ご所見をお伺いします。

3.学校給食について

新年度は、学校給食での地場農畜水産物の活用を図るために、農畜水産業の理解を深める研修会を開催し、学校における食育を推進することが示されています。県内産物を活用した学校給食は、子どもたちの心身の健全育成に寄与し、ふるさと意識醸成にも繋がるものです。本県は、日本海と瀬戸内海に面しており、多様性に富む気候風土と都市近郊の立地を活かした農畜水産業が力強く取組まれています。安全で美味しい食材が豊富なため、質の高い食育が展開できると考えます。県内市町においては、地域の特性を活かした食育や学校給食の取組がなされていますが、その内容の充実が求められており、県による一層の支援が肝要であると考えます。

また、農林水産省が2050年に有機農業用の農地を100万ヘクタール(全体の約25%)に増やす目標などを盛り込んだ新たな農業戦略を打ち出す等、食の安全や地球環境保全への意識の高まりから、有機農産物への関心が高まっていると認識します。

学校給食においては、地場農畜水産物による「地産地消」の一層の推進と、安全で環境に配慮した「有機農産物」の導入を期待するところですが、ご所見をお伺いします。

●総括審査
1 コロナ禍を経てめざす将来のひょうご像について
2 財政運営について
3 今後、求められる職場環境と人事政策について
4 県施策における人権の尊重について
5 「無年金外国籍障害者・高齢者等福祉給付金事業」について
6 コロナ禍における自殺対策について
7 コロナ禍における子どもの心のケアについて
8 中学校休日部活動の地域移行について

全文

1 コロナ禍を経てめざす将来のひょうご像について

新年度予算案は、一般会計2兆7304億円、特別会計・公営企業会計を合わせて4兆6068億円であり、税収不足が危惧されるなか、過去最大でありました。中小企業制度資金貸付金を増額し、また医療提供・検査・相談体制の確保、防災・減災対策、地球温暖化対策、地方回帰の受け皿づくり等が盛り込まれています。予算案の内容については、本委員会で種々精査をしてきたところです。知事は予算案発表の記者会見において「ポストコロナ社会へのスタート予算」と名づけられました。ポストコロナ社会とはどのようなものなのでしょうか。

「危機は本質をあぶり出す」との言葉がありますが、コロナパンデミックは現代社会の様々な問題を顕在化しました。昨年6月、兵庫県医師会は「現在、地域医療構想により合理化された医療提供体制が全国的に構築されつつある。さらに保健所の統廃合や人員整理等で公衆衛生業務が集約された。この体制は不測の新興感染症に対して、柔軟な対応が困難であることが今認識されつつある」との見解を明らかにしています。医療や福祉、保健衛生の分野にまで、過度の市場原理を持ち込んだことを省みて、県民の命を支える土台の整備が自治体の使命であり、その見直しは急務です。

加えて、パンデミックは、自治体間連携の深化も迫りました。近隣府県との連携、県内市町との連携を抜きに、感染症への効果的な対応は困難であることは明らかです。

コロナ禍、医療崩壊への不安に加え、解雇失業等による生活苦、児童虐待、DV、自殺等の増加が大きな社会問題となり、多くの県民が「政治と暮らしは直結している」ことを実感されたのではないでしょうか。県民の政治行政への関心の高まりを、私自身も肌で感じているところです。県民との情報共有、参画と協働、住民自治を一層進めて行くことが、県政運営に求められています。

そのような中、兵庫県などがまとめた「AIを活用した未来予測2050年の兵庫の研究」による未来予想では、「都市集中型」ではなく「地方分散型」の道を選択すれば、出生率回復や健康寿命延伸が叶い、地域活力は維持され生活の質が高まり、個人の幸福感も増すとのシミュレーションが示されており、ポストコロナ社会を構想するにあたって、大変に示唆深いと感じます。

私は、五国各々の、市町各地域の、多様で豊かな風土を活かしたしなやかで逞しい分散型の社会を、県民との対話と共感に基づいてめざすべきではないかと考えます。「流行した感染症は時に社会変革の先駆者となる」とは、長崎大学教授で岩波新書「感染症と文明」の著者である山本太郎氏の言葉です。コロナ禍を経てめざす将来のひょうご像について、当局のご所見をお伺いします。

2 財政運営について

本予算委員会においては、税収見込み、財政フレーム、シーリング強化、職員給与抑制措置等、財政運営について多角的に議論をして参りました。

令和4年度から9年度にかけて総額330億円の要調整額が見込まれ、また、震災関連県債や行革期間中の財源対策債の県債残高も依然高い水準にあります。新年度当初予算をもとにした財政フレーム見直しによると、実質公債費比率は令和5年度17.4%、令和10年度は18.1%になる見込みで、令和10年度における過去3年間の平均は17.9%であり、辛うじて18%未満に納まるという厳しい内容は、財政審査の際に指摘した通りです。経常収支比率については、令和10年度見込みは95.9%で、内公債費は25.9%を占めます。

当局は、財政フレームにおいて実質公債費比率や経常収支比率の数値が上昇するのは、算定上の分母である標準財政規模や経常一般総額の減少の影響が大きいとの見解を示されました。その算定ルールについては理解するものの、社会人口構造の変化等からも、分母の主要素となる税収の回復が楽観できないからこそ、多額の公債費を縮減して行くことがより一層求められるのではないでしょうか。

自治体の財政計画においては、歳出のコントロールが重要であり、歳出で大きな割合を占める義務的経費のコントロールが肝だと考えます。社会保障関係費の自然増は如何ともし難く、また本県においては職員3割削減等の人件費総額圧縮に既に努めてこられたところでもあります。このようななか、財政当局におかれては、大型プロジェクトの再検討をはじめ投資的経費の調整に意を用いて頂き、地方債発行を抑制する等、より堅実な財政運営に努めて頂くことを切に求めるところでありますが、ご所見をお伺いします。

3 今後、求められる職場環境と人事政策について

県政を支えるのは県職員であり、高い倫理観や強い使命感をもった優秀な職員を採用、育成すること、また職員が心身の健康を維持し、やる気と能力を存分に発揮する環境を整えることが求められています。部局別審査においては、職員給与の抑制措置、パワー・ハラスメント、会計年度任用職員の処遇等の課題について、議論を交わしてきました。

自治体運営には、公平性や安定性が必要であり、法制度やこれまでの取組の蓄積を引き継ぐことは、職務のベースとして不可欠です。加えて、今後県職員に求められるのは、時代の変遷に対応する柔軟性、新たなサービスを創造する進取の気性やチャレンジ精神、多様な県民ニーズを把握し必要な施策を抽出するコミュニケーション能力、AIやICT技術への対応力等ではないでしょうか。それらを醸成するためには、若手、中堅職員が自由闊達に議論する職場風土、自ら課題を見つけ解決策を編みだす仕組み、様々な現場で住民と率直な意見を交わす機会等が必要だと認識するところであり、これらを可能にする職場環境が求められます。

また、人事政策には、採用、育成、活用の3つがあると言われます。例えば、採用においては、社会人やインターンシップ経験者の登用等の取組によって熱意や独創性のある多彩な人材獲得をめざす例も見られます。育成では、多様な民間組織や先進自治体との人事交流による能力向上をめざす方策があります。活用においては、「手上げ方式」による異動や新規プロジェクトの参加等を知るところです。人事政策において、採用、育成、活用の三つをトータルに捉えて的確な方向性を示すことが、新しい時代をきり拓く自治体力に繋がると考えます。

今後、求められる職場環境と人事政策について、ご所見をお伺いします。

4 県施策における人権の尊重について

県においては、豊かな人権文化を築くために、人権にかかわる教育、啓発、相談等の取組を展開されてきました。県民一人ひとりが人権問題に関心を持ち、自らの尊厳を自覚すると共に、他者の人権を尊重する心と姿勢を養うための努力が続けられているものと認識します。地道な取組に敬意を表します。

人権の尊重は、行政運営の土台です。県の人権行政は、単に人権啓発事業等を展開することのみに止まるのではなく、県のあらゆる施策展開において人権尊重の理念が貫かれるよう促す役割を担うべきだと考えます。例えば、本県県営住宅には、同性カップルは入居申請手続きをすることができません。国連自由権規約委員会は、同性カップルが公営住宅を借りられない例などを挙げ「未婚の異性のカップルと同性のカップルが平等に扱われるよう確保すべきである」と日本政府に対して勧告をしていることは、我が会派の前田議員が先の本会議一般質問で指摘した通りです。勧告の後、日本政府は国連自由権規約委員会に対し「公営住宅法の改正により、いわゆる同居親族要件は撤廃したところであるから、法制度上、同性カップルは公営住宅制度から排除されているわけではない」との見解を示しました。今後改定が予定される「ひょうご県営住宅整備・管理計画」においては、人権尊重の理念が貫かれることを期待するものですが、それは担当する部局だけに問われる課題ではなく、県全体の政策判断が及ぶものだと考えます。

県のあらゆる施策展開の過程においては、法令遵守や財政負担についての精査がなされていますが、人権尊重の理念についてもあらゆる施策展開において貫かれるよう、組織体制の在り方や政策立案の仕組みを含め、取組の充実と改善を求めますが、ご所見をお伺いします。

5 「無年金外国籍障害者・高齢者等福祉給付金事業」について

1959年にスタートした国民年金制度は、皆年金をうたいながら、日本国籍を持つ者しか加入することができませんでした。国民年金の財源は、保険料と国庫支出金であります。外国籍の者も納税の義務があるにもかかわらず、国籍条項を設け排除したことは明らかに間違った政策です。日本政府は1979年に国際人権規約を批准し、1982年には社会保障での内外人平等を定める難民条約を批准したことにより、国民年金から国籍条項を撤廃しました。しかし1982年1月1日時点で既に20歳以上であった障害者、60歳以上であった高齢者は、経過措置を講じられることなく、排除されたままとなりました。1986年の新国民年金法施行により、国籍条項があって加入できなかった期間を合算対象期間として年金の資格期間に算入することとなり、老齢基礎年金については一部是正されました。しかし、この改正でも、1986年4月1日時点で60歳以上の外国籍高齢者は無年金のままです。

県においては、1998年4月に県内市町との共同事業として「無年金外国籍障害者・高齢者等福祉給付金事業」をスタートさせました。その趣旨は「国民年金法の一部改正により国籍条項が撤廃されてなお、制度上の理由から国民年金が受給できない在日外国籍障害者・高齢者に対し、福祉的措置から市町と共同して福祉給付金を支給することにより、在日外国籍障害者・高齢者の生活の安定と福祉の向上を図る」こととされています。この制度の創設と、制度運用の改善を重ねる経過のなかで、老齢基礎年金と障害基礎年金1級に相当する無年金外国籍県民への救済措置は講じられているものと考えます。しかし、障害基礎年金2級に相当する無年金外国籍県民については、該当者の居住する県内全ての市町において救済措置が実施されているものの、県においては未だ何らの措置も講じられておらず、共同事業の完遂には至っていないと認識するところです。

県は障害基礎年金2級に相当する無年金外国籍県民の実態をどのように把握しておられるのか、また国籍の違いによって制度の狭間に放置し、未だ無年金の状態に置くことは平等性に欠け、速やかに解決するべき課題だと認識しますが、今後の取組についてご所見をお伺いします。

6 コロナ禍における自殺対策について

警察庁の統計に基づく2020年の国内の自殺者数(速報値)は、前年確定値より750人(3.7%)多い2万919人です。女性の自殺が2年ぶりに増え、男女合わせた人数はリーマン・ショック後の2009年以来11年ぶりに増加に転じました。報道等によると、女性の自殺増の背景には、新型コロナウイルスの感染拡大による経済環境の悪化、生活や雇用などの先行きへの不安が心理的な負担になっているとみられます。加えて「ステイホーム」や「ソーシャルディスタンス」の影響で、悩みを打ち明けたり相談する機会も減少しているのではないでしょうか。

年間の自殺者は、1997年まで長年2万人台で推移していましたが、1998年から14年連続で3万人台が続き、2003年には最多の3万4427人になりました。景気等の影響はあるものの、その後概ね減少傾向が続いたのは、行政や民間機関が相談体制を強化し地域に根ざした様々な取組が展開されたことが大きいと考えます。また、厚生労働省は「自殺はその多くが追い込まれた末の死であり、その多くが防ぐことができる社会的な問題」との認識を示しています。本県においては、「自殺対策計画」に基づき「自殺のない社会」実現をめざした対策を推進してこられたと存じますが、新年度は相談や啓発等の取組が一層求められるところです。コロナ禍における自殺対策について、県のご所見をお伺いします

7 コロナ禍における子どもの心のケアについて

本年2月の文部科学省の発表によると、昨年に自殺した小中高校生は479人で、前年の339人から140人増え、過去最多となりました。内訳は小学生14人(前年6人)、中学生136人(同96人)、高校生329人(同237人)です。18歳以下の自殺は、長期休業明けの時期に増加する傾向がこれまでも指摘をされていますが、昨年は学校が再開した6月と短縮夏休み明けの8月が、どちらも前年同月の2倍超となりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う社会不安や家庭環境の変化に加え、長期にわたる休校等が、子どもたちの心に影響を与えているのではないでしょうか。国立成育医療研究センターが昨年11~12月に行った子どものコロナの影響調査では、小4~小6の15%、中学生の24%、高校生の30%に中等度以上のうつ症状が見られ、自殺や自傷を「ほとんど毎日考えた」という小4以上は6%いたと報告されており、同世代の子どもをもつ親の一人としても、心が痛み不安が募るところです。

教育委員会におかれては、スクールカウンセラー等の配置をなされると共に、今年度は県内全域の公立小中高校の計156校を対象に、長期休校によるストレス状況を把握するためのアンケート調査を3回実施(7月・9月・1月)されました。その結果から、子どもたちの実態をどのように把握、分析されているのか、また、今後、子どもたちの心のケアをどう図って行かれるのか、ご所見をお伺いします。

8 中学校休日部活動の地域移行について

先の部局別審査においても中学校の部活動について取上げ、そのあり方について抜本的改革が求められていることを指摘し、合理的科学的で適切な指導の徹底を図るよう求めたところであります。ここでは、部活動の大きな転換につながる取組だと認識する、休日部活動の地域移行についてお伺いします。

新年度、国庫事業として「中学校運動部活動の地域移行検討事業」が予定され、県内2ヵ所に拠点校を設けることが示されました。休日の部活動の段階的な地域移行が進展するものと理解します。少子化の進展等により、学校単位の活動から一定規模の地域単位での活動への移行の検討の必要性はかねてより指摘をされていたところであり、また、議会でも再三議論されてきた教員の業務負担軽減、「働き方改革」の一環としても意義ある事業だと認識するものです。地域諸団体との連携により、学校と地域が共に子どもを育てる環境の整備は、多くの関係者の願いであるものの、実現に向けては解決するべき課題も多いのではないでしょうか。休日部活動の地域移行の目的と課題、「中学校運動部活動の地域移行検討事業」の取組内容をお伺いします。

<黒田 一美 議員>
●健康福祉部
1 国際人権法について
(1)県の認識について
(2)県民への啓発および周知について
2 国連人権理事会の存在と活動の県民への啓発および周知について
3 「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」の実施状況について
4 子ども食堂のさらなる普及と充実、行政支援の取組について

全文

質問日:令和3年3月9日(火)

質問者:黒田 一美 委員

1 国際人権法について

(1)県の認識について

兵庫県は、日本海から瀬戸内海、淡路島を含む五国が集まった広い県土に、人口約540万人の県民が住んでいます。外国人県民をはじめ、全ての県民の方々の人権が守られる豊かな兵庫県を求めます。県民一人一人の人権について、世界の一員として国連で議論され、守られています。

第二次世界大戦後すぐに結成された国際連合で各国の代表は、人権を軽視することが戦争につながり、戦争でさらに人権が侵害されることを重視して、「人権」を国連の重要課題としました。

そして1948年に「世界人権宣言」が定められ、今日まで約30と言われる法的拘束力を含む国際人権法が定められていると言われています。

自由権規約、社会権規約、人種差別撤廃条約、女性差別撤廃条約、子どもの権利条約、障がい者の権利条約、人身売買禁止条約、難民条約、拷問等禁止条約等、主な人権条約を日本政府は締結しています。

しかし、日本政府は残念ですが、人権規約に認められた権利を侵害された個人が国連の機関に救済を求めることができる「個人通報権」を認めていません。

個人通報制度は、人権侵害を受けた個人がその国において国内の救済措置を尽くした後であれば誰でも通報することができます。

いずれにしても、そういった日本政府の課題がありますが、国連が世界大戦の反省のもと、多くの世界の人々の人権のために国際人権法、人権条約を採択、発効していることを、もちろん条約は国を対象としていますが、広い県土を有し、多様な地域と文化を有している兵庫県としてどのように認識しているのか、お考えをお聞きします。

(2)県民への啓発および周知について

国連、国際人権法では、私たち県民一人一人の身近な人権を守ることが規定されています。

子どもの教育の権利、結婚の自由、居住の権利が奪われていないか、医療、福祉の権利が保障されているか、ホテル、飲食店、喫茶店、劇場、公園等一般公衆の使用、サービスを利用する権利が奪われていないか等々、本当に身近な人権を条約には規定され、国連の関係機関が審査します。

私たち県民の人権を守るための身近な条約ですが、まだまだ県民に周知されているとは言えません。

私たち県民一人一人の身近な人権の擁護が世界、国連で議論され、国際人権法、人権規約で保障されていることをしっかりと県民に周知、啓発する必要があると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

2 国連人権理事会の存在と活動の県民への啓発および周知について

県民一人一人の身近な人権の擁護を、世界で、国連で取り組む機関として国連人権理事会があり、スイス、ジュネーブに会場があります。

国連人権委員会が、2006年に国連安全保障理事会に並ぶ、人権理事会として発展しました。

理事は47国であり、任期3年で、日本政府は現在5期目で20年から22年の間の任期中の理事国です。

関係する国連拷問禁止委員会では、日本国の人権状況も審査があり、2013年には、精神障がい者の入院、身体的拘束が過剰であると日本政府に勧告しています。

2017年には、人権の視点で、日本の放送メディアの独立性の強化の必要が報告されています。

日本政府も理事となり、身近な人権課題、人権活動を行なっている国連人権理事会の存在と活動の県民への周知、啓発がもっと必要であると考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」の実施状況について

人権をめぐる国際社会の取組の中で、国連は1995年から2004年を「人権教育のための国連10年」と決議、さらに「人権教育のための世界計画決議」を2005年から現在も数次にわたり採択され、日本政府も共同提案しています。

政府も国内行動計画を策定し、兵庫県でも「兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針」が平成28年3月に改定され、県内の広範かつ多種の取り組みが記載され、なかでも5「県職員等への啓発」には、①全庁的な職員研修の充実、や②特定職業従事者に対する研修の充実として、教職員、警察職員、消防職員、医療、保健関係者、福祉関係者と具体的に挙げられている。

そこで、人権意識を高めるためにどのような取り組みをされているのでしょうか。

特に、このコロナ禍において、コロナ感染関係で人権侵害の課題も起きています。関係する職種でもありしっかりとした人権研修が必要です。

4 子ども食堂のさらなる普及と充実、行政支援の取組について

私の地域、小学校区で子ども食堂が開設され、私もメンバーの人として、また妻がスタッフとして月2回活動しています。そこでは子どもが1時間勉強して、その後、食事をします。

来年度県の予算案において、「子ども食堂」応援プロジェクトに関するものが計上されているが、子どもの貧困対策として開設された子ども食堂が地域の子どもの居場所になっています。

このコロナ禍においても、スタッフは感染対策を徹底して実施を続け、子ども達にも保護者にもとても喜ばれています。

その体験から、子ども食堂の活動は、もちろん子ども、また保護者のみでなく、その地域が子どもを大切にする地域、子どもに意を持つ温かい地域となり、高齢者、障がい者の方々、人を大切にする豊かな地域につながっていると実感します。

そういった意味でも子ども食堂のさらなる普及、充実が必要であると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

黒田 一美
神戸市垂水区

●産業労働部・労働委員会
1 エッセンシャルワーカーが働く県内中小企業が行う感染症対策への支援について
2 緊急雇用対策について
3 公契約条例の制定について
4 新技能習得訓練(プラスワン訓練)の実施について

全文

質問日:令和3年3月10日(水)

質問者:黒田 一美 委員

1 エッセンシャルワーカーが働く県内中小企業が行う感染症対策への支援について

エッセンシャルワーカーとは、エッセンシャル=本質的、不可欠な、ワーカー=労働者、直訳すれば、「必要な不可欠な労働者」です。

今回のコロナ禍で労働者への価値観を持って言われるようになりました。

コロナ禍で外出自粛が要請されている時、感染リスクが高いながらも社会生活に欠かせない仕事で働いている方々がエッセンシャルワーカーです。

医療・福祉従事者、教師、保育士、警察、消防、交通機関、流通、スーパーやコンビニ、飲食業などで働く人、ゴミ収集、さらに行政の窓口、電気、水道、下水道、ガス等のライフライン維持のために現場で働く方々です。いずれも感染リスクが高いものの、生活に欠かせない労働です。

兵庫県では、新型コロナウイルス感染症対策として、中小企業、事業者に対し、過去から新しい生活様式(ひょうごスタイル)にあわせて、従業員の労働環境確保のために取り組む接触感染や飛沫感染の感染防止対策等への支援を実施し、来年度当初予算案でも、適切な感染対策の上、継続的にサービス提供ができるよう感染防止研修や事業継続計画(BCP)策定支援などにかかる予算が計上されており、これらはその事業所で働くエッセンシャルワーカーへの支援でもあります。

民間でもホテル予約サービスの会社で感染リスクから家へ帰ることが不安なエッセンシャルワーカーを対象とした「ホテルシェルター」として1泊3000円と低価格で支援をしています。

そこで、産業労働部としても、エッセンシャルワーカーの方々が働く中小企業への支援を行なっているところですが、エッセンシャルワーカーの方々の感染への危険性をできる限り低減し、安心して働ける職場環境をつくるための取組みが不可欠であると思いますが、当局のご所見をお伺いします。

2 緊急雇用対策について

新型コロナウイルス感染拡大の影響による県内経済の落ち込みにより、雇用情勢の悪化が続いています。

本県の有効求人倍率は、令和2年7月に約5年ぶりに1倍を下回りました。以降、7ヶ月連続で1倍を下回って推移しています。令和3年1月に前月の0.91倍から0.95倍と少し持ち直したものの、飲食や宿泊など大きな打撃を受けている業種もあり、雇用状況は楽観できないとの見方が強いです。

また、厚生労働省が集計する新型コロナウイルス感染症の影響による本県の解雇等の見込み労働者数は、2月26日時点で累計2,396人と全国で7番目の水準となっています。感染拡大の影響を受け、今後、更に離職者が増加していくことを懸念しており、雇用情勢に対する一層の注意が必要であると考えています。

このような状況を踏まえ、悪化する雇用情勢を下支えするためにも、緊急的な雇用対策が必要と考えますが、県として今後どのように雇用対策を進めていこうと考えているのか、当局のご所見をお伺いします。

3 公契約条例の制定について

2020年10月1日、最低賃金が1円引上げられ、900円に改定されました。17年連続の引き上げであります。

ただ、依然として、建設労働者の適正賃金・単価の確保については課題が残っていると私は認識しています。以前から兵庫県建設労働組合連合会は、県の発注する契約において、元請業者は下請業者に対して十分な労務単価の保障、すなわち設計労務単価での支払いをするように県に指導を求めています。 同組合連合会の調査によると、例えば、2019年の常用の大工では、設計労務単価の2万1,200円に対して1万5,618円しか受け取っていないなど、賃金の実態は設計労務単価よりも低く、しかも、民間事業と比較をすると公共事業のほとんどの職種で低くなっています。

公共工事における建設労働者の適正な賃金単価の確保は重要な課題であり、直近では平成30年12月に丹波篠山市で公契約条例が制定され、賃金下限条項を含む条例も三木市、加西市、加東市で制定されています。

令和2年2月定例会でも我が会派の上野議員が、この公契約条例の制定について質問をしており、その際、知事は、「本県では全ての県契約において、最低賃金額以上の賃金支払いと労働関係法令の遵守を求める要綱を制定して、運用しており、実効性を確保している」との答弁がありましたが、最低賃金の遵守については実効性が確保されてはいると思いますが、やはり実態は設計労務単価との乖離が生じています。

建設業界はコロナ前から深刻な人手不足の問題を抱えており、その状況はコロナ禍にあっても変わらず、賃金を含めた処遇改善が喫緊の改題であると考えています。

また、公契約条例がないと低価格での契約が横行し、現場では利益確保のため少人数となり、労働条件が悪化するとともに元請けから下請け、孫請けと各段階で経費が引かれ、労働者は賃金では生活できない、ワーキングプアになる懸念もあります。

県の発注する契約で、設計労務単価との乖離が生じ、低賃金、労働条件悪化を進めてはなりません。

そこで、改めて、労働者の賃金単価を向上させるために、兵庫県として公契約条例の制定を求めますが、ご所見をお伺いいたします。

4 新技能習得訓練(プラスワン訓練)の実施について

質問の第四は、資格取得の支援による建設人材の育成・確保についてです。

明日は、東日本大震災からちょうど10年の節目を迎え、テレビ、新聞でも大きく報道がなされています。私も阪神・淡路大震災に遭いましたが、毎年のように豪雨や台風、地震等による大きな自然災害が各地で発生し、甚大な被害により、復旧・復興まで長期にわたり不自由な生活を送る実態があります。

建設業は、災害等での迅速な復旧・復興の最前線で活躍する地域の守り手であり、安全・安心の担い手として、また、普段は、住民生活の向上や地域経済の発展を支える地域インフラの整備・維持にと、重要で不可欠な役割を担っています。

しかし、近年の急激な少子高齢化に加え、事務系職場志向の高まりにより、未来の地域の担い手となる若者の県外流出が進んでいます。特に建設業界では、コロナ禍のなかでも人手不足が顕著で、高齢化も深刻な状況です。

一方、最近の建設現場では機械化が進展しており、また建設業界が多様な働き方を推進していることもあり、女性や高齢者、未経験者も活躍の場が広がっております。こうした職場環境の変化を背景に、これまで建設業に関わりの薄かった県民にも参入いただけるよう、人材育成・確保を進めることが何よりも重要であると考えています。

来年度は、産業労働部でも、新たな知識・技能の習得による労働者の生活基盤の安定に加え、建設業の担い手確保のため、新技能習得訓練に取り組むとのことですが、どのような事業展開と支援を行うのか、当局のご所見をお伺いします。

●農政環境部
1 生物多様性ひょうご戦略について
(1)豊かで美しい瀬戸内海の再生について
(2)レジ袋有料化の状況等について
(3)自然、海に優しいバイオプラスチック等新素材の普及促進について
(4)アライグマ・ヌートリア等外来生物への対策の強化について

全文

質問日:令和3年3月11日(木)

質問者:黒田 一美 委員

1.生物多様性ひょうご戦略について

2009(平成21)年3月に策定された「生物多様性ひょうご戦略」は、2014(平成26)年3月に改定され、環境課題の変化に適切に対応し、生物多様性の保全と持続可能な利用に向けて計画的かつ重点的に取り組むべき施策を明らかにするために、平成31年2月に改定されました。兵庫5国、多様な自然、多様な動物を大切にして、豊かな県民生活を送るための重要な戦略と考えます。

(1)豊かで美しい瀬戸内海の再生について

3月6日にイカナゴ漁が始まったところですが、今年も昨年度と同様に漁獲量は少なく、値段も高く、ますます庶民の魚から高級魚になってしまうのではないかと心配しています。

また、兵庫のりの収穫も最盛期で自然の恵み、黒いつやのある美味しい兵庫のりを食べ続けたいと願っております。

そのためには、豊かで美しい瀬戸内海の再生が必須です。そこで、県行政として、水産振興、漁業振興だけでなく、まさに「生物多様性ひょうご戦略」にあるように、環境保全、森林・里山保全、ため池に携わる部局、さらに、河川、港湾等に関わる県土整備等、「豊かで美しい瀬戸内海」再生に向けた実施計画の実現のため、関係するすべての県関係部局の一体化した取組が大切であり、部局横断的な体制を確立すべきだと考えますが、当局の所見をお伺いします。

(2)レジ袋有料化の状況等について

同戦略に「海ごみ対策」の取組が挙げられております。近年、海洋に流出するプラスチックごみが問題視されています。プラスチックは自然の中で分解されにくく、海の生き物が誤って飲み込んだり、体に絡まるなど、生態系に悪影響を及ぼします。また、プラスチックごみは焼却処理しても、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出します。

これらの問題の解決に向けた第一歩として、2020年7月1日よりレジ袋有料化が開始されました。大手スーパーやコンビニでは無料だったレジ袋が2~5円で販売されるようになりました。

そこで、レジ袋有料化の県内での状況、効果、そして課題についてお伺いします。

(3)自然、海に優しいバイオプラスチック等新素材の普及促進について

高砂市に事業所を置くカネカなどの企業で、海水中で微生物によって生分解される環境配慮型のプラスチック素材が開発されています。これらの素材を使用したプラスチック製品は一部のコンビニで採用されたり、化粧品の容器として開発が進められています。

県でも、海洋生分解性プラスチック等への素材転換の促進に取り組んでいます。ただ、これらの素材には用途によって適さないものもありますので、正しい知識を持ってもらい活用してもらう必要があると思います。

プラスチックごみを削減していくために最も効果的なのは、プラスチックごみ自体を発生させないことだとは思います。そのためには、さらなるリデュースやリサイクルへの促進とともに、バイオプラスチックの普及促進について取り組むべきかと考えますが、当局の所見を伺います。

(4)アライグマ・ヌートリア等外来生物への対策の強化について

同戦略に「アライグマは農業被害や人畜共通感染症の媒介のおそれ等の影響が大きいため外来生物法により特定外来生物に指定されました」とあります。

アライグマは本当に増えており、私の住んでいる垂水区でも垂水駅前の区役所周辺という街の真ん中で毎年5~10頭捕獲されています。私の家の近所でも、庭の池のりっぱな錦鯉が5匹全て襲われていました。また、同じ垂水区の下畑、名谷地区では、タヌキがいなくなり、アライグマがうろつくようになりました。アライグマは気性が粗く危険なことに加えて、感染症が心配です。

また、ヌートリアは、地元垂水区の山田川に数頭現れ、一気に数が増え、地元の方が捕獲しましたが、また一頭現れ、今数頭に増えています。

住宅街など都市部で増え続ける外来生物、特にアライグマ、ヌートリア対策の強化を提言しますが、所見をお伺いします。

●県土整備部
1 ひょうご公共交通10カ年計画の改定について
(1) 「ひょうご公共交通10カ年計画」の策定経緯と成果について
(2)活性化再生法の改正と計画改定について
(3) 市町による「地域公共交通計画」策定への対応について
2 明舞団地の再生について

全文

質問日:令和3年3月12日(金)

質問者:黒田 一美 委員

1.ひょうご公共交通10カ年計画の改定について

(1)「ひょうご公共交通10カ年計画」の策定経緯と成果について

電車、バスなどの公共交通は、通勤、通学、買い物などの日常生活や社会生活を支える必要不可欠な移動手段ですが、利用者の減少が続けば、減便や廃止などのサービス水準の低下を招き、さらに利用者が減少するという、いわゆる「公共交通の負のスパイラル」が拡大していくことになります。

一方、本県の人口は2010年(平成22年)をピークに減少を続けており、高齢化率も2045年(令和27年)には、播磨地域内陸部や但馬地域西部では大半の市町で50%を超えると予測されており、今後ますます高齢者の移動手段を確保することは、重要な課題であると考えます。

このような時代の流れの中で、県では「ひょうご公共交通10カ年計画」を策定し、生活の足の確保や利用促進など、それぞれの地域特性や交通課題に対応した取り組みを継続して実施しています。

そこで、これまでの計画策定の経緯とその成果についてお伺いします。

(2)地域公共交通活性化再生法の改正と「ひょうご公共交通10カ年計画」の改定について

地域の公共交通を維持・活性化させるため「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が、昨年6月に改正されました。

国の資料によると、その概要に「輸送資源の総動員による移動手段の確保」が掲げられています。改正の背景としては、人口減少の本格化やバス運転手不足の深刻化などにより、地域の移動手段を確保することが、ますます重要になっていることが挙げられています。

県においても、今年度「ひょうご公共交通10カ年計画」の改定作業が進められていると聞いておりますが、今回の計画改定においては、この地域公共交通活性化再生法の改正を踏まえて、どのように対応していくのかお伺いいたします。

(3)市町による「地域公共交通計画」策定への対応について

人口減少の本格化による利用者減少、運転者不足の深刻化等により、路線バスなど、地域の公共交通の経営環境は悪化しています。

このような状況に追い打ちをかけるように、公共交通は昨年から続く新型コロナウ

イルスの感染拡大の影響を大きく受けており、その経営環境はより深刻な状況となっ

ております。このような状況が続けば、地域の移動手段がなくなり、住み慣れた地域

で安心して生活することができなくなってしまうのではと懸念しております。

地域の公共交通を維持・確保していくためには、地域の特性に合った活性化再生法に基づく計画を市町が作成し、実施または検証していくことが大切であると考えますが、私が調べたところ、現在の法に基づく策定状況は、策定済みの市町が県内41市町のうち17市町に止まっています。

「地域住民の移動手段確保」の取り組みを促進するためには、未策定の市町に対し、県が積極的に計画策定を促していくべきと考えますが、当局の所見をお伺いします。

2.明舞団地の再生について

明舞団地は大阪の千里ニュータウンと並び、国の方針で兵庫県と兵庫県住宅供給公社が昭和30年代から40年代にかけて神戸市と明石市にまたがって開発し、昭和39年に入居が開始された県内最古のニュータウンです。

兵庫県では、明舞団地の活性化を目指して平成15年度に明舞団地再生計画を策定し、地元の明舞まちづくり推進協議会と連携し、県営住宅の建替えや明舞センターの整備を進めてきました。

明舞団地には、住宅供給公社が分譲したマンションが2,814戸ありますが、開発から60年近く経った現在、建物の老朽化や入居者の高齢化が進んでいます。加えて、5階建てマンションでエレベーターがない建物も多いため、バリアフリー化を望む声もあります。

また、それぞれに管理組合があり、長期修繕計画を策定し、それに沿った管理を行っているところです。しかしながら、組合員の高齢化と無関心層の増加や多様性によりエレベーターの設置などバリアフリー化工事や建替えという話がなかなか進まない組合もあります。

明舞団地の分譲マンションの建替えの際には、使用できる県営住宅と戸数は限られますが、住んでいる方の仮住宅として県営住宅を目的外使用することが可能であり、この制度を活用する方法もあります。

もともと県の施策で開発した団地でありますので、明舞団地の分譲マンションの支援について、どのように考えておられるのか、当局の所見を伺います。

●教育委員会
1 阪神地区における特別支援学校の充実について
2 新設する阪神南地域新設特別支援学校(仮称)について
(1)県立こばと聴覚特別支援学校の一体的整備について
(2)新設する聴知併置の特別支援学校について
3 国際人権法の教育について
4 国連人権理事会の存在と活動の教育について

全文

質問日:令和3年3月15日(月)

質問者:黒田 一美 委員

1 阪神地区における特別支援学校の充実について

阪神地区には現在、県立芦屋特別支援学校と県立こやの里特別支援学校、阪神特別支援学校がありますが、児童・生徒数が増加し、狭隘化が課題となっており、新しく阪神北地域新設特別支援学校(仮称)と阪神南地域新設特別支援学校(仮称)を令和4年から6年にかけて開校することを計画しています。

兵庫県特別支援教育第3次計画策定時の推計では、知的障がい児童生徒数が平成30年度4,531人に対し、令和5年度は5,040人と今後も増加が続くことが明らかになりました。

特別支援教育の充実は大切であり、学びの環境を整えることが重要です。

そこで、阪神地区における特別支援学校の充実について、どのように考えているか、当局の所見をお伺いします。

2 新設する阪神南地域新設特別支援学校(仮称)について

(1)県立こばと聴覚特別支援学校の一体的整備について

阪神南地区には、現在、県立こばと聴覚特別支援学校があります。

同校は、全国で唯一の1歳から就学前の子どもの早期教育のための学校で、昭和48年、計画決定、昭和50年に開設されました。

1・2歳児の「保育相談部」、3・4・5歳児の「幼稚部」と地域の聴覚支援「聞こえの相談」を行なう相談センター部で構成されています。

令和元年度には、兵庫県で初めて、全国健康づくり推進学校最優秀校に選ばれました。全国86校の応募で最優秀校は6校しかありません。同校の取組みが高く評価されたと言えます。そして、兵庫県としても同校の運営に力を入れてきた成果とも言えるでしょう。

そこで、建物が老朽化しているとのことでありますが、現状のまま独立校として整備せず、新設特別支援学校に聴知併置校として一体化するお考えについて、当局の所見をお伺いします。

(2)新設する聴知併置の特別支援学校について

阪神南地域に新設される特別支援学校の設置学部は、知的障がいが小・中学部、高等部、聴覚障がいが1・2歳児の保育相談部、3・4・5歳児の幼稚部で、定員は、知的障がいが240人、聴覚障がいが42人の予定となっています。

聴覚障がいの保育相談部(1・2歳児)、幼稚部(3・4・5歳児)の児童が、現在の県立こばと聴覚支援学校の対象児です。

しっかりと充実した特別支援学校となりますよう心より願っておりますが、保護者や関係者から「こばと聴覚」の名前は広く根付いており、「こばと聴覚の名前がなくなるのはとても残念」との声が強く出ています。

また、校庭にある芝生の小山がとても特徴があり、思い出深く、何とか新しいところでも出来ないかとの意見もあります。

まだ、具体のことはこれからであり、開設準備室が設置され、検討会議等で協議されると思いますが、設置に向け、「こばと聴覚」の保護者や関係者と十分に話し合い、その思いを聞いて、全国の唯一の学校であり、すばらしい実績のある「こばと聴覚」の伝統がしっかり引き継がれるように、例えば、聴覚障がいの部には「こばと聴覚○○部」と、「こばと聴覚」の名前を残すなど、切に願いますが、当局のご所見をお伺いします。

3 国際人権法の教育について

私たちの県民一人一人の人権が、国際人権法で守られ、保障されています。もちろん子どもの人権もです。

先の健康福祉部での質問でも述べましたように、自由権規約、社会権規約、子どもの権利条約等々、多くあり主な人権法、条約を日本政府も締約しています。

学校教育の場において、生徒一人一人が身近に起こる人権侵害、人権擁護の事象を世界の人権法との関連で考え、人権は世界の課題であり、人権を通じて世界の一員であると実感できたらいいのではないかと考えます。

特に基本となる「世界人権宣言」の全体像と全文、全内容を教えることが大切です。また、「子どもの権利条約」は子どもに直接関わる人権条約であり、より丁寧に教育する必要があると考えます。当局の所見を伺います。

4 国連人権理事会の存在と活動の教育について

未来を担う子ども達が、世界で、国連で、私たち一人一人の人権を守ることが日常的に議論され、活動していることを知ることが大切です。

国連では人権を重視し、人権委員会は、2006年に国連安全保障理事会に並ぶ人権理事会として発展しました。

日本政府も理事となっており、現在5期目で2020年から22年の理事任期中です。

子ども達が、自分達の人権を守り、擁護するために、世界各国が集まり、国連で議論され、活動している人権理事会という重要な組織がある、そのことをしっかり知り、学び、自分達が世界の一員であることを実感し、自分の尊厳を大事にし、人権意識を高めることが大切だと考えます。当局の所見をお伺いします。

<栗山 雅史 議員>
●県土整備部
1 コロナ禍における公共交通機関の維持と支援について

全文

質問日:令和3年3月12日(金)

質問者:栗山 雅史 議員

1 コロナ禍における公共交通機関の維持と支援について

新型コロナウィルスの影響を受け、ご承知の通り、県内の公共交通機関も大変な打撃を受けており、非常に厳しい経営状況が続いています。

兵庫県内に広く路線を持つJR西日本では、昨年4~12月期の連結決算で最終損益が1618億円の赤字となりました。主力の鉄道事業で利用の減少が続き、同期間の売上高は44%減ったそうです。新幹線など長距離路線を中心に落ち込みが続いたほか、非運輸部門の物販・飲食やホテル、旅行業も振るわず、2021年3月期では、最終損益で2400億円の赤字を見込んでいます。県内の指定公共交通機関としては、JRの他に阪急・阪神もありますが、同様に大変厳しい経営状況が続いており、阪急阪神ホールディングスの2021年3月期の見通しでは360億円の最終損益が見込まれています。

「JRや大手民鉄は体力があるから大丈夫」と思われがちですが、関係者によると「コロナ禍は次元が違う」とのことで、国の雇用調整助成金の特例措置延長なども受けながら、日本経済を根底から支える役割を担い続けるため、懸命に地域の路線や雇用を守ってきています。兵庫県においてもすべての公共交通事業者が地域の足、地域の観光を守るため、大変厳しい経営環境にありながらも、一時帰休の活用など働き方を工夫もしながら日々の安全運行に努めておられます。そのことをぜひご理解いただきたいと思います。

そんなすべての公共交通事業者の状況を鑑み、兵庫県として、コロナ禍の状況においては、様々な分野で必要かつ適切な支援をお願いしたいところです。例えば、鉄道・バス・タクシーなどの公共交通機関は「安全な移動手段であること」を行政から発信するなど、風評被害の払拭に努めていただくことや、ウィズコロナ、アフターコロナの社会を見据えて、「新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用」を通じた各種支援などについてご検討をいただくとともに、ぜひとも強力なご支援をお願いしたいところです。

県民の日々の生活や経済活動に欠かせない公共交通事業者を支える意味からも、また県内の観光産業を支える意味からも、公共交通機関への支援をさらに強化すべきだと考えていますが、今後の県の考え方についてご所見をお伺いしたいと思います。

栗山 雅史
西宮市